MEGA MAN XーInfinite code Stratos day of Ω&Σ   作:アマゾンズ

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鈴との出会い。というより再会

マーティ登場


第五話 新世代

クラス代表を決める戦いから翌日。クラス代表者が誰になるかが発表されていた。チョークを片手に真耶が発言する。

 

「試合を行った三人を除いてクラスで話し合った結果、クラス代表は青野くんに決まりました!」

 

「え?俺ですか?」

 

零は理解が追いついていなかった。聞いた話によれば自分と一夏は暴走してしまい、お互いに意識を失うまで戦っていたのだと。

 

「試合の時の印象とか」

 

「授業の取り組み具合とか色々あるんだけど」

 

「青野くんが強いってみんなで意見が一致したの」

 

どうやら、暴走していた時よりもセシリアとの戦いが印象的に映ったらしい。

 

相手を倒すのではなく、制した姿が美しく、頼もしく見えたそうで満場一致だったそうな。

 

これには仕方ないと覚悟を決め、零は改めてクラス代表を務めることにした。クラス代表が決まると同時に、セシリアがどうしても伝えたい事があると発言している。

 

千冬はそれに対して許可を出し、教壇へと立たせた。

 

「皆様、先週は不快になる発言をして申し訳ありませんでした。わたくし自身の未熟さ故に皆様に迷惑を変えてしまって、本当にごめんなさい」

 

セシリアの謝罪はクラス全員に受け入れられ、クラス代表の挨拶も零は済ませるとそのまま授業へと入っていった。

 

 

 

 

 

授業も終了し、休み時間となる。ゼロとエックスは目を覚まし、異常はないとのことだ。だが、二人は一夏が近づくたびに警戒を強める。

 

一夏を嫌っているのではなく、機体である白式・Σに宿った意志であるシグマに対しての警戒だ。

 

一夏本人は意識してはいないが、シグマが出てきた事によってエックスとゼロは警戒態勢を取るようになってしまった。

 

零としてはどうにかしたいのだが、歴戦の戦士である二人の意見の方が強く、聞き入れるしかなかった。

 

「そういえば知ってる?今日、隣の二組に転校生が来たんだって」

 

「転校生?」

 

「この時期に転校生って珍しいなぁ」

 

「ふむ、わたくしを知ってこの学園に?」

 

「「それはない!」」

 

珍しく、本当に珍しく零と一夏がユニゾンした。クラス代表を決める戦いにおいて、謝らせると言っていたが、お互いに暴走していたのだと聞かされ、一夏が自ら退いたのだ。

 

千冬の説得という名の制裁があった事は言うまでもないが。

 

そんな話題をしていると、突然、教室のドアが勢いよく開く。そこには一人の少女が立っていた。

 

「その情報古いわよ!」

 

『全く、好き勝手言ってくれるじゃない!』

 

ツインテールに髪を結った少女、更には零に聞こえたライブメタルの音声。零は驚いたまま固まっているが、一夏が声をかける。

 

「お、お前、鈴か?」

 

「そう、凰鈴音よ。久しぶ・・・・・うそ・・・?」

 

「え?凰(ファン)ちゃん?」

 

「零?・・・・零なの!?」

 

凰鈴音と名乗った少女は声をかけてきた一夏に見向きもしなくなり、真っ先に零の近くへと足早に歩いてきた。

 

嘿, 你好吗?(久しぶりね、元気だった?)

 

当然, 转学的学生就是你(もちろん、まさか、君が転校生だったなんて)

 

有很多事情、 你好吗?(色々あったのよ、またよろしくね?)

 

就是这样(こちらこそ)

 

零と鈴は中国語で会話しているために周りは全員、何をしゃべっているのかわからない状態だ。

 

「二人共、何をしゃべっているんだ?」

 

「ただの挨拶よ。零と私はね。一夏、アンタと出会う前からの幼馴染なの」

 

「え?そんな話聞いてないぜ!?」

 

「言ってなかったし、それに零だってIS学園に入学しているとは思わなかったもの」

 

「・・・・」

 

一夏としてはあまり気分の良いものではない。幼馴染だと思っていた少女が自分よりも以前に知り合いが居たのだから。

 

零と鈴が知り合ったのは、零の家族・・即ち青野家が中国で仕事している間、お隣さんとして交流していたのだ。

 

お互いの両親は共に気が合い、子供達も自然と仲良くなっていった。お互いに仕事が忙しい場合はお互いの家に遊びに行ったり、預けたりして友好深めていった。

 

だが、そんな蜜月も終わる時が来てしまう。青野家が中国での仕事を終えた為に日本へ帰る事になってしまった。

 

幼かった二人は駄々を捏ねたが、両親が聞き入れるはずもない。鈴と零はいつか再会をという約束だけをして別れてしまった。

 

零が中国語を簡単な会話程度なら出来るのはこの頃の影響が大きい。最も幼い頃の再会の約束は鈴と出会うまで忘れてしまっていたが。

 

 

 

 

 

 

『エックスーッ!!』

 

『え?マ、マーティ!?』

 

別の場所ではライブメタル達が会話をしていた。しかも、エックスの近くに来たライブメタルはモデルM、人格は女性でマーティという海中用のレプリロイドの物だ。

 

『おい、エックス・・お前、いつの間に』

 

『ゼ、ゼロ!違うよ!彼女は恩人なんだ!』

 

『・・・・ほう?随分と好かれているみたいだが?』

 

『そういうアンタは自ら突き放しているようだけどね?色男さん』

 

マーティの指摘にゼロは押し黙ってしまう。どうやら最も突かれたくない部分を突かれた様子だ。

 

『マーティ』

 

『あら?気にしている部分だったのね、ごめんなさい・・・』

 

『いや・・・』

 

ゼロにとって最も思い出したくない記憶、後悔だらけの戦いだったあの出来事、大切な存在になり得た相手をその手にかけてしまった事を思い出してしまったのだ。

 

『ところで、君はなんでここに?』

 

『ああ、それ?今の私はあの子の強化チップ的な役割なのさ、だから此処に居るの。この身体はえっと・・・纏う機械の開発者の子が作ったんだよ』

 

マーティはどうやら鈴と共にあるらしいとの事を聞いて、エックスは少しだけ元気を取り戻した。

 

二人の様子を見ながら、ゼロは僅かな希望を抱き始めていた。もしかしたら、彼女がライブメタルとして復活するのではと。

 

だが、そんな思考を振り払う。何故なら彼女は死んでいるのだから。そんな僅かな希望を抱いて打ち砕かれた時の絶望は計り知れない、だからこそ余計な事だと切り捨てた。

 

 

『アイツはもういないんだ・・・我ながら見苦しいな』

 

ゼロはどこか、遠くを見ているような雰囲気で会話から離れた。真横ではエックスとマーティが騒いでいるが関係ないと言いたげだ。

 

『アイリス・・・・』

 

 

 

 

 

それから先は鈴や仲良くなったセシリア、癒子を初めとするクラスメート達などと親交を深めた。それと同時に、ライブメタルの意志がまるで本来の身体を持ったかのように会話しているのをやめてほしいと思うようになっていた。

 

その理由がエックスとマーティだ。本来の世界で素直になれなかった反動なのか、エックスと話している。本人は話しているだけだと言っているが、どう見ても甘えているようにしか聞こえない。

 

ゼロはゼロで我関せずといった様子だ。クラス代表トーナメントに関して鈴が強引に成り代わって出場するらしく、対策を練らなければならない。

 

「この学園に来てから災難が多いかも、はぁ・・・」

 

零は零なりにトラブルに対して疲れ気味になっていた。が、学生の本分を忘れる訳には行かないため、鈴の機体に関して調べようとコンピューター室へと向かっていった。

 

 




鈴登場!しかも一夏と出会う以前の幼馴染+ライブメタル付き!

モデルMは接続する事で鈴の機体にブースト力とその時にかかる負担を減らし、水中でも戦えるようになるものです。

零くんがクラス代表なのは戦うためです。


次回は鈴戦、さらにゴーレムの乱入。

ゼロが早々に一時退場。零も入院。

エックスは一時ヒロインと行動をします。

※それと、ビームサーベルの名称をあえてビームサーバーにしているのは岩本版Xの名称を使っているからです。誤字ではありません。

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