暁「ここで私が敵を食い止めないと……」
暁は、龍星鎮守府へ向かう敵艦載機を撃墜しようと上空に向けて対空攻撃を繰り返していた。
那珂「暁ちゃん!敵の数は多いよ、突出したらダメだよ!!」
那珂は暁が単独で飛び出していこうとするのを口頭で制する。
暁「でも、あの鎮守府には妹たちがいるのよ!私があの子たちを守らなきゃダメなのよ!」
深海棲艦の大軍に焦る暁には、那珂の忠告は聞こえていなかった。
五月雨「那珂さん、暁ちゃんが敵航空機に向かって前進を続けています!」
那珂「仕方ないなぁ、私も駆け出しの頃はとにかく前へばっかりだったもんなぁ~」
五月雨「川内型の皆さんは、今でも前進しかしませんよね」
那珂「そ~かな?でも応援してくれる皆のためなら那珂ちゃんはどこまでも進んでいくからね~」
五月雨「それでこそ那珂さんです!」
那珂と五月雨は、1人突出していく暁の後を追いかけ始めた。
暁「みんなを傷つける敵は、行かせない、行かせないんだから!!」
ドォォン ドォォン
暁は、高角砲で深海棲艦の艦載機に向けて発砲を繰り返す。
すると、最初は暁の砲撃を無視して龍星鎮守府へ向かっていた敵艦載機の一部が、砲撃を繰り返してくる暁に向かって爆撃を仕掛けてきた。
ヒューン ヒューン ヒューン
暁は、自身に向かって投下された爆弾に驚き一瞬動きを止めてしまう。
暁「ウソ……、あんなのが当たったら……」
落下してくる爆弾の一つが、暁に直撃する軌道を描いていたが、暁は恐怖でその事に気が付いていなかった。
暁「っ!! 私の真上に爆弾が……」
爆弾が数十メートル上空まで迫った時、初めて暁は迫り来る爆弾に気が付いたが、回避のために足を動かすことが出来ない状態であった。
暁「響……、約束守れなくてゴメンね」
迫り来る爆弾が直撃すれば無事ではすまないと直感的に感じた暁は、思わず響との約束を思い出して謝罪の言葉を発していた。
ガギィィィン
ドゴォォン
その時、一発の砲弾が暁に迫っていた爆弾を弾き飛ばし、数十メートル離れた地点で爆発した。
那珂「どっかぁーん!」
那珂の声に気が付いた暁が、砲弾が飛んできた方向に目を向けると、那珂と五月雨が近くまで来ていた事に気が付いた。
暁「那珂ちゃん……」
那珂「きゃはっ♪暁ちゃんも立ち止まってたら危ないよぉー」
爆撃の中、笑顔で手を振る那珂を見た暁は、不思議と体の固さが消えていくのを感じていた。
暁「そ、そうね、このくらいの爆撃、一人前のレディーならへっちゃらよ!」
そう言うと暁は、次々と来る爆撃を回避して見せた。
五月雨「すっごーい、暁ちゃんのステップまるで那珂さんみたいだったよ」
那珂「暁ちゃんも那珂ちゃんのユニットに入りたいのかな?そういうのは提督(プロデューサー)を通してね♪」
暁「あ、暁はアイドルじゃなくってレディーなのよ!」
那珂たちは、持ち前の機動力を活かして敵艦載機の爆撃を全て回避したが、敵艦載機はそのまま龍星鎮守府の方角へ飛び去っていく。
暁「大変、深海棲艦の爆撃機を追いかけないと!」
慌てて敵艦載機を追撃しようとする暁を、那珂は右手で制する。
那珂「艦載機を止める良い方法があるって、暁ちゃんは知ってるかなぁ~」
暁「何よ、邪魔しないで!追いかけないと!!」
五月雨「飛行機を追いかけたって追いつかないと思うなぁ」
暁「何か良い方法があるとでも言うの?」
那珂「それはねぇ~、空母ちゃんを倒せば良いんだよ♪」
そう言うと、那珂と五月雨は深海棲艦の艦隊に突撃を仕掛けていく。
暁「えっ、ちょっと待ってよ、どういうこと!?」
暁は慌てて那珂と五月雨の背中を追いかけ始めた。
ウゥゥゥゥー
龍星鎮守府全体に、敵艦載機の接近を知らせるサイレンが鳴り響く。
美鈴「このサイレンは!」
麗美「深海棲艦の爆撃機が接近してくるわね……」
大淀「電探に反応あり、100機を超える深海棲艦の艦載機が鎮守府に迫っています!」
麗美「ミディアと響に迎撃指示を!」
大淀「はい!」
大淀は、海岸で停泊中のミディアと響に敵艦載機の迎撃指示を出す。
美鈴「鳳翔さんにもお願いしましょう!」
明石「任せて下さい!」
明石も予備の無線機で艦載機の補給を行っていた鳳翔に迎撃を依頼する。
美鈴「わ、私にも出来ることは……」
美鈴は、周りを見ながら何か出来ることが無いかを探してから、自分の両手を見て『気』を使いこなせば何とかならないか考え始める。
麗美「朝みたいに『気』を解放したらダメよ、まだ制御出来ていないでしょう」
そんな美鈴の考えを読んだのか、麗美が『気』の力を使わないように釘を刺す。
美鈴「たしかに、また倒れたら皆に迷惑をかけてしまうか……」
美鈴が麗美の忠告を聞き入れ、『気』の力を使うことを諦めた時、明石が何かを思い出したかのように美鈴に声をかける。
明石「提督、建造ドックに行きましょう!」
美鈴「建造ドック?あぁ、もうすぐ時間だね!」
美鈴と明石の会話を聞いた麗美も、もう少しで建造中の艦娘が完成する時間であることに気が付く。
麗美「もうすぐ爆撃があるかもしれないけど、大丈夫なの?」
美鈴「金剛もまだ到着しませんし、いくら鳳翔さんの艦載機でも100機以上の敵は厳しいと思います……」
美鈴は、心配する麗美の目を見て語り続ける。
美鈴「確かに、敵の飛行機が近づいて来る中で外に出るのは危険かもしれませんが、今は少しでも戦力が必要なんです!」
麗美「それはそうだけど……」
美鈴「それに完成した艦娘をドックから出してあげられるのは、この鎮守府の提督の私しかいないんです!!」
美鈴の言葉を聞いて、麗美は小さく頷いた。
麗美「そうね、危険かもしれないけど頼めるかしら」
美鈴「はい!みんなは明石が特別頑丈に改造してくれたこの提督室で待っていて下さい!」
そう言うと、美鈴は建造ドックへ向かって駆けだしていった。
鳳翔「艦載機の補充と燃料の補給は終わったわね……」
明石から敵艦載機の迎撃依頼を受けていた鳳翔は、北側の海岸で発艦の準備を行っていた。
響「鳳翔さん、今回は海上に出るのかい?」
鳳翔「今回は偵察じゃ無くて戦闘ですもの、海上の方が何かとやりやすいのですよ」
響「たしかに、私たち艦娘は海でこそ実力を出せるからね」
鳳翔「敵は100機以上と聞きます、私の艦載機は全部で19機だけです」
鳳翔は、自分の艦載機と敵艦載機の戦力差について響にを説明する。
響「5倍以上の差があるね、大丈夫なのかい?」
鳳翔「全部は落とせないでしょうから、援護お願いしますね」
響「了解さ、討ち漏らしがあれば任せて欲しい」
響は鳳翔に軽く手を振ると、ゆっくりと沖合に向かって進んでいった。
鳳翔「金剛さんを援護した時に撃墜された零戦21型も予備機で補填しましたし、今回は九九式艦爆と九六式艦戦を換装した航空戦特化よ、鎮守府は必ず守ります!」
鳳翔はそう言うとゆっくりと弓を引き、上空に向かって狙いを定める。
鳳翔「風向き、よし。航空部隊、発艦!」
鳳翔の手から放たれた2本の矢は、真っ直ぐと上空に向かって飛んで行き、やがて11機の零戦21型と8機の九六式艦戦へと姿を変える。
鳳翔「皆さん、どうか鎮守府を、みんなを守って下さいね」
鳳翔は、敵艦載機の迎撃のため飛び立った19機の艦載機を祈るように見守っていた。
そのころ、龍星鎮守府西側の海岸に雷と電に曳航された金剛が到着していた。
雷「やっと着いたわ!」
電「これでもう大丈夫なのです」
金剛を海岸に送り届けた雷と電は、達成感に満ちた言葉を口にしていた。
金剛「2人ともThanksデース、でも北から深海棲艦の艦載機が来ていマス、安心するのはまだ早いネー」
金剛は、帰還中に無線で麗美から聞いていた敵艦載機接近の知らせについて心配していた。
雷「そのとおりね、私と電は北の海岸にいる響や町井田さんと合流するけど、金剛さんはまずは補給と修理をしっかりするのよ!」
電「雪風ちゃんや深雪ちゃんたちが戻ってくるまで、電たちはがんばるのです!」
金剛「ワタシも、燃料と弾薬をChargeしたらすぐに迎撃に向かうネー」
金剛が雷と電にそう告げると、2人は金剛に対して怒り始める。
雷「ダメよ!怪我もしているし壊れた艤装じゃ力を発揮出来ないわ!」
電「ちゃんと怪我を治して来て欲しいのです!」
自分のことを心配してくれている2人の言葉を聞いた金剛は、無理をしようとしていた事への反省すると共に、2人の優しさに感謝して笑みを見せる。
金剛「わかりました、それではしっかり修理してFull powerで戻ってくるネ!」
金剛はそう言うと、北側海岸に向かう雷と電に手を振って見送っていた。
龍星鎮守府の北側海上において、深海棲艦艦載機の大軍と鳳翔の艦載機が激しい航空戦を繰り広げていた。
鳳翔「くっ、練度では負けていないはずですが数が違いすぎる……」
戦力差5倍以上という圧倒的不利な状況でありながら、鳳翔の艦載機たちは互いに連携を取りながら善戦していた。
町井田「鳳翔の艦載機たちを援護するんだ!!」
町井田の号令でミディアの対空機銃が一斉に発射され、敵艦載機を迎撃する。
響「結局、町井田中尉たちも私も休憩は取れなかったけど、まだまだ戦えるさ」
敵艦載機による爆撃を巧みに回避しながら、響も上空の敵機に狙いを定めて対空攻撃を続けている。
町井田が指揮するミディアと、鳳翔、響の懸命な迎撃により未だ龍星鎮守府への直接の爆撃は避けていたが、物量に勝る深海棲艦の艦載機たちが防衛戦を突破するのは目前であった。
麗美「くっ、もう少し航空戦力があれば……」
提督室のモニターから戦況を見守る麗美は、両手を強く握りながら打開策を考えていた。
大淀「北方向より新たな機影を確認!!」
麗美「まさか、まだ敵機が来るというの!?」
大淀の一報を受けて、麗美は思わず大声を上げてしまう。
大淀「いえ、この信号は友軍……、紅月鎮守府所属隊の信号です!!」
麗美「北方向からの援軍と言うことは……、まさか!間に合ったのね!!」
麗美が興奮した様子で声を上げると、紅月鎮守府が使用している周波数での無線が入る。
若い女性の声「紅月基地航空隊第1小隊、第2小隊、これより龍星鎮守府の援護に入る!」
突然の無線に、大淀は驚いた表情で麗美の顔を見る。
麗美「我が紅月鎮守府前線基地から、基地航空隊の援軍よ!!」
大淀「今の声、妖精さんではなくて操縦士は人間ですか?」
麗美「そうよ!我が紅月鎮守府が誇る航空隊長、白銀の隼と呼ばれる伊在井咲樂(いざい さくら)よ!!」
大淀「しろがねのはやぶさ?」
麗美「咲樂が乗る零戦レプリカの塗色がライトグレーなことや、透き通るような銀色の髪と、その高い空戦能力から呼ばれるようになった通り名ね」
大淀「かなりの実力者のようですね」
麗美「見ていれば分かるわ」
麗美は自信に満ちあふれた表情で、大淀にモニターを見るように促した。
援軍に駆けつけた紅月基地航空隊は、伊在井咲樂の複座式の零戦レプリカを始め、妖精さんたちが操縦する零戦52型10機、零戦21型10機の総勢21機であった。
咲樂「整備が間に合わなくて訓練機ですが、実弾装備しているし問題ないわ」
咲樂は、後部席の様子を一瞥すると再び正面に向き直る。
咲樂「気を失ってしまいましたか、まぁ五月蠅いよりはマシというところですね」
咲樂の操縦席の後方の座席には、白と赤を基調とした作業服に黒いロングヘアーの女性が座っていたが、気を失っている様子であった。
咲樂は零戦レプリカの主翼を振って後続に合図を送ると、敵艦載機の大軍に突入していく。
咲樂「確かに数は多いですが、お嬢様のところには行かせませんわ……」
咲樂「紅月航空隊、大掃除の時間よ!!」
咲樂が搭乗する零戦レプリカのライトグレーの機体が、獲物を狙う猛禽の様に加速して行った。
今回も新キャラが登場し、まだ更に登場人物が増えるフラグが出てきた今日この頃です(笑)
まぁ、『艦これ』や『東方』自体、登場人物が数え切れない(100以上は数えられませんw)くらいいるので仕方が無いことだと思いますね~
そんな中、ふと思ったのは自分自身でも登場人物を見失わないように『登場人物辞典』みたいなものを作ろうかと企んでおります!(需要は無いかもしれませんがw)
それと先日、感想にて質問をいただきましたのでお答えしようと思います!
~質問~
美鈴以外に幻想郷の住民は艦これの世界に来ないんですか?
~回答~
はい、これに関してはまだ先になると思いますが考えていなくもないです!
本編にも出てくるかもしれませんし、番外編的なものでの出演となるかもしれませんが、美鈴と関わりがありそうな人物は可能性があると思います。
幻想郷の住人とは別に、『紅月麗美』や今回登場した『伊在井咲樂』といったなんか紅魔館の住人っぽい人物は、今後も登場する予定です。
リクエストをいただきましたので、今後も『質問コーナー』的なものを設けてみようと思いますので、気軽に感想やメッセージで送っていただくと嬉しいです☆
(こういうものの受付に良いものがあるでしょうか?あれば教えて欲しいです!)