一度死んだ私のヒーローアカデミア~Centipede Queen~   作:燐2

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UAが100000に行ったことにテンション爆上げで作った何かです。
とりあえずハッピーエンドが書きたくてお酒飲みながら適当に作った無駄に長いものです。

※本編とは全く関係ないパラレルワールドです。
※本編のネタバレを多く含む可能性があります。
※作者の好きでビルドした作品です。

それでも良かったらどうぞ


外伝
UA100000記念:ベストマッチな奴ら 前編


 これはあったかもしれない物語。

 二人の本当の笑顔を浮かべれる陳腐な幻想。

 手を伸ばそうと届かない蜃気楼の中の世界。

 転生という世界を超える個性で同時に同じ場所で(・・・・・・・・)この世に落ちてしまった二人の長い人生の一片。

 

 幸せに満ちた奇跡のような夢が始まる。

 

 

◆◇◆

 

 

 

 僕――――緑谷 出久(みどりや いずく)には夢がある。

 それはヒーローになること。人類の約8割が個性という特異体質を持つ時代の中で、凶悪な犯罪や事故が多発する世の中で凛然と輝く職業だ。ナンバーワンヒーローのオールマイトのようなどんなピンチでも笑顔でみんなを助けれるような最高のヒーローに憧れた。

 一度は無個性と診断され、ひどく落ち込んだ時もあったけど、いろんなことがあって【思いの強さをパワーに変換する個性】を悪魔(実姉)のような存在と契約して、譲ってもらった。

 まぁ、そんなことは昔のことで、今は憧れのオールマイトの母校、雄英高校に入学を目指して毎日訓練と勉強漬けの日々だ、しかし今日はそれもひとまずお休み、一般家庭でも多く見られるように我が家でも年末の大掃除の時期がやって来たのだ。

 

「ま、待って!!ここは私の部屋ですわ!!自分で片付けるか―――あ゛ぁ゛ぁぁぁぁ!!!」

 

 まずは要らないものを集めようと各自部屋を片付けていると、決して女の子が上げていけない断末魔が響いた。

 

「こらぁぁ!!貴女は、またこんな変な本を隠して!!」

「違いますわ違いますわ!!それは私の友達が貸してくれた大切なモノですの!!」

「『心を溶かされてしまったのは最愛の妹、許さない禁断の性夜(R-18版)』なんてぶっ飛んだ内容の漫画なんて読むのは貴女ぐらいでしょ!」

「う゛わ゛ぁぁぁぁ!!!」

 

 あまりの大きな声に僕たちは思わず自室から顔を出した。目が合ったのは学校で圧倒的支持により生徒会長に就任、男女問わず優しく接する、家事勉強スポーツどれもトップレベル、容姿は母さん譲りの可愛い系の顔で、ボランティア活動と聞けば積極的に赴く、趣味は絵描きで全国で開かれるコンテストでも最優秀賞を貰った事もある嫉妬を抱くのも馬鹿らしいほどの完璧な僕たちの妹、次女の緑谷百合(ゆり)だ。

 

「タイトルまで大声で読み上げるとか、母さん凄いね……」

「うん、いつものことだけど流石に可哀そう……」

 

 母さんが際どいタイトルの成人向けの雑誌を抱えて部屋から出ようとするのを必死で止めているのは緑谷家最大最強の問題児と言われる、長女の緑谷零明(れいめい)姉さんだ。全国模試一位独占中、百合と比べて二歩下がるがそれでも身体能力は高く、学校では深窓の令嬢のような綺麗な容姿、上品な喋り方をしてみんなの憧れの的だったらしいが、それは学校限定の顔で、家に帰れば下ネタを呼吸するように口にして、百合に対する異常なセクハラ行為によっていつもみんなを困らせている。長男の僕から言わせてもらうと変態という言葉がこれほど似合う存在はいないだろう、と思える人物だ。

 

 だけど、僕に個性()をくれた人物でもある、ヴィランの思想論、どんな状況でも戦える方法等々、前世で培った(・・・・・・)体験したことを交えながら、百合と一緒に鍛えてくれた頼りになる姉さんだ……絶対に本人の前で言わないけど。と、いうか零明姉さんとの訓練だけで僕はいったいどれだけのトラウマが量産されたんだ……。

 

「百合ぃぃぃ!!弟くん!!この境地、今こそ我ら三つ子(・・・)の絆を示す時ですわ!!」

「ふふ、兄さんの部屋は相変わらずオールマイト一色ですね」

「憧れ、だからね。絶対に雄英高校に受かってみせるよ百合と一緒に」

「ヘルプミー!!!!」

 

 因みに今助けを求めている零明姉さんは既に経営科の推薦枠に入っている。

 それも『貴方達ならサイドキックのままでは終わらない、独立したときに私が無茶しないようにサイドキック兼マネージャーになってあげますわ』とのことだ。何時もの言動と行動がアレだけど、こういう時は人が変わって『姉さん』なるのだから、頭が上がらない。まぁ、その後舌を巻きながら『プロヒーロー試験なんて私はてんっっさいっ!なので一発で合格して追い付きますわよ、ははははは!!』と言われた時は百合と一緒に上昇した好感度が一気に零になったけど。

 

「……今でも信じられないよ、私のような大罪人がヒーローを志すとか」

「それでも、誰かの助けになりたいって気持ちがずっと有ったんだよね、なら百合のやりたいことを実現するには一番ヒーローが近道なら、僕はそれを兄としてライバルとして応援するよ」

「……兄さん、ありがとう」

「お願い!!助けて!!!私の、僕の、宝物がぁぁぁぁ!!!」

 

 ……………見つめ合った僕たちは修羅場に突入している零明姉さんと目を合わさず静かに部屋に戻った。

 

「「さて、掃除しようか」」

「神は死んだ!!?」

「堪忍しなさい!!どうせ前みたいに百合と貴女が(自主規制)している自筆漫画も隠しているんでしょ!?それも出しなさい!」

「絶体絶命のピンチに私を助けてくれるヒーローは!!?」

「それは初耳!毘天来て!今から一緒に姉さんの部屋に行って探すよ!!」

『御意!!』

 

 ドン引きする僕を他所に百合と共にどこからともなく現れた蜈蚣の軍隊が零明姉さんの部屋に突撃。

 多数の個性を使った無駄のない洗練された、無駄のない技術で隠された、無駄にクオリティのあるエロ漫画は怒った百合によって塵も残されず焼却された。因みに零明姉さんの宝物も悉くゴミ箱行きになり、部屋の片隅で胤翼と呼んでいる赤い翼で体を覆い自閉モードになった状態で女々しく泣き続けてた。

 

「私の心血と情熱と色欲を注いだ、私と百合の濃厚な溶けるような熱愛の薄い本が………あはははっはは」

「……その笑い方まだ余裕あるわね、百合まだ隠しているわよ」

「あ、この勉強机の柱、穴開けてその中に隠しているね。あとはこの床とか少し浮いているわね一枚ずつ巧妙に差し込んで隠している、焼かなきゃ」

「」

 

 あ、零明姉さんの万策が尽きたのか真っ白になった。

 因みに父さんは年末は忙しくていつも参加出来ないけれど我が家の大黒柱として頑張って遅くまで仕事を頑張ってくれているので年末の大掃除は免除されている。

 

 ……少し昔を思い出した、こんな日常になるまで色んなことがあった。

 今でこそ零明姉さんは僕を弟くん、弟くんと可愛がってくれるが、最初はずっと百合と一緒にいることを望んだ。『百合(レギオン)以外は私の人生に不必要』なんて子供の時から周囲に敵意をぶつけ続けた。百合も百合で、こうなることを予想して周囲に被害がでないように零明姉さんを誘導しつつ、子供を慰めるように相手をしていた、その様子はまるで悪魔に進んで体を授ける生贄のようにも見えた。

 

 小さな僕でも二人の関係は変だった。最初から言葉を交わさなくても、通じ合っているような、だけどそれは悪いほうに互いに依存しているような、ただの姉妹ではない絆が二人の間には生まれる前からあったように感じられた。その時は言葉でどうこの違和感を言ったらいいか分からず、僕も無個性なのが判明した時期も重なってひどく落ち込んで、家族が空中分解しかけて、あの時期は母さんと父さんには本当に迷惑をかけてしまった。

 

 転機といえばテレビでオールマイトの特集を見た時に流した百合の涙だった。いつもクールで大人な雰囲気がある百合が赤ん坊のように大声で感情全てを流すように泣き叫んだ。それを必死で慰める零明姉さん、心配して近づこうとした母さんに向けて個性を使い、伸ばしたその手を両断した(・・・・・・・・)

 

『蟲が、邪魔だわ。私達を見るな私達の声を聞くな私達を感じるな。レギオン、私たちは比翼の鳥ですわ。一緒に行きましょう、全てが貴女を傷つける世界なら、再び私は屍山を積み上げて神の座へと至り、誰も手が付けない無限の空の中で二人だけで生きましょう?』

 

 その時、僕は片腕を無くした母さんが黙って見ていた。噴水のように溢れる赤が床を汚していくそれが、どんな意味を成すのか、どのようなものなのか、幼い僕には理解が出来ない領域だった。震える百合、天敵から守るように抱きしめて目に映る全てを敵と殺意を露わにする零明姉さん。

 

 

 そして、母さんは、倒れることなく、残ったもう片方の手で零明姉さんの頬を叩いた。

 

 

 

『ふざけないで、貴女は百合を守ろうとしているけど違う!!今の貴女の顔を鏡で見てみなさい!!』

『ッ――――蟲が!!!貴女たちに僕たちの何が理解できる!!もう私は失敗しない!!二度とこの手を僕は放すものか、絶対に!!』

『確かに貴方達は生まれる前から普通とは違う何かが結ばれているのは分かっているわ!!だから教えてほしい、私に何ができるか分からない、オールマイトのようなヒーローのようになれない、それでも――――貴女は私がお腹を痛めて、生んだ愛しい子供達よ。お願い、貴方達が背負っているものを聞かせてほしいの………そ、れで、少しで、も、気が休、まる………な、ら………力、に』

『――――――――』

 

 母さんは最後まで、言い切ることなく倒れた。

 それを零明姉さんは、意味が分からない恐ろしい者を見るような目つきで固まり、何が起きたのか明白に理解した百合は抱きしめてきている零明姉さんを両手で押し出して、リビングの固定電話に走って叫ぶ声で救急車を呼んだ。

 

 それから、やってきた救急車に乗った僕たちは病院に運ばれて母さんは緊急手術を受けた。

 切り落とされた腕の傷の断面は綺麗だった為、再接着は無事に終了した。ただ出血が酷く、もう少し遅ければ命が危なかったと言われ、それを聞いた父さんの顔は真っ蒼になった。この後の母さんが目覚めるまでが緑谷家の一回目の修羅場だった、百合からポツポツと経緯を聞いた父さんは顔を真っ赤にして零明姉さんを手を上げようとしたとき、僕は百合より先に零明姉さんを庇うように両手を広げた。

 

『れいめいおねえちゃん、ゆり、ずっとないている。ぼくはおとこのこだから、こういうときぼくがみんなをまもるんだ。おとうさんおねがいゆるしてあげて、れいめいおねちゃんもゆりも、ずっとずっと―――――こわいおもい、してきたんだとおもうから』

 

 そんなことを言っていたような記憶がある。お父さんは息を荒くしながら震える手を下げ、ソファに暫く座り込んで自分を落ち着かせてから、僕たちを家に送って、不器用にご飯を用意してくれて、病院に戻った。

 

『……ねぇ、蟲』

『………ぼく、むしって名前じゃないよ、いずくだよれいねえちゃん』

『どうして私を庇おうとした?あの蟲は正当な理由で私を傷つけようとした、貴方がやっているのは意味のない善意ですわ』

『……れいねえちゃんのいってるいみわかんない』

『…………どうして私のような奴を助けようとしたの』

 

 零明姉さんは、僕の顔を見ようともしないほうに体を向けたまま質問を投げてきた。

 幼い僕は簡単な計算問題を解くように答える。

 

『ないていたから、あのままだったら、もっとみんなないちゃうようなわるいことがおこりそうだったから』

『……余計なお世話ですわ。あぁ、でも確かにあのままだったら私はあの蟲に反撃して殺してしまっていたかもしれませんわね』

『よけいなおせわはヒーローのほんしつだってオールマイトがいってた!』

『……何を喜んでいるか分かりませんわね、私は貴方の母親を傷つけた張本人なのに、その小さな知能では現実を理解できませんか?』

『……ちがうよ?れいねえちゃん、ぼく、ゆり、みんなのおかあさんだよ?』

『ッ!―――――れ、レギオン。ごめんなさい、私はちょっと外で風に当たってきますわ』

 

 立ち上がった零明姉さんは頭を押さえながらふらふらと千鳥足で出て行ってしまった。

 

『……凄いね、兄さん』

『あたりまえのことだよ???』

『………私も、イリスも、そういう当たり前をうまく受け止めれないの、ごめんね。………ありがとう、兄さんのおかげで勇気が湧いたよ』

 

 それから百合は零明姉さんを追いかけて、初めて喧嘩のように大きな声で言い争っていたのを覚えている。

 父さんは有給休暇をとって病院と家に回るような日々で、母さんは三日ぐらいで意識が戻った。その間に百合たちは覚悟を決めた顔で入念に人影を気にしながら、腕を組む父さんとベッドに座る母さんの前で一つの告白をした。

 

『父さん、母さん―――私たちは転生者です』

 

 その時、僕も一緒にいたけど同時の僕じゃ話の内容をほとんど理解できなくて、けれど真剣に話をする零明姉さんと百合の話を邪魔するのも悪いような気がして、そのまま母さんのベッドで寝てしまったけど途中から聞こえた母さんの声は覚えている。

 

『ありがとう、そんなこと話してくれて、辛いでしょそんな前世の話するのは』

『……いえ、既に終わってしまった話ですから、それで提案のほうを受けてください、お願いします』

『却下よ、貴方たちを産んだことすら忘れて生きろ……だなんて、私が首を縦に振るとでも?』

『…………もう一度言います、私は人と蜈蚣が混ざり合った怪人で、血と個性因子さえあれば個性をコピーすることが出来ます。イリスは他者の個性を奪い、それを強化することが出来ます、与えることも出来ます………私たちはこの立ち直り始めている社会を狂わせる一矢にやりかねない危険な存在です。私たちは、貴女達のような善き人の子供であり続けることは、不幸を招くことになる厄です。どうかも「黙りなさい!!」ッ』

 

 母さんの怒鳴り声に飛び跳ねるように起きてしまう。

 

『いい!?子供の仕事はね、やんちゃして何度も失敗して、くだらないことに笑って喧嘩して、人が人を理解する一番大事な時よ!まだ五歳になったばかりの貴女達の事情を飲み込んだわ、壮絶な地獄の世界を数百年も自分なりに救おうとして努力してきたのに、失敗してとても辛いでしょ――――だけど、はっきりと私は言わせてもらう、知らないわよそんなことって』

『『…………え』』

 

 お父さんは途中までうんうんと頷いて、最後のほうで体勢を大きく崩した。

 

『私にとって大事なものはね、どんな酷いことが起きても零に戻って明るい方に歩いて行ってほしいと願いを込めて零明と名付けた貴女と、百回以上の善き出会いがあることを願って百合と名付けた貴女なの………前世の貴女達が何をしようとも、何を犯そうとも、今を笑顔で暮らしてほしいの、残酷で無責任で無慈悲に聞こえるかもしれないけど、私は貴方達の親よ、願うのはいつも一つ―――幸せに生きてほしい』

 

 その時、寝ぼけていた僕にもはっきりと見た。

 母さんの聖母のような見ただけで安心する笑みを。

 その両手で僕も、百合も、零明姉さんを包んだ温かい抱擁は、いつしか二人の静かな嗚咽が病室に響き始め、流されるように思わず僕も、父さんも母さんも涙を流した。僕たちが生まれて五年、その時から、やっと百合と零明姉さんは、僕たち緑谷家は一つになれたのだ。 

 

 それからというもの、零明姉さんは深く頭を下げて謝罪して母さんは当然のようにそれを受けた。他者を蟲呼ばわりする零明姉さんは少しずつ人を名前で呼ぶようになり、百合のこともレギオンと呼ぶことは無くなり、百合も零明姉さんをイリスと呼ぶことは無くなった。

 ただ人が変わろうとしても、個性は変わらない。零明姉さん達はネットで調べた強すぎる個性を持ってしまい日常生活に支障をきたす特別な子供たちの専用学校に通いたいと言い始めた。まだ幼稚園すら通い始めた時期なのに、ただの一般家庭である僕たちを気にしてくれたんだろう。それと同時にもう一度、個性と人間と社会に、向き合ってこの世界で自分たちにできる事を模索したいとの願いに両親は頷いた。

 

 それと同時に零明姉さんと二人きりの時に『私たちの世界なら真っ先に使い潰されて家畜の餌となるようなお人好しのご両親を守りなさい、二人ならどんな敵でも問題ありませんが、もしもの時に無個性なんて足手纏いはいりませんわ。力を与えます、ついでにこれでヒーローでもなんでもなるといいですわ』と個性を与えられ、その使い方を物理的に教え込まれた。

 

 幼稚園を卒業して、二人は市役所に個性届を提出して、第二回目の修羅場がスタートした。

 飛行機に乗って家族で人工島(後にI・アイランドと知る)まで連れていかれ、なんとオールマイト含めたトップヒーロー達(後で全員のサイン貰った)や警察たちの前で、百合と零明姉さんの個性について様々な実験が開始された。僕はその時、何か分からないけど凄いことが起きていると単純に思っていたが、両親含めた色んな人たちがずっと険しい顔になっているのは少し怖かった。

 

 偉そうな人、ヒーロー達、両親が話し合った結果、二人はI・アイランド内の全寮制の小学校に通うことになり、僕たちはヒーローの事務所の近くに引っ越すことになった。本当は友達と別れるのは嫌だった、我慢しても泣いちゃいそうになったのはよく覚えている。特に僕をデクって呼んでくる友達のかっちゃんとの別れは寂しかったけど、互いにヒーロー志望だったので雄英高校で会おうって約束した。……で、引っ越し先の学校で新しい友達、轟 焦凍(とどろき しょうと)くんと仲良くなっていくうちに彼の家庭内の悲惨さに思わず単身突撃、ちょうど長期休暇でI・アイランドから帰ってきていた百合と零明姉さんも遅れて突撃………二人には『やっぱり貴方は大物になれる』って呆れられた。因みに母さんが一番凄かった、僕たち3人に拳骨した後、近い将来ナンバーツーヒーローになるエンデヴァーを震えさせるほどに威圧で”お話”している姿は僕たち三人に再度『どれだけ強くなっても、この人には絶対に勝てない』と再認識させた。その後、母さんは入院しているエンデヴァーの奥さんに色々と教えに行った結果、直ぐに退院して焦凍くん(兄弟が沢山いるから名前で呼んでくれと頼まれた)の家族内で親父の立場が最下位に落ちたと笑いながら話してくれた。余談として焦凍くんのお母さんがエンデヴァーを容赦なく罵倒すると、ちょっと頬を赤くするエンデヴァーがいたとか。

 

 小学校時代はエンデヴァーの元に通いながらひたすらヒーローになるために焦凍くんと個性と体を鍛え上げ、長期休暇で帰ってきた二人には挑んだが全然敵わないままで、悔しい思いをして悩んでいたら母さんは『安心しなさい、あの二人より強い物を出久は持っている、まずはそれを磨き続けない』とアドバイスをしてくれた。それから少し時間が過ぎたある日に、百合と零明姉さんが帰ってきている時にオールマイトがやってきて三人だけでコソコソ何かを話していた、気になって耳を傾けても何度も『オール・フォー・ワン』という単語が出てくるだけで、話が終わった後は零明姉さんは安心したように胸に手を置いて深く息を吐き、百合は複雑な顔で黙り込んでいた。心配すると百合は僕に抱き着き何も言わず震え始めたので、治まるまで頭を撫で続けた、その時の指を噛みながらハイライトで僕を見つめる零明姉さんは凄く怖かった。

 

 中学時代は小学校時代とはあまり変わらない日々だった。ただ訓練内容が一気に実戦形式へと変わり厳しさも格段に上がった。僕一人なら音を上げてしまう所だったけど、長男としてのプライド、隣で歯を食いしばり進んでいる焦凍くんを見ると負けてられないと必死に走り続けた。そして零明姉さん達は飛び級でI・アイランドの学校を卒業、高校は僕と同じ雄英高校に通うことを決めていたので家に帰ってきた。

 

『お父様のような一般サラリーマンに三つ子は負担ですわ、私はてんっっさいっ!なのでそこら辺を察して既に雄英高校経営科の特別推薦枠を取っていますわ、あはははっは―――――あ゛ぁ゛ぁぁぁ!!お゛母゛様゛ぁぁ!!!』

『……ごめん、こんなに変わってくれたことには嬉しいけど凄くうざくて……つい』

『は、は゛な゛じでェ!!』

 

 母さん必殺のアイアンクロー!零明姉さんはノックアウト寸前だ!!

 

 

 

 

  

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