一度死んだ私のヒーローアカデミア~Centipede Queen~   作:燐2

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なんか評価バーが赤くなってるんですけど。
お気に入り件数とかUAが凄まじいことになっているですけど。
ランキングみたら23位とか、HAHAHAHA!!!
………ありがとうございます!!
期待にお答え出来る程、面白い物が書けるか分かりませんが少しずつ頑張っていきます!!

あと、熱いからみんな水分補給しよう!作者は家に帰った途端頭痛くなってちょっと寝込んだぞ!


第六話:普通と違うこと

 今日は、私が退院(ギプスはまだ取れてない)してから久しぶりに学校に行く日だ。一か月と少しぐらいの時間しか経ってないのに、いつも歩く通学路がまるで別世界のように感じた。

 

「ねぇねぇ、あの子ニュースに出てた……」

「プロヒーローが立ち往生していたのに、勇敢に人質を助けた女の子よ!」

「じゃ、隣にいるのは何も出来なかった男の子ね。こう見ると似ているわね……姉弟かしら?」

 

 こんな感じで周囲の人から好奇心が込められた視線が私に向けられている。巡回中のヒーローを見かけた様にこちらをチラチラと見てくる。

 

「すっかり有名人になったね」

「別になりたくてやった訳じゃないよ……」

 

 兄さんは、ため息を吐く私に苦笑した。あとそこの人、私は妹だからね。そこパズルの最後のピースぐらい重要だからね。

 

「何も出来なかった男の子……とか、どれだけの人が兄さんと同じことが出来るって言うのよ」

「……でも、事実そうだったし」

「兄さんが動かなかったら、私行かなかったよ」

 

 爆豪さんは確かに小さい頃から兄さんと見てきたが、幼年期はまだ可愛げはあった。歳を重ねる事に落ち着きが無くなっていき、他者に対して攻撃的になり見下ろすようになっていた。兄さんと関わりが無かったら、私はとっくの昔に絶縁を叩きつけたよ。結果的に腕を犠牲にして爆豪さんを助ける事になってしまったけど、思わず体が動いてしまったのだから仕方ない。

 

「……そういえば爆豪さんどうなの?」

「え、会ってないの?」

「私が(狸)寝入りしている時に来たかも知れない。光己さんはお見舞品持ってきてくれたけど」

 

 今思えばそんなに長い入院生活じゃないのに、色んな所からお見舞品貰ったなぁ。

 果物系なら毘天達が喜んで全部食べてくれたけど、お菓子系はまだ家に残っているんだよね。因みに爆豪さん、私が寝ているふりをしている事に気づいていたのか、気づいてなかったのか分からないけど、見下ろして『クソが』と言い残して帰った。その対応に毘天が怒りを込めて殺りましょうと個性”毒生成”で、毒を濡らした牙で爆豪さんの後を付いて行こうとしたから止めた、やるなら痛いだけで済むレベルにしなさい。

 

「かっちゃんは……ここのところ静かだよ」

「あの常にダイナマイト体中に巻き付けて導火線に火をつけてる狂人が?明日は世界の終わりかな?」

 

 言いすぎだよと兄さんは、思い当たる表情をしながら少し笑った。その視線は真っ直ぐ狂わず私の方に向けられていた。

 

「……私が原因?」

「……かっちゃん、百合が救急車で運ばれている時、車が見えなくなるまでずっと見てたから」

 

 にわかに信じがたい、けれど兄さんが言うのだから本当のことなんだろう。それにしてもあの爆豪さんがね……。

 

『おまえ、デクと違ってあたまいいよな!おれがトップヒーローなったらお前をヨメにしてやる!!』

 

 ……ないわ。ヨメという意味すら分かっていない頃、私にそう言ってきた小さい頃の爆豪さんを思い出して眉を(ひそ)めた。前世では必要以上に私に近づこうとしてきた異性は、次の日には行方不明になるか半殺し状態で発見されるのだ。行方が分からない人は本腰で調べて死んでいることは確認できたが、そこから更に調べようとすると部下達が泣きながら総出で止めてくる。私の親友、裏の首領である“オールフォーオーバー”は不機嫌になって帰ってくるなり(目的地は知らない)膝枕を要求して、それに答えながら失った人員を埋める為の再配置を考えたりしていた。つまり、どうも私は異性と心の距離が一定まで近づくと異性に不幸な事が起きる呪いのような”個性”があるらしい。因みにこれを注意勧告として部下達と毘天に知らせると共に苦笑いしていた。

 

「ないわ」 

「ど、どうしたの?そんな嫌な顔して……」

 

 少なくとも、人に対して簡単に死ねやら殺すとか言って手から火花散らす様な野蛮な奴とは友達になろうとも思えないよ。それに、最初から勝ち組だった爆豪さんは、確かに才能もあって同世代の中では間違いなくトップレベルで強いが、自身の弱さや脆さを認めて受け入れる器があるかが問題だ。じゃないと簡単に折れるだろう。

 

「……今日会って話をしてみようかな」

「だ、大丈夫なの!?僕も一緒に……」

「この前のこと謝らないといけないしいいよ。先生達からも二人で話し合えって言われているし」

 

 そう言うと兄さんの表情が曇った。ヘドロ事件の少し前に学校内で起きたことを封殺されようとした一部始終は兄さんには話している。ある意味で無個性という特別な存在故に学校から腫れ物扱いされている兄さんからしても、いい気分にはならない話だろうが、何も言わなければ、何も起きていない、そんな都合があれば悪い気分になるだろう。

 

「……ごめんね、僕が弱くて」

「弱さを知って更に弱くなる事は無いよ。変わりたいって本気で想った時に既に変われている。兄さんは胸張って笑っていればいいよ、それが大事な事だから」

「百合には敵わないなぁ」

「それを私に言わせるぐらいに強くなってね」

 

 それは険しい道のりだと楽しそうに笑う兄さん。二か月前と比べたら制服を着ていても分かるほどに肉体が鍛えられているのを見ながら私達は一緒の道を行く。願わくは私たち二人とも雄英高校に行くときもこうなるといいなと思いながら。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 お昼休み、ヴィランと対峙してどうだったかとか怪我は大丈夫なのかとか、他の組からもクラスメイトが集まって、質問攻めにあっていた私はお昼飯すら食べる暇がない程に忙しいその時、ボンッと爆発音が響いて私を取り巻いていたクラスメイト達はヴィランとでも会ってしまった様に顔が青くなって、ある人物が通れるほどの道を即座に空けた。

 こちらに歩いてくるのは常に睨んでいるように見える三白眼、爆破したように無差別に立っている髪、着崩れた制服。これほどまで特徴があるのはこの学校で一人しかない。

 

「おい蜈蚣女、面貸せ」

「いいよ、みんなごめんね。話はまた後で」

 

 今日はお昼無しかな、と久しぶりに作ってくれた母さんのお弁当が食べられない事を少し残念だと思いながら。私は彼に付いて行く。場所は外に出た校舎裏、そこには校長の趣味なのか色鮮やかな鯉が飼育されている。影差す湿った空気の中で爆豪さんは静かに口を開いた。

 

「なんで俺を助けた」

「……無我夢中だった、と言えば納得してくれる?」

 

 正直な所、あの場でオールマイトが来てくれたおかげでどんな事が起きても私達三人は無事だった。むしろ兄さんが爆豪さんを助けようと走らなくても、全て解決されていたかもしれない。

 

「けっ!テメェの本性はデクと同じだ!!金魚の糞のように勝手に付いてきて!その上俺を見下して他の奴等と同列に扱う!!」

「……特別扱いされる気分はいいだろうね。でもそのままだと空の広さを知れないよ」

 

 君は井戸の中のカエルだ。周りの凡庸な人たちが勝手に君に期待して、その期待に応えられる才能があったから更に調子に乗って、褒めることしかしなかった周囲の人達の中で君の心にある傲慢が膨張していた。

 

「確かに同世代で考えたら爆豪さんは間違いなくトップを狙えるよ。けど絶対にトップにはなれない」

「あぁ!?どういうことだよ!!」

「ヒーローってどんな仕事だと思う?」

「そんなのヴィランをぶっ潰すのが仕事だろうが!!」

「当り、同時に違う」

 

 はぁ!?と表情を歪める爆豪さんに私は答える。

 

「強さはヒーローに大事な事だ、同時に人を喜ばせる事が出来るのがヒーローでもある」

 

 オールマイトはどんな状況でも常に笑顔だ。その裏にどんなものを抱えていようとも、それを絶対に面に出さない、恐怖とは伝染するもので希望とは常に輝いていなければならないもの、そのことを彼は誰よりも理解しているだろう。

 

「永遠の№2ヒーローと呼ばれるエンデヴァーって知っているでしょ?あの人、事件を解決する手際とかサイドキックの配置とか、適材な人を動かす事に関しては間違いなくオールマイトより優れているよ。だけど一番になれないのはあの人が近くにいると安心できるとは言えない、あんな上を憎むような眼をしていたら、ヴィランが潜伏しているのを探しているのではないか?と実力は信頼できるけど不安を生み出してしまうから、居るだけで人々を喜ばせる事はできない」

「………何が言いたいんだよ!!」

「爆豪さん、貴方は、本気で、その破壊的な“個性”と貴方の心で――――どうやったら人の心が救えるか真剣に考えたことある?」

「―――――人の心、だと?」

 

 他人を救う事、綺麗ごとを幾ら並べてもその重さは計り知れない。

 

「ヴィランを倒して他者を救えば全部解決なんてそんな単純なものじゃない。恐怖や絶望とか、そういう他人のものを自分の分も含めて飲みこまないといけない。ヒーローを名乗るってことは誰かの心の弱さを支える柱になることだと私は思っている」

 

 前世の私はそこまで考えなかった。自分の全てを出しきって救い出す方法はどんなものでもいい、代償の為に人間を捨ててもいい、“個性”によって歪められた社会を世界そのものを零にするために私達は命を賭けた。他人からどう思われているのか深く考えず知らずに、痛いと止めてと言う人々に耳を貸さずに容赦なく理想を武器に殴り続けた屈服するまで、降伏するまで、死ぬまで、何度でも。

 

「貴方はどう思ってるの爆豪さん、自分が満足するためにヒーローになるの?他人なんて自分を引き立ててくれる道具って思って!!ムカついたら貴方の事を命を賭けて助けようとした兄さんにたとえ冗談だとしても自殺教唆した気持ちが今も変わらないなら!!本気でそう思い続けるのなら!!貴方はヒーロー(助ける側)になるべきじゃない!!!」

 

 徐々に胸に秘めていた思いが沸騰して冷静に言っていた言葉が、いつの間にか激情を乗せた声音に変わっていた。言い切った私は荒く深呼吸をして心を冷やして、唖然とする爆豪さんに伝える。

 

「他人のたった一つしかない命を、自分のたった一つの命を賭けて助けに行くのがヒーローです。大した事のないと思った一言が言われた本人にとって自殺に追い込む凶行へと走らせてしまうことを知ってください、兄さんにちゃんと謝ってください」

 

 昼休みを終えるチャイムが聞こえた。このまま教室に戻っても遅刻確定だけど、このままここに居るわけにもいかず私は足を進め爆豪さんを通り過ぎた。

 

なにが間違っていたんだ

 

 小さな声、だけど私には、はっきりと聞こえていて一瞬足を止め何かを言いかけたが結局何も言わず私は足を進める。ここで止まると言うのなら幸せだろう、それでも進むと言うのなら、その時は背中を少しだけ押してあげよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆゆゆゆゆゆゆ、百合ぃぃぃ!!!」

「どうしたの兄さん、落ち着いて」

「かっちゃんが僕に向かって舌打ちしながら『サーセン』って言ってきたぁぁ!!!!」

「……ふふっ」

「なんで嬉しそうなんだよ!!こんなことは絶対にありえない!明日隕石とか落ちて来るって!!」

「兄さん兄さんちょっと落ち着いて、大丈夫だって……ふふ」

「百合ぃぃぃ!!」

 




キャラ崩壊はお友達、最後まで爆豪さんのキャラはどこまで言わせていいのか境界が分からないからほとんど百合に話してもらいました。
戦闘描写も碌にないし、なんでガールズラブを入れた理由とかまだまだ書けてないし、次は緑谷兄の修行風景書いてやっと雄英受験する予定です。

最後に恥ずかしくて同じくらいに嬉しかったマキシマムトマトさん、あんな感想始めてでした。確かに重いとは感じましたけど、それ以上に全部見てくださってありがとうございます。誤字報告してくださった方々もありがとうございます。
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