華人小娘と愉快な艦娘たち   作:マッコ

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第19話 龍の鼓動

    ザザーン ザザーン

 

 夜の海岸に、波の音が響き渡る。

 

 歓迎会を終えた後、美鈴は1人で海岸を歩いていた。

 

美鈴「(紅月麗美さん……、レミリアお嬢様とは似ているようで違うような気もする……)」

 

 美鈴は、紅月鎮守府の提督である紅月麗美准将について考えていた。

 

麗美「あら、美鈴1人で散歩かしら?」

 

美鈴「!?」

 

 不意に声をかけられた美鈴は、驚き身構えたが声の主が紅月麗美だと気がついて構えを解いた。

 

美鈴「紅月准将、こんなところでどうしましたか?」

 

麗美「ふふっ、ちょっと酔いを覚ましに夜風に当たりに来ただけよ」

 

美鈴「そうでしたか……」

 

 歓迎会の席には、麗美が持ち込んだワインも振る舞われており、美鈴や麗美、町井田のほか一部の艦娘も飲酒をしていた。

 

 

 

 

麗美「そういえば、貴女も私のワインを飲んでいたわね、どうだったかしら?」

 

美鈴「お酒なんか久しぶりでなんか酔っちゃいましたよ、あの赤ワインは紅月准将のお気に入りですか?」

 

麗美「そうよ……、深く紅い色合いに、芳醇な葡萄の香り……」

 

麗美「あの血のように紅いワインには、生命のきらめきがあると思わないかしら?」

 

美鈴「生命のきらめきですか……、なんだか詩人みたいですね」

 

麗美「詩人か……、世が世ならそういう職業の選択肢もあったのかもしれないわね……」

 

美鈴「紅月准将?」

 

麗美「ふふっ、准将はお止めなさい……」

 

美鈴「えっ?」

 

麗美「共に盃を交わした仲じゃない……、私たちは友人よ」

 

美鈴「ええっ!?」

 

麗美「嫌かしら?」

 

美鈴「と、とんでもない!!」

 

麗美「歳も近いんだし、麗美もしくはレミィと呼んでちょうだい」

 

美鈴「レミィ……(パチュリー様がレミリアお嬢様を呼んでいた愛称と一緒じゃ無い?)」

 

麗美「あら、レミィって呼んでくれるの?」

 

美鈴「えっ、あっ……」

 

麗美「良いのよ良いのよ!レミィって呼んでちょうだいよ!!」

 

 麗美は、急に無邪気に笑いながら美鈴に抱きついてくる。

 

麗美「じゃあ、貴女のことはメーリンって呼ばせてもらうわね!」

 

美鈴「えっ、あ……、はい」

 

麗美「ふふっ、二十歳にもなって少しはしゃぎすぎたかな?」

 

美鈴「れ……レミィは、二十歳だったんですね」

 

麗美「そうよ、メーリンは?」

 

美鈴「私は……」

 

 美鈴は、自分の年齢を答えようとした時、自分が何歳であるかについて少し戸惑った。

 

 

 

 

 美鈴は、1864年に上海で中国人の父と、日本人とオランダ人のハーフである母親の間に生まれた、いわゆるクォーターである。

 

 1884年(明治17年)に、美鈴が住んでいた台湾が戦火に飲まれた時、武術の達人であった美鈴は女性ながらも兵に志願し戦場を転戦していた。

 

 そんなとある日の深夜、美鈴が所属する部隊の宿所が敵軍の夜襲を受けて大火事になった。

 

 この時、当番で夜警に出ていた美鈴は、難を逃れていたが仲間を救うべく宿舎へ急行していた。

 

 しかし、敵の夜襲部隊に鉢合わせてしまい、一斉銃撃を受けてしまう。

 

 薄れゆく意識の中、次に美鈴が目を覚ましたときには幻想郷であった。

 

 幻想郷に行ってからは、『気』が使える妖怪として100年以上暮らしていたが、妖怪となってからは、肉体的な成長や老化は特に無く、幻想郷に入った段階の20歳のままであった。

 

 このようなこともあり、実際の年齢は100歳を優に超えているのだが、人間としての年齢は幻想郷に入る前の20歳と言うべきなのだろうか?

 

 美鈴は、色々と考えを巡らせていたが、人間としての肉体の年齢である20歳であると答えた方が最良では無いかと結論に至った。

 

美鈴「私も、今は20歳ですよ」

 

麗美「あら、やっぱり同い年だったのね」

 

美鈴「そうですね」

 

麗美「軍務を離れた時は、同い年だし友達なんだから、もっとフランクに話してよ」

 

美鈴「ふふ、友達ですか……」

 

麗美「嫌だとは言わせないわよ」

 

美鈴「(軍の階級ではとても偉い人のはずなのに、こういう懐が広い所もお嬢様に似ているんだよなぁ……)」

 

 美鈴は、麗美にレミリアの姿を重ねていた。

 

美鈴「(麗美さんは、姿はお嬢様と違って成人した大人だけど、お嬢様が数百年経って成長したお姿は、きっとこんな感じなんだろうなぁ……)」

 

麗美「なに嬉しそうに、ニヤニヤしているのよ」

 

美鈴「あ、いや、友達って良いなぁって……」

 

麗美「そうね……、困ったことがあったらいつでも言ってよね」

 

 美鈴と麗美は、2人だけの海岸で固い握手を交わした。

 

 

 

 

 次の日、補給物資の搬入と確認が終わり、町井田の輸送艦が本土に帰還する事となり、海岸には輸送艦や護衛の紅月艦隊の面々を見送るため、美鈴や龍星鎮守府の艦娘たちが総出で海岸に集まっていた。

 

金剛「紅月提督!いただいた紅茶、すごく美味しかったデース!」

 

麗美「あなたは、紅茶に造詣が深かったわね。 今度、美鈴提督と一緒にウチの鎮守府へ遊びにいらっしゃい……、とっておきの紅茶を用意するわよ」

 

金剛「Wow!Tea Timeは大事にしないとネー!」

 

深雪「間宮のあんみつも、高そうなケーキも美味しかったぜぇ!」

 

白雪「深雪ちゃん、紅月准将はすごく偉い方だよ、友達みたいな話し方は失礼だよ」

 

麗美「ふふっ、良いのよ……私は美鈴提督の友達なのだから、公の場じゃ無いところでは気楽に話しかけなさい」

 

暁「ウチの司令官は、すっごく超一人前のレディーなのよ!心は海よりも広いんだから!」

 

雷「指揮は超一流で、交渉上手、しかも容姿端麗ときたものだから、暁には一生追いつけない本物のレディなんだから!」

 

響「暁の『一人前のレディー』とは違って、司令官の『東洋のカリスマ』の名は伊達じゃないんだよ」

 

暁「そうよ、ウチの司令官はとってもすごいんだから!って2人とも暁をバカにしたわね、許さないんだから!ぷんすか!!」

 

電「はわわわ、喧嘩はダメなのですー!」

 

美鈴「本当に君たちは、麗美提督も暁ちゃんの事も大好きなんだね」

 

 暁型四姉妹の掛け合いを見ていた美鈴は、思わず声をかける。

 

響「ダメな姉ほど可愛いものさ」

 

雷「司令官がしっかりしている分、暁はもーっと私に頼って良いのよ!」

 

電「ちょっぴり頼りないお姉ちゃんを助けたいって……、おかしいですか?」

 

暁「暁は一人前のレディーだし……、妹たちに、なに言われたってへっちゃらだし……」

 

鳳翔「暁さんは、良いお姉さんなのですね」

 

暁「鳳翔さん……」

 

 妹たちにいじられて、少し落ち込んでいた暁は、憧れの鳳翔に声をかけられて照れながら微笑んでいた。

 

 

 

 

    ウゥゥゥゥー

 

 突然、島内に警報が鳴り響いた。

 

美鈴「何が起こったの?」

 

大淀「提督!深海棲艦の艦載機と思われる機体が鎮守府に迫っています!!」

 

天龍「何だって!? おいっ!迎撃するぞ!!」

 

雪風「天龍さん、みんな艤装を装備していません!!」

 

天龍「ちぃ、急いで艤装を取りに行くんだ!!」

 

金剛「提督や皆さんは、避難してて欲しいデース!」

 

 龍星鎮守府の艦娘たちは、保管している艤装を取りに鎮守府へ駆けて行った。

 

麗美「龍星鎮守府の友人たちを守るわよ!迎撃できる子はいる?」

 

 麗美が紅月鎮守府の艦娘たちに指示を出すと、出航のためにすでに艤装の着装を済ませていた日向と、最上が手を上げて答えた。

 

日向「提督、私も最上も出撃可能だ」

 

最上「ボクたちの艦載機で迎撃に出るよ!」

 

麗美「敵の数はまだわからないけど、一機も龍星鎮守府へ近づけちゃダメよ!」

 

日向「了解!最上、瑞雲を発艦させるぞ!!」

 

最上「いっけー!」

 

 日向から14機、最上から11機の瑞雲が発艦し深海棲艦の航空部隊の迎撃に向かった。

 

 

 

 

 日向たちから発艦された瑞雲たちは、敵航空機が視認できる距離まで接近していた。

 

日向「瑞雲たちが敵と接触したようだ……」

 

日向「なにっ!敵機の数は80機以上だって!?」

 

麗美「80機以上ですって!? まさか、この近海にヲ級がいるとでもいうの!?」

 

美鈴「ヲ級?」

 

町井田「深海棲艦の正規空母よ、鳳翔の様な軽空母以上の艦載機を一気に運用できる大型艦……」

 

麗美「瑞雲はマルチロール機だけど、純粋な対空戦闘は得意としていないわ……」

 

日向「瑞雲たちだけじゃ、押さえ切れそうに無いな」

 

暁「第六駆逐隊、出撃準備出来たわ!」

 

最上「突破された敵機は海上に出て、ボクたちで迎撃しよう!」

 

日向「そうだな、三式弾は準備出来てるか?」

 

 日向が、大型艦用の対空装備である三式弾を装着しようと確認したが、見当たらない。

 

最上「持ってきた分は、龍星鎮守府にあげちゃったみたいだよ!」

 

日向「そうか、金剛が戻ってくるまでは通常弾でやるしか無いな……」

 

 紅月鎮守府の艦娘たちは、海岸を離れて海上で敵航空機を迎撃するために出撃した。

 

 

 

 

 美鈴たちは、敵航空機の空襲を避けるため、町井田の輸送艦に搭乗していた。

 

町井田「この新造輸送艦のミディアなら、多少の攻撃では沈まないわ」

 

麗美「この海域に、この規模の航空部隊がいたなんて……」

 

美鈴「ウチの娘たちも、もうすぐ戻ってくる頃だと思います、なんとか耐えましょう!」

 

麗美「ヲ級がいるとわかっていたなら、加賀を連れてくればよかった……」

 

美鈴「加賀?」

 

麗美「ウチの鎮守府の正規空母艦娘よ、あの子がいれば制空権を奪われることなんか無かったのに……、私のミスだわ……」

 

 美鈴たちが、甲板で戦況を見守っていると、日向たちの瑞雲を突破した敵航空機が、約70機接近してくるとの情報が、日向からの無線で入った。

 

麗美「70機ですって!瑞雲隊は大丈夫なの!?」

 

日向「瑞雲隊はほぼ壊滅、完全に制空権は奪われた……」

 

町井田「ミディアからも対空射撃の支援をする!一機でも多く敵機を撃ち落とすのよ!!」

 

最上「ボクたちが突破されたら、提督たちが危ない……」

 

雷「深海棲艦の航空機なんて、加賀さんの艦載機に比べればたいしたことないわ!」

 

電「電の本気を見るのです!」

 

響「不死鳥の名が伊達じゃ無いところを、見せてあげるよ!」

 

暁「来たわ!第六駆逐隊の力を見せてやるわよ!!」

 

 紅月鎮守府の艦娘たちは、海上で敵航空機の迎撃を始めた。

 

 

 

 

    ドォォン ドォォン ズダダダダダ

 

 紅月鎮守府の艦娘たちが、高角砲や機銃で敵航空機へ対空砲撃を行っている。

 

暁「落としても落としても、次々に来るわ!」

 

電「はわわ、このままじゃ突破されちゃうのです!」

 

日向「町井田中尉のミディアからの支援砲撃も来ている、まだ諦める時じゃ無い!」

 

最上「龍星鎮守府のみんなも、もうすぐ来てくれるはずだよ!」

 

雷「司令官には私がいるの、絶対に助けるわ!」

 

響「司令官の信頼に応えるためにも、やってやるさ!」

 

 龍星鎮守府を守るため、後方に控える麗美提督や仲間たちを守るため、敵航空機からの爆撃や雷撃に耐えながらも、必死に対空射撃を行う紅月艦隊。

 

 しかし、約70機の敵航空機をすべて仕留める事は出来ず、約30機が紅月艦隊の対空射撃を切り抜け突破してしまう。

 

町井田「やっと再建した龍星鎮守府を、こんなところで壊滅させるわけにはいかない!」

 

町井田「ミディアは戦闘艦では無いが、航空機程度なら落とすことは出来るはずだ!!」

 

町井田「全機銃、敵航空機をこれ以上近づけるな!撃てぇぇぇ!!」

 

 町井田の号令により、ミディアに装備された数十の機銃が一斉掃射される。

 

美鈴「すごい弾幕だ……」

 

麗美「でも、まだ落としきれないわ……」

 

 ミディアによる機銃の一斉掃射で、5機ほどの敵航空機を撃墜したが、まだ健在の敵航空機がミディアへ攻撃を仕掛けようとしてきた。

 

 

 

 

 その時、龍星鎮守府から4発の砲弾が敵航空機へ向けて飛翔してきた。

 

 敵航空機は、難なく砲弾を回避したかと思ったその時、突然砲弾が炸裂し敵航空機10機ほどが火に包まれた。

 

金剛「Burning Love!!」

 

 その砲弾は、艤装を装着し補給された新兵器である三式弾を、鎮守府の高台から放った金剛によるものだった。

 

金剛「さぁ、私たちの出番ネ!Follow me! 鳳翔、ついて来て下さいネー!」

 

鳳翔「鎮守府も提督たちも、やらせるわけにはいきません!」

 

 そう言うと、金剛の横にいた鳳翔が艤装の弓を引き絞り、一本の矢を放った。

 

 鳳翔から放たれた矢は、空中で青白く光った後灰色のプロペラ機へと姿を変える、鳳翔の艦載機である『零式艦戦21型』である。

 

 鳳翔から放たれた『零式艦戦21型』は11機であり、敵航空機は約15機、数では若干劣ってはいたが、幾たびの対空砲撃を受けてきた敵航空機に対し、鳳翔の艦載機は発艦したばかりである。

 

    ズガガガガ ズガガガガ

 

 『零式艦戦21型』の機銃が、的確に敵航空機を打ち抜き次々と敵航空機を撃墜していく。

 

金剛「さすが鳳翔の艦載機!Niceな戦果デース!」

 

 撃墜されていく敵航空機たちの爆煙を見た金剛は、鳳翔を褒め称える。

 

鳳翔「まだです!艦載機からの報告によると1機撃ち漏らしたみたいです!!」

 

金剛「Oh……!提督が危ないデース!!」

 

 

 

 

麗美「鳳翔の艦載機が全部やつけてくれたかしら?」

 

町井田「煙でよく見えないわね……」

 

 輸送艦の甲板で、戦闘の様子を見ていた美鈴たちは、敵艦載機の爆煙で視界が塞がっていた。

 

    ギュゥゥゥン

 

 美鈴が上空を見上げていると、プロペラ機とは違う独特の飛行音が聞こえてきた。

 

美鈴「敵の飛行機が来る!みんな早く船の中に逃げて!!」

 

 敵航空機の接近にいち早く気がついた美鈴は、麗美や町井田たちに避難するように叫んだ。

 

 上空の爆煙が薄くなった時、敵航空機の1機がミディアの直上に迫っていた。

 

麗美「何ですって、可怜!隠れるのよ!!」

 

町井田「麗美!近くの物陰に隠れて!!」

 

 敵航空機は、爆弾の投下用意をしながらミディアの直上から急降下してきた。

 

 

 

 

天龍「くそっ、まだここからじゃ届かねぇ!!」

 

深雪「輸送艦には美鈴たちがいるんだ!!」

 

白雪「あの爆撃機の爆弾が投下されてしまったら……」

 

雪風「しれぇぇー!!!」

 

 射程距離の関係で、金剛たちのように対空攻撃に参加出来なかった天龍たちは、艤装を装備してから海岸へ急行中であった。

 

 爆撃タイプの敵航空機がミディアの直上に急降下しているのを確認したが、未だに有効射撃距離には到達していなかった。

 

 

 

 

美鈴「あれは、爆弾?あんなのを落とされたら、甲板のみんなが死んじゃう……」

 

 敵航空機が投下準備している爆弾を見た美鈴は、瞬時に投下された時の被害が目に浮かんだ。

 

美鈴「町井田さんも、麗美さんも、私にとって大切な仲間なんだ!!」

 

美鈴「私は、あの頃の弱い私じゃ無い!! 目の前の大切なモノは守って見せるって、あの日に決めたんだ!!」

 

 美鈴は、なんとか爆弾から仲間を守ろうと、1人で駆け出した。

 

麗美「メーリン!?」

 

 麗美は、美鈴を見てとっさに後を追いかけようとする。

 

町井田「ダメ!麗美、危ないわよ!!」

 

麗美「でも、メーリンが!!」

 

町井田「美鈴!早くどこかに身を隠すんだ!!」  

 

 町井田は、麗美を抱き止めると、美鈴に向かって叫んだ。

 

 

 

 

美鈴「空を飛べたら、あんな爆弾を落とされる前になんとか出来るはずなのに……」

 

美鈴「それが出来ないなら、爆発される前に打ち返す!!」

 

美鈴「それも無理なら、私がみんなの盾になる!!」

 

美鈴「私は、紅魔の龍!! 門番の紅美鈴だぁぁ!!!」

 

 美鈴が叫んだ途端、美鈴の体の周りに色鮮やかな光が現れる。

 

美鈴「この一瞬で良い!私の力よ目を覚ませぇぇぇ!!!」

 

 光は徐々に大きくなり、美鈴の体全体を覆い尽くしていく。

 

 

町井田「あれが、噂の『気』の力なの?」

 

麗美「目覚めぬ龍が、目を覚まそうとしている……」

 

 美鈴の様子を見守っていた町井田と麗美も、美鈴の体を覆っている光に気がついていた。

 

 

 

 

 眠っていた『気』の力を目覚めさせた美鈴は、手を強く握り『気』を集中する。

 

 敵航空機は、急降下中に美鈴に危険を感じ、爆弾の投下目標を美鈴に定める。

 

美鈴「行くぞぉ!!」

 

 美鈴は、敵航空機に向かって大きく飛び出した。

 

 敵航空機は、爆弾を投下し方向転換しようとする。

 

美鈴「こんな爆弾、落とさせるか!!」

 

 美鈴は、両手で爆弾を受け止める。

 

 

金剛「て、提督が、空を飛んでマース!!」

 

鳳翔「一体何が起こっているのでしょう?」

 

 

深雪「あれは、初めて会った時に、美鈴がイ級をやっつけたときの力だ!」

 

天龍「な、なんだってんだ!!」

 

白雪「不思議な力……」

 

雪風「暖かさを感じます!」

 

 

日向「あの光は何だ?」

 

最上「あれって、美鈴提督だよね?」

 

響「ハラショー……、こいつは力を感じる」

 

雷「何が起こっているの!?」

 

電「はわわわ」

 

暁「すごいキラキラしてる……、あれがレディーなの?」

 

 

町井田「間違いない、これが美鈴の言っていた『気』の力だ!!」

 

麗美「虹色のオーラを纏った、紅い龍……」

 

 

 周囲の皆が、美鈴の一挙一動を見守っている。

 

美鈴「この爆弾は、持って帰ってちょうだい!!」

 

 美鈴は、撤退しようとする敵航空機に向かって爆弾を投げ返す。

 

    ドガァァン

 

 爆弾は、すでに100メートル以上離れた所へ撤退していた敵航空機と衝突して爆発した。

 

美鈴「よかった、みんな無事だ……」

 

 敵航空機部隊の全滅を確認した美鈴は、突然体を覆っていた『気』が消滅し、気を失って落下を始める。

 

麗美「メーリン!!」

 

 美鈴が落下を始める前に、何かを察したのか麗美が美鈴の落下する地点に向かって走り出していた。

 

町井田「海に落ちるぞ!救助隊、急ぐんだ!!」

 

 美鈴の落下方向から、海面に落ちると判断した町井田は、救助隊にボートの準備を急がせた。

 

 

 

 

天龍「あのままじゃ、美鈴が海面に叩き付けられるぞ!なんとか受け止めるんだ!!」

 

 鎮守府から駆けつけていた天龍たちは、海上まで来ており、美鈴の落下地点のすぐ近くまで到達していた。

 

白雪「あの高さから落ちてきたら、司令官が大怪我しちゃうわ」

 

深雪「今回は、深雪さまが助ける番だぁぁぁ!!」

 

雪風「雪風も、しれぇを助けます!!」

 

 天龍たちは、4人で距離をとりながら慎重に美鈴の落下地点を見定める。

 

天龍「来るぞ!深雪の近くだ!!」

 

深雪「美鈴!!」

 

 深雪は、美鈴が落下してくる地点に移動して身構える。

 

深雪「深雪さまが、受け止めてやるぜぇー!!」

 

 深雪は、美鈴に向かってジャンプして空中で美鈴を抱きかかえる。

 

深雪「よっしゃ!」

 

    ズボーン

 

 深雪は、そのままお尻から海面に落下する。

 

深雪「いっつつつつ……、美鈴は無事か?」

 

 深雪が美鈴をのぞき込むと、まだ意識は失ったままだが怪我はなさそうであった。

 

麗美「メーリン!メーリンは無事なの!?」

 

 深雪が海面に落下した直後に、麗美が泳いで近づいてきていた。

 

天龍「大丈夫だ、深雪が上手く受け止めてくれたから、落下による怪我は無いぜ」

 

天龍「ところで、紅月提督こそあの輸送艦から飛び込んできたのか?」

 

麗美「えっ?輸送艦?」

 

 麗美は、振り返り輸送艦を見上げると、海面から20メートル以上ある甲板から町井田がのぞき込んでいた。

 

麗美「うそっ、あんな高いところから私は飛び込んできたの? しかも私は、泳ぎは苦手なのよぉ~」

 

 美鈴の無事を確認して安心した麗美は、力が抜けるような声を出しながら急に溺れ始めた。

 

天龍「うおっ!なんで急に溺れてるんだよ!!」

 

 天龍は、麗美を抱きかかえると、美鈴を抱きかかえた深雪と一緒に海岸へ戻って行った。




 私の記憶が確かなら、前回の後書きで「しばらく戦闘は無いかもしれません」と言っていたにもかかわらず、深海棲艦の空襲という戦闘ありましたね……

 今回も、美鈴は『気』の力を一時的に目覚めさせていますが、空も飛んでいますし第1話の時以上に『気』を扱えている感じです。

 書いていて思ったのですが、気を失った成人女性が上空から落ちてくるのをキャッチして助けられるってあり得ないかとも思ったのですが、「艦娘ってすごいな」って事で、そこのところはよろしく頼みます(笑)
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