卒論の資料集めの取材で時間が溶けました。
-URANAINOKEKKA-
カズマから手紙と銃を貰った私は魔力を装填するために、爆裂しても見られないであろう場所を目指してカズマと歩いている。
シルビア戦に備えての行動だから魔王軍に気づかれることも重要だが、何よりも同族に見つかるのが一番避けたいことだ。
ネタ魔法使いとか呼ばれないように立ち振る舞わないと。
「めぐみん!あそこの岩いいんじゃないか?」
「ダメです。まだこの辺は人の目がありますから」
「そうなのか?結構離れたと思うんだけどな」
「自警団の巡回ルート的にはまだ見られる可能性があるのですよ」
ルートについてはぶっころりーから聞いている。
里のみんなから二軍扱いされるのはごめんだから。
「なるほど。大丈夫な所着いたら言ってくれそこから岩探すから」
「岩を探す必要はないですよ。ここまで来れば大丈夫ですので、放ちますね」
「・・・何もない原っぱだぞ?」
「今日はここでいいのですよ。『エクスプロージョン』ッ!」
大きくて硬いもの以外は認めないと普段言っているから疑問に思っているらしい。
放った魔法は爆裂することなく、私の持っていた銃に吸い込まれて行った。
カズマは思った通り何も知らなかったため、驚いていた。
銃が暴発しないようにカズマの方にもたれ掛かるように倒れる。
多分、カズマは驚きで私が倒れていたら止めて貰えないだろうし、そうなると暴発する可能性があるから、今日はいつもとは違う倒れ方をしてみる。
「え、え!?めぐみんの爆裂魔法が消えた!?って、おおっと、大丈夫か?」
「大丈夫です。ちなみにこれは魔力を込めて物理攻撃に変える銃ですよ」
「・・・爆裂魔法並の物理攻撃ができる銃とかヤバすぎだろ」
「これがないとシルビアが魔術師殺しを手に入れたら対抗手段がないんですよ」
ここの世界が違う所があるとは言え、向こうのカズマがこれを私に用意してくれたのなら、これは有効に違いない。
カズマにもたれ掛かるように
「もしかして、また俺はシルビアに捕まって、今度はアレ開けちゃうのか?」
「身の危険を感じたら開けちゃってください。その時はいつもと違って私が責任を取りますから。たまには私の事頼ってください」
「基本、めぐみんに頼りっぱなしな気がするけど、分かった。その時は頼む」
こうして、今回の魔王軍幹部討伐の大筋が決まった。
そして、今ゆんゆんの家の前に着いた。
私はこれから一人でそけっとの店に行って、口裏合わせを頼むつもりでいる。
「カズマ、今日はゆんゆんの家で夕飯食べて置いてください。私が迎えに行くまで出ちゃダメですよ?狙われてますから」
「分かった。めぐみんは何処に行くんだ?」
「買っておきたいものがあるので、それの調達です」
買うと言っても買収なのは秘密の話。
「そろそろバレてもおかしくないもんな。それに一人で買いに行きたいんだろ?」
「そうですね。カズマが居てもいいですけど、気まずいだけですよ?」
本当は着いてこられるととても困るけれども、ここは着いてきたいと思わせないためにも如何様にも解釈できる言い方をしてみる。
「なんとなく何買うか分かったからいい。ゆんゆんの家で大人しく待ってる」
「気を付けてくださいね。シルビアに狙われてるとゆんゆんに言ったらちゃんと守ってくれるでしょうから離れないようにしてくださいよ?」
ゆんゆんがいるなら安心出来る。
カズマを守る上で信頼しているのはゆんゆんだけ。
アクアもダクネスもカズマは大丈夫みたいな考えでいるから、そこが問題。
「おう。わかってるって、めぐみんも気を付けてな」
「はい。行ってきます」
「行ってらっしゃい」
カズマに心配してもらえているだけで私は今気分が良い。
自分が狙われているというのに、私の心配をしてくれるカズマの優しさがとても嬉しかった。
特に誰とも会うことはなく、そけっとの店に到着した。
シルビアはまだ気付いてないのか、気付いて次の対策を練っているのか。
ともかく、里でシルビア侵入に気付いて騒いでいる人は居ないようだ。
「いらっしゃいませ。あら、めぐみんどうしたの?何か占って欲しいことでもあるの?」
「いえ、その、口裏を合わせて欲しいことがありまして」
「・・・もしかして前世のこと?」
「知っていたのですか?」
どのタイミングで気付かれたのか分からない。
そけっとが過去のことも占えるのは知っているけど、いつ占われたのかが分からない。
まさか、里を出る前の占いで分かっているとか?
私がそもそも存在しない世界だって手紙には書いてあったけど、それも含めて占いで分かっていることになっていたとしたら有り得る。
「この前めぐみんの彼氏さんの過去を見た時に、私が占ってないことを私の占いだってめぐみんが言ってるのが見えたから、気になってめぐみんのことも勝手に見させて貰ってたのよ。ごめんね」
私の過去を直接覗かれていたのなら納得だ。
カズマを占うフリして私も占っていたとは。
そけっと恐るべし。
「だから知ってたのですね。その件で口裏を合わせて欲しいのですがいいですか?」
「めぐみんの頼みなら大丈夫。お金とかもいらないけど、その代わりぶっころりーのこと教えて欲しいかな。あの人のこと占おうとしても全然占えないのよね」
「と言うと?」
あんなヒキニートの情報なんて聞いてどうするのか聞きたいが、まあ、あのヒキニートが運命の人である以上何かしら惹かれる所があるのだろうけれども。
全くもって良さが分からないし、分かりたくもないと思う自分がいる。
「ほら、前にあの人の運命の人とか恋人になる人を占ったでしょう?それで誰も出なかったのが気になって、恋愛関係のことを何度か占おうとしたんだけど尽く何も見えなくてね。この前なんて本人が好きな人は誰か占ったのに、結果が見えなくて自分の力不足なのかなあって落ち込んじゃった」
「ぶっころりーの好きな人はそけっとですからね。水晶に顔が出る訳ないですよ」
どうせあのヘタレなヒキニートは中々告白なんてしないだろうし、フォローとして伝えておこう。
ゆんゆんと二人でまだかまだかと見守っていたのが懐かしい。
・・・さっさと付き合えばいいのにとゆんゆんに話したら、「めぐみんがそれ言うの?」と言われたこともあった。それに対して彼氏もいない人に言われたくないと返したら泣いて逃げっていったっけ。
カズマがもっと早くプロポーズしてくれれば、早かったと言うのに。
それと、進展しそうになると入る妨害さえなければ……
「なるほど、私に関係することだから見えなかったのね。と言うかめぐみん、それ、私に言っちゃって良かったの?」
「ぶっころりーがそけっとのこと好きだって話は里では有名ですからね。今更ですよ」
学生時代にぶっころりーが穴を掘って、そけっとを落として救うマッチポンプを画策していたことはそこそこ広まっている。
みんな、本人に話すのはさすがにぶっころりーが可哀想だと思って、黙っているだけ。
好意を抱いてることを話すだけなら特に問題もないだろうと私は思った。
「・・・え?そうだったの?」
「知らないのは当人同士だけってやつですよ。私とゆんゆんのありもしない噂が流れてた訳ですし」
誠に遺憾ながらねりまきのせいで私とゆんゆんがカップルになったとか言う流言は結構広まっていた。
ウチとゆんゆんの家以外には広まっていたと思う程に。
この里の情報網を舐めてはいけない。
なぜならカズマと結婚の挨拶に来た翌日、母が話したのは買い物してる時に会ったふにふらのお母さんとだけなのに、里のみんなから祝われたのである。
「そう言われると、そうかもね。って待ってめぐみん!」
「なんですか?」
「ぶっころりーは、私の事好きなのよね?」
「ええ、もしかしてそけっともぶっころりーのことを?」
この反応はどちらなのだろう。
直感的には単なる確認な気もしなくはないけど。
もしかしたら既にぶっころりーのことが気になってる可能性はある。
「いや、そうじゃないけど、でもそういうことになるのかな?ほら、ぶっころりーの運命の人が私だったら相手の顔が見えない理由が納得いくと言うかなんと言うか」
「でも運命の人が自分という所に納得いってないのですね」
「・・・うん」
そりゃあ、カズマと違って親の脛を齧ってるヒキニートなのだから納得はいかないと思う。
とは言え、私とて出会った頃の自分にカズマとラブラブな夫婦になるから今のうちに攻略しておけと伝えても、納得しないだろうし、そもそも恋愛にうつつを抜かす等と言い返しているかもしれない。
まあ、そうなったらどれだけカズマが素晴らしい配偶者か説明するまでの話で、流石に爆裂散歩の精密な採点がしてもらえるとか聞いたら乗ってくると思う。
「アレでも私やこめっこの面倒を時折見てくれてたりしてますから、悪くは無いと思いますよ。こめっこに変な言葉を教えるのはいただけませんが」
「そう言えばめぐみんは、ぶっころりーのこと全く異性として見たことないの?」
「ええ、全く。カズマと出会うまでは恋愛自体興味なかったですから」
ゆんゆんにタイプの男性像を聞かれた時も在り来りな当たり障りのない人物像を言っていた。
思い返してみると借金を作らない人という所を除けば真逆な人だと思う。
あの頃は人を好きになるなんて思いもしてなかったのだからズレがあってもしょうがないし、カズマを好きになるのは私だけでいい。
「やっぱり、魔法のことが大きい?」
「それもですけど、カズマと居ると落ち着くのですよ。この人が居てくれたら安心出来ると思わせてくれるので」
「そっか。めぐみんも大人になったね。ここで、一つアドバイスをあげよう」
何をもって大人になったとか判断したのかが微妙だけど、アドバイスがタダで貰えるのなら貰っておこう。
「何ですか?」
「そう遠くない未来にゆんゆんから重要な話を切り出されると思うから、その時はいつもみたいなつっけんどんな態度じゃなくてちゃんと話を聞いてあげてね。その時にめぐみんがどんな返答するかで、色々と変わっちゃうから気をつけてね」
「・・・その色々の部分がとても知りたいのですが、分かりました。気をつけます」
ゆんゆんが何か悩み事とと言うか、運命の分岐点になるような話を私に打ち明けて来る日が未来にあると知れた。
アドバイスと言って教えくれた以上!何も知らずにいつも通りのテキトーな返しをしたらダメなのは明白。
ゆんゆんが改まって話をして来たらちゃんと話を聞いてあげよう。
「めぐみんのおかげで毎日のように今日こそは占えるだろうと試しに行ってたのやめられて助かったから、これはそのお礼」
「・・・そんなことしてたのですか?」
「めぐみんも自分の実力図る為に毎日やってるでしょう?それと同じ」
「そう言われると納得するしかありませんね。・・・私が爆裂魔法使いと言うのは内緒でお願いします」
「それを誰かに話すつもりならめぐみんを初めて占った時にもう広めてるわ。だから安心して」
・・・そういえばこめっこにちゃんとおもちゃ与えるようにって言われてた気がする。
その時にバレていても仕方がない。
「ありがとうございます。あの、これどうぞ」
言って私はお金の入った封筒を渡す。
「もう、何も要らないって言ったのに、でもありがとう。中身は、って、なな、なにこの大金!」
「それが私の気持ちです。あっ、額は額ですけど、私のお小遣いの範疇ですから気にしないでください」
「えっ、ちょっ、ちょっと待って!これがお小遣いなの?あの!彼氏さんそんなにお金持ってるの?」
まだお付き合いはしてないけど、もうこの際面倒だから訂正はしないでおく。
次、里に来るまでに本当に付き合えていれば、単なる事実になるのだから。
問題はそれまでにカズマが告白してくれるかどうかだけ……いやここが一番ハードル高いのわけだけれども。
「カズマがと言うか私のお金をカズマに管理してもらっていて、その中で貰う分の金額がお小遣いです」
「・・・それは実家に仕送りした後の金額なのよね」
「はい、そこら辺もカズマがやってくれてます。送るのは私が手紙と一緒にですけどね」
流石に直接手紙のやり取りを家族とさせる訳にはいかない。
もし、カズマと直接やり取りなんてことになったら、私がカズマのこと書いた手紙を送りかねないし、私への手紙で早く押し倒しなさないとか書いてる人だから。
「お金の管理任せてるとかもう、実質付き合ってるみたいなものじゃない?」
「それ基準で言うとですね。ゆんゆんもカズマとお付き合いしてることになりますね」
「もしかして仲間として、単に預かってもらってるだけ?」
もちろん私の分はゆんゆんよりも預かってもらっている比率は高いし、ほぼ配偶者のそれだと思うほどのお金の管理を任せている。
ゆんゆんはもしパーティーとしてお金が必要になった時のために、と言った感じで預けている側面があるから、この点において私の預けているのとは話が変わる。
「そういうことです。みんなで一緒に暮らしてますからね。それに、私は食費と雑費が貰えれば問題ないですから、基本的にはそけっと達と変わらないお小遣いで暮らしてますけどね。何かあった時に頼んで多めにもらってます」
「そっか。ねえ、何か占って欲しいことはある?このお金がお礼ってのは分かるけど、ちょっとサービスしてあげるから」
「良いのですか?」
正直、金額が金額だから、ここは受けておかないとそけっとに要らぬ気遣いをさせてしまう可能性があるし、ここは話に乗っておこう。
と言っても何を占ってもらおうか全く思い浮かばないけれども。
「何でも好きなこと聞いていいよ。この前勝手にめぐみんのこと覗いたお詫びってことで」
「・・・急に言われても直ぐには出てこないのですが」
「彼の好きな人とかは?」
「それを占うのはいいです。他に宛がありますから」
誰が好きかなんて話はサキュバスサービスを使えば一発で分かる。
と言ってもまだ使ってない手ではある。
今の所、クリスの調査だけで済ませている。
「へぇ、盗賊の子に調査をって、サキュバス!?」
「・・・まあ、そういうことです」
「アクセルはサキュバスと人間が共存してるのね」
「基本的に女性は存在自体知りませんけどね」
私もカズマを尾行しなければ、知らなかった。
その店から出てきたチンピラ冒険者を脅しじゃなくて、チンピラ冒険者に協力してもらって初めてサキュバスサービスの存在を知った。
サービス内容を聞き、私との進展が妨害された日に外泊へ行く理由がよく分かったし、それは意識してもらえてる証拠だから嫌な気はしなかった。
「・・・それを上手く利用しているわけね」
「はい。あっ、そうです。占って欲しいこと見つかりました」
「何かな?」
「カズマの初めては私か調べてください」
今回の転生で一番の目的であるカズマのファーストキスを貰うこと。
この成功率を見れば少しは安心材料になるだろうし、結果次第で今後の攻め方を変更しないといけない。
「・・・えっと、それはどのレベルで?」
「キスです」
・・・確かにこの言い方だと色々と解釈のしようがあるような。
もう少し話し方気を付けよう。
「分かったわ。えっと、家族以外で初めてのキスよね。・・・ちっちゃい女の子ね」
「・・・え?」
ちっちゃい女の子?
どう言うことだろう。
まさかアイリス?
アイリスに会いにいく前にキスしておかないといけないとなると時間の余裕がなくなってしまう。
「ほら、この子」
「誰でしょう?」
水晶に顔が映ったけれども全く知らない黒髪の黒目の女の子だった。
どこの誰だろう。
私はどうすればいいのだろうか。
「私も分からないけど、幼馴染とかじゃないかな。まあ、その意味とかよく考えずにしちゃう子とか、幼少期に結婚の約束するなんて話は小説とかでもあるし、そう言うのじゃないかな」
なんと言うことか。
ダクネスに奪われるとか以前の問題では無いか。
カズマにトラウマを植え付けてくれた忌々しい幼馴染とやらに既に取られていたなんて!
これなら日本でカズマとラブラブな幼馴染として転生してれば良かった……
まさかカズマの記憶にもないほどの過去にカズマのファーストキスが終わってたとか予想外もいい所。
しかも、カズマのファーストキスをとっておきながら、他の男に移るとか許せません。
カズマから、疎遠になったから仕方ないとか聞いてましたが、これを許す程私は寛容じゃない。
「えっと、めぐみん大丈夫?」
「・・・大丈夫です。聞きたいことは聞けたので、帰ります」
「えっ、えっと、めぐみん。子供の頃のはファーストキスには含めないと思うから頑張って!」
そけっとの言う通り、恋とか愛とかよく理解してない子供の頃の行為なんて家族とキスしたとかと同じだ。
これは
つまりまだ私にもチャンスはある!
「ありがとうございます。またカズマと来ますね」
「その時には恋人になってるといいね」
「ええ、私もその頃にはそけっととぶっころりーが」
恋人になってることを楽しみにしてますと言おうとした所後ろから声をかけられた。
それも話題の人に。
「俺がどうかしたか?」
「あっ、丁度いい所に来ましたね。あなたがそけっとのことを好いていると伝えておいたので、あとはごゆっくり」
「えっ、ちょっとめぐみん!なに勝手に言ってんだ!って待ってくれ!」
ぶっころりーが何か言っているのを聞き流して、そけっとの店を出てゆんゆんの家に戻る私はとても気分が良かった。
カズマのファーストキスが既にすんでいることには目を瞑るとと言う条件付きではあるものの。
「いやあ、今日はいいことしましたね。これであの二人の中は強制的に近くなったことでしょう」
カズマさんの拉致はいつになるかは不明ですが、次回カズマさんが超甘やかされます。
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気分的にカズめぐしてるやつです。
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