華人小娘と愉快な艦娘たち   作:マッコ

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第29話 再会する姉妹

深雪「金剛さんの所には、まだ着かないのかよぉ~」

 

雪風「零戦の妖精さんを信じて、ついて行きましょう!」

 

白雪「金剛さん、どうかご無事で……」

 

天龍「オレたちが着くまで諦めるなよ!」

 

 龍星鎮守府の南西方面に出撃中の天龍たちは、金剛との合流のため先導する零戦21型の後を追っていた。

 

    『セントウキ ヒダン ツイラク』

 

 先導する零戦21型の妖精さんは、金剛を支援中の機体からの連絡を天龍たちに発光信号で知らせ続けている。

 

天龍「鳳翔さんの艦載機が墜とされた!?」

 

深雪「金剛さんは無事なのかよぉ」

 

白雪「うぅっ……」

 

 零戦21型が1機撃墜された報告を受け、天龍たちが戸惑う中、隊列の最後尾にいた雪風は西方面に何かの気配を感じた。

 

雪風「皆さん、西の方から何かが近づいてくるような気配がします……」

 

 雪風の報告に、天龍が電探を確認する。

 

天龍「ん?オレの電探には反応は無いぜ」

 

深雪「ん~、特に何も見えないなぁ」

 

 深雪も、目をこらしながら西方面の索敵を実施するが敵影などの発見には至らなかった。

 

白雪「海鳥でもいたのでしょうか?」

 

雪風「う~ん、はっきりはしませんがもっと大きなモノの気配がしたのですが……」

 

 雪風も双眼鏡で確認したが、西方面には特に何も発見することは出来なかった。

 

雪風「すみません、勘違いかもしれません」

 

深雪「雪風の勘の良さには助けられてるから、何かはありそうだね」

 

天龍「金剛の救出が最優先だけど、また何か気がついたら教えてくれよ」

 

雪風「はい!」

 

 深雪と天龍は、雪風の直感を信用しているものの、今は目の前の金剛救出が最優先であったため、これ以上の索敵をせずに金剛が戦闘中の海域へ急行することとした。

 

雪風「(敵影は見えませんが、何だか嫌な予感がします……)」

 

 雪風は、再度双眼鏡で西方面を確認した後、天龍たちの隊列に合流して金剛救出へと向かった。

 

 

 

 

    ズガガガ ズガガガ

 

 金剛を援護している零戦21型の小隊は、ル級の激しい対空砲火のため更に2機を撃墜されながらも、深海棲艦の戦艦ル級を牽制し続けていた。

 

金剛「妖精さんたち、この恩は忘れないネ……」

 

 中破状態の金剛は、小破程度のル級との決戦に挑むためル級の隙を狙っていた。

 

 思うように動くことが出来ない金剛にとって、装甲や火力で上回るル級と真正面からぶつかるのは無謀であることは明らかだからである。

 

 ル級近くの海面には、ル級に撃墜された零戦21型を操縦していた妖精さんが2人海面に漂っている。

 

金剛「何とかして、あの妖精さんたちも救助したいデス……」

 

 金剛が、海面の妖精さんたちの救助を考えていると、すでに金剛に救助されていた妖精さんが金剛に声をかけてきた。

 

妖精さん『コンゴウ ボートヲ カリテモ イイカナ』

 

金剛「ボート?救命ボートデスか?」

 

 元々軍艦である艦娘の艤装には、艦船時代の名残で妖精さんサイズの救命ボートや浮き輪が内蔵されていた。

 

金剛「でも今はまだ戦闘中、今救命ボートを出すのはDangerデス」

 

妖精さん『スグニ シュウヨウシテ モドルカラ』

 

 妖精さんは、すでに両脇に浮き輪を抱えており準備万端であった。

 

金剛「う~ん、確かにこのままにしておいたらあの妖精さんたちが溺れちゃいますシ、ワタシも妖精さんが気になって、思い切り戦えないかもしれないデスネ……」

 

 金剛は、条件付きで妖精さんの提案を許可することとした。

 

金剛「わかりましタ、ただし3分以内に救助して戻って下サイ」

 

 金剛の条件に、妖精さんは敬礼で答えると、すぐさま海面に救命ボートを投下した。

 

 

 

 

 美鈴と明石は龍星鎮守府の提督室に戻り、麗美や大淀と共に戦況を確認していた。

 

麗美「北東方面の艦隊は、日向や紅月鎮守府からの増援艦隊で概ね撃破したみたいね……」

 

大淀「あれだけの部隊をこの短時間で撃破するとは……」

 

明石「さすが東洋のカリスマの主力艦隊ですね……」

 

 日向からの報告で、北東海域の深海棲艦主力部隊の撃破に成功した事を確認した一同は、戦況を再確認する。

 

美鈴「あの~、状況がよく分からないのですが……」

 

 現在の戦況をいまいち把握出来ていない美鈴は、恥ずかしそうに状況を尋ねる。

 

大淀「紅月艦隊が交戦していた北東方面には、戦艦ル級と空母ヲ級がそれぞれ8体、その他巡洋艦クラス約20体、駆逐艦クラス約30体の主力艦隊を確認していました」

 

明石「その大艦隊を、日向と最上、増援の瑞鶴、龍壌、川内、神通の6人で壊滅させたって事ですね」   

 

美鈴「えぇっ!10倍の敵を打ち破ったのですか!?」

 

 美鈴は、大淀と明石の説明を聞いて驚愕する。

 

麗美「問題ないわ、ウチの主力は練度が違うからね」

 

明石「確かに川内型の全員と龍壌は改二になっていますし、瑞鶴は改二の上に甲装備ですもんね」

 

大淀「日向と最上も航空化して練度も極めて高いですから、ただの1個艦隊とは思えないほどの戦力ですね」

 

美鈴「改二?甲装備?」

 

 美鈴は聞き慣れない単語に戸惑っていたが、麗美たちはその後も美鈴の知識ではついて行けない会話を繰り広げていた。

 

 

 

 

那珂「提督ー!那珂ちゃんから重大発表だよー!!」

 

 突然、北方面の索敵を行っていた那珂から緊急の無線が入る。

 

麗美「那珂、何か発見したのかしら?」

 

那珂「先行していた五月雨ちゃんが、深海棲艦の艦隊を発見したよー!」

 

麗美「数はどのくらいいるか分かるかしら?」

 

 那珂の報告を受けた麗美は、深海棲艦の規模を確認する。

 

那珂「う~ん、はっきりした数は分からないんだけど、センターにはヲ級やヌ級の空母隊がいるみたいで龍星鎮守府に向かって来ているみたいだよ」

 

麗美「ウチの主力艦隊は、まだ北東方面の深海棲艦を討伐している最中だし、龍星鎮守府の艦隊も南西方面で戦闘中だから増援は厳しいわね……」

 

 麗美は、現状から那珂たちへの増援を検討するが龍星鎮守府周辺の艦隊は戦闘中の部隊以外には、鎮守府防衛のために帰還中の町井田中尉と響、雷、電のみである事を再確認した。

 

麗美「ここから見ての北方面に新設した基地航空隊に連絡をとれば、増援要請を出来るのだけど……」

 

美鈴「基地航空隊?」

 

 美鈴は、麗美が言う基地航空隊という言葉に反応した。

 

麗美「深海棲艦から奪還した無人島に新設した航空基地があるの、だけどまだ稼働までに時間がかかっているのよ」

 

美鈴「航空基地と言うことは、飛行機を飛ばせる施設があるんですか?」

 

麗美「そうね、メーリンにもわかりやすく言えば、空母の艦娘がいなくても艦載機を飛ばせると言えばいいかしら」

 

美鈴「それは便利ですね!」

 

麗美「航空基地の規模によっては、正規空母よりも多くの航空部隊を展開出来るのよ」

 

美鈴「ウチも欲しいですね~」

 

 美鈴は、麗美の話を聞くと、艦載機で索敵を行い疲労していた鳳翔を思い出し、航空基地があれば艦娘たちの負担を減らせるのでは無いかと考えていた。

 

 

 

 

 ル級と交戦中の金剛は、零戦21型7機の援護を受けながらボートに乗った妖精さんが海面に漂流中の妖精さんを救助する時間を稼ぐために注意を引きつけていた。

 

金剛「さぁ戦艦同士の一騎打ちデス、ワタシについてこれますカー」

 

    ドゴォォン

 

 金剛が主砲を発砲すると、零戦21型に気をとられていたル級は金剛の方に顔を向ける。

 

    ドボォォン ドボォォン

 

 金剛が放った36.5㎝連装砲の砲弾が、ル級の直近の海面に落ちて水しぶきを上げる。

 

金剛「さぁ、妖精さん今のうちに皆を助けるデース!」

 

 金剛は、ル級と目が合うとニヤリと笑みを見せながら主砲を構え直す。

 

    ズダダダ ズダダダ

 

 ル級が金剛に気をとられると、すかさず零戦21型7機が機銃を放つ。

 

    ぐぅぅぅぅ

 

 零戦21型の機銃では、ル級の装甲に傷を与えることは出来ないが、注意を引くことは十分に出来ている。

 

金剛「Good job!最高のAssistデース!」

 

 金剛は、この好機を逃すまいとル級に主砲と機銃の照準を合わせる。

 

金剛「仕留めます!全砲門!Fire!!」

 

    ドゴォォン ズダダダダダ

 

 金剛は、ル級に稼働可能な砲塔全てを集中し一斉砲火を仕掛けた。

 

    ぐぉぉぉぉん

 

 一斉砲火を受けたル級は、立ち上る黒煙の中で悲鳴をあげる。

 

金剛「Hitデース!」

 

 全弾命中の手応えを感じた金剛は、黒煙の中で倒れ込むル級の姿を確認した。

 

 

 

 

妖精さん『ヤッタネ コンゴウ』

 

 機体を撃墜されて海面を漂っていた妖精さんの救助を終えた妖精さんが、救命ボートに乗って金剛に近づいてくる。

 

金剛「妖精さん、今回収するネー」

 

 金剛はその場にしゃがみ込み、両手で妖精さんたちが乗る救命ボートを持ち上げる。

 

    ぐごぉぉぉ……

 

 その時、黒煙の中からうめき声が聞こえてきた。

 

金剛「まさか、まだ生きてたデスか!?」

 

 うめき声の正体がル級であると気がついた金剛は、慌てて救命ボートを腰部の艤装に乗せて黒煙に向けて主砲を構える。

 

金剛「仕留めたと思いましたガ、ワタシもダメージを受けてたから威力がダウンしてたのデスね……」   

 

 中破状態の金剛は、通常時に比べて攻撃力が低下していたため、ル級にトドメを刺すことが出来ていなかった。

 

 黒煙が晴れると、大破したル級が立ち上がっており、損傷した体を庇いながらも殺意に満ちた眼光を金剛に向けてきていた。

 

金剛「まさに手負いの猛獣ネ……、早く仕留めなけレバ……」

 

 金剛は再度主砲をル級に向け、とどめを刺すために照準を合わせた。

 

    カチャ カチャ

 

 金剛が36.5㎝連装砲を発射しようとしたとき、砲塔から砲弾が発射されず、艤装の動作音のみが響き渡った。

 

金剛「だ、弾薬切れデスか……」

 

 これまでの戦闘によって、金剛の燃料と弾薬は底をついてしまっていたのである。

 

 その事を知ってか知らずか、激怒したル級は金剛に向かって砲塔を向けてくる。

 

金剛「くっ、せめて妖精さんたちだけでも退避するデース!」

 

 金剛は、自身が離脱出来ないことを覚悟すると、救助していた妖精さんたちだけでも逃がそうと総員退避の指示を出す。

 

妖精さん『ソノ ヒツヨウハ ナイヨ』

 

 妖精さんは金剛の指示に、首を振りながら上空を指さす。

 

 

 

 

    ブロロロロォォォ

 

 龍星鎮守府の方角から、複数のエンジン音が近づいてくる。

 

金剛「この音は!!」

 

 エンジン音に気がついた金剛が上空を見上げると、雲の奥から8機の九九式艦爆が姿を現した。

 

金剛「あれは、鳳翔デスか!!」

 

 九九式艦爆隊は、高高度からル級に接近すると順番にル級に向かって降下する軌道を取り始めたが、ル級は目の前の金剛に気をとられていて九九式艦爆隊に気がつく様子は無かった。

 

    ブゥゥゥゥゥン ブゥゥゥゥゥン

 

 九九式艦爆隊はル級に接近すると、機体を海面から見て垂直に近い角度まで傾けて急降下を開始する。

 ル級は、その時初めて九九式艦爆隊の存在に気が付いた様子であった。

 

    ヒュゥゥゥゥン ヒュゥゥゥゥン

 

 しかし、その時にはすでに九九式艦爆隊が250kg爆弾を次々に投下していった。

 

    ぐぎゃぁぁぁ

 

 九九式艦爆隊の急降下爆撃を受けたル級は、上空に手を伸ばしてもがきながら海に沈んでいった。

 

金剛「か、勝ったデース……」

 

 ル級の撃沈を確認した金剛は、その場にへたり込むように両手をついて座り込む。

 

金剛「さすがにもう立てないネー」

 

 弾薬が切れた上、艤装の損傷によって自力航行が不能になってしまっている金剛は、その場から動くことも出来なくなってしまっていた。

 しかし、鳳翔の艦載機たちと合流していることもあり、じきに仲間が救援に来てくれるという安心感があった。

 

 零戦21型隊と九九式艦爆隊に護衛された金剛は、しばらく救助していた零戦21型の妖精さんと話をしていると、龍星鎮守府の方角から接近してくる艦娘の姿を発見した。

 

金剛「んー、鎮守府の方から誰か近づいて来るネー、鳳翔?いや、紅月鎮守府の艦娘でしょうカ?」

 

 近づいて来る艦娘は、まだ遠方にいるため金剛の肉眼では容姿がはっきり分からなかったが、海風に長い髪がなびいているのが見えた。

 

金剛「あのストレートのロングヘアーは、鳳翔でもないデスし、日向や最上でもないネ」

 

金剛「暁や響にしては、背が高いデスし……」

 

 金剛は、救援に来てくれたのであろう艦娘が誰なのか考えていたが、知っている艦娘たちは該当する者がいないことに気が付いた。

 

 

 

 

金剛「大人でロングヘアーといえバ……」

 

 金剛の脳内に1人の女性の顔が思い浮かぶ。

 

金剛「提督……?」

 

 段々と近づいて来る艦娘の姿を見ていると、その艦娘が黒髪であることが分かった。

 

金剛「うーん、提督は綺麗な赤い髪でしたシ、艦娘じゃ無いデスし……」

 

 金剛は、美鈴が舞空術を使って空を飛ぶ姿を見たことはあるが、人間が艦娘のように海上を航行出来るなどとは聞いたことが無い。

 

 金剛がそうこう考えているうちに、艦娘は声が届くぐらいの距離に近づいてきた。

 

 その艦娘は、金剛とほとんど同じ服装で、違いと言えばスカートの色が金剛の茶色と異なり赤色である位であった。

 

榛名「金剛お姉様ですね、私は榛名です」

 

 その艦娘は、榛名と名乗り立ち上がれなくなっていた金剛に手を差し伸べる。

 

金剛「榛名……、榛名デスか!そうネ、ワタシは金剛デース!!」

 

 金剛は、差し伸ばされた榛名の手を掴み笑顔で答える。

 

榛名「艦娘となり、またお姉様にお会いすることが出来るなんて、榛名、感激です!」

 

金剛「ワタシもデス、でもせっかくの再会なのにこんなカッコ悪いところを見せてしまって恥ずかしいデスねー」

 

 金剛は、中破した上、航行不能となっている自分の姿について苦笑いしていると、榛名は目にうっすらと涙を浮かべながら金剛に抱きついて来た。

 

榛名「提督や鳳翔さんからも、お姉様が立派に戦ったと聞いています、恥ずかしくなんてありません、金剛お姉様は榛名の自慢のお姉様です!」

 

 しばらくの間、抱きついて泣いていた榛名の頭を撫でていたが、ふとあることに気が付く。

 

金剛「ところで提督や鳳翔というと、榛名も龍星鎮守府に来たんですカ?」

 

榛名「はい、先ほど紅美鈴提督に建造していただきお姉様と同じく龍星鎮守府の艦娘として着任いたしました」

 

金剛「Wow! ワタシも榛名に会いたかったデスよー!!」

 

 金剛は、こらえていた涙を流しながら榛名を抱きしめ、姉妹の再会を心から喜んだ。




 私の住む北海道はすっかり気温も下がってきており、秋と言うよりはもうすぐ冬が始まると言うような感じがしています。

 先日、半纏を見かけて寒くなってきたし半纏を着ながら執筆というのも良いかなぁと思いついつい半纏を買ってしまい絶賛着用中ですが、艦娘たちも冬の日には半纏を着たりしている娘もいるのかなぁ~思う今日この頃です。
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