この素晴らしい世界に●●を!めぐみんのターン   作:めむみん

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またまた週一投稿を実現できなかった怠惰なめむみんです。
本日はこのお話ともう一つ投稿します。
これは確定事項なのでご安心ください。
今回も不出来ですが、お楽しみください。


宿屋にて

-YADOYANITE-

 

ラウンジに行くと、みんな集まっていた。

そして、暖かい視線を送られている。

 

「二人ともおはよう。昨日は楽しめたか?」

「温泉楽しかったですよ」

 

ダクネスの言わんとすることは分かるが、ここは回避しよう。

ウィズの質問攻めは面倒だ。

幸いなことにウィズは、意味に気付いていない。

 

「めぐみんは大丈夫だったの?」

「一過性の疲れだったので、寝たらすぐ治りました」

「カズマさんに続いて、めぐみんさんまで、休むことになって心配でした」

 

そう言われると立て続けに倒れたことになる。

実際の所、アクシズ教徒疲れと、仮病なのだが、この解釈に乗っておこう。

 

「言われてみればそうか。風邪ではないから伝染る心配はないけどな。でこの後はどうする?」

「日が暮れた頃にもう一度私達だけで源泉を見に行くことになってるけど、この後は特に決まってないよ」

「なるほど。では午前中は自由行動ですね?」

 

言ってカズマを見ると目を逸らさせれた。

朝、ダクネスとアクアに誤解されたせいかもしれない。

私としては構わないのだが、カズマは気にしているようだ。

 

「そうね。犯人を捕まえる為にも英気を養っておかないといけないものね」

「・・・何故そこで俺を見るんだ?」

「じゃあ私は教会に行ってくるわ」

 

カズマの質問には答えずに、アクアは宿から出て行った。

それに続くように皆して何かしらの理由をつけていなくなった。

私とカズマを除いて。

・・・ウィズ以外はわざとらしく用事を言ってたあたり気を遣ってくれたのだろう。

ありがたい。

 

「・・・俺らだけになっちまったけど、どうする?」

「爆裂魔法は今使うと不味いので、特にやることはないですね」

「じゃあ、部屋で夜の話するか」

 

こうして魔王軍対策会議が開かれることとなった。

会議と言うか会話の方が正しいかもしれない。

二人だけなのだから。

 

 

 

「ってことは相手が人型のうちに封じ込めないと行けないのか」

「そういう事です。カズマには出来るだけ源泉から幹部を遠ざけるように誘導して欲しいです」

「分かった」

 

大体の作戦は昼少し前に決まった。

作戦内容は、まずカズマの潜伏スキルを使いながらハンスを探し、気付かれないように接近し、こちらが有利なポジションで話しかける。正体についてはウィズが暴露してくれるだろうと言うことで、特に考えず、管理人さんの話を引き出す。

ウィズが攻勢に出たらすかさずゆんゆんにも魔法攻撃をさせると言った作戦だ。

ここから先は始まってみないと分からない。

 

「作戦は決まったし、この後どうする?」

「私としては爆裂欲をそそられることが起こらないようにしたいです」

「爆裂欲をそそられるって何だよ」

「カズマもまだまだですね。我と爆裂道を歩むものとして精進してください」

 

爆裂欲をそそられることは多く存在している。

例えば大きくて硬そうな破壊しがいのある物を見つけた時。私やカズマ達をバカする人が現れた時。カズマに近付こうとする女が現れた時などなど挙げていけばキリがない。

爆裂ソムリエとしてまだまだということが露呈した。

 

「勝手に爆裂道歩ませるな」

 

爆裂ソムリエになった時点で、歩んでくれているものだと思っていたのに、どうやら違うらしい。

 

「そうですか。では爆裂ソムリエの称号は取り消しです」

「ちょっと待ってくれ。爆裂道って爆裂魔法覚えろとかそう言う類のじゃないのか?別に爆裂ソムリエの称号が欲しい訳じゃないけど、そう言う意味なら別に一緒に歩んでも良い気がする」

 

何だろうか。

この、プロポーズを受けたような感覚は。

良い気がすると言うのがとてもカズマらしい。

 

「違いますよ。まあ、カズマが爆裂魔法覚えてくれるならそれにこしたことはないのですが、無理強いはしたくないので」

「・・・デート期間って知ってるか?」

 

カズマの言わんとすることは分かる。

わかるには分かるのだが、心に刺さる所もある。

 

「カズマは私とデートするの嫌なのですか?なら、やめますよ?」

 

そこまで落ち込んでいる訳では無いが、今にも泣きそうな掠れそうな声で言ってみた。

俯きながらちらっとカズマを見ると分かりやすく慌てていた。

これだからカズマをからかうのはやめられない。

 

「いや、そうじゃなくて、出来れば好奇の視線を浴びるからやりたくないってだけでな」

「ふふっ、分かってますよ。だからこそ罰としているのです」

「・・・でこの後、どうするんだ?」

 

変に反応するより、話を変える方が良いと判断したようだ。

もっと動揺している所を見たかったのだが、残念だ。

 

「カズマは何かしたいことありますか?」

「俺か?もうこの街嫌だから、ゆっくり休みたい」

「カズマの要望通り、部屋でゆっくりしましょう。膝枕してあげますよ」

 

ベッドに腰掛け、膝枕の準備を整える。

カズマはと言うと普通にベッドへ入り込もうとしている。

 

「じゃあ、俺はベッドに・・・今なんて?」

「膝枕してあげます。それとも添い寝がいいですか?」

 

ここで二択を迫る。

カズマのことだから添い寝よりも膝枕の方を選ぶだろう。

添い寝するとからかわれると経験で知っているから。

まあ、膝枕してても同じなのだけど。

 

「膝枕でお願いします」

「よろしい」

 

大人しくベッドの枕から反転し、膝の上に頭を移すカズマ。

膝枕いつぶりでだろう。

子供が大きくなってからはしてない気がする。

いや、私がカズマの膝を使うのは何度かやっていたっけ?

って、よく考えたら、こっちに来てから一度やっている。

まあ、冬将軍の時のはイチャイチャとかって言うより、看病的なモノだからノーカンということで。

あの時のこと思い出したらカズマを甘やかしたい欲が急激に増加してきた。

もし、カズマが魔法軍幹部討伐に行きたくないと行ったら応じてしまうかもしれない。

 

「なあ、これってお家デート的な意味だよな?」

「ええ、そう言えば膝枕はうつ伏せでもすると聞きましたが、カズマはやらないんですか?」

「誰だそんなアホなこと言ったやつ?騙されてるぞ」

 

誰でもないカズマ自身なのだが、今のカズマに言っても意味は無いか。

可哀想な子を見る目で見られても困るし、ブーメランでしかない発言に笑いそうなのを堪えるので大変だ。

 

「騙されてる訳じゃないですからね。カズマがしたいなら私は構いませんよ?」

「分かった。からかう為に言ったろ。俺はもうそう言うので惑わされないからな。うつ伏せではやらない」

 

全てお見通しと言った風なドヤ顔で、勝ち誇っている訳だが、私としては膝の上に乗った時点で、カズマは負けている。

うつ伏せ膝枕は入りでしかないのだから。

 

「残念です。うつ伏せでやってくれたらチャラにしようかと思っていたのですけどね」

「・・・別にめぐみんとデートしたい訳じゃないけどいい」

「ツンデレご馳走様です」

 

いつも人にツンデレと言うが、このパーティー一のツンデレはカズマだと思う。

パーティー全員に対して素直じゃないのはこの男ぐらいだ。

・・・でもこっちだと、仲間になったゆんゆんへは相変わらず、ツンデレじゃないような?

あれ?やっぱりゆんゆんって一番の危険人物じゃなかろうか。

今度二人で出かける所を尾行してみよう。

あっ、よく考えたら最近カズマとゆんゆんだけの外出が増えているような。

まずい、このままだと、ゆんゆんにカズマを取られかねない。

気の多いカズマの事だ。

私からの告白がない中、ちょっと弱った所にゆんゆんが献身的な行動を取ればコロり落ちてしまうかもしれない。

ゆんゆんは頼みもしないのに、お弁当を渡してくるような面もある。

くっ、カズマを攻略するにはやはり、好意を口にしなければならないのだろうか。

でも、今回はカズマの方から……

いや、待っていたら、ゆんゆんに先を越される可能性も……

 

「・・・で、これいつまでするんだ?」

「私の膝枕嫌ですか?」

「嫌じゃないけど、そろそろ誰か帰ってきそうだし、朝みたいなことになると面倒だからな」

 

カズマの心配は最もだが、対策は既に講じている。

 

「大丈夫ですよ。鍵閉めてますし、ここ防音ですから」

「・・・最後の言う必要あったか?」

「ありますよ。もしカズマが私を襲っても助けて貰えないんですよ?」

「自分から同室志願したくせに何言ってんの?」

 

今までならこれだけで跳ね起きて否定しただろうが、冷静にツッコミが帰ってきた。

カズマも既に慣れてきているのだろう。

 

「逆に私がカズマに何かしてもバレないってことです」

「・・・ちょっと待て、お前何する気だ?おい、めぐみん?俺はめぐみんを信じてるからな?めぐみ、ん?」

 

今度はあからさまに動揺している。

・・・カズマは私を何だと思っているのだろうか。

でもまあ、久々に凄く動揺したカズマを見られたしよしとしよう。

 

「ぷふっ、何が惑わされないですか。めちゃくちゃ動揺してますこの男」

「・・・こうなったらやってやるよ!」

「何をですか?ってえ?」

 

膝の上から一瞬重みが消えたと思ったら直ぐにまた感触が戻ってきた。

さっきとは異なるくすぐったい刺激と共に。

 

「・・・めぐみんの匂いがする」

「か、カズマ?何してるんですか?」

「何って膝枕。いや、うつ伏せ膝枕って言ったやつやっぱり天才だわ。これ病みつきになりそう」

 

こちらのカズマは案外ヘタレじゃないのかもしれない。

自分を天才と呼んでるとは思いもしないだろう。

初めこそは戸惑ってしまったが、状況整理が出来た今の私は冷静に対処する。

 

「急にどうして?」

「やけくそって言うか、なんて言うか。めぐみんに仕返ししたかった」

「そうですか。うつ伏せになった所で私は冷静ですけどね」

「嘘つけ、焦ってたろ」

 

ここで言い合いになるのはもったいないと思って反論せずに、時間を待つことにした。

うつ伏せ膝枕を始めて約数十分。

耳を澄ませると規則正しい寝息が聞こえてきた。

この状況で眠れるとは、カズマの慣れが魔王討伐後くらいになってる。

こうやって寝ているということは安心してくれている証拠。

膝枕をして頭を撫でながら愛でるのは凄く多幸感がある。

 

「二人ともそろそろ出発しようってアクアさんが呼んでるよ」

「だそうですよ。カズマ起きてください」

「・・・」

 

全く起きる気配がない。

もっとこうしていたいが、合鍵をオーナーに借りて誰かが入ってくるかもしれない。

早く起こさなければ、この状況を見られたりしたらカズマが恥ずかしがって、引きこもるかもしれない。

 

「カズマ、起きてください」

 

声をかけながら、身体を揺すってみる。

 

「あと、ごふん……」

 

そんなに待ってたら部屋に入ってこられてもおかしくない。

こうなれば脅しを使う他ない。

 

「起きないとカズマの部屋にある絵の多い本をみんなに見せますよ」

「まっ待った!それは洒落になってないから!」

 

効果抜群。

場所は把握してないが、カズマのことだから、エロ本を入手しているのは分かっている。

 

「そろそろ時間ですから行きますよ」

「えっと、誰にも言わないよな?」

「言いませんよ。カズマが勇者と仲間の女性が交合う本を読んでるなんてことは」

 

これまたこちらで確認した訳ではないのだが、付き合うようになってからカズマが見せてくれた内容を元に言ってみた。

見せてくれたと言うか、見せないと燃やすと言ったのはここだけの話。

 

「・・・因みにどれくらい知ってるんだ?」

「カズマの好みは年上で優しいお姉さんで髪が長くて胸が」

「もういいから。それ以上は言わなくていいから」

 

やはりカズマのタイプの女性像に変わりはないようだ。

私がカズマの好みだと言うのはダクネスの勘違いだろう。

 

「って、今はカズマの好みがどうとか話してる場合じゃないですよ。集合時間になる前に出ますよ」

「お、おう……」

 

不服そうにしながらもカズマは着いてきた。

今日の膝枕はこの男のツンデレはあいわからずのようだと確認できたことと、からかい耐性がある程度ついていて、ヘタレが弱まってる可能性があると分かったのが利点と言える。

そして、ゆんゆんに対する警戒レベルを引き上げる必要が出てきたと再認識させられた。

 

 

 

「お部屋デートしてた二人遅いわよ。みんな準備できてるんだから」

「「・・・」」

 

うつ伏せで膝枕をしていた事実が有る以上言い返せず、私達は黙っている。

 

「二人も来たことだし、そろそろ源泉に向かわないか?」

「ああ。早く行って早く終わらせよう」

「そうね。早く終わらせて二人の時間を作ってあげないといけないものね」

 

アクアの私達弄りが始まった。

こうなるとダクネスもゆんゆんも参戦して、カズマが音を上げるのがいつもの流れだ。

私はその時々で、カズマを擁護したり、一緒になってカズマにツッコまれにいく。

 

「一応言っとくけど、俺とめぐみんは付き合ってないからな」

「知ってるわよそんなこと。二人が付き合ったら絶対見せつけてくるでしょ?ゆんゆんもそう思うよね?」

 

そんなことはない。

付き合い始めは隣町に行ったり、紅魔の里で同輩に格の違いを教えに行ったりと見せつけるようなことはしていない。

毎度毎度街を出るのが面倒だとカズマが言い出した辺りからは、街でもデートをするようになって、屋敷でも気にしなくなったけれども、それは時間を置いている。

つまり、経験則から否定できる。

 

「間違いなく見せつけると思います。多分ところ構わずキスとかしてそうです」

「おいこら、言いたい放題言いやがって、付き合ったとしてお前らには結婚まで報告しねえよ」

 

うつ伏せ膝枕で耐性がついたのか、今日は大して慌てていない。

このままカズマが慌てなくなったらアクアも飽きて辞めるだろう。

それはそれで残念な気がするが、アクアの性格上間違いなく飽きが来る。

 

「結婚か。いつ頃の予定なんだ?」

「少なくとも紅魔の里から帰るまではないと思います」

「めぐみんも何言ってんの?」

 

毎度のことながらカズマのツッコミはキレッキレである。

カズマのツッコミを一度経験すると病みつきになる。

 

「冗談ですよ。これ以上カズマをからかうと引きこもりかねませんからね。行きましょう」

 

カズマは納得いかないと言わんばかりに睨んでくる。

それに対して私は微笑んでみると、ため息をついて矢筒の準備を始めた。

私はカズマにどう思われているのだろうか?

この反応はあまり良くないと思う。

 

「ぼぉーっとしてないで行くぞ?どうしたんだ?」

「カズマのことを考えてました」

「俺のこと?何か企んでるだろ」

 

相当耐性がついてきたのか、連れてきた猫のような警戒心を抱いてるようだ。

聞かれた質問に答えただけなのに、ここまで警戒されるとは。

もう少し、からかいを自重した方がいいかもしれない。

 

「何も企んでませんよ。事実を言ったまでです」

「何を考えてたか知らないけど、変なことしたらドレインするから」

「それは困りますね。もし負けたらカズマのせいですよ?」

 

ドレインタッチで魔力を吸われて、仲間を救えないなんてことは二度と御免だ。

カズマの自業自得とも言えなくはないが、あの時、私が上級魔法を使えればカズマが落ちることもなかっただろう。

あれ程に自分の無力さを感じることはなかった。

 

「もちろん明日の話だ。そういや、みんなに作戦の説明しなくていいのか?」

「いりませんよ。戦いが始まったらあとはカズマがその場の判断で指揮を取ればそれで大丈夫です」

「それもそうか。変に作戦伝えたら何するか分からないやついるしな」

 

恐らくアクアのことだろう。

拡大解釈して、余計なことをしかねないのは間違いない。

 

「カズマ、もし危ないと感じたら直ぐに逃げてくださいね?」

「言われなくてもそのつもりだけど?」

「・・・カズマはそういう人でしたね」

 

忘れがちだが、事前に分かっているリスク回避においてはカズマは一流だ。

ただそれを上回る巻き込まれ体質がカズマを当事者にさせるのである。

 

「そこのお二人さん遅いわよ!イチャイチャしてないで、早く来て!」

「・・・アイツ一回シバいていいか?」

「今シバくと面倒なので、帰ってからでお願いします」

「分かった」

 

とまあ、二人で話している間に源泉の入口に到着していた。

そして、門番と話をすると前回と同じく管理人が誰も入れるなと言い残し、源泉の調査へと向かったらしい。

こちらは国家権力を盾に中へと入る。

ハンス戦の開始はすぐそこまで迫っていた。




次回、ハンスとの戦いが繰り広げられます。
はたしてカズマ一行は無事に帰還し、紅魔の里へ行くことが出来るのでしょうか。
乞うご期待です。
次は6時か9時に投稿予定です。

カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて

  • カズマ視点(天界)
  • カズマ視点(討伐後)
  • ヒロインズの誰か視点(天界)
  • ヒロインズの誰か視点(討伐後)

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