この素晴らしい世界に●●を!めぐみんのターン   作:めむみん

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果たしてカズマ一行は災厄を乗り越えられるのでしょうか。
ではお楽しみください!


この迷惑要塞に終焰を!

-KONOMEIWAKUYOUSAINISYUUENWO!-

 

機動要塞デストロイヤーの進行の阻止に成功した私達は、要塞への侵入を試みていた。

乱戦が予想され、気を引き締める様に指示が出ているが、みんなその場の流れだけで雪崩込んでいった。

要塞内に入るとゴーレムがいたが、心配など必要なかったと言わんばかりに、数の暴力で圧倒している。

 

「囲め囲め!ゴーレムを囲めー!大勢でロープ使って引きずり倒せ!倒したらハンマーで叩き潰せ!」

 

・・・どっちが侵略者か分からなくなってきた。

と言うか見た感じ、此処にあるゴーレムは初心者冒険者が到底及ばない強さを持っているはずなのに、次々と倒れていく。

ベルディアではないけど、この街は本当に駆け出しの街なのか?

 

「おらおら!出てこいや!この中にいるんだろ!開けろ!」「誰か!ハンマー持って来ーい!このドア潰すぞ!」

「この街を襲った責任者!とっと出て来い!とっちめてやる!」

 

この要塞を乗っ取ったとされる責任者が閉じ篭っているだろう部屋をこじ開けようとする冒険者達。

分かった。

この街はチンピラの街かもしれない。

そうに違いない。

でなければ男女問わずに、これ程に荒れ狂う事はないだろう。

 

「でかいのがそっち行ったぞー!気をつけろ!」

 

その声に反応して見てみると、戦闘用ゴーレムが此方に向かって来ていた。

それに気付いたカズマが、ゴーレムに手を伸ばす。

 

「『スティール』!どうだこれが俺の力だあああああ!腕が、腕があああああああ!!」

 

ゴーレムは動かなくなったが、カズマは負傷した。

叫び声に反応した冒険者が、カズマの腕に乗っているゴーレムの手を退かしてくれた。

カズマって頭が回るのに、こう言う所で抜けているから面白い。

 

「ああっ!大丈夫ですかカズマさん!?重い物を持っているモンスター相手に、スティールは使っていけませんよ」

「アクア、これ、折れてるよ。絶対に折れてる!」

「大丈夫よ。折れてないわ。取り敢えずヒールしとくけど、馬鹿な事しないでね」

 

アクアに注意されたのが気に食わないのか、カズマは近くに落ちていたハンマーを拾って、ドアを叩きに行った。

 

「このクソが!叩き潰してやる!」

 

さっきまで冷ややかな目で見ていたカズマが、誰よりも憎悪を込めて、しかし、みんなとは違う対象に向けてドアの破壊をしていた。

 

「早く壊れなさいよ!このこのこの!あっ、開いたわ!」

「開いたぞー!」

「突入ー!」

「「「おらー!」」」

 

トラップがあるとかは一切気にせず、そのままぞろぞろと侵入していく。

今のみんななら魔王城に攻め入っても勝てるのではないかと思うぐらいに団結力がある。

室内にはゴーレムが数体いたが、カズマ主導の下、効率よく倒されている。

しかし、その勢いが突如途絶え、静まりかえった。

取り敢えず、私はカズマのいる所へ向かった。

 

「何があったんですか?・・・」

 

周りを見ると寂しげな表情で一点を見つめていた。

みんなの視線の先には、綺麗に白骨化した死体があった。

この要塞を乗っ取った研究者はゴーレムに囲まれながら最後を迎えていた様だ。

 

「ねえ、どうしたの?急に暗くなっちゃって」

 

私よりも後に来たアクアにみんなの視線が集まった。

アークプリーストとしてのアクアに聞きたい事があるのだろう。

それに応える様にアクアは白骨死体に近づき、振り返って言った。

 

「既に成仏しているわね。アンデッド化どころか、未練は一つもなく、それはもうスッキリと」

「いや、一つぐらいあるだろ。どうみたって、これ、一人で寂しく死んでった。みたいな・・・」

 

アクアが嘘をつく必要がないと分かり、続けるのをやめたカズマは死体の傍にあった日記帳の様な物に目を付けた。

アクアもそれに気付き、手に取り、読み始めた。

 

「──〇月×日。国のお偉いさんが無茶を言い出した。今までと変わらない研究費用で、機動兵器を作れとか舐めた事を言ってきた。無理だと、何回も伝えたけど、聞く耳を持ってくれないし、辞職願いは受理されないし、荷物まとめて逃げようとしたら、バレて発信機を付けられた。諦めてバカになったフリしてパンツ一枚で走り回ってたら、女研究者に早くそれも脱げと言われた。この国はもう終わりかもしれない」

 

視線が骨に集まる。

 

「──〇月〇日。設計図の〆切今日だな。でもまだ白紙だ。前金は全部使ってしまったし、終わった。もう良いや。この際白紙で提出して、これが見えない奴は穢れた心の持ち主だとか言って出してやろうかと考えていると、紙の上に俺の嫌いな蜘蛛が現れた。悲鳴を上げながら叩き潰したら、なんかスカッとした。でも、その所為で紙が汚れてしまった。・・・今更高い紙買いに行くのも面倒だし、このまま出してしまおう。後は捕まろうがどうなろうが知らん」

 

微妙な空気が漂い始める中、アクアは手記を読み続けた。

 

「──〇月△日。あの蜘蛛を潰した奴、採用されちゃったよ。皆が絶賛してるその緑の奴は蜘蛛の汁なんですけど、良く触れますね。なんて絶対言えない。会議が終わる頃には計画が殆ど出来上がってしまった。どうしよう。蜘蛛退治しただけだ俺。でもそんな俺が所長だ。やっほーい!」

 

みんなの冷たい視線がアクアに集まり始めた。

 

「──〇月□日。俺何もしてないのに、気付いたら八割方出来上がってる。俺必要なかったじゃん。もう良い、勝手にやってくれ。俺は自由な暮らしを過ごすんだ!・・・原動力をどうするか聞かれたけど、そんなもん知るか!だから無理だと言ったじゃん。面倒だから、永遠に燃え続けると言われる、伝説級の超レアアイテムのコロナタイトでも持って来いと言ってやった。持って来れるモノなら持って来い」

 

・・・・・・。

 

「──〇月▽日。持って来ちゃった。本当に持って来やがったよ。動力炉への設置も終わったし、これで動かなかったらどうなるんだ?・・・し、死刑?これで動かなかったら絶対死刑だ。お願いだから動いてください」

 

私達の視線が気になるのか、下を向きがちになってきた。

 

「──〇月◇日。明日が試験運用日らしい。結局、俺何もしてねえ。蜘蛛叩いただけ。今日でこの席とはお別れか・・・。そう思うと腹が立ってきた。よし、今日はみんな帰ったから、ここで大騒ぎしよう。誰も居ないし防音施設内だし、怒られる事はないだろう。最後の晩餐だ!最高級の酒をありったけ飲んでやる」

 

私達の怒気を孕んだ視線に怯えながらアクアは続けた。

 

「──〇月◎日。酷い揺れで目が覚めた。何だろう。何だろうこれ。どれだけ飲んだんだ?昨日の記憶がない。コロナタイト相手に説教してた所までは覚えてるが、その後が思い出せない。確か、お前の根性叩き直してやるとか言って、煙草の火を・・・」

 

アクアはとうとう此方を見なくなった。

 

「──〇月●日。状況を把握。終わった。只今暴走中。どうしよう。間違いなく俺が裏切ったって思われてる。今頃指名手配されてるよ。・・・はあ、やだな。今更泣いて謝っても意味ないだろうし、この後引き摺り降ろされて、処刑されるんだろうな。畜生!お偉いさんも国王も、俺のパンツ脱がせて、鼻で笑った研究員達も、みんなクソッタレだ!こんな国滅んじまえ!もういいや。残った酒を飲んで寝よう。後の事は、起きてから考える」

 

誰となく拳を握り、ギリッという音が辺りに響いた。

 

「──〇月■日。国滅んだ。やべぇ、滅んじゃったよ!国民とか王とかは逃げたらしいけど、俺、国滅ぼしちゃった。うん、なんかスカッとした。満足した。俺、もう満足。よし決めた。このまま降りずに此処で余生を過ごそう。だって降りようにも降りられないし。誰だよこんなの作ったやつ!絶対にそいつ馬鹿だな。・・・・・・あっ、これ作った責任者俺でした」

 

そこで手記が終わったのか、重い顔を上げ、本を閉じて、困り顔でアクアは周りを見回して言った。

 

「・・・・・・お、終わり」

「「「なめんな!!」」」

 

アクア以外の冒険者全員が叫んだ。

外の調査から戻って来た何も知らないウィズが怯えていた。

 

 

 

「それでこれどうすんだ?えっと、コロナタイトだっけ?」

 

私達がいるのは原動力室。

大勢で行っても危険だからと言う事で、私達のパーティーとダクネスの代わりにウィズが任されたのだが。

 

「ここここれどうすればいいんですか!?このまま、だだだと爆発して」

 

ゆんゆんが予想以上にパニック状態に陥っている。

そのおかげか、カズマもアクアも冷静にしている。

 

「五月蝿いですよ!ちょっと静かにしてください!今は、このコロナタイトを格子から出す事を考えるのが先でしょう!」

「ねえ、如何してそんなに落ち着いていられるの?もしかしたらしししし死んじゃうんだよ!」

「如何してって、あなたが異常に取り乱しているからですよ!そりゃあ恐怖はありますけど、自分より慌てふためいている人が居たら誰だって落ち着きますよ」

 

みんな思いが同じだったのか、頷いている。

それを見たゆんゆんは俯いて大人しくなった。

 

「・・・気を取り直して、対処する方法考えないと行けないけど、壊せそうにないよなこれ」

 

コロナタイトは侵入者対策に硬い鉱物で出来た格子で守られていて、取り出せなかった。

流石に、製作者も馬鹿ではなかったようだ。

中枢である動力炉へ辿り着けた所で、破壊不能。

その間に自爆装置が作動すると言う作りになっていた。

ただ、搭乗員がいなかった為、その装置の起動ボタンは押されていなかった。

 

「そうだ、あの魔剣の人なら壊せるんじゃない?」

 

アクアが最もらしい案を出したその時、カズマも何か閃いた様だった。

 

「分かった!これなら格子を斬らなくてもいいじゃないか!格子なんてどうって事ない。この距離なら『スティール』!」

「ああ!カ、カズマさん!?」

 

ウィズが止めようとしたが時すでに遅し。

カズマの手には赤々しく燃え続けるコロナタイトが乗っていた。

 

「あああづぁああああああ!!」

「『フリーズ』!『フリーズ』!」

「『ヒール』!『ヒール』!ねえ、バカなの?カズマって、頭が良いと思ってたけど、ゴーレムの時といい、実はバカだったの?」

 

ウィズとアクアの治療により、カズマの腕は回復した。

カズマはアクアに馬鹿呼ばわりされたのが気に食わなかったみたいだが、助けて貰った事もあり何も言わなかった。

 

「カズマ、マズイですよこれ。このままだとあと少しでボンってなります」

「じゃあどうするんだ?こんなの持って逃げられないぞ」

「大丈夫ですよ。ゆんゆんがテレポートを覚えているのですから!」

 

修行から帰って来たゆんゆんは上級魔法など大人の紅魔族なら誰でも覚えている魔法を全て覚えていた。

だから、一度同郷を探して、魔王城に行き、テレポート先を登録して来たのだ。

始めはゆんゆんも嫌がっていたが、紅魔族としてその内する事なのだから、遅いか早いかの違いだけだと言ったら、思ったよりも早くに折れた。

 

「成程、それで転送するんだな。って、めぐみんがドヤ顔で言う事じゃないだろ」

「そこは別にいいじゃないですか。それより。ゆんゆん、あなたの出番ですよ。いつまでもしょげてないでテレポートの準備してください」

 

私の声掛けに少し反応を示したが反応が悪い。

 

「出来ないよ。・・・魔力が・・・足りないから・・・・・・」

 

しまったー!

ゆんゆんに戦闘しないでと言うの忘れてた。

いや、でもこういう時は、

 

「それなら、私のドレインタッチでどなたかの魔力を分ける事が出来ますよ」

 

そう、ドレインタッチだ。

まだカズマが覚えていないから戦力に数えていなかった。

 

「そんな事が出来るのか?それじゃあ、俺の魔力をゆんゆんに送ってくれ。殆ど戦ってないおかげで、魔力だけはいっぱい残ってるからな」

「では、それで行きましょう。お二人共、後ろを向いてください心臓に近い首元を使いますので」

 

二人はウィズに従い、首を預け、魔力供給を始めた。

十分な魔力が取れたゆんゆんが終わりを告げると同時にドレインタッチも終わった。

カズマは少しキツそうにしていたが、男のプライドで何とか持ち堪えていた。

 

「所で何処に転送するんだ?人がいない所だよな?」

「ええっと、登録してるのは魔王城と屋敷の前だけなんだけど・・・」

 

この子は何処まで優しいんだろうか。

相手は魔王軍だと言うのに。

 

「何迷ってるんですか。サッサっと魔王城に飛ばしてください。さっきも言いましたがいつボンってなってもおかしくないんですよ」

「・・・わ、分かった。『テレポート』!」

 

これで残る問題はあと一つだ。

 

 

 

私達が部屋に出ると他のみんなは撤退を開始していた。

警報が止んだ事で終わったと思っての行動だろう。

私達もその後に続き、地面に降り立ち、ダクネスの元へと向かった。

周りが戦勝ムードの中、ダクネスだけは堅い顔を緩めていなかった。

 

「ダクネス終わったぞ。どうしたんだ?難しい顔して」

「いや、まだだカズマ。まだ終わっていない。私の強敵を嗅ぎつける嗅覚が、そう告げている」

 

ダクネスの言葉を聞き、私達の視線が無人になったデストロイヤーに向いたその瞬間。

デストロイヤーそのものが震動し始めた。

 

「うわっ、なんだよこの揺れは!てかデストロイヤーが揺れてないか?」

「もう終わったんじゃないの!」

「やっぱり、俺ら駆け出しが倒せる相手じゃなかったんだ!」

「何言ってんだ!ここまで来て、殺られてたまるか!最後まで抗うぞ!」

「キミこそ何言ってるの!まだ逃げれば間に合うかもしれないんだから逃げましょう!」

 

ここに来て、冒険者達の纏まりが無くなり、言い争いが始まった。

 

「これは何が起こってるんだ?動力源を取ったのに如何して」

「恐らく排熱出来なくなっていた熱が膨張を起こして、振動を起こしているんです。もしこのまま熱が爆裂魔法で出来た亀裂から漏れれば街が・・・」

 

ウィズがそこまで説明すると。

 

「いやだ!いやだ!それ以上聞きたくない!カズマさん、カズマさん早く何とかしてー!」

 

アクアが喚き始めた。

カズマが嫌そうな顔をしながら、冒険者カードを触っていた。

 

「カズマさん、何してるの?」

 

ゆんゆんも気になったのか質問していた。

 

「これか?さっきのドレインタッチ覚えてたんだよ。思ったけど、アクアの魔力をめぐみんに供給すれば、アレ壊せるんじゃないか」

「真打ち登場!それでいきましょう。アクアお願いします」

 

アクアの方を見るとダクネスと何か話していた。

 

「ダクネスも意固地にならないで早く逃げましょう。・・・そう言えばこのまま街がボンってなればこの街のギルドへの借金はチャラになって・・・」

 

自称女神は悪魔的発想を持っていた。

 

「おい、元何たら、ちょっとこっち来い」

「な!誰が元何たらよ!現役よ私は!それで用って何なのよ。ってカズマあんた何してんのよ。めぐみんの背中に手突っ込んで、今はそんな変なプレイしてる場合じああああああ!」

「これは非常事態だからやってんだよ!これが恥ずかしいなら首元でもいいからさっさと出せ!じゃないとみんな仲良く死ぬぞ!」

 

死ぬと言う単語が出た事で、従順に従うアクア。

勿論手は首元だった。

供給が始まってから数十秒経つがまだ足りない。

ああ、そんな事より、カズマの手が冷たくて気持ちいい。

運動して、少し身体が火照ってたから丁度いい。

別にダクネスみたいに感じていた訳ではない!

 

「めぐみん、まだなの?結構持っていかれてると思うんだけど」

「もう少し、もう少しです。後ちょっとなので待ってください」

 

アクアの神聖?な魔力は、いつもと違って威力が上がるから少しでも多く取り込みたい。

 

「カズマ、もう大丈夫です。では、いきます!『エクスプロージョン』ッ!」

 

いつもより、破壊力が増した爆裂魔法が炸裂した。

これと同等のモノを実力で撃つのを次の目標にしよう。

今回はカズマが裁判にかけられる心配はないし、借金を背負う様な事も起きていない。

つまり、今回のこの戦いは完全勝利だ!

 

 

 

機動要塞デストロイヤー迎撃戦から数日が経ち。

今日は前回検察官がやってきた日である。

報酬を貰った冒険者達によって、ギルド内は異様な熱気に包まれていた。

そんな中ダクネスがカズマにお辞儀をしている所に出くわした。

 

「カズマ。今更私が言う事ではないだろうが、改めて礼を言う。この街を守ってくれて本当にありがとう」

 

貴族として何も出来なかったから、思う所があるのだろう。

 

「どうしたんだ急に?煽てても何も出ないぞ」

 

そうは言いつつ、カズマは褒められて照れているのか、俯いていた。

 

「そうではない。私は本気だ。私がこの街を守りたいと言う我儘を何故言ったのか、その内お前を含めみんなには私の事を話したいと思う」

「そういやお前、今回やたらと格好良かったな」

 

反撃とばかりにダクネスを褒め始めた。

 

「そ、そうか・・・」

 

ダクネスも褒められて、顔を赤らめてもじもじしてた。

 

「一番何もしてなかったけどな」

「!?」

 

カズマにハッキリと言われ、ダクネスが涙目になっていた。

そこに追い打ちをかけるように、何も知らずにやって来たアクアが言った。

 

「そう言えばダクネスって立ってただけよねー。私は頑張ったわよ!結界は解除したし、カズマの回復もしたし、めぐみんに魔力も分けたわよ!」

 

悪気のないアクアの言葉にダクネスは拳を握り。

 

「私も役に立てて良かったです!前回の幹部討伐の時に参加出来なかったですけど、今回はテレポートで爆発寸前のコロナタイトから皆さんを助けられました」

 

またも悪気のないゆんゆんの功績発表に身を震わせ。

 

「カズマさんこそ、大活躍だったじゃないですか!見事な指揮を執り、自らも戦って、失敗はしましたけど、大型ゴーレムを機能停止にして、コロナタイトも格子から出してましたし。ドレインタッチでゆんゆんさんとめぐみんさんの魔法に貢献していましたから」

 

偶然居合わせた、全く悪気のないウィズの言葉にダクネスは耐えられなくなったのか、両手で顔を覆っていた。

 

「いやいや、ウィズも凄かったって、めぐみんと同等の爆裂魔法で跡形もなく脚を消し去ってたし、中でもゴーレムを何台も倒してたし、それにウィズが居なかったらコロナタイトの転送からの問題は解決出来なかったから、MVPはウィズじゃないか?」

 

そしてこのカズマの悪意ある発言にとうとう身震いまでしていた。

関係はないけど、カズマが他の人の爆裂魔法を褒めている所を見ると嫉妬心が物凄く湧いてくる。

ゆんゆんの魔法を褒めてる時よりも大きなジェラシーが私の頭を埋めつくしていた。

 

「で?何が何でも街を守るって息巻いてた、お前の活躍は?」

 

ゲスマの顔になったカズマが、瀕死のダクネスに問い詰める。

 

「殺してくれええ!いや、あの話はお前しか聞いていない、ならばお前の記憶を・・・」

「何物騒な事言ってんだよ!ちょっ、こっち来んな。アクア!助けてくれ!」

 

カズマはアクアの裏に周りダクネスから逃げた。

こう言う時はやっぱり、私ではなくアクアを頼る。

ピンチになると頼り合うあの関係が羨ましい。

 

「え?えっと、あのほらダクネスは皆の心の支えになってたから、立ってただけでも十分よ。だから気にする事はないわ」

 

これがトドメの一撃となりダクネスは崩れ落ち、蹲った。

そんな騒ぎを起こしていた為、ギルド中の視線を集めていたが、変化がなくなったと同時に、もう一つの注目先にみんなの視線が動いた。

その先には王都から来たのであろう騎士が二人とあの検察官がいた。

ギルド職員との会話が終わり、辺りを見回し、私達を見つけると近付いて来た。

その足取りは真っ直ぐカズマの所まで行き、そこで止まった。

 

「冒険者サトウカズマ。あなたには現在、外患誘致の容疑が掛けられている。任意だが、ご同行願おう」

 

何故こうなった!




ちゃっかりめぐみんが自分でフラグを立ててましたw
この章は次で終わりです。

カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて

  • カズマ視点(天界)
  • カズマ視点(討伐後)
  • ヒロインズの誰か視点(天界)
  • ヒロインズの誰か視点(討伐後)

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