華人小娘と愉快な艦娘たち   作:マッコ

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第3話 華人小娘、奮戦する!

   カンカンカンカン

 

 

 木づちの音が静かな島中に響き渡る。

 

 新たな提督のために、妖精さんたちは鎮守府を建て直すと張り切っている。

 

 美鈴が提督を名乗ってから一週間が経過した。

 

 妖精さんたちは手際よく、美鈴たちがゆっくり休めるように小さな小屋を建設したのち、新しい鎮守府の建造に励んでいる。

 

 美鈴は、妖精さんたちがありあわせの資材で作成してくれた斧で島内の林で材木を調達し、新たな鎮守府建造予定地に運搬し妖精さんたちに渡す。

 

 妖精さんたちは、美鈴が調達した木材を加工し、鎮守府建設のための木材へと加工する。

 

 深雪は、島の周辺をパトロールし、度々出現する深海棲艦イ級を撃退したり、魚釣りをしたりして食料を調達する。

 

 

 人手は足りているとは言えないが、各々が自分のできることをやることでチームとしてはうまく機能していると感じる。

 

 美鈴は紅魔館の門番時代にも、お屋敷の妖精メイド数人を任されており、中庭の管理を任されたりもしていたので、実は少人数の統率を取ることに関しては素人ではなく、妖精さんたちも美鈴を信頼し作業の方針などよく打ち合わせし、直接言葉は通じないもののうまく美鈴の指揮に応じている。

 

 美鈴自体も、門番時代に紅魔館に強行突入してくる巫女や魔法使いがお屋敷の壁など壊してしまうことが多かったため、土木作業や補修作業は異常に手慣れていたため、妖精さんたちとともに人手不足ではあったが、割と手際よく鎮守府建築工事は進んでいた。

 

 

美鈴「この間、自生していた野菜を見つけたから鎮守府建築のめどが立ったら畑を作ろうと思っているんだ」

 

深雪「美鈴……、じゃなくって司令官って何だかいろいろと手慣れているな~」

 

美鈴「長年いろいろやってたからね」

 

深雪「生活力も高いし、いざとなったら深海棲艦を倒したり実はただ者じゃなかったりする?」

 

美鈴「ここに来る前はもっとすごい人ばかり周りにいたし、私なんかまだまだだよ」

 

深雪「司令官よりすごい人たちって、そんな人間がいるの!?」

 

 美鈴自体、なぜかこの島に来てから『気』の力を自由に使えなくなっているし、体力的にも人間並みに低下してしまっているので、実際には深雪のような艦娘には勝ち目はない。

 

 しかし、あの幻想郷で長年生き抜いていただけあり実戦経験は豊富であり、武闘家としての『技(スキル)』や『技術(テクニック)』は失っていなかったため、深雪から羨望のまなざしを受けることに事欠かない。

 

 最近では、美鈴が毎朝体操代わりに日課にしている太極拳にも興味を持ったようで、まねをするようになっている。

 

 妖精さんたちだけでなく、深雪もすっかり美鈴になついていると言っていいだろう。

 

 

 

 そんなある日の早朝、海岸からの砲撃音で美鈴と深雪は目を覚ました

 

深雪「また深海棲艦の攻撃か?」

 

美鈴「いつもとは雰囲気が違う気が……」

 

深雪「この近海じゃ大型の深海棲艦はでききていない、深雪さまに任せときな!」

 

 深雪は艤装を装着すると、一人で海岸に向かって駆けていく。

 

 深雪の話によると、いままで深雪の艤装の一部が整備不足で使用不可となっていた武装があったということだが、艤装修理が得意な妖精さんが深雪の艤装を整備してくれたおかげで使用が可能になったらしい。

 

 深雪は、その武装が使用できるようになったからか意気揚々と出撃していった。

 

 しかし、美鈴は深海棲艦の砲撃音に今までとは違う違和感を抱き深雪を追うことにした。

 

 

 

 

深雪「げっ、マジかよ~」

 

 海岸についた深雪の目に映ったモノは、いつものイ級1隻の他に、イ級よりもわずかに機影が大きく、女性の腕など上半身のようなモノが確認できる深海棲艦の姿があった。

 

深雪「軽巡ホ級……数だけでも1対2なのに、これってピンチじゃね?」

 

 深雪はとっさに岩陰に身を隠した。

 

 幸い深雪はまだ気づかれていないようだが、深雪の練度では手に余る相手であるのは間違いなかった。

 

深雪「せめてもう1人艦娘の仲間がいれば……」

 

 深雪には妖精さんに修理してもらった魚雷がある、イ級を足止めできる仲間がいれば、連携しつつホ級に突撃をして損傷覚悟で撃退できるかもしれない。

 

 しかし、こちらの戦力は深雪1人のみ、深雪には深海棲艦を打倒する案が思い浮かばなかった。

 

 そんなとき、深雪の後を追っていた美鈴が深雪に追いついた。

 

 

深雪「めい……、司令官、なぜここに?」

 

美鈴「何か嫌な感じがしてね……、あのイ級の隣にいるのも深海棲艦だよね?」

 

深雪「あれはホ級、イ級よりも強力な軽巡洋艦タイプの深海棲艦さ」

 

美鈴「深雪やイ級のような駆逐艦型の、隊長クラスの巡洋艦型ってやつだね、深雪が教えてくれた」

 

深雪「数も性能も負けてるんだ、まずいな~」

 

 焦る深雪に対して美鈴は笑顔で答えた

 

美鈴「でも、数ならこれで2対2だよ」

 

深雪「?」

 

深雪「まさか司令官、あんたが?」

 

美鈴「私でも、おとりくらいならできるでしょ?」

 

深雪「いやいやダメだって、艦娘じゃないんだから危ないって!」

 

美鈴「ある偉い人の言葉でこういうのがあるんだ……」

 

深雪「?」

 

美鈴「当たらなければ、どうということはない!!」

 

 美鈴はそう叫ぶと岩陰から飛び出し、深海棲艦に向かって駆け出した。

 

 

 美鈴の接近に気がついた、ホ級とイ級は美鈴に一斉に砲撃を仕掛けてくる。

 

美鈴「今よ、深雪!!」

 

 深海棲艦の砲撃をかわしながら、岩陰にいる深雪に合図する。

 

 深海棲艦たちは、深雪に気づいておらず、突っ込んで来る謎の人間である美鈴を撃墜するべく砲撃を続ける。

 

 美鈴は海上に上がってこない深海棲艦の動きを利用して巧みに砲撃を回避していく。

 

 幻想郷で幾度となく強敵たちと弾幕戦を繰り広げていたり、最強クラスの姉妹の弾幕げんかに巻き込まれたりしていた経験が、妖怪としての能力を失い、能力的にただの人間に戻ってしまっている状態でも活きている。

 

美鈴「もう少しなら、なんとかなりそうね」

 

 足場が悪く、どうしても派手に動き回らざるえないためスタミナの消耗は大きいが、まだスタミナに余裕はある……

 

と思った矢先に

 

美鈴「しまった……」

 

 踏み込んだ足の膝の力が抜け、砂に足を取られバランスを崩してしまった。

 

   ドゴォォォン

 

   ドゴォォォン

 

 美鈴の直近にホ級の砲撃が迫る

 

美鈴「くそ、背水の陣だ!」

 

 実際には美鈴の後方が陸上で、目の前が海なので『背水』ではないし、一人なので『陣』でもないのだが、今の状態で深海棲艦の砲撃を受けてしまうと、大けがどころではすまない美鈴にとって後がない状況ではあった。

 

 

 イ級もホ級に続いて美鈴に砲撃を加えようとしたそのとき、

 

深雪「ぃよーし!行っくぞぉー!」

 

 隙をついて海上に出ていた深雪が最大戦速で深海棲艦たちに突撃を仕掛ける。

 

深雪「くらえーっ!」

 

 右手に装着した連装砲を構え、肉薄したイ級に砲撃を加える。

 

   ぐぉぉぉん

 

 深雪の砲撃を受けたイ級が断末魔を上げながら沈んでいく。

 

美鈴「まだだ、まだ終わらんよ!」

 

 深雪がイ級を倒したことに歓喜しながらも、美鈴は追撃の指示を出す。

 

深雪「美鈴、見てな~」

 

 背後からの奇襲に混乱するホ級に向けて、深雪は魚雷を構える。

 

深雪「深雪スペシャル!いっけー!!」

 

 

   ドゴォォォン!!

 

 魚雷の直撃を受けたホ級は、魚雷の爆破による水柱とともに声を上げることもできずに沈んでいく。

 

 

   美鈴と深雪の完全勝利であった!!

 

 

 

深雪「やったぜー!! なぁ!深雪さまの活躍、見てくれた?」

 

 深海棲艦を撃退した興奮冷めやらない深雪は美鈴に抱きつく。

 

 美鈴が笑顔で祝福してくれる、そう思った瞬間、美鈴が膝から崩れ落ちる。

 

深雪「美鈴!? 美鈴!!」

 

 

 

   島内に深雪の悲鳴が響き渡った。




 なんだかんだで、第3話を迎えることが出来ました。
 依然として誤字や脱字が多いですが、確認出来次第直していますので生暖かく見守って欲しいです。
 当初の予定では、シリアス展開はあまり考えていませんでしたが、着任する鎮守府が廃墟になっている状態からのスタートになってしまっているので、序盤は色々と美鈴達に苦労をかけそうです。

 私のイメージでは、紅魔館での美鈴は、門番の他にも力仕事から庭の手入れなど色々とこき使われていそうなイメージがあるので私の話の中の美鈴も
  優しく(甘い) 何でも出来て(器用貧乏) 強い(普通の人よりは)
と言うイメージでキャラ設定がされています。
 また、東方非想天則で紅魔館当主のレミリアと漫画の貸し借りをしているセリフもあるので、たまにパロディ的なセリフを言わせることもあると思います 笑
 
 拙い話ですが、読んでいただいた方々ありがとうございます。
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