MEGA MAN XーInfinite code Stratos day of Ω&Σ 作:アマゾンズ
クリアアーマーを装着しているせいか、動きが極端に鈍い。セシリアは好機と見て、得意のライフル射撃を放ってきた。
「うぐっ!」
クリアアーマーは攻撃を無効化し、本体にも傷一つなかったが、衝撃までは相殺してくれる物ではなかったようだ。
「所詮は見せかけだけですわね!」
最早、怖い物と映らなくなったセシリアは果敢に攻め始めた。零の方はバスターのある左腕を動かすので精一杯だ。
「く・・そ・・・このクリアアーマー、別の意志があるかのように動かない・・!」
チャージが勝手に完了し、照準を合わせないまま発射されてしまう。その威力は、アリーナのバリアを貫通してしまい、上空へと登っていった。
その威力を目の当たりにしたセシリア、観客の生徒達は固まってしまっている。ハイクリアバスターの威力は、ISの攻撃を防ぐとされるバリアを貫通していったのだから無理もない。
「バ・・バリアを貫通させた?っ!行きなさい!!ブルー・ティアーズ!!」
セシリアは反撃させまいと、ライフルをフルオートに切り替え、ビットの攻撃と同時に狙い撃った。制御など考えず、ただ零を行動不能にさせる事だけを考える。
あの威力のエネルギー弾を受けたら、間違いなく自分は無事では済まさない。そうなる前になんとしてでも、倒しきると。
「倒れなさい!!」
「ぐあああああ!」
薄れそうになっていく意識の中で、零は何かの映像のようなものが、見えてきた。これはエックスの記憶らしく、自分がエックスの視点で見ており、声は出せずにいる。
◇
「おーい、マルスーーー!」
「?よぉ、エックス、どうしたよ?大声なんか出して」
マルスと呼ばれた体格の大きいレプリロイドが振り返って、こちらを見てくる。その目は澄んでおり、穏やかでありながら、誇り高い意志の強さもある。
「なんで、アラスカの13部隊になんかに行くんだよ」
「部隊長だぜ、喜んでくれよ」
マルスの言葉は、自分にとってハイテクすぎる都会の街は、自分には狭すぎる。大自然である大雪原でのびのびと仕事がしたいと。
◇
場面が移り変わり、今度はペンギンのような姿をしたレプリロイドに、自分が追い込まれていた。そんな中で、マルスがエックスに対し、本当の強さを教えた言葉が聞こえる。
「エックス、強さにランクなんて関係ないさ。勝敗を決するのに一番大事なのは自分に対する“誇り”だよ。つまり自分を信じる事さ・・!それが俺達、ハンターの武器なんだ!!」
最後に見えたのは、エックスのフルチャージバスターショットで敵ごと貫かれたマルスの姿だった。その顔には笑みが浮かんでおり、誇りを守り通せたと礼を言っている。
零は相手がどんなに強大であろうと、己に対する誇り、自分を信じる事こそ、最強の武器だという言葉を噛み締めた。
「俺は・・・俺は負けられない!世界の驚異を救うために!」
意識を覚醒させ、クリアアーマーの再生力と攻撃を無効化する力を最大限に発揮させ、攻撃を無効化すると同時に霧散させて消し飛ばし、代わりに今度はフットパーツに当たる部分が、白く変化した。
「!こっちだ!!」
「え?いつの間に!?」
ライト博士の正式な強化アーマーによって持たされた最初の能力、それはダッシュ機能であった。驚異的な瞬発力を発揮できるようになった零はバスターを連射し、セシリアに反撃する。
ハイクリアバスターではなく、通常のバスターの為に威力は低いが強化パーツの恩恵で、ハンデを感じさせない。
「な、何ですの!?もしや、イグニッションブースト!?」
「違う、ただのダッシュさ。慣れるのに少し戸惑ったけど、もう大丈夫!」
「な、きゃあ!?」
バスターからの連射でビットを狙い撃ちされ、破壊されてしまう。セシリアはライフルをフルオートからセミオートに切り替え、狙撃体制に入るが、それ以上に零の動きが素早く、当てる事が出来ない。
「な、なんて速さ!追いつけませんわ!」
『あの子、ひょっとしたら・・・動く相手に対しての訓練をしていないんじゃないかな?』
エックスからの一言に、零はもしやと考える。止まっている時に対しては強かったが、ダッシュを得てからは、極端に命中率が悪くなっているように見えたからだ。
「まさか?なら言ってみよう、君・・・もしかして、動く相手に対しての訓練して無いのかい?」
「!!」
セシリアの顔が図星を突かれたかのように、驚愕し動きが止まる。その隙を逃さずに一発だけ、チャージしていない弾を発射し命中させる。
「きゃあ!?」
「・・・エックスの予想は当たってるかもしれない」
零はその場で立ち止まり、セシリアを誘い込む。それを好機と見たセシリアは反撃のライフル射撃を撃ち放つが、ダッシュジャンプによる大ジャンプで回避され、落下速度を利用したバスターの連射を受けてしまう。
「う・・!」
背後に立たれ、バスターを背中に押し当てられてしまう。ブルー・ティアーズには緊急用の接近戦用武器であるインターセプターがあるが、この状況では通用する訳がない。
「降参してくれ、無闇に傷つけたくないんだ」
「降参・・する訳があるませんわ!!」
セシリアは振り返る瞬間、インターセプターを展開し、切りつけるがギリギリの所で身を引かれ、躱されてしまう。
『接近戦用のナイフ、だけど扱い慣れてないみたいだ』
「エックス、バスターじゃ・・」
『分かってるよ。Zセイバーを使おう。ただし、簡単な使い方しか出来ないからね?』
「十分だよ・・エックス。セシリアさん、その諦めない姿勢、流石だよ。だから・・改めて全力で倒す!」
バスターが解除され、その手には一本のセイバーが握られている。それはZセイバーと呼ばれるエックスの親友のゼロが使っていた武装だ。
「ビ、ビームを出力するセイバー!?そんなものが、出来ているはずがありませんわ!」
「行くよ」
本来、ゼロの武器であるZセイバーは、エックスモードでも扱う事は出来ても、基本的な切り技しか出来ない。
だが、出力だけは変わってはいない。それだけに基本的な斬撃だけでも強力な一撃となる。
「く!このわたくしが・・・下等な男などに!!」
『今の彼女は、イレギュラーに似たような状態だね・・』
「恐らくは大切な友人か家族を失って、更にはそれに付け込んで騙そうとした悪い人間にしか出会わなかったんだろうね・・何かを守ろうとして、自ら孤独になったんだよ」
『・・・悲しいね』
「それが人間の負の部分、見たくない部分なんだ。エックス・・」
セシリアの攻撃を捌きながら、彼女の心の内を二人は知り始めていた。失いたくない、もう何も失いたくないという思い、それだけが強く感じられるのだ。
「うわああああああああ!!」
泣きながら攻撃してくるセシリアのナイフを、ビームセイバーで弾き、セイバーをしまうとセシリアをブルー・ティアーズごと抱きしめた。
「もう、いいんだよ・・気張らないで良いんだ。自分を許してあげなよ」
「!・・・あ、あああ・・・わあああああああ!ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・私の負けです・・わ」
セシリアのギブアップ宣言により、試合終了のブザーが鳴り響く。それと同時にZセイバーが消えてしまった。デリートしてしまったのである。仮のZセイバーは、ゼロを呼ぶ呼び水としての役目を終えて消えたのだろう。
『セシリア選手のギブアップ宣言により、勝者!青野零!!』
◇
「ほら、もう泣き止んで。次の試合も残ってるから」
「はい・・ありがとうございます」
エックスはセシリアに見て伝えたい事があった。慰めではなく、どうしても自分が伝えたくなった言葉があったが、彼の言葉はセシリアには聞こえない。そこで。
『零、彼女に伝えてくれるかい?きっと君にも信じられる人が現れると。だけど待っているだけではでは出会えないって』
「わかったよ。オルコットさん、俺の相棒からの伝言だよ。きっと君にも信じられる人が現れる。だけど、待っているだけでは出会えない。だってさ」
「!!は・・い。それと、青野さん」
「なんだい?」
「これからは、わたくしの事、セシリアと呼んで下さいませ」
信頼の証といったところなのだろうか?自分の呼び方を変えて欲しいと、セシリアは言ってきたのだ。
「分かったよ。だけど、さん付けは止めないからね?」
「構いませんわ。後、申し訳ありませんでした」
「謝るなら、俺だけじゃなくクラスのみんなにもね」
「はい・・では」
◇
セシリアと握手した後に互いのピットへと戻っていく、戻る途中ライブメタルが僅かに輝き、何かが表示される。
[WEAPON GET Tears Bit][三機のビットが標的を自動攻撃。ビット自体にも攻撃力があるぞ]
[YOU LEARNED 青涙斬(せいるいざん)][斬撃を三つ、相手へと向かって放つ技]
どうやら、勝利した事で特殊武器とラーニングによる技を学習したらしい、それを確認しつつ戻ると同時に見物していた千冬が近づいてきた。
「良い、試合だった。だが、お前のISは謎が多い。一体どうやって手に入れた?」
「ISといえば、一人しかいませんよね?その方に作ってもらったんです」
「!そういうことか」
千冬が納得していたその時、零はいきなり誰かに胸ぐらを掴まれ、壁に叩きつけられた。突然の事だった為、僅かながらに呻く。
「うぐっ!?」
「青野!お前、なんで女の子を泣かせてんだよ!?」
「織斑?これは一体、なんの真似だよ?いきなり掴みかかってくるなんて」
「お前が女の子を泣かせたからだろ!?」
訳が分からない。試合をしていて悔し涙や感激の涙を流したりする事もあるだろう。ましてや、セシリアが泣いてしまったのは、自分が誰かに言って欲しかった言葉をかけられたカタルシス現象によるものだ。
一夏からすれば、零が泣かせてしまったように見えたのだろう。だが、零からすれば抑圧を取り除く戦いに目的が変わっていた。出来れば撃ち合いたくない、エックスモードによるエックスとの一体化で起こる優しさ、悪く言えば甘さの感情が出てくるのだ。
「彼女が自分で抑圧していた心を開放しただけさ。それが悪い事だっていうのか?」
「泣かせたことに変わりはねえだろう!」
一夏は零に殴りかかろうとしたが、彼は一つの存在を忘れていた。そう、担任であり自分の姉でもある千冬の存在である。
殴りかかろうとした腕を止められ、千冬の鋭い視線が一夏に突き刺さる。
「何をしている?それも私の目の前で暴力行為とはな?織斑」
「ち、千冬姉!?離してくれよ!コイツはセシリアを泣かし、うぐっ!?」
頭に落とされた強烈な出席簿による一撃、それも縦にして殴っている、これは相当痛いだろう。
「あれはオルコット自身が己の感情を止める事が出来なかっただけだろう?それを自分の印象だけで決めつけるな」
「だ、だけど・・!」
「・・・いい加減に青野を掴んでいる手を離せ。試合でケリを着けろ」
千冬の威圧感に一夏は観念した様子で、零の胸ぐらを掴んでいる手を離した。零は衣服を整え向かい側のピットへと向かっていく。
「青野!セシリアに謝らせてやるからな!!」
その言葉を背に零は振り替えず、ピットへと向かっていった。ピットへ到着すると顔を洗い始める。
冷たい水が怒りで沸騰しそうになった思考を冷静にさせてくれる。休憩のために長椅子は横になった。
試合時間限定とはいえど、長時間のロックオンに慣れていないため。疲労がたまってしまうのだ。
『やれやれ、エックスが認めた奴とは聞いていたが、情けないな』
「!?ライブメタルの声?どこから!?」
『目の前のロッカーの上だ』
そこにはひとつのライブメタルがこちらを見ていた。肉体を得ていればロッカーに背を付け、腕組みしつつ金髪を靡かせているだろう。
『!その声、ゼロ!?』
『ふっ・・久しぶりだな?エックス。もっともこの世界でならの話だがな』
「何だろう?ライブメタルなのに、この二人が揃ったら妙な嫉妬感と・・・着いて行きたいというか」
零自身も気づかない感情。それは憧れであった。彼らは友であり、最大の好敵手でもあり、因縁の強い相手でもある。
零にはそのような相手はいない。故に羨望が強くなったのだ。だが、これから見つけていかなければならない。
『零といったか?この学園のどこからか、シグマの気配を強く感じるぞ』
「まだ、わからないんだひょっとしたら・・・白式がそうなのかもしれないし」
『なら、次の戦いは俺が出撃する。良いか?エックス』
『もちろん、構わないよ。ただ、零のサポートはしてあげてね』
「分かった。行くぞ。零」
ゼロの意思が宿ったライブメタルは零自身の生体データを登録し、ロックオンを可能な状態にした。
『今の俺は蹴り技とバスターくらいしか武装はない。やれるか?』
「やらなきゃ無理でしょ?ロックオンのキーワードは?」
『ロックオン、ゼロだ』
二つ目のライブメタル、ゼロライブメタルを手にしつつ、零は次の対戦相手が待つ、試合場へと向かうのであった。
初の特殊武器、ラーニング技ゲットです。
白式はラーニング技が苦手な方向で行きます。
白式から特殊武器は得られませんが、ラーニング技は会得可能です。
次回にてゲット!?