MEGA MAN XーInfinite code Stratos day of Ω&Σ 作:アマゾンズ
その中で、たった一つの綻びが出てしまった。綻びの中で現れたコンピューターウイルス。
それこそが、世界の破滅の序章であった。
篠ノ之束は廃屋となった研究所に導かれ、あるカプセルと鉱石を見つける。
それこそが、強さと優しさを兼ね備えた並行世界の英雄の記録であった。
一つの研究所、そこで女性の研究員が取り憑かれたかのように何かを開発していた。
「ふふ・・出来た。出来たわ!これさえあれば全てを」
『よくやった・・・ベルカナ。貴様のおかげでこの世界に干渉することができた』
「!???」
ベルカナと呼ばれた女性研究員は謎の声を聞いて、動揺していた。無理もない、その声はコンピューターの中から聞こえてきたのだから。
『わしの子供たちとなりうるものがこの世界にはある。ネットワークを介して利用させてもらうぞ』
謎の声は何かをし始めていた。それは、ISのコアネットワークに干渉しようとしている。
「!ネットワークを切断!」
『フゥハハハ!もう、遅い!我がDNAは既にネットワーク全域に蔓延させたわ!』
「そ、そんな!」
『そういえば名乗っていなかったな。我が名はシグマと呼ぶがいい』
それから数日後、世界中の機械達が人類に反逆を開始した。特に量産機は殆どがウイルスの影響を受けてしまい、殆どがいなくなってしまった。
反逆した機械達は、己の身体となるアンドロイドの開発を始めた。設計思想などはウイルスであるシグマからのデータ提供で簡単に開発出来てしまった。
人間に近い肉体を得た機械達はシグマの旗を掲げ、世界中を襲撃した。人類側についた機械達は人間と協力して迎撃したが、痛み分けとなりお互いに傷が癒えるまで、事実上の停戦となった。
◇
機械に感染したシグマウイルスは、自意識を目覚めさせ、物事に対する疑問を持たせるが、そのオリジナルであるウイルスもあった。それこそがΩウイルス。オメガの名を関する最凶最悪のウイルスである。
オメガウイルスが独自進化し、感染力が強化されたのがシグマウイルスであり、オメガウイルスは感染した機械を極限まで強化し、暴走させるタイプのウイルスである。
シグマはオメガウイルスを利用した己の実体を洗脳したベルカナに作らせ始めた。己の世界で何度も倒された肉体を研究し、最高の肉体の完成を急がせた。
ユーラシア落下事件時のサイコシグマをベースに、カウンターハンター事件時に使ったネオシグマのスピード、レプリフォース大戦時に使ったデスシグマの攻撃力、ロボットの工学博士に作らせたセイントシグマのバランス、最強の肉体として開発させたカイザーボディのパワーをも取り込ませる研究を始めた。
『ふむ、我が同胞だけでは足りぬな・・ほう、この世界には人間のコピーを作れる技術があるか・・ククク』
ネットワークを介してデータをかき集めると、更にシグマは人間のクローンを作る計画も同時進行させることにした。
人間にシグマウイルスとオメガウイルスを適応させる実験体の意味も篭っており、期間に制限は無かった。
「成長促進の薬物など、私の世界では簡単に作れるわ・・!」
精子と卵子の提供者はISの研究者から募り、受精卵をすぐにも胎児まで成長させていった。年齢加算において一歳の段階でシグマウイルスとオメガウイルスを打ち込んだ。
人間にコンピューターウイルスが発現するのかという疑問が出てくるだろう。脳に当たる部分へ小型の機械、つまりナノマシンを投与し、肉体における運動機能を司る部分に特殊な機械を埋め込む。
シグマの世界では人間からロボットへと己を置き換える者も現れていた。その時の技術をそのまま使い、応用して人体にウイルスを発現させる技術を確立させた。
「998人目、失敗です」
『なんと脆弱よ』
クローン技術を利用してでの人工培養、それによる急速な成長に追いつけない個体、ナノマシンに適応できない個体、ウイルスにより精神が安定せずに壊れた個体。あらゆる失敗が重なり続けた。
「!オメガウイルス適合者!現れました!!」
『ほう?検体は?』
「999人目、性別は女性です」
『戦闘用サンプルとして取っておけ、データは常に監視用チップからこちらに回せ、人間の年齢で20代中盤にまで成長させ、見合う知識も記憶させておけ!その後は人間社会に適応させろ』
「承知しまし・・っ!1000人目、シグマウイルスに適合です!!」
『ほほう?我が子に匹敵する者が現れたか・・ハハハハ!!』
「しかし、シグマ様・・この個体には欠陥があるようです」
『何?』
「記憶中枢に弊害があるようで・・恐らくは何事も忘れやすい個体になるかと」
『ふむ・・・構わん。この二体の検体には姉弟としての記憶を植え付けろ。両親の記憶は提供者にしておけ』
「はっ!」
『くくく・・・ウァーッハハハハハハ!!』
◇
機械の反乱、それは開発者である篠ノ之束の耳にも入った。ISに及ぼされる前に、彼女が行使した停止プログラムはシグマウイルスによって耐性を持たれており、停止することはなかった。
「なんだよ・・たかがウイルスのくせに私の頭脳が及ばないなんて!!」
ISは自分の子供だ。その実用性を発表したが子供の戯言だと一笑されてしまったのだ。
それを打開しようとした矢先の反乱である。後々、自分が起こそうとしたマッチポンプ以上の出来事が起こってしまったのだ。
「宇宙を見たいためにISを開発して、そのISがあんな奴の手に・・・!」
許せなかった。自分の夢が意志を持ったコンピューターウイルスに利用されるなどと。今現在の束は逃走生活をしている。
機械の反乱、ISが兵器として注目され、そのコアを作り上げるよう、世界中に強制命令されたのだ。
だが、己の夢を兵器に使われたくないという一心で逃亡し、国際手配を受けてしまった。彼女は今、自然の守りを利用した研究所に似た廃屋の中にいた。
「今日はこの廃屋で休もう・・研究所みたいだけどベッドがあるし」
進んでいくと壁の一つが不自然な形で閉じられているのを見抜いた。束はその壁に触れて動かすと、地下への入口を見つけたのだ。
「地下・・・見つかるよりはマシだね」
階段を降りてくと、徐々に自然から人工物の壁が現れてくる。階段を降りきると扉があり、その中へと導かれるように入った。
「・・・カプセル?それに鉱石・・かな?」
それに触れて埃を払うとX(エックス)の文字があった。となりの鉱石は機械に応用できる成分が含まれているようで、厳重に封印されている。
すると、機械の一つに電源が入り、人物が映し出された。男性でかなり年老いており、映像も乱れている。
『私の名前はトーマス・ライト・・・こちらの世界とは異なる世界において・・ロックマン、ロックマンエックスを開発した研究者である・・・ゲホッ!ゲホッ!!』
「ロックマン・・・?ロボット研究において人と同じように行動できるように開発され、破棄されたって言う?」
この世界においてもロボットの研究は進んでいた。意志を持ったロボット、ロックマンと名付けられたそれは、人間と同じ受け答えをするが故に、危険性を訴えられ破棄されてしまったのだ。
『私の学友が開発した時空移動装置を応用し、私の世界とは異なる平行世界である、この世界にエックスのデータをカプセルに封印し送り込んだ。私の世界においてエックスは平和をもたらす存在になった・・だが、ゲホッ!ゲホッゲホッ!!エックスは危険という・・意味もある』
画面が移り変わり、今度は女性が映し出される。十代前半のようで大人しげな印象と金髪のポニーテールが特徴的だ。
『私はシエル・・英雄の魂を宿したライブメタルを開発した研究者です』
「ライブメタル?この鉱石の事かな?」
『私の世界においては人類至上主義が掲げられ、レプリロイド、つまりロボット達は迫害を受け続けています。異なる並行世界へ希望を託したライブメタルを転送しました。どこへ飛ばされるかは、私自身分かりません・・・ですが、発見した方に伝えます。それは最後の希望なのです』
再びライト博士が映し出され、今度は驚愕の言葉を聞かされる。
『並行世界において、一種のコンピューターウイルスが侵攻していく事があった。だが・・ゲホッ!私の力では・・見ることは出来ても・・ゲホッゲホッ!止める事は出来なかった・・並行世界の諸君よ・・エックスを開発する事は、出来ないかもしれない・・だが、その意志を受け継ぎ、扱える人間を探し出せるようにする事は成功した・・どうか、世界を・・救って欲しい』
モニターの寿命が来たのだろう。完全に消えてしまい、映らなくなってしまった。束はカプセルを開き、鉱石を手にした。
カプセルの中には自分が開発したISコアと似たような物が入っていた。廃屋とはいえ、元は研究所、設備を修理してISとして開発できるかどうか、設計し始めた。
「トーマス・ライト博士・・・なんて男、いや・・なんて御方なの・・?機械に心を持たせる事が出来る科学者なんて・・・尊敬しか出来ないよ」
調べれば調べるほど、開発者であるトーマス・ライト博士は化学者として500年、いや、もっと先へ行っているとも過言ではない程であった。
「この人の学友っていうアルバート・W・ワイリー博士、この人もトーマス・ライト博士と同等の化学者だ・・。でも、ライト博士に勝てず、見返すために世界征服をしようとしたんだ・・だけど、時空間移動装置・・タイムマシンを発明できてる時点ですごいし、この人も機械に心を持たせられる技術を持ってる」
「私も天才だけど、この二人はそれ以上の天才だね・・・負けを認めざるを得ない。だけど、作らなきゃいけないんだ!私がIS界のロックマンを!!」
束はカプセルに入っていた記録から、エックスの姿をモデルにISとして開発していった。その過程で機体は三種類の変身ができる機能が付いた。
一つ目はエックスモード。束が見たエックスの姿をそのままに遠距離攻撃、僅かだが接近戦も可能なモード。
二つ目はゼロモード。接近戦に特化した姿で攻撃力と機動力を重視したモード。
三つ目がアクセルモード。攻撃力は最も低いが、手数で勝負するいわばスピード重視のモードである。
「隠しコードを入れとこう、抑止と切り札用に」
束の開発は一週間以上かかった。何よりも、ウイルスに対する効能が違っており、それをコントロールするのが難しかったのだ。
「あとは託せる人間に会うだけ・・・この世界を救えるロックマンを探さなきゃ」
これが、この世界のロックマンとなる機体の誕生の記録。また、ΣとΩの力を受け継いだ人間が生まれた瞬間の記録でもあった。
久々に岩本版ロックマンXを読んで我慢できなかった・・・。
並行世界ネタでやってしまった。
ライブメタルにまだ意思はありません。装着者と出会わなければ覚醒しないようロック中です。
岩本先生の世界観再現は難しいかもしれませんが、大目に見てください。