MEGA MAN XーInfinite code Stratos day of Ω&Σ 作:アマゾンズ
※今のゼロはロックマンX時代、まだバスターのみしか武装がない状態です。ですが、格闘戦はします。後、今回は「紅いイレギュラー」状態になります。
準備時間が終了し、戦いの場へと赴く零。まだロックオンはしておらず生身のままだ。
「来たかよ、青野。?何でISを展開してないんだ?」
「今からするよ。ロックオン!ゼロ!!」
零が装着されていく姿は紅き衝撃と呼ばれるハンター、ゼロ。その姿を模したものである。紅き鎧を全身に纏い、冷却用のフィンとしての金髪のような物を靡かせていた。
正式名称はゼロモードだが、今現在は更新がされていないため、装備はバスターだけしかない。
「!?青い姿じゃない?」
「俺のISにはモードがあってね。これは接近戦を主体とした状態なんだ」
「!」
零はあくまで、機能としてモードチェンジがあるのだと説明した。遠距離対応と接近戦対応のタイプに別れるだけだ。
「そんなはずがあるか!」
「ただ、対応プログラムを入れ替えるだけさ。卑怯なことは何もしていないよ?」
「っぐ・・!」
自分が言おうとした言葉を先に言われてしまい、一夏は言葉を飲み込んだ。零は確かに卑怯な事はしていない、それでも自分の目の前で女性を泣かせたことは許せない。
「俺はお前を絶対に倒して、セシリアに謝らせてやる!!」
「やっぱり、何を言っているのか分からないよ」
お互いに構えを取り、試合開始の合図を待つ。そんな中、白式の中である意志が一夏の意識を少しづつ、蝕んでいた。
『エックス、ゼロ・・・ならば私が出ねばなるまいな』
「っ?なんだ・・・今の声?」
試合開始となり、一夏は気持ちを切り替えて零へと向かっていく。瞬間加速を無意識に使用している点はセンスがあるという事なのだろう。
「!」
だが、零も負けてはいない。その特性故に真横へ避ければ簡単に回避となる事を零は調べてあった。
「ぐ!避けられた!?」
「試合やルール無用の戦いでも、相手の攻撃を避けられるなら避ける。基本中の基本でしょ」
『コイツは戦いというものを、なんだと思っているんだ?』
生粋の戦士であり、ハンターでもあるゼロは一夏の動きを見つつ、何かを見極めようとしながら思考の中枢を考察している。
元の世界において、あらゆるイレギュラー発生事件を解決し、特殊0部隊と呼ばれ、この世界の言葉で表すのならば忍び部隊と呼ばれる部隊の隊長を勤めていた。
それだけに相手の思考、性格を読むことに関してゼロは最も長けている。
「うおおお!倒れろおおお!!」
「そう言われて倒れる相手はいないでしょうに!」
雪片を振り下ろした瞬間に出来る僅かな隙を狙って、零はクロスカウンター気味に一夏の顔面へと拳を撃ち込んだ。
タイミングはゼロが見極め、合図を送ったのだ。訓練していたとは言えどこのような高等技術を零自身、出来るはずがない。それを知った上でタイミングを覚えさせる為にゼロはアドバイスしている。
「ぐふああああ!」
『イレギュラーハンターベースでの訓練で、この動きなら基礎からやり直しだな』
「厳しいんだね、ゼロは」
「ぐ・・負けられるか。俺は俺・・っ!?」
『眠っていろ、貴様には任せておけんわ!』
「っあああああ!?」
白式・Σの全身を薄い紫色に変わり、全く別の雰囲気を醸し出す。圧倒的な威圧感と実力、それは一夏の出せるものではない。
『フフフ・・・久しいな?エックス、それにゼロよ』
「な・・・?」
『シグマ・・!』
「これが・・?」
これがシグマ。素人でも解るくらい、そして初めて感じる邪悪な気質。そして圧倒的な実力、それら全てを兼ね備えている。
『今の私は欠片程度の力しかないが、零という小僧を始末するには充分だ』
「!」
「ぬおおおお!」
雪片ではなく、初期ボディ時代に使っていたビームサーバーの一撃で零を地面に膝を付かせてしまった。
「が・・・ぐ」
「ふふ・・」
「俺・・・は」
気を失いかけたその時、ゼロの意識が封印され、全身装甲の額にあるクリスタルのようなものが、輝き始める。
その輝きを見た千冬はその場で蹲ってしまい、零は目に輝きを失っていく。額の輝きの中に、ハッキリと浮かび上がる「W」の一文字が何かを目覚めさせようとしている。
「ん?」
「・・・・」
ゆっくりと立ち上がった零は、何も言葉を発しない。何かを見極めるかのようにシグマに乗っ取られた一夏を見ている。
「でやあああああ!」
零自身も突然、人が変わったかのように襲い掛かり、格闘戦を仕掛け始めた。だが、シグマの影響を受けている一夏はそれを見切り、避けてしまう。
避けると同時にその力を利用して、アリーナの壁と投げ飛ばすが、何事もなかったかのように、零は拳のラッシュを再び仕掛ける。
「うおおおお!」
「ふん、ぬおおおああ!」
「ぐあああ!?」
壁際まで追い込まれたが、零の片腕と頭を掴み、壁に叩きつける一夏。普通ならばこの時点で決着がついてしまう。
「く・・・くくく」
「ぬう?まさか、今のコイツは?」
「でやああ!」
零は壁から抜け出し、再びシグマに向かっていく。周りからは勝てないのだから、止めろなどの声が飛び交っている、しかし、この程度で戦いを止める訳がない。
シグマには今の零の状態が何なのかを思い出していた。このまま、今の零と戦い続けるのはマズイと。
その予想は的中しており、零は拳のスピードが先程よりも速くなってきていた。なんとか避け続けるのだが、躱すたびに相手が速くなっていく。
これが束の最も恐れた能力、ラーニングシステムの真髄だ。今の零は戦えば戦う程、学習していき、相手の癖、動き方。攻撃パターンを全て覚えてしまう。
『今の状態が、あの時と酷似している。早めに決着をつけねば!』
シグマにも僅かながらの焦りが見え始める。今の零はゼロでも零でもない、ただの「紅いイレギュラー」である。
ただ、ひたすらに敵対するもの、目の前にあるものを破壊し続けるだけの存在。であれば良かったのだが、彼は学習能力も備えているという非常に厄介な存在であった。
◇
「ぐ・・・うううう」
「織斑先生!?」
「だ、大丈夫だ」
胸元を押さえながら蹲っている千冬を見て、真耶は心配のあまり声をかけていた。己の内から溢れ出てくるこの感覚はなんだ?と。
紅いイレギュラー状態になっている零に対して、千冬は己の中にある何かが反応しているのだと考えたが、耐え難い疼きであった。
アリーナへと視線を向けた瞬間にそれは起こっていた。
◇
機械が砕ける金属音と共に、白式・Σの左腕が切断され破壊されてしまった。火花が出て、シールドエネルギーも削られていく。
「くくくく・・・」
「う・・うあああ!」
そこからはもう、一方的な蹂躙であった。片腕だけとなった白式・Σを容赦なく殴り続け、ついにはダウンを奪ってしまう。
零は白式の背に乗ると、残った腕をへし折れる態勢に変え、そのまま首を絞め始めた。その様子を見ていた女学生達は人殺しなどの単語を大声で叫んでいるが、聞こえるはずがない。
「ぐ・・・おおおおお!!」
「くく・・・アハハハハ!クハハハハハハハ!ッ!?う、あ・・あああああああああ!!」
シグマを甚振り続けていたが次の瞬間、再び零の機体の額に「W」の文字が輝き始め苦しみだした。
『ぬおおおおおお!!』
「ぐはっ!?」
残った右腕で「W」の文字が輝く場所を砕いたシグマだったが、限界に来ていた。
「欠片では、これが・・限界か・・・はぁ、は・・・おのれ・・ゼロォォ!」
お互いに意識を失った零と一夏が起き上がる気配はない。シグマの気配は消え、白式・Σは元の白色に戻っている。
発作の治まった千冬は急いで二人を医務室に運ぶように指示し、クラス代表を決める試合は終わりだと宣言した。
◇
二人が目を覚ましたのは一時間後であった。一夏はシグマの欠片に支配されていた事は覚えておらず。零自身も「紅いイレギュラー」状態の事は何一つ覚えていなかった。
話を聞いた零は疑問があった。ライブメタルの事である。ライブメタルは意志を持っているはずだ。その意志が消えて暴走してしまったのかと。
「エックス、ゼロは?」
『ゼロは今眠ってるよ・・・しかしあれは一体・・・?』
「エックスも分からないのかい?」
『ごめんよ、俺にも分からない・・』
「そっか・・」
この時、エックスは嘘をついていた。エックスは「紅いイレギュラー」状態であるゼロと戦った事があった。
余りにも辛い記憶ではあったが、それを消されない世界線の記憶を持っていた。
『ごめんよ、ゼロとの戦いはあまり・・・』
同時に一夏も自分の身に起こった事を思い返していた。急激に強くなった感覚、あれがあれば自分はもっと強くなれるのだと。
「だけど・・・シグマってなんだ?白式の名前の事だよな?」
朧げながらにシグマという言葉だけは覚えていた。だが、自分が強くなっていた瞬間、つまりシグマの意志に取り込まれている間はシグマという単語しか覚えていなかった。
「あの力だ・・・あの力があれば俺は!」
一夏はシグマの力をもっと欲しい願い始めていた。他を寄せ付けない圧倒的な力。それが一夏の望むものであった。
だが、彼は気づいていなかった。その力の脈動は続いており、願えば願うほどに自分の守りたいと願う存在を失っていくことに。
試合結果は引き分けです。
「紅いイレギュラー」化はこの回以降しません。次回はゼロと鈴に関するお話です。
青野と鈴は意外な繋がりがあります。
また次回