この素晴らしい世界に●●を!めぐみんのターン   作:めむみん

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めぐみんの記憶は戻るのか乞うご期待にゃん!


知らない自分

-SHIRANAIJIBUN-

 

結局何も出来ずに言われた通り、私は眠っていた。

頭痛はもう引いていて、動いても問題は無くなっていた。

とは言ってもこの屋敷を詳しく知らないから、動くべきか悩んでいる。

隣のカズマに声を掛ければ済むのだろうが、扉を叩こうとすると緊張して動けなくなってしまう。

名前を呼ぶのも試してみたけど、どういう原理なのか、全然声が出ない。

出たとしても、扉の向こうには到底及ばない様な小さな声だった。

今は諦めてちょむすけを撫でて、誰かが来るのを待っている状態だ。

それにしても、もう一人の私はどんな人だったのだろう。

ゆんゆんが変だと思わない程度には私と変わらないようだけど、カズマをからかったりとか、そんな事をする余裕は私には無い。

カズマと一緒にいるだけで、胸が張り裂けそうなくらい鼓動が早くなって、普通に会話出来なくなるのだから。

それだけ私がカズマに惚れていたと言う表れなのだろう。

所で、私は如何してカズマを好きになったのだろうか?

第一印象はぱっとしない、良くも悪くも普通という感じだった。

でもカズマが輝いて見えた。

多分惚れた相手だからかもしれないけど、カズマと言う名前はカッコイイと思う。

あっ、そう言えばちょむすけの名前の候補にかずまってあった気がする。

と言う事はこれは普通の感覚だ。

何処までがもう一人の私の感情なのか、線引きが難しい。

 

「めぐみん。起きてるか?夕食が出来たのだが、食べるか?」

 

ダクネスが呼びに来たみたいだ。

 

「はい、今行きます」

「分かった。私は先に戻っているから、カズマと来ると良い」

「分かりました」

 

ダクネスは私の返事を聞くと戻って行った。

さて、カズマを呼んで夕食に・・・

カズマを呼ぶ?

無理だ!

急いで部屋を出たが、もうダクネスは居なくなっていた。

しまった!

カズマに声掛けるなんて、難し過ぎる。

でもそうしないと夕食に参加出来ないし。

 

「おっ、めぐみん起きたのか。如何したんだ部屋の前で」

「ええっと、ゆ夕食が出来たそうなので」

 

やっぱり恥ずかしい。

まともに話せない。

 

「そうか。熱は大丈夫か?まだ顔赤いけど」

「大丈夫です!」

 

カズマの顔が近い!

このままじゃ、身が持たない。

カズマと距離をとろうと歩き出したのだが。

 

「めぐみん、そっちじゃないぞ」

 

もう嫌だ。

早く記憶を引き継がせて!

 

 

 

夕食中、私は生き地獄だった。

私の席はカズマの正面で、カズマがずっと私の事を見ているのだ。

心配してくれているのは分かるけど、心臓が破裂、いや爆裂してしまうくらいにドキドキし続けている。

それに、私の反応を見てゆんゆんが終始ニヤけていた。

こんな屈辱を味わったのは初めてだ。

取り敢えず、夕食が終わって直ぐに、ゆんゆんに嫌がらせをしておいた。

多分、今頃気付いている頃だろう。

 

「きゃあああああ!」

「如何したのゆんゆん!?大丈夫!?」

 

アクアが様子見に行ったから、大丈夫だろう。

 

「そそそそこに、ああああの黒いのが」

「・・・ゆんゆん大丈夫よ。これはおもちゃだから」

 

私も部屋の引き出しを開けて、出てきた時は、声こそ上げなかったが、とても驚かされた。

使い方はこれで合ってるはずだ。

ゆんゆんの叫び声を聞いていたら何かスカッとした。

 

「なあ、今の仕掛けたのめぐみんじゃないのか?」

 

ダクネスに尋問されるが私には逃げ道がある。

 

「記憶にございません」

 

全てもう一人の私の所為にしてしまえば良いのだ。

 

「ぷっ!」

 

びっくりした。

カズマが飲んでたお酒を急に吹いた。

・・・何故だろう。

汚いとかよりもカズマが可愛いと思ってしまう。

私は重症かもしれない。

 

「カズマ!?酒も程々にした方が良いのではないか?」

「いや、そういう訳じゃなくて。でもそうだな。今日はこのくらいで辞めとくわ」

 

そんな中、鬼の形相でゆんゆんが戻って来た。

 

「これ、めぐみんだよね!」

 

言って、ゆんゆんは漆黒の魔虫のおもちゃを見せてきた。

 

「な、何ですかそれは!そんな物、見せないでください!気持ち悪いです!」

「気持ち悪いってあんた以外に誰が、・・・・・・」

 

ゆんゆんも気付いたみたいだ。

これで追求されないだろう。

 

「気持ちは分かるけど、今、めぐみんを責めるのはお門違いだ。責めるなら記憶が戻ってからだな」

 

ゆんゆんはやり所のない怒りをおもちゃに向け握り潰した。

・・・一応日記にこの事は書いておこう。

何も知らずにまた覚醒した私が可哀想だ。

 

 

 

翌日。

みんなでとある店を訪れた。

 

「おお、記憶を失くしたにも関わらず、もう一人の私が等と頭の可笑しさ全開の解釈をしている娘と、その娘を守れなかった事を悔やんでいる小僧達ではないか」

 

何だこの男は!

カッコイイ仮面付けてるからって私を馬鹿にするとはいい度胸だ。

 

「おい、誰の頭が可笑しいのか聞こうじゃないか!」

「貴様に決まっておるだろう。センスのある娘よ。フハハハハハ!汝らの悪感情大変美おっと、いきなり何をするこの駄女神!」

 

駄女神?

どういう事だろう?

あとセンスのあるって何?

カッコイイとは思ったけど、口にはしてないのに。

 

「誰が駄女神よ!水の女神よ私は!さあ、年貢の納め時よ!『セイクリッド・エクソシズム』!」

「華麗に脱皮!これだから野蛮なアクシズ教徒は嫌いなのだ。小僧、こやつを何とかしろ」

 

脱皮!

それにアクアが使ったのは破魔魔法!

つまりこの男は悪魔。

 

「おい、アクアやめろ。今日はバニルに話聞きに来たんだから暴れるな。もし、商品壊したら自分で払って貰うからな!」

 

カズマの脅しでアクアは黙った。

それにしても気になる事がある。

 

「女神?」

 

私の言葉を聞いてアクアの顔がぱあっと明るくなった。

 

「を自称する可哀想な子だから気にしないでくれ。同じ名前だから偶にこう言う変な事言い出すけど、放っておいてくれ」

 

カズマに言われて納得する。

アクシズ教徒は変な人達の集まりだ。

その中に、信仰心のあまり自分を女神アクアだと思ってしまう人が居ても可笑しくはない。

アクアは今にも泣き出しそうだった。

多分、プリーストとしての才があったから、女神アクアなんて呼ばれて育ったのだろう。

 

「可哀想に」

 

こう言った場合、本人は信じて疑わないからどうしようもない。

今だってダクネスに慰められながら本気で泣いているし。

それに名前が同じと言うのが、一番厄介な所かもしれない。

 

「所でウィズは如何したんだ?」

「ポンコツ店主なら、またガラクタを仕入れた故、裏で焦げておるわ」

 

焦げてるってどう言う事?

それにポンコツ店主って事はこの悪魔は店主ではなかったようだ。

てっきり店主かと思っていた。

でも、多分この悪魔の方が店主よりも強いと思う。

 

「そうか。バニルも大変だな」

「それは小僧も同じであろう。それより用件を早く言うが良い」

 

分かり合ってる感じを見てると胸が締め付けられる。

私は嫉妬し易いのかもしれない。

 

「話は分かってるよな。それで早い話、めぐみんはどうすればいいんだ?」

「ふむ、では小僧に与えた三回の助言の一つをここで使うという事でよいな?」

「嗚呼、それで頼む」

 

それにしても何故、カズマは悪魔を頼っているのだろう?

あとさっき戦いが起こっていたけど、あのアクシズ教のプリーストであるアクアがこの店の存在を知っていながら放置していたのは如何して?

 

「見えたぞ。小僧と爆裂娘が添い寝している所が」

 

私がカズマと添い寝!

あー、想像しただけで顔が熱くなる。

なんて最高な状況なんだ。

って私は何を!

周りを見るとゆんゆん達が、カズマに冷たい視線を送っていた。

 

「はあ!だ、誰がそんな事教えろって言ったんだよ!ちゃんと教えろ!ってお前らそんな目で俺を見るな!」

「落ち着け小僧。これにも効果があるから言っているに決まっているであろうが。良いか、その娘が恥ずかしがろうとも、いつもやっているスキンシップはそのまま取るようにするのが吉。長くとも、一週間以内には記憶が戻っているだろう」

 

この悪魔は私を殺す気なのだろうか?

ただでさえ脈が早くなってヤバイのに、これ以上一緒に居る時間が増えたらどうなる事か。

 

「そうか。いつも通りにすればいいんだな?でも、添い寝なんてしてないぞ?」

「何を言っている。馬小屋で泊まっていた時はいつもしていたであろうに」

 

えええええ!

いつもカズマが隣で。

如何して、その時の私はそれで眠れたんだ?

無理、絶対に無理!

恥ずかしさで死んでしまう。

 

「そう言えばそうか。分かった。情報ありがとう。もし、嘘だったらアクアを嗾けるからな」

「物騒な事を言うでない。我輩は嘘などつかん!」

 

確かに里の本にも悪魔は信用ならないが、殊、契約・約束においては人間よりも信用出来ると書いてあった気がする。

あと、悪魔は嘘をつかないとも。

その時はそんなはずないと思って、ネタ程度にしか読んでなかったけど、あれは事実だったらしい。

 

「そうだよな。じゃあまた来るわ。今日は助かった」

「今後ともご贔屓に、であるな」

 

こうして悪魔のいる店から私達は出て、その後いつも通りにすると言う事で、私とカズマは二人きりになった。

なんでもそろそろ日課の爆裂散歩があるらしい。

ゆんゆんと行きたいと言ったけど、ゆんゆんに拒否された。

一刻も早く記憶を戻すためには仕方ないと言って。

そう、私は窮地に立たされたのだった。

 

 

 

あれから数分が経過したが、もう心臓がバクバク言っててヤバイ。

カズマに鼓動が聞こえていないだろうか?

もうそろそろ街を出る。

こうなると本当の意味で二人きりだ。

早く帰りたい。

ゆんゆんに縋りついてでも来て貰えば良かった。

こんな調子で私は大丈夫なのだろうか?

そんな事を考えながら門をくぐり、少し経つとカズマが手を握ってきた。

 

「カ、カ、カズマ!こここれは、どどどどういう」

「めぐみん落ち着け。俺も恥ずかしいけど、めぐみんのお願いで一週間前まで、こうしてたから仕方ないんだ」

 

何故一週間前の私はそんな事を!

その時の私に会えるのなら、お礼を言わなければ。

じゃなくて、シバキに行かなければ。

駄目だ思考回路まで可笑しくなってる。

私は恋の病の末期かもしれない。

 

「これでもまだましだけどな、恋人繋ぎさせられてた時もあったし」

 

恋人繋ぎ!?

絶対可笑しい。

記憶を失う前の私は羞恥心を捨てているのではないか?

 

「そうなんですか。私もしたいですね」

「え?」

 

え?

今私なんて言った?

したいって言ったような。

 

「めぐみん。お前記憶戻ったのか?」

「ちちち違います!いい今のはわわしゅれてください!」

 

緊張し過ぎて、噛んでしまった!

穴があったら入りたい。

と言うか今ので記憶が戻ったかと言われるって、私はどれだけカズマに迫ってるんだ!

 

「やっぱり記憶失くしてもめぐみんはめぐみんだな」

 

何故かカズマに笑われた。

悪女って意味なのか、さっきの噛んだ事なのかどっちなんだろう。

でも、そんな事おいといて。

は〜、カズマの笑顔、ずっと見ていられる気がする。

癒されるな〜。

 

「えっと、めぐみん?そんなに見つめられると恥ずかしいんだけど」

「ふぇ?」

 

何か聴かれた気がするけど、分からない。

カズマが顔を真っ赤に染めている。

なんでだろう?

まあ可愛いし癒されるからなんでもいいや。

 

「めぐみん?おい、どうした!」

「はっ!」

 

私は何やってるんだ!

さっきから如何してしまったんだ?

こんな事をしていたら余計に、カズマと気まずくなってしまうと言うのに。

 

「すみません!早く行きましょう」

 

恥ずかしさのあまり、私はカズマを置いて先を急いだ。

 

 

 

ある程度進んだ所で、カズマと離れ過ぎるのも良くないと思い、カズマの元へ戻った。

けどさっきのあれの所為で話が出来ない。

私の馬鹿!

折角、二人でゆっくり話が出来る機会だと思ってたのに。

・・・あれ?

こんな事思ってたっけ?

いや違う。

早く帰りたいと思ってたはずだ。

カズマと二人きりになってからの私は変だ。

もしかしてこれが、記憶の戻る前触れみたいなものなのだろうか?

 

「着いたぞ。いつもあの岩山に撃ってるんだ」

 

そうは言われても全く身に覚えがない。

ただ、あれを破壊すれば凄く気持ちいいだろうという事は分かる。

 

「そうですか。では、『エクスプロージョン』っ!・・・!!」

 

この破壊力はどう言う事だろう?

それに詠唱の時も、なんと言うかいつもより少し長く言ってる感じがした。

でも、気持ちいいしこれでいいや。

 

「最高、でぇす」

「ふむふむ、いつもより詠唱が長い分、狙いが定まってて綺麗に消えてるな。あと、骨身に染みるあの爆音と爆風も良かった。詠唱中の気の迷いみたいなのがなかったらもっと良いモノになってたと思うけど、そこは記憶が失くなってるからハンデとして、今日の出来は86点だな。ナイス爆裂!」

 

なんて精密な採点。

単に爆裂魔法を放つだけじゃなくて、大好きな人から評価して貰えるって私は幸せ者だなあ。

 

「ありがとうございます!あの、いつもカズマが採点してくれているのですか?」

「これでもめぐみんから爆裂ソムリエの称号を貰ってるからな」

 

爆裂ソムリエ。

凄く良い響きだ。

そう言えば帰りってどうするんだろう?

ここら辺で休むのが普通なのかもしれない。

 

「ちょっと待ってろよ。よし。違和感とかないか?何かあったら言ってくれ」

 

私は今何をされてるんだろう。

えっと。

前にカズマの頭があって、私の足が浮いてて、密着してる。

情報を精査するとこれはつまり、

おんぶ!

いや、ちょっと待って欲しい。

私は毎日こんなにもドキドキする事をやってて、如何して無事なのだろうか。

また鼓動が早くなってる。

こんなに密着してたらカズマに聞こえてしまう。

 

「記憶はどうだ?何か分かった事とかないのか?」

「ええっと、特にないです。すみません」

 

言える訳ない。

あなたが好きだとよく理解したなんて。

 

「何も謝る事ないだろ」

「ですが、カズマは早く記憶が戻って欲しいから、手伝ってくれてるんですよね?それなのに全く思い出せないのが申し訳なくて」

「そんなの一々気にするな。それに、記憶はなくてもめぐみんはめぐみんだろ。記憶は戻るに越した事ないけど、そんな打算的な理由で手伝ってる訳じゃない、めぐみんに元気で居て貰いたいんだ」

 

優しい。

優し過ぎる。

こんなに素晴らしい人と私なんかが、釣り合うのだろうか、いや、釣り合わないだろう。

でも釣り合える様に私が努力すればいい。

道のりは長いかもしれないがそうするしかない。

とは言っても一週間も経てば、記憶は戻っているから、この決意はあまり意味が無いかもしれないが。

 

「ありがとうございます。カズマは優しいですね」

「別にそんなんじゃ・・・」

 

カズマは赤面して、黙ってしまった。

ふと思ったけど、カズマの背中は凄く安心出来る。

さっきまでの胸の高鳴りが心地よくなってきた。

ずっとこのままで居たい。

カズマと未来で結婚している私が羨ましい。

私もカズマと結婚したいな。

カズマの驚いた声が聞こえた気がする。

如何したんだろう?

気になるけど意識が遠のいて・・・

 

 

 

ああー、気持ちいい。

頭がスッキリして、体もあったかい。

こめっことお風呂入ってた時を思い出す。

私がこめっこの髪を洗って、お母さんが私のを洗って。

人に洗って貰うのも偶には悪くないかも。

所で誰が洗ってくれてるんだろう?

私は閉じていた目を開けた。

 

「めぐみん、起きたか。もうちょっと待ってろ、今から濯ぐから」

 

カズマだ。

だからこんなに気持ちいいのか。

カズマ?

いやいや、そんなはずない。

日記にもあったけど、カズマは照れ屋さんでこんな事するはずが無い。

口調的にダクネスだろう。

私が見間違えただけ、そうに違いない。

 

「終わったぞ。後は体洗うだけなんだが、動けるか?」

 

間違いなくカズマだった。

意味が分からない。

カズマは何故こんな事を。

それに手慣れてる。

おんぶの時もそうだったけど、まさか私とカズマはいつも一緒にお風呂に!

これで付き合ってないって、絶対嘘だと言いたい。

でも日記にはカズマから告白される様に頑張るって書いてあったし、カズマもそんな素振り見せてないし、何が正しいのか分からない。

ちょっと冷静になろう。

自分の知らない話をしても意味は無い。

今をどうするかを考えないと。

状況を確認しよう。

私は体にタオルが巻かれていて、カズマは下だけ巻いてる。

カズマって程よい感じに筋肉ついててカッコイイ。

触ってみたい。

ってそうじゃない!

見惚れるな私!

話を元に戻そう。

私はタオルで体を覆っているから裸は見られていない。

ちょっと安心した。

いやでもタオルを巻く前に服を脱ぐ。

つまり私の服を脱がせたのはカズマという事で。

あの紋様も見られてるかもしれないわけで。

と言うか裸を見られてる!

 

「おーい、めぐみん聞こえてるか?もしかして逆上せたのか?」

「そそそうじゃないです。そそそれより、ここここの状況は一体!?」

 

私の質問にカズマは、頭を掻きながら照れくさそうに言った。

 

「そうだよな。急にこれは恥ずかしいよな。これも少し前までいつもしてたんだ。安心してくれ服を脱がせたのはゆんゆんだ。最近はゆんゆんがやってたんだけど、これも記憶を戻す為ですって言ってタオルだけ巻いて、どっか行っちゃったんだよ」

 

ゆんゆんなんて余計な事を!

今、私がどれだけ羞恥心に襲われているか、思い知らせてやる!

絶対に許さない!

こんなに素晴らしい状況を作ってくれるなんて。

後で奢ってあげよう。

何か可笑しかった気がする。

 

「嫌なら出るけど、どうする?」

「嫌じゃないですよ。カズマと一緒だと安心しますから」

 

うん、私は何言ってるんだろう。

カズマが赤面して照れてる。

早く逃げたい。

だがしかし、体が思うように動いてくれない。

 

「おっと、大丈夫か?」

 

カズマに支えられて何とか助かった。

助かったは助かったけど、ある意味ピンチだ。

カズマの顔が近い。

例えるなら、やろうと思えばキスできるくらいに。

キスか。

カズマとしてみたい。

はっ!

このままじゃダメだ!

私がどんどんダメになっていく。

 

「これじゃあ体洗えないな。一旦上がるか?逆上せてるみたいだし」

「お、お願いします」

 

何とかこの状況から脱する事が出来る。

もうちょっと一緒に入っていたかったと思ってしまう自分が居るのが恐ろしい。

そうだこのままキスしたらもうちょっと一緒に居られるかも。

よし、身体に力を入れて、くっ、やっぱりまだ動かない。

いや、動かなくて良かった。

何考えているんだ私は。

お酒に酔ってカズマがお姉さんにナンパしようとする時みたいだ。

後から問いただしても、気付いたら声掛けてるからどうしようもないと言われて、何開き直ってるんだと毎回怒っていたけど、こういう事だったのか。

・・・今のってもしかして。

 

「カズマ、ちょっと記憶が戻って来たかもしれません」

「本当か?どんな事だ?」

 

カズマが食い気味に聴いてくる。

近い!

顔が近い!

心臓に悪いからやめて欲しい。

こんなに顔を近付けて、カズマはキスして欲しいのだろうか?

・・・もう私はダメかもしれない。

 

「えーと、酔っ払ったカズマがギルド?ですかね。そこで女性にナンパして、私が止めている所なんですけど」

「なんでそんなピンポイントなやつが、間違ってはないけど、他にはないのか?」

「そうですね。他はないです」

 

カズマへの想いは始めから忘れてない。

とは言えないからこう言うしかない。

そう言えばカズマの周りのキラキラが消えた。

考えてみるとキラキラが見えなくなり出した辺りから、私の思考が変な方向へ向くようになった。

これは気を付けないと気付いたら押し倒してるなんて事も有り得る。

 

「そうか。でも、バニルの言ってた事が現実味を帯びてきたし良かった。ちょっと待っててくれ誰か呼んでくるから」

「何故ですか?」

 

なんの為に呼ぶのだろうか?

 

「何故ってこのままじゃ着替えられないだろ?」

「カズマが着替えさせてくれるのではないのですか?」

 

こうすればわざわざ呼びに行く必要もないはず。

 

「ななななな!めぐみんお前何言ってんだ!」

 

カズマの言う通りだ。

私は何を考えているんだ。

 

「カズマすいません。私が変な事言っても気にしないでください。誰か呼んで貰えませんか」

 

これを聞いたカズマは逃げるように部屋から出ていった。

この後ゆんゆんがやって来て着替えさせてくれた。

ゆんゆんに何があったのか聴かれたけど、正直自分でも何が起こっているのか分からない。

記憶が戻っているようで、戻っている訳ではない。

なんと言うか欲望のままに動いてる気がする。

明日が心配になってきた。




記憶が戻るのはまだでしたにゃん。
語尾ににゃんがついてるのはTwitterで色々あったんだにゃん。
来週は普通の話し方に戻ってるにゃん。
感想への返信も普通だから安心して欲しいにゃん。

カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて

  • カズマ視点(天界)
  • カズマ視点(討伐後)
  • ヒロインズの誰か視点(天界)
  • ヒロインズの誰か視点(討伐後)

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