一度死んだ私のヒーローアカデミア~Centipede Queen~ 作:燐2
※キャラ崩壊
※ぶっちゃけバレンタインあんまり関係ない
※書き殴っただけ
以上のことを踏まえてお読みください
2月14日、それは一日だけの戦争である。
男は己の魅力と地位を証明できる日。
女は己の熱い秘める思いを渡せる日。
誰もが菓子を燃やす程の熱気を発しながら仕事場へ学校へ。
今日は至る所で怨嗟、狂喜の激しい音が戦争の始まりを告げる号砲となり響き渡る。あるものは勝者に対して嫉妬の血涙を流し、あるものは敗者に対して勝者は陰で笑い。誰が先に尚且つ濃い記憶を刻み付けるのか、策略するもの、裏切りもの、地獄の底のような熱意と氷檻より冷たい意志を胸に混沌の日は来たり。
ハッピーバレンタイン。
蕩ける甘い思いは誰の手に渡るのか。
◆◇◆
突然だが、姉弟で一緒に寝るというのは何時頃まで続くものだろう。まだ親に甘える幼稚園のころだろうか?成長期を迎えた小学生あたりだろうか?時が過ぎるにつれて人は心と体を成長させる。気にしていたものを気にしなくなり、気にしなかったものを気にし始めたもの、男の子らしい体格、女の子らしい体格、たとえ同じ屋根の下で暮らす中でも気になる部分はどうしても出てしまうものだ。
「……すぅ、すぅ」
ここに一人の少年が眠っている。『神野の英雄』、『
世間では、絶対に手を出していけないランキングで緑谷家が一位にランクインされ、その次は彼、以下はその姉と妹たちと複雑な独占状態の彼も、今日が休日ということもあり、いつもより少し長い睡眠時間に入っていた。
「ん………んん…?」
最初に感じたのは違和感だ。寝返りをしようとしたのに体が酷く重い、というか動けない。両腕もまるで重りが載っかっているように動かすことが出来ず、自由が利く足をまず動かすと両腕の不明な物体がびくっと震える。腕は動かせずとも手は動かしてみると柔軟で薄いカーテンを触るような感触からまるで人肌のような温かさへ。
「………………あーー」
そこで察した出久、瞼を開けてその双眸で状況を確認する。
「弟君、のえっち……そんなとこ触るなんて」
「兄、さん、こそばゆい、よ」
絶世の美人姉妹の薄い寝間着の姿に出久は薄く笑った。ここは雄英高校の寮で、二人は本来違う場所で寝泊まりしているはずだ。だからこれは夢だと。
「あらまた寝てしまいましたわ」
「そうだね、昨日の合同訓練も頑張っていたから…」
「私と百合がチームで1-Aと1-Bの皆さんが空高く飛んでいくのは中々楽しかったですわ」
「相澤先生にこいつ等をドMにする気かって注意されたね」
昨日のことを思い出して、二人の姉妹は顔を合わせて楽し気に笑うとぎゅっと出久の身体を抱きしめて再び静かな寝息を立て始める。
……その後に朝食の時間に遅れると起こしに来たクラスメイトが出久の左右を挟むように眠っている二人のあられもない姿と乱れた寝間着の出久の姿に悲鳴が上がり、真っ先にたどり着いたブドウ頭の少年が般若のごとき顔つきで出久に襲い掛かろうとして血の鞭と蜈蚣の麻痺毒で一瞬で制圧された。騒動を聞きつけた教師が、三人の姿を確認するとお得意の布操術で縛り付けて朝から説教の時間となった。
因みに出久は、なんでさ……と女性関係でトラブルが多い有名なヒーローと同じ言葉を繰り返していた。
「朝から姉妹丼とか緑谷はマジ殺す」
◆◇◆
「はぁ……」
「なぁに?そんな溜息吐くと幸せ逃げちゃいますわよ?」
一体誰の所為だ、と喉元まできた言葉を飲み込んで目の前の引き込まれる妖艶な長い黒髪、服の上からでも分かるアイドルの中でもトップレベルだろうプロポーション、美しさと存在感から思わず平伏しそうになるほどの美貌、世間では『世界一ヤバい姉』、『
「姉さん、流石に一緒に寝るのは不味いよ。我が家なら……問題ないと思うけど」
顔を赤らめしおらしくなっているのは肩まで伸ばした透明感のある黒髪、零明と比べてプロポーションは劣るが逆に体のバランスが整っており、気品と自信に満ちた美貌によって多くの人から『世界一オモい妹』、『
「なんで態々、僕のベッドに……一応寮にも防犯機能とかあったしどうしたの?」
「「個性で無力化」」
出久は頭を抱えた。世間じゃこの二人が本気になれば社会を壊せると信じている人達もいるほどの爆薬扱いだ。容姿や個性だけで目立つのに雄英体育祭で二人の最大の攻撃に観戦していたプロヒーロー達の多くが二人の戦いを止める為に突貫してオールマイトすら吹き飛ばされるシーンは網膜に焼き付いている。二人とも相当気を付けていたらしく派手な音や派手な個性で観客を楽しませようと色々画策していたが、まさかプロヒーロー達が乱入してきた所為で計画を変更せざるをえなかったと残念そうな顔をして、ボロボロになったプロヒーロー達をドン引きさせたのが始まりだった。(オールマイトと変身した姿で戦ったシーンは視聴率30%まで上ったとか)
「そういえば兄さん、お腹すいてない?」
「……突然どうしたの?今三時ぐらいだから少しすいているけど」
今日は説教後に三人で買い物だった。外に出かければ出久も含めて様々な人に話しかけれる。握手を願われ、サインを頼まれ、三人の変身シーンを見せてくれ、といつの間にか人の波の中心に。遠くでヴィランが暴れていると零明が感知して、リクエスト通りに変身して現場に急行、速攻で片付けて警察関係者に引き渡した後、マスコミの応対をしてと今日起きたことを思い出すと濃い一日だったなと遠い目を出久はした。
「兄さん、今日は何の日か知ってる?」
「バレンタインでしょ?毎年貰っているから分かるよ。もう、自分の血を入れるとか勘弁してよね」
食べたけど、美味しかったけど、と内心呟いた。作った百合曰く友達にアドバイスを受けたとのことだ。
「だって……どんなに頑張ってもチョコの原材料は誰かが手を付けているんだよ?私は何も作っていないから、私だけが入れれる私だけの特別なものを入れようとすると考えた時、血が一番いいかなって」
「百合、私もその意見には賛成よ。けど新鮮さを追及するあまり自分の心臓を取り出したときは流石にお姉さん焦ったわ」
「なにそれ!?聞いてないよ!!」
確かに血液は心臓から送り出されるが、そこまでやるかと出久は妹の将来が不安になった。いつの間にかテーブルに置かれたのはチョコケーキだ。数日前から仕込みを始めていたのだろう、プロレベルまでに徹底的に計算された材料と技術を遺憾なく発揮した一品だ。漂う甘い香りに思わずお腹が鳴るが、先ほどの会話の所為か警鐘が脳内で鳴る。
「………まさか爪とか髪とか入れてないよね?」
「もう兄さん、呪いの人形じゃないんだから、それに不衛生だよ」
「血は不衛生じゃないの!?」
「大丈夫、ちゃんと個性で綺麗にしましたわ、それに血なんてほとんど水みたいなものですわ」
「そういう問題なの……?」
「これでも百合の初期案では個性を使って腕をケーキに限りなく近い物質構成にして切り落とそうとしましたわ……流石に止めましたが」
「え、えへへへ………」
この流れは今年も入っているのではと出久は思ったが、世界一可愛い妹である百合と頼りになるときしか頼りにならない唯我独尊な零明がせっかく作ってくれたチョコケーキを食べないという選択肢はない。渡されたナイフは僅かな熱を持ち、チョコでデコレーションされたケーキを易々と切り分けていく。
「………うん、美味しいよ」
「「イェーイ!」」
仲良し気に二人はハイタッチした。チョコの苦さと甘さが黄金律の如くマッチしており、ケーキに使用したスポンジ生地もこのケーキのために調整して作られたのだろう、口に深く残らないほどの後味で何切れでも食べれそうだ。
「……で、今年はなにを入れたの?」
「「…………企業秘密!」」
これは血以上の何かを入れたな、と未熟ながらヒーローとしての勘が察知した。しかし、同時に深く踏み込めば海淵のような黒く冷たいものに溺れるような予感がしたので出久は考えることを止めるようにテレビをつけた。
「懐かしいわね」
零明の言葉に二人は頷いた。テレビで流れたのはオールマイトの最後の事件、平和な筈の神野市に突如として出現した脳無達と、傷ついた百合たちを庇って連れ去られヴィラン『オール・フォー・ワン』の手によって洗脳された零明はオールマイトを相手に優勢だったが、それは『オール・フォー・ワン』を油断させるための罠であり途中までは確かに洗脳を受けてはいたが、零明のもう一つの人格によって洗脳は解除されており、ワザと命令に従いオールマイトを追い詰め、一瞬のスキをついて零明は今までの鬱憤を晴らすべく『オール・フォー・ワン』の
「「これは酷い」」
「攫われたピー〇姫ポジションでしたわよ?」
「「全国の〇ーチ姫ファンに謝って」」
雄英高校退学の覚悟の上で助けに行っていたのにあんな物を見てしまった僕たちの気持ち分かる?と言うとばつが悪そうに零明は視線を逸らした。その後は出久と百合、零明が揃い変身、激高する『オール・フォー・ワン』を相手に激闘の末に必殺技を決めて勝利。逃げられたヴィランもいたが、あの怯えるような眼で果たしてこれから先、何が出来るのだろうかと零明はクスクスと笑う。
「あ、私たち仲良く警察に連行されましたわね」
「あの時は仮免すら持ってなかったし、仕方ないよ」
「反省文で済んだのは奇跡だったよね」
当時を振り返り、互いに話の花を咲かす。別の所ではバレンタインのチョコを何個貰った等と自慢話や、ホワイトバレンタインの期待に胸を膨らます級友たちを気にせず、三人はこれからの未来に夢を抱きながら話を弾ませる。
「「「今日も善い平和な日だった」」」
外伝なのでハッピーが継続します。