天龍「くそっ!無線が途切れちまった!!」
深海棲艦の艦隊を発見した金剛隊は、龍星鎮守府と交信中、突然無線機の電波状況が悪くなり交信不能になってしまった。
深雪「軽空母ヌ級に、戦艦ル級がいるんだぞ、支援要請が出来なくなったらヤバくないか?」
白雪「でも、ある程度は通じていましたよね?」
無線がつながらなくなった事で、困惑する艦娘たち。
金剛「Not a problem!心配いらないネー!!」
金剛は、あえて明るく艦娘たちに声をかける。
金剛「どうせ、戦闘になれば無線封鎖ですし、無線が途切れたとすれば鳳翔に偵察機を送らせるはずデース!」
天龍「たしかに、金剛の言うとおりだな」
雪風「大淀さんなら、きっと気づいてくれるはずです!」
深雪「そうだよな!!」
金剛の一言によって、金剛隊の艦娘たちは冷静さを取り戻す。
金剛「敵はこっちに気づいていないネー、なら私がDecoyになるので、みんなでヌ級をやっつけるデース!」
金剛は、自らを囮にして水雷部隊でヌ級に奇襲をかけるように提案する。
白雪「しかし、それでは金剛さんが危険では!?」
金剛「ふっふー、私は超弩級戦艦デース!簡単にはやられないネー!!」
金剛は、自信たっぷりに白雪に宣言する。
天龍「大丈夫だ、白雪!金剛がやられる前にオレたちが敵を倒せば良いだけだぜ!」
天龍の強気な台詞に、金剛はウインクしながら右手を突き出し親指を立てる。
金剛「YES!さすが天龍、冴えてるネー!」
天龍「ふっ、たりめーだろ!天龍様は世界水準軽く超えてるからな!!」
そのころ美鈴と明石は、工廠の建造ドック前で妖精さんの報告を待っていた。
美鈴「たしか、妖精さんが教えてくれる建造時間で大体予想が出来るって聞いたけど、明石は詳しいですか?」
明石「一般的に言われるのは、1時間以内なら駆逐艦、1時間以上は巡洋艦、2時間以上で軽空母、4時間以上なら戦艦や正規空母と言われていますよー」
美鈴「なら二つとも、4時間以上なら大当たり?」
明石「戦艦や正規空母は確率が低いので、一つでも4時間以上なら超大当たりですよ!」
美鈴と明石が、建造ドック前で話し込んでいると、作業服を着た妖精さんが美鈴の下にやって来た。
作業服の妖精さん『1番ドックが約4時間、2番ドックが約1時間で完成しま~す!』
作業服を着た妖精さんの建造予定時間を聞いた美鈴と明石は、思わずハイタッチを交わす。
美鈴「4時間以上が出たよ!!」
明石「凄い、凄いですよ!本当に来ちゃいましたよ!!」
更に明石は、興奮収まらない様子で美鈴に声をかける。
明石「しかも、もう1人も巡洋艦クラスです、人手不足の鎮守府には嬉しすぎる戦力ですよ!!」
美鈴「完成までまだ時間があります、みんなに連絡しに行きましょう!」
そう言うと、美鈴は提督室の方向に走り出した。
明石「えっ、また走るんですか、げ、元気な人だなぁ~」
明石は、走り出した美鈴の後を追いかけた。
麗美からの指示で、鳳翔は金剛隊との通信が途絶えた地点の索敵を行っていた。
鳳翔「早く、金剛さんたちを見つけなければ……」
鳳翔は、全身から汗を吹き出しながら懸命に索敵を行っていた。
鳳翔「ん?この感じは……」
鳳翔は、北の方角から何かが近づいてくる気配のようなものを感じ、双眼鏡で北の方角を確認する。
鳳翔「……あれは、深海棲艦?」
鳳翔は、北の方角に、深海棲艦の小隊らしい艦影を確認した。
鳳翔「艦載機は出し尽くしているから、北に索敵は出せませんが、嫌な予感がするわね、一応報告しておいた方が良いような気が……」
その頃、龍星鎮守府の北東側海域で敵機動部隊と交戦に入った紅月艦隊と町井田は、日向と最上の奮闘も及ばず劣勢を強いられていた。
日向「さすがに、ヲ級とル級が複数いる状況は厳しいな……」
最上「おまけに、ヌ級と水雷戦隊までいるんだもん、冗談じゃないよ」
暁「日向さん、このままじゃやられちゃうわ!」
電「ここは、一旦引いた方が……」
戦闘経験の少ない第六駆逐隊の面々は、だんだんと弱気になってくるのが目に見えた。
なんとか耐えてはいたものの、制空権をとられた状況で、ヲ級2体とヌ級1体による艦載機の攻撃もだんだんと激しくなり、大きく損傷した艦娘はいないものの戦況は悪化していく一方であった。
その時、紅月艦隊に突然一本の無線が入る……
女性の声「なんや?えらいピンチな状況ちゃう?」
別の女性の声「待たせたわね、アウトレンジから決めてあげるわ!!」
無線の声を聞いた、第六駆逐隊の面々は歓喜の声を上げる。
暁「龍壌さんに、瑞鶴!来てくれたのね!!」
日向「ふっ、形勢逆転だな……」
紅月鎮守府から出撃していた援軍の第二艦隊が戦場に到着したのであった。
瑞鶴と龍壌の艦載機は、制空権を奪還すべくヲ級たちの艦載機と航空戦を繰り広げる。
突然の援軍に混乱する、敵機動部隊に第二艦隊の艦娘4名が突撃をしかける。
お団子ヘアの少女「みんなぁ~、艦隊のアイドルの登場だよ~」
青いロングヘアの少女「いよいよ私たちの出番ですね!」
ツーサイドアップの少女「ふぁぁ、まだ昼だよぉ~」
緑のリボンの少女「姉さん、戦闘ですよ、しっかりして下さい……」
先頭のお団子ヘアの少女が、次々と深海棲艦の水雷戦隊に攻撃を仕掛けていって、後ろに続く3名がバックアップして深海棲艦を倒していく。
響「あれは!?」
電「那珂さん、五月雨ちゃん、川内さん、神通さんなのです!」
雷「艦隊のアイドルと仲間たちね!」
暁「すごいわ……」
第六駆逐隊の4名は、思わず歓声を上げながら那珂たちに手を振っていた。
那珂「みんな~、応援ありがと~」
高速戦闘を繰り広げながら、第六駆逐隊の歓声に気がついた那珂は、笑顔で手を振り返す。
五月雨「那珂さん、危ない!!」
那珂の正面から敵の軽巡へ級が砲撃を仕掛けてきた。
那珂「握手や写真はいいけどぉ……」
那珂は、瞬時に身を翻してへ級の砲撃を回避する。
那珂「アイドルに攻撃は禁止なんだよ~」
那珂が、へ級に向けて指を振ると、後ろから那珂を追い抜いた神通が、右手の連装砲でへ級を撃ち抜いていた。
神通「那珂ちゃん、戦闘中に油断は禁物ですよ」
那珂「きゃはっ、神通ちゃん、いつもありがとー!」
到着した紅月第二艦隊を確認した町井田は、輸送艦ミディアの艦橋から戦況を確認していた。
町井田「瑞鶴と龍壌の艦載機で制空権は優勢と言ったところか、敵の水雷戦隊も川内型が壊滅させたようだし、そろそろ次の行動に移るべきか……」
町井田は、事前の作戦会議で麗美に指示されていた、龍星鎮守府へ反転するタイミングを見計らっていた。
ブー ブー ブー
そのとき、龍星鎮守府から緊急連絡が入った。
麗美「龍星鎮守府周辺で戦闘中の各隊に緊急連絡よ!」
深海棲艦をミディアに引きつけるために、龍星鎮守府で指揮を執っている事を隠していた麗美から全艦娘へ向けて緊急無線が入った。
雷「龍星鎮守府から?司令官はミディアに乗っていたんじゃ!?」
麗美がミディアに乗艦していると勘違いしていた第六駆逐隊の面々は若干の混乱をしていた。
麗美「広域に及ぶ戦闘指揮のため、私は龍星鎮守府に残っていたの……」
麗美は、雷の動揺した声に答えた後、要件を語り始めた。
麗美「目視による報告だけど、鳳翔が鎮守府北側に深海棲艦の小隊を発見したわ」
暁「北側ですって!?」
日向「龍星鎮守府への攻撃部隊か?」
麗美「まだ敵の規模も目的もわからないわ」
町井田「どうしますか?」
麗美「戦隊長クラスに事前の打ち合わせで示達した作戦を修正するわ!」
日向「こっちは、まだヲ級やル級が複数残っているから、戦力はそれほど割けそうにないが……」
麗美「承知しているわ、とりあえず日向と最上の2人はその海域に残って第二艦隊と合流し敵を押さえてもらうわ」
日向「了解だ」
麗美「そして、第二艦隊の那珂と五月雨、第六駆逐隊のうち1名を鎮守府北側の偵察に向けたいのだけど、誰かお願い出来るかしら」
雷「司令官のお願いなら、私が助けるわ!」
電「電も頑張るのです」
響「不死鳥に任せて欲しい」
麗美の依頼に次々と名乗りを上げる3名、しかし暁のみは下を向いて何か思い悩んでいた。
麗美「それじゃあ、3人のウチの誰かに向かって欲しいのだけど……」
麗美が3人のから誰かを選ぼうとしている時、突然暁が割り込んできた。
暁「司令官、来たの艦隊は規模も不明と言うことは、危険な任務になるかもしれないのよね?」
麗美「そうね、偵察が目的ではあるけど突発事態があれば危険なことは予想されるわ……」
麗美が暁の問いに答えると、暁は言葉を続けた。
暁「レディーとして、いや姉として妹たちに危険な思いをさせる訳にはいかないわ、司令官!私が行くわ!!」
町井田「なるほど……、私も暁が良いと思います」
いつになく真剣で決意に満ちた暁の目を見た町井田は、麗美に進言した。
雷「だめよ、私が司令官を助けるんだから!」
突然割り込んできた暁の両肩をつかんで、雷が暁に文句を言う。
暁「雷の気持ちだってわかるけど、貴女たちには誰も傷ついて欲しくないのよ!」
いつもは、少し弱気なところもあり、妹たちに振り回されがちな暁が一歩も引かずに雷に対峙する。
電「ふたりとも、ケンカはダメなのです……」
響「ところで司令官、残りの3人とミディアは何をするんだい?」
互いに一歩も引かない暁と雷の様子を見た響は、麗美に問いかける。
麗美「ミディアは、龍星鎮守府へ帰還してもらって鎮守府の防衛を、残りの3人も鎮守府の防衛と、他の艦隊のバックアップをお願いしたいの」
響「なるほど……」
麗美の返答を聞いた響は、暁に掴みかかる雷を制し、雷をたしなめる。
響「雷、司令官の指示を聞いたかい、司令官を助けるなら、司令官の側で助けたら良いんじゃないかな?」
雷「司令官の側で……」
響の問いかけに雷は、掴んでいた暁の肩から手を離す。
雷「わかったわ、ここは暁に譲ってあげるからしっかりやって来るのよ!」
暁「ふふ、雷もしっかり司令官を守るのよ!」
一触即発の状態だった2人は、即座に和解した。
雷が軽く手を振り、暁から離れると響が急に暁に抱きついた。
暁「ひ、響!?」
響「少しはお姉さんらしいこと言うじゃないか、見直したよ」
暁「生意気でも大事な妹だからね……」
そう言うと、暁も響を抱きしめかえす。
響「きっと暁は危険な所に行くと思うけど、不死鳥の加護が守ってくれるから必ず帰ってくるんだよ」
暁「私たちや、龍星鎮守府のみんなために鎮守府のことは頼んだわよ!」
暁と響は、互いの背中を軽くたたき合うと互いに向き合って堅く手を取り合った。
そのころ美鈴は、高台で索敵を続けている鳳翔を見つけた。
美鈴「あっ、鳳翔さーん!」
駆け寄る美鈴に気がついた鳳翔は、ゆっくりと美鈴の方へ振り向いた。
鳳翔「て、提督!?」
美鈴「す、凄い汗じゃないですか!大丈夫ですか?」
鳳翔「提督こそ、お体はもう大丈夫なのですか?」
美鈴「私は休ませてもらいましたし、もう大丈夫ですよ!」
笑顔で答える美鈴に、鳳翔は安堵した表情を見せる。
鳳翔「そうでしたか、実は今、少し厄介な事態になっていまして……」
美鈴「明石から少し聞きました、深海棲艦の艦隊ですよね」
鳳翔「はい、そして今、金剛さんたちが鎮守府の南西で戦闘中なのですが、無線が途絶えてしまって艦載機で捜索中なのですが見つからず、更に鎮守府の北方面に新たな艦隊を発見してしまいまして……」
美鈴「なんですって!みんなは無事なんですか?」
鳳翔「無事であると信じていますが……」
美鈴「くっ、私の『気』が万全なら少しはみんなの手助けが出来るのですが……」
美鈴が自分の無力さを悔やんでいると、鳳翔の無線機に麗美からの通信が入った。
麗美「鳳翔、さっき報告を受けた北方面の艦隊は紅月艦隊で対応するわ」
鳳翔「はい、わかりました」
麗美「鳳翔は、金剛たちの捜索に集中してくれていいわ」
鳳翔「ありがとうございます、金剛隊の位置はまだ不明ですが、一つだけ良い報告が出来ました」
麗美「良い報告?」
鳳翔「はい、今から代わりますね」
そう言うと、鳳翔は無線のマイクを美鈴に手渡す。
美鈴「紅月准将、紅美鈴復帰しました!」
麗美「えっ!めーりん!?」
数日は寝たきりになるであろうと思っていた美鈴が、突然鳳翔の無線機から元気な声を聞かせてきたことに麗美は驚きを隠せない様子であった。
夏も終わりを告げ、秋がやって来るといういうような気候になってきました。
今回は、何かとお気に入りのあの軽巡姉妹が登場し何かとお気に入りのあの駆逐艦姉妹長女の心の成長を描いてみたつもりです。
本家、『艦隊これくしょん』でのケッコンカッコカリ艦は金剛ですが、深雪も雪風も天龍……etc.
何かとお気に入りの魅力的な艦娘が多いですねぇ……