来月一日にはアクア様の誕生日、このすばの新刊に愚か者の新刊発売とこのすば尽くしの日がやってきます!
更には8月30日には紅伝説公開と騒ぎ所満載の月となりそうですね!
では今回も駄文ですがお楽しみください。
-FUTEIKIJOSHIKAI-
王女との謁見に向け準備を進める私達。
今日はダクネスと二人で私のドレスを探しに服屋を訪れていた。
「こうやって二人でゆっくり話すのは久しぶりだな」
「そうですね。私が気を失っていた時はカズマにベッタリでしたし、いい機会もなかったですからね」
記憶が戻った後も何だかんだで、カズマと行動を共にする日が多かった。
少しづつみんなと過ごす時間を増やして行こう。
前の様にゆんゆんがチンピラの保護者と言う状況にならないように。
「それもそうだが、めぐみんは基本的にカズマと一緒ではないか?」
「それは爆裂散歩があるからで、特別カズマといる訳では無いと思うのですが」
ゆんゆんと遊んでいる時もあるし、アクアの宴会について行く時もある。
ダクネスはここ最近立て込んでいるから会う機会が少なかっただけだろう。
「・・・では聴くが昨日の午前中は誰と何をしていたのだ?」
「確か、昨日はカズマと食材の買い出しに行って、昼食を二人で作ってましたね」
いつものことだからこれは参考にならないだろう。
「午後は?」
「午後からはみんなが服を買いに行ったので、カズマと爆裂しに行きました」
日課で一緒にいるのは仕方ない事。
これをとやかく言われる筋合いはない。
「その後は?」
「私が動けるようになってから二人でお茶してましたよ」
あの店のハーブティーが病みつきになるくらい美味しかった。
この後、ダクネスと行くのもいいかもしれない。
「・・・今のでずっと一緒ではないと言いきれるのか?」
そんなはずは・・・
言われてみると昨日一日カズマと二人きりだった。
「偶々ですよ。一昨日はゆんゆんとチェスしてましたし、その前の日はリーンと情報交換をしていたので」
「じゃあその日、二人と会っていない時間は何をしていたんだ?」
今日のダクネスは疑り深い。
何だか事情聴取を受けている気分になってきた。
まあ、全く持ってそんな事実はないのだから、特に慌てる必要もないけど。
「えっと爆裂は省くとして、一昨日はカズマと王都での予定なんかを話してましたね。リーンとあった日は商品開発を見てました」
これで全て話した。
もう言及される事もないだろう。
「めぐみん。客観的言って、お前達は一緒に居すぎと言っても過言ではないぞ」
「な、何処をどう聞いてそう思ったんですか?意味が分かりませんよ。そこまで言うなら明日ずっとカズマに着いて行って、一緒に居るとはどう言う事か教えてあげますよ!」
こうなったらカズマには悪いがお風呂やトイレまで明日はついて行こう。
所謂お家デートだ。
我が子とのカズマ争奪戦を繰り広げていた頃が懐かしい。
「前々から聴こうと思っていたのだが、二人は付き合っているのか?」
「あのさっきの話聞いてましたか?はあ、付き合ってませんよ」
向こうからの告白もまだないし、気長に待ちつつ、降りかかる火の粉を振り払っている最中だ。
「じゃあカズマの事はどう思っているんだ?」
「勿論、愛してますよ」
何を今更当然の事を、この件は何回も・・・あっ。
「そそそそ、そうか。すまない変な事を聴いて」
「ま待ってください!今のは冗談ですから!信じないでください!」
「いや、私が悪かったのだ。この事は誰にも言わないから安心してくれ」
しまった。
ダクネスの誘導尋問に引っかかってしまった。
先日はゆんゆんにもバレたし、もう少し自重しなければ。
もう言ってしまったものは仕方ないし、開き直ろう。
これでダクネスは敵にならないだろうと。
「しかし、めぐみんがそこまで、カズマを想っていたとは驚きだな」
「・・・カズマは私の一番の理解者ですから」
前の世界でも私の日課に真剣に向き合ってくれたのはカズマだけだった。
みんな日課には付き合ってくれるけど、日を重ねるとただ私を連れて帰る為に来ているというだけで、しっかり見ていたのは敵情視察と息巻いてたゆんゆんくらいだ。
そのゆんゆんでさえ一ヶ月経った辺りから、日を追う毎に作業になっていった。
にも関わらず、カズマは、面倒だと言っているのを強引に連れてきたとしても、私が魔法を使っている時はちゃんと見ていてくれた。それに評価まで付けてくれて、初めて点数を付けて貰えたあの時の感動は今も忘れられない。あの頃からカズマの忘れられない語録を作っておけば良かったと今更ながらに後悔する。
多分私は、あの廃城に通っていた頃から気付いていないだけで、心のどこかでカズマに惹かれていたのかもしれない。
カズマと粘液まみれになった時の私に言っても信じないだろうけど、今はそう思う。
「それにカズマは面倒見がいいですし、優しいですし、気が利きますし、寝顔も可愛くて、かっこ「分かっためぐみん。もういい」そうですか?」
「聞いている私が恥ずかしい」
こちらのダクネスとはカズマを話題のタネにしない方が良さそうな気がしてきた。
前はこれで話が弾んでいたのだが、これを見るにこっちのダクネスはカズマを意識していないのかもしれない。
「一つ確認なのですが、ダクネスはカズマの事どう思ってますか?」
「わ私か!?わ、私はカズマを異性として見た事などないし、まず二人が付き合っているモノとばかり思っていた訳で」
今ので安心したのだが、なんと言うかダクネスが焦ってるのを見ていると嗜虐心が煽られる。
「そうですか。ダクネスが恋敵にならなくて良かったです」
一先ず安心と言った所だ。
「恋敵と言うが、もし仮に私がカズマに惚れていたとしても二人の間に隙などないと思うのだが」
「そうでしょうか?ダクネスならファーストキスを奪うくらいすると思いますよ」
事実として奪われたのだから当然の警戒だ。
今回の一番の目標であるカズマの初めてなのだから。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!そんな事、出来る訳ないだろう!めぐみんは私の事をどう思っているのだ?」
「カズマのタイプに近い人です」
確かに言われてみるとこちらのダクネスがするとは思えない。
とは言え要注意人物である事に変わりはない。
「そ、そうなのか?私はそうは思わないのだが、人物像を教えてくれないか?」
ダクネスと私の間でカズマのタイプに関する考えが違うらしい。
色々気になるが、取り敢えず話してみよう。
「髪は長くてストレート。胸が大きくて甘やかしてくれるお姉さんです。悔しいですが全く当てはまっていないので、今は髪を伸ばしている所です」
「最後のはめぐみんそのものな気もするが、それは本当にカズマが言っていたのか?」
最後?私が年下の時点で不可能な事案だと言うのにダクネスは何を言ってるだろうか?
とは言えダクネスの言う通り、こっちのカズマから直接聞いた訳では無いが、いつものカズマの視線の先を見ていれば同じだと思う。
今度あの店経由で聴いてみるのもいいかもしれない。
「いえ、確かな情報筋から聞いたものです。所でダクネスの思うカズマの理想の女性像はどうなんですか?」
「ふむ。まず髪は前髪が切りそろえられていてボブに近い。胸はどちらでも良いのではないだろうか?あとはカズマを甘やかしてくれる女の子ではないか?」
何故ここまで認識に差が生まれるのか知りたい。
いつもダクネスやゆんゆんの無駄脂肪をジロジロと見ているカズマがどちらでも良いはずがない。
とは言えダクネスがこう言っている以上該当者がいるはず。
誰だろう?
「・・・言ってしまえばめぐみんがタイプなのではないかと私は思っているぞ」
なるほど。
めぐみんと言う方が該当者か。
明日、敵情視察に行かなければ。
・・・めぐみん?
めぐみんって何処かで聞いたことが・・・・・・って私の名前だ!
あれ?凄い既視感を覚えたのは何故だろう。
「わ、私ですか?お世辞でも嬉しいですが、それはないのではないでしょうか?」
前と変わらず混浴しても特に反応はないし、最近はセクハラも一切されないし、何かと雑に扱われる事も多い。
カズマからセクハラされないという事は異性として見られていない人だ。
アクアが何もされてこなかった理由はここにある。
「カズマが鈍感だとは思っていたがめぐみんもだったとは」
聞き捨てならない話だったけど言い返せなかった。
何故ならアクアが店に入って来たからだ。
「あっ!ダクネスとめぐみんも来てたのね。カズマとゆんゆんもそろそろ来るし丁度良かったわ」
「二人は何処にいるのですか?」
「二人なら露店でデートしてたわよ。朝約束してた時間になったら来ると思うわ」
・・・デート。
アクアが拡大解釈しただけだと思うようにしよう。
「カズマくん、口にクリームついてるよ」
「マジか!ハンカチ持ってきてないぞ」
「あたしが取ってあげる」
「悪いな」
・・・ゆんゆんとではなくクリスとカズマはデートしていたようだ。
いや、後ろにゆんゆんもいるしデートではないか。
「あの、お二人共、めぐみんが見てますよ?」
「「えっ...」」
ゆんゆんに言われて固まる二人。
まるで浮気現場がバレたかのような状態だが、付き合っている訳でもないし問題はない。
「・・・クリス久しぶりだな。カズマとは親しくなっている様で安心した」
あの騒動で軋轢があるとダクネスは思っていたのだろう。
ただ、この状況では二人を煽っているのと変わりない。
「ま、まあね。過去の事を言っても仕方ないから。それじゃ私は、カズマさんこの手を離してくれないかな?」
「クリスさん今から服選びだよな?何帰ろうとしてんの?」
両者譲らない見つめ合いの戦いが始まった。
二人とも人称が変わってるから余程焦っている事は見て取れる。
そこへ試着の為に戻ってきたアクアが言った。
「ひ、広めなきゃ!カズマとクリスが手繋いで見つめ合ってたってみんなに広めなきゃ」
こうなると私への恐れなど消え去り、アクアを抑える事に精一杯になる二人だった。
みんな各々の服を探しに行ったのだが、カズマは何かを見張る様に、悪く言ってしまえば万引きするのではないかと思うほどに、キョロキョロして店の入口近くの棚の前をウロウロしている。
流石に放って置けない為、近付くと先程までの不審な動きが止まった。
「・・・さっきは悪かった」
「別に気にしてませんよ。アクアが勘違いで騒ぐなんていつもの事ですからね」
まさかこんな事を気にしてこっちを見ていたのだろうか?
「・・・それもそうだけどさ。なんて言うか、その・・・・・・」
「めそめそしてないで、シャキッとしてください。そっちの方がカズマらしくて格好良いと思いますよ」
「わ、分かった」
カズマは言い終えると同時に紳士服売り場に向かって歩いていった。
此方のカズマは凄く保護欲をそそられるというか、弱々しい所が多い気がする。
服選びも終わり、会計を済ませて帰路につくみんなだったが、カズマが途中で離脱した。
今日は外泊すると言って。
先日アクアがサキュバスの存在に気付いてバレかけたからだろう。
「ねえねえ、カズマが居ないんだったら。みんなで女子会しましょう!」
「ふむ。それは面白そうだな」
「私もやりたいです」
ウチのパーティーは全員参加する気のようだ。
後は私とクリスだけ、勿論私は参加するつもりでいる。
「えっと、あたしは用事があるから無理かな。カズマを抜いたメンバーで開けばいいと思うよ」
「そうですか。また機会があれば一緒に行きましょう」
何だか胸騒ぎがするが、その正体はまだ掴めず、取り敢えず、クリスを見送る事にした。
「そろそろ時間だからまたね」
「クリス、また今度ゆっくり話そう」
ダクネスと別れの挨拶を済ませるとクリスは逃げるかのような速さで帰って行った。
「めぐみんも来るのよね?それじゃあ女子会よ!」
何を話すかで少し議論したが、結局共通の話題となるカズマの話となった。
「私とゆんゆんの喧嘩はいつもゆんゆんの言い分が通るのが納得いきません」
「そうよね。カズマってゆんゆんにだけはいつも優しいわよね」
「言われてみればそうだな。そう言う意味では、今日めぐみんの言っていた事も当たっている可能性はあるな」
やはりあの男のゆんゆん贔屓は共通認識だった。
「えっと、めぐみんが言ってた事ってなんですか?」
「カズマのタイプの女性が髪が長くてストレート、胸が大きく甘やかしてくれるお姉さんらしいと言う話だ」
ダクネスからの暴露に若干引いているゆんゆん。
とは言え本人が居ない中、悪い事は言えないのか黙っていた。
「そう言えばゆんゆんって私達にはずっと敬語のままだし、さん付けなのにカズマだけカズマさんじゃなくなったのってどうしてなの?」
「それは、」
何故か此方をチラチラ見ながらコソコソと話し合う二人。
アクアは納得したようで、話題を変えてきた。
「でもあれね。カズマがゆんゆんに優しいのって、絶対ゆんゆんの事好きだからだと思うの」
なんと言う爆弾投下。
ダクネスはなんとも言えない表情になり此方を見ている。
そしてゆんゆんは、
「そそそ、そんな事ないですよ!それに私はめぐみんの方が優遇されてると思います!」
私に主題をずらそうとしていた。
「確かにめぐみんも怪しいわよね。ロリマさんって名付けて正解だったわ」
「・・・カズマが私とゆんゆんを好きならロリマ呼ばわりされる理由を聞こうじゃないか!」
「ええっと、別に私はめぐみんと喧嘩する気は、ゆんゆんも落ち着いて、ね!だ、ダクネスも見てないで何か言ってよ!」
「二人とも気持ちは分かるが、アクアに悪気はないのは分かっているだろう?」
そう言われると何も言えなくなり、アクアへの攻撃態勢を解く私達。
そして訪れる静寂。
「・・・話を戻すとめぐみんもカズマの恋愛対象である可能性が高いと言うものだったが、どうする?」
「別に私は構いませんよ」
「めぐみんがそういうならこの話で続けよう。ゆんゆんの根拠はなんだ?」
正直嫌な話ではないし、みんなが私たちをどう思っているのかを知れるいい機会だ。
聞かない方がむしろ損だ。少しむず痒い所はあるけど。
「カズマってめぐみんの頼みなら直ぐに聞いていて、怒る時も直ぐに許してますよね。これが根拠です」
「そうだな。私もそう思っていた」
「私の時なんて毎回終わってからもネチネチ言われるもの」
それについてはアクアだけだと思う。
嬉しくもあるが全く納得のいく理由ではない。
「ゆんゆんは一度も怒られていないじゃないですか。それにアクアのは何回も同じ事を繰り返しているからですよ」
「それも一理あるが、私から見てカズマがめぐみんを特別扱いしている認識は変わらないぞ」
「特別扱いですか?」
カズマが優しいのはゆんゆんに対しても同じで、優遇されてる訳では無いと思う。
「毎日の爆裂がいい例だな」
「そうですね。カズマって結構面倒くさがりな一面もあるのに、爆裂の誘いは断らないですから」
「この前なんてまだめぐみんから誘われてないのに、日課の誘いがそろそろ来る頃だろうから無理だって飲みに行くの断られたのよ」
これは初耳だ。
と言うかいつも面倒くさいってぶつぶつ言いながらついて来ているのだが。
あの男は何処までツンデレなのだろうか?
今の話、凄く嬉しい。
ニヤケないようにするので精一杯だ。
「もう十分です。カズマの話から一旦離れましょう。王女様との謁見についての話はどうですか?」
「王都に行けるの楽しみよね!それに私達の時代の幕開けみたいで良いわ!」
「私も久しぶりの王都楽しみです」
久しぶりという事は族長の娘として行った事があるのだろう。
ただ論点がズレている。
「私としては誰かが粗相を起こさないか心配なのだが、皆で王都を見て回るのは楽しそうだな」
「大丈夫!この私が居れば問題ないわ!なんてったって私は王女なんかよりも偉い女神なんだから!」
傍から見ればアホな事を言ってるようにしか見えない。
事実二人の反応は、
「・・・ダクネスさん。私も謁見の時が心配になってきました」
「うむ。こればっかりは言っても無駄だからな。カズマもこの件に関しては何も言っていないようだし」
本当はカズマがアクアを女神と認知しているからだとは思いもしないだろう。
「ねえ、如何してみんな私を哀れみの目で見るの?」
自称女神に向けられる視線はこんなものだろう。
アクアが可哀想だからフォローしてあげたいけど、カズマの教育方針に反するから辞めておこう。
うっ、アクアがいじけているのを見ていると罪悪感が。
と少し気まずい雰囲気が漂い始める中事件は起こった。
「お嬢様!大変です!旦那様が!旦那様が!」
それはダクネスの父、イグニスの訃報ではなく病状悪化の知らせであった。
なんでもここ最近ダクネスが居なくなっていたのは、イグニスが原因不明の病に伏していたからであった。
霜降りアカガニを貰ったりとお世話になっていたのでカズマが居ないがみんなでお見舞いに行くことになった。
「ララティーナか?わざわざすまないな。所で後ろの方達は?」
「以前から話していた私の仲間のアクアとめぐみん、ゆんゆんです。お父様の病状を聞いてお見舞いにと来てくれたのです」
「良い仲間をもったものだ。これでわしがいなくなってもゴホッゴホッ」
死期を悟ったような言葉にダクネスは涙を浮かべ、それを見たイグニスも涙を流そうとしていたその時だった。
「『セイクリッド・ブレイクスペル』ッ!」
「あああーっ!?」
「お、お父様!」
急な出来事に理解が追い付かず、私とゆんゆんを含め使用人達も皆ただ見ているだけだった。
「呪いよ!ダクネスのお父さん、かなりの悪魔にすんごい呪いを掛けられてたのよ!でも安心して。この私がサクッと解除してあげたんだから」
「「「・・・」」」
誰も喋れなかった。
特に最後の別れみたいな会話をしていた二人は。
いい事をしているけど、タイミングが悪い。
「ふふふん、カズマが帰ってきたら自慢して、お小遣い上げて貰おうかしら」
アクアは役目は果たしたと言わんばかりに退出し、帰って行った。
私とゆんゆん、そして使用人達も気まずい状況が嫌になり、アクアに続いて部屋を後にした。
そして、残された親子がどうなったのか私は知らない。
アクアがお小遣いアップと喜んでいる朝。
対照的にダクネスとカズマはしんどそうにしていた。
「ゆんゆん、ダクネスは何があったんだ?朝から元気ないけど」
「昨夜の話は聞いてるよね?その時に色々あって」
本人がいる手前言葉に詰まるゆんゆん。
「・・・何となく分かったからもういい。悪いけどお茶取ってくれ」
「どうぞ。所でカズマも元気ないけど昨日何してたの?」
質問に対して明らかにビクッとなっていた。
気になる話ではあるが、ちょむすけを撫でながら精神を収めている。
「えっとほら、ギルドの奴らと飲みに行って疲れたんだよ」
「つまり二日酔いですね」
「そう。めぐみんの言う通りだ」
怪しい。
今直ぐにでも問いただしたいが我慢。
これは今日の昼辺りに封筒が届きそうだ。
「では今日の日課は午後からですね?」
「了解。それまで寝てるから昼になったら起こしてくれ」
ほっとした様子で部屋に戻って行くカズマ。
昨日あの店に行ったのは間違いないとこの時は思っていた。
昼食を終え、日課から帰っても郵便物はなかった。
これは由々しき事態だ。
あの男が帰った時、女の匂いがしたのは間違いない。
外に女が出来た可能性が高い。
という事で先生に相談しに来た。
「あの男と仲が良くて付き合っていそうな女性リストを作って貰えませんか?」
「めぐみんが筆頭と言うか一人勝ちだと思うけどなあ」
私は至って真剣なのに、この対応はどうかと思う。
「お世辞は結構です。返事をお願いします」
「・・・分かった。リストは作る。作るけど、昨日カズマくんと会ってたのあたしだよ」
なるほど。
我が宿敵はここに居たのか。
私達の誘いを断って会っていたとは余計に怪しい。
昨日の胸騒ぎはこれだったのか。
「べ、別に何もなかったから!ホントだって!カズマに確認すれば分かる事だからさ。敵意を向けるの辞めて!怖いから!」
「そういうのなら、今朝、カズマの様子が可笑しかったのは何故でしょうか?それに外泊する理由も分からないのですが」
ここに来て厄介な敵が出来てしまった。
クリスはないと高を括って居たのが失策だった。
「それはほら、あれだよ。偶には一人でゆっくりしたかったとかさ。色々あるんだよカズマにも」
「前者の説明が出来てませんよ?」
都合が悪い事は答えない。
アクアのよくとる戦法だ。
「それは今のこの状況だと思うな」
「と言うと?」
「こうやってめぐみんに問いただされてる状況だよ。元気がなかったのは夜更かししてたとかじゃないのかな?」
言われてみるとそんな気もしなくはない。
私が部屋に入るまでは普通にゆんゆんと話してたのに、扉を開けた瞬間会話が少なくなっていた。
「それについては分かりましたが、最後にカズマと会う事を隠していた理由と何をしてたのか教えてください」
「ええっと、ごめん。それは出来ないかな。これは彼との約束だし」
二人だけの秘密。
何とも腹立たしい。
「・・・今日からクリスは我が宿敵です」
「いや、待って!如何してそうなるのさ!」
クリスは事の重大性を理解していないようだ。
「好きな男がコソコソ会ってる女を警戒しない程、私も馬鹿ではありませんので」
「そ、そうだよね。うん。めぐみんって凄いね」
「煽てても何も出ませんよ」
急に褒められても困惑するだけだ。
「そういうのじゃなくて、こう、堂々と好きな人って言えるのが凄いなあと」
正しくは愛している人だけど、騒がれると困るので黙っておこう。
「・・・取り敢えず、カズマくんについては調べるけど、あたしはやっぱりめぐみんが一番で、ゆんゆんが二番目位かな?でも、他の人が入り込む余地はないと思うんだけどなあ」
「さっきも言いましたがそんなに持ち上げられても何も出ませんからね。でも調べて貰う分のお礼はします。今日は奢りますよ」
この後、帰宅しカズマの様子を伺ってみたが、特に不審な点は見られなかった。
私も参加させて頂いているカズめぐ小説リレーの宣伝をさせてください。
このリレー小説にはピカしばさん、勾玉さん、リルシュさんと名だたる投稿者が参加しており、私なんかが参加して良かったのかと今でも悩んでおります。
現在勾玉さんと私の投稿した二話が更新されているので、良ければ読んでください。
こちらがそのリンクです。
https://syosetu.org/novel/193334/
「日課の為に屋敷に帰った私がカズマの部屋に入って見たものとは!?次話『嘘ついてすみませんでした(仮)』です」
謝罪しているのはめぐみんではなく私です。このシリーズの次の投稿は十月となりますのでよろしくお願いします。
8月と9月にはキャラ達に祝福をの方を更新致します。
カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて
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