この素晴らしい世界に●●を!めぐみんのターン   作:めむみん

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今回はお怒りになる方が多数います。


日頃の行い

-HIGORONOOKONAI-

 

「冒険者サトウカズマ。あなたには現在、外患誘致の容疑が掛けられている。任意だが、ご同行願おう」

 

任意?

二人称も前の時より、優しくなってる。

いや、それでも・・・

 

「ちょっと待って!何で急にそんな話になってんだ?俺、何もしてないぞ!てかあんたは誰だよ?」

 

その通り、今回は領主の屋敷をボンってした訳でも無いのに。

 

「私は王国検察官のセナだ。今の状況は、出生不明でリッチーの使うスキルを使用した者が居るとの情報が領主アルダープ殿から入り、捜査を行った結果。捜査線上に上がったのがサトウカズマ。あなただ。しかし、確固たる証拠がない為、この様にして伺った訳ですが、同行拒否されますか?」

 

あの領主め!

領主しかいない時間を狙って屋敷に爆裂魔法を放ってやろうか。

いや、逆に裁判にかけられるから止めておこう。

 

「疑われるだけだから従うけど、無実が証明されたら釈放ですよね?というか報酬でますよね?」

「それはまあ、一応。えっと、任意なので同行者は二人までお付けする事が出来ますがどうされますか?」

 

やはりセナの様子がおかしい。

カズマが功績者と言う事もあってか、犯罪者に対する口調から少しずつ丁寧になっていっている気がする。

カズマはと言うと少し悩んだ上、アクア以外の顔を見てから言った。

 

「二人が良ければだけど、めぐみんとダクネス頼む」

「任せてください!カズマの為なら何処までも着いていきますよ」

「遂に役に立てる時が来たか。カズマ、任せておけ」

 

私達の返事にカズマは涙ぐんでいた。

 

「ありがとう二人とも。ゆんゆんはアクアの事を任せた。アクアもゆんゆんに迷惑かけるなよ」

「はい、任されました」

 

ゆんゆんが敬礼して答えていた。

そうあのゆんゆんがアドリブ効かせていたのだ。

ゆんゆんのコミュ障がましになってきたとも思えるけれど、カズマとの仲が良くなって、カズマを取られる危険度が上がってきたとも言える。

 

「はあ?私が迷惑かけるわけないじゃない。ダクネスとめぐみんに迷惑かけてるカズマにだけは言われたくないわね」

 

二人は睨み合っていたが、面倒くさくなったのか、カズマはやめて歩み始めた。

 

「・・・それでは行きましょうか。こちらへどうぞ」

 

騎士に連れられて私達三人は近くの警察署に向かった。

 

 

 

警察署に着くと直ぐに高級ソファーのある部屋に通された。

確認してみると一応功績者としては認められているからという事で、無罪であった時の保険としての対応らしい。

そして、ダクネスが身分証明してからは、更に待遇が良くなった。

 

「俺って容疑者だよな?招待客じゃないよな?」

「・・・そのはずですよ」

 

私も正直に言ってこの状況は招待客のそれだと思っている。

 

「でもさっきから出てくるこのお菓子とか、紅茶とか待遇良過ぎないか?」

「まあ、カズマは今までの実績があるからな。それで疑いに確証が持てるまでは、こうしていると言っていたから仕方ないだろう」

「いやそれにしてもな。いかにも高級そうなのばっかりな気が・・・」

 

ダクネスの説明を聞いてもなお、カズマが不思議がっていた所に検察官のセナが戻ってきた。

 

「えー、捜査にご協力頂きありがとうございます。今から簡単な聴取を取りますのでよろしくお願いします」

 

本当にこれは容疑者への聴取なのだろうか?

セナの口調がギルドの時と全く違う。

証人の気分だ。

 

「質問はサトウさんがお答えください。まず、お名前と出身地、年齢、冒険者になるまでの身分等を教えてください」

「・・・サトウカズマ、十六歳です。出身はニホンで、冒険者になるまでは学生でした」

 

チーン

 

「言い忘れましたが、これは嘘を感知する魔道具です。本当の事を言ってください。詐称された出身地と身分をもう一度お願いします」

 

そう言われたカズマは辛そうな表情をしていた。

多分、学生ではあったのだろう。

 

「ニホン出身です。冒険者になる前は・・・家で自堕落な生活を送ってました・・・・・・」

 

魔道具は鳴らなかった。

カズマのニート気質は昔からだったのか。

 

「ニホン、ですか。聞いた事のない地名ですが、詐称ではなかったのですね。知識不足ですみません。所で自堕落な生活をされていたサトウさんは、いつ冒険者になろうと考えたのですか?」

「街の安ぜ・・・勧誘を受けて、冒険者生活が楽しそうだと思ったからで、他に意味なんて無いです」

 

魔道具の存在を思い出したのか、カッコつける事はやめ、そのまま伝えた。

 

「では、本題に入っていきます。サトウさん、あなたはリッチーの固有スキルであるドレインタッチを覚えていますね?それは何故ですか?」

 

これはマズイ。

下手をするとウィズの事がバレてしまう。

 

「・・・・・・リッチーと戦っていた時にそのスキルを見て、スキルカードの習得可能欄に入っていたので、便利そうだと思ってスキル登録しました」

「リッチーとの戦闘中にスキルを見て覚えたと言う事ですね。それでは、最後の質問です。あなたは魔王軍との関係がありますか?」

 

今のカズマならこれは何とか乗り越えられるはずだ。

 

「ありますけど」

 

その場の全員がカズマを見た。

そして次に魔道具を見たが、反応はない。

セナの表情が検察官のそれになってきた。

 

「カズマ!何言ってるんですか?バカなんですか!」

「ちょっ、落ち着けって。だって事実だろ。今まで魔王軍幹部とも戦ってきた訳だから、なんの関係も無い事ないはずだぞ?」

「もう少し考えて発言してください!普通、今のを聞いたら間違いなく間者だと思われますよ!」

 

私の言葉にカズマ以外の全員が頷いていた。

 

「悪かったって、そういう意味なら関係は無いです。俺がそんなスパイみたいな事すると思いますか?」

 

勿論、盗賊活動もしていないカズマだから、魔道具は反応を示さなかった。

 

「いえ、単なる確認なので気にしないでください。無実は確認されたので、報酬は、後日追って魔王軍幹部バニル討伐の賞金と併せて正式に授与されますので、報酬の方はそれまでお待ちください。本日はご協力ありがとうございました!」

 

こうしてカズマは無事釈放された。

 

 

 

あまりにも拍子抜けで、焦ったのはカズマのあります発言だけだ。

というか私達は必要だったのだろうか?

ダクネスは待遇改善に役に立っていたけど、私なんかカズマに怒っただけだ。

しかも黙っていても、問題なさそうな事だったし。

 

「ふー、何とか助かった。二人ともありがとう。二人のおかげで安心できたよ」

「いや、しかし私はめぐみんと違って何も喋って居なかったぞ?」

「傍に居てくれるだけでも安心出来たんだって。本当にありがとう」

 

カズマがこう言っているのなら必要だったと言う事で、良いのかもしれない。

どうしようニヤケが止められなくなってきた。

 

「後はギルドのみんなに、無事を伝えるだけだな」

「そうだな。カズマが先に入ってくれ、その方が皆も安心出来るだろう」

「ダクネス、何言ってるんですか?ここは私達が先に入って、どっちなんだと思わせた上でカズマが登場する方が良いにきまってるじゃないですか!カッコイイですし」

 

こういう場面でのお約束みたいなものだ。

 

「めぐみんこそ何を言っているのだ。カッコイイからとかそういう理由で決めるものではないだろう。カズマも何か言ってくれ」

「・・・ごめんダクネス。俺はめぐみんの言う演出をやってみたい。カッコよさそうだし」

 

ダクネスの目論見は外れ、カズマは乗り気だった。

 

「そ、そうか。カズマがそう言うのなら仕方ない。それで行こう」

 

言ってダクネスが扉を開け、私と二人で先に中に入っていったするとそこには・・・

 

「あっ、二人とも久しぶり!何かあったの?みんな何処にも居ないんだよね。あれ?後ろにいるのってカズマくん?」

 

クリスしか居なかった。

お客が居ないとかではなく、職員もウェイターも料理人も誰も居ない。

本当の意味でギルドは静まり返っていた。

 

「久しぶりだな。私達も今来た所だから何故こうなっているかは分からないのだ」

「警察署から、無事帰って来たから、みんなを驚かせようと思ってたのにな」

「警察?カズマくん何したの?またパンツ盗ったの?」

「盗ってねえよ!そもそもあれは事故みたいなものだし、俺の意思ではない!」

 

カズマが必死に弁明する。

今のギルド内には現場に居た人しか居ないからその必要はないけど。

 

「ごめんごめん。冗談だって。でも本当に何したの?それとも証人として行ってたの?」

「いや、デストロイヤーと戦った時にむぐっ!」

「めぐみんどうしたのさ?急にカズマくんの口塞いだりして」

 

危ない、クリスにウィズの事が知られる所だった。

そうなったらあの店は確実に終わる。

 

「何でもないですよ。ただ、カズマの口を塞ぎたくなっただけですから」

「塞ぎたくなるって・・・まあいいや。そう言えばさっきカズマくんが話そうとしてたデストロイヤー。めぐみんが倒したんだよね?おめでとう!そして、この街を守ってくれてありがとう」

 

クリスが女神の様に見えた。

いや、女神なんだったけ。

 

「ふっふっふっ、我にかかればあの様な、からくり物など恐るに足りません!冒険者として当然の事をしたまでですよ!」

 

決まった!

我ながらカッコイイポーズをとれたと思う。

 

「病みみん・・・」

 

カズマが変な呼び名を言い出した。

 

「おい!今言った事を訂正して貰おうじゃないか!あと、二人とも納得したみたいに頷かないでください!」

「ちょっやめろ!ちょっと巫山戯ただけだって、お前、俺より力強いんだから気を付けろよな!さっきも窒息するかと思ったぞ!」

「それは悪かったので謝りますけど、私がカッコよく決めてるのに変な事言うからですよ」

 

私の邪魔をしたのはいくらカズマでも許せない。

 

「それはめぐみんが中二病みたいな事言い出すからだろ。それに、さっき俺の話を邪魔したのでおあいこって事でな」

「うっ、分かりましたよ。特別に見逃してあげます。次はないですからね」

「はいはい、次からはカッコイイですねって言えばいいんだろ?大丈夫だ。任せとけ」

 

この男!

またしても子供扱いを。

次はカズマに心の底からカッコイイと思わせるポーズをとってやる!

と言うかなんか変な事を言われた気がする。

 

「あの、今変な事言ってませんでしたか?」

「何も言ってないぞ。めぐみんが中二病って事とお互い様だとしか言ってないしな」

 

確かに何も変な事は・・・

 

「誰が中二病ですか!中二病というのはゆんゆんみたいな人の事を言うんですよ!」

「はあ?何言ってんだよ。ゆんゆんはコミュ障なだけで、普通だって、ゆんゆんの話を聞く限り、お前ら紅魔族が変なんだよ」

 

カズマは私を可哀想な子を見る目で見ていた。

 

「なっ!いくらカズマと言えど我が種族を馬鹿にするのは許しませんよ!」

 

我が種族を愚弄するのだけは、誰であれ解せぬ。

 

「やめっ、やめろー!中二病って言ったのは謝るから、やめろください」

「仕方ないですね。次言ったら分かってますよね」

 

腕を首から離しカズマを解放した。

 

「た、助かった。えっと、話は戻るけど、みんな何処行ったんだ?誰も居ないギルドって落ち着かないよな」

 

カズマの呟きに全員頷き、考え始めたその瞬間。

 

バンッ!

 

「はぁ、はぁ、カズマっ、さん、ここにゲホッ、居たん、ですねはぁはぁ。お願いっ、します。もう、もう一度、うっ、警察、まで、来て、貰え、ませんゴホッゴホッ」

 

そう言って咳き込みながら課長は倒れ込んだ。

見てみると服が汚れていて、クエスト後の私達みたいだ。

何か暴動でも起こっているのかもしれない。

 

「何があったんですか?駄目だ気絶してる。誰かコップ持ってきてくれ。後ハンカチをカバンからとってくれ」

「ハンカチならこれを使って。汚れても構わないから。コップはダクネスが取りに行ってくれてるからもう少し待ってね」

 

カズマはクリスから受け取ったハンカチを濡らして、課長の汚れていた部分や、怪我した所を洗っていた。

 

「助かった。後で新しいの買って返すよ」

「いいよ。人助けなんだから。私もやりたくてやってるわけだしさ」

「でもなあ・・・」

「カズマはもう少し遠慮しない事も覚えた方がいいですよ」

 

此方のカズマはやたらと遠慮をする。

もしかして前のカズマも元はこうだったのだろうか?

そうなると誰かがカズマの(たが)を外した訳で・・・

それって私達なんじゃないか?

 

「・・・そうだな。クリス、これは有難く使わせて貰うな」

「待たせた。コップだ。何も入れてないがこれで良かったか?」

「嗚呼これで十分だ。『クリエイト・ウォーター』これで水分補給をっと」

 

カズマが水を飲ませようと課長の体を動かしたその時、課長の目が覚めた。

 

「あ、ありがとうございます。情けない所をお見せしてすみません。もう大丈夫ですので、ご迷惑をお掛けしましッ!」

 

立とうとして、足に痛みが走ったのか、足を押さえながらしゃがみこんだ。

 

「大丈夫ですか!?あまり動かない方がいいですよ」

「ええ、大丈夫です。予想していなかった痛みだったので、驚いただけです。それよりも早く私の部下をどうかお助け下さい!」

 

凄い。

大丈夫と言った通り。

全く顔にも出さずに立っている。

それにしても気になるのは。

 

「部下を助けるってどういう事ですか?ヤクザか何かにやられたんですか?」

 

カズマの言った通り、何が起こっているのだろう。

 

「実はサトウさんを釈放しろとギルドの方達が警察署に押しかけてきまして、もう既に釈放済みだと伝えても信じて貰えず、一部の冒険者が暴徒化し、私が近隣住民の避難誘導を終えて戻って来た時には、暴徒化が全体に広がっていて、私も説得を試みたのですが、焼け石に水でこのザマです。部下は今もギルドの方々を抑えているはずです。この暴動を止められるのはカズマさんしかいないので、どうかお願いします!」

 

なんていい話なんだろう。

暴徒化がなければ。

 

「つまり俺の所為でみんなが暴れちゃってるって事だよな。勿論、助けに行きますよ」

 

カズマは感動の涙を流しながらそう言った。

前回はあっさり切り捨てられたのに随分と周りの反応が違う。

 

「ありがとうございます。では行きましょう」

「課長さんはここで休んでてください。ダクネス、後の事頼んだ」

「任された。カズマも頼むぞ」

「ちょっと待ってください私は大丈夫ですから一緒に痛ッ!」

 

回復魔法も掛けていないのだから仕方ないだろう。

 

「任せてください。戻ったらウチのプリーストが直してくれますよ。結構腕が立つんで部下の方も大丈夫ですよ」

「分かりました。では部下の事よろしく頼みます」

 

課長はカズマに敬礼をし、その後気が抜けたのか眠ってしまった。

 

「相当疲れてたんだな。それじゃ行ってくる」

 

私はダクネスとクリスの二人で十分と判断し、カズマに着いて行く事にした。

・・・今カズマと一緒に居たいだけだろうと誰か言いましたね。

こんな時に私は私情では動かないから、見くびられては困る。

 

 

 

警察署近くに来ると暴徒化した冒険者達で溢れていた。

筆舌に尽くし難い地獄絵図で、強いはずの警官や騎士が守備陣形をとって何とか持ちこたえてる状態だった。

 

「おーい!俺はここだー!もう暴れるのは止めろ!」

 

これを聞いた警官達は安心して、気を緩めてしまった。

暴徒化した冒険者達にはその声が届いていないとも知らずに。

 

「諦めやがったぞ!このまま進めー!」

「おらー!」

「くそっ、俺の事はいい!早く逃げろ!署内に立て篭るんだ!止まるんじゃねぇぞ!」

「団長おおお!」

 

騎士団長が犠牲になってしまった。

あと、カズマが吹いて笑っていた。

何故だろう?

流石に見ていられないから、絶対にみんなの視線がこちらに向くであろう作戦を決行した。

 

「黒より黒く闇より昏き漆黒に、我が深紅の混淆を望みたもう」

「ちょっ、めぐみん!?街中で爆裂魔法は不味いって」

 

カズマは私を咎めるが、みんなの動きは止められたのだからこれでいいだろう。

 

「おい、あそこに居るのって、カズマと頭のおかしい娘じゃないか?」

「本当だカズマと爆裂狂だ!」

「本当に?めぐみんとカズマがそこに居るの?」

 

あっアクアの声がした。

アクアの前の二人の所為で、何か無性に腹が立ってきた。

 

「黒より黒く闇より昏きしっ・・・」

「めぐみん気持ちは分かるけど、街中で撃つのはやめてくれ」

 

さっきも言っていたが街中でという事は外ならやっていいのだろうか?

まあ、やっていいと言われてもしないけど。

 

「分かりました。その代わりに今度付き合ってくださいね」

「爆裂散歩ならいつもやってるだろ?代わりじゃなくないか?それでいいなら構わないけど」

 

カズマが私の事をどう思っているかが分かった。

 

「爆裂散歩とは言ってませんよ。簡単に言うとデートですよ。デート。その後に爆裂散歩にも付き合って貰いますけどね」

 

これを二週間毎日すれば許してあげよう。

 

「デートか分かっ、た?今デートって言わなかったか?」

「言いましたよ。それを二週間して貰いますから、寝坊だけはしないでくださいよ」

「あっ、うん。気を付けるけどさ。それ後で良かったくないか?その、恥ずかしいんだけど」

 

カズマが挙動不審になり始めたから、周りを見ると暖かい目でギルドのみんなが私達を見ていた。

誰にも見られていない前提で言ってたから恥ずかしい。

からかい半分だったのに自分の首を絞めることになるとは。

これでは策士策に溺れるだ。

 

「何が恥ずかしいのですか?カズマも意味は分かってますよね?」

「そうだけどな。・・・めぐみんも顔赤くなってないか?やっぱり恥ずかしいんだろ」

「ななな何を言って、は、恥ずかしいなんて思ってないですよ!」

 

焦り過ぎて、バレバレな返しになってしまった。

カズマの目もみんなの視線と同じ物になって来た。

 

「これ以上はお互いに損なだけだし、止めようぜ」

「そ、そうですね。みんなも落ち着いてますし、目的は果たせましたしね」

 

一度深呼吸をして落ち着きを取り戻しみんなの方を向き、何があったのかを聴いた。

 

 

 

みんなの話を聴くと、こうだった。

始めにダスト達がカズマを助けようと言い出したらしい。

それに釣られてカズマの後輩パーティーがその輪に入り、カズマの日頃の行いもあり、ギルド全体に広まっていった。

気付けば食堂の人達までそれに看過されて、止めに掛かるのがギルド職員しか居なかった。

当然ギルド職員だけでは抑えきれずに警察署に移動開始。

移動途中に一部、職員までもがその中に入ってしまい止め役が職員数名とゆんゆんしかいなくなったらしい。 更に進行中に遭遇したカズマの知り合いが参加し、規模が膨れ上がった。

そして、出来上がった大規模集団で警察署に申し立てをしたが、門前払いをくらい痺れを切らしたダストが警官を煽りだし、それにキレた警官がダストに突っかかって行ったのを皮切りに、暴動が起こったと言う話だ。

カズマがそれを聞いて真っ先にダストに怒っていたけど、ダストが何かを渡してから直ぐに仲良くなっていた。

そんなマジックアイテムが有るのなら今度ダストに教えて貰わなければならない。

 

「って事だから俺は大丈夫だ。みんなの気持ちは本当に泣けてくるぐらいに嬉しいけど、警察の人に謝ってこの件は収めて欲しい。勿論、俺も謝る。アクアは怪我した人全員にヒール頼む。ギルドで課長さんが倒れてるからそっちもよろしく」

「分かったわ。任せなさい!この私に掛かればちょちょいのちょいよ」

 

アクアはそう言って走って行った。

 

「カズマ何言ってんだよ。俺らが早とちりしたんだからお前が謝る事ねえよ」

「そうだよね。ギルドの人に止められたのにそのまま暴れちゃってたもん」

 

そう言ってみんなは謝罪しに行った。

そして、残ったのはルナを始めとした止め役になっていた職員とゆんゆんだけだった。

 

「我々も皆さんを抑える事が出来ずにすみませんでした」

「いえ、俺の所為でこんな騒ぎ起こしてしまって、俺の方こそ申し訳ありません」

 

これを聞いてもルナ達も引こうとはしなかったけど、カズマの話術で言いくるめて、みんな帰って行った。

 

「カズマ、ごめんね。私も頑張ったんだけど止まってくれたのリーンさんくらいで」

「そうは言うけど冷静に動いてくれたの冒険者でゆんゆんだけだろ?リーンを止めてくれただけでも十分だって」

 

言って、カズマはゆんゆんの頭を撫でた。

それにゆんゆんは恥ずかしそうに顔を赤く染めていた。

これが前にアクアの言ってたナデポか。

ゆんゆんが羨ましい。

・・・って言ってる場合じゃない!

カズマも自分のやった事に気付いて赤面してるから、このままでは高確率でゆんゆんが恋敵になってしまう。

 

「カズマ、ゆんゆんといちゃついてないで、早くデート行きますよ」

「「別にいちゃついてなんかない!」」

 

見事にハモリ恥ずかしさが倍増したのか、カズマは下を向いたまま私の手を引っ張って、商店街の方に歩いて行った。




私は行けませんがこのすばコンサートに参加される皆さん楽しんで来てください!

カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて

  • カズマ視点(天界)
  • カズマ視点(討伐後)
  • ヒロインズの誰か視点(天界)
  • ヒロインズの誰か視点(討伐後)

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