デート・ア・アストレア 世界を殺す10人の少女達 作:暇人書店員
「それって、どういう事ですか…………?」
折紙は戸惑っていた。けれども、俺は淡々と語ろうとしていると、《プリンセス》がロストしたとの連絡が来た。
「…………了解。」
俺が帰ろうとしていると折紙が声をかけて来た。
「崇矢くん………家で聞かせてもらいますからね。」
「……わかったよ……」
俺は〈アルテミス〉に帰投した。
お兄ちゃんが〈アルテミス〉に帰投してから、しきりに溜め息をついていて、かなり疲れていそうだった。うーん、お兄ちゃんの事は心配ですけど、もしかして今日、私は甘やかして貰えない?仕方無いですねぇ……。むむぅ。
兄さんが珍しくかなり疲れていた。シュミレーションでの想定と同じ数の部隊のはず。シュミレーションでは疲れなかった兄さんがあんなに疲れるなんて。どうしたのだろうか?
「どうかしたのですか?兄さん。」
「どうしたってどうしても無いのだが。」
どうやら、疲れているように見えているらしい。格納庫に備え付けのベンチに腰掛けて、壁にもたれ掛かるとヒンヤリとした感覚が背中から頭にかけて感じた。そうすると、アリスが片方のスポーツドリンクを渡してくれた。
「何時も以上に疲れているように見えます。」
「………そうかい。」
やっぱり、模擬戦と実戦では疲れ方が違うな。模擬戦で折紙に剣をむけられても、実戦では折紙に剣は向けられない。゙頭で理解していても、心では理解できない゙か………。
「鳶一折紙陸軍一曹の事ですか?」
………そんなにわかりやすいか?
「…」
「兄さんは分かりやすすぎですよ。そんなに躊躇うなら止めておけばいいものを………っ!」
「お前らにっ………お前らに何がっ……何が分かるっ!クローニングの……擬似姉妹しか持たないお前らにっ……なにが分かるんだよっ!!こっちは、思い出がっ……一緒にいた思い出があるんだよ!!そんなに簡単に割り切れるかよ!!」
気付いたら怒鳴り散らしていた。感情的になるだなんて俺らしくないな………。
「………すみません……兄さん……」
緊急装着デバイスを解除してスーツに着替えて艦長室に入った。部屋の中央にある机の椅子にジャケットを掛けて、腰掛けた。そうすると、机の上のタブレット端末の電源がついた。
『気分はどうですかー?えへへ、崇矢お兄ちゃん久しぶりですー!』
十六夜アリスは相変わらず明るかった。
「……………十六夜アリスか。どうした?」
十六夜アリスがクルリと一回りして、衣装の全体を見せてきた。
『崇矢お兄ちゃん、どうですー?似合っていますかー?』
十六夜アリスの衣装は、白を基調としたズボンルックスの軍服に特徴的な金髪は後ろで束ねられ、ポニーテールになっており、白を基調とした帽子を被っていた。
「…似合っているよ」
俺がそう言うと、十六夜アリスは嬉しがっている様子だった。
『……………あーあ、崇矢お兄ちゃんに褒めてもらえると嬉しいですね。』
「……でも、こんな話をしに来た訳じゃあないだろう。」
十六夜アリスは人差し指を立て、顎に当てて考えている振りをしていた。
『うーん、何て言ったらいいんでしょうかねぇ………崇矢お兄ちゃんが言った事にお姉ちゃん達、結構傷ついていましたよ。』
歩き回って頭が冷えたのか、冷静に振り返る事が出来た。
『うーん、お節介かもしれませんかもですけど、崇矢お兄ちゃんが戦う理由が今一歩よくわからないんですよねぇ………。』
俺の戦う理由か……。