この素晴らしい世界に●●を!めぐみんのターン   作:めむみん

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週一投稿がちゃんとできるようになってきました!
久々に一万字超えました!
でも質はいつも通り低クオリティなので、期待せずに読んでいただければと思います。
みなさんお気付きでしょうが、カズマ保護プログラムが何か判明いたします。


新たな境地

-ARATANAKYOUCHI-

 

目が覚めると、何だか、身体が軽くなったような感じがした。

それと胸の辺りに何かが乗っているかのような重みを感じる。

多分前者は、昨日のダルさが取れて楽になったことからの錯覚なのだろう。

そして、後者はアクアの足が乗ってるとか、めぐみんが乗ってるとかそんな所だろうか。

眩しくて目を開けられずにいると、誰かが近付いて来た。

そして、俺の自由を奪うように抱き締めてくる。

こんなことするのはめぐみんだろう。

 

「めぐみん、離してくれ」

「嫌です。離しません」

 

などと言って俺の胸に顔をすっぽりと埋めて動こうとしない。

めぐみんは俺の事をなんだと思っているのだろうか。

ちょむすけを可愛がるとかそんなレベルな気がする。

 

「なあ、こんなとこ見られたら恥ずかしくて顔見られなくなるぞ」

「私は大丈夫ですから、お構いなく」

 

こっちが構うわ!

完全にめぐみんのペースに乗せられてる。

何とか反撃はできないかと、脇腹を攻撃してみる。

 

「くすぐりぐらいでは離しませんよ?」

 

必死に堪えながらめぐみんは言った。

くすぐりは対策されると効きにくい。

力では劣るし、もうやれることがない。

 

「じゃあ、どうしたら離してくれるんだ?」

「何故私がこうしてるか理解できたら離します」

 

言い終えるとめぐみんはまた俺の胸に顔を埋めて、手に力を入れてくる。

この子に羞恥心とかはないのだろうか。

俺をからかって遊ぶにしても、多少照れたりするものじゃなかろうか。

 

「こうしてると凄く安心して癒されます」

 

などと供述しており、めぐみん氏に照れなどないようである。

もう、抵抗するのをやめて、抱き締め返してやろうか。

よし、決めた。

やってやろう。

手を後ろに回し、ゆっくり近付ける。

すると、めぐみんはほうっと息を吐いて、蕩けた顔でこちらを見てくる。

・・・逆効果じゃねえか。

しまった。

これ今更やめたらからかわれるやつだ。

何処まで計算してやってるんだよ。

こんなの可愛すぎるだろ。

アレなのか?

やっぱりめぐみんって俺のこと好きなのか?

普段からからかってくるのは好きの裏返しか?

こんなことならもっと恋愛小説とか読んでおけば良かった。

そして訪れる静寂。

二人とも見つめ合ったまま動かない。

こうやって見てると、やっぱりめぐみんって可愛いよな。

爆裂爆裂言わずに、短気じゃなかったらモテるのに。

いや、まあ、爆裂取って短気じゃなくなったやつはめぐみんでは無い他の誰かなんだけども。

・・・って、あれ、何だろう。

何だろうか。

何かがおかしい気がする。

いつもより、自分に余裕があるような気がする。

普段ならこの状況でめぐみんの顔を直視出来るだろうか。

いや、緊張して絶対視線を逸らしてる。

めぐみんの奇行に慣れてきたと言えば、そうなのかもしれないが、他にも違和感がある。

凄い今更だが、めぐみんが胸に収まってるって表現が、物理的に収まってる気がする。

あれ?

よく考えたら、いつもこんな状況になったら悲鳴をあげる息子が今日は静かだ。

何が起こって・・・

 

「ようやく気付いたようですね。カズマちゃん」

「カズマちゃんって何だよ!つかこれどういう状況だ!」

「これもカズマちゃんの為なんです」

 

言っていた通り、拘束が解けて自由になる。

慌てて身体を確認するとあるべきモノがなくなり、無いはずのモノがあった。

そう、息子がなくなり、たわわに実ったものがついている。

いや、何が起こってるんだ。

女になってる。

しかも、めぐみんがこの状況を作り出したのは言うまでもない。

 

「俺このまま女として暮らすのか?」

「その内元に戻りますよ。もし戻らなくなったら、私が責任を取りますから」

「責任ってどうするんだよ」

 

性転換なんて、ホイホイと出来るものじゃ無いはずだ。

恐らく、昨日の特製経口補水液とやらが、性転換のポーションだったのだろう。

俺の知ってる経口補水液とは違う味だったし。

めぐみんのこと信じてたのに、こんな形で裏切られるとは。

 

「カズマちゃんをめぐみんくんとして支えます」

「・・・いや、そこは解毒方法見つける旅するとかだろ」

 

どうしてめぐみんってこんなにも男らしいのだろう。

不覚にもキュンとしてしまった。

 

「私達の性格を考えると、性別逆でもいいんじゃないかと思いまして」

「思いましてじゃねえ!ったく。でどれくらいで治るんだ?」

「大体、二日後くらいです」

 

二日。

短いのか長いのかよく分からない。

女の人の行動をよく知らないし、色々不便なことが多そうだと考えると二日は長いか。

 

「・・・なあ、トイレとか風呂とかどうすればいいんだ?」

 

特にアレとかアレをどうするのかを俺は知らない。

でも、胸の事はめぐみんに聞いても分からないか。

 

「喧嘩を売ってるなら買おうじゃないか!」

「いや、俺何も言ってないだろ!」

「視線と表情で分かりますよ!なんですかこれは!男だったくせにこの無駄脂肪は!モイでやります!」

 

勝手に人の性別変えといて、自分より発育した胸に攻撃するとか理不尽過ぎるだろ。

やっぱりめぐみんはめぐみんだ。

 

「ちょっ、めぐみんやめろ!痛い!痛いから!つかさっきその無駄脂肪に癒されてただろお前!」

「な、なんのことか分かりませんね。でも今回はこのくらいで許しときます」

 

何とか乳をもがれずに済んだ。

ゆんゆんっていつもこんなことされてるのか。

今度からは眺めずに止めてあげよう。

 

「髪の長さはそのままか」

 

鞄から手鏡を出して確認する。

髪が伸びるとかってのもこう言うのではあるあるな気がするけど、そんな事はなかった。

ただ、髪質が変化している。

客観的に見て、多分めぐみんかゆんゆんの姉ですと言っても通じる感じで、髪のハネがなくなり、サラッとしてる。

アルカンレティアで、めぐみんと兄妹に間違われたし、普通に有り得る話か。

 

「カズマは美人になると思ってましたが、中々ですね。みんなが着替え用意してますから、行きますよ」

「・・・俺以外知ってたのか?」

「ええ、みんなカズマのためだからと。ウィズには仕入れをして貰ったので」

「・・・」

 

俺は初めて、仲間でも無条件に信じてはいけないと思い、軽く人間不信になるのであった。

 

 

 

 

 

カズマ保護プログラムが無事に成功した。

あとは里に着くだけ。

保護プログラムで、唯一、後悔しているのは、カズマの胸である。

アクアと同じくらいのサイズ感。

目覚めた時に、カズマの様子を確認すると大きなモノを付けていた。

カズマも大きいのに、どうして私はと落ち込むこと数十分。

カズマはカズマだと言う事で、いつも通りからかおうと言う考えに至り、抱き着いてみた。

そして、私は思った。

カズマの胸に収まって、添い寝することが何と素晴らしいものであるかと。

シルビアに捕まった時のカズマの気持ちが分かる気がする。

何と言うか、収まるべくしてここにいるような安心感。

そして、柔らかい感触。

病みつきになりそうだった。

 

「ねえ、カズマは大丈夫なの?」

「大丈夫ですよ。あと数分もすればカズマは私に感謝することとなるでしょう」

「もし、オークが現れなかったら嫌われるかもしれないよ?」

 

ゆんゆんが何気なく言ったこの言葉に私までもがダウンしてしまった。

 

「ゆんゆん、あの二人どうしたの?」

「カズマは、性別が変わったことが原因なのは分かりますよね。めぐみんは、オークが現れなかったら、カズマに嫌われるかもしれないって私が言ったのを機に落ち込んでます」

「それならめぐみんはもう大丈夫だ。ほら、前方にオークの群れが見えてきた。はぁ、メスのオークばかりのようだが、オスは何処にいるのだろうか。武者震いが、ハァハァ」

 

良かった。

これでカズマに危険性を伝えられる。

嫌われずに済む。

 

「・・・ダクネスさん。その、オスのオークは絶滅しましたよ」

「えっ……」

「ちょっ、ちょっとダクネス!前見て!前!」

「ダクネスさんしっかりしてください!」

 

オスのオークが存在しないと知ったダクネスが御者として機能しなくなったらしい。

アクアとゆんゆんが二人がかりで、何とか馬車を停車させ、ダクネスを荷台へと移した。

何と言う好タイミング。

オーク達の群れの近くで止まった。

オーク達がこちらに近付いて来たので、アクアが馬車を降り、通して貰えるように交渉に向かった。

 

「・・・もう、着いたのか?」

「まだですよ。ダクネスが気を失ったので、緊急停車です」

「ダクネスは大丈夫なのか?」

 

覇気のない声で、言った。

自分のことで精一杯だろうに、ダクネスの心配をしている。

やっぱり、カズマは凄い。

 

「ええ、それよりもカズマ。外を見てください」

「嫌だ。俺はもう誰も信じない」

「そう言わずにほら見てください」

 

強引にカズマを窓まで連れてきて外を見せる。

外一面にオークが、群れているのを見てカズマもヘナヘナモードでは無くなった。

 

『あなた冒険者ね。その馬車の中に男が居るでしょう?差し出しなさい。そうすれば通してあげるわ』

『そうアークプリーストよ。でも残念ね。男はこの馬車に居ないわよ?』

『そんな嘘通じないわ。早く中を見せなさない』

『見たければどうぞ。いないったら居ないんだから』

 

言って、アクアはオークに道を譲る。

群れが男を欲して馬車を囲み込む。

辺り一面にオークが現れ、カズマは相当怯えている。

 

「こんにちは。可愛い男の子は居ないかしら」

「「「・・・」」」

「おかしいわね。オスの匂いがしたんだけどね」

「という事で通してもらうわよ」

「その前に一番奥の子を連れてきなさい」

 

カズマをご指名のようだ。

ここは大人しく言うことを聞く方がいい。

 

「カズマ、行きますよ」

「うん」

 

どうしよう。

カズマがか弱い女の子みたいで、凄く可愛い。

ギュッとしたい衝動を抑えながら、後ろからローブを摘んで歩いてくるカズマを見守る。

 

「やっぱり、この子からオスの匂いがする」

「この子は兄の服を着てるのですよ。兄はアルカンレティアにいるので、この中に男は居ません」

「なるほどね。お邪魔したわ。通っていいわよ」

 

オークは諦めて離れていった。

今回はカズマにトラウマを負わせることなく済んで良かった。

 

「ほら、見ましたか?あれがオークです。男を見つけたら攫って行く生物です。カズマが男のままだったら襲われる所だったんですよ?」

「俺、一生めぐみんについてくよ」

 

そう言いながら抱き締められる。

優しく包み込まれ、柔らかい感触に覆われる。

新たな扉が開かれようとしている気がする。

このまま開いたら不味い気がするので、カズマから一旦離れる。

 

「あの、カズマ。性別が変わってること忘れないでくださいね?」

「ああ、気を付ける。でもあれだな。ダクネスのわがままボディ見てるとイラッとしてくるから、大丈夫だと思う」

「そうでしょう。そうでしょう。カズマのこれもイラッとしますが、カズマなので許します」

 

もぎ取りに行こうと思ったものの。

カズマが悪い訳ではないのを思い出して、摘みに行くのはやめた。

 

「さりげなく揉むな。つかお前が俺をこんな身体にしたんだろうが。責任を持った言動してくれ」

「ゆんゆん、これが百合百合しいってやつよ。この場合めぐみんが攻めでカズマが受けね」

「・・・いつもと同じような気がするんですけど」

「・・・それもそうね」

 

言いたい放題言ってくれる。

まあ、その通りではあるけど。

 

「みなさん。ダクネスさんが目覚めましたよ」

「すまない。迷惑をかけた」

 

何とかオーク達を退け、里への移動が再開された。

馬車が動き出して、数分後、カズマが私を膝の上に乗せたがり出したので、現在カズマの膝上に座っている。

何故膝の上にに座らせたがっているのかは謎である。

 

「やっぱり、めぐみんって可愛いよな。妹に欲しい」

「ありがとうございます」

 

姉がいるとこんな感じなのだろうか。

凄く落ち着く。

カズマは性別が変わっても私の癒しであった。

 

「こうやって見てると、お二人が兄妹のように見えますね」

「ウィズの言う通りね。カズマを紅魔族ぽい名前に変えましょう」

「その必要はありませんよ。カズマはかっこいい名前ですから」

 

紅魔族ぽさも何も、サトウがついていなくて、紅眼で黒髪であればカズマは紅魔族と言ってもいい。

つまり、名前は紅魔族と言えるものだということだ。

 

「そうなの?」

「はい。確か、ちょむすけの名前候補にもあったと思います」

「・・・嬉しくねえ」

 

かっこいい名前を授かっておきながら、何を言っているのだろうか。

カズマのネーミングセンスは間違っている。

 

「嬉しくないとはなんですか。褒めてるんですよ?」

「・・・めぐみんには絶対に俺の子の名前付けさせない」

「いいえ、カズマの名前のセンスはダメダメなので、私が名付けてあげます」

「名前のセンスがおかしいのはめぐみんの方だからな」

「なっ、センスがおかひいって、ほおをひっはるのやめへふだはい」

 

おかしいと言われたのは流石に癪だったので、振り返ると、頬をぷにぷに引っ張られた。

今のカズマは何だかセシリーと被る行動を取っているような気がする。

相手がカズマだったら、こんなにも心地よいものになるのだと気付いた。

 

「やっぱり、めぐみんかわいいわ。なんで俺は今までめぐみん可愛がってこなかったんだろ?」

「知りませんよ。私としては性別が変わってからこんなにもスキンシップしたがるようになったのか謎です」

 

ヘタレなカズマがこんなに積極的になるとは思えない。

何がカズマを掻き立てるのだろうか。

 

「そんなのかわいいものは何でも愛でたいだろ?めぐみんが疲れたって言うなら次は、さっきから膝に乗りたそうにしてるゆんゆんと交代するけど、俺が女になった影響だからな。めぐみんが責任取るって話だったろ?」

 

責任の話を持ち出させれると何も言えなくなる。

そうだ。

今のカズマの行動は性転換ポーションの副作用みたいなもの。

私が対応しなくては。

 

「え、えっと、私は、別に……」

「カズマって、かわいいを目にしたらお持ち帰りしたくなる子だったのね」

「何処かの作品のヒロインみたいに言うな。俺はお持ち帰りしたいとか思って・・・なあ、めぐみん。里に着いたらファションショーしていいか?」

 

結局、私はお持ち帰りされるらしい。

まじまじとこちら見ているカズマの目は爛々としている。

あっ、この目見たことある。

セシリーがいつもしてる目だ。

一人だと不味い気がする。

こういう時こそ、友人を頼ろう。

 

「構いませんよ。ゆんゆんも一緒にやりましょう」

「・・・えっ!?私もなの!?」

「ゆんゆんもいたら二人揃ってかわいさ二倍だ」

 

・・・ダメだこの人。

完全にセシリーその者になってる。

 

「カズマのロリコンは性別が変わっても変わらないのね」

「誰がロリコンだ!その発言は敵を三人作るってことをお前はそろそろ学べ」

「何がって、ゆんゆん?どうして私の手を掴むの?め、めぐみんまで!その手は何!?」

 

ゆんゆんが抑えていない右腕を抑え、アクアを拘束する。

そして、カズマを見て私は言った。

 

「思い切りやっていいですよ」

「言われなくても全力でいくに決まってるだろ」

 

この後アクアは笑い地獄を味わった。

途中でダクネスが代わりたいと言い出した辺りでおしおきは終了した。

くすぐりの刑中に減速したり、停車したりしたため。

今日もまた野営することとなった。

 

「ゆんゆんもかわいい。撫でていいか?」

 

私が食事当番で、離れた隙に、カズマはゆんゆんに乗り換えたようだ。

解せない。

何が解せないかと言うと、カズマの膝の上で緩みきった笑顔を見せてるゆんゆんが一番解せない。

 

「カズマがあんなになってる理由分かりますか?」

 

一緒に夕飯の支度をしているウィズに質問してみる。

 

「カズマさんがスキンシップしたがるようになったことですか?」

「ええ、あれは普通じゃないと思うのですが、それにカズマはヘタレですからあそこまでなるとは思えないんですよ」

 

そう。

あのヘタレなカズマがここまで積極的に行動できるとは思えない。

何の躊躇いもなく、ハグするなど考えられない。

 

「スキンシップが増えた理由は分からないですけど、積極的になったのは性的に意識していないからだと思います」

「・・・性的な意識?」

「はい。カズマさんが女性に変わった事で、女性に対する意識がこれまでの男性へのものへと変わったのだと思います」

 

ふむふむ。

つまり、カズマが男の子だった時に私たちをどう思っていたかは関係ないのということか。

 

「でも、男の人とあんなことしてませんし、イケメン大っ嫌いでしたよ?それが反転したら美人とかに嫌悪感抱くと思うのですが」

「もしかすると逆にかわいいは、大好きになるように変換されたのかもしれません性別と同じように反対の物に」

「・・・もし、年下だけだったら、その、私は思ってませんけど、アクアが言うみたいにロリコンが顕在化したとかって事になりませんよね?」

 

時たまカズマは年下好きなのではないかと思う程に、幼い子に甘い。

こめっこやアイリスに対してのデレ方は凄かった。

 

「今の所、めぐみんさんとゆんゆんさんだけですからね。もう少し様子を見てみないことには、あっ、その心配はないみたいですね」

「ダクネスもかわいいんだからもっとかわいい服着た方がいいと思う。てかもう偽名だってみんなにバレてるし、ララティーナってかわいい名前持ってるし、もうララティーナでよくない?」

 

ララティーナは顔を真っ赤にして、ぷるぷる震えていた。

その表情もかわいいとカズマは思っているようだった。

 

「な、何を言ってるのだカズマ!それはポーションのせいなのか?それともいつものなのか?」

「俺は真剣に言ってるけど、アクアもそう思うよな」

「そうね。ララティーナってかわいい名前はダクネスにピッタリだと思うわ。そうだ。カズマ用に買ったけど、サイズ大きかったこの服ダクネスに着せましょう!」

 

追い討ちをかけるようにアクアが畳み掛ける。

そして、ダクネスの注意がアクアに向いている隙に、カズマはダクネスの背後へと回る。

 

「いや、私にはそういうのは似合わないからって、おい、カズマ、何をするんだ」

「何って着替えさせるに決まってるだろ。アクアやるぞ」

 

ダクネス、あなたの尊い犠牲は忘れません。

かわいく生まれ変わるのを楽しみにして待ってます。

 

「一先ず安心と言っていいのか分かりませんが、とりあえず良かったです」

「カズマカズマ、私はどう?」

 

ダクネスをかわいいララティーナちゃんに変身させたアクアがそんなことを言い出した。

 

「どうって何が?」

 

みんなが可愛いと言われているのを見て自分も言って欲しくなったようだ。

 

「皆みたいにギュッてしたいとかないの?」

「・・・男の時と一緒で何もないな」

 

これは流石に可哀想だと思った。

アクアはカズマの胸ぐらを掴み、揺さぶりながら言った。

 

「何でよ!あんた前にペット枠って言ってたわよね!なのにどうしてよ!」

「いや、だって、お前の順位ちょむすけより下だからな」

「何ですって!いい加減カズマにはバチ当てるわよ!そもそも女神であるこの私がペット枠ってのが許せないわ!」

 

アクアは相当お怒りのようだ。

それに対してカズマは、既にアクアのことはどうでも良くなったのか。

席に戻って、ゆっくりし始めた。

 

「やれるもんならやってみろ。てかちょむすけ連れてくれば良かったな。今めちゃくちゃ撫でたい」

 

落ち込むカズマは哀愁漂っている。

見ていられなくなり、ちょうど夕飯の支度が終わった私は歩いていく。

そして、アクアの猛攻を防ぎつつ、カズマの前に立つ。

 

「代わりに私を撫でると言うのはどうでしょう」

「もう準備終わったのか?おつかれ。頑張っためぐみんにご褒美な」

 

言って、膝の上をポンポンと叩いて、カズマが手を広げている。

あっ、これだめだ。

癖になるやつだ。

 

「・・・めぐみんが猫みたいになってるわね」

「どっちかって言うと忠犬のようにも見えます」

 

人をペットみたく言う二人には今度痛い目を見せてあげよう。

アクアに関しては自分が怒っていたのに人に言うのはどうなのだろうか。

 

「な、何でもいいから。早く元の服に戻してくれないか?」

「ダメよ。少なくとも今日はそのままだからね」

 

ダクネスが弱々しく、服の返還を求めたが、軽く跳ねられた。

フォローに入りたいが、カズマに愛でられてるから動けない。

今は後ろから抱き締められている。

背中に伝わる柔らかい感触が病みつきになりそう。

これに似た状況なら何度も経験してるのに、カズマの物だと思うと凄く心地がいい。

ああ、私はカズマがどうなろうともカズマの全てが好きになのだと改めて実感した。

 

「・・・」

「ダクネスさん。元気出してください」

「ゆんゆん、ありがとう」

 

ダクネスがゆんゆんに慰められ、私とカズマはお互いに癒され、その光景をアクアが面白がって眺める時間が数分続いた後、さっきまで黙っていたウィズが声を上げた。

 

「あ、あのう。早く夕飯にしませんか?ご飯冷めてしまいますよ」

 

ウィズの言葉で夕食が始まった。

ダクネスが何度か着替えるために逃亡を図っていたが、見事にカズマアクアの連携により阻止されていた。

ダクネスが心配になる一方で、かわいい服を着たダクネスをもっと見ていたいと思うそんな複雑な心情である。

 

 

 

 

 

みんなが眠りに付き、ウィズと見張りをしている。

今日一日を過ごして思ったのは、ウチのパーティーはかわいいが集まってるってことだ。

ウィズもかわいいし、周りにかわいいがこんなにも一杯あったとは。

性別が変わっても変わらない概念はアクアのみ。

何故かアクアはアクアだった。

 

「ウィズもこの計画知ってたんだよな?」

「ええまあ。めぐみんさんに頼まれて仕入れたのは私ですから」

 

申し訳なさそうに言ってくるけど、俺は怒ってないし、どちらかと言うと感謝してる。

オークに遭遇するまでは人間不信に陥ってたけど、あれを見た後だと、ありがたみの方が大きい。

 

「この性別変わるポーションの副作用分かってる範囲でいいから教えてくないか?」

「えっと、まず、カズマさんが昨日具合が悪くなったように、体調不良が起こります。次に行動パターンがある程度、変化します。後は元に戻る時にまた体調不良が起こることと、稀に性別が戻らないってことですね」

「なるほど。大した問題はないのか。・・・いや、今稀に元に戻らないって言わなかったか?」

「ええ、でも、万に一つの可能性ですから大丈夫ですよ。ただ、このポーションで性別が変わるともう性別転換のポーションはつかえなくなるので気を付けてください」

「・・・さすがウィズ魔道具店クオリティだな。めぐみんさんや。大丈夫じゃないもの飲ませてくれたのか?」

 

寝ているめぐみんに問いかけて見ると寝袋の上からも分かるくらいにビクッと跳ねた。

早く寝ろって言ったのに起きてたのか。

 

「起きてるのバレてるからな。弁明したけりゃ今のうちだぞ」

 

直ぐに起き上がり、めぐみんは堂々と言った。

 

「カズマの運の高さなら大丈夫かなあと。もし、性別が戻らなければ私も性別変わって責任取りますから安心してください」

「安心できねえよ!目には目を歯には歯をじゃないんだから美少女なめぐみんが男になる必要はないし、仮に責任取るとしてもこのままで頼む」

 

めぐみんにはかわいいままでいて欲しい。

世の中には同性婚なるものもあるのだ。

問題は無い。

 

「え、えっと、そうですか?」

「一応、冒険者カードは男のままだし、手続きとかは問題ないと思う」

 

確認しようとウィズのいた方を見ると、居なくなっていた。

時間を見るとめぐみんとの交代時間が近かった。

気を使って先に眠ったのだろう。

俺としてはまだ聞きたいこともあったし、眠られると困るのだが。

 

「・・・子供はどうするんですか?」

「・・・その時だけめぐみんが男になるとか?」

「ではそれでいきましょう。その時はちゃんと元に戻れるやつで」

「当たり前だ。俺のと同じのは飲ませねえよ」

 

・・・俺ら何の話してんだ?

俺が男に戻れなかった時の話だよな。

なんで、子供の話になってるのだろうか。

 

「その、何か不便なこととかないですか?」

「うーん。ちょっと肩が凝ってる気が……何でもないぞ。うん。ほら、このとお、り、ちょっ、おい、何する気だ。女になってさらにひ弱な俺に何しようってんだ」

 

手をわしゃわしゃ動かして、めぐみんがにじり寄って来る。

眼の色は攻撃色だ。

首絞めとかそこらへんをされるだろうと目を閉じて構えていたが何も起こらない。

恐る恐る目を開けると、少し眼の光が落ち着き、困ったようにこちらを見つめるめぐみんがそこにいた。

 

「……イラッとしましたが、我慢します。その代わり膝枕をさせてください」

「膝枕?そんなかわいいことして、許されると思ってんの?」

 

さっきまでの恐怖心なんてどこへやら、かわいい以外の感情がなくなった。

めぐみん、恐ろしい子。

 

「許してくれないのですか?」

 

上目遣いでこちらを見てくる。

・・・こんなにかわいいものを許せないわけがない。

 

「いや、超許す」

「ふふっ、カズマちゃんになってから甘えるのが楽しいです」

 

めぐみんが構ってちゃんだったのは驚きである。

いや、お姉ちゃん属性が好きなのかもしれない。

 

「そうか?俺は甘えられるの楽しい。でもこのまま寝るのだけはやめろよ。そろそろ交代だから」

「そう言えばそうですね。アクアとカズマが交代でしたね」

 

夜に何かをする時は真っ先に寝落ちし、起きなくなる。

初めから当番にしなければいいとも考えたが、それはそれで調子に乗ってウザイだろうから辞めた。

 

「・・・こいつ毎度起きねえからな」

「まあ、それならそれでいいです。カズマと二人きりの時間好きですから」

 

結局ダクネスと交代するまで起きとかないといけないのか。

二人きりの時間が好きとか嬉しいこと言ってくれる。

めぐみんと一緒ならほんの数時間苦じゃない。

何故ならここに癒しがあるのだから。

 

「俺もめぐみんと居るの好きだ。デートも周りに茶化されない間は楽しいし、なんて言うか一緒にいると落ち着く」

「・・・そ、そうですか。嬉しいです」

 

反応が遅れている。

眼を擦っているから、多分睡魔に襲われてたのだろう。

目を開けながら寝られると怖い。

 

「どうした?眠いのか?」

「はい。このままだと寝そうなので、膝枕辞めます」

「それは残念」

 

もうちょっとめぐみんを眺めてたかったが、しょうがない。

起き上がるとめぐみんは静かになり、お互いに寝ていないかの確認だけをしていた。

ただ途中で、手を握ってきたのが可愛すぎて、ハグしたらめぐみんの眼が凄く紅く光ったので、辞めた。

真夜中に光る紅い瞳に怯む俺であったが、後から聞くとめぐみんは怒ってなかったらしい。

じゃあなんだったのかって話は教えてくれなかった。

この理由を考えている内にダクネスとの交代時間が来て俺は眠りについた。

ゆんゆんに紅魔族の眼について、今度詳しく聞こう。




カズマさんがカズマちゃんになりました!
ということで、カズマ保護プログラムは性転換でした。
果たしてカズマさんは無事に男に戻れるのでしょうか。
そして、カズマ一行は無事に里にたどり着けるのか!
乞うご期待です!

カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて

  • カズマ視点(天界)
  • カズマ視点(討伐後)
  • ヒロインズの誰か視点(天界)
  • ヒロインズの誰か視点(討伐後)

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