ブゥゥゥン
日向から発艦した瑞雲小隊が、北東の方向へ鳳翔たちの確認と、見失った軽巡ヘ級の捜索を実施していた。
日向「瑞雲の航続距離では、それほど遠くまでの捜索は厳しいな」
深雪「吹雪姉さんや、暁も龍星鎮守府へ向かっているし、そっちの方向に行こうぜ」
最上「ボクたちも捜索で燃料を消耗しているし、君たちの鎮守府へ行くと帰還が難しくてねぇ~」
天龍「ウチのめいり……、いや、ウチの提督なら、補給ぐらい文句も言わずにしてくれるはずだぜ」
日向「しかしな……」
深雪「なぁに、日向さんや最上さんは、恩人だしお礼くらいさせてくれよ」
最上「まぁ、大破している他の鎮守府の艦娘を、所属の鎮守府へ連れて行ってたと言えば、ウチの提督も納得してくれるよ」
日向「どっちにしろ、吹雪と暁を迎えに行く必要もあるし、龍星鎮守府へ向かうとしようか」
深雪と天龍は、ヘ級が鳳翔たちを追跡している可能性を視野に入れつつ、日向、最上とともに龍星鎮守府のある北東方面へ進行を始めた。
その頃、龍星鎮守府では……
美鈴「さて、新しく来てくれた艦娘はどんな娘かなぁ~」
建造完了の報告を受けて、美鈴は工廠へとやってきていた。
工廠の妖精さんに案内されて、工廠の扉の前に立ち扉に手を触れると、扉の奥から黄金色の光があふれてきた。
美鈴「うっ……、何だか天龍や鳳翔さんのときと雰囲気が違う気がする……」
やがて、光の中から白い巫女服のような服を着た、栗色のロングヘアーの女性が現れた。
美鈴「巫女服に茶系の髪……、博麗の巫女!?」
美鈴は、工廠から出てきた艦娘の特徴から、幻想郷で最強の呼び声も高い博麗霊夢を思い出したのだが、よく見ると霊夢よりも背が高く、体格も大人びており顔も別人であった。
巫女服の艦娘「英国で産まれた帰国子女の金剛デース!ヨロシクオネガイシマース!」
金剛と名乗った女性は、左手を突き出して元気よく自己紹介をしてきた。
美鈴「私は、紅美鈴デース!この鎮守府で提督をしてマース!」
美鈴は、思わず金剛の勢いに乗せられて、妙な口調で挨拶をしてしまった。
金剛「Wow!ノリの良い提督さんですネー!!」
美鈴「えっ、あぁ……、えへへ」
金剛「うーむ、Prettyな提督さんですネー!」
美鈴「あ、あの、金剛さんはもしかして外国の艦娘さんとかですか?」
金剛「私は、超弩級戦艦として建造技術導入を兼ねて英国ヴィッカース社で建造された帰国子女なのデース!」
金剛「生まれはイギリスでも、育ちも心も立派な日本人ですヨー、チョット英国なまりがあるかも知れませんが許してほしいデース!」
美鈴「ははは……(なまりというか語尾が何とも外国人な人だなぁ~)」
美鈴「それよりも、今さらっと超弩級戦艦って言いませんでした?」
金剛「Yes!英国生まれですが、日本初の超弩級戦艦として生まれ、私を参考に次々と日本で建造された超弩級戦艦の姉として頑張ったネー!」
美鈴「超弩級戦艦ってすごく強そうですよね~」
金剛「まぁ、後から建造された扶桑型や伊勢型、長門型には火力や装甲では負けてますが、高速力では負けてないネー!」
美鈴「パワーでは多少劣っても、スピードとテクニックでは負けないってやつですね」
金剛「Oh!提督は良いこと言うネー!!」
金剛のノリと勢い、美鈴自身の『超弩級戦艦がやって来た』という興奮から、話が盛り上がっていたが、美鈴は出撃からまだ帰還していない艦娘たちのことを思い出す。
美鈴「来てくれたばかりのところ申し訳ないのですが……」
金剛「うーん、何デース?提督~」
美鈴「出撃中の艦娘たちが、もう大分たつのに帰ってこなくて心配なのです」
金剛「ふ~む、なるほどですネー」
金剛は、艦娘のことを心配する美鈴の表情を見つめていた。
金剛「なるほど~、提督は優しい人のようですネー」
美鈴「えっ?」
金剛「提督の悩みは、金剛が解決するデース!」
金剛は、美鈴に告げると艤装を装着して出撃の準備をし始める。
金剛「もう大丈夫ネー!私に任せるデース!!」
ドォォン ドォォン
鳳翔たちを、射程に捉えた軽巡ヘ級は暁を曳航している雪風を狙って砲撃を仕掛けて来る。
雪風が航行していた場所に着弾した砲弾が、炸裂し爆煙と水柱が立ち上る。
鳳翔「雪風さん!暁さん!!」
ヘ級の攻撃を確認していた鳳翔が、思わず悲鳴をあげる。
爆煙がはれて、視界が広がると砲撃を回避していた雪風と暁の無事が確認できた。
雪風「雪風も、艦隊も沈みません!!」
暁「あ……、当たったかと思った……」
鳳翔「良かった……」
白雪「でも、このままじゃ……、すぐに追いつかれます」
吹雪「こ、このままじゃ……」
カシャッ ズシュッッ
ヘ級は、続けて雪風に魚雷を発射する。
暁「ぎょっ……、魚雷よ!!」
ヘ級の魚雷を確認した暁は、雪風に魚雷が発射されたことを必死に伝えようとする。
しかし、雪風は回避行動を取ることもせずに、直進を続ける。
暁「来るわよ!きゃぁぁ!!」
魚雷の接近に慌てる暁をよそに、雪風は魚雷を一瞥もせずに前進を続ける。
雪風「暁さん、大丈夫!!」
雪風が、自信にあふれた口調で暁に答えた瞬間、魚雷の複数の航跡が雪風と暁の両脇を通り過ぎていく。
暁「奇跡的に外れてくれたわ……」
雪風「奇跡じゃないですっ!」
雪風と暁のやり取りを見ていた鳳翔は、雪風の動きに注目していた。
鳳翔「確かに、今のは奇跡じゃないですね……」
吹雪「どういうことですか?」
鳳翔「魚雷が発射された瞬間、雪風さんは普通に前進しているように見えるけど、かすかに右方向に軌道を変えていたわ……」
白雪「そうなのですか?」
鳳翔「恐らく魚雷の発射音と、推進音で魚雷の発射角度を読み切っていたんだわ……」
吹雪「そんな神業のようなことを!?」
鳳翔「さっきから、雪風さんは砲撃も雷撃も全て目で見ずに回避しているわ」
吹雪「さっきからそんな離れ業を!?」
白雪「確かに、今まで雪風ちゃんがまともに被弾したところは、見たことないですね……」
鳳翔「訓練のときにも感じたのですが、集中力が高まったときの雪風さんには、まるで敵の攻撃の軌道が見えているようなときがありますね」
吹雪「軌道が見える?」
白雪「私も雪風ちゃんと訓練しているとき、まるで最適な回避コースのラインが見えているのはないかと思うときがあります」
吹雪「ラインが見える?」
鳳翔「臆測ですが、そのくらい回避に関しては類い稀な才能を感じますね」
暁を曳航しているにも関わらず、次々とヘ級の攻撃を最低限の動きで回避する雪風を見て鳳翔たちは感心していた。
暁「ゆ、雪風!もっと早く逃げれないの?」
雪風「速度はこれ以上無理ですが、当たりません!!」
暁「(そうか……、速度が出ないのは暁を曳航しているからだわ……。回避はできてるけど、このままじゃヘ級に捕まっちゃう)」
暁が思うように、暁を曳航している雪風の速度では、ジリジリとヘ級に追いつかれてきており、いずれ追いつかれてしまうのは明確であった。
雪風「雪風が追いつかれても、捕まっても、暁さんは沈めません!」
暁「(ダメよ、これ以上暁のせいで雪風を危険な目に合わせる訳には……)」
ドォォン ドォォン
雪風「雪風には、当たりません!!」
雪風は、ヘ級の砲撃を失速しないように最低限の動きで回避する。
しかし、ヘ級は既に目の前に迫っている。
暁「暁はもう良いから、雪風だけでも逃げて!!」
たまらず、暁が雪風に叫ぶ。
雪風「目の前で、仲間を失いたくないです!暁さんは絶対に沈めさせません!!」
ヘ級が、腕を伸ばして雪風に曳航された暁を捕まえようとする。
雪風は、身体を入れ替えて暁をヘ級から遠ざけようとする。
雪風「暁さんは逃げてください!!」
暁「雪風!ダメぇぇ!!」
雪風は、暁をかばうようにヘ級と暁の間に入り込む。
ヘ級は目標を雪風に切りかえて、雪風につかみかかる。
ドオォォン
雪風がヘ級に捕まりそうになった瞬間、人影が飛び込んできてヘ級に体当たりをした。
吹雪「うわぁぁぁ!!」
飛び込んできた人影の正体は、吹雪であった。
砲撃すると、雪風に当たりかねないくらい、ヘ級が肉薄していた状況で、雪風を助けるべく全速力でヘ級に突っ込んできたのだ。
突然の吹雪の体当たりに、不意をつかれたヘ級は後方に飛ばされ転倒している。
吹雪「今のうちに、みんな逃げて!!」
雪風「吹雪さんも、早く逃げてください!」
白雪「吹雪ちゃん!!」
吹雪は突然、鳳翔を白雪に託して体当たりを敢行したしたため、白雪は鳳翔を支えるので精一杯で吹雪を援護することができないでいる。
雪風も、倒れかけた暁と肩を組み直してヘ級から離脱するのが精一杯で、吹雪を支援することができない状態であった。
鳳翔「吹雪さん……」
鳳翔は倒れかけるが、白雪が何とか一人で鳳翔の身体を支えて曳航することはできていた。
吹雪「私も、すぐに行くから……、みんな前に進んで!!」
雪風「はい、ありがとうございました!」
吹雪「倒せなくても、足止めくらいは……」
吹雪は、倒れているヘ級に攻撃を仕掛けようとしたが、体当たりをしたときの衝撃で艤装が故障してしまったようで、連装砲も魚雷も撃てない状態だった。
吹雪「そんな……、こんなときに……」
吹雪は、ヘ級への攻撃を諦めて、再び鳳翔を曳航するために白雪のもとに戻ろうとしたが、艤装が損傷してしまった影響で海上を進むことが出来なくなってしまい、その場で転倒してしまう。
ぐおぉぉぉ
吹雪の体当たりで転倒していたヘ級が立ち上がり、怒りながら吹雪に向かってくる。
吹雪「……う、動かない!?」
迫りくる、ヘ級から逃れようとする吹雪であったが、故障した艤装から燃料が漏れ出ていることに気が付いた。
吹雪「まさか、燃料切れ!?」
深雪たちと合流する前から、深海棲艦と戦闘を行っていた吹雪の燃料は少なくなっていた上、体当たりの際に壊れた艤装から燃料が漏れ出たことにより、吹雪の艤装の燃料が尽きてしまい、航行すらできなくなってしまった。
暁「来るわよ!吹雪、逃げて!!」
雪風「吹雪さん!!」
雪風や暁が必死に吹雪に呼びかけるが、吹雪は海上で身動きが取れない。
吹雪「動けない……、ここで終わっちゃうの……」
立ち尽くす吹雪に、砲塔を向けて狙いを定めるヘ級が近付いてくる。
ドォォォォン
ヘ級が吹雪に攻撃を仕掛けようとしたそのとき、へ級の至近距離に砲弾が着弾する。
ぐぁぁぁぁ
突然の砲撃に、ヘ級は思わず後退する。
ドォォォォン ドォォォォン
ヘ級に追い打ちをかけるように、更に砲撃が続く。
暁「支援射撃?どこから!?」
雪風「北東の方角から?」
鳳翔「龍星鎮守府の方からね」
白雪「ん?北東から接近する艦影ありです」
鳳翔「援軍なの?」
雪風「今の砲撃だと、35.6 cm砲?」
鳳翔「戦艦の大口径砲……」
白雪「接近してくる艦影、戦艦にしては早すぎます!約30ノット出ています!」
ぐぉぉぉぉ
砲撃に一旦は後退したヘ級が、再び吹雪に砲塔を向けようとしたそのとき……
女性の声「次こそ当てます!全砲門!Fire!!」
接近してくる艦影からの声が響き渡る。
ドォォォォン ドォォォォン
ヘ級に向けて、再び砲弾が放たれる。
その頃、深雪と天龍は日向たちとともに、鳳翔たちの元へ駆けつけようとしていた。
深雪「この砲撃は……」
日向「この音は、35.6 cm連装砲に違いない……」
最上「伊勢さんかな?」
日向「いや、伊勢は南西諸島へ遠征に向かってるはずだ……」
天龍「まさか、美鈴が戦艦を建造したのか?」
深雪「何か、そんな気がしてきた……」
日向「とにかく、戦闘が行われているのは間違いないな……、急ぐぞ!!」
最上「この音の方に向かえば良いんだ、みんな急ぐよ!!」
深雪たちは、鳳翔たちがいるであろう砲撃音のする方へ急ぐのであった。
ぐぉぉぉぉん
吹雪に迫っていたヘ級に砲弾の1つが直撃し、ヘ級は大破炎上している。
吹雪「この砲撃は日向さん?……いや、この声は日向さんじゃない!?」
女性の声「これでFinish!? な訳無いでデショ!私は食らいついたら離さないワ!!」
ドォォォォン ドォォォォン
龍星鎮守府方向から近づいてくる艦娘は、へ級にとどめを刺すべく砲撃を続ける。
ぐぎゃぁぁぁぁ
さらなる砲撃は、大破して身動きが取れないヘ級に全弾命中し、ヘ級は悲鳴を上げながら海へ沈んでゆく。
白雪「深海棲艦、沈黙……」
暁「暁たちは、勝ったのね!!」
鳳翔「助けてくれた艦娘さんが、見えてきたわね」
鳳翔が顔を向ける方向に、白い巫女服のような服装の艦娘が現れる。
美鈴が建造した、超弩級戦艦の金剛である。
金剛「Hey、みんなー!迎えに来たヨー!」
初対面であるはずの金剛は、鳳翔たちに大きく手を振ってくる。
鳳翔たちと合流した金剛は、大破している鳳翔の曳航を白雪から引き継ぎ、白雪は燃料切れで航行不能になった吹雪を曳航し、龍星鎮守府へ帰投することにした。
金剛や鳳翔たちは、帰投途中で深雪や天龍たちとも合流し、燃料の補給や修理のために吹雪や日向たちの紅月鎮守府の面々も、龍星鎮守府へ立ち寄ることとなった。
いよいよ、本家『艦隊これくしょん』の1-3『製油所地帯沿岸 』をモチーフにした話も、一応の終わりを迎えます。
今回の建造で、ついに龍星鎮守府にとって初の大型艦が建造されますが、一体誰なのでしょうか…?
タイトルを見て、ピンと来た方も大勢いるでしょうが、あの方でしょうね(笑)
前回のタイトルは、スーパーロボット大戦等でもおなじみの、某ロボットアニメの主題歌のオマージュで、今回は思いっきりそのまんまです。
アニメの主題歌をタイトルにしまくるのは、ドリフターズのパクリっぽいので控えた方が良いかも知れませんねww