今回が最終回です。
みなさん今までありがとうございました!
投稿日4/1
-ZENITOIUNANOAKUMA-
四月一日。
この日はエイプリルフールと呼ばれる催しがある。
それは、この日であれば一つだけ嘘をついても良いと言うよく分からない行事。
カズマの居た世界で行われていたモノだ。
今日がその当日なのだが、多分カズマは私達が知らない前提で騙してくるはず。
それに対して私も嘘で話を繋げて、カズマを焦らせる作戦だ。
リビングに入るとカズマとゆんゆんが居た。
私に気付くと二人が一緒に近付いて来た。
「めぐみん、話があるんだ」
「真剣な話だからちゃんと聞いてね」
成程、読めた。
二人が付き合ってるとかそう言う類いの嘘だろう。
ゆんゆんも私の気持ちを知っているクセに、こんな嘘に協力するなんて酷いと思う。
それにしても二人の顔色が悪いのは如何してだろう?
「実はな」
付き合ってるとか言ってきたら、私とは遊びだったのかと言って嘘泣きしよう。
これで二人が逆に慌てる事間違いなし。
「今日ってエイプリルフールっていう特別な日なんだ」
それは知ってるけども。
告白じゃない?
「それで今日は嘘をついても良い日で、アクアとダクネスに俺とゆんゆんが付き合ってるって嘘を言ったんだ」
嫌な予感がしてきた。
「始めは上手く騙せたと思ってたんだけど、ネタばらししても恥ずかしのは分かるけど、そんな風に言っちゃダメってアクアさんに言われて、ダクネスさんも同じ感じで信じてくれなくて、そのままお祝いの準備だって二人とも出て行っちゃったの」
二人の顔色が悪かった理由はこれか。
「「めぐみん、俺(私)達どうしたらいい?」」
これは面倒な事になった。
「取り敢えずアクアを押さえましょう。広められると厄介です」
「分かった今すぐ行こう」
「早くアクアさん止めないと」
二人ともやる気満々でバタバタしている。
「待ってください。カズマはここに残って昼食をお願いします」
「なんでだ?三人で探した方が早いだろ」
「今はご飯の事考えてる場合じゃないでしょ」
ゆんゆんは私の事を食いしん坊だと思っているのだろうか。
今度じっくり話す必要がある。
「私を誰だと思ってるんですか。そんな理由なはずないでしょう。カズマに残って貰うのはアクアかダクネスが帰ってきた時の為です」
「そ、そうだよね。めぐみんがそんな馬鹿な考えしてないよね。あはははは」
ゆんゆんは目を逸らして乾いた笑い声を上げていた。
「そういう事か。二人とも後は頼んだ」
「任せてください!」
私は言い終わるとマント翻し、ゆんゆんを連れてアクアの捜索に向かった。
二手に別れてからはや十分。
私はアクアを見つけた。
「アクア、今帰りですか?」
アクアの手にはお酒と沢山の食材の入った袋があった。
そして何故かアクアが顔を合わせようとしない。
「そ、そうよ。めぐみんは何してるの?」
「アクアを探していたんですよ。所でその袋はどうしたんですか?買い出しなら昨日行ったはずですが」
多分、二人のお祝いパーティーの料理を作る為だろうが、何か隠しているのは間違いない。
例えば余分にお酒を買ったとかその辺だろう。
「ええっと、そうだったかしら?忘れてたわ。あはははは」
もしかして買い出しの理由を隠しているのだろうか?
でも如何してそんな事をする必要が?
「正直に言ってください。じゃないと昨日アクアがカズマに内緒で博打してた事言いますよ」
「わ、分かった!話すから絶対に言わないでよ。最近カズマさんが小遣い上げるって言ってくれてるからそれだけは本当に困るの!」
まさかあのカズマがアクアの賃上げするとは。
そう言えばこっちのアクアはあまり損失を出してない気がする。
それにカズマも前よりも丸い所が多いからかもしれない。
「分かりました。絶対言いませんから、教えてください」
「何があっても絶対に?」
注意深く確認するアクア。
何を気にしてるんだろう?
「絶対ですから早くお願いします」
「分かったわ。でもめぐみんにとってはキツイ話になるわよ。実はカズマとゆんゆんが付き合ってて、それのお祝いの準備なの。やっぱり私からよりも本人からの方が良かったわよね?めぐみんってカズマの事好きだし」
単純に気を遣われているだけだったとは。
怪しんで脅したりして、罪悪感が。
「・・・あの、その話なのですが」
「めぐみん。大丈夫よ無理しなくても。泣きたい時は泣いてもいいのよ」
心配してくれてるのは嬉しいけど、話を聞いて欲しい。
「そうじゃなくてですね。実は、」
それは嘘ですと続けようとした時、アクアに抱き締められた。
「めぐみん。我慢はだめよ。失恋は苦しいものなんだから、抑え込んじゃだめ」
「ちょっと離してください!それは嘘ですから!私を慰めようとしてくれるのは嬉しいですけどやめてください!」
凄い安心感があったけど、今は兎に角時間が欲しい。
ここでこんな事している暇はない。
「辛いのは分かるけど、現実逃避してるとあとがもっと辛くなるわよ」
確かにこの状況ならそう思うかもしれない。
だが私は違う。
「現実逃避なんてしてませんよ。それよりもその事を他の人に話してませんか?」
「・・・めぐみんがその道を選ぶのなら私はもう何も言わないようにするわ。だってアクシズ教教義には迷う時は楽な方を選びなさいというものがあるもの。そうねこの話はまだ誰にもしてないわ」
拡散されてなくて助かった。
アクアに同情の目で見られていると凄く惨めな気持ちになってきた。
今、騒いでも逆効果なのは理解出来た。
こうなったらゆんゆんと合流した方が良さそうだ。
「なら大丈夫です。ちょっと来てもらいたい所があるのでそこに行きましょう」
こうして私はゆんゆんとの合流地点へ向かった。
道中アクアがいつもになく優しく接してくるのが嫌だったけど我慢した。
「あ、めぐみん!アクアさん見つかったんだ!」
「そうですよ。早くゆんゆんの口から説明してください。私が言っても哀れまれるだけなので」
途中から本当に自分が間違ってるんじゃないかと思うくらいに慰められた。
ゆんゆんは全く何を言われているのかわからないと言ったようだった。
「やっぱり私じゃダメだったから屋敷に戻ってからカズマさんと一緒に直接話した方がいいわよ」
「・・・!アクアさん違うんです!めぐみんの言ってる事が正しくて、私達が朝言っていたのが嘘なんです!」
ゆんゆんも察しがついたのか否定にはいる。
しかし、アクアは聞く耳を持たない。
「ゆんゆん、めぐみんに気を遣っているのは分かるけど、こういうのは早く済ませるべきよ。それにカズマが可哀想じゃない」
「いや、あれは本当に嘘だったんですよ!確かエイプリルフールでしたよね?それの嘘なんです!」
ゆんゆんが若干興奮気味で訂正するも、アクアはまだ信じていなかった。
でも何となく今のゆんゆんを客観的に見るとアクアが照れ隠しだと思うのは無理もない話だと思った。
「分かったわ。ゆんゆんがそこまで言うならそういう事にしておくけど、屋敷に帰ってからカズマにはこの話ちゃんとするからね」
この後は取り留めのない会話が続き、そうこうしているうちに屋敷に着いた
「ただまー。カズマいるー?」
アクアの声を聞いたカズマが猛スピードで出てきた。
そしてそのままの勢いで私に飛び付いて来た。
「大丈夫だったか!こいつは何処まで広めたんだ!」
世界の終わりかの如く顔を引きつらせて、私を揺さぶってカズマは聴いてきた。
「お、落ち着いてください。アクアはまだ誰にも話してませんよ」
「ほ、ほんとか。めぐみんかゆんゆんかは分からないけどアクアを止めてくれて本当にありがとう。ありがとう」
カズマがホッとしてるのは理解できるけど、ここまで大袈裟に反応している理由が分からない。
「見つけたのは私ですが、どうしたんですか?私が朝起きた時よりも感情的になってますよ」
私が言い切ったその瞬間、カズマに抱き締められた。
「めぐみん、ありがとう!このお礼は明日百倍にして返すからな!ううっ」
「ちょっ、カズマ!あの、本当に何があったんですか?」
状況が全く理解出来ない。
急に抱き締められて、カズマが泣き出した。
カズマがこんなに情緒不安定なのは初めてだ。
周りを見るとアクアとゆんゆん、それにダクネスさっきカズマの飛び出してきた部屋の近くにいて、みんな呆然としていた。
「だ、ダクネスが、ダクネスがうぐっ」
名前が出た事で自然とみんなの視線がダクネスに向く。
「いや、私がと言われてもカズマがこうなってる理由は、私にも分からないぞ」
そしてみんなの注目はまたカズマに戻る、
「全然信じてくれなくて、それで、それで広まったら終わりだって思ってたから怖くて」
確かにアクアも全く信じようとしなかった。
街の中ではカズマが私とゆんゆんのどちらを選ぶかと言う賭けが行われている位だ。
広まってしまったらそれが事実だと認識される可能性は高いと言える。
一番不安なアクアが居なくて、ダクネスから全く聞き入れて貰えなかったら今の精神状態も頷ける。
それにしてもここまで泣いてるカズマは初めて見たかもしれない。
覚えてる限りでは子供達の結婚式が一番泣いてたと思うけど、その泣いているのとはまた違うし。
取り敢えず抱き締め返して、撫でながら子供をあやす様に言った。
「カズマ、安心してください。さっきも言いましたがアクアは誰にも言ってません。今から二人にちゃんと説明したら全部終わりですよ」
「そ、そうだな。めぐみんありがとう。あの時、めぐみんが来なかったら俺とゆんゆんの二人でパニック起こして固まってるだけだったし」
カズマは落ち着いたのか、私から離れて頭を下げてお礼を言った。
「顔を上げてください。そんな事気にしなくていいですから、早く移動しましょう」
リビングに移動し、カズマの説明が始まった。
カズマ曰く、始めは私と一緒に嘘をつくつもりだったらしい。
しかし、私がなかなか起きてこないからみんなが出ていく前に、代わりにゆんゆんを呼び出した。
ゆんゆんは始めこそ拒否していたが、いつものチョロさで簡単に丸め込まれ、カズマの案に乗った。
そして、嘘は大成功。
アクアとダクネスは驚きはしたものの、疑う事なく自分の事の様に喜んだという。
そこから先はお分かりだろう。
それにしても私は勿体ない事をした。
今日に限って二度寝してしまうとはついてない。
アクアとダクネスはさっきのカズマの行動から二人が付き合っていないのが嘘じゃないと理解した様だった。
「あの時のカズマは凄かったわ。あのままめぐみんに愛の告白をするんじゃないかと思って見てたのに」
「お前は何に期待してんだよ。そんな事みんなの居る前でするわけないだろ。それにするなら」
カズマは何かを言いかけて、続けるのをやめた。
小声だったから分からなかった。
でもみんなの前でって事は二人きりなら告白してくれるのだろうか?
まあ、もしかしなくても言葉の綾だろうけど。
「そりゃそうよね。だってカズマはヘタレだし」
「よし、アクア俺がヘタレじゃないって思い知らせてやるから表でろ!」
「上等よヒキニート!このアクア様に勝てると思ったら大間違えよ!」
「まあまあ、落ち着くんだ二人とも、今は昼食をだな」
ダクネスが仲裁に入るが、
「「ララティーナは黙ってろ(て)!」」
「よし、お前ら表にでろ!二度とその名を呼ばないように説教してやる!」
これではミイラ取りがミイラだ。
そこにゆんゆんが止めに入った。
「みなさん落ち着いてください!今は喧嘩してる場合じゃ」
「「「うるさいぼっち!」」」
「分かりました。皆さんがその気なら考えがあります!紅魔族は売られた喧嘩は買う種族なんです!」
あのゆんゆんまでもが乱戦に加わった。
ゆんゆんがあそこまで好戦的になるのは滅多にないし、正直戸惑っている。
私が止めに入っても同じように参戦するだけだからやめておこう。
その代わりに私は呟いた。
「光に覆われし漆黒よ・・・」
みんなの動きが止まった。
とはいえまだ掴みかかった手とかはそのままだった。
つまりいつでも再開出来る状況だ。
だから私は続けた。
「世を纏いし爆焔よ・・・」
「「「「すみませんでした!それだけはやめてください!」」」」
こうしてエイプリルフール騒動は全て収まった。
この後、アクアが買ってきた物をみんなで手分けして、返品しに回った。
返品不可の商品も多かったが、アクアが今月暮らして行ける程には戻ってきた。
今日は災難な日だったけど、カズマからの抱擁を受けられたからよしとしよう。
そう言えばカズマが明日お礼を百倍返しでくれると言っていたがあれは何なのだろうか?
後から聞いても明日渡す物があるのは変わらないと言われたから一時の感情に任せて言ったものではないようだし、気になる。
明日が楽しみだ。
まずみなさん最終回と言ったあれは嘘です。
安心してください。
次はダクネスの誕生日ですが、このシリーズではありませんのでご了承ください。
これは嘘じゃないですよ!
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