この素晴らしい世界に●●を!めぐみんのターン   作:めむみん

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本来先週に書きたかった分です。

*加筆及び修正をしました(1/4)


愛しの屋敷への一歩

-ITOSHINOYASHIKIHENOIPPO-

 

私達は前回同様、日が暮れるまでの間墓場近くでキャンプをしていた。

 

「カズマ、あんたさっきから肉ばっかり取りすぎよ!野菜も食べなさい!」

 

確かに今日のカズマは野菜を全く食べていない。

 

「お前は母さんか!しょうがねえだろう、キャベツ狩り以降、どうも野菜は苦手で。急に飛ばないか心配で無理なんだよ」

「そんなの知らないわ!カズマがお肉をいっぱい取るから、私の分が少なくなるじゃない!」

「それは悪かっ・・・そういやお前も肉しか食ってねえじゃねえか!」

 

カズマの言う通りアクアも肉しか食べていなかった。

 

「お二人とも落ち着いてください!まだお肉はありますから!」

 

ゆんゆんの仲裁で二人は大人しくなったが、まだ睨み合っている。

そんな中カズマがコーヒーセットを出し準備をしているとゆんゆんがいつかの私の様に。

 

「すいません、私もお水貰ってもいいですか?・・・そのカズマさん、私とめぐみんよりも魔法を使いこなしてませんか?初級魔法は覚える必要がないと教わったのですが、カズマさんを見ていると便利そうでいいですね」

 

そう言いつつカズマにコップを差し出す。

 

「『クリエイト・ウォーター』いや、こういう使い方するもんだろう?初級魔法って。そう言えば『クリエイト・アース』これって何に使うんだ?」

「それは確か・・・その魔法で創った土を畑に利用すると良い野菜が収穫できると聞いた事があるので、お花を育てたりするのに使えると思います」

 

笑顔で答えるゆんゆんと対象的に、カズマは少し落ち込んでいる様だ。

 

「何々、カズマさん園芸始めるんですか!園芸家に転職ですか!初級魔法だけでできる仕事とかカズマさん、天職じゃない!チョーウケるんですけど!プークスクス!」

「『ウインドブレス』!」

「ゴホゴホ!ぎゃあああ!目、目があああ」

 

口の中に土が入ったうえに、目にも土が当たり、アクアはのたうち回っている。

 

「なるほど、こうやって使うのか」

「違いますよ!普通はそんな使い方しませんから!カズマさんって魔力が高かったら私達よりも強いんじゃ」

 

ゆんゆんの言っている事は的を射ているが、カズマはまた自分の現実に落ち込んでしまった。

 

 

 

夕食が終わり、辺りが真っ暗になった。

私達を照らすのは月明かりだけである。

もう少しで月が昇りきり、予定の時間になろうとしていた。

 

「めぐみん。ウィズが居たらその後どうすればいいんだ?」

「そのまま普通に話しかければいいと思います」

 

多分アクアが突っ込んで行くだろうし、そこは気にする必要が無いと思う。

 

「初めて会ったフリとかしなくていいのか?」

「ウィズが不死王(リッチー)という部分だけ知らないフリをしておけば大丈夫ですよ」

 

カズマも納得がいった様で良かった。

 

「めぐみん。このクエスト受けてないのにどうしてきたの?」

「ゾンビメーカーがいないからですよ」

「えっ!じゃあどうしてアンデッドが多く目撃されてるの?」

 

ゆんゆんに説明するのは面倒だから適当にあしらおう。

 

「そのうち分かりますよ。ほらあそこを見てください」

 

何も無いただの平原を指さした。

 

「どこ?何も無いんだけ・・・」

 

ゆんゆんがそっちに気を取られている隙に華麗に脱出成功。

 

「カズマ、冷えてきましたね。毛布持ってきます。アクアとダクネスも毛布いりますか?」

「ちょうど出そうかなって思ってた所なの。ありがとうめぐみん」

「私もそう思っていた所だ。頼む」

 

ゆんゆんが此方を睨んできているが無視だ。

・・・一応ゆんゆんの分も持って来るとしよう。

 

「みんなの分持って来たので好きなのを取ってください」

「「「「ありがとう」」」」

 

近くにいたカズマから順番に取って貰っていたのだが。

 

「ゆんゆん、ちょっと待って!」

「どうかしましたか?あっ、これが良かったんですね。それなら換えますよ」

「違うけど、そうしてくれると助かるわ」

 

ワケの分からない事を言い出したアクアにゆんゆんをはじめ全員が困惑している。

 

「じゃあなんでそんな事言いだしたんだ?」

 

カズマが全員を代表して尋ねた。

 

「さっきダクネスが選んでた時に、この花柄の毛布を取ろうか悩んでたんだけどね。ゆんゆんが取ろうとした時に、羨ましそうな顔してたからダクネスはこっちの方がいいんじゃないかなって思ったのよ」

「そうなんですか?ダクネスさん。気付けなくてすいません。どうぞ」

「あ、ありがとう」

 

急に渡されたので反応が遅れたダクネスは反射的に自分の毛布をゆんゆんに渡してしまった。

 

「ダクネスってこういう可愛いのが好きなのね意外だったわ。でもダクネスにとっても似合ってるから気にすることないと思うの」

 

変な所で鋭いアクアに趣味がバレてダクネスは顔を隠してしまった。

その事に気付いていないアクアがさらに追い撃ちをかける。

 

「そう言えばこの間、可愛いフリフリのワンピースを服屋さんで見てたわね。ダクネスに絶対似合うと思うから今度一緒に買いに行きましょう」

 

今のでダクネスは再起不能に陥ってしまった。

 

「ダクネス?どうしたの?顔なんか隠して」

「アクア、もうやめてやれよ。ダクネスが可哀想だ」

 

見ていられなくなったカズマのおかげで、ダクネスはアクアから解放された。

 

「可哀想?私はただ買い物の誘いをしただけなのに」

 

アクアの知力が低い事がよく分かる。

 

 

 

ダクネスがなんとか再起動し普通に話せるようになってきた所で。

 

「おっ、敵感知に反応がでた。四、五、ろ・・・って多すぎだろこの数は!」

「本当か?ゾンビメーカーならアンデッドの数はそこまで多くないはずだが」

 

ゾンビメーカーではなくリッチーなのだから当然だ。

しかし前回は誤差の範囲だった気がするけど、何故だろう。

 

「あそこに誰かいませんか?」

 

ゆんゆんの指摘にみんなの視線が動く。

 

「ホントだ!ってあーーーーーっ!」

「ちょっ!待って!」

 

カズマが引き留めようとしたがアクアはそのままウィズに向かって走って行った。

 

「『ターンアンデッド』『ターンアンデッド』『ターンアンデッド』っ!」

 

次々にアンデッドモンスターをなぎ倒し、遂にウィズの魔法陣に辿り着いていた。

 

「前にもこんな事があったような気がするけど、これ俺達いらなくないか?」

 

私にだけ聞こえる声でカズマはそんな問いかけをした。

 

「そんな事ないですよ。もしアクアだけならこのままウィズが浄化されてしまいますよ」

「それは考えてなかっ・・・」

 

「やっぱりあなたリッチーね!こんなとこにノコノコ出てくるなんて、飛んで火に入るなんちゃらよ!」

「や、やめてえええええ!誰なの!?いきなり私の魔法陣を壊そうとしないでください!」

 

「夏の虫だろ。ってアクアを止めないと」

 

呆然としていたカズマが、ツッコミをいれてからアクアを止めに走って行きそれに私達もついて行った。

 

 

 

アクアがウィズに攻撃をしている様は、どちらがリッチーかと聞かれれば、迷う事なくアクアを選ぶ程に酷いものだった。

カズマがアクアにチョップをしていなかったら、ウィズは今頃、成仏していただろう。

 

「グスッ、カズマさん。ありがとうございます」

「こっちこそ、このバカが迷惑かけてすまなかった」

「ちょっと待ってよ!そいつはリッチーなのよ!ナメクジの親戚みたいなものなの!どうしてそのナメクジを退治しようとしてた私が悪者扱いされなきゃいけないのよ!」

 

アクアの言い分も分かるが、言い方に問題がある。

その所為でダクネスとゆんゆんも、アクアの意見に耳を傾けていない。

 

「アクア。ウィズがリッチーだって事は俺も知らなかったけど、俺の知ってる限りはとても良い人だ。お前も分かってるだろうけど、ウィズは除霊の為に、ここに来ていたんだぞ。そんな人を退治するのは違うだろ」

「人じゃなくてアンデッドよ!そんな奴はこの私が成敗してくれ...痛っあんた何すんのよ!」

「いいからお前は黙ってろ!ウィズから事情を聴くから、話はそれからだ」

 

文句言いたげなアクアだったが、みんなから視線を感じて黙った。

 

「えっと、話しても大丈夫ですか?」

「頼む」

「実はここの墓地には身寄りのない人が多く埋められているのですが、そういった事情の遺体なので、誰もお金を出さなくて、この街の聖職者の方があまり来られていないといいますか。この街のプリーストの方は、拝金主義・・・、いえその、お金がない人は後回しといいますか。その、えっとまあそう言う事なので代わりに私が定期的に、こちらへ来て除霊をしていました」

 

途中からアクアがバツが悪そうに目を逸らしてた。

ウィズも言葉選びなんかせずにビシッと言えばいいのに。

 

「これを聞いてもまだ退治するとか言ったりしないよな」

「流石にそんな事もう言わないわよ!でもこれだけは言わせて、私はただここの事知らなかっただけなの。だからこれからは私がちゃんと除霊しに来てあげるわ」

 

計画通り。

後はアクアが怠け出すのを待つだけ。

 

「ホントか?三日坊主になるんじゃねえぞ」

「そんなわけない、でしょ?」

「自分で言っててなんで疑問形になってんだ!やるならしっかりしろ!えっと、ウィズ。そう言う事だから、明日からは来なくていいからな。クエストが出るくらいには騒ぎになってるし」

「そそうですね。ありがとうございます。それでは私はこれで失礼します」

 

アクアから逃げるようにしてウィズは去っていった。

本能的にアクアが女神である事に気付いているのかもしれない。

 

 

 

クエストという名のフラグ回収を終えた私達は帰路についていた。

 

「やっぱり納得いかないわ!」

 

アクアは不満が残っているようだ。

 

「急になんだよ。話聞いただろ!アンデッドを呼び寄せてるんじゃなくて、ウィズ自体に反応して出て来てるだけだって。しかもその後はしっかり処理してるらしいし」

「そうだぞアクア。それにリッチー相手に戦闘にならなかっただけマシだと思わないといけないだろう」

 

昔の私はそう考えていたが今なら分かる。

これからアクアが言う事が正しいと。

 

「もしそうなってたら余裕で私が勝ってたわ!それはあのリッチーが思ってる事よ!」

「流石にアクアでもリッチー相手には勝てないだろう。あのリッチーとカズマが知り合いで本当に良かった」

「そんな事無いもん!」

 

涙目で訴えるアクアだったが、ダクネスはアクアが強がっているだけだろうと言った感じで、話を聞く気は無いらしい。

ゆんゆんも相手をするのが面倒なのか、アクアに近付かないようにしている。

 

「そう言えばクエストはどうなるんだ?」

「「「「あっ」」」」

 

ダクネスのこの一言は、私とカズマにとっては全く問題ではなかった。

でも取り敢えずそれらしい反応をしておいた。

クエスト(偽)失敗。

私とカズマのクエストは成功。




アンケートに答えてくださった方、ありがとうございました。結果は20日に活動報告で行います。
今更ですがダクネスについても同様のアンケートを行いますのでよければそちらもお願いします。

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