ドォォォォン ドォォォォン
金剛「Hey!もっと弾道をよく見るデース!」
深雪「か……、間一髪……」
金剛「深海棲艦は、手加減はしてくれないですヨー!」
深雪「ええぃ、金剛さん!もういっちょ!!」
金剛「まだまだ行きますヨー!撃ちます!Fire~!」
龍星鎮守府の艦娘たちは、今後も激化するであろう深海棲艦との戦いに備えて、訓練に励んでいた。
今日も鎮守府前の海上で、唯一の大型艦(戦艦)である 金剛を訓練相手に、深雪が模擬戦を行っていた。
天龍「深雪のやつも、根性あるじゃねぇか」
美鈴「自分より大きな相手に挑むって、簡単なことじゃないのに頑張っているよね」
美鈴たちは、模擬戦の様子を海岸から見守っていた。
鳳翔「金剛さんも、連日皆さんの訓練相手を務めてくださってますが、疲労はたまってないでしょうか?」
美鈴「金剛も、みんなの先生みたいに頑張ってくれてますからね」
天龍「オレも負けてられなぇな!」
美鈴の『先生』という言葉を聞いて、天龍が急にライバル意識を燃やし始める。
白雪「天龍さんは水雷戦闘の教官で、金剛さんは大型艦との戦闘を教えてくれる教官という感じですね」
天龍「フフフ……、オレの水雷戦術は世界水準軽く超えてるからな……」
白雪の言葉に、天龍はあからさまに気を良くしていた。
カンカンカン カンカンカン
美鈴たちが、海岸で模擬戦を視察していたとき、見張り台から合図の鐘の音が聞こえてきた。
美鈴「何だろう?」
鳳翔「今は、雪風さんが当番でしたね」
白雪「何かを発見したのでしょうか?」
美鈴「緊急の警報じゃないけど、行ってみよう」
鳳翔「私もお供しますね」
天龍「オレと、白雪はここで待機してるぜ」
白雪「司令官、何かあったらすぐに出撃できるよう準備しておきます」
美鈴「わかったわ、念のために待機しておいてね」
美鈴は、天龍の意見を採用して天龍と白雪を海岸で待機させることとし、鳳翔とともに、見張り台の雪風のもとへ向かうこととした。
美鈴と鳳翔が見張り台に着くと、雪風が見張り台の上から手を振ってきた。
雪風「しれぇー!」
美鈴「雪風、何かあったの?」
雪風「はい、今そちらに行きます」
そう言うと雪風は、見張り台のはしごを下り、美鈴のもとに駆けてきた。
美鈴「どうしたの?」
雪風「本土の方角から、輸送艦が近づいてきています」
美鈴「輸送艦?町井田中尉かな?」
雪風「はい!雪風も町井田中尉の艦だと思います!!」
鳳翔「町井田中尉……、以前この鎮守府に白雪さんと補給物資を届けてくれたという方ですね」
美鈴「そうか、あのときはまだ鳳翔さんはいませんでしたね」
雪風「しれぇみたいに背が高くて、美人でかっこいい人です!」
鳳翔「背が高くて、美人でかっこいいって何だか凄いですね……」
美鈴「(私みたいにって、『背が高い』ってことだけかな?『美人でかっこいい』も含まれるのかな?)」
鳳翔「提督、お知り合いなら提督室から連絡をとってみては、いかがでしょう?」
美鈴「そうですね、もしかすると既に無線連絡が来てるかもしれませんし、鎮守府に戻りましょう」
雪風「雪風は見張り台で、また何かあったら連絡します!!」
美鈴「うん、よろしくね!」
雪風は、再び見張り台のはしごを登って見張りに戻った。
美鈴と鳳翔は、鎮守府内の提督室に向かった。
美鈴と鳳翔が提督室に着くと、インカムを付けた妖精さんが待機していた。
美鈴「(あの頭に付けてるやつって、通信で使うやつだよなぁ……、妖精さんは喋れるのかな……)」
美鈴が、妖精さんの姿にツッコミを入れるようなことを思っていると、妖精さんが鳳翔に何やら話しかけるように近づいてきた。
鳳翔「はい、何でしょうか?」
鳳翔は、その場にかがみ込んで妖精さんに顔を近づけた。
鳳翔「はいはい、なるほど……、そうですか」
美鈴「妖精さんの声が聞こえるのですか?」
鳳翔「空母系の艦娘は、艦載機を操縦する妖精さんと対話することが多いので、通常の艦娘よりも妖精さんと会話をすることができるんですよ」
鳳翔「ところで、妖精さんの話だと先ほどから無線機で呼び出されているようですよ」
美鈴「ええっ!返事をしなきゃ!!」
鳳翔「とりあえず、妖精さんがモールス信号で返信してくれたみたいですが、こちらからも呼びかけてみましょう」
美鈴「そうですね、鳳翔さんよろしくお願いします!」
鳳翔「えっ?私がですか……」
美鈴「無線機の使い方がわからなくて……」
鳳翔「そうですか、『やってみせ、言って聞かせて、させてみせ』とも言いますし、私がまずお手本を見せますね」
美鈴「はい!」
鳳翔「では、まず相手を呼び出して見ましょう。周波数はこのままで……」
鳳翔は、無線機のマイクをつかむとスイッチのような物を操作した。
鳳翔「こちら、龍星鎮守府紅美鈴提督の秘書艦鳳翔です。輸送艦隊応答願います」
美鈴「秘書艦?」
鳳翔「便宜上、今はそう名乗らせていただきました」
無線機の声「こちら町井田輸送艦隊です、紅美鈴提督はいらっしゃいますか」
鳳翔「はい、提督も共におります」
無線機の声「了解、町井田中尉におつなぎします。しばらくお待ちください」
無線に応答した男性は、町井田中尉を呼び出すため一旦通話を切った。
通話が切れた間に、鳳翔は美鈴に無線機のマイクを手渡した。
鳳翔「提督、このマイクのスイッチを押せば、相手にこちらの声を送信できます、次は提督がやってみてください」
美鈴「そんなに難しくなさそうですね」
鳳翔「今回は、周波数などの操作は無かったので、そのまま通話ができますが、周波数を変えるなどがあった場合は、もう少し操作が必要ですね」
美鈴「そのときは、また教えてくださいね」
鳳翔が、美鈴に無線機について簡単にレクチャーしていると、無線機から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
町井田「こちら輸送部隊隊長の町井田中尉だ、紅美鈴提督応答願う」
美鈴「町井田さんだ!えぇと……、このボタンだったよね」
美鈴が、無線機の操作について鳳翔に再確認する。
鳳翔「そうです、そのスイッチを押して話せば相手に声が届きます」
美鈴は、緊張しながら無線機の通話スイッチを押し、町井田に返事をする。
美鈴「こちら紅美鈴です。町井田中尉お久しぶりです!!」
町井田「紅美鈴提督か、元気そうね」
美鈴「今さっき、見張り台にいた雪風が町井田中尉の輸送艦を確認したと聞いて見に行っていたんですよ」
町井田「なるほど、だから司令室は不在で妖精さんしかいなかったのか」
美鈴「あ……、えぇ、そうなんですよ」
鳳翔「(本当は、みんなで模擬戦を観戦していたんですけどね……)」
町井田「先日、紅月鎮守府から貴女の鎮守府が完成したと聞いて、本土から補給物資と増員を連れて行くところなのよ」
美鈴「ありがとうございます!早速こちらから、護衛を向けますね!」
町井田「大丈夫だ、今回はどうしても貴女に会いたいという方や、艦娘たちがいて紅月鎮守府から護衛を出してもらっている」
美鈴「紅月鎮守府からの護衛ということは、吹雪や暁たちですか?」
町井田「そうね、特に暁は龍星鎮守府へ行くと聞いたら真っ先に名乗り出てくれたわ」
美鈴「なるほど、あの娘らしいですね」
美鈴「ところで、どうしても私に会いたいという方って誰ですか?」
町井田「紅月鎮守府の紅月提督よ」
美鈴「前に伊勢さんから聞いた、紅月麗美提督ですね」
町井田「そう、若いけど深海棲艦との戦闘で類い稀な戦果を上げて、『東洋のカリスマ』と呼ばれる方よ」
美鈴「そんな方が、なぜ私なんかに?」
町井田「深海棲艦の攻撃により壊滅した島に現れ、艦娘や妖精さんたちに慕われて近海の深海棲艦を撃退しながら鎮守府を再興した。……あなた自身は気づいていないでしょうけど、すごいことなのよ」
美鈴「確かに、そう言われるとなんかかっこいいですね……」
町井田「それに、大事な艦娘を救ってくれた鎮守府へのお礼も兼ねているのでしょうね」
美鈴「まぁ、ウチの娘たちも助けてもらってますから、私もお礼をしたかったところです」
町井田「艦娘たちを、兵器や配下としてではなく、大切な仲間として扱うという点では、貴女も紅月提督も共通しているところね」
美鈴「紅月提督は優しい人なのですね」
町井田「ただ優しいと言うだけでは無いでしょうけど、悪人ではないことは保証するわ」
美鈴「ただ優しいだけじゃない?」
町井田「会えば分かると思うけど、楽しみに待っていなさい」
美鈴「はぁ……」
町井田「それでは、一旦通信を終えるわね」
美鈴「わかりました」
通信を終えると、美鈴は無線機のマイクを鳳翔に手渡した。
鳳翔「紅月提督は、どのような方なのでしょうね」
鳳翔の問いかけに対し、美鈴はレミリア・スカーレットを思い浮かべながら答えた。
美鈴「ふだんはワガママで傲慢、だけど本当は優しい心の持ち主で、自分の身内や仲間が悩んでいたり困っていたりすると、一緒に悩んでくれたりそれとなく手助けをしてくれる……、そんな人な気がします」
鳳翔「何だか、以前話してくれた提督がお仕えしていたお屋敷の主様みたいですね」
美鈴「何か話を聞いてると、そんな気がするんですよね~」
金剛「Wow!大きな艦ですネー!!」
鳳翔「あれなら深海棲艦の攻撃を受けても、簡単には沈みませんね」
美鈴の指示により、町井田の輸送艦を出迎えるべく海岸で待機していた一同であったが、島に近づいてくる輸送艦が目視できる距離に来ると、初めて見る金剛と鳳翔は船体の大きさに驚いていた。
天龍「まさか、また町井田中尉が来てくれるとわな!」
深雪「今回は、紅月鎮守府の連中も護衛についてるらしいし、知った顔がいそうで楽しみだぜ~」
雪風「はい、雪風も楽しみです!」
白雪「紅月鎮守府のみんなも、町井田中尉も私たちの恩人ばかりですね」
美鈴「今回は、深海棲艦の攻撃も受けていないようだし、みんなで出迎えよう!」
白雪「(そういえば、前回は八雲元帥の慢心で、艦娘の護衛なしで大変でした……)」
輸送艦の甲板で、町井田は双眼鏡をのぞき込んでいた。
町井田「あれが、美鈴たちが造った新しい鎮守府か」
町井田が、双眼鏡で龍星鎮守府の様子を確認していると、紅い軍服を着て、髪は青みがかった銀髪のセミロング、という姿の若い女性が近づいてきた。
紅い軍服の女性「あの島が、眠れる龍のいる島ね」
声に気が付いた町井田は、双眼鏡を降ろして姿勢を正し紅い軍服の女性に敬礼をする。
町井田「これは、紅月麗美提督!」
紅い軍服の女性「町井田中尉、そんなかしこまらなくていいわ」
町井田「しかし、紅月提督は日本海軍准将でいらっしゃいます」
紅い軍服を着た女性の名は『紅月麗美』、軍服の肩には准将の肩章がついている。
麗美「あなたは、私の友人で歳も上でしょ、『麗美』でいいと言っているじゃない」
町井田「しかし、部下も見ていますし……」
麗美「ほんと、あなたは真面目ねぇ、可怜……いや、町井田可怜中尉」
町井田「ところで、そろそろ龍星鎮守府が見えてきましたが、御覧になりますか?」
麗美「どれどれ、ウワサの『いまだ目覚めぬ龍』と呼ばれる紅美鈴提督を見てみようかしら」
町井田「(そう呼んでるのは、麗美だけだと思うけど……)」
麗美「ちょっと双眼鏡を貸してよ」
町井田「あっ、私のでよければお使いください」
町井田は、麗美に双眼鏡を手渡す。
麗美「ふむふむ、海岸に何人か立っているわね」
町井田「恐らく、我々を出迎えしているのでしょう」
麗美「あの緑色の変わった服を着た人が、紅美鈴かしら?」
町井田「はい、香港生まれの台湾育ちということですから、中華風な服装ですね」
麗美「艦娘も、金剛に鳳翔、天龍、白雪、深雪、雪風か……」
町井田「以前来たときは、金剛と鳳翔はいませんでした」
麗美「あの娘たちには、先日ウチの娘たちが世話になっているから、日向や暁から話は聞いてるわ」
町井田「いつの間にか、戦艦に空母までそろえるとは、一人前の艦隊になってきました」
麗美「しかし、台湾出身の紅美鈴の所に雪風がいるとは……」
町井田「軍艦時代の歴史を考えると、何だか感慨深いものがありますね」
麗美「そうね……、これも運命ね」
もう間もなく、『東洋のカリスマ』の異名を持つ紅月麗美が乗艦する輸送艦は、紅美鈴が待つ龍星鎮守府に到着するのであった……
今回は、町井田中尉が再登場します!
一応、龍星鎮守府に足りない『工廠』、『秘書』をサポートする人員を増員する予定です。
昔のスパロボでアストナージが参戦したら、機体改造が5段階から10段階まで可能になるなどの効果を発揮させられればと思っています。
(アストナージが参戦するわけじゃありません…)
PS.これまでは、pixivに投稿していた分を誤字訂正などしながら投稿してましたが、以後は通常ペース(1~2週間程度)での投稿になると思いますので、よろしくお願いします。