一度死んだ私のヒーローアカデミア~Centipede Queen~ 作:燐2
リアルで色々ありスランプ状態になっておりました。これからの更新も遅くなると思いますが一応この小説のゴールはオールフォーワンと決着つけるまでと決めていて、そこまでは行きたいなと思っております。ではでは
今更のことだが、私は普通科の試験で一番の成績で合格してしまった。
そう、つまり主席という名誉を頂いてしまった。
あの日の夜、合格通知と一緒に内包されていた小さな円形のパーツは兄さんと同じもので、スイッチを押すと表示されたのはオールマイトではなく、雄英校長である根津校長だった。
『おめでとう!!緑谷百合君!君は合格だ!雄英高校と言えばヒーロー科という認識が世間では一般とされているけれど、経営科、サポート科、そして普通科も優秀な人材を育てる為に試験として非常に難解な問題を用意した。今年は例年より難しい物でエリート校からの挑戦者すら何人も落ちたにも関わらず、その中で君は
それを聞いて顎が外れそうになるほど驚いた母さんと兄さんの反応はちょっと面白かった。因みにその情報が母校に伝わった時は、もうお祭り騒ぎで私を胴上げしようとする教師もいたぐらいだ。(スカートなので遠慮したが)
『主席緑谷百合君、もし君さえよければ新入生代表として答辞を読んでみないかい?原稿はこちらで用意してもいいし、君が考えてみてもいい、返事を待っているよ』
と、言い残して空中に投影されたディスプレイは消える。私は自分のことのように涙を流す程に喜びながら左右に体を揺らしてくる二人に身を任せながら、心に宿った罪悪感と共に受ける事にした。
――●○●――
入学式、この国トップクラスと呼ばれる程の雄英高校の入学式は非常に騒がしい物だった。最初はそうでもなかったが、教師説明となると空気が一転した。今なお現役のプロヒーローとして活躍する人達がテレビでは絶対に見る事が出来ないであろう豪華さで並んでいた。ヒーローのファンなら絶対に残したいだろう、この集合に思わず写真を撮る生徒もちらちら見える。普通の入学式ならばNG行為だが、毎年恒例入学式終了後に五分だけの撮影時間が設けられることが説明され、隠れて写真を撮ろうとすると私の隣にいる写原さんのように容赦なく没収されてしまい多少のブーイングが聞こえたが、こんな場所で暴走するような輩はおらず直ぐに鎮火した、ように見えたがプロヒーロー達の自己紹介に何度も広い体育館が震えた。因みにオールマイトが天井から華麗に飛び降りて自己紹介した時は新入生大興奮のあまりガラスが割れるかと思うほどの熱烈な感激の嵐が起きた。何故かヒーロー科B組が居るにもかかわらずA組がいないことを不思議に思っていたが。
『ゴ主人、侵入成功シマシタ』
………うん、一番の難関だと思われた猟犬ヒーロー”ハウンドドッグ”の不審な行動は見られない。試験当日靴の紐を結ぶ素振りで雄英高校の土を確保してよかったかもしれない。個性”犬”というのは身体能力も凄まじいものだと予想出来るが、私達が一番気を付けなければならないのは人間を遥かに超えた嗅覚だ。そこで、日常的に嗅いでいるであろう雄英高校の土の臭いを纏えば気づかれずに侵入出来るかもしれないという実験を行った。結果は大成功、後は人と機械の目がない場所を慎重に把握しつつ毘天専用の仮拠点を造りだすだけだ。
「(毘天、散策ついでにちょっと兄さん探してくれない?)」
『了解』
”メール”による返信は直ぐにきた。因みに最後に自己紹介を始めたのは根津校長だ。非常に話が長い、まだ午前中で騒いだ連中は目が覚めているかもしれないが私はそこまで一個人に対するヒーローに熱意を抱いていない深夜のオールフォーワンとしての行動も重なって重い眠気が襲ってきた。
『ゴ主人、緑谷出久ヲ発見シマシタ』
「(何をしてるか教えて)」
『”個性”ヲ使ッテ走ッテオリマス』
………走ってる?入学式に出ずに?
『結果ヲ出シテ記録シテイル様子デス』
考えれるのは教師側が生徒達の個性を把握するためのテストかな。三年という長いようで短い中でプロヒーローまで育てる為には一秒一分とて惜しいと感じるような先生なのかもしれない、ヒーロー科B組担任のブラッドヒーロー”ブラドキング”の視線を追うとヒーロー科A組が座る予定だった空席を見て微かに唇を『イレイザー、またか』と動かした。”ズーム”を使って読唇術を使えばこういうこともできる。
『……ゴ主人、緑谷出久ガ言イ寄ラレテイマス』
「(爆豪さんが癇癪起こした?)
『違イマス、ポニーテール……トイウ髪型ノ女』
私が思うのもなんだけど兄さん女性に対する免疫皆無!私や母さんならともかく、小学校中学校と女性と真面に会話した(全て業務的な内容)ことなんて指で数えれるぐらいだよ!?ちゃんと会話できるかな、悪いとは思うけど兄さんの学校生活ボッチみたいなもの(主に爆豪さんが原因)だったからコミュニケーションに心配があるんだけど、やる時はしっかりとやってくれるけど!し、心配だ……!!
『新入生代表、緑谷百合!』
あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……!!!
こんな時にぃぃぃぃ!!!
『ドウシヨウモナイデスッテ科目ガ違ウ時点デ、アイツノ可能性ヲ信ジテアゲマショウ、ゴ主人(コレガ世間デ言ウ”ブラコン”カ)』
「は、はい!!」
「………頑張れー、ファイトー、オー!」
荒れ狂う内心を落ち着かせ気持ちを切り替えて立ち上がると数千の視線が一気に私に向いた、前世では数十万人レベルの前で演説など幾度となくやってきた身なので緊張より、すこしだけ懐かしさがあって、写原さんの言葉に頷きながら私は教壇のマイクが置かれている前まで移動する。すれ違い様にこれから私達の担任を務めるミッドナイト先生が”頑張りなさい”と言う様にウィンクを送って来たので何も言わず頷いておいた。いつの間にかオールマイトは姿を消していたが、気にする事ではないかと表情を緩く、深呼吸を一つして予め考えていたこと答辞を話しだす。
「答辞。出会いと別れを思い出す春の刻、温かな日差しはまるで祝福しているように思える今日、私達は雄英高校に入学することとなりました」
ここに入学しようと思ったのはヒーローという物を知りたいから。
前世での世界には存在しなかったもの、必要だったもの。
私が一番なりたかったもの、なれなかったもの。
「中学生活から新しい一歩が踏み出され、夢や希望と同じくらいに不安と心配がいっぱいです。これから学校生活で自分に何が出来るのか何を出来る様にするのか、そのための沢山の困難という壁にぶつかるでしょう。その度にクラスメイト、先生方に迷惑をかけてしまうことが沢山あると思います、しかし一つ一つの問題に向き合い乗り越える折れない心と努力を続けることで自立できる強さを獲得していきたいと思っています」
私の手は血まみれで地獄の深淵に落ちる存在だ。
人を救うために人をやめてしまったバケモノだ。
「私達は雄英高校としての自覚と責任感を持ち、共に励まし合い切磋琢磨していける仲間になれるよう努力していくことを誓います。最後にかの英雄ナポレオン=ポナパルトは言いました『不可能は、小心者の幻影であり、権力者の無能の証であり、卑怯者の避難所である』故に”
だから残したいと思ってしまった。いつかバケモノになってでも目的を達した後、自害することは決定している。だからこそ、緑谷百合として何かを残したいと。
いつの間にか私は兄さんと一緒に初めてヒーローという存在を知った一本の動画を思い出して、そのヒーローがするように拳を突きたてるように空に強固な柱の如く立たせた。
「……
どこからか声が聞こえた。
「
その声は広がっていく。年齢を越え、性別を越え、いざ高らかに私達は雄英高校の入学のスタートを切った。
「「「「「
あぁ、それにしても兄さんが心配だ。
―――○●○―――
その甘美の鼓動は官能的、ドクンとドクンと脈動する様は生命の根源。
透き通るように刺激する悲鳴は生にしがみ付く素晴らしき原初の意志。
故に穿つ、穿ち尽くす。
穢れた目は美しい空虚の瞳をして既に旅立ちの旋律は終わった。
救われ穢れた残った器は私の物。
切り裂いて、粉砕して、吸収して翼の一部にする。
血、血、血、まだまだ足りないもっと欲しい。
いつか、自由になる為に好きな場所に行くためにまだ足りない。
「……ッ!お迎えに参りました
「あら、久しぶりね黒霧、お父様やドクター、弔くんは元気かしら?」
「ええ……皆さんは変わりないです。貴女は……相変わらずですね。もう何人吸収しましたか?」
「さぁ、
正確に数える為に動けないようにして頭を持って、腕を持って、胴体を持って、足を持って、地面に並べて合わせて数えてから翼の一部にしましたわよ。途中からもう面倒になって全部繋げてあげたら、まぁ新しくて醜い獣の塊の出来上がり。燃やしたらピアノを叩きつけた様な音に思わず消し飛ばしてしまったのは失敗ですわ。
「お父様との約束通り、植物以外の動物もみんな私を見たら翼の材料になってもらったわ、街を歩いてしまった時なんてガラの悪そうなお兄さんが猿のように発情しながら襲ってくるのですもの、自己防衛”個性”を使ったら皆さまに見られてしまったからもう………みんな私の一部になってくれるしかないでしょ?」
それにしてもいきなり国外に留学なんて、もしかして私はお父様に嫌われているのかしら?
「実はオール・フォー・ワンから伝言が」
「あぁ、それは後にしてくださいませ、そろそろ来ますので」
「なにが、ですか?」
「私、実は狂暴な獣に追われていますの、そろそろこの国ともお別れですわ。ここの海の幸を使った料理は大変美味だったのに……」
「……それはヒーローですか?」
さぁ?そんな名前だったかもしれないし、違ったかもしれない。みんな一緒になってしまえば同じものですわ。
「あれほど目立つことは厳禁だと言われていたはずですが!?」
「だが、守るとは言ってませんわ」
ケラケラと嗤うと黒霧は頭を抱え始めましたわ。一体どうしたのでしょうか?頭が痛いなら頭を消してあげましょうか?と聞くと何かを思い出したように慌てて帰って行ってしまいましたわ。でもちゃんと伝言は受け取りましたありがとうございます黒霧、さてお父様は私に帰ってこいと。
「αからΩチーム対象を包囲しました!!」
「よしここで《魔王》を撃ち、遺族たちの無念を晴らすぞ!!」
「全員撃てぇぇぇ!!!」
あははははっはははははははっはははははははっははは!!!!!!
「撃て撃て!!銃身が溶けても撃ちつづけろ!!奴は
「あら、バケモノなんて酷い。これでも立派な
『”ブラッド・ハザード”+”大気圧縮”+”筋骨発条化”+”瞬発力×6+膂力増強×6+ロックオン』×4
胤翼から作り出した砲台で先ほどから資源の無駄使いをしてくる愚かな獣たちに発射、今日は気分がいいのでいつもより多く周囲に撃ったら、何時の間にか周囲は濃厚な死の香りがする川が出来ていましたわ。ふふふふ、今日は本当に良き日、皆さんはどんな”個性”なのかしら?いい者が有れば、もうすぐで会えるレギオンにプレゼントになりますわ。
「ば、ばけ、ばけもの……!?」
「あらあら、あらら生きてらっしゃいましたか頑丈になる”個性”と見ましたわ。でもちょうどいいですわ、歓喜しなさい、天壌に響くほどに高らかにやっと始まりますわ、
「な、なんだ……!?耳が、痛」
『”ブラッド・ハザード”+”鎌鼬”+”大気圧縮”+”風流操作×10”+”回転×5”』
「……ち、ちい、さな、台風…?」
「数百ナノメートルサイズの微小の風の刃を乱気流のように回転させながら無理やり球状へと昇華させたものですわ」
説明してあげると顔を見る見る青く染めて……つまらない。
私の大好きな人なら、それでも諦めない。死んでも諦めない。
そして私に全てを差し出しても、悔いなく死んでくれる。私だけの大事な大事なレギオン。
「た、たす、」
「貴方は害獣を始末するとき命乞いを聞きますか?」
さようなら。醜い獣。
解き放った風刃の竜巻は周囲の地形を変えた。何もかもを切り刻んで無へと。残った物と言えば血、血、血。回収しないといけないが生身の体ではそろそろ限界ですわね。
さて、私の方が先にこっちに来ちゃったから20年ぶりの再会ですわ
貴女の目にはこの世界は一体どんな風に見えるでしょうか?