華人小娘と愉快な艦娘たち   作:マッコ

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第9話 華人小娘の海上護衛作戦

美鈴「よいしょ、よいしょ」

 

天龍「美鈴、無理すんじゃねぇぞ~」

 

美鈴「ははっ、大丈夫、大丈夫!」

 

 美鈴達は、輸送艦から受け取った補給物資を海岸から荷揚げしていた。

 

町井田「紅美鈴提督は働き者みたいね」

 

美鈴「いやぁ、このくらい鍛錬だと思えば」

 

白雪「(司令官、艦娘である私以上の量の荷物を運んでいる気が……)」

 

町井田「殊勝な心がけだな、私の部下にも見習わせたい」

 

美鈴「深海棲艦との戦いでは、艦娘のみんなに危険な目に合わせているんですから、このくらいはやってあげないと」

 

町井田「たしかにな、私にも少し手伝わせてくれ」

 

美鈴「ありがとうございます」

 

 

 

 美鈴と町井田は荷物を手に持って鎮守府(仮)の物置に運んでいく。

 

美鈴「ここに元々あった鎮守府のことについて、町井田中尉は何かご存知ですか?」

 

町井田「詳しくはわからないけど、この島は深海棲艦との戦いの足掛かりする予定だったと聞いているわ」

 

美鈴「足掛かりですか?」

 

町井田「本土から外海に進行ための補給地点と言うべきかしらね」

 

美鈴「重要地点だったんですね」

 

町井田「まぁ、そうなる予定だったとしか言えないわね」

 

美鈴「予定だった?」

 

町井田「私が日本海軍に入る前の話だけど、戦艦『長門』以降も日本近海には複数の艦娘が現れ、日本本土に迫る深海棲艦を撃退してくれたの」

 

町井田「深海棲艦は太平洋を中心に侵攻を初めていて、このまま放置すれば島国の日本は完全に孤立してしまう状態だったの」

 

美鈴「今のウチの島みたいなものですね」

 

町井田「そう、日本は自前の資源も乏しい国家だから、孤立するという事は国家存亡の危機だったの」

 

美鈴「自給自足出来るものと出来ないものがありますからね」

 

町井田「最大の同盟国であったアメリカとは、完全に太平洋を隔ててしまっているから、太平洋を中心に活動している深海棲艦によって物資の輸送などは不可能な状態だったの」

 

町井田「それで日本は、アジアや東南アジアに直接資源を買い付けに行く必要があって、南西方面の海路を死守するために本土近郊の島への鎮守府増設計画を発動したの」

 

美鈴「なるほど」

 

町井田「でも、圧倒的な深海棲艦との戦力差もあり、現状の艦娘の人数では日本本土を護ることが精一杯だったから、鎮守府増設計画は破綻してしまったの」

 

美鈴「人手不足なんですね」

 

町井田「おそらく、この島も鎮守府は建設されたものの維持出来るだけの戦力が無くて放棄され、深海棲艦に破壊されてしまっていたのでしょうね」

 

美鈴「そうですか、私達も大丈夫かなぁ」

 

町井田「少なくとも、この近海にはまだ強力な深海棲艦の出没は確認されていないし、この島の艦娘や妖精さん達も貴女を慕ってよくやってくれているみたいだから、私は出来ると思うわ」

 

美鈴「そうですね、みんなのためにも私も頑張らないと!」

 

 

 

 美鈴達は、輸送艦から受け取った支援物資をすべて受領し終え、応急修理も終えた輸送艦は再び日本本土に戻ることとなった。

 

美鈴「また深海棲艦と遭遇しても困りますから、ウチから護衛をつけさせて下さい」

 

町井田「沖縄まで、迎えの艦娘達が来ているから問題ないわ」

 

天龍「なら輸送艦が迎えの艦隊と合流するまで見送らせてもらうぜ!」

 

町井田「この島の警備も必要でしょ、だから護衛は不要よ」

 

美鈴「わかりました、それでは町井田中尉もお気をつけて!」

 

 美鈴や天龍が申し出た護衛を町井田に断られると、美鈴はあっさりに町井田の指示に応じた。

 

 町井田や輸送艦の乗組員が艦橋に並び、海岸で見送る美鈴達に敬礼をしながら出港して行った。

 

深雪「美鈴、本当に輸送艦の護衛はいらないのか?」

 

雪風「しれぇ、ここから沖縄までなら距離もあります!」

 

天龍「船体だって万全じゃないんだぜ!」

 

美鈴「そうだね、みんなの言うとおりだ」

 

白雪「じゃあ、どうして護衛をつけないのですか?」

 

美鈴「護衛はね、中尉に断られたでしょ、だから付けないと言ったんだよ」

 

深雪「確かにそうだけどさぁ」

 

天龍「ちょっと冷たくないか?」

 

美鈴「だけどさ、こういう用事があるなら、今から後を追っても良いじゃないかと思ってね」

 

 美鈴は上着のポケットから封筒を取り出した。

 

深雪「美鈴、それは?」

 

美鈴「いやぁ~、今朝、町井田中尉にお礼の手紙を書いたんだけど、すっかり渡し忘れてさぁ~」

 

天龍「はぁ?」

 

美鈴「だからさぁ~、この手紙を君たちで届けてくれないかな?」

 

 美鈴は天龍に手紙を渡す。

 

天龍「……なるほどな!!」

 

美鈴「いいかな?みんなで届けに行ってちょうだいね」

 

白雪「護衛じゃなくて、手紙を渡すために輸送艦についていくんですね」

 

深雪「そういうことか!!」

 

雪風「お手紙を届けるための出撃です!」

 

美鈴「私は、海の上を走って行けないからみんなお願いね!」

 

天龍「そう来なくっちゃなぁ、抜錨だっ!」

 

深雪・雪風・白雪「おー!!」

 

 

 天龍を旗艦とした水雷戦隊は、美鈴の手紙を届ける為に水平線の向こうまで進んでいた輸送船を追いかけて行った。

 

 

 

 

    ペラペラペラ

 

 天龍達を送り出した美鈴は、補給物資の中に入っていた建造に関する資料に目を通していた。

 

美鈴「ふむふむ、建造する時に妖精さんに渡す資材の量によって、ある程度艦娘の艦種を予想できるのか」

 

美鈴「なになに、戦艦、巡洋艦、空母……」

 

美鈴「空母ってなんだろう?」

 

 美鈴は聞き慣れない『空母』という言葉に関心を持った。

 

美鈴「『空』は多分、青空とかの『空』だよなぁ……、じゃあ『母』で言うのは『お母さん』って言うこと?」

 

 資料の後半に、ちゃんと艦種の正式名称『航空母艦』と空母の説明が書いてあったのだが、ちゃんと目を通していなかった美鈴は色々と想像を膨らませた。

 

美鈴「まだ小さい子も多いし、『お母さん』必要だよなぁ……」

 

美鈴「きっと必要だよなぁ……」

 

美鈴「お母さんの料理、美味しいかなぁ……」

 

美鈴「美味しい料理が食べたいなぁ……」

 

美鈴「咲夜さんの料理が食べたいなぁ……」

 

美鈴「お嬢様たちも元気かなぁ……」

 

美鈴「たまに遊びに来ていた、湖の妖精たちも元気かなぁ……」

 

 美鈴は、『空母』と言う言葉から連想がどんどん広がって、幻想郷を思い出し少しだけホームシックになった気がした。

 

美鈴「資材も結構もらったし、『空母』建造してみようかなぁ~」

 

 

 

 

 美鈴から渡された手紙を届けるために、輸送艦を追いかけていた天龍達は沖縄の少し手前の海域で輸送艦に追いついた。

 

町井田「フフッ、来なくてもいいものを……」

 

天龍「まぁ、ウチの美鈴はそういうヤツなんだって!」

 

白雪「あと、これを中尉にと……」

 

 白雪は町井田に、美鈴から預かった手紙を渡した。

 

町井田「なになに……」

 

 町井田は、美鈴からの手紙に目を通し、クスリと笑ってから笑顔で天龍達に手紙の内容を見せた

 

    『カレーごちそうさまでした、おいしかったです』

 

天龍「ぷぷっ、何だこりゃ子供かよ!!」

 

深雪「カッコつけておいてこれかよ!!」

 

雪風「でも、本当にカレーは美味しかったです!!」

 

町井田「この手紙は、完全にあなた達に私を見送らせるための口実だったのね」

 

白雪「司令官の心遣いがありがたいです」

 

天龍「まぁ、この手紙のおかげでオレたちも堂々と輸送艦を追いかけられたんだしな!」

 

 この後も、天龍達は沖縄まで輸送艦を『見送る』という名目で護衛することとした。

 

 

 

 

 

美鈴「妖精さん、この資材で建造をお願いできるかな?」

 

 その頃美鈴は、『燃料』・『弾薬』・『鋼材』・『ボーキサイト』と呼ばれる資材を妖精さんに渡し、建造を依頼していた。

 

美鈴「資料に書かれていた通りの量を渡したけど、大丈夫かな?」

 

 美鈴から資材を受け取った工廠の妖精さん達は、資材を工廠内に運び終わった後、美鈴に身振り手振りで建造予想時間を知らせた。

 

美鈴「大体2時間ね、わかったわ」

 

 建造完了まで多少時間が出来た美鈴は、鎮守府を建造中の妖精さんの所に行って、建築作業の手伝いをすることとした。

 

美鈴「今度は、どんな艦娘に会えるかなぁ~」

 

 まだ見ぬ『空母』との邂逅を期待しながらも、新たな艦娘が増えても良いように少しでも速く鎮守府を建築しようと汗を流す美鈴であった。




 今回は9話ということで、東方的に⑨話としてチルノ回にしようかとも考えましたが(幻想郷の思い出とかの話にして)、急にそんな話をぶっこんでも意味不明なので止めましたとさ……
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