この素晴らしい世界に●●を!めぐみんのターン   作:めむみん

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何とか今週中に投稿間に合いました。
今回はオールカズマさん視点で、めぐみんと合流する前の時間設定です。


自分に出来ること

-JIBUNNIDEKIRUKOTO-

 

アクアと二人でゲームガールとカセットの回収を終わらせた俺は何故か一人で謎施設とゆんゆんの家を往復している。

まあ、原因は単純で、アクアがカセット入れた箱を運ぶのに疲れたと言い出したから、アクアに合わせて時間がかかるくらいなら一人でやろうと考えたからだ。

めぐみんとの約束に間に合いそうにないから、言伝を頼んで帰って貰った。

そして、今は丁度その最後の荷物の帰り道。

何事もなく約束の時間に間に合えばいいのにと考えたのが悪かったのか早速アクシデントに巻き込まれた。

「ここを通りたくば私を倒してからにしろ!」

 

何かかっこいいこと言ってるダクネスの声がした。

気になってその場に近付くと赤い服を着た茶髪の美人で巨乳なお姉さんとダクネスが対峙していた。

ダクネスが敵対してるって事は魔王軍関係者だろうな。

このままだと不味いと思って潜伏スキルでその場を離れて、近くにいた紅魔族の人達を連れて戻ってきた。

 

「我が名はシルビア!魔王軍幹部にして、紅魔族を滅ぼさんとする者!つまり、あなたに用はないのよ。この里の人間じゃないのなら見逃してくれないかしら?」

 

お姉さん、随分紅魔族に染まってるな。

てか魔王軍の幹部がこんな場所にいるとか中々危ない状況だったのだと今更気付いた。

 

「そんなこと出来るか!この里には仲間の家族もいる。それに、貴族としてこの国の者守らなければならない!」

 

ダクネスが超カッコイイんですけど。

連れてきた紅魔族の方々が目を輝かせてるんですけど。

シルビアは不敵な笑みを浮かべた後に攻撃を繰り出した。

 

「ふっ、さすがは聖騎士と言った所ね。これでも喰らいなさい!」

「くっ、何だ?この程度なのか?」

「痩せ我慢も程々になさい。次当たれば死ぬわよ」

「もっと強い攻撃はできないのか?いや、むしろやって見せろ!」

 

やっぱり、ドMスイッチ入ってただけか。

ボロが出ない前に出ていこう。

 

「ダクネス!大丈夫か!援軍呼んできたぞ」

「えっ!?」

「してやられたわね。でも、少し遅かったわね。こっちにも援軍はいるのよ」

 

お姉さんが言った直後に、後ろからゴブリンの大軍がやってきた。

これは多分紅魔族的には戦力拮抗状態だと思う。

だって、誰も慌ててないし。

と言うか何でまだ出てこないの?

早く来て追っ払って欲しいのに。

ダクネスはダクネスで、もう来てしまったのかとか呟いてるし、寂しそうな顔してるしダメだなこりゃ。

こうなったら一芝居うつか。

 

「舐められたもんだな。俺は数多の魔王軍幹部を屠ってきた実力の持ち主だってのに」

「な、なんですって?」

「バニルにベルディア、ハンスとこれまでにうちのパーティーが倒して来たんだぜ?」

 

チラッと後ろを確認するとサムズアップした手が大量に岩陰から出てるのが千里眼で見えた。

あの人たちマジで何やってんだろ。

ここに時間割いて遅刻したくないから呼んできたって言う二つ目の目的が全く果たされてない。

 

「バニルとハンスがやられた!?確かにアルカンレティアとの定時連絡が途絶えたと聞いたばかりだけど、いつの間にハンスまで!?それにあの、バニルを倒したとなると相当な手練のようね。その眼を見れば嘘じゃないのは分かるわ」

 

よしよし、いい感じに警戒してもらえてるな。

このまま引いてもらう方向に話を進めよう。

 

「そんな手練パーティーが全員ではないにしても二人揃ってるんだ。しかも紅魔族の人たちも時期にやって来る。どちらが優勢かは明らかじゃないか?」

「確かにその通りね。あなたがリーダーみたいだけど、名前は?」

 

・・・どうしよう。

名前聞かれちゃった!

威圧することしか考えずにペラペラ喋っちゃったよ!

前にバニルとウィズから魔王軍の中で勇者候補は指名手配されるって聞いたことあるし絶対まずい!

本名を明かすのはやめておこう。

 

「俺はミツルギキョウヤだ。名前くらいは知ってるだろ?」

「ミツルギキョウヤ。その名前は聞き及んでるわよ。その変わった剣が例の魔剣なのね。どうやら本物のようね。でも、ミツルギはイケメンだと聞いていたのに、あなたパッとしないわね。所詮噂は噂なのね。でもあなた、まあまああたし好みのタイプよ?」

 

ダクネスからの視線が痛いけど俺は気にしない。

仲間からの軽蔑よりも魔王軍に指名手配される方が嫌だ。

 

「分かったなら今日は帰って貰えないか?俺もお姉さんみたいな人はタイプだ」

「あらあら嬉しいこと言ってくれるじゃない。分かったわ。ここは一旦引かせてもらうわ。・・・総員撤退!」

 

シルビアが撤退と叫ぶと同時に全力でダッシュして行った。

走り出したとほぼ同時のタイミングで、俺たちの隣に紅魔族の大人衆が突然現れた。

めぐみんの使ってた光を屈折させる魔法の本物か。

多分、気付いてたんだろうな。

魔剣持ちのミツルギと紅魔族相手には勝てないと判断したのだろう。

とりあえず、これで解決だな。

 

「逃がすな!一匹でも多く仕留めろ!『ライトニング・ストライク』ッ!」

「情報持ってそうな個体は生け捕りだ!『ライト・オブ・セイバー』ッ!」

「『インフェルノ』ッ!」

 

・・・何かもう、シルビア達が可哀想に思えてきた。

後は、紅魔族の皆さんにおまかせして帰ろう。

 

「カズマ、名を騙るのはどうかと思うぞ?」

「いいじゃねえか。それで丸く収まったんだし。今度ミツルギに何か奢ればいいだろ?それよりもこれゆんゆんの家まで持って帰ってくれないか?俺めぐみんとの約束があるから早く行かないといけないんだ」

「分かった。すまない。デートの邪魔をして」

 

約束が爆裂散歩なの分かってるくせに、ダクネスもめぐみんと同じで俺をからかうの趣味になってないか?

安心して話せるのアクアとゆんゆん・・・いや、ゆんゆんもからかってくるわ。

え?

何だかんだでアクアがからかわれる件については一番マシなのか?

 

「デートじゃないっての。分かってるだろ?」

「めぐみんが爆裂デートと言ってなかったか?」

「それも含めて分かってるよな?」

「ああ、カズマに任せ切りになっている間にめぐみんがカズマしか受け付けなくなってしまったのは充分理解している」

 

分かってるなら言わないで欲しい。

ただでさえ噂流れてるのにパーティーメンバーが言ってたら信憑性増すじゃん。

俺は気にしないけど、勝手に噂されたらめぐみんも困るだろ。

 

「反省とかは無いわけ?」

「その分、カズマの家事負担を減らしているだろ?」

「・・・俺が料理担当だけなのそういうことだったのか?」

「うむ。めぐみんがカズマの負担を減らしたいと言ってきてな。四人で話し合って決めたのだ」

 

洗濯とか掃除とかは下着関係で外されて、風呂とかトイレはアクアがやりたがってるのかと思ってた。

手伝うとか代わりにやると言っても、俺はしなくていいって言われるからやって欲しくないと思われてるのかなって考えてたけど杞憂だったらしい。

めぐみんが発案者か。

めぐみんが言わなきゃ普通に分担してたってことないよな?

俺が嬉々として爆裂散歩について行ってると思われてる節もあったし、有り得る……

兎も角、配慮はしてもらえてるのだから、言っても仕方ない。

 

「分かった。そういうことならこれからも頑張る。それじゃ行ってくる」

「これからもめぐみんの担当頼んだぞ」

 

と俺はめぐみん爆裂散歩係と正式に任命されていたことを何故かこの場で知った訳だが、このまま一生めぐみんの爆裂道を見守る役目させられそうな気がしてきた。

とめぐみんとの日課のこれからについて考えながら歩いている。

 

「あっ、めぐみんの彼氏さんとされてるお兄さん」

「えっと、ねりまきちゃんだっけ?」

 

めぐみんとゆんゆんに泣かされてた子だよな。

アレ、何されたのか凄く気になる。

 

「お兄さん。ズバリ聞きます!めぐみんのことどう思ってますか?」

「大切な仲間だけど?」

「そうじゃなくて、異性としてです!」

 

性懲りも無く、俺とめぐみんの噂流すつもりだなこの子。

そうなると色々と面倒だから黙っとこう。

 

「黙秘する」

「黙秘するのは怪しいですよお兄さん?」

「怪しくて結構。アクセルでも勝手にカップル扱いされてるし、正直どうでもいい。俺のあいつへの想いは俺にしか分からないし、あいつが俺の事どう想ってるのかはあいつしか知らないってことでいいだろ?」

 

こんな所で話したら瞬く間に里中に広まるだろう。

特に聞いてきてるのが、めぐゆん説を広めた張本人だし。

しかも一番噂が広まりやすい場所が職場兼自宅ときたもんだ。

警戒する他ない。

 

「じゃあ、ゆんゆんのことはどう思ってます?」

「ゆんゆんに関しても黙秘する」

「あっ、噂をすればゆんゆんがあああああ!?」

「どうした?ってゆんゆん!逃げろ!」

 

ねりまきの反応に驚いて何事かと見てみると、ゆんゆんの後方からシルビアが近づいてる。

これはまずい。

何かポーションも持ってるし、アレ睡眠薬か何かじゃないか?

 

「カズマさん?それにねりまきさんも!きゃっ!?何このけむ、り、は……」

 

シルビアが投げつけたポーションから出た煙に巻かれて、そのまま眠りに落ちた所をシルビアが受け止めて担いでる。

さすがは魔王軍の幹部か、人攫いも手馴れてる。

 

「カズマ?あなた、ミツルギじゃないのね?まあ、いいわ。この子を無事に返して欲しかったら、今は何もしないことよ?」

 

なんということでしょう。

仲間を攫われた挙句本名がバレました。

終わった。

俺の異世界生活は詰んだ。

もういいや、何処か平和な国に行って慎ましく暮らそう。

遠く離れた国に移ったならなら脅威とは見なされないだろうし。

 

「安心なさいあなたの事は本部に黙っておいてあげるわ。この前見逃してもらったお礼よ。でもこの子は一旦預かるわ。動いたら通達するから、分かってるわね?」

 

結局、何も出来ないままシルビアがもう動いていいわよと言うまで、何もできなかった。

仲間を目の前で連れ去られるなんて、情けない。

アクアに笑われても文句言えないぞこれは。

 

「と、どうしますか?」

「俺はゆんゆんの後を追うから、めぐみんが正門で待ってると思うから報告してくれ」

「えっ、ちょっとお兄さん!」

 

ねりまきは何か言おうとしていたが、このまま足取りを追えなくなると厄介だから、俺は無視して追跡を開始した。

せめて、俺の手でゆんゆんを助け出さなければ!

 

 

 

千里眼と潜伏スキルでバレないように後を追う。

外の森に入ったと思ったら、直ぐに里の方へと戻って、里の人からは見つからないような獣道を通っている。

この方向って確か、めぐみんの家の方だよな?

あと、その奥にはぶっころりーの家と、謎施設だっけ。

目的は何だ?

ゆんゆん人質にして族長に身代金要求するために、人の少ないめぐみん家に言いに行くのは有り得る話だけど、このスピードだと、あと数分で追い越すと思うけど止まる気配は全くない。

シルビアの目的が読めない間は下手に動けない。

族長の娘だから狙われたのか、たまたま狙われたのがゆんゆんだったのかも分からない。

追跡はしてるけど、そもそも俺にゆんゆんが救出可能なのか?

相手は魔王軍幹部らしいし、多分、急襲して、直ぐに奪い返せないと失敗するし、その方が確率高いからやめておいた方がいいか。

なんて考えてるとぶっころりーの家ら辺も通り過ぎて、謎施設付近で里の方へ進み始めた。

謎施設が目的地か。

これが分かったところでその先の目的は一切分からないけども。

森を抜けて、開けた所に出た時、ゆんゆんの目が覚めた。

 

「『ライト・オブ・セイバー』ッ!」

「なっ!?もう起きたの!?大人しくなさい!危害を加えるつもりはないわ!」

「そんなの信じられません!」

 

魔法を使って抵抗してるけど、全く当たってない。

というか周りの地形が変わってる。

ゆんゆんってやっぱり強いよな。

そのゆんゆんを捕まえたシルビアもそれ以上に強いってことだよな。

・・・これ、奪還出来るのか?

 

「あの坊や。ミツルギキョウヤじゃなくて、カズマだったかしら?その子と約束したのよ」

「カズマを魔剣の人なんかと一緒にしないでください!サトウカズマです!」

「サトウカズマ。勇者の名前と同じサトウか。これは面白いことになってきたわね」

 

勇者の名前と同じサトウ?

それ絶対、過去に転生した佐藤さんが活躍しただけだよな?

日本人口ナンバーワン争いしてる苗字なんだけどって言っても伝わらないか。

にしても魔剣の人、ゆんゆんから結構嫌われてるな。

うちのパーティーからの評判悪いし、多分、誰かから聞いた話で、悪い人って認識なんじゃなかろうか?

 

「所で紅魔族は古代文字を解読出来る人がいるのかしら?」

「いません。いたとしても教えません!」

「そうよね。じゃあ、あなたのパーティーに読める人いるんじゃない?今日、あの坊やが施設から何かを運んでいるのを見た部下がいてね」

 

目撃されてたのか。

・・・どうしよう。

このままだとゆんゆんを人質に俺が呼び出される気がする。

 

「何かお宝を探すとしか聞いてません」

「嘘は言ってなさそうね。取り敢えずあの子にここへ来てもらわないと始まらなさそうね」

 

取り出した紙に、恐らく人質と俺の交換を要求する内容を書いてるんだろうな。

・・・今出ていったら話は早いだろうけど、後をつけたのがバレるからな。

ゆんゆんには悪いけど、誰かがこっちに来るまで待機するか。

 

「これを族長宅へ頼むわよ?」

 

伝書鳩が飛ばされた。

あとは手紙を読んだ族長たち次第か。

誰が先遣隊に遣わされるか分からないけども、その人たちを待つのが時間的に丁度いいと思う。

そんな考えに至り、待機していると突然平原にめぐみんとぶっころりーが現れた。

ぶっころりーの転移魔法だろう。

・・・よりによってめぐみんか。

今回は俺一人で解決したかったんだが、まあ、誘拐されたのがゆんゆんだもんな。

親友を連れ去られたら居ても立っても居られないのだろう。

何だか二人が揉めてるっぽいな。

二人がここに来たって事はもう手紙は届いたのか。

そろそろ合流しようと、近付くも気付かれなかった。

潜伏スキル切るの忘れてたと思って解除した所二人が謎のポージングを始めた。

 

「めぐみん急ぐぞ!世界の平和を守る為に!」

「ええ、我々に世界の命運がかかってますからね」

 

さすが紅魔族。

息ぴったりで、中二病ポーズとって、それっぽいこと言ってる。

非常時だって分かってるんだよな?コイツら。

 

「お前ら何やってんの?」

 

そう問わずには居られなかった。

しかし、返答は帰って来ず、めぐみんの言葉に少し違和感を覚えるのであった。

 

「カズマ!無事でしたか!」

 

何故、ゆんゆんの心配より、俺の心配してるんだろ?

普通こう言う時って、『カズマ!ゆんゆんは大丈夫なんですか!』となると思うんだけども。

 

「俺はな。それよりもゆんゆんだ!早くしないと!」

「カズマは家に帰っててください。私たちで何とかしますから」

 

あれ?

もしかして、めぐみんとぶっころりーは手紙のこと知らずにここまで来たのか?

あの手紙を読んでたとしたら、俺を帰そうなんて考えないだろうし。

 

「何言ってんだよ。仲間が誘拐されて黙ってられねえだろ」

「お願いです。ダクネスやアクアと一緒にいてください」

 

多分、いつもの未来が分かってるやつだなこれ。

俺が狙われてることまで折り込み済みで、逃がそうとしてる気がしてきた。

でも、相手の要求が俺なのに、行かなかったらゆんゆんが危ないよな?

 

「何でだよ!俺が」

 

俺が行かないと意味が無いだろうと言おうとした時、アクアの声が響き渡った。

 

『カズマ!大変よ!カズマが謎施設って所に行って魔王軍の幹部の要求のまないとゆんゆんが!ゆんゆんが!』

 

いつも空気読まないクセにこういう時はナイスタイミングでやってくるよな。

これで口実が出来た。

やっぱり、二人は手紙の内容知らなかったんだな。

 

「だそうだ。俺も行かないとだよな?」

 

言うとめぐみんがとても悔しそうな顔をしていた。

あと少し早ければ間に合ったとかそんな所だろうか。

まだ何も知らない状態なら、手紙の内容なんて関係ないからな。

 

『魔王軍はカズマ一人で来いと言っている。めぐみんはついて行っては行けないぞ』

「何故私が一緒だと分かるのでしょう?」

 

普通に爆裂散歩へ向かったと思ってたら、分かるとも思う。

それに今日正式に家事の一つとして任されたばかりだし。

説明するのも面倒だし、ここは早く向かった方がいいだろう。

 

「知らん。てことだから俺は行ってくる」

「カズマ、相手がどれだけナイスバディなお姉さんの外見でも中身はオスのキメラなので、惑わされないでくださいね」

「お、おう」

 

えっ?

シルビアって男なのか?

・・・この話聞かなかったら、色仕掛けとかで騙されてたかもしれん。

こうして俺はゆんゆんを解放してもらうため、シルビアの人質交換に応じる形で、謎施設へと入るのであった。




今回はお話進みませんでした。進めるつもりでしたが時間が間に合いませんでした・・・
次もカズマさん視点です。
更新シリーズや時期は未定です。

カズマさんの誕生日話は誰視点が良いかについて

  • カズマ視点(天界)
  • カズマ視点(討伐後)
  • ヒロインズの誰か視点(天界)
  • ヒロインズの誰か視点(討伐後)

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