華人小娘と愉快な艦娘たち   作:マッコ

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第7話 新たな来客

雪風「しれぇ、何か島に近付いてきます!」

 

 鎮守府(仮)の隣に作った見張り台の上で、見張りのため双眼鏡を覗き込んでいた雪風が大きな声で美鈴に呼びかける。

 

 この見張り台は、世界水準を軽く超えているらしい天龍のアドバイスで深海棲艦が島に近付いてきた時に早期発見出来るように建設した簡易的なものである。

 

 正直それほど高台にある訳でもなく、鎮守府正面の海岸を見回せる程度のものであるが、妖精さんや艦娘達が交代で見張っていてくれる。

 

 元門番だった美鈴も見張りをしようとするが、深雪や天龍に「働きすぎはダメだ」と言われて使わせてくれない。

 

雪風「しれぇ、なんだか船みたいです、深海棲艦じゃないです!」

 

美鈴「また船?何だろう?」

 

 雪風の報告を聞いた美鈴は、見張り台に登り確認する。

 

雪風「なんか、煙が上がってます」

 

美鈴「本当だ、蒸気船かな?」

 

雪風「甲板から火が上がってます!」

 

美鈴「本当!? ちょっと双眼鏡貸して!」

 

 美鈴は雪風の双眼鏡を借りて近付いてくる船を確認すると、何やら黒い物が船の周りを飛び回っており攻撃しているように見えた。

 

美鈴「黒くて変な形のものが船の周りを飛び回って攻撃しているみたいだ」

 

雪風「えっ!? ちょっと見せて下さい!」

 

 雪風は、美鈴からすばやく双眼鏡を受け取ると再び双眼鏡で船を確認する。

 

雪風「あれはっ!深海棲艦の艦載機です!」

 

美鈴「かんさいき?」

 

雪風「あの船は深海棲艦の攻撃を受けています!助けましょう!!」

 

美鈴「わかった、みんなを呼んでくるから雪風は先に出撃して!」

 

雪風「あの船をお守りします!」

 

 雪風は艤装をすばやく装着して海岸へ駆けて行く。

 

 美鈴は、天龍と深雪を呼びに天龍達が行っている工廠へ向かった。

 

 

 

   カーン カーン カーン

 

深雪「天龍、凄いのが出来たね」

 

天龍「これこれ!こういうの欲しかったんだよ!早くブッ放してぇなぁ」

 

 工廠で装備開発をしていた天龍が完成した『10 cm連装高角砲』を手に歓声をあげる。

 

美鈴「お~い!」

 

天龍「おっ美鈴!見てくれよ~、イカしてるだろぉ~」

 

 天龍は、走って工廠に来た美鈴に完成した『10 cm連装高角砲』を見せる。

 

美鈴「島の近くで深海棲艦の攻撃を受けている船がいるんだ」

 

深雪「なら助けに行こうぜぇ!」

 

天龍「そうだな、これは深雪が使いな」

 

 天龍は、『10 cm連装高角砲』を深雪に渡した。

 

深雪「えっ、いいの?」

 

天龍「まずは、チビ共に強くなってもらわなきゃな!」

 

深雪「サンキュー!天龍!ご機嫌だぜ~!」

 

美鈴「今は見張りをしていた雪風を出撃させているから、君たちも出撃お願いね!」

 

天龍「そう来なくっちゃなぁ、深雪!抜錨だっ!!」

 

深雪「ぃよーし!行っくぞぉー!」

 

 天龍と深雪は用意していた艤装をすばやく装着して海岸へ向かった。

 

美鈴「みんな、頼んだよー!!」

 

 海上には行けない美鈴は、見送ることしか出来ないことに少し不満を感じながら大切な仲間である艦娘達を見送った。

 

 

 

雪風「もう少し、船の皆さん頑張って下さい!」

 

 深海棲艦の攻撃を受けている船に全速力で向かう。

 

 敵艦載機は、まだ雪風の連装砲の射程に入らない。

 

 接近すると、攻撃を受けている船が日本の輸送船だと認識できた。

 

雪風「あれは輸送艦です、仲間でしょうか?」

 

 輸送艦は、雪風の接近に近づくと発光信号を送ってくる。

 

    『ワレ シンカイセイカン ト コウセンチュウ エンゴ ヲ モトム』

 

雪風「了解です!貴艦をお守りします!!」

 

 雪風は、輸送艦と敵艦載機の間に割って入り、連装砲で狙いを定める。

 

雪風「うぅ……、動きが速い……」

 

 敵艦載機は全部で3機のみであったが、対空装備を装備していない雪風にとっては戦いにくい相手であった。

 

 敵艦載機の1機が輸送艦に向かって爆撃をしてくる。

 

雪風「あっ!至近弾です!」

 

 敵艦載機が放った爆弾は、輸送艦に直撃はしなかったものの近くで爆発し輸送艦は大きく揺れる。

 

 雪風は、あわてて連装砲を発砲するが、敵艦載機は難なく雪風の攻撃を回避する。

 

雪風「て、手強いです……」

 

 雪風がもう一度照準を合わせようとすると、他の艦載機が放った機銃が輸送艦の前部甲板に直撃する。

 

雪風「あぁ……」

 

 輸送艦の前部甲板から火が上がり艦体が傾斜していく。

 

 輸送艦の乗組員が数名海上に落下していくのが見えた。

 

雪風「救助しなきゃ!」

 

 雪風が輸送艦に接舷しようとしたとき、輸送艦の甲板にセーラー服を着た少女の姿が見えた。

 

 

 

 

セーラー服の少女「私に出撃させて下さい!」

 

軍服の男「しかし、君の艤装はまだ整備が万全では……」

 

セーラー服の少女「しかし、このままではこの船が!」

 

 輸送艦の甲板で少女と軍人が言い争っているのが聞こえる。

 

雪風「あの子、なんか深雪に似ている……」

 

 甲板の様子に気づいた雪風は甲板にいる少女と目が合った。

 

セーラー服の少女「あの子は艦娘……」

 

 少女が雪風に気がついた時、白い軍服をきた女性が甲板に現れた。

 

軍服の女性「白雪、整備不足で悪いが準備は良いか?」

 

セーラー服の少女「はい、お任せ下さい」

 

 セーラー服の少女は軍服の女性に敬礼をしている。

 

軍服の女性「元帥よりあの島に新たに来たらしい提督に君を送り届ける予定だったが、まさかあんなところで深海棲艦の軽空母ヌ級と出くわすとわな……」

 

軍服の男性「中尉、我々の警戒不足でした!」

 

軍服の女性「最低限度の護衛での任務だったのだ、致し方ないさ」

 

軍服の女性「幸い、あの雪風は目的の提督の艦娘のようだ」

 

セーラー服の少女「そのようですね」

 

 セーラー服の少女は艤装を装着しながら、中尉と呼ばれる軍服の女性に答える

 

軍服の女性「我々のせいで、あの子に負担をかけさせるわけには行かない」

 

軍服の女性「準備はできたようだな、駆逐艦白雪!出撃せよ!!」

 

 

 

 その頃、天龍と深雪は輸送艦に向けて全速力で移動中であった。

 

天龍「くそっ、出遅れた輸送艦が傾いてるぞ!!」

 

深雪「雪風は無事か?」

 

天龍「わからねぇ、とにかく急ぐぞ!!」

 

 島から出撃した天龍達であったが、工廠から海岸に移動して出撃するのに時間がかかってしまい、いまだに雪風に合流できていなかった。

 

 

 

雪風「深雪達はまだなの?」

 

 敵艦載機に対し有効打を撃てないまま、苦戦が続いていた時、輸送艦の甲板から先程のセーラー服の少女が飛び降りたのが見えた。

 

雪風「まさか、船が沈むの?」

 

 状況がわからず、沈没する輸送船から少女が脱出のために飛び降りたのかと思った雪風の眼の前で、海中に沈むかと思った少女が海上に着地した。

 

雪風「あの子、艦娘?」

 

 驚く雪風の眼の前に、艤装を装着したセーラー服の少女が近付いて来た。

 

セーラー服の少女「特型駆逐艦2番艦、白雪です。今からあなたを援護します」

 

雪風「ゆ、雪風です!宜しくお願い致しますっ!」

 

 白雪と名乗る少女は、雪風に何かを手渡してくる

 

白雪「輸送艦の艦長がこれを雪風さんにって……」

 

雪風「ありがとうございます。……ってこれは?」

 

白雪「探照灯です、雪風さんなら上手く使えるって……」

 

雪風「よくわかりませんが……、絶対、大丈夫!って気がします」

 

白雪「とにかく、ご一緒にがんばりましょう」

 

 白雪は雪風に『探照灯』を渡すと、敵艦載機に攻撃を仕掛ける。

 

 白雪が放った連装砲の砲撃は、敵艦載機に寸前のところで回避されてしまうが、雪風は『探照灯』を手に何かを閃いた。

 

雪風「白雪さん、敵を雪風に引き付けます!」

 

白雪「えっ、どうやって?」

 

雪風「こうやってです!!」

 

 雪風は、急にダメージを負ったようにふらつきながら輸送艦から遠ざかる。

 

 敵艦載機達は、雪風が被弾しダメージを受けて撤退しようとしているものと勘違いした様子で一斉に雪風を仕留めようと襲いかかって来た。

 

白雪「雪風!?」

 

 白雪は状況がわからず、パニックに陥る。

 

 

 この様子を軍服の女性中尉は、輸送艦の甲板から見ていた。

 

軍服の女性「奇跡の駆逐艦、その実力を見せてくれ」

 

軍服の男性「中尉は何故、探照灯を渡したのですか?」

 

軍服の女性「曹長は勉強不足のようだな、少しは戦史を学んだらどうだ」

 

軍服の男性「……はぁ」

 

軍服の女性「まぁ見ておけ、太平洋戦争時に奇跡の駆逐艦と呼ばれた雪風の戦いをな」

 

 

白雪「まさか、雪風さんは被弾していたの?助けなきゃ!!」

 

 ふらつく雪風を見て、なんらかのトラブルがあったと考えた白雪は雪風の援護をしようと雪風が進む方向へ駆け出す。

 

雪風「もう少し……、もう少し引き付けて……」

 

 敵艦載機達は雪風に機銃の照準をあわせて突っ込んで来る。

 

雪風「今です!!」

 

 雪風は左肩に装着していた探照灯を敵艦載機に向けて最大光度で照射する。

 

 突然の強烈な光に目を眩まされた敵艦載機達は、一瞬動きを奪われる。

 

雪風「雪風は沈みませんっ!」

 

 この瞬間を狙っていた雪風は、敵艦載機に連装砲を連射する。

 

    ガァァン ガァァン ドガァァァァン!!

 

 この攻撃で、2機の敵艦載機を撃ち落とす事に成功した。

 

 

 

 生き残った1機の敵艦載機は、一気に高度を上げて雪風と間合いをとった後、美鈴の鎮守府(仮)がある方向に撤退中の輸送艦に進路を向ける。

 

雪風「あぁ……」

 

 敵艦載機を仕留め残った雪風は、急いで後を追おうとするが間に合いそうにない。

 

白雪「当たって下さい!!」

 

 雪風と輸送機の間に位置していた白雪は、必死に連装砲を連射するが高高度で飛行する敵艦載機を狙い撃つことが出来ずにすべての砲撃が外れてしまう。

 

 敵艦載機は輸送艦を射程に捉え、高度を落としながら航空魚雷の狙いを定める。

 

軍服の男性「中尉、危険です!」

 

軍服の女性「くっ、なんとか回避しろ!!」

 

 敵艦載機の接近に輸送艦内が慌ただしくなる。

 

 敵艦載機は高度を落として、航空魚雷を輸送艦に向けて発射する。

 

軍服の女性「白雪は無事に引き渡せた……、我らの任務は成功だ!総員退艦用意!!」

 

 輸送艦の乗組員たちが撃沈を覚悟したその時、輸送艦の前方から2本の航跡波が通り過ぎる。

 

軍服の女性「前方から魚雷……?……いや違うな」

 

 

 

天龍「そこの輸送艦!あとは任せな!!」

 

深雪「深雪さま参上だぁ!!」

 

 雪風に遅れて出撃していた天龍と深雪が最大速力で駆けつけた。

 

天龍「硝煙の匂いが最高だなぁオイ!」

 

 敵艦載機から放たれた航空魚雷を確認した天龍は、単装砲を構えて海面向けて連射する。

 

    ドォォォン

 

 天龍の砲撃が直撃した、航空魚雷は海中で爆発する。

 

輸送艦の乗員A「たっ、助かった」

 

輸送艦の乗員B「俺たち、生きてるぞぉ!」

 

 航空魚雷の脅威から解放された輸送艦の乗員達は一様に安堵したり、歓声をあげたりしている。

 

軍服の女性「まだよ、まだ敵艦載機が健在だ!!」

 

 中尉と呼ばれる軍服の女性が、乗組員達の気を引き締める。

 

 たしかに、放たれた航空魚雷は天龍が撃ち落としたが敵艦載機は機銃を向けて輸送艦の上空から狙いを定めている。

 

 

天龍「深雪!ちゃっちゃとやっちまえ!!」

 

深雪「よ~し、深雪スペシャル!いっけー!!」

 

 深雪は、新装備の『10 cm連装高角砲』で敵艦載機に照準を合わせて連射する。

 

    カァァン カァァン ドガァァァァン!

 

 深雪の放った対空射撃が何発か直撃し、敵艦載機は空中で爆散し海中に沈んでいった。

 

雪風「天龍さん!! 深雪ぃー!!」

 

 深雪の胸に雪風が飛び込んでくる。

 

深雪「遅れてゴメンな、雪風!」

 

雪風「2人が来てくれるの信じてまじだぁ~」

 

 感動のあまり、深雪に抱きついたまま泣き出す雪風。

 

天龍「ところで、そっちのチビは誰だ?」

 

 雪風を追ってゆっくり近付いてくる白雪に気づいた天龍は雪風に尋ねる。

 

雪風「白雪さんです!雪風を助けてくれました!!」

 

白雪「白雪です。よろしくお願いします」

 

 天龍にお辞儀をする白雪。

 

深雪「白雪って……、白雪姉さん!!」

 

雪風「深雪は、白雪さんを知っているのですか?」

 

白雪「深雪……、深雪ちゃんなの?」

 

天龍「おぅおぅ、姉妹の再開かぁ」

 

雪風「白雪さんは、深雪のお姉さんですか?」

 

白雪「そうなの、こんなところで再開できるなんて」

 

深雪「白雪姉さんはあの輸送艦の艦娘なのか?」

 

白雪「ううん、あの島に新たに着任したっていう提督さんのところに配属になったから輸送してもらっていたの」

 

深雪「へぇ~、この辺の島っていったら……」

 

 深雪は、白雪が指差す島の方向に目を向ける

 

深雪「えぇ!うちの島!?」

 

白雪「えっ?そうなの?」

 

天龍「新参者の登場かよ」

 

雪風「これから仲間ですね!」

 

 白雪を囲んで盛り上がる深雪達。

 

 

 その時輸送艦から発光信号が送られてくる。

 

    『ワレ ソンショウ ノ タメ タンカン デノ コウコウ フノウ』

    『シュウリ ノ タメ キカンラ ノ チンジュフ ヘノ タチヨリ ヲ モトム』

 

 発光信号を確認した天龍は、深雪と雪風に輸送艦の曳航を指示する。

 

 天龍も輸送艦に接舷し

 

天龍「こちら天龍型1番艦天龍、オレ達の島への立ち寄り了解した」

 

 と大声で甲板に告げると輸送艦の前方に移動して曳航を始める。

 

白雪「あの……、私は?」

 

天龍「白雪はまだ、艤装が万全じゃないみたいだし休んでな、無理すんなって」

 

白雪「でも、皆さん曳航してて私だけ……」

 

天龍「それなら、周囲の警戒を頼むぜ!」

 

白雪「はい、頑張ります」

 

 白雪は輸送艦の後方に向かい周囲の警戒を開始する。

 

天龍「……ったく、真面目なチビだな」

 

 天龍は嬉しそうにニヤつきながら白雪を見守っていた。

 

 

 

 

 その頃、海岸で様子を見ていた美鈴は戦闘が終わり、輸送艦が島に向かってくるのを見ていた。

 

美鈴「う~ん、やっぱりここからだとよく見えないなぁ~」

 

美鈴「でも、あの子達ならきっと大丈夫よね」

 

 海上を移動できない自分を恨みながらも、大切な仲間である艦娘を出迎える準備をするため、妖精さんの手伝いをしながらもうすぐ完成する鎮守府の建造作業に戻ったのである。




 いつも感じているのですが、書き始める前はこういう展開にって構想を立てているのですが、書いてるうちにどんどん話が変わって行くことってありませんか?
 私の場合はいつもです(笑)

 今回は、艦これの最初の任務で『はじめて建造』を建造をすると報酬でとある艦娘がもらえますよね?
 その話をしたかったのですが、なんだか出す予定の無かった軍人さん達もついでに出てきてしまいました(笑)
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