この素晴らしい世界に●●を!めぐみんのターン   作:めむみん

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遅くなりました。
遂に週一投稿が崩れたと思った方もいらっしゃると思いますが何とか間に合いました。
今回は彼の者たちが現れます!


対魔王軍遊撃部隊(レッドアイ・デッドスレイヤー)

-REDEYE・DEADSLAYER-

 

目覚めると心地よい枕の上で私は眠っていた。

そう。

カズマの膝枕である。

目を開けるとたわわに実った無駄脂肪が見える。

思わず手が伸びてしまった。

どうしようか。

これはこのまま触った方がいいのだろうか。

カズマは私を膝枕させたまま眠っている。

無防備なカズマにイタズラしたい欲求を抑え、周囲を確認する。

ゆんゆんがこちらに気付きニヤニヤしてるのが見える。

凄くしばきたい衝動に駆られたが、カズマの膝枕と天秤に掛け止めた。

・・・あれ?

私の方が後に寝たはずなのに、どうして私は膝枕されているのだろうか?

 

「ゆんゆん、この状況の説明をお願いします」

「アクアさんが起きなくて、代わりにカズマが起きて、寝ないためにこれは必要なことだとか言って、膝枕始めたんだけど、直ぐに睡魔に襲われて寝ちゃったの」

「よく分かりませんが、分かりました。カズマ起きてください」

「ん?ああ、めぐみんおはよう。今日もかわいい」

「あ、ありがとうございます」

 

何の躊躇いもなく言われると耐性がなくて困る。

と言うか、なんだかカズマが昨日よりも美人になったような気がする。

何と言うか話し方が穏やかになってるような。

 

「ゆんゆんもかわいいし、みんなの寝顔もかわいいし、最高の目覚めだ」

「えっと、ありがとうございます」

 

敬語になるくらいには焦ってるらしい。

まさか自分にも来るとは思ってなかったのだろう。

 

「起こすのもったいない気もするけど早く行かないとモンスターとか現れると怖いから起こしましょう!」

「はい。・・・ましょう?」

 

遂には言動だけではなく口調までも変わってしまった。

もはやカズマ要素といえば髪型しかない。

その髪もサラサラになってはいるのだが、まだ双葉は残っている。

これが最後の砦かもしれない。

 

「魔性のめぐみん?」

「違いますよ!私は魔性なんかじゃないですから!語尾が変わってますよ?」

 

性別が変わっても私を魔性と言うとはどういう事なのだろう。

カズマはキョトンとしていて、凄く可愛い。

 

「そう?ゆんゆんもそう思う?」

「語尾もですけど、話し方もちょっと違う気がします」

「ゆんゆんから敬語で話されると凄いショック」

 

分かりやすく凹んだカズマは俯いた。

膝枕中である為、カズマが下を向くと顔の距離が近くなるわけで……

 

「いやこれは、その……」

 

恐らく、ゆんゆんの中で現在のカズマをカズマとは認識出来ないのだろう。

今更だけど、カズマの髪が伸びている。

別人に見えても仕方なく、自然と敬語が出てしまうといった所か。

弁明しようとあたふたしている。

と、そんなことよりも今はカズマの顔が間近にあることが重要。

カズマはこちらに近付いている様子はなく、元気がない。

伸びた髪がサラサラしていて魅力的だ。

 

「私はカズマがどうなろうとも態度を変えたりしませんし、一緒にいますよ」

「め、めぐみん!!それはずるい!」

「ずるいって何ですか?私はカズマを安心させて、へ?」

 

突如浮遊感に襲われる。

いや、心地いいから襲われると言う表現は違うような気がするけど、それは置いといて、カズマに抱き上げられた。

そして、優しく包み込まれ、耳元でカズマが囁く。

 

「私、一生めぐみんを大事にする」

 

なんと、一人称までもが、変わってしまった。

しかも、プロポーズみたいな言葉をかけられた。

あれ、どうしよう。

もう、カズマがこのままでもいい気がしてきた。

この思考はヤバイ。

一度、離れないと色々不味いことになりそう。

とは言えここで逃げるとカズマが落ち込みかねないので、動けない。

 

「あ、ありがとうございます。何かあれば私を頼ってくださいね」

「よろしくね」

 

割と早く解放され、新たな扉が開くことは何とか避けられた。

いくらカズマとは言え、私が好きなのはヘタレなカズマであって、こんな、積極的で、包容力のあるお姉さんではない。

落ち着け私。

カズマとのデートの日々を思い出していこう。

 

「そうだ。里に着いたらデートしない?今女の子同士だからショッピングも一緒に楽しめると思うし」

「もちろん行きますよ。おすすめのお店紹介しますね」

 

何も悩むことなどなかった。

カズマはカズマではないか。

ヘタレじゃなくなったと思ってはいるけど、多分感覚的には私がこめっこに接するような感じなのだと思う。

だから、大丈夫。

問題は無い。

 

「ちょっ、ちょっと待って!めぐみんそれは不味いよ!」

「何ですか?ゆんゆんも一緒にショッピングしたいのですか?」

「えっと、それはしてみたいけど、そうじゃなくて、カズマを隠すって話じゃなかった?」

「・・・とゆんゆんが言ってるので、残念ですが、デートはできませんね」

「ゆんゆんのいじわる」

 

半泣きになったカズマに、ゆんゆんはどうすればいいかわからず助けを求めてこちらを見る。

私だってこんなに弱々しくなったカズマの扱いなんて知らない。

 

「もう。朝から誰が泣いてるのよ。目が覚めちゃったじゃない。って誰この美人」

「うっ、アクアがああああああ!!」

 

自分の名前を叫びながら、謎の美人が私目掛けて飛んで行くのを眺めていたアクアはポカンとしていた。

胸元に顔を埋めて泣いているカズマを落ち着かせようと摩っているが、泣き止みそうにない。

そんな中、また一人が起きて言った。

 

「だ、大丈夫か!あれ、何もいないのか?・・・めぐみんに慰められてる女性は誰だ?」

「だ、だくねすまでひどいよおおおお!!」

「カズマ。落ち着いてください。その、一旦自分の容姿を確認した方がいいと思います」

 

多分、口調が変わったことに気付いていないように、容姿の変化にも気付いていないのかもしれない。

 

「私の容姿?」

「そこの池、覗いてください」

「・・・これ、私なの?全然別人だ。てか男の時だったら超タイプなお姉さんじゃん」

 

言われてみれば、髪が伸びてロングのストレート。胸も大きくて、甘やかしてくれるお姉さん。

カズマのタイプその者だ。

 

「だから、ゆんゆんが敬語になったり、アクアやダクネスが誰と言ったりするんですよ」

「・・・みんなが急に冷たくなったのかと思ったけど、良かった。ふふっ、でもめぐみんは分かってくれてたの凄く嬉しい。ありがとう」

 

性格まで弱くなって、本当に女の子見たいになっていて、保護欲がそそられる。

カズマは私が守らなければ。

 

「ねえ、あれ、カズマなの?」

「会話からしてそうだと思うが、全くの別人になっているな」

「でもめぐみんはどうしてカズマだって、分かったのかしら?」

 

ダクネスとアクアがああでもない、こうでもないと言い合う中ゆんゆんが言った。

 

「愛の力とかどうです?」

「「なるほど」」

 

私もそれが正解だと思ってる。

認めるのは違う気がするけれど。

 

「愛の力?何の話?」

「何でもいいじゃないですか。それより、早く里に行きましょう」

「うん。めぐみんの妹に会うの楽しみ。めぐみんに似て可愛いんだろうなあ」

 

カズマが元に戻るまでは実家に戻るつもりはなかったけど、事情を話して紹介するのもありかもしれない。

 

 

 

里まで、あと数十分と言った所まで来た。

前回魔王軍に見つかった地点に近い。

周囲の警戒をしつつ進んでいると、私はあることに気付いた。

何者かがこちらを見ていることに。

にもかかわらずカズマが反応を示さないという事はつまり・・・

 

「・・・えい!」

 

視線を感じる方へ石を投げてみると何かが動く音がした。

外したか。

残念。

 

「めぐみん?どうしたの?石投げて遊びたいの?」

「違いますよ。でもまあ、遊んでるのは間違いないですね。えい!」

 

アクアの言う遊びと言うのもあながち間違っていない。

とは言え、アクアの意図する遊びではない。

今度は大きな音がした。

当たったみたいだ。

ぶっころりーなら大当たりと言った所か。

 

「何かいるぞ!」

「な、何!?」

 

ダクネスが戦闘態勢に入る中。

怯えたカズマが後ろから抱き着いて来た。

なるほど。

これが役得と言うやつか。

 

「大丈夫ですよ。敵じゃないですから」

「敵じゃないって分かってるなら石を投げるな!本気で投げやがって!」

「おっ、これは大当たりですね。そけっとに当たってないかどうかだけが心配でしたよ」

 

穀潰しのヒキニートと共に隠れていたそけっとが出てきた。

懐かしい顔を見られて、嬉しい。

しかし、今日は二人だけのようだ。

もしかしてデート中だったりしたのだろうか?

 

「・・・はぁ、魔王軍と接触した所を助けるプランが台無しじゃないか」

「そんなことさせませんよ。紅魔族随一の天才を舐めないことですね」

 

ヒキニートに格の違いを見せ付けてやる。

このニートのせいでこめっこが変な言葉ばかりを覚えたのだから、これくらいの制裁は必要だと思う。

 

「今度からは気を付けるよ。後ろの人達は仲間かい」

「ええ、馬車の中にはゆんゆんもいますよ。今は眠ってますが」

 

見張り番の疲れを移動中に取るためだ。

こんなに騒いでも起きないくらいには爆睡中である。

あと言ってはないけど、ウィズも中で寝ている。

何故ウィズが今もなお眠り続けているかと言うと、アクアが寝惚けて浄化魔法を使ってしまったから。

訳も分からぬ間に浄化されかけたウィズが不憫で仕方ないけど、アクアも悪い訳ではなく、不運な事故として、処理された。

 

「そうか。では自己紹介を」

 

深く息を吸い込み、ぶっころりーが名乗りを上げようとしたその瞬間。

 

「我が名はそけっと!紅魔族随一の占い師にして、世界を救わんとする者!」

「・・・コホン。我が名はぶっころりー!紅魔族随一の靴屋のせがれ。日々、里の平和を守る者!」

 

そけっとに先を越されたぶっころりーは悔しそうに名乗った。

紅魔族はこうでなくては。

周りにゆんゆんしか紅魔族がいないと少し感覚が鈍ってしまう。

 

「我が名はカズマ!最弱職の冒険者にして、数多の魔王軍幹部と渡り歩いた者!」

 

カッコかわいいとは、まさにこのことだろう。

キレのあるポーズで、とても美しい。

ぶっころりーが見惚れて、鼻の下を伸ばす程に。

 

「えっと、めぐみん。いい仲間を持ったね」

「当然です。あと、カズマの胸ばかり見るのは止めてもらおうか。これは私のです」

「み、見てないですから!」

 

全力でカズマに弁明するも、誰も信じないだろう。

そけっとから肘鉄をくらい痛んでいる。

いい気味だ。

 

「さり気なく自分の物だと主張してるめぐみんからカズマは逃げた方がいいと思う」

「別にめぐみんなら大丈夫だよ。だって、めぐみんだもん」

「答えになってないと思うのだが、カズマが構わないのならいいのではないか?」

 

その通り!

カズマ公認で認められたのだから私のものであることは確定だ。

 

「それもそうね。じゃあ私も。我が名はアクア!皆に崇められし御神体にして、やがて魔王を滅ぼさんと欲する水の女神!」

「「凄いですね」」

 

名乗り自体は悪くなかったものの、内容がアレだったから反応が悪い。

 

「なんで私の時は目を輝かせないのよ!それに棒読みなのもおかしいでしょ!」

「アクア、迷惑だから静かに。それに次ダクネスの番だから楽しみ」

 

カズマの言葉で、ダクネスに興味が移ったようだ。

視線を集める中、ダクネスはモジモジしながら、小さな声で言った。

 

「えっと、わ、わが、わがなは・・・」

「とまあ、この子は恥ずかしがり屋なララティーナちゃんだからよろしくね」

「よろしくじゃない!カズマお、お前と言うやつは!女になって大人しくなったと思ったのに!」

 

おっと、ここでダクネスがネタばらしをしてしまった。

まあ、この二人に隠すつもりはなかったし、構わないけれど。

 

「「・・・女になって?」」

「ええ、さっきぶっころりーがガン見してたのは元男の胸です」

「えっ・・・」

「オーク対策で性別を変えるポーションを飲まされてね。今じゃめぐみんかゆんゆんの姉みたいになってるよ」

「そ、そうなのか」

 

軽くショックを受けるぶっころりーを嗤っていると、後ろから叩かれた。

 

「男の性なんだから笑わない。でも、胸見られてるのって結構わかるものなんだ」

「そ、そうですね。ですから元に戻ったら見ないようにしてください」

「うーん。この経験を活かしてバレずに見る方法考えると思う」

「そのやる気を別のことに向けて欲しいです。見てたらシバきますからね」

「・・・めぐみんの胸なんて見る人カズ、な、なんでもないよ。めぐみんお、落ち着いて!」

 

急に現れたと思ったらなんて事を言ってくれるのだろうか。

真剣に親友の関係を止めるか考える程に酷いと思う。

 

「ゆんゆん起きたのか。あと、いくら私でもめぐみんのは見な・・・め、めぐみん。そのさっきのは謝るから胸揉むのやめて?その、見られてるからね?」

「いいえ、やめません。もし、これを止めるならゆんゆんの胸がもがれると心得てください。それにさっきこれは私のものだとカズマも認めたでは無いですか」

「・・・そう言えばそうだったような気もするけど、せめて人のいない所で」

 

カズマはチョロインだった。

 

「しょうがないですね。馬車の中に行きましょう」

「そこまでよ。アホなことしてないで、早く里に行きましょう。二人を待たせるのはいけないと思うの」

「「ごめんなさい」」

 

こういう時は案外アクアがしっかりしていたりする。

アクアに言われると他の誰に言われるよりも効くのは間違いない。

二人に謝罪して、顔を見ると軽く引いていた。

旧友に対してその顔はどうなんだと言いたい。

 

「・・・いつまで続けるつもり?」

「忘れてました」

 

なるほど、謝りながらも続けていたからか。

自然と手が動いていて気付かなかった。

・・・私ももうダメなのかもしれない。

 

「ありがとう」

 

お礼を言われることしてないのに。

罪悪感が凄い.....

自重しよう。

 

「・・・それじゃあ里に向かおうか。誘導するよ」

「お願いします」

 

ぶっころりーが目を合わせてくれない。

そけっともアクアやダクネスとばかり話して、こちらを避けてるような気がする。

どうしよう。

爆裂魔法がバレることとは関係ない所でハブられかねない。

 

「なんて言うか男の人が怖く思えて来たんだけどどうしたらいい?」

「ぶっころりーが怖いのですか?」

「いや、あの人はなんか同族って感じがしたから大丈夫だったけど、里に着いたら男の人いるよね?それが怖い」

 

ここに来て男性恐怖症になってしまったようだ。

このパーティーが女性だけで良かった。

 

「確かに今まで男の人いなかったですからね。多分同族だと思うのはぶっころりーがニートだからですね」

「・・・いや、やっぱりぶっころりーも怖い」

「今更ですよ。さっき普通に話してたじゃないですか」

 

もし、怖かったなら物音に怯えたまま私から離れずにずっと隠れて、名乗りなんてしてないはずだ。

ニートどうし、波長が合ったのだと思う。

 

「そ、それはそれとして、男の人が来たらどうしたらいい?」

「大丈夫ですよ。私達が守りますから。ですよねゆんゆん」

「うん。カズマのことは私達が絶対に守る」

「ありがとう。頼りにしてるからね」

 

この後、また過保護が始まったとアクアとダクネスから言われたが、何を言ってるのか分からなかった。

 

 

 

無事に里に到着し、ぶっころりーとそけっとは巡回に戻ると言って居なくなった。

本当に入口に着いただけだから、誰にも遭遇していない。

しかし、カズマの怯えは高まる一方である。

 

「カズマ、落ち着いてください。何かあっても私が守りますから」

「あ、ありがとう。でも、その、今震えてるのは、怖いとかじゃなくて、えっと、お手洗いに行きたい」

「それならもうすぐだよ。ほらあそこにある建物がって行っちゃった」

 

ゆんゆんに教えられるとカズマは走り出した。

いつから我慢してたのだろう。

てっきり怯えから震えてるのかと思っていたけど、違ったようだ。

 

「どうしたの?カズマが走って行ったけど」

「お手洗いですよ。カズマが戻るまで少しここら辺で休憩にしませんか?」

 

公衆トイレから少し離れた位置に馬車を止め休憩を取る。

ここまで来ると誰かに会ってもおかしくないのだが、誰にも遭遇していない。

 

「カズマのことなのだが、宿泊はどうするのだ?」

「私の家に泊まれば問題ないと思います」

「ゆんゆんの家でお泊まりするのね!」

「は、はい。お泊まり会です!」

 

アクアがゆんゆんの家を楽しみにしてるのは分かるけれど、いつも一緒に暮らしてるのに、何を盛り上がっているのだろうか。

騒がしくなった事で、ウィズが目を覚ました。

 

「おはようございます。もう着きましたか?」

「ああ、体調は問題ないか?」

「はい、おかげさまで」

 

アクアさまの所為で倒れていたのに、おかげさまとは、ウィズの寛大さはそれこそ女神さま級だと思う。

 

「所で、カズマさんが見えないですけど、どうされたんですか?」

「カズマはお手洗いに行って、あ!!」

 

指を指して、場所を教えようとしたらカズマが男に囲まれていた。

多分声をかけられて、怖くなり、動けなくなったのだろう。

しまった。

誰にも会ってないから油断していた。

急いでカズマの下へと向かうと。

 

「アクセルから来てくれたのかあ。良かったら俺達が里の案内してあげるよ?」

 

カズマはナンパを受けていた。

 

「え、えっと、わ、わたしは、その」

「大丈夫かい?さっきから震えてるけど」

 

自分達が近付くからカズマが怖がっているのだと早く気付いて欲しい。

今のカズマを男が放っておかないことくらい予想出来たのに。

また失敗してしまった。

この集団は恐らく、ぶっころりーの入ってる自警団の仲間だろう。

 

「そこまでです!」

「め、めぐみん!ううっ」

 

カズマが飛び込んで来た。

うん、この頼られてる感じがいい。

 

「ウチのカズマに何してくれてるんですか!」

「何って、ちょっと声掛けてただけだぞ。その子かずまって言うのか、いい名前だな」

「ええ、かっこいい名前です」

「・・・全然嬉しくない」

 

そんなことをボソッとカズマが言っていた。

名前のセンスは性別が変わっても変わらないようだ。

 

「で、カズマ、何されたんですか?」

「いや、俺ら何もしてないって」

「うん。声かけられただけだけど、怖くなっちゃって」

 

男性恐怖症がシエロ以上に進んでいることがよく分かった。

こんな状態で、デートなんて出来るのだろうか?

 

「そうですか。良かったです」

「誤解が解けて良かった。名乗りをしたい所だけど、怯えられたら出来ないしな。めぐみん、ちゃんと見てやれよ。それこそ変な奴にナンパされかねないぞ」

「分かってますよ。今からはトイレだろうと何処だろうと一緒に行きます」

 

カズマちゃんを一人にするのは危険だ。

記憶を失った時にカズマがずっと居てくれたように、私も付き添わなければ!

 

「そ、そうか。じゃあ、俺達は警らしてくるわ」

「頑張ってくださいね」

 

ことなきを得た。

まあ、自警団の人間だとわかった時点である程度安心はしていた。

かの者達にナンパする度胸などないのだから。

 

「めぐみん、ずっとこうしてていい?」

 

こうしてと言うのは恋人繋ぎのこと。

カズマが自分から恋人繋ぎを所望する日がこんな形で訪れるとは。

 

「構いませんよ。その方が落ち着くのでしょう?」

「うん」

「みんなの所に戻りましょう」

「うん」

 

急にカズマがしおらしくなってきた。

これはこれで可愛くて、保護欲がどんどん高まっていく。

このままカズマと一緒にいたい。

 

「めぐみんが彼氏面して戻って来たし、出発しましょう」

「誰が彼氏ですか!せめて彼女と言ってください!」

 

アクアがふざけたことを言ってきたので、ちゃんと訂正を入れる。

・・・あれ。

なんか勢いで言っちゃったけど大丈夫だろうか。

まあ、せめてと言っているから、私がカズマを好きだとかそう言う話にはならないはず。

 

「めぐみんが、彼氏.....いいかも」

 

なんてことをカズマはボソッと言った。

・・・ウィズに頼んでポーションを、いや、違う!これはポーションの所為だから、今私を彼氏にと言っていることを裏返せば、私が彼女になるのを良しとしているとも取れるではないか。

ここは我慢。

里にいる間は積極的にアプローチしてみよう。

 

「二人ともイチャついてる所悪いけど、進まないと置いていかれるからね」

「「イチャついてない!」」

 

ゆんゆんに言われて、私達は歩き出した。

商業区を目指して移動している。

ここからが本番みたいな所はある。

自警団のみんなは前哨戦。

ここから、カズマの男性恐怖症がどうなるかが問題。

 

「す、すみません。副作用を伝え忘れてました。稀に元の性別の方に対して恐怖心を抱くようになることもあるとあったのに」

「他に何か忘れてたりしませんか?」

「えっと、カズマさんは分かってると思うんですけど、男性恐怖症が起こる条件として、性転換した性別の...」

「めぐみんめぐみん!建物が見えてきたよ!」

 

ウィズの言葉を遮るようにカズマが興奮気味に言ってきた。

聞かれて困ることだから遮ったのか、たまたま重なったのか判断に困る。

今ので、ウィズの説明は止まってしまった。

ぶっころりーやそけっとが先に戻って、人を呼んだのだろう。

商業区の入口に人が集まって、歓迎の準備が整っている。

その中には男の人も見え、カズマのひっつき度が上がる。

この距離感と腕に当たる感覚。

癖になりそう。




カズマさんがTSしてるので性転換のタグと百合カズめぐなので、ガールズラブのタグを付けましたが、主要素としてのタグではないのでご安心ください。

カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて

  • カズマ視点(天界)
  • カズマ視点(討伐後)
  • ヒロインズの誰か視点(天界)
  • ヒロインズの誰か視点(討伐後)
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