戦姫絶唱シンフォギアIXA【更新停止、1月始めまで】 作:みすちー
ーーーーー“ノイズ”ーーーーー
大昔からこの世界に存在し、今も尚打開出来る対策が少ない“災害”。
人間のみを襲い、神風特攻隊の如く自身の崩壊すら厭わず人に接触し炭化させ殺す。
唯一対抗出来るのは櫻井了子という女性が提唱し、実現させた『櫻井理論』に基づき古代の聖遺物を武器とし歌により装着者を矛とする『シンフォギアシステム』だ。
それ以外の兵器では全く歯が立たないーーーーー
「筈なんだがなぁ〜…」
「そ、そんな事言われても…」
じゃあ目の前に居る人物が持つ力は何だ?
大柄な体格、それに合わせて筋肉モリモリ。赤いワイシャツに自身の性格をそのまま表したかの様にネクタイを胸ポケットに入れている者。
風鳴弦十郎は思考を張り巡らす。
「(それにしても特異災害対策兵器部にその研究所、プロジェクトVにXか……厄介事が増えるな。)」
彼の姪である風鳴翼とその相方天羽奏が戦っていた場所。
そこから近くに巧妙にカモフラージュされた地下への建物が発見されたのだ。
ノイズに襲われたのであろうその建物は『研究所」、多数の違法研究の証拠や炭化していた研究員が見つかった。
そこで一番弦十郎の目を引いたものが『プロジェクトX』と特異災害対策兵器部の存在だ。
特異災害対策兵器部については噂話だけでなら聞いていた。
弦十郎の目の前で「?」と首を傾げている彼はどうやらそこに幽閉されていたらしい。
「もう一度聞こう。『あのノイズ達』を殲滅したのは君なんだな?」
「だから知らないしわからないって言ってるじゃないですか……」
ハァ、と弦十郎は溜息をつく。
さっきからどんな事を聞いても全て「知らない」「わからない」しか言わないこの少年。
自分の名すら知らないらしい。
「(こんな子が本当にノイズを殲滅したのかと思う程だ…)」
藍色の腰まで届きそうな髪、少女かと見間違いそうな顔立ち。藍色の瞳にスリムな体つき。
その身体からは戦う意思すら感じられない。
しかし戦っていたのだ。
つい先程研究所内で、藍色のシンフォギアに似た鎧を身に纏いノイズ達を圧倒し、軽々と殲滅していたのは紛れもないこの少年である事が研究所内カメラにてわかっている
だが、鎧を身に纏う時苦しんでいる様に見えたしノイズを殲滅した後は倒れてしまっていた。
何かしらリスクがあるらしい。
「やれやれ、話にならんな…」
「そんな事言われても…」
しょぼん、と藍色の少年はがっくりと項垂れる。
それにしても特異災害対策兵器部研究所はまだ全部調べた訳ではないのでわからず終いという事は恐らくないだろう。
今は緒川達が調べてくれている。
「なんでもいい、何かしら覚えてないのか?
ならば自分の役目はこの藍色の少年から何か聞き出すべきだと、弦十郎の心に火がついた。
今度は具体的にではなく、大雑把に質問する。
「うーん………あ。」
「何かわかったのか!?」
「わぎゃっ!?」
どうやら何か思い当たったらしい。
弦十郎はつい摑んでしまった肩を離し、詫びを入れる。
「えっと……『イクサ』。」
「…『イクサ』?」
藍色の少年から出た単語は、弦十郎の遥か予想斜め上を行くものだった。
「…なんかよく覚えてないんだけど、この単語だけははっきり覚えてるんです。もしかしたら僕の名前かも……。」
「『イクサ』……『イクサ』か……」
『イクサ』
弦十郎はこんな単語初めて聞いた。
『戦』なら解るが発音が全く違う。
何か意味のある単語なのだろうか?パスワードか何かなのだろうか?
「何か他にはあるか?」
藍色の少年は首を横に振った。
「(緒川君達が戻るのを待つか…)」
弦十郎は再び溜息をつき、茶を啜った。