一度死んだ私のヒーローアカデミア~Centipede Queen~ 作:燐2
7/10大幅削除、修正しました。
昨日の緑谷兄暴力未遂事件(通称)は無事に片付いた。ある意味であの三人も爆豪さんと同じ、幼い時より甘やかされ成長して、自分がこの世界の中心だと思い込んだまま成長してしまった人たちだ。それ故に息子がこんなことをするはずない!と先輩の親達が訴えたが、爆豪さん用の抑止させるボイスレコーダーと携帯端末を先回りできる毘天たちに渡しておいた。兄さんを雄英高校に落ちた鬱憤晴らしに袋叩きしようとした証拠の映像と音声は、ばっちりと撮った上で先生に提出した(何故かドン引きしてた)。そんなこともあって最終的にはあちらは非を認め、兄さんに謝らせた。こっちも母さんと話して怪我をさせた訳ではないから、学校側も事を大事にしたくないので、受験のプレッシャーで学生が思わずやってしまったという事で丸く収まった。あちら側が徹底的に戦うのなら、こちらも更に追い詰める為の用意はしていたが無駄になったのはちょっと残念。
まぁ、それは捨て置こう。兄さんは前人未到の無個性”ヒーロー”を目指すべく知識だけではなく体も鍛える事を決意した。ヒーローを目指す者の過酷さはこれから死ぬたくなるほど味わうだろうが、これからする努力の時間は決して無駄にならようにするために、まずは自分のヒーロー理想形を考えよう。
「僕の理想形……」
「うん、正直なところザコなヴィランならともかく、それなりに実戦経験のあるヴィランの場合、接敵しただけで兄さんの人生は終わるから」
兄さんの部屋、オールマイトのグッズが至る所に並ぶオタク部屋でノートを開いて二人だけの会議を開いていた。
「今思いつく限りは、とにかく直接戦闘を避ける為に体力と脚力を鍛えまくって人を抱えた状態で安全圏内まで逃走するタイプだね」
「だとすると場所によって走りにくい場所は危ないぞ?何時も常に地面が平行で在ってくれるはずがないしヴィランも直ぐに追ってくると想定すれば生半可な体力と走力じゃ足りない動きにも意識しないとパルクールを基本とする人間の身体能力を極限にまで引き延ばしつつ周囲の環境を最大限に利用する反射能力と判断力が求められるいやそれは僕だけ逃走する前提での話で実際の現場では誰かを抱えてもしかしたら怪我人を抱える状態かもしれない持ち方にもよるが基本両手は使えない状態なのは明白だそれに下手な動きは怪我を悪化させる可能性がある寧ろ必要なのはどんな体勢で走ろうとも芯が歪むことがないバランス力が大事になるのかこれはなかなか難しいけど個性がなくても出来る一つの可能性……ブツブツ」
久しぶりに見た兄さんの並列思考モード。ノートに凄まじい速度で文字が埋め尽くされていき、喋りながら修正されていく。予想力は予期せぬ未来を当てる一種の予知能力、それを幼い時からずっと無意識に鍛えてきた兄さんなら一見無理だと思える事でも直ぐに解決への道を切り開ける。問題はこれを極限状態でも出来るかだけど、今それを求めるのは速すぎるよね。
スタート時期はほとんど一緒かもしれないけど、あの三人の先輩のように互いを慰め合って甘え合ってきた立場とは違う。兄さんが本気で目指す以上は、相応の現実を見せながら私は兄さんを鍛えよう。
「兄さん兄さん、必要なことまとめれた?」
「うん、オールマイトのようにはなれないけど、今すべきことは見えて来たよ」
「それじゃ、私からこれを」
そういって兄さんに私が書いた内容を見せた。それに目を通すと兄さんの顔にはいくつも汗が流れ始めた。
「………なにこれ?」
「いつも私が毎日している量よりちょっと多いぐらいのトレーニング表、正直すぐに全部やろうと思ったら体壊すと思うから最低でも20km走ろう。
休憩時間も含めて四時間あれば熟せる量だ。本気で雄英高校に行こうとするならば、低学年の頃から体を鍛えているだろう、そんな人たちに追いつくには多少の無茶は覚悟の上だよね兄さん。
「はは、確かにこんなの毎日やっていれば個性に頼らなくてもあんな動き出るよね」
「最後に信用できるのは
「ちょっと恥ずかしいよ。僕は心のどこかで個性さえあればヒーローを目指せると思っていたけど現実は違う。個性も必要なだけだ、僕に一番足りなかったのはどんな時でも動ける体なんだ」
それは才能を持っている爆豪さんを見続けてしまったから、少し兄さんは勘違いしていたのかもしれない。あの人は天に二つ以上の物を受けた理不尽な勝ち組だ。
「……早速走りに行く?嫌な事とか汗と一緒に流れて気持ちいいよ?」
「うん!」
それじゃ五分後に動きやすい服を着て玄関に集合ね、と私は兄さんの部屋を出る。
時間を見ると思ったより話しこんでいたらしい、今日の
◆◇◆
私達の世界にも似たような存在はいたが過去に
「まぁ、こんな考え方だから余計に私はヒーローになれない」
そもそも前世では
「前世であっても過去で私の一部だ」
思い出せば昨日のことのように惨状が脳裏に浮かぶ。築き上げたのは栄光ではなく地獄のような死屍累々の山々。全て虚実だと切り裂いて理想を狂信して、それを投げ出すには背負いすぎて、なるべくしてなる未来の道筋に私は立っていなければならない。
「……行こうか毘天」
『御意』
私にとっての祝福、信念、最後だった。
見えない運命が私の前に現れても、その時を後悔しないために私は過去の私より強く在ろうとする――――その為の
エクシードレギオン・フェーズⅡ。
夜の明るい街に私達は跳んだ。その身は蜈蚣の甲殻のように黒く硬く、その瞳は四対に増え見える景色が広がり、背中の皮膚を突き破って四体の四メートルはあろう巨大な蜈蚣が伸びて、周囲の物を掴みながら踊るように地面に降りていく。同時に個性【サーモグラフィー】と【ズーム】を使用する。四体の毘天と私の目を通して、10Km先の全範囲で熱を持った生き物の場所を把握する。私の顔は正面を向いているが、毘天達と視界は共有されているので、探索のために周囲全てを見渡せるように配置していることもあって死角はない。
私の服装は、どこにでも売っていそうな全身を覆い隠す黒いレインコートを毘天達の体液で満たし、個性【同化】を使用することで服の色を変えたり、防弾性防火性等の機能を個性によって発揮できるようにしている特注品だ。
ビルとビルの間を駆け巡り、小競り合いが起きそうな場所を探していく。探知系の個性は持ってはいるが、流石に町全ての人たちの把握できるほどの力はない。勿論他の個性との組み合わせすることで更に上位の個性に深化させることは可能であるが、それをするにしても時間が必要であり、一日中戦闘訓練していることは出来ない、それならば使えそうな個性持ちを探してコピーさせてもらったほうが効率がいい。流石にトップヒーロー辺りから個性をコピーさせてもらおうとすれば下準備が必要だけど。
前世と違って、しっかりと私を育てようとしてくれる両親に迷惑はかけたくない。前世は表の首領として目立つことをすることで注目を集めつつ、本当の支配者は影からサポートするという体制だったが、今回は顔も声も体も変えながら、個性集めと
『ゴ主人、9時方向デヴィラン発生シタ銀行強盗ダ』
「了解、みんな今日も油断せずに慎重に行こうか」
『『『『了解!』』』』
ただの一般人としての緑谷百合の生活。
夜はかつて名乗っていた“オールフォーワン”として、全てを糧とするためにヴィランを倒す。
それが私達の日常だ。
………まぁ、油断も怠慢もしたつもりはなかったのだけど。
まさか兄さんが一番憧れているヒーローと接触してしまい、相手が何故かやる気満々で襲ってくるから大変だった。下手に相手をして怪我をして兄さんや母さんに悟られないために適当に相手をしながらチャンスを窺ったが、結局ボロボロになった私は太陽が出る前に自宅へと帰ることができた。
眠たかったり、疲れている時は主人公の心を曇らせてしまう病が発症してしまい朝見直したら「ないわ。この展開」と思い書き直しました。更に次はかっちゃん中心に書こうとか思ってましたが、もうちょっと主人公とお話しさせてからやります。あまりに接点と描写の少なさから決めました。自身の都合により大きく勝手に変更してしまい、申し訳ありませんでした。以後もうちょっと心に余裕を持って緑谷百合の物語を書いていきたいです。
※ややこしいので原作でのオール・フォー・ワンを指す時はオール・フォー・ワンを描写し、オリ主でのオール・フォー・ワンを指す時は
・無くしてオールフォーワンと書くようにしてます。
個性:【同化】
前世の世界、今いる世界でも唯一無二の存在であろう個性を持つ毘天と名付けられた蜈蚣。
当初は周囲の環境の色と同化する程度しか使えなかったが、オール・フォー・ワンの手によって捕獲され相性がよいという理由で百合に譲り生活を共にして、百合の個性によって改造を施され人間に近い自我と知恵を身に付けることで様々な汎用性を秘めた個性へと成長する。
原子レベルまで介入可能であり触れた物であれば内部に侵入、或いは吸収することで“削る”ことができるが、蜈蚣本来の大きさでは削る量にも限界はある。ただし、数を集めた(百合の個性により雌雄同体の生物へ改造されているので栄養さえあれば無限に増える)場合、その破壊力は凄まじい物になる。因みに同化速度は発動した瞬間、対象に沈むように溶け込むため速く、小さい個体ならば感触は蚊に刺された程度しかないので気づかれにくい、気づいても直ぐに摘出しないと血肉を栄養として数を爆発的に増やして内部から喰らい尽くす。
共存個性:【レギオン】
自分も含めた他者に血を与える事で人間を操り改造【ブラッド・ハザード】、どんな物でも侵入する【同化】を組み合わせる事で個性すらコピーできるようになり、オール・フォー・ワンより名付けられた個性の名称。
毘天が対象の内部に侵入、個性因子とDNAを採取して、百合の個性でそれが使える様に体を改造することによって他者の個性をコピーするように見せる。ただし複数同時に使う場合は似たような個性でなければ拒絶反応により発動する事も出来ず身を傷付けてしまう可能性があり、それを回避する為に手だけ、半身だけを変化させているが、それでも体への負担が大きく、更に体の遺伝子情報から書き換えているので使おうとしている個性に合わせた体に作り替える時間が必要。あらかじめ使用する個性を毘天を体内に格納して、同化を使い瞬時に使用する手もあるが毘天と自身への負担があり、死亡した場合は所有していた個性因子も消えてしまうので、多用はしないようにしている。
因みに生体情報があり後天的な欠損であれば、皮膚でも目でも、呼吸器官や胃袋さえも毘天達の体で対象の体の中で作り出して元通りにできる。(つまりオールフォーワンとオールマイトの