華人小娘と愉快な艦娘たち   作:マッコ

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第13話 敵大型戦艦の脅威

美鈴「戦艦……、超弩級戦艦かぁ……、何だかカッコいい響きだなぁ~」

 

 深雪たちが重巡リ級と交戦していたころ、一人鎮守府で留守番中の美鈴は、町井田中尉からの補給物資に入っていた建造マニュアルを読んでいた。

 

美鈴「みんな、無事だろうか……、強力な大型艦の艦娘がいれば戦いも楽になるかなぁ……」

 

 美鈴は、鎮守府の資材の備蓄状況を確認しながら悩んでいた。

 

美鈴「戦艦狙いでの建造を試すのはできるけど、戦艦を運用するだけの余裕があるかなぁ……」

 

美鈴「空母もいいけど、ボーキサイトの消耗も気になるなぁ……」

 

美鈴「重巡洋艦も良さそうだし……」

 

 美鈴は、更に建造マニュアルを読み込む。

 

美鈴「とりあえず、戦艦狙いの資材を使ってみて、巡洋艦を狙うくらいの気持ちで良いかなぁ~」

 

 そう決めた美鈴は、工廠の妖精さんに資材を渡し、建造を依頼したのであった。

 

 

 

 美鈴が、新たな艦娘の建造を開始した頃、重巡リ級を撃破した深雪と雪風に天龍から通信が入る。

 

天龍「おい、聞こえるか!!」

 

雪風「こちら雪風、感度良好です!」

 

天龍「鳳翔さんの艦載機から、敵大型艦が接近中と連絡が入った!」

 

深雪「重巡ならさっきやっつけたよ」

 

天龍「ほかにも艦隊がいたんだ!とにかく後退してこっちと合流しろ!!」

 

     ドゴォォォン

 

 天龍と通信中、突然轟音が鳴り響き、上空から砲弾が迫ってきた。

 

暁「砲撃!来るわ!!」

 

吹雪「みんな、散開して!!」

 

 突然の砲撃は海面に落下し、誰にも直撃はしなかったものの、大きな水柱が立ち上る。

 

深雪「これって……」

 

吹雪「多分、戦艦クラスの砲撃だよ……」

 

雪風「天龍さん、敵艦隊に補足されました!多分戦艦クラスがいます!!」

 

天龍「くそっ、やっぱりそうか!すぐにそっちに行くから逃げ回れ!!」

 

雪風「はい、みんな沈むわけにはいきませんっ!」

 

 天龍との交信を終えた雪風は、双眼鏡で砲撃のあった方角を確認する。

 

雪風「敵艦隊、確認できました!!」

 

深雪「見えるか?」

 

雪風「大型の深海棲艦1、巡洋艦クラス2、駆逐艦クラス2です!」

 

吹雪「大型艦は、やっぱり戦艦?」

 

雪風「まだ、遠くてはっきりしませんが……」

 

深雪「やっぱり、さっきの重巡より大きいか?」

 

雪風「恐らくですが……、さっきの砲撃を考えると戦艦ル級かと……」

 

暁「ル級って……、あ、暁はへっちゃらだし……」

 

 強がる暁の声は、明らかに震えていた。

 

深雪「暁、今ウチの頼りになる増援が向かっているから、大丈夫だからな」

 

 おびえる暁に、深雪が優しく声を掛ける。

 

深雪「吹雪姉さんも、こっちの指示に従ってもらえるかな?」

 

吹雪「私も、暁ちゃんも被弾しているし、一緒に行っても良ければ」

 

雪風「もちろんです!困ったときはお互い様です!!」

 

深雪「当然だぜ!」

 

暁「……どうすればいいの?」

 

深雪「一旦、後退して天龍さんや鳳翔さんたちと合流するんだ!」

 

 

 

 深雪たちは、隊列を組んで後退を始めた。

 

 先頭は雪風が担当し、損傷が激しい暁が2列目、深雪と損傷が少なかった吹雪が後方で敵艦隊を警戒しながらの行軍であった。

 

 幸い航行速度が、敵艦隊よりも早かったため、大型艦からの砲撃数発程度の追撃ですんでいた。

 

 天龍たちと合流するため、戦闘区域から鎮守府方向へ進路をとっていた深雪たちに、再び天龍から通信が入った。

 

天龍「こちら天龍、聞こえるか?」

 

雪風「雪風です、大丈夫です!」

 

天龍「オレたちは今、お前たちの西方向800の位置にいる」

 

 天龍からの連絡を受けた雪風は、双眼鏡で西方向を確認する。

 

雪風「確認できました!」

 

天龍「これから、鳳翔さんの艦載機で深海棲艦に攻撃を仕掛ける」

 

天龍「その間に、こっちに合流できるか?」

 

深雪「天龍さん、了解!そっちに向かうよ!!」

 

天龍「けがしているヤツはいるか?」

 

深雪「吹雪姉さんが小破、暁が中破ってところかな?」

 

天龍「なら合流後は、その2人は鳳翔さんと後方待機で、元気なヤツらはオレと一緒に突撃をかけるぞ!!」

 

深雪「わかったよ!」

 

雪風「了解です!!」

 

暁「わ、私も行けるわ!!」

 

吹雪「暁ちゃん、ワガママ言っちゃダメだよぉ~」

 

暁「暁は、一人前のレディーだから大丈夫なのよ!」

 

 暁が、自分も突撃部隊に加わると主張するのに対し、深雪はそっと暁の頭をなでる。

 

深雪「空母を守るのも、大切な仕事だぜ」

 

暁「頭をなでなでしないでよ!」

 

深雪「ウチの鳳翔さんを、一人前のレディーに守ってもらいたいんだ」

 

暁「……そう言うことなら仕方ないわね」

 

吹雪「(何だか深雪ちゃんが、暁ちゃんの扱い方うまいよぉ)」

 

 

 

 鳳翔が、『九九式艦爆』と『零式艦戦21型』を発艦させて、深海棲艦艦隊に先制航空攻撃を仕掛ける。

 

鳳翔「艦載機より入電、敵大型艦は戦艦ル級と判明、他に雷巡チ級、軽巡ヘ級、駆逐イ級2隻の計5隻と判明!」

 

天龍「こっちも、深雪たちと合流して5人だ!!」

 

白雪「負傷してますが、友軍の吹雪姉さんと暁ちゃんもいます」

 

鳳翔「頭数では、負けていないですね」

 

天龍「鳳翔さん、航空支援は任せたぜ!」

 

鳳翔「皆さんも、無茶はしないでくださいね」

 

 鳳翔の航空部隊が、深海棲艦艦隊と交戦を始めた頃、深雪たちは天龍たちと合流した。

 

天龍「よぉし、来たなチビたち!!」

 

深雪「深雪さま合流だぜぇ!」

 

暁「チビですって、子供扱いしないでよ!!」

 

鳳翔「暁さん、よろしくお願いしますね」

 

暁「えっ?あ……はい。(この人、レディーだわ)」

 

白雪「吹雪ちゃんも、鳳翔さんをお願いします」

 

吹雪「白雪ちゃん!任せてよ!!」

 

 

 

    ヒュゥゥゥン ドガァァァン

 

 深海棲艦の部隊に対して、鳳翔の艦載機による爆撃が始まった。

 

 鳳翔の『九九式艦爆』は、深海棲艦の対空射撃をくぐり抜け、戦艦ル級へ爆撃を仕掛ける。

 

 回避が間に合わないル級に対し、雷巡チ級と駆逐イ級がル級の前方に出てきて爆撃を肩代わりする。

 

 航空爆撃は、鳳翔の狙い通りには行かずル級は無傷であったが、チ級が小破、イ級1隻が大破の損害を与えた。

 

天龍「よしっ!敵に休む暇を与えるな!天龍、水雷戦隊、突撃するぜぇ!!」 

 

 天龍の号令で、深海棲艦艦隊に天龍、深雪、雪風、白雪が突撃を仕掛ける。

 

天龍「天龍様の攻撃だ!うっしゃぁっ!」

 

 天龍が単装砲で、チ級に攻撃を仕掛ける。

 

    ぎゃぁぁぁ

 

 天龍の砲撃は、チ級に直撃しチ級は大破し黒煙を上げている。

 

雪風「艦隊をお守りします!」

 

 天龍に続いて雪風が、無傷のイ級に連装砲で攻撃をしかける。

 

    ぐぉぉぉん

 

 雪風の攻撃が直撃したイ級は、断末魔をあげながら海に沈んでいく。

 

    ごぉぉぉん

 

 仲間の撃沈に怒ったル級は、深雪に三連装砲で艦砲射撃をしかける。

 

深雪「右!? いや、正面か!」

 

 ル級の砲撃に、間一髪で回避行動をとった深雪であったが至近弾による爆風で損傷を受ける。

 

深雪「いっつつつつ……」

 

白雪「深雪ちゃん!よくもぉ!!」

 

 白雪が、連装砲でル級に攻撃をしかける。

 

    ガァァン ガァァン

 

 白雪の砲撃は、ル級に直撃したが、目に見えるダメージを与えられなかった。

 

白雪「くっ……」

 

天龍「駆逐艦の砲撃じゃ、ル級は無理だ!イ級を狙え!!」

 

深雪「よぉぉし、当ったれぇ~い!!」

 

 天龍の指示を受けた深雪は、大破しているイ級に砲撃をしかける。

 

    ぐぉぉぉん

 

 イ級に深雪の砲撃が直撃し、イ級は断末魔を上げながら沈んでいった。

 

 

 

鳳翔「今です、第二次攻撃を仕掛けます!!」

 

 天龍たちの善戦で半壊した深海棲艦艦隊に、再度航空攻撃を仕掛けようと、鳳翔が弓を引き絞り狙いを定める。

 

    ぎゃぉぉぉん

 

 今まさに、鳳翔が艦載機を発艦させようとしたそのとき、鳳翔の周辺に4隻のイ級が出現した。

 

鳳翔「深海棲艦の伏兵!?」

 

    ドゴォォォン

 

 イ級の1隻が鳳翔に砲撃をしかける。

 

鳳翔「ああっ!飛行甲板が!」

 

 イ級からの不意打ちを受けた鳳翔は、中破し飛行甲板と弓が破壊されてしまった。

 

吹雪「鳳翔さん!!」

 

暁「許さない……許さないんだから!」

 

 一人前のレディーと認めた鳳翔を目の前で傷つけられたことに激怒した暁は、連装砲でイ級に猛攻撃をしかける。

 

    ガァァン ガァァン

 

 暁の攻撃は、鳳翔を攻撃したイ級に直撃したが、中破して出力が低下している暁では仕留めることができず、イ級は小破にとどまった。

 

暁「そ、そんなぁ、直撃したのに……」

 

    ドゴォォォン ドゴォォォン

 

 仲間を損傷させた暁に、怒ったイ級に3隻が集中攻撃を仕掛けてくる。

 

鳳翔「くっ、目の前で仲間をやらせる訳には……」

 

 鳳翔は暁の正面に飛び込み、イ級にからの攻撃を肩代わりする。

 

暁「あっ……、鳳翔さん……」

 

鳳翔「大丈夫……、このまま沈む訳には参りません……」

 

 大破した鳳翔は、自力で立ち上がることもできず、徐々に海面に沈んでいきそうになっている。

 

吹雪「うわぁぁぁ、みんな逃げてください!!」

 

 吹雪は、単艦でイ級に砲撃を仕掛けてイ級を撃破しようとするが、イ級1隻を中破させるのが精一杯であった。

 

 

 ル級、チ級と対じしていた天龍は、鳳翔たちの異変に気がつく。

 

天龍「しまった!鳳翔さんたちが伏兵にやられてる!!」

 

雪風「でも、こっちも手一杯です!」

 

天龍「ちきしょう、さっさとこいつらをぶっ飛ばしてやるぞ!!」

 

 焦る天龍は、単艦でル級に突撃をしかける。

 

天龍「こいつはオレが押さえる、チビたちはチ級を仕留めろ!!」 

 

深雪「わかった!」

 

 深雪は、天龍の指示に従い連装砲でチ級に猛攻をしかける。

 

    ぎゃぁぁぁ

 

 深雪の攻撃は、チ級に直撃するがあと一歩で撃沈させることができない。

 

白雪「吹雪ちゃん!何とか耐えていて!!」

 

 深雪に続いて白雪が、連装砲でチ級を攻撃する。

 

    ぐぉぉぉん

 

 白雪の攻撃を受けたチ級は、断末魔をあげながら海に沈んでいった。

 

天龍「よくやった!天龍様の攻撃だ!うっしゃぁっ!」

 

 チ級の撃破を確認した天龍は、ル級に魚雷と単装砲の狙いを定めながら突撃していく。

 

 天龍の突撃に気が付いたル級は、近づけまいと三連装砲で天龍に狙いを定めて射撃体勢に入る。

 

天龍「こちとら相打ち上等だぁ!ビビってんじゃねぇぞ!!」

 

 天龍は、ル級の三連装砲に臆することなく単装砲と魚雷を発射する。

 

 ル級も、天龍に狙いを定めた三連装砲で迎え撃つ。

 

    ドゴオォォォン

 

天龍「ぐわぁぁぁ!」

 

 ル級の砲撃が直撃した天龍は、三連装砲の砲撃に耐えられずに宙に舞い水面にたたきつけられる。

 

    ごぉぉぉぉん

 

 天龍の決死の攻撃も、ル級に直撃したが損傷は少なく小破した程度であった。

 

天龍「このオレがここまで剥かれるとはな……、チビども逃げて鳳翔さんの所に行くんだ!!」

 

 大破し思うように動けなくなった天龍は、深雪たちに鳳翔隊の救援に行くように指示を出す。

 

深雪「天龍さんも逃げよう!!」

 

天龍「バカ野郎、オレも下がったらル級が追ってくるだろうが……」

 

雪風「なら、雪風が時間を稼ぎますから天龍さんも逃げてください!!」

 

天龍「鳳翔さんたちもヤバイんだ……、お前たちで早くイ級をぶっ飛ばしてこい!!」

 

白雪「でも、そしたら天龍さんが……」

 

天龍「オレは天龍……、世界水準軽く超えてるんだ……こんなところじゃ死なねぇよ」

 

深雪「くっ、白雪姉さんと雪風は鳳翔さんの援護を!天龍さんは深雪さまが連れて行く!!」

 

 深雪は、白雪と雪風に鳳翔隊の援護を指示し、天龍を肩で担いで曳航を始める。

 

雪風「……わかりました、白雪さん!行きましょう!!」

 

白雪「深雪ちゃん……、お願いね……」

 

 雪風と白雪は、天龍を深雪に託して鳳翔隊の援護に向かう。

 

天龍「深雪!離せ!! オレを戦線離脱させるな!!」

 

深雪「天龍さん、美鈴の下に帰らないつもりかよ……」

 

天龍「帰りてぇよ……、でもこのままじゃ、お前もやられちまうぞ……」

 

深雪「それは、やってみなくちゃ、わからないだろ……」

 

 深雪は、ル級を牽制しながら天龍を曳航し撤退を始めた。

 

 

吹雪「暁ちゃんも、鳳翔さんもやらせないんだから!!」

 

 吹雪は、イ級4隻を相手に砲撃を続けて大破した鳳翔からイ級を引き離そうとする。

 

 無傷のイ級2隻と小破したイ級1隻が、吹雪の誘いに応じて吹雪を追ってきたが、中破したイ級は鳳翔にトドメを刺そうと鳳翔に向かっていく。

 

吹雪「そんなっ! ダメですぅ!」

 

鳳翔「これが実践なのね……」

 

 イ級の接近に気づいた鳳翔は、立ち上がろうとするが身体に力が入らず海面に倒れ込んでしまう。

 

    がぉぉぉん

 

 中破したイ級は、口を開いて鳳翔へ砲撃しようと近づいてくる。

 

暁「やぁ!」

 

 鳳翔の影から暁が飛び出し、中破したイ級に連装砲を発砲する。

 

 不意をつかれたイ級は、暁の砲撃に対応できず直撃を受けて大破する。

 

暁「まだ、生きているの……」

 

 大破したイ級は、狙いを暁に切りかえて砲撃をしてくる。

 

暁「きゃあっ!」

 

 イ級の砲撃を回避できなかった暁は、大破し海面にたたきつけられてしまう。

 

 

 

吹雪「暁ちゃん!!」

 

 イ級を3隻に囲まれた吹雪は、鳳翔と暁の援護に向かうために、イ級の包囲を突破しようとするが、1対3ではなかなか状況を打破できなかった。

 

吹雪「うぅぅ、私の練度が足りないばかりに……」

 

    ドォォン ドォォン

 

 吹雪が手をこまねいていたとき、イ級に向かっての砲撃を確認した。

 

白雪「吹雪ちゃんは私が援護します、雪風ちゃんは鳳翔さんのところへ!!」

 

雪風「はい!絶対、大丈夫!」

 

 天龍隊から援護のため駆けつけた雪風と白雪が、吹雪の援護のためにイ級へ砲撃を仕掛けたのであった。

 

吹雪「白雪ちゃん!!」

 

白雪「吹雪ちゃん!今よ!!」

 

吹雪「そうだね、私がやっつけちゃうんだから!」

 

 援軍に戦意を取り戻した吹雪は、連装砲でイ級に狙いを定める。

 

吹雪「いっけぇ!」

 

 狙いを定めた吹雪の砲撃は、無傷のイ級を直撃し撃破に成功する。

 

白雪「吹雪ちゃんに続くわ。狙いよし、撃ち方はじめ……」

 

 吹雪に引き続き、白雪もイ級に砲撃を加え、直撃した小破していたイ級の撃破に成功した。

 

吹雪「あと1隻!」

 

白雪「特型駆逐艦の力、見せてあげましょう!」

 

吹雪・白雪「魚雷、一斉発射!!」

 

 白雪と吹雪が同時に、『61 cm三連装魚雷』を発射し、イ級をとらえる。

 

    ぐぉぉぉん

 

 魚雷の直撃を受けたイ級は、大爆発を起こして悲鳴を上げながら水底に沈んでいった。

 

雪風「雪風は沈みませんっ!」

 

 白雪たちが、イ級を全滅させたころ、鳳翔と暁のもとに駆けつけた雪風も大破していたイ級の撃破に成功し、鳳翔隊に奇襲を仕掛けてきた伏兵部隊の壊滅に成功した。

 

 

 

天龍「砲撃、正面だ!来るぞ!!」

 

深雪「絶対帰るんだぁ!!」

 

 天龍を曳航して撤退中の天龍と深雪は、ル級の追撃を受けていた。

 

天龍「右だ!右に回避しろ深雪!!」

 

深雪「くっそぉ、早く諦めてくれよぉ~」

 

 曳航される天龍は、的確に深雪に回避指示を出し、深雪も天龍の指示通りル級の砲撃を回避していく。

 

 単艦での航行速度なら、簡単に引き離すことができるル級ではあるが、天龍を曳航している深雪ではル級を引き離すことができず、逆に徐々に距離を詰められていた。

 

天龍「すまない、オレがル級にもっと損害を与えていれば……」

 

深雪「ル級が化け物すぎるんだ、魚雷だって直撃したのに……」

 

天龍「オレにもっと力があれば……」

 

そのとき、曳航されている天龍に雪風から通信が入る。

雪風「天龍さん、雪風です!」

 

天龍「あぁ、聞こえているぜ」

 

雪風「深海棲艦の伏兵部隊を全滅させましたが、鳳翔さんと暁さんが大破で航行不能です!」

 

天龍「雪風と白雪は無事か?」

 

雪風「はい!雪風も白雪さんも損傷軽微で、吹雪さんも小破ですが航行できます!」

 

天龍「なら、鳳翔さんを白雪と吹雪で曳航して、暁は雪風が曳航してやってくれ」

 

雪風「そちらには向かわなくて、大丈夫でしょうか?」

 

天龍「こっちには、深雪がいてくれている」

 

雪風「しかし、ル級はまだ健在です!」

 

深雪「ル級は、深雪さまが何とかする!雪風たちは、鳳翔さんたちを早く鎮守府へ!!」

 

雪風「深雪も、天龍さんも、絶対帰ってきてください!!」

 

天龍「たりめーだろ!オレは天龍様だぜ!!」

 

深雪「深雪さまが、どん亀の戦艦なんかに負けるかよ!」

 

白雪「負傷者を鎮守府まで曳航したら、助けに戻ってきます」

 

天龍「ははっ、逃げ切ってから待ってるぜ!」

 

雪風「それでは、また後で会いましょう!!」

 

 雪風たちは通信を終了すると、天龍の指示通り大破して単時航行不能な鳳翔と暁の曳航を始める。

 

 

 

鳳翔「私としたことが、無茶をしてしまい……、ダメですね」

 

吹雪「鳳翔さんのおかけで、暁ちゃんは何とか無事でした。ありがとうございます」

 

白雪「鳳翔さんは、怪我がひどいので私たち2人で曳航しますね」

 

鳳翔「両足をやられてしまいました……、迷惑をかけます」

 

 両足を負傷し、自力で立つことができない鳳翔は、白雪と吹雪に両脇を抱えられて曳航される。

 

雪風「暁さんは、雪風が曳航します!」

 

暁「エスコートされるのも、レディーのたしなみよね……」

 

雪風「暁さんは、立派に戦ったと思います!」

 

暁「と、当然よ!」

 

雪風「暁さんの勇気には、雪風も勇気づけられました!!」

 

暁「暁はレディーとして、当然のことをしたまでよ!」

 

 暁と雪風のやり取りを、鳳翔たちは後方から見守っていた。

 

鳳翔「ふふ、暁ちゃんが元気で何よりですね」

 

吹雪「あの子、変にプライドが高くて……」

 

白雪「それが、暁ちゃんの活力になっているのでしょうか?」

 

鳳翔「見た目は幼くても、立派なレディなのかしらね」

 

吹雪「それ、暁ちゃんが聞いたら喜びますよ」

 

 

 

天龍「ちぃ、また少し追いつかれてきたぜ!」

 

深雪「くっそぉ、深雪さまにもっと力があれば……」

 

天龍「すまねぇな、深雪。無理させちまってよ……」

 

深雪「前、天龍に助けてもらった恩もあるし、何とか鎮守府に連れて帰るから!」

 

天龍「くっ、また砲撃体制に入りやがった!」

 

深雪「くそー、当たるもんかぁ!!」

 

天龍「くるぞ、気をつけろ!!」

 

 

 戦艦ル級が健在の中、天龍と深雪の撤退作戦が始まるのであった。




 前回からの引き続きの話になっています。

 前回からのシーンは、本家『艦隊これくしょん』の1-3『製油所地帯沿岸 』で、初めて深海棲艦の重巡や戦艦と戦うことになる海域をイメージしたストーリーになっています。

 今回も戦闘メインなので、美鈴の出番があまりない……

 このままじゃ、ただの建造大好きお姉さんになってしまう気がしますが、美鈴の活躍はちゃんと構想には入っていますよ。

 ……予定は未定ですが(笑)
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