コンコン
鳳翔「提督、失礼します」
鳳翔が、提督室のドアをノックする。
左手には、湯呑みが載せられたお盆を持っている。
コンコン
鳳翔「提督、いらっしゃいますか?」
鳳翔がもう一度提督室のドアをノックするが、室内から返事がない。
鳳翔「失礼しますね」
鳳翔が提督室のドアを開けて室内を確認するが、美鈴の姿はなかった。
鳳翔「あら、提督はどこに行ったのかしら?」
鳳翔が、提督室で小首をかしげていると、すいたままのドアの外から通りがかりの白雪がのぞき込んできた。
鳳翔「白雪ちゃん、提督がどこにいらっしゃるか知らないかしら?」
白雪「少し前に、鎮守府の周りを走っていたときに正門の所にいましたよ」
鳳翔「あら、見回りかしら?」
白雪「司令官に御用事ですか?」
鳳翔「お茶が入ったからお持ちしたのよ」
白雪「おそらく、まだ正門の所にいると思いますよ」
鳳翔「ありがとう、行ってみるわ」
白雪「私も、お役に立てたようで何よりです」
白雪がトレーニングの汗を流すために大浴場に向かっていくのを見送った鳳翔は、提督室のドアを閉めて鎮守府の正門へ向かうこととした。
鳳翔が鎮守府の正門に着くと、正門の前で太極拳の型の練習をしている美鈴がいた。
鳳翔「提督、失礼します」
美鈴「あっ、鳳翔さんおはようございます」
鳳翔「少し、ぬるくなってしまったかも知れませんが、お茶を入れてまいりました」
美鈴「ありがとうございます、少し運動していたので、ぬるいくらいが有り難いです」
美鈴は、鳳翔から湯呑み受け取るとお茶を飲み始めた。
鳳翔「さっきのは拳法ですか?」
美鈴「ちょっと、太極拳の型を練習していたんですよ」
鳳翔「大分慣れた動きに見えましたが」
美鈴「子供の頃から、拳法を習っていたし自己流でいろいろな流派の練習もしていましたから」
鳳翔「ふふっ、あれだけ料理がお上手でしたから、元料理人かと思っていました」
美鈴「職業としては、門番でしたけどね~」
鳳翔「門番ですか?」
美鈴「こことは違う国の大きなお屋敷で、長いこと門番として働いていたんですよ」
鳳翔「どこかの領主様とかのお屋敷ですか?」
美鈴「小さくてかわいらしいのに、ワガママで傲慢……、だけど思いやりもあって器の大きな方でしたよ」
鳳翔「ふふっ、私もいつかお会いしたいですですね」
美鈴「あの人なら、艦娘とか多分大好きだと思いますよ」
美鈴は、紅魔館時代を思い出しながらレミリア・スカーレットの話を鳳翔に語った。
いろいろと複雑すぎるので、幻想郷のことや、レミリアが吸血鬼だということは触れなかったが、自分の主について語っていた。
ウゥゥゥゥー
美鈴が、鳳翔と語り合っていると、突然サイレンの音が鎮守府内に響き渡った。
美鈴「これは!?」
鳳翔「提督、警報です!至急提督室へ戻りましょう!」
美鈴「わかりました!!」
美鈴と鳳翔が提督室へ戻ると、既に天龍と白雪が待機していた。
天龍「美鈴!パトロール中の深雪と雪風が、敵艦隊を発見したらしいぞ!」
白雪「重巡や雷巡を含んだ深海棲艦と、他の鎮守府所属と思われる艦娘2名が、戦闘中とのことです」
美鈴「重巡は大型の巡洋艦で、雷巡は魚雷で重武装した巡洋艦だったっけ?」
鳳翔「そうです、駆逐艦の火力で重巡は厳しいですね」
美鈴「そうだね……、みんな!援軍に向かってもらって良い?」
天龍「たりめーだろ!」
白雪「はい、お任せください!」
鳳翔「実戦ですか……、致し方ありませんね」
美鈴が援軍を出すと指示すると、天龍たちはすぐに艤装を装着し、出撃のために海へ向かった。
深雪「雪風、鎮守府に打電は送れた?」
雪風「はい、今から天龍さんたちが来てくれます!」
深雪「よーし、それじゃあ攻撃を仕掛けるよ!」
雪風「雪風、いつでも出撃できます!」
鎮守府近海を、パトロール中だった深雪と雪風は、深海棲艦の重巡リ級率いる艦隊と交戦中の艦娘たちを発見した。
深海棲艦と交戦中の艦娘は、二人ともセーラー服を着ており、一人は髪を一つ結びにした少女、もう一人は紺色の戦闘略帽をかぶった黒髪ロングヘアーの少女だった。
一つ結びの少女「うぅ……、今の私たちだけじゃあの敵と戦うのは……」
略帽の少女「な、なによ吹雪、重巡くらい……、あ、暁はへっちゃらだし……」
一つ結びの少女「でも暁ちゃんも、中破してるし無茶はダメだよぉ……」
略帽の少女「こ、このくらい……、一人前のレディーなら大丈夫だもん」
お互いに、吹雪と暁と呼び合う少女たちは、艤装や衣服に損傷を負っている状態で、深海棲艦に包囲されている状態であった。
深雪「ん、もしかしてあそこで戦っているのは吹雪姉さん?」
雪風「深雪のお姉さんですか?」
深雪「あの服装に、あの髪型……、間違いないよ!!」
雪風「二人とも、結構やられてるみたいです、急ぎましょう!!」
深雪と雪風は、連装砲を構えて吹雪たちを包囲している駆逐艦イ級に狙いを定める。
深雪「深雪スペシャル!!」
雪風「艦隊をお守りします!!」
ドォォン ドォォン
深雪と雪風は、同時に連装砲を別々のイ級めがけて撃ち込む。
ぐぉぉぉん
深雪と雪風の砲撃でイ級2体を撃破し、吹雪たちを包囲していた深海棲艦の陣形が崩れた。
雪風「そこの2人、退避してください!!」
深雪「深雪さまが来たから、もう大丈夫だぜ!!」
深雪と雪風は、吹雪と暁の前方で立ち止まり退避を促した。
吹雪「あ、ありがとうございます!!」
暁「暁は、まだ戦えるわ!!」
深雪「特Ⅲ型の暁か、この場は先輩に任せて姉さんと一緒に下がってな」
吹雪「も、もしかして深雪ちゃん!?」
深雪「吹雪姉さん、もうすぐ白雪姉さんたちも来てくれるから、もう大丈夫だから」
吹雪「白雪ちゃんもいるのね、うん、わかったわ」
吹雪は、暁の腕を取り撤退を促す。
暁「な、なによ吹雪逃げるつもりなの?」
吹雪「司令官は、無事に帰ってくるように言っていたよね」
暁「う……、わかったわ、レディーは約束は守るものよね……」
吹雪「ちょっとだけ、後方で休ませてもらおう」
暁「そうよ、逃げるんじゃなくて休憩よ、休憩!」
吹雪は、中破している暁を説得し後退していく。
深雪「吹雪姉さんたちは、うまく後退したな」
雪風「後は、雪風たちにお任せください!!」
深雪と雪風は、吹雪たちが後退していくのを確認すると、深海棲艦たちと再び対じする。
援軍要請を受け出撃していた天龍たちは、雪風からの打電があった場所に向けて急行していた。
天龍「オレの電探によると、もうすぐ見えてくる頃だぜ」
鳳翔「索敵を兼ねて、艦載機を発艦させましょうか」
天龍「そうだな、鳳翔さん頼んだぜ!」
鳳翔「わかりました」
鳳翔は、『九九式艦爆』と工廠で開発した『零式艦戦21型』を発艦させる。
白雪「深雪ちゃんたち、無事だと良いのですが……」
天龍「深雪も雪風も、練度は上がってるんだ信じてやりな」
白雪「はい、そうですよね」
ドォォン ドォォン
深雪と雪風は、連装砲の砲撃で深海棲艦艦隊のイ級を次々と撃墜し、残るは重巡リ級と雷巡チ級のみとなっていた。
深雪「巡洋艦クラスは、砲撃だけじゃ厳しいなぁ……」
雪風「魚雷の命中可能距離まで接近して、雷撃を仕掛けましょうか?」
深雪「向こうには、雷撃のスペシャリストの雷巡がいるからなぁ……」
雪風「重巡の雷撃も強力です……」
深雪と雪風が手をこまねいていると、上空から航空機が近づく音が聞こえてきた。
深雪「あれは!?」
雪風「鳳翔さんの艦載機です!!」
援護のため、戦闘区域に急行していた天龍たちのもとに、鳳翔の艦載機から打電が入った。
鳳翔「艦載機から打電あり!深雪、雪風と交戦中の敵艦隊発見!!」
天龍「鳳翔さん、方角と距離は!?」
鳳翔「南西方向、距離約15,000!」
天龍「よっしゃぁ、急行するぞぉ!!」
鳳翔「艦爆での支援爆撃、開始します!!」
白雪「鳳翔さん、お願いします!!」
ダダダッ ダダダッ
ヒューン ドガーン
鳳翔が放った『零式艦戦21型』の小隊が、機銃で重巡リ級を牽制し、『九九式艦爆』の小隊が雷巡チ級に爆撃を仕掛ける。
ぎゃぉぉぉん
『九九式艦爆』小隊の爆撃を受けたチ級が、大破炎上している。
雪風「深雪、これでもう雷巡は魚雷を使えません!!」
深雪「雪風!重巡を仕留めるぞぉー!!」
雪風「雪風は沈みませんっ!」
深雪と雪風は、リ級に雷撃を仕掛けるために接近する。
ぐぉぉぉん
リ級は、深雪に向かって雷撃を仕掛けてきた。
雪風「深雪!危ない!!」
リ級に突進していた、深雪に魚雷が迫る。
深雪「来たなー!!」
深雪は、海面でジャンプをしてリ級の魚雷を回避する。
雪風「すごい!!」
深雪「いつまでも、やられてばかりの深雪さまじゃないぞー!!」
深雪は、海面に降り立ち雪風に接近する。
深雪「雪風!あれを使うぞぉー!」
雪風「はいっ!よろしくお願いします!!」
深雪と雪風は、横一列に並んでリ級に迫る。
深雪「スーパー!」
雪風「雷撃!」
深雪・雪風「アターック!!」
深雪の『61 cm三連装魚雷』と、雪風の『61 cm四連装魚雷』の、合わせて7本の魚雷が一斉にリ級に迫る。
ぎゃぉぉぉん
深雪たちの魚雷は全てリ級に直撃し、リ級は断末魔をあげながら海に沈んでいく。
深雪「やったぜー!!」
雪風「やったー!」
深雪と雪風は、お互いにハイタッチをしながら喜びを分かち合う。
大破していたチ級は、反撃できずに撤退して行った。
深雪「あっ、雷巡が逃げて行くぞ!」
雪風「深追いは危ないです!」
深雪「そうだったな、とにかく吹雪姉さんたちの救出には成功したんだ!」
雪風「作戦成功です!!」
深雪と雪風が、撤退していくチ級を確認していると、後退していた吹雪と暁が近寄ってきた。
吹雪「深雪ちゃん、すごいよぉー!!」
暁「助けてくれて、ありがと。お礼はちゃんと言えるし」
深雪「うんうん、ちゃんとお礼ができて偉いなぁ~」
上機嫌の深雪は、暁の頭をナデナデする。
暁「頭をなでなでしないでよ!もう子供じゃないのよ!」
雪風「でも、深雪の方が、暁ちゃんよりもお姉さんです!」
暁「お子様言うな!」
吹雪「あ、暁ちゃんは立派なレディーだよぉ」
暁「と、当然よ!」
深雪たちは、勝利の余韻に浸っていた。
しかし、その背後から巨大な艦影が迫って来ていることに、このとき4人は気が付いていなかったのである……
今回は、友軍艦隊として新たな艦娘2名が登場しています。
私の中の設定では、この世界では同じ艦娘が登場しないという設定なので、友軍として登場した艦娘たちは、建造などで美鈴のところには登場しません。
まぁ、仲間にならないとは言いませんけどね~☆