華人小娘と愉快な艦娘たち   作:マッコ

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第30話 新たなる脅威

    『コンゴウ テキカン ゲキハ』

 

 金剛の救援に向かう天龍たちを先導する零戦21型から、天龍たちに向けた発光信号が送られてきた。

 

深雪「金剛さん、1人で敵をやっつけたのか!?」

 

白雪「本当なのですか?」

 

 零戦からの発光信号に、天龍たちは驚きの声や歓声が沸き起こる。

 

天龍「さすが金剛だな、オレも負けていられないな」

 

 金剛が勝利したという報告に、一同は速度を緩めるが、雪風は最後方から速度を緩めずに進んでくる。

 

雪風「金剛さんは負傷しているんです、早く合流して鎮守府へ連れて行ってあげましょう!」

 

 若干気が緩んだ天龍たちは、雪風の声に気を引き締め直す。

 

天龍「雪風の言うとおりだ、金剛や撃墜された艦載機の妖精さんたちの救助に行くぜ!」

 

 天龍の指示により、深雪、白雪、雪風は隊列を組み直して零戦21型の後について行く。

 

 

    『キタイノ ネンリョウガ フソクシテキタ』

 

    『ワレワレハ イチド キトウスル』

 

 天龍たちを誘導する零戦21型から、機体の燃料が不足してきた事から鳳翔の下へ帰投するといった発光信号が入った。

 

白雪「零戦は帰投するみたいですね」

 

深雪「結構な時間飛行していたみたいだしな!」

 

   『コンゴウハ コノママ ヒガシノ チテン』

 

   『エングンノ カンムスニ エイコウサレ キカンチュウ』

 

 零戦21型は発光信号により、金剛が援軍の艦娘により鎮守府へ曳航されている事が知らせ、そのまま帰投するため鎮守府方向へ飛び去って行った。

 

天龍「援軍の艦娘って誰だ?紅月鎮守府の艦娘は北東方面に行ってるはずだし」

 

深雪「鎮守府にいて、航行出来る艦娘と言ったら鳳翔さんか?」

 

白雪「でも、鳳翔さんが来てるなら零戦は鎮守府じゃ無くて鳳翔さんのところに向かうはずよ」

 

雪風「一体誰なのでしょう?」

 

 無線機の不調で、榛名が建造されて金剛を曳航していることを知らない一同は、発光信号による数少ない情報で色々な想像をするのであった。

 

 

 

 

 榛名に肩を貸してもらう形で曳航されている金剛は、龍星鎮守府の目前まで来ていた。

 

榛名「金剛お姉さま、鎮守府が見えてきました」

 

金剛「ここまで来ればもう大丈夫ネ、榛名Thanksネー!」

 

 戦闘により中破している金剛は、痛みをこらえながらも榛名に笑顔を見せる。

 

金剛「すっかり榛名に頼ってしまいましたが、重くなかったデスか?」

 

榛名「はい、榛名は大丈夫です!」

 

 金剛は、懸命に曳航してくれた榛名に気遣うように声をかけると、榛名は笑顔で金剛に答えた。  

 

 金剛は榛名の頭を撫でると、榛名が所持していた無線機を借りて龍星鎮守府へ無線連絡を入れた。

 

金剛「Hey!提督ー、聞こえますカー?」

 

 少しの間を置いて、美鈴からの返事が聞こえてくる。

 

美鈴「こちら美鈴、金剛、無事なのね?」

 

金剛「Hi!だいぶボロボロにされたけど無事に帰ってきたネ!」

 

美鈴「もうすぐ鎮守府に着くのかしら?迎えに行くわね!」

 

金剛「Oh!到着したらワタシから会いに行くデース!!」

 

 美鈴の声を聞いて自然と笑みがこぼれる金剛の顔を見て、榛名も自然と表情が緩む。

 

金剛「ところで、まだ天龍たちとは連絡が取れないデスカ?」

 

美鈴「鳳翔さんの艦載機が天龍たちと別れてからは、まだ連絡がとれていないみたい」

 

 金剛は少し視線を落とすと、榛名の腰の艤装に風呂敷がくくりつけられていることに気が付いた。

 

金剛「ところで榛名、その風呂敷は何ですカ?」

 

榛名「ん……、あぁ明石さんから皆さんに差し入れと言われて渡されたおにぎりです」

 

金剛「Oh!にぎりデスか!!」

 

榛名「……おにぎりです、お姉さまの分も、天龍さんたちの分もありますよ」

 

 榛名は、風呂敷の中からおにぎりを1個取り出すと金剛に差し出し、金剛は両手でおにぎりを受け取った。

 

 

 

 

金剛「提督、ここまで来たらワタシは1人で鎮守府に帰れるネ、榛名にこのまま無線を持って行ってもらって、天龍たちと合流してもらうと良いと思うデース!」

 

美鈴「そうだね、さっき北方面に深海棲艦の艦隊を発見したという話もあるから、天龍たちとも連絡を取りたいし、榛名が問題なければお願いしたいわ」

 

 美鈴の無線を聞いた榛名は静かに頷き、金剛から無線機のマイクを受け取る。

 

榛名「はい、榛名は大丈夫です!」

 

美鈴「紅月准将の情報だと、そっちの方面にもヲ級っていう大型空母の深海棲艦がいる艦隊がいるらしいから油断しないでね」

 

榛名「敵空母……、鎮守府に近づけるわけにはいかないですね」

 

 空母と聞いた榛名が、一瞬表情をこわばらせながら答えるのを金剛は見逃さなかった。

 

金剛「さっき、戦った艦隊のヌ級とヲ級の誤認だとLuckyデスが、油断は出来ないネー」

 

美鈴「今朝の空襲は結構な規模だったから、ほぼ間違いなくヲ級がいると言うのが紅月准将の話だから、とにかく見つけたらすぐに連絡して欲しいわ」

 

榛名「はい、榛名、了解です!」

 

 美鈴との通信を終えると、榛名は無線機を艤装内に収納し金剛に顔を向ける。

 

榛名「本当は鎮守府までお送りしたかったのですが、榛名は天龍さんたちと合流するために西方面に向かいますね」

 

金剛「ここまで連れてきてくれなかったら、もう鎮守府に帰れないところだったデスが、榛名のおかげで助かったネ!」

 

 そう言うと、金剛は榛名から受け取ったおにぎりを手で半分に分けて、榛名に差し出す。

 

金剛「ワタシは鎮守府に戻って入渠するから、全部はいらないネ」

 

 榛名は、金剛に渡された半分になったおにぎりを受け取る。

 

金剛「榛名には、しばらくワタシの分も頑張ってもらうから食べれるうちに食べておいた方が良いネ!」

 

榛名「金剛お姉さまは優しいのですね、榛名にまで気を遣ってくれて」

 

金剛「それと、空母と戦うならこれが役に立つから、榛名に渡しておくネー」

 

 金剛は、艤装内に搭載していた三式弾を取り出して榛名に手渡す。

 

榛名「これは、三式弾ですね!」

 

金剛「それがあれば、榛名は敵の艦載機なんかに負けないはずデース!」

 

榛名「お姉さまも、どうかお気をつけて」

 

 榛名は、金剛から手渡された三式弾を受け取ると、天龍たちがいる南西方面へ向かった。

 

 

 

 

 そのころ、龍星鎮守府の北側海岸に町井田中尉の輸送艦ミディアと、響、雷、電が帰投していた。

 

町井田「こちら町井田、鎮守府北側の海岸に到着した」

 

 町井田が無線機で司令室に報告すると、大淀が応答する。

 

大淀「町井田中尉お疲れ様です、ミディアも響ちゃんたちも一度補給を受けて下さい」

 

町井田「了解した、艦娘たちには順次上陸許可を与えるが、ミディアはこの場で停泊する」

 

麗美「ミディアの乗組員も交代で休憩を取るのよ、これから忙しくなると思うから」

 

町井田「了解しました!」

 

 町井田は、ミディアの乗組員に三交代で休憩や軽食をとるように指示し、響たちにも交代で休憩を取るように指示を出した。

 

響「麗美司令官から、交代で休憩を取るように指示が出たみたいだね」

 

電「皆さんは、まだ戦っているのに私たちだけで休憩していて良いのかな……」

 

雷「私たちの仕事はこれからよ!司令官はそれまで休んでおけって言いたいのよ!!」

 

電「でも、暁ちゃんたちも、伊勢さんたちも、金剛さんたちだってまだ戦場で戦っているのです……」

 

 電は、仲間が戦場にいるのにも関わらず、自分たちだけが鎮守府で休憩を取ることに抵抗を感じていた。

 

 響はこの状況を町井田に相談すると、町井田は私物のスマートフォンでどこかに連絡を入れた後、電にスマートフォンを手渡した。

 

電「えっ、町井田さんのですか?」

 

町井田「えぇ、貴女にある人から電話が来ているわ」

 

 電は、町井田の言葉に頷くとスマートフォンを受け取った。

 

電「は、はい、どちら様でしょうか?」

 

 電が恐る恐る電話に応じると、聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

麗美「電、私よ怖がらなくてもいいわよ」

 

電「し、司令官!」

 

 

 

 

 町井田のスマートフォンから、聞こえてきた麗美の声に驚く電の様子を確認しながら、麗美は言葉を続けた。

 

麗美「皆が戦場にいるのに、自分が休憩していちゃ悪いと思って悩んでいるって聞いたわよ」

 

電「は、はい……」

 

麗美「それじゃあ、私の言うことも聞いてくれないのかしら……」

 

電「そ、そんなつもりじゃないのです」

 

 麗美の少し意地悪な質問に、電は泣きそうな声で答える。

 

麗美「ちょ、ちょっと泣かないで」

 

電「ちょっと意地悪なのです……」

 

麗美「それなら、私から別のお願いがあるのだけど良いかしら?」

 

電「別のお願いですか?」

 

 麗美の申し出に小首をかしげる電の横で、漏れ聞こえてくる麗美の声に興味津々といった様子で耳を傾ける雷がいた。

 

雷「司令官のお願いって何かしら?」

 

響「雷、人の話を盗み聞きなんて行儀が悪いよ」

 

 隣で聞き耳を立てる雷に気が付かない電は、そのまま麗美との会話を続けている。

 

麗美「今、この島の西方面から金剛が撤退してきているの」

 

電「龍星鎮守府の皆さんがやられたのです?」

 

麗美「金剛は仲間の被害を減らすために、自ら囮になって深海棲艦を引きつけてル級を含めた5体の深海棲艦をたった一人でやっつけたの」

 

電「本当ですか?確か金剛さんは、改二どころか改にもなっていないはず……、凄いのです!」

 

麗美「でも、その時の激戦で艤装を損傷してしまったうえ、弾薬も尽きてしまってボロボロになりながらたった一人でこの島へ向かっているわ」

 

電「龍星鎮守府の皆さんは、司令官にとっても電たちにとっても大切な仲間なのです、助けに行きたいのです!」

 

麗美「あら、それは助かるわ!でも、金剛は超弩級戦艦の艦娘だし、駆逐艦1人で曳航は厳しいのよね……」

 

 麗美と電との会話に聞き耳を立てていた雷は、電の肩に手をかける。

 

電「えっ、雷ちゃん?ビックリしたのです」

 

 急に肩を掴まれて驚く電に対し、雷は右手の親指を立てて笑顔を見せる。

 

雷「当然よね、助けるわ!」

 

電「わわっ、聞いていたのです?」

 

 麗美との電話に集中していた電は、不意に視界に雷が現れた事と、麗美との会話の内容を聞かれていたことに驚いていた。

 

 

 

 

美鈴「紅月准将、金剛を出迎えるためのご協力ありがとうございます」

 

 提督室で電との電話を終えた麗美に、美鈴が深々と頭を下げて感謝すると、麗美はさも当然といった表情で窓から屋外を見つめながら答える。

 

麗美「金剛はこの鎮守府での最大戦力よ、少しでも早く修理をして戦線に復帰してもらう必要があるのよ」

 

 麗美の少し冷たい感じの表情と言葉に、美鈴は若干の恐怖を感じながらも

 

美鈴「(戦争で人の上に立つと言うことは、こういうドライな決断力も必要なのかな……)」

 

 などと考えていると、麗美が美鈴の方に顔を向けながら表情を崩す。

 

麗美「と言うのはただの建前!金剛はそんなに高練度の娘でもないのにたった一人で頑張ったのよ!!」

 

 急に声のトーンが上がり、二人で談笑している時の声色になっていた。

 

麗美「鳳翔の援護があったとはいえ、戦艦も含めた5体の深海棲艦を負傷しながら倒したなんてヒーローじゃない!」

 

美鈴「確かにそうですね!」

 

麗美「そんなヒーローが足を引きずりながら帰って来るのよ、ちゃんと出迎えてあげるのが筋ってものじゃない!」

 

美鈴「私も迎えに行かなくちゃ!!」

 

 明石と大淀は、盛り上がる美鈴と麗美を見ながら小声で会話をする。

 

明石「金剛さんは女性だから、ヒーローとは言わないんじゃないかなぁ……」

 

大淀「戦果を考えると、英雄や勇者という意味では良いと思うけどね」

 

明石「でも、ヒーローって言うと男性の事を指すんじゃないかなぁ……」

 

大淀「それなら、暁ちゃんが言うところのレディーと言えば良いかしら?」

 

明石「レディーと言うのもちょっと……」

 

 戦闘が継続し、緊張感が漂っていた提督室の空気が、奮戦して戦果をあげた金剛が間もなく帰還するという安心感からか和んでいた。

 

    ブー ブー ブー

 

 その時、提督室の無線機に緊急連絡を告げる警報音が鳴り響く。

 

大淀「はい、こちら龍星鎮守府提督室の大淀です」

 

那珂「こちら那珂です、紅月提督に緊急連絡です!」

 

 

 

 

 無線の声は那珂であった、那珂の声は普段のアイドルらしい明るい声では無く真剣な様子であった。

 

那珂「偵察中の深海棲艦の艦隊が、龍星鎮守府に向けて艦載機を次々に発艦させているよ!!」

 

 那珂と五月雨、暁の3名は深海棲艦の艦隊と龍星鎮守府の間に展開し、龍星鎮守府へ向かう艦載機の迎撃を開始していた。

 

麗美「くっ、動きが速いわね……、艦隊の規模は分かるかしら?」

 

五月雨「偵察した感じなのですが、正規空母のヲ級2体、軽空母ヌ級3体、重巡を旗艦とした水雷部隊も複数発見しています!」

 

 先行し偵察を行っていた五月雨が、麗美におおよその敵艦隊の規模を報告する。

 

美鈴「榛名に連絡をとって、迎撃に向けましょう!」

 

麗美「そうね、大淀!連絡をとってくれるかしら」

 

大淀「はい、了解しました」

 

 美鈴と麗美の指示を受けた大淀は、無線で榛名を呼び出すが、何度呼び出しをしても榛名の応答は無かった。

 

美鈴「また無線機の故障ですか?」

 

麗美「いや、榛名が持っている無線機は、本来美鈴が使う指揮官用の無線機なのよ!普通の無線機よりも性能も耐久性も高いからそう簡単に壊れるものではないはすよ!」

 

大淀「榛名の予想地点は、ちょうど金剛や天龍たちと通信が途絶えたあたりですね」

 

美鈴「どういうこと?」

 

麗美「これは無線機の故障じゃ無くて、外的要因がある可能性があるわね……」

 

美鈴「まさか、深海棲艦が無線機を使えなくしていると?」

 

麗美「妨害電波の類いの可能性は考えられるわ……」

 

 麗美は、深海棲艦の組織的な行動に対して何か嫌な予感がしていた。

 

美鈴「とにかく、艦載機を迎撃する必要がありますね」

 

麗美「鳳翔とミディアに連絡をとって、迎撃の準備を!」

 

 麗美は大淀に指示を出しながら、迎撃プランを考えていた。

 

美鈴「敵の飛行機に狙われたら大変ですし、金剛の収容も急ぎましょう!」

 

 美鈴が麗美に声をかけた時、金剛から無線連絡が入った。

 

金剛「Oh!無線が入りますネー!」

 

美鈴「金剛!?」

 

金剛「雷と電が来てくれてEscortしてもらってるネ!2人のおかげでもうすぐ鎮守府に到着できマース!」

 

美鈴「無線機は直ったの?」

 

金剛「鎮守府に近づいたら急に電波が入るようになったヨ!」

 

麗美「ちょっと大変なことになりそうだから、早急に鎮守府に帰ってきて欲しいの、雷と電も聞こえるかしら?」

 

雷「司令官、聞こえてるわ!」

 

電「とにかく急いで戻るのです!」

 

 迫り来る深海棲艦の航空部隊の脅威に向けて、美鈴たちは迎撃するための作戦を大急ぎの立てることになったのである。




 色々あって投稿がだいぶ遅くなってしまいました……
 待っていてくれた方々には申し訳ありませんでした!

 私の住む北海道は、雪が降ったりして積もることもありもうすっかり冬の到来を迎えています。

 冬になるとマフラーを着用するのですが、その度に川内改二の様な感じでマフラーを巻いてみたくなるのですが、私の巻き方が悪いのか、マフラーの長さが足りないのかなかなか思ったように巻けないのです……
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