来週も投稿できるように頑張ります。
「ちゃんと一人で来たわね?」
「ああ、ゆんゆんは解放してもらうぞ」
見た感じゆんゆんは何もされてないみたいで安心した。
シルビアは光魔法で潜入していることを想定してか、まだ警戒を続けている。
「ダメです!カズマさん!」
「仲間愛を見せつけてくれるねえ。これ以上すると私の機嫌も悪くなって、心変わりして二人とも殺しちゃうかもしれないわよ?」
「らしいから早く戻ってくれゆんゆん。外にめぐみんとぶっころりーが待機してるから」
「わ、分かりました」
外で待機してると言う話を聞いて紅魔族の潜伏はないと判断したのかシルビアの警戒は止んだ。
しかし、どうして俺が
「で、何の用だ?」
「あなたがこの文字を読めることは分かってるのよ。魔剣持ちの勇者ミツルギ改め、サトウカズマ」
「ああ、俺はサトウカズマ。最弱職の冒険者だ」
ここで最弱職アピールして、狙われないようにしようと思って言ったけど、自分で言ってて悲しくなってきた。
「どうして魔剣の勇者を語ったのかしら?」
「指名手配とかされたら嫌だったから」
「あなた面白いわね。話はここまでにして本題に入るとしましょうか」
「文字を読めって言うんだろ?」
シルビアの目的は知らないけど、多分ここの施設にある日本語の解読がその目的に必要なのだろう。
じゃなきゃゆんゆんを誘拐して俺を呼び出す理由がない。
「ええ、そうよ。物分かりがいいじゃない。このノートを読んでもらうわよ」
シルビアが邪悪な笑みを浮かべながらノートを渡してきた。
開けて一ページ目を見ると、書いた本人しか読めない日本語がそこにはあった。
しかもこのノートなんだか数式ぽいの書いてるから多分、俺が読めたとして、関数の計算とかなら俺は何の役にも立てなかったろうな。
だって、習う前に俺死んじまったからな。
「読めねえよ!こんな文字!」
「言う気はないのね。じゃあ色々とさせてもらうわよ」
「いや、待て!仮に読めたらもう教えてるから!マジで読めないから!こいつの字が汚すぎて読めないから!」
「・・・本当かい?」
疑われても仕方ないけど、読めないものは読めない。
どんな拷問を受けて言えない。
「本当だって、お前これ今何書いたか読めるか?」
「読めないわね。もっと綺麗に書きなさいよ」
因みに今書いたのはこっちの文字でクソ野郎って書いた。
バレたら殺されるだろうけど、絶対読めないから大丈夫。
「ほらな!普段使ってる言語でも汚きゃ読めないんだよ!これも同じだ!」
「・・・じゃあこれはどうすれば開くのよ!教えなさい!」
ちゃんと話が通じる奴で助かった。
とは言え、やっと見つかったと思ったピースが当てにならなくなって、相当苛立ってるみたいだ。
「だから分からねえって!もっとマシな資料があれば分かるかもだけどさ」
「こうなったら。門の仕掛けを直接見せるしかないわね。ほら、来なさい!」
「こいつと作ったやつの筆跡が同じなら諦めた方が早いと思う」
と言ったはいいものの、多分、ゲームとかは印刷文字だったから、重要な場所は綺麗に書かれてるだろうなあ。
話を聞いて諦めてくれないだろうか。
「いや、もう少し整った形をしていたから読める可能性はあると思うのだけど」
「・・・これを解除したら解放して貰えるんだよな?」
俺の作戦は失敗した。
まあ、無理だろうとは思ったけど。
「ええ」
連れてこられた扉の近くには石碑と某ゲーム機のコントローラーがあった。
石碑には何故か小並コマンドが書かれていた。
確か世界を滅ぼしかねない兵器とやらがこの里にあるんだよな.........
パスワードを小並コマンドにするとか、ここ作ったやつバカだろ絶対。
「どうかしたの?早くして欲しいのだけど」
「これでも俺は冒険者だ。仮にこの文字が読めたとしても教えない」
正直な話、さったと教えて逃げたいけど、そんなことしたら世界を滅ぼせるとか言う兵器が魔王軍の手に渡って、俺がこの世界でのんびり暮らせなくなるしな。
最後の抵抗をしよう。
「やっぱり読めないのね。分かったわ。他の方法を考えるからあなたはは帰っていいわよ」
読めないと言うのが恥ずかしいから適当なこと言った風に思われたか?
それとも読めないのをいい事にカッコつけたくなったと思ってるとか?
後者な気がするけど、何にせよ解放してもらえるならそれでいいか。
「・・・え?いいのか?」
「こうなれば爆破処理しかないだろうからね。爆発に巻き込まれたくなければ早々に立ち去りなさい坊や」
言われた通り、戻ろうと階段の方へと向かった時だった。
めぐみんが現れたのは。
「カズマ!助けに来ましたよ!」
「一人でと言ったはずよ。イケない子ね」
「いや、俺は一人で来たんだけどもって、グワッ!?」
俺は約束を守ってたことを主張していたが、シルビアに拘束された。
めぐみんからこいつが元は男だって聞いてなかったら今頃夢見心地だろう状況になってる。
くそっ、オアシスを見つけたみたいな心地良さなのにこれは作り物なのか……
てかこの技術があればめぐみんでも巨乳になれるのではないか?とかアホなこと考えてるとめぐみんに石を投げられた。
これ絶対シルビアに投げて当たってしまったんじゃなくて、俺が考えてること読んで投げてるよな……
「おバカさんね。後ちょっとでこの子は開放されたのに。それに石まで投げて、この子に当たったちゃったけどね」
「え?」
「・・・今から帰る所だった」
俺とシルビアの間で話が着いていたことを理解しためぐみんは青ざめていた。
「あの、今から帰るので、なかったことに」
「出来ないわ。ここに来たということはアタシを倒す算段がついてるのでしょう?」
「カズマを連れ帰ることしか考えてません!」
お前は何言ってんだと言いたいけど、多分、めぐみんは本当に俺をここから連れ戻すことしか考えてなかったんだろう。
仲間のことになると周り見えなくなるやつだからな。
ゆんゆんがチャラそうな人達にナンパされてた時にめぐみんがこれでもかってくらい噛み付いてたし。
「・・・それを信じると思うの?」
「大切な仲間を奪われて取り返さない冒険者なんていませんよ!早くカズマを離してもらおうか!」
「ふふっ、威勢のいいお嬢ちゃんね。あなたが紅魔族じゃなかったら返してあげたけど、あなた達には色々とお世話になってるからねえ」
シルビアもめぐみんが嘘をついていないと理解したらしい。
今度はいつもの恨みをここで晴らそうとしているのか、めぐみんを挑発してる。
今のめぐみんにそれは逆効果だって今更伝えても遅いから黙っとこ。
「・・・そうですか。返す気はないのですね」
「あらあら。怖いわねえ。魔法を使ったらこの子の命はないわよ?」
「魔法を使ったら、そうですか。カズマを返して貰いますよ!」
やっぱり実力行使にでたか。
魔法使いのくせに力強いもんなこいつ。
あと、キレてる時の覇気が超怖い。
「何をしようと、えっ、ちょっとあなたこっちには人質が」
「カズマを返せえええええ!」
「ひっ!?」
めぐみんの迫力に気圧されたシルビアは俺を手放して、怯む。
そして、解放された俺は何故かめぐみんにお姫様抱っこをされていた。
「カズマ!行きますよ!」
「・・・お、おい、待て!」
シルビアと同じく俺もめぐみんに待てと言いたい。
何で突進して救出成功してるんだろう?
意味が分からん。
あと、何でお姫様抱っこしてんだ!
普通逆だろ!
てか、これ外で待ってるゆんゆんとかぶっころりーとかに見られるの恥ずいって!
と思っていると外の光が見えてきた。
男として終わったとか何とか考えてたけど、見てみると誰もいなかった。
良かった……。
「カズマ、怪我はないですか?何か酷いことされてませんか?」
「うん、大丈夫。何もされてないから」
「本当ですか?」
「うん。大丈夫だから体をぺたぺた触るのやめてくれないか?」
身体中触られてくすぐったい。
しかも距離が近いから変に緊張するし、時たま何かいい匂いするし、背中の方はハグみたいな形で触るしで、意識させられっぱなしだ。
言ったら直ぐに離れてくれた。
「カズマが無事でよかったです」
「めぐみんが来なかったらもっとマシな撤退出来たけどな」
「カズマが心配で、居ても立ってもいられなったんですよ」
「ありがとう」
ここは素直に感謝しとこ。
俺がオークに襲われないようにポーション用意してくれたり、女になってた時も傍で見守ってくれたりとこの旅に出てから色々と世話になってるしな。
「それに突っ込んで行ったのはカズマも同じでしょう?」
言わてみれば俺もゆんゆんを助けるために一人で突っ込んで行ったんだった。
人のこと言える立場じゃなかったか。
「・・・すまん。迷惑かけた」
「それが向こうの要求だったのですから仕方ありませんよ。それよりも早く帰りましょう」
「でも、アイツ、爆破してでも中に入って、この里を滅ぼすって話してたぞ?」
紅魔族総出で止めた方がいいと思うんだけど、めぐみんは特に驚きもせずに俺の手を引っ張って歩いていく。
何も話さずに歩き続けるめぐみんに、止めなくていいのかと言うとやれやれと言いたげな感じでめぐみんは話し始めた。
「あの施設に入ろうと紅魔族が考えなかったと思いますか?」
「・・・つまり?」
「父の世代の最大火力で攻撃しましたが破壊出来なかったようです。それからは放置されることになったそうです」
紅魔族の最大火力で無理ってどうなってんだよここの扉の硬度は。
めぐみんの爆裂魔法なら壊せそうとか思っちゃうけど、どうなんだろ?
「マジかよ。まあ、流石に爆裂魔法ならいけるだろうけど」
「そんなことしたら何もかも壊れちゃいますよ。それこそ兵器ごとおじゃんです」
「だよな。それなら安心だ」
直後後ろから大きな爆発音がしたものの、シルビアがイライラしながら出てきただけだった。
めぐみんの言う通り心配なんて必要なかった。
また何か起こる前に早くこの里から出ることにしようと決意するのであった。
めぐみんに連れられて行くと、ゆんゆんの家に着いた。
俺の無事を報告しないとだよな。
疲れたから早くめぐみんの家で寝ようとか考えてたら、途中で違う方角に向かい始めたから不思議に思ってたけど、ここに来て理解した。
「カズマを奪い返してきましたよ!開けてください!」
言ってめぐみんはようやく手を離してくれたと思ったら、先まで手を繋いでいた手で扉を叩こうとした所中からゆんゆんが飛び出して来た。
そして、俺を目がけて出てきた勢いのまま向かってくる。
これ、絶対抱き着かれて勢いのまま俺が後頭部打つや……
「カズマ!大丈夫?何もされてないよね?」
「・・・何やってるんですかあなたは!ああっ!カズマしっかりしてください!」
「え?」
あなたのその行動にこちらがえ!と言いたい所だ。
何しれっと私の男に抱き着いてくれてるんだろう。
いくら感極まったと言っても許せない。
「えじゃありません!ゆんゆんのせいで無事だったカズマが後頭部を打ち付けて気絶したんですよ!」
「ど、どうしよう?!」
「とりあえずカズマは私が診ておくので、アクアを呼んできてください」
折角カズマを無傷で連れ帰ってきたというのに……
仲間に襲われていては意味が無い。
「わ、わかった!」
この後、アクアが来て何とかカズマは回復した。
しかし、目覚めなかったので、家までお姫様抱っこして連れて帰り、私が寝ているカズマを洗って、布団に入った。
その光景を我が母はニッコリと満面の笑みで眺めているだけだった。
娘が男をお姫様抱っこして帰ってきて、しかも眠ってる相手の身体を洗おうとしているのを止めもせず、終始ニヤニヤしてるのは親としてどうなのだろうか。
翌朝。
早めに起きてカズマの寝顔を見て待っていた。
「・・・・・・めぐ・・す・・き・・・・・・・・」
朝から心臓に悪い寝言を……。
私の名前呼んで、話してるだけだろうけど、意識してしまう。
「・・ゆ・・んが・・・・・でき・・」
これは昨日のこと夢見てるような。
だとすればそろそろ飛び起きる頃だと思う。
「うわっ!?ってあれ?めぐみんの部屋?」
「寝言で私の事好きだって言ってましたよ」
「へ?」
顔を真っ赤にして固まってる。
やっぱり照れてるカズマは可愛い。
「ふふっ、冗談ですよ。でも繋げると『めぐすき』と寝言言ってたのは本当なんですけどね」
「え?」
「早くご飯食べましょう」
寝起きだから判断能力がとても落ちてるのか普段のカズマならたまたまだろうで済ませるはずなのに、オロオロしてる。
「なあ、さっきの話」
「何照れてるんですか?私の事好きなんですか?」
「なっ!誰が!」
この反応は悲しいような楽しいような……
複雑な気分になる。
「じゃあ嫌いなんですか……」
「いや、それも違うって言うか」
落ち込んだように言ってみると面白いくらい慌てて訂正してくる。
ここはもう一つ遊んでみよう。
「なら私のことなんてどうでもいいんですねカズマは……」
「そんなことねえって!お前のことは大切な……」
「大切な何です?」
ツンデレのカズマからは滅多に聞けないセリフを聞ける。
まだいじけてる風に言ってみる。
でも多分、ニヤけちゃってるだろうからカズマにはバレてるだろうな。
「・・・大切な仲間だと思ってる・・・ってこれ言わせたかっただけだろ!」
「何のことですか?因みに私はカズマのこと家族みたいに思ってます」
「・・・ズルいぞそれ」
何を言ったか聞こえなかったけど、何かしら恨み節を言ってるだろうから、答えは帰ってこないだろうと思いながらも質問してみる。
「何か言いましたか?」
「いや何も。朝食食おうぜ」
やっぱり、教えて貰えなかった。
でも、朝からカズマ成分をたっぷりと補充できたことだしここら辺で止めておこう。
「めぐみん、今更だけど一つ聞いていいか?」
「何でも聞いてください」
「誰が服着替えさせてくれたんだ?あと、身体も洗ってあるよな?」
「安心してください。私が全部やりました」
「・・・そうか。ありがとう」
「爆裂散歩の時にカズマがやってくれた事とその延長ですよ」
「・・・」
この後、ゆんゆんの家に着くまでカズマは話してこなかった。
我が母はと言うとまたもやニヤニヤと私達を見ていた。
本当は父に頼もうと思っていたのに、スリープで眠らさせられていたのが今のこの状況の原因。
やはり、今回は我が母のお節介が全て裏目に出ている気がする。
カズマを先にゆんゆんの家へ向かわせて、私は話をするのであった。
「お母さん。私は私のやり方でやるのでほっといて欲しいです。毎回毎回カズマと話せなくなるじゃないですか!」
「昔のお母さんとお父さん見てるみたいで楽しいからつい」
「そんなことの為に巻き込まないでくださいよ!出来れば帰郷中に二人きりで話をして進展しようと考えてたのが全部台無しですよ!」
今回はゆんゆんが実家、アクアは部屋の広さで、ダクネスは気を使って、ゆんゆんについて行くと分かっていたから、今回は絶好のチャンスと思っていたのに……
尽く、二人きりのタイミングでカズマが母の計略で押し黙ってしまう事態が続いている。
「そうなの?中々進展しないからお互いヘタレてるのかなあっと思って色々と後押ししてたのだけど」
「いりません!私なりのカズマ攻略法を考えてるんです!」
「それなら、お母さんもう何もしないから頑張りなさい。昨日渡したあれもちゃんと使いなさいよ」
・・・ダメだこの人。
自分の母親に対してこんな感想を抱きたくはなかったが仕方ない。
次回の投稿シリーズ・次期が前回に引き続き未定です。
カズめぐしてるやつの更新だと思います。
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