この素晴らしい世界に●●を!めぐみんのターン   作:めむみん

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あのキャラの人望が明らかになります。


想い人の姿

-OMOIBITONOSUGATA-

 

昨日は自分で自分が、分からなくなってしまった。

今日は最大限の注意を払って行こうと決意した。

決意したのだが、如何すれば良いか検討がつかず、カズマと距離を置く事しか出来なかった。

しかし、これが良案でないのも知っている。

故に私は、クエストを請けたいと言った。

これならば多少は距離を取りつつも、一緒に居られるからだ。

今回のクエストは憎きカエルの討伐。

何故かジャイアントトードに尋常ではない程に憎しみが湧いてきた。

それをゆんゆんに話した所、なんでも私は何度もカエルに呑まれてるらしい。

我がライバルはカエルだったのかと巫山戯て言ったら拗ねてしまった。

なんとか、今の親友と言う関係を使って機嫌をとる事に成功。

もし失敗していたら現在のカズマとの距離を保てていないだろう。

 

「そろそろ依頼の場所よ」

 

アクアの言葉にみんな戦闘態勢をとった。

周囲は木々に覆われていて、何処から出て来ても可笑しくない状態だ。

 

「右から二体程こっちに接近してきてる」

 

カズマの敵感知スキルだろう。

みんなそれを聞いて、右に注意を向けた。

その瞬間、アクアが居なくなった。

そして目の前には、アクアの足が生えたカエルとこちらに接近しているカエルが居た。

 

「アクア!待っていろ。今助ける!」

 

ダクネスが走って助けに行ったが、どう言う訳か、動きもしないジャイアントトードに一撃も当たっていなかった。

一方ゆんゆんは、もう一匹のジャイアントトードを軽く屠り、カズマはダクネスの後に続き、アクアを捕らえたカエルを倒した。

って私、何もしてない。

 

「か、がじゅまざんありがどね」

「ちょっ、近付くな!ぬるぬるがつくだろ。後でシュワシュワ奢ってやるから」

 

粘液塗れのアクアが感極まってカズマに抱きつこうとしたが拒まれていた。

それを見てホッとしてる自分がいる。

ちょっと慣れてきたけど、私は独占欲が強いらしい。

 

「ゆんゆん!そっちにまた反応があるから気を付けてくれ!めぐみんは詠唱を始めてくれ」

「「はい!」」

 

カズマは指示を出すとアクアをダクネスに任せて、私の元に来た。

どうしよう緊張してきた。

詠唱を失敗したら不味い。

集中しないと。

 

「左の開けた所に出てくるから、見えたら自分の判断で撃っていいぞ」

「分かりました」

 

指示が終わりカズマが離れると思って、安心したのだが、逆に近付いて来た。

カズマは私の真後ろに立っている。

鼓動がやばい。

でも失敗は出来ない。

私が軽くパニックを起こし始めている中、カズマの言った通りジャイアントトードが出てきた。

 

「え、『エクしゅプロージョン』ッ!」

「・・・ぷっふ」

 

穴があったら入りたい。

カズマ以外に聞かれていなかったのは不幸中の幸いと言える。

それと同時に、今からおんぶして貰う人には聞こえているから、やっぱり一番の不幸なのではとも思う。

しかも想い人だ。

 

「今日のは可愛くて良かったぞ。可愛さ点追加で九十点だな。それにしてもエクしゅって」

 

誰か私を殺して!

これがせめて爆発か炸裂魔法ならまだ逃げられたのに!

爆裂魔法を覚えなければ良かったと思う日が来ようとは。

カズマがクスクス笑ってる。

これが憎めたらどれだけ楽なのだろうか。

カズマの笑ってる所を見てると、どうしても可愛いと思ってしまう。

 

「エクしゅプロージョン」

 

小声で呟いて、カズマはまた笑っていた。

 

「もうやめてください!恥ずかしいです」

 

尻すぼみになって余計に恥ずかしくなり、なんとか動かせた手で顔を覆った。

 

「ご、ごめん」

 

カズマはバツが悪そうに俯いて顔を合わせようとしなくなった。

この後、ギルドに着くまでの間、私とカズマは一言も話さなかった。

途中からカズマは笑いを堪えて、悶えていた。

みんなが不思議そうに私達を見ていたが、特に質問される事もなくギルドに到着した。

 

「私が報告してこよう。みんなは先に休んでくれ」

 

ここでダクネスと別れ食堂の方に向かった。

空いてる席に私を座らせて、カズマは補助の為に隣にいる。

こうしていると付き合ってるみたいで周りの目が気になる。

 

「こうやってカズマとめぐみんを見てると仲の良い兄妹みたいよね」

「それ分かります。どっちが上なのかよく分からない所とか兄妹っぽいですよね」

 

兄妹か。

カズマが兄なら私はふにふらを抜いて、紅魔族随一のブラコンになっていただろう。

カズマは照れて頬を掻いていた。

 

「そうそう。普段はバカップルみたいだけどそんな感じ。それでゆんゆんは頼りになるけど天然な妹的ポジションよ。隠れ属性は極度のブラコンね」

 

バカップルってやっぱりそういう目で見られてるのか。

思わぬ所からの攻撃にゆんゆんは驚きつつも抗議した。

 

「極度のブラコンってどういう事ですか?それじゃあ私が、その、カズマの事す、好きみたいじゃないですか」

「そこは問題じゃないのよ。単純にそういう設定が面白そうだから」

 

なんともアクアらしい理由だった。

ゆんゆんはどう返したらいいのか分からず、何も言わずに座った。

そして沈黙が訪れた所にダクネスが来た。

 

「やけに静かだが何かあったのか?」

「何もなかったわ」

 

アクアは自覚がないのかそう言った。

 

「そうなのか?そうだ、受付からカズマにこれを渡して欲しいと頼まれたのだが」

 

ダクネスの手元には封筒があった。

カズマはそれを受け取り、中を確認すると言った。

 

「バニルからだったけど、悪い今日はめぐみんとデートだから夕食はみんなで出来なくなった」

 

カズマは今日めぐみんとデート。

カズマとデート出来るめぐみんって人羨ましいな。

今日は四人で夕食か。

所でめぐみんって誰だっけ?

・・・私だ!

 

「ふーん。じゃあ二人とも楽しんできてね。さあ、邪魔者は帰りましょう」

 

まだ理解が及んでいない私を後に。

アクアはみんなを連れて帰って行った。

 

「聴きたい事があるんだ。今日クエスト行く時、俺を避けてたよな。如何してだ?」

「それは・・・」

 

言える訳がない。

自分の感情を制御出来ないからとか言ったら告白してるも同然。

 

「やっぱ言い難いか。ならいいよ。それでさっきのデートの話だけど、行きたい所とかあるか?」

「急に聴かれても分からないと言うかデートする心の準備がまだ出来てないというか」

 

でもこれって私とカズマがよくデートしてたって事で間違いないだろう。

そう言えば日記にも書いてあった。

毎日こんなにドキドキして私は大丈夫だったのだろうか?

 

「そうだよな。・・・あっ、ちょっと待っててくれ」

 

カズマはそう言うとギルドに入ってきた盗賊の男の子に声をかけた。

美少年と言うに相応しい顔立ちの子だ。

 

「めぐみん、私の事分かるかな?」

「すみません。分からないです」

 

声は女の子っぽいからまだ声変わりしていないのだろう。

その子とカズマが何かを話し合っているのを見ていると胸が痛むのは何故だろう。

私はカズマが誰かと話していれば、それが男同士でも嫉妬するなんて言う面倒臭い女だったのだろうか?

 

「あたしはクリス。見ての通り盗賊だよ。めぐみんは私の事普通にクリスって呼んでいたね」

「よろしくお願いします。所でカズマ。何故クリスを紹介したのですか?」

 

カズマの意図が全く読めない。

 

「心の準備するのに俺がここで待ってるより、居ない方がしやすいだろ?だから俺が居ない間の代わりに来て貰ったんだ」

「分かりました。準備が出来たら呼びに行きますね」

 

カズマは私の返事を聞くと知り合いの冒険者の所へと向かって行った。

残された私とクリス。

出来れば女の子が良かったとは言えない。

 

「それにしてもめぐみんが記憶喪失ってびっくりだよ。何か不自由な事とかない?」

「いえ、特には。みんな優しくしてくれますし、ゆんゆんの事は知っているので」

 

それにしてもクリスと話していると女の子と話しているみたいで落ち着く。

喋り方が女の子みたいだからだろう。

 

「そうなんだ。もし困った事が会ったらお姉さんを頼ってもいいよ」

 

お姉さん?

そういうキャラ作りだろうか?

そこはお兄さんだろとかツッコミたい。

 

「ねえ、変な事考えてない?」

「考えてませんよ。クリスはいつもその口調なのですか?」

「?そうだけど、何か変な所あるかな?」

 

周りも気を遣って指摘しなかったのかもしれない。

クリスは首を傾げていた。

 

「いえ、何となく引っ掛かるモノがあったので聴いてみただけです」

 

納得はしていなさそうだが、頷いていた。

 

「話は変わるけど、めぐみんはカズマとデートするのって嫌じゃないの?」

「嫌じゃないです。むしろ、」

「むしろ?」

 

危ない所だった。

むしろ楽しみって言いかけた。

 

「あの、この質問は何の為ですか?」

「本人が嫌がってるなら止めさせた方が良いかなって思ってたんだよ。でも今のでめぐみんの気持ちは分かったよ」

 

会って数分で見破られるなんて、私もまだまだだ。

 

「でも羨ましいな。記憶を失っても尚、好きでいられる相手が居るって、あたしもそこまで好きになれる彼氏が欲しいな」

 

彼氏?

今彼氏って言ったような?

 

「今彼氏って言いませんでしたか?」

「え?言ったけどそれがどうかしたの?」

 

クリスってそっちの人だったのか。

だからあの時胸が苦しくなったのか。

 

「・・・ねえ、めぐみん確認なんだけど。あたしの事、男だと思ってるよね?」

「はい。・・・あっ、すみません」

 

しまった。

正直に答えてしまった。

 

「やっぱり。私は男じゃなくて女だからね」

「そうですよね。間違ってしまってすみません」

 

里の本に性の認識が体と違う人も居るとあったからそれで間違いないだろう。

 

「絶対信じてないよね」

「そんな事ないですよ」

「じゃあちょっとついてきて貰うよ」

 

言ってクリスはギルドのトイレに私を連れて入ろうとした。

 

「クリス流石にこれは不味いと思いますよ」

「やっぱり信じてない!いいから中に入って!ちょっと確認して貰うだけだから」

 

そう言うとクリスは強引に中へ連れ込もうとし始めた。

 

「ちょっと何する気ですか!カズマ助けむぐ!」

 

口を押さえられ、まだ体力が戻っていない私はクリスによって襲われようとしていた。

カズマ!助けてください!

 

 

 

結論から言うとクリスは女の子だった。

そして私はクリスに土下座して詫びている。

 

「えっと、顔を上げてくれないかな。あたしが酷い事してるみたいだからさ」

「私と同じ悩みを持つ同胞に、この様な惨い扱いをしたのです。これぐらいしても足りないくらいです」

 

私だって胸が小さいから男の子だろと言われて傷ついた事は何度もある。

だからクリスが今傷ついてるのは間違いない。

勿論、私はそんな事言う連中にはボコボコにして思い知らせてやった。

 

「同胞って、まあ、そうなのかな。兎に角あたしはもう大丈夫だから、早く戻ろう。じゃないとカズマが待ちくたびれちゃうよ」

「分かりました」

 

まだ謝り足りない気がするがクリスの言う通りだから戻る事にした。

そして、カズマの元へ行くと、カズマは女の子に囲まれていた。

 

「先輩、この後空いてないですか?一緒にクエストを請けて欲しいのですが」

「あっ、ずるい!私の方が先に話してたのに!」

 

カズマの取り合いが始まっていた。

 

「カズマってモテモテですね」

「まあ、カズマくんって魔王軍幹部を倒したパーティーのリーダーだし、元から優しいからね。新人冒険者の特に女の子から人気があるのは確かだよ」

 

ライバルが多過ぎる。

カズマが優しいのは知ってたし、多少はモテるだろうとは覚悟していたがこれは予想外だ。

 

「誘ったのは私が先だから私のパーティーが先に決まってるじゃない」

「ちょっと落ち着いてくれ、今日はめぐみんとデートだから、今からクエスト手伝うのは無理だ」

 

何の恥じらいもなくカズマは私とデートするって言った。

すると周りの子達は一斉に喋らなくなった。

 

「カズマは如何して、あんなに堂々とデートって言えるのでしょう?」

「それはめぐみんの所為だと思うよ」

 

私の所為?

いや、そうなのかもしれない。

だってカズマに恋人でもないのに、恋人繋ぎを要求する私だ。

そんな私と一緒にいれば、カズマの感覚が麻痺していても可笑しくない。

 

「クエストを手伝うのはちょっと待って欲しい。余裕が出来たらちゃんと手伝うから」

「分かりました。先輩、デート頑張ってください!」

「私も応援してます!」

 

あれ?

カズマを引き止め始めると思ってたのに。

 

「あの子達はカズマの事、好きなんじゃないんですか?」

「うーん、中にはいるけど、ただの先輩として好きって感じだよ。めぐみんがカズマくんから貰った魔道具の指輪を左手の薬指に付けてるから、始めはその気でも諦めてる子が殆どで、みんなカズマくんを応援してるしね。それでもカズマくんを狙ってるのは一人か二人かな」

 

いや待って欲しい。

それって婚約してるって事で。

でも私達は普通の仲間。

私は馬鹿なんじゃないだろうか?

部屋に指輪があったけど、そういうのだったとは。

 

「でも私とデートって聞いた時の反応が悪かったですよ。あれは何だったんですか?」

「めぐみんの記憶が失われたってみんな知ってるからね。二人が婚約してると思ってたら、辛い話だと思ってああいう反応になると思うよ」

 

つまりギルド内では私とカズマは付き合ってる事になってるのか。

これを知って、ここに来てからの暖かい視線がなんだったのかようやく分かった。

 

「頑張るってモノじゃないんだけどな。まあ、ありがとう」

「先輩、めぐみんさん来たよ。クリスさんも一緒に」

「嗚呼、ありがとう。そういう事だから悪いな。また今度」

 

こうしてカズマは後輩ちゃん達と別れた。

後輩ちゃんってなんかしっくりくる。

多分記憶を失う前の私もそう呼んでいたのかもしれない。

 

「もう大丈夫なのか?」

「はい、その、で、デート行きましょう」

 

うぅ、やっぱり緊張して、ちゃんと話せない。

 

「クリス助かった。礼は日を改めて」

「お礼は精神的に返してもらえると助かるかな。じゃあ私はこれで」

 

クリスは言い終えると直ぐに居なくなった。

 

「精神的にか。はあ」

 

カズマは遠い目をしてため息をついていた。

 

「精神的にお礼って何するんですか?」

「まあ、色々あるんだよ。色々」

 

話したくもないという感じが読み取れたから、これ以上の追求はやめた。

でも何をするのかは凄く気になる。

とは言え、今は自分の事で精一杯だ。

この後、私は生きて屋敷に帰れるのだろうか?

とても不安だ。




めぐみんの記憶はまだ戻りません。
早く戻そうとは思うのですが戻し方が分からずグダグダ書き進んじって、一週間経っちゃいそうです。

誠に勝手ながら今回の話を最後に週一投稿を止め、月一投稿に移行します。ご迷惑をお掛けしますがこれからもどうぞよろしくお願いします!
理由は受験があるのであまり時間を掛けられないからです。
誕生日キャラのいる月はお祝い投稿のみになります。
四月に関してはエイプリルフールとダクネスの誕生日を行います。

カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて

  • カズマ視点(天界)
  • カズマ視点(討伐後)
  • ヒロインズの誰か視点(天界)
  • ヒロインズの誰か視点(討伐後)
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