まあ、これが通常なんですけど。
*地の文で矛盾点があったので修正しました(3/11)
-IREKAWATTERU?-
クリスの誕生日会は無事に終わり、珍しくクリスが酔い潰れたから今日はクリスが屋敷に泊まっている。
お昼になってもまだ起きてこない。
今日の日課を終えて戻ってきた時に、まだクリスが寝ていて驚いた。
今、私はゆんゆんとボードゲームをしている。
勿論、私が勝っている。
「めぐみん、今日は勝たせて貰ったわ!ソードマスターでクルセイダーを取って、これで王手よ!」
「エクスプロージョン!ふっ、私の勝ちですね」
毎度このパターンで負けているのにどうしてゆんゆんは学ばないのだろうか。
「なんでよおおおお!」
アクアみたいに叫ばれても困る。
「もう一回!もう一回だけお願い!」
「仕方ないですね。あと一回だけですからね」
「分かってる。今度こそ負けないから!」
どうせ私が勝ちますけどね。
「面白そうだな。チェスか?俺も交ぜてくれ」
クリスの様子を見に行っていたカズマが戻って来た。
「私は構いませんよ。取り敢えず座ってください」
さり気なく隣にスペースを作って、カズマが隣に座るように誘導し、成功した。
「私も大丈夫だよ」
「ありがとう。二人のお手並み拝見って所か」
カズマには私とゆんゆんの試合を見てルールを理解して貰っていた。
自分の知っている物と少し違うのか、さっきまでの余裕は何処かへ行っていた。
「ここで使えないクルセイダーに役に立ってもらいます!」
「あっ!それは待って!」
これで勝ち確です!
「待ったは無しですよ。さあ、勝てるものならかかってくるがいいです!」
「ふっ!言質は取ったわよめぐみん!アークウィザードをテレポート。これで大手よ」
なるほど。
ゆんゆんにしては中々のプレイだが、詰めが甘い。
「王様をテレポートで盤外へ。さてと次のターンそのアークウィザードには死んで貰いますよ」
ゆんゆんの希望から絶望に変わった表情が面白い。
バニルが居たら大喜びしそう。
「ちょっと待て、何だよそれ反則だろ」
さっきまで大人しく見ていたカズマが抗議してきた。
「これは説明書にちゃんと書いてあるルールですよ」
「説明書?そんなのがあるなら先に見せてくれよ」
「カズマが知ってる風だったので、必要ないかなと」
そう言って私は説明書を渡した。
カズマは決まりが悪そうに受け取っていた。
ゆんゆんはと言うと未だに絶望を漂わせている。
「まだですか?降参なら早くしてください」
「ま、まだよ。冒険者をジョブチェンジしてアークウィザードに」
む、これでは取れませんね。
まあ、こうすれば終わりですが。
「カズマでトドメです。ふっ、また私の勝ちですね」
「何で?さっきまで守れてたのに・・・あっ!」
ゆんゆんは自分のミスに気付いた様だ。
「カズマがジョブチェンジしたから壁がなくなっちゃたのか」
「おい、冒険者の事を俺の名前で呼ぶな」
「私は始めからこの駒をカズマだと思って、ジョブチェンジさせずに居たんですよ?それに王様を取れたのですからいいじゃないですか」
カズマには一番美味しい所を持っていかせたのだからむしろ喜んで欲しい。
「だからアークウィザードが付いて回ってたのね。ホントめぐみんってカズマの事好きだよね」
何言ってるんだろうこの子。
そんな事した覚えはないのだが。
・・・あれ?
本当にアークウィザードの駒がカズマの近くに守れる範囲にいる。
いえ、これは偶々この配置になっていただけ。
そうに違いない。
「そこの冒険者が切り札だから守ってると思ってたけどそう言う事だったんだ」
ゆんゆんがニヤけているのがムカつく。
と言うかカズマの居るこの状況でなんて事を。
カズマがさっきから、ちらちら見てくるから、凄く恥ずかしい。
「そりゃあカズマにはゲームの中でも死んで欲しくないですからね。別にカズマの事が好きだからとかそういうのじゃないです」
ゆんゆんは未だに腹ただしい笑顔をやめていないが、カズマが分かりやすく落ち込んでしまった。
カズマのフォローに回りたいがそんな事をすれば、ゆんゆんの思う壷だ。
「めぐみんってツンデレだったのね」
ゆんゆんにカズマが好きだとバレてるのは良い事だけども、カズマがここに居るのが良くない。
「よし、それ以上言う様なら、カズマに昨日の夜。あなたが何していたか教えますよ!」
「そんな脅し使っても意味無いわよカズマが大好きなめぐみん」
このぼっち!
最近話せる人間が増えたからって生意気な!
「そうですか。カズマ、実はゆんゆんは夜な夜なカズマから貰ったぬいぐ「ちょっと待って!」・・・」
「なんでその事知ってるの!」
涙目で聴いてくるが関係ない。
「おいめぐみん止めるなよ。ゆんゆんは夜な夜な何してんだ?」
カズマの期待に応えて続きを話した。
鼻を膨らませて、そわそわしてるカズマは控えめに言っても気持ち悪い。
けど、そんな所を含めて私はカズマが好きな訳だけど。
「ぬいぐるみに名前を付けてその名前が「分かった!謝るからそれ以上は止めて!」・・・」
カズマになった気分だ。
いつもカズマがアクアにやってるのってこんな感じなのだろうか?
ゆんゆんが縋り付く様に懇願してくる。
「はあ、仕方ないですね。ここまでで許してあげます」
「ちょっ、続きは?せめてゆんゆんがあの冬将軍のぬいぐるみに付けた名前だけでも教えてくれよ」
「カズマには言えませんね。ゆんゆんが可哀想ですから」
変な名前を付けていたので、それをカズマに笑われたらゆんゆんが気の毒だ。
確か、シロとかそんな名前だった気がする。
カズマのおかげで新しい人外の友達が出来て、喜んでいたから覚えてる。
「それよりカズマ次やりましょう」
「・・・嫌だ。説明書読んだけど何言ってるかさっぱり分からん。もう一回クリスの様子見てくるわ」
言って、カズマは逃げて行った。
敵前逃亡とは流石、カズマ。
残された私とゆんゆんの間に微妙な空気が流れている。
「・・・いつから知ってたの?」
「カズマからあのぬいぐるみを取って貰って、これ見よがしに夕食の時にまで持って来て、見せつけていたあの日ですね」
つまり初日から知っていた訳である。
「別に見せつけていた訳では・・・」
「もうこの際ですから隠しませんが、私の気持ちを知っていながらあんな事をして、それが見せつけていないと言うのはどう言う了見か聞こうじゃないか!」
「ごめん。めぐみんがそこまでカズマの事好きだとは思って無かったの。気遣い出来なくて本当にごめん」
見せつけていた訳では無いみたいだ。
それなら許そう。
「それについてはもういいですが、これからはカズマのいる時に私がカズマの事好きって言わないでくださいね。あと他のみんなにもです。この事は二人だけの秘密ですよ」
「うん、分かった。二人だけの秘密ね。えへへ」
やっぱり、ゆんゆんはちょろい。
カズマがクリスを連れて戻って来たのは夕飯時で、アクアやダクネスも帰って来ていた。
カズマの事だから寝続けているクリスを見て、自分も寝たくなったのだろう。
「おはよう。もう夕方だけどね」
「おはようございます。二日酔いとかは大丈夫ですか?」
「まあ、何とか大丈夫かな。昨日はみんなありがとう。私はもう帰るね」
そんな事を言うクリスにダクネスが。
「クリス、もう夕飯だから食べて行くといい」
「いや、迷惑だから、帰るよ」
水臭い事を言ってるクリス。
「もうクリスの分も料理を作っているから、帰られる方が困るのだが」
ダクネスの方が一枚上手だった。
クリスは諦めて食卓を囲み、今日も泊まる事になった。
翌日、目が覚めると不思議な事が起こっていた。
私が目の前に居るのだ。
そう、私、つまりめぐみんが目の前に居るのだ。
まだ寝ているようだが、これはどうすればいいんだろう?
取り敢えず起こしてみよう。
「あの起きてください。えっと私?」
「うーん。カズマ、後ちょっとだけ寝させて・・・」
これはやっぱり私だろう。
じゃあ、私は誰?
鏡を見てみると、私もめぐみんだった。
ま、まさか、これは我が分身?
「おーい、めぐみん。アクア知らないか?あいつ朝食の当番すっぽかしてどっか行ってるけど靴は置いてあるんだ」
どうしよう。
このままカズマが入ってきたら面倒な事になる気がする。
「まだ寝てるのか?次はゆんゆ・・・」
その後は遠ざかって行ったので聞こえなかったが、多分ゆんゆんの所に行ったのだろう。
安心してもう一度、もう一人の私に視線を下ろす。
すると一つ気付いた事がある。
それは、
私よりも大きいのだ。
何がとは言わないが色々と、横は同じぐらいだけど。
もしかするとこの世界での私の未来の姿かもしれない。
「んー!よく寝たわ。あ、めぐみんおはよう」
「えっと、おはようございます」
誰?
私はこんな話し方じゃない。
あと、何故動じていないんだろう?
「めぐみん。どうしたの?幽霊でも見てるみたいな顔して。もしかして後ろに居るの?」
いや、本当に誰なのだろう。
まだ、幽霊の方が叫べるだけマシかもしれない。
目の前の私はキョロキョロ辺りを見回して、不思議そうに言った。
「おかしいわね。どこにも居ないわ。見つけたら浄化してめぐみんを安心させようと思ったのに」
浄化?
いやいや、アクアじゃあるまいし。
「あ!そう言えば今日の朝食の当番私だった。めぐみんごめん。そういう事だからもう出るけど、怖かったら隣のカズマに助けて貰いなさい」
言って私はキッチンに向かって行った。
まさかあれはアクア?
でも、どうして私の格好になってるんだろう?
兎に角、私は部屋を出てリビングへ向かった。
「おい、アクア。何処行ってたんだ?探しただろ。朝飯はもう作ったからその代わり明日の朝ちゃんとしろよ」
「へ?カズマ何言ってるんですか?」
何故私がアクア?
やっぱりおかしい。
これは夢ではないだろうか?
カズマは怪訝そうにしている。
「・・・めぐみんか。悪い。今日の爆裂散歩はビーコースで行くか?」
ビーコースって何だろう?
よく分からないけど、爆裂散歩には行きたい。
「それで行きます」
そう言った瞬間。
「『バインド』!引っ掛かったなアクア!めぐみんのフリしたって無駄だ観念しろ!」
訳の分からない事を言いながら、私は締め上げられていた。
そしてカズマは私に馬乗りになり、こめかみをグリグリしてきた。
凄く痛い。
ここまで酷い事されるのは初めてかもしれない。
「ちょっとカズマ、待ってください!さっきからどうしたんですか?私をアクアだって言ったり。なんちゃらコースで爆裂散歩に行くって言ったり色々おかしいですよ」
私は泣きながらカズマに抗議してみたが、逆に力が強くなってきた。
「はっ、俺は騙されねえからな。そんな顔しても意味はないぞ、ビーコースなんてめぐみんと決めてないのにそれを了承したのがお前の、お前の、・・・・・・今なんちゃらコースって言った?」
「言いましたよ。うっ、意味が分からないですよ。起きたら目の前に私が居ますし、カズマに会ったらアクアって呼ばれて、ひくっ、乱暴されて、私が何かわるいごどでもしだんでずが!」
もう嫌だこんなの。
夢なら早く覚めて欲しい。
「えっと、めぐみんなのか?本当に?」
カズマの声から焦りが見える。
それに私は頷いて答えた。
するとだんだんカズマの顔が青くなって行くのが見えた。
「めぐみんごめん!今すぐ解くから待ってくれ。許されるとは思ってないけど、なんでもするから許してくれ!」
なんでもするとは大きく出たものだ。
確かにこれはそれぐらいして貰って当然の仕打ちだとは思うけど。
泣き過ぎて、ちゃんと話せないだろうからまた頷いた。
「ありがとう。なんなら今日クリスもいるし俺に同じ事した後でもいいぞ」
カズマは私の事をなんだと思っているのだろう?
勿論私は首を横に振った。
「遠慮なんてしなくていいんだぞ?」
もしかして中身はダクネスだったりしないだろうか?
私はまた首を横に振った。
「そうか。ならいいんだが」
いや、これはやっぱりカズマだ。
ダクネスなら残念そうにしているに違いない。
「よし、解けた。めぐみん大丈夫か?痛い所とかないか?」
「グリグリされた所がちょっと」
これを聞いたカズマは急に土下座して謝った。
「悪かった!やっぱり許してくれなんて烏滸がましいよな」
カズマが何も言おうとしているのかが分かってきた。
そんな事はさせないし、言わせない!
「え?めぐみん?」
私が急に抱擁した事でカズマは困惑していた。
「カズマ、落ち着いてください。確かに酷い事はされましたが、何か理由があるのでしょう?それを話してください」
「あ、嗚呼。実は―――」
カズマ曰く、昨日、私とゆんゆんが寝に行った後も飲み続けていたらしい。
その時アクアが、宴会芸の一つで私に化けていたらしい。
そのまま私に成りきったアクアが私の部屋で眠り、今日の朝に至る。
そして、巡回していたカズマは私を見つけて昨日の変装で逃げようとしているアクアだと思って声を掛けた。
しかし、その私は全くボロを出さなかったので、最後にカマを掛けてみたらそれに上手く乗ったとカズマは思ったらしい。
でも実際は、単純に私が爆裂散歩ならなんでもいいと言う考えで、返答しただけだったと言う訳だ。
「そうですか。ではあの私はアクアで、未来の私とか私の分身とかではないのですね」
「まあ、そういう事だ。まだ痛い所とかあるか?」
負い目を凄く感じているのか、カズマはとても心配してくれている。
「大丈夫ですよ。でも、おかしいですね?アクアは当番だったと言って私よりも先に部屋から出て行きましたよ」
「多分、俺がゆんゆんの部屋で話してる時だったんだろうと思う」
そう言えばゆんゆんの所にと言っていた。
「取り敢えず。リビングに戻りましょう」
「そうだな」
カズマはまだ思い詰めて居るみたいだった。
ここまで反省している所を見て許さないなんて言う人は居ないと思う。
部屋に着くと私達以外はみんな朝食を食べていた。
アクアは元の姿に戻っていて、安心した。
私とカズマ、と言うよりカズマを見てアクアは色々と言い訳しつつ謝っていたが、あまりにも簡単にカズマが許したので、拍子抜けしていた。
みんなも驚きを隠せない様子だった。
カズマには相当さっきの事が、効いているのだろう。
Twitterにおいて二話投稿すると言ったな。
あれは嘘だ。
何故ならこんな時期にエイプリルフールネタが出てきてそっちをかいてしまったからだ。
冗談はここまでにして
誠に申し訳ございませんでした!
出来心だったんです。
どうかお許しを!
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