カーン カーン カーン
島内に工廠の音が響き渡る。
廃墟となっていた元鎮守府内で偶然発見した1棟の工廠。
その工廠で、妖精さん達が装備を開発することが出来ると聞いた美鈴は、早速装備を開発してみることにした。
美鈴「私が装備できる物とか出来ないかな?」
深雪「美鈴は艦娘じゃないから、艤装は無理じゃないか?」
そうこう話をしていると、装備開発作業を終えた妖精さんが工廠から出て来た。
雪風「幸運の女神のキスを感じちゃいます!」
深雪「おっ、何かいいもの出来たかな?」
早速、美鈴達が工廠内を確認してみると、開発台の上に大きな緑色の筒状の物が置かれていた。
美鈴&深雪「こ、これは!?」
雪風「しれぇ、ドラム缶です!」
深雪「なんだよ、ドラム缶かぁ~」
美鈴「こういうのが欲しかったんだ!!」
がっかりする深雪とは裏腹に、美鈴はドラム缶を見て目を輝かせていた。
美鈴「これは、私がもらっても良い?」
深雪「ドラム缶って艤装じゃ無いから美鈴でも持てると思うけど、輸送用だよ」
美鈴「もっと一杯、ドラム缶を作れないかな?」
雪風「絶対、大丈夫!」
深雪「酸素魚雷とか欲しいぜ~」
雪風「雪風は高角砲とか欲しいです!」
美鈴「ドラム缶がもっと欲しいよ~」
美鈴達は、自分たちの希望を口々に言いながら、もう一度妖精さんに装備開発を依頼しようとした。
しかし、妖精さんは手でバツの字を作って開発が出来ないと伝えて来る。
深雪「えっ、なんで?」
雪風「しれぇ、資材が無いです!」
美鈴「しざい?」
深雪「燃料や弾薬が少ないんだよ」
美鈴「どうすればいいの?」
深雪「近くの海域に出撃して拾い集めるか、遠征して集めてくるかだな」
美鈴「海には深海棲艦がいるよ、危険じゃない?」
深雪「今までは一人だったけど、今は雪風もいるから行けるぜ!」
雪風「しれぇ、頑張ります!」
不安に思う美鈴とは打って変わってやる気に満ち溢れている深雪と雪風。
美鈴は深雪を旗艦に指名し、この島の正面海域の調査を兼ねて深雪と雪風を出撃させることにした。
深雪「ぃよーし!行っくぞぉー!」
美鈴「危なくなったらすぐに戻ってくるんだよー!!」
雪風「しれぇ、行ってきます!!」
海岸で出撃を見送る美鈴に、大きく手を降って答える深雪と雪風。
海上を進むことが出来ない美鈴は、外見的に自分よりも幼い少女達を戦場に送り出すことしか出来ない自分に歯がゆさを覚えながらも、自分が彼女たちに出来ることをしようと心に決めたのであった。
鎮守府の建造については、妖精さん達が頑張って進めてくれているが、鋼材が足りていないということもあり、作業が難航していた。
壊れている鎮守府跡から使える物資を拾い集めて再利用している現状で、島内に鉱山でもあれば鋼材の収集が出来るのであろうが、さほど面積のないこの島では鉱山があるわけもなく美鈴もどうにもすることが出来ない。
弾薬や燃料についても、美鈴には火器類の知識がそれほどあるわけでもなく弾薬を製造することも出来ないし、島内に油田や炭鉱があるわけでも無いのでこれらも美鈴にはどうする事もできない。
それであれば、みんなのために自分に出来ることは何か?
そう考えた美鈴は、
『頑張ってるみんなに美味しいものを作ろう』
と考え、自生していた野菜の種から野菜を作るために、島内で開墾したり、海岸で魚釣りや貝を集めたりなど食料集めをすることとした。
そしてもう一つ、美鈴が考えた事とはドラム缶を使ったドラム缶風呂だった。
美鈴「鎮守府が出来るまでお風呂が無いし、みんな喜んでくれるかなぁ~」
妖精さんに協力してもらってドラム缶上部を綺麗に切り取り、旧鎮守府跡から手頃なサイズのレンガや石材を集めて土台を作り、ドラム缶の底に置くための『すのこ』を有り集めの木材で手際よく作った。
美鈴「あとは水を汲んでこよう」
以前、美鈴が海岸で拾った高速修復材が入っていたバケツを片手に海岸とドラム缶風呂を何度も行き来し、ドラム缶に水を張って行った。
美鈴が風呂の用意を終えた頃に深雪達が帰還してきた。
深雪「ざぁっとこんなもんだ!楽勝だなぁ!」
雪風「しれぇ、帰投しました!」
若干被弾し、損傷してしまった深雪と無傷の雪風が美鈴の下に報告に来た。
深海棲艦のイ級と交戦した後、軽巡ホ級がイ級数体を率いる小隊を発見したが戦力差が大きく戦いを挑むのは無謀と判断し撤退してきたとのことであったが、道中で回収した燃料と弾薬を僅かではあるが持ち帰ることに成功した。
深雪「チクショ~、流石に深雪さまもちょっと勝てそうに無かったぜ~」
美鈴「無闇に戦って大怪我したら大変だし、無事に帰ってくればいいよ」
敵を目の前に撤退した事を悔やむ深雪を労った美鈴は、深雪達をドラム缶風呂に招待する。
深雪「おぉ、これ美鈴が作ったの!?」
雪風「しれぇ、すごいです!」
美鈴「みんな女の子だもんね、お風呂くらい入りたいよね」
深雪「さすが美鈴、気が利くぜ~」
雪風「入っても良いんですか?」
美鈴「ちょうど、お湯も沸いてるから二人で入っておくと良いよ」
雪風「しれぇ、ありがとうございます!」
美鈴「私は晩ごはんの準備しているから、ゆっくりしていてね」
深雪「サンキューな!美鈴!」
美鈴は釣ってきた魚や以前収穫していた自生していた野菜や山菜で料理を作ることにした。
妖精さんに包丁や中華鍋、コンロなど一通りの調理器具も作ってもらったので、以前のように魚を焼いただけのようなサバイバルな料理ではなく、少しは手の込んだ料理が出来るようになっていた。
雪風「深雪さんから先にお風呂どうぞです!」
深雪「おっ、いいのか」
雪風「今日は危ないところ、深雪さんに助けてもらったのでありがとうです!」
深雪「サンキュー、ははっ深雪さま一番乗りぃ!」
ざぶーん
深雪が勢いよくドラム缶風呂に入る。
深雪「う~ん、いい湯だぜ~」
雪風「しれぇも、深雪さんもいい人ばかりで雪風はうれしいです!」
深雪「そういえば、雪風にひとつ言いたいんだけどさ~」
雪風「なんですか?深雪さん」
深雪「同じ仲間同士だし、『深雪さん』じゃなくって『深雪』って呼んでくれよ~」
雪風「でも、深雪さんは雪風の先輩ですから」
深雪「先輩とか関係ないって、同じ駆逐艦だし仲間っていうか……、友達だろ」
雪風「友達!?」
深雪「そうそう友達になろうぜ!」
雪風「わかりました!友達です!深雪さ……じゃなかった、深雪!」
深雪「これからもよろしくな!雪風!」
未だ再建中の鎮守府ではあるが、美鈴提督の気遣いによって団結力を増してゆく艦娘や妖精さん達。
美鈴提督達の戦いは、まだまだ始まったばかりである
雪風を仲間に加えた美鈴達でしたが、鎮守府は未だに再建中。
入渠設備もない鎮守府のために用意した美鈴の気遣いの話です。
東方原作での美鈴の能力は、『気』を使う程度の能力ですが、十分に気遣いも出来る子だと思います。