田舎から引っ越してきた僕と個性的な人達   作:知栄 砂空

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今回のガチャ、エクセレント・チョイスガチャ。

・・・10連で新規花音ちゃん出ました!!

よっしゃーーーー!!!

Twitterとインスタの両方でツイート、投稿してしまうほどめちゃくちゃ嬉しかったですw。

どうも、知栄砂空です。

では、お花見回スタートです。


14話 お花見がしたい、ただそれだけ

「・・・!みんな!着いたよ!花美ヶ丘公園!」

 

「・・・結構広い公園なんですね。」

 

「はい。それに、・・・すごく、綺麗です。」

 

「花美ヶ丘、というだけあるわね。」  

 

・・・2:30ちょっと過ぎか。

 

25分ぐらいに公民館を出てこの時間に着いたってことは、・・・意外と公民館から近かったんだな。

 

いてて・・・。

 

「大丈夫?空見くん。」

 

「う、うん、大丈夫。」

 

結局公園へは、歩きで来た。

 

なぜなら、・・・松原さんとかけっこを始めた瞬間、僕がこけたからだ。

 

・・・もう一度言おう。

 

僕がこけたからだ。

 

・・・しかも盛大に、何もないようなところで。

 

・・・はぁ、つい調子に乗っちゃった。

 

こけた瞬間、めちゃくちゃ恥ずかったんだけど・・・。

 

こけたのなんて何年かぶりだし、見られたのが松原さん達だから尚更。

 

・・・まぁ要は、僕がこけたことにより、白鷺さんの案で走って行くのはやっぱりやめようという話になり、こうして歩きで来ることになった、ということだ。

 

ちなみにこけたとき血も出て結構痛かったので、今は松原さんに肩を貸してもらいながら歩いている。

 

・・・情けなさすぎる。

 

「・・・みんな、どこにいるのかなぁ?」

 

「親子連れの人達や子供達などはいっぱいいますが・・・」

 

「制服を着ている人は、・・・見当たりませんね。」

 

「・・・みんな、もう帰っちゃったのかしら。」

 

「「・・・」」

 

僕達が学校を出てから、もう三時間半も経ってるんだもんなー。

 

・・・公民館でいろいろ過ごしてるうちに、もうみんなとっくに着いて、とっくにお花見しながら昼ごはん食べて、とっくに帰ったんだろうな。

 

・・・はぁ。

 

「・・・あ。」

 

「どうしたの?彩ちゃん。」

 

「あんなところに、テラスがあるよ。」

 

「! ほんとだ。」

 

「おそらく、この公園を利用している人達の、休憩所みたいなところね。」

 

「・・・行ってみませんか?テラス。」

 

「「「「「え?」」」」」

 

「ずっとここでじっとしているわけにも行きませんし、・・・せっかく公園に来たんですから、観光代わり、とは言えないかもしれませんけど、その・・・」

 

「「「「「・・・」」」」」

 

「も、もしかしたら、皆さん、あのテラスの中にいるのかも、しれませんし。・・・」

 

「・・・そうね。燐子ちゃんの言う通りだわ。」

 

「!」

 

「本来の目的地は、この花美ヶ丘公園だもの。公園に少し入ってじゃあ帰ろうなんて、道を教えてくれた佳子さんにも申し訳ないわ。それに・・・」

 

「みんなもう帰っちゃったんじゃないかって決めつけるのは、良くないよね。燐子ちゃんの言うように、もしかしたらテラスにみんないるのかもしれないし。」

 

「行きましょうか、テラス。」

 

「・・・」

 

「ありがとう、燐子ちゃん。」

 

「! ・・・い、いえ///。」

 

「・・・」

 

「・・・?どうしたの?空見くん。行くよ?」

 

「え?あ、あぁうん。」タッタッタ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「・・・」」」」」」ガー。

 

「・・・!丸山さん!?」

 

「! あなたは確か、・・・誰だっけ?」

 

「浅井だよ!浅井美菜!」

 

「あ~そうそう、美菜ちゃ…「・・・」ガバッ! え?」

 

「「「「!?」」」」

 

「み、美菜、ちゃん?」

 

「もう、どこ行ってたの!?すっっっごく心配したんだよ!?」

 

「ご、ごめん。ちょっと、トラブル?にあっちゃって。」

 

「白鷺さんも!氷川さんも!白金さんも!松原さんも!空見も!・・・」

 

「ちょっと美菜ちゃん、大丈…「うわーーーーん!!」み、美菜ちゃん!?どうして泣いてるの!?」

 

「良かった~~!!みんな無事で良かったよ~~!!うわ~~~ん!!」

 

「・・・美菜ちゃん。」

 

「ったく大袈裟なんだよ浅井は。」

 

「! 橋山さん。」

 

「ど、どうも、氷川さん。・・・ほら浅井、丸山さんから離れなって。」

 

「うぅ、良かった、良かったよ~・・・。」

 

「分かったから、もう泣くなって。」

 

「・・・」

 

「こいつ、今はこんなんだけど、さっきまではめちゃくちゃクールぶって座ってたんよ?こーんな感じでさ。」

 

「そ、そうなんだ。」

 

「丸山さん達を見つけた途端、こんなに泣きわめくなんて。相当心配だったんだな、丸山さん達のこと。」

 

「・・・」

 

「うぅ、ううう・・・」

 

「ほら、もう泣くなって。・・・いつまでも泣いてたら、・・・あたしが、・・・もらい泣き、しちゃうじゃん。・・・うぅ、ううう・・・」

 

「・・・二人とも。」

 

「白金さんの言う通り、いましたね、テラスに。」

 

「は、はい。・・・良かった、です。」

 

橋山さんも浅井さんも、泣くほど心配してくれてたんだ。

 

「空見くん。」

 

「ん?」

 

「良かったね。」

 

「・・・うん。」

 

「二人とも、そろそろ泣き止んで。」

 

「浅井さん、私のハンカチ、使ってください。」

 

「うぅ、ありがとう、白金さん・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひとまず、椅子に座りましょうか。」

 

「うん。」

 

「そうですね。」

 

「・・・ねぇ浅井さ…、・・・美菜ちゃん。」

 

「何?」

 

「・・・他のみんなは、いないの?」

 

『・・・』ガラーン。

 

「そういえばこのテラス、・・・静かだね。」

 

「さっきまでは大雨が降ってたから、人もいっぱいいたんだけど・・・」 

 

「雨が止んで晴れたから、みんな外に出たのね。どうりでこんな静かなわけだわ。」

 

「! このテラス、お店もあるんですね。」

 

「ちっちゃい喫茶店だけどね。人もいるっちゃいるんだけど・・・」

 

「まぁ、・・・喫茶店、ですからね。」

 

「「「「「「「・・・」」」」」」」

 

「・・・!み、美菜ちゃん、みんなは?」

 

「え?」

 

「他のみんなはいないの?花咲川のみんな。」

 

「あぁ。・・・みんななら、鷹崎先生のある提案で、先に帰ってったよ。」

 

「・・・やっぱり、みんな帰っちゃったんだ。」

 

「待って。・・・ある提案?」

 

「う、うん。」

 

「鷹崎先生、・・・確か、C組の担任でしたよね?」

 

「はい、確か。」

 

鷹崎先生、・・・どの先生か全然分からん。

 

「美菜ちゃん、そのことについて、詳しく話してもらえないかしら。」

 

「え?あ・・・」

 

「・・・」

 

「? 橋山、さん?」

 

「・・・話さなきゃ、ダメ?」

 

「・・・ご、ごめんね。話しづらいことなら、無理に話さなくても…「いいえ、話してちょうだい。」! 千聖ちゃん!」

 

「私達に話しづらい、つまり、私達に関係する何かがあった、ということでしょ?」

 

「「・・・」」

 

「え?」

 

「白鷺さん、それっていったい・・・」

 

「話してちょうだい、二人とも。それがどんな内容であったとしても、私達はそれをちゃんと受け入れるから。そうでしょ?みんな。」

 

「「「「・・・うん(ええ・はい)。」」」」

 

「楓も、そうよね?」

 

「は、はい。」

 

「・・・」

 

「・・・分かった。」

 

「! 浅井!」

 

「黙ってたって、何の得にもならないよ。・・・私達が、ずっとそのことを引きずらなきゃならなくなるだけ。」

 

「・・・」

 

「(・・・二人とも、何があったんだろう・・・?)」

 

「・・・分かった、話すよ。」

 

「ありがとう、橋山さん。」

 

「・・・実は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-1時間前-

 

私と橋山が、ただ静かに、ぼーっとしながら座ってるときだった。

 

「・・・鷹崎先生。」

 

あ、あの二人は確か、C組の・・・。

 

「何だ?」

 

「私達、いつになったら帰れるんですか?」

 

「「!」」

 

「もうここに来て二時間くらい経つし、お腹も空いたし・・・。」

 

「・・・私達だけでも、帰って…「何自分勝手なこと言ってんだよ!」!」

 

「ちょ、橋山!」

 

「お腹が空いてるのなんて、みんな同じなんだよ。・・・でも、まだ…「何!?まだ待ってろって言うの!?」っ!」

 

「私達はもう充分待ったよ!携帯もない、外にも出れないこんな状態で、二時間も!ずっとこのテラスの中で!でももう限界!」

 

「そ、そんなの、た…「ただのわがまま!?ああそうだよ!わがままだよ!・・・ていうかあんた、いっちょまえに私を叱ってるけどさ、あんたのクラスの班のせいでこうなってんだよ!?」! ・・・」

 

・・・あいつ。

 

「分かってんの!?あんたのクラスの班のせいで、こっちは二時間も待たされてんの!ちゃんとそういう自覚あん…「空見達は悪くない!」ガタッ! !」

 

「え、浅井?」

 

「こんな大雨なんだもん。きっと何か、トラブルがあったんだよ。ここに来れないような何かが・・・。」

 

「・・・浅井。」

 

「・・・そんなの、私達の知ったこっちゃないもん。」

 

「! こ、こいつ~!」

 

「ちょ、ちょっとあなた達…「・・・」スッ。 え?鷹崎、先生?」

 

「・・・」ガタッ。

 

「・・・な、何ですか?」

 

「私達を、怒鳴るんですか?」

 

「・・・いいぞ。」

 

「「え?」」

 

「帰りたきゃ帰っていいぞ。」

 

「「! ・・・」」

 

「・・・勘違いするな。今のは叱ったわけではない。」

 

「「?」」

 

「お前ら全員聞けーー!!」

 

『?』

 

鷹崎先生、いったい何を・・・?

 

「今日のお花見は、急遽中止とする!」

 

『!?』

 

「「え!?」」

 

「各自、気をつけて帰るように!・・・」

 

「ちょ、ちょっと鷹崎先生!今のどういうことですか!?」

 

「どうって、言葉通りの意味ですよ美澤先生。お花見は急遽中止。」

 

「ま、まだ一班到着してないんですよ!?それなのに、中止って…「だからですよ。」え?」

 

「これだけ待っても到着しないということは、その子の言う通り、何かトラブルに遭った可能性が高いということです。だから、今日は一旦みんなを帰して、ちゃんとそのことを学校側に連絡したほうがいい、そう俺は考えたんですよ。」

 

「・・・で、でも、それだけじゃ…「それだけじゃ、何の解決にもならない、ですか?」! は、はい。」

 

「確かにその通りです。でも見てください。ご覧の通り、外は大雨、風も強い。こんな中で一つの班を探すのは、とても危険です。」

 

「・・・ですが・・・「高校生なんですから、きっとどこか雨宿りできるところを見つけて、そこで天気がよくなるまで待機してますよ。」・・・」

 

「そういうわけだからお前ら、今日はもう帰れ。まだ外は大雨だから、気をつけてな。」

 

「は、はい。・・・行こっか。」

 

「うん。」

 

「・・・なぁお前ら。」

 

「え?」

 

「あたし達、ですか?」

 

「そうだ。悪いが、さっき俺が言ったこと、あいつらに伝えといてくれねえか?」

 

「わ、私達が、ですか?」

 

「ああ。じゃ、頼んだぞ。」

 

「! 鷹崎先生、どこへ…「決まってるでしょ、学校へ戻るんですよ。」あ、・・・で、では、私も。」

 

「・・・どうする?浅井。」

 

「・・・今は、素直に言われたことをやろう。私はこっち側のみんなに伝えるから、橋山はそっちをお願い。」

 

「わ、分かった。」

 

「・・・みんなー!ちょっと聞いてー!」

 

「・・・」

 

『こんな大雨なんだもん!きっと何か、トラブルがあったんだよ。このテラスに着けなくなるような・・・。』

 

『・・・そんなの、私達の知ったこっちゃないもん。』

 

「(・・・自分達以外はどうだっていい、そういう思考なんだ、あの二人は。・・・)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ということがあったんだよ。」

 

「「「「「・・・」」」」」

 

「そう、そんなことがあったの。」

 

「ごめん。今ので、気分を悪くさせちゃったんなら、謝る…「いいのよ。ちゃんと受け入れるって言ったでしょ?」・・・うん。」

 

「・・・ねぇ。」

 

「「?」」

 

「何で二人は、帰らなかったの?」

 

「「「「!」」」」

 

「「え?」」

 

「帰ろうと思えば、二人とも帰れたわけでしょ?それなのにどうして二人は、帰らないで待っててくれたの?」

 

「「・・・」」

 

「彩ちゃん、その言い方は失礼…「いいよ、白鷺さん。」・・・美菜、ちゃん?」

 

「・・・じゃあ逆に、どうして丸山さん達はここに来たの?」

 

「え?」

 

「集合予定時間から二時間くらい経っちゃってるし、今から公園に行っても誰もいないかもしれない、そう思ってたんじゃないの?」

 

「そ、それは・・・」

 

「・・・さっき言ったね。私達は、帰ろうと思えば帰れたって。・・・それなら丸山さん達も、帰ろうと思えば帰れたんじゃないの?」

 

「! ・・・」

 

・・・ブーメランだ。

 

「それなのに、どうして帰らなかったの?何で公園なんかに来たの?どうしてテラスなんかに来…「お花見が・・・」・・・」

 

「・・・お花見が、したかったから。・・・花音ちゃん、千聖ちゃん、紗夜ちゃん、燐子ちゃん、そして空見くん。そこに私を入れたこの六人で、お花見がしたかったから。・・・だから私は、・・・いや、私達は、ここに…「私達も同じだよ。」え?」

 

「私達の班、私と橋山以外はみんな帰っちゃったけど、・・・やっぱり、お花見したいもん。先生はああ言ってたけど、もしかしたら来るかもしれない。もし来たら、私達も混ぜてもらって、いっしょにお花見したい。そう思ったから、私達はここで待ってたんだ。丸山さん達が来てくれるのを信じて。」

 

「・・・」

 

「? 彩ちゃん、どうし…「うわ~ん!美菜ちゃ~ん!」ガバッ! あ、彩ちゃん!?」

 

「よしよし、泣かないで、丸山さん。」

 

「うぅ、ごめん・・・。私、あんな失礼なこと言っちゃって、ほんとに、ほんとに、うぅ、ううう…「分かってるよ。ほら、もう泣かないで。みんな見てるよ。」うぅ、美菜ちゃ~ん・・・。」

 

「もう、彩ちゃんったら。」

 

「・・・美菜ちゃんと橋山さん、そして私達。みんな、同じ気持ちだったってことだよね。」

 

「ええ。」

 

「良かったです。丸山さんと浅井さんが、・・・仲直り、できて。」

 

「・・・宮村がいれば、もっと良かったんだけどな。」

 

「仕方ないよ。宮村、3:00から用事があるって言ってたし。よしよし、丸山さん。」

 

「「「! ・・・」」」

 

あの人、いつもこの二人といっしょにいるから、どうしてここにいないんだろうと思ってたけど、そういうことだったんだ。

 

・・・用事がある人を、無理矢理引き止めたりなんてできないもんね。

 

「「・・・」」

 

・・・なんか寂しそうだな、浅井さんと橋山さん。

 

「・・・はぁ、あいつともお花見したかったなー。」

 

「私達の班で一番お花見楽しみにしてたの、意外にも宮村だったもんね。」

 

「・・・宮村、今頃何して…「呼びました?」ヒョコ。 ! うわあっ!」

 

「み、宮村!?」

 

「「「「「「!」」」」」」

 

「お、お前、帰ったんじゃ、なかったの?」

 

「へ?」

 

「用事があるからって言って、帰ってったじゃん。」

 

「あぁ、それならすっぽかしました♪」

 

「す、すっぽかした?」

 

「はい♪そこまで大事な用でもなかったので。」

 

「そ、そう、なんだ・・・。」

 

「ところで、どうしてそんなに声が震えてるんですか?」

 

「び、びっくりしたんだよ。とっくに帰ったと思ったら、いきなり出てくるんだもん。」

 

「ほんと、心臓に悪いよ・・・」

 

「あはは・・・、すいません。」

 

「・・・千聖ちゃん、あの子は?」

 

「宮村音羽ちゃんよ。美菜ちゃんや橋山さんと仲がいいの。」

 

「てっきり、あの二人以外は帰ったのだとばかり思ってました・・・。」

 

「それは、私と千聖ちゃん、空見くんも同じだよ。だから、突然ヒョコって出てきたときはびっくりしちゃった。ね、空見くん。」

 

「う、うん。」

 

「浅井さん達も、・・・すごく、驚いてましたね。」

 

まぁ、あんなおどかしかた(本人はおどかしたつもりないっぽいけど)されたら、誰だってびっくりす…「空見さん。」ヒョコ。 わぁっ!」

 

「「「!」」」

 

「? 空見さん?」

 

・・・ほんと、心臓に悪すぎ・・・。

 

「ど、どうしたの?音羽ちゃん。」

 

「あ、そうですそうです。私、皆さんに見せたいものがあるんです。」

 

「見せたいもの?私達に?」

 

「はい!お二人にも、そのように伝えたところです。」

 

「そう、なの。」

 

「というわけで皆さん、各自荷物を持ってついてきてください!」

 

「と、唐突ね。」

 

「・・・なんか、やけに張り切ってるな、宮村。」

 

「きっと、張り切るくらいお花見が楽しみだったんだよ。そうでしょ?」

 

「うーん、それもありますけど。・・・ま、行ってみてのお楽しみですよ♪」

 

「お楽しみ?」

 

「ほらほら、空見さん達も早くついてきてください。」

 

「あ、う、うん。」タッ。

 

「私達に見せたいもの、・・・何なんでしょう?」

 

「うーん、・・・綺麗な景色とか?」

 

「彩ちゃんにしては、まともな考えね。」

 

「千聖ちゃん。それ、どういう意味?」

 

「なんか、ドキドキするね。」

 

「私も、少し、楽しみです。」

 

「ほらほら!早くついてきてください!」ダッ!

 

「あ、おい!いきなり走り出すなよ!」

 

「待ってよ~!宮村~!」

 

「「「「・・・」」」」

 

「わ、私達は歩いて行こう?空見くん。」

 

「う、うん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宮村~、まだ~?」

 

「もうちょっとですよ~。」

 

テラスを出て、宮村さんについていきながら歩くこと10分。

 

この通り、まだ目的地には着いてない(らしい)。

 

「・・・ねぇ音羽ちゃん、あとどれくらい?」

 

「だからもうちょっとですって。」

 

「宮村さん、もう少し具体的にお願いします。」

 

「・・・たぶん、もうすぐ、です。」

 

「「「「「・・・」」」」」

 

はぁ、ダメだこりゃ。

 

・・・てか思ったけど、ここら辺木々ばっかだな。

 

花という花が一つもない。

 

これじゃあ花美ヶ丘じゃなくて、木々ヶ丘だな。

 

はは、ははは・・・。

 

・・・くだらねぇ。

 

・・・はぁ、いつ宮村さんの言う目的地に着くんだろう。

 

いや、それ以前に、着けるのかすら不安だ。

 

・・・言っちゃ悪いけど宮村さん。

 

・・・これ、完全に…「! あった!ありました!」え!?

 

「「「「「「「「!」」」」」」」」

 

「ほら、見てください!」

 

宮村さんがそう言うと、僕達は一斉に宮村さんの指差した方向を見た。

 

するとそこには、目を奪われるほど美しく、言葉を失うほど綺麗な、ある光景が広がっていた。

 

「「「「「「「「・・・」」」」」」」」

 

「どうです?すごいでしょ。」

 

「・・・ええ、そうね。」

 

「すごい・・・、ほんとにすごいよ!」

 

「・・・綺麗ですね、氷川さん。」

 

「ええ、ほんとに。」

 

「こんなところが、あったんだね。」

 

「・・・うん。」

 

語彙力も失うほど、美しく綺麗な、ある光景。

 

それは、何本もの桜の木だった。

 

しかも、全ての桜が満開に咲いている。

 

これまで通ってきた道には、桜の木なんて一本もなかったのに。

 

・・・さっき宮村さんが言ってた、“もうすぐ”というのは本当だったらしい。

 

・・・ごめん、宮村さん。

 

「・・・あれ?」

 

「どうしたの?美菜ちゃん。」

 

「あの桜の木の下、誰かいない?」

 

「え?」

 

「・・・」

 

「! ほんとだ!」

 

「よく見ると、敷物らしきものも敷いてありますね。」

 

「敷物らしきじゃなくて、敷物、なんじゃないかな・・・?」

 

「・・・あの人、一人、ですね。」

 

「・・・俗に言う、ぼっちお花見というやつか。」

 

「橋山、そういうことは、可愛そうだから言わないであげようよ。」

 

僕達以外にもちゃんといたんだ、お花見してる人。

 

・・・って、あれ?

 

「? ・・・あれって、制服、ですよね?」

 

「「「「「え!?」」」」」

 

「確かに、制服に見えるわね。・・・あの色はもしかして、花咲川の・・・」

 

「私、ちょっと行ってくる!」ダッ!

 

「あ、彩ちゃん!・・・行っちゃった。」

 

・・・やっぱりあの人、花咲川の人だよね。

 

帰らなかったの、浅井さん達だけじゃなかったんだ。

 

「私達も行きましょうか。」

 

「うん。」

 

「そうですね。」

 

「「「「「「「・・・」」」」」」」

 

「「・・・」」

 

「彩ちゃん。」

 

「あ、みんな。・・・」

 

「どうしたんですか?そんな暗い顔をして。」

 

「それが・・・」

 

「・・・」

 

「(? この人、どこかで・・・)」

 

「あ、あなたの名前、教えてくれると嬉しいな。」

 

「・・・」

 

「じゃ、じゃあ、何組か、だけでも教えてくれると・・・」

 

「・・・」

 

「・・・この通り。」ショボン。

 

「なるほど、そういうことね。」

 

「全部、無視、か。」ボソッ。

 

「ちょっと橋山!」ヒソ。

 

しかしこの人、なんかすごいな。

 

・・・一言で言うなら、ギャル?

 

髪の色も、よく漫画とかで出てくるような金髪だし、ロングの髪もすごいギャル感あるし。

 

・・・この人、あれだ。

 

白鷺さんみたいな、怒るとめちゃくちゃ怖いタイプの人だ。

 

少し、離れて…「・・・」パキッ。 げっ、なんか踏んだ。

 

「! ・・・」スッ。

 

「「「「「「「!」」」」」」」

 

ってなんだ木の棒か。

 

そういやここら辺、木の棒とかマツボックリとかめちゃくちゃ落ちて…「ねぇ。」え?

 

「・・・」

 

「!?」

 

こ、この人、いつの間に僕の後ろに・・・。

 

・・・これじゃ、逃げたくても逃げらんないじゃん。

 

「・・・」

 

「・・・えっと、・・・ぼ、僕に、何かよ…「ごめん。」・・・え?」

 

「「「「「「「!?」」」」」」」

 

「私があんなことをしたせいで、空見は腹痛に・・・。ほんと、ごめん。」

 

「・・・ご、ごめん、全然話が見えないんだけど。」

 

「(・・・!まさか、それって・・・。)」

 

「さっちゃん、空見さん困ってるよ?ちゃんと1から説明しないと。」

 

「・・・」

 

「へ?」

 

「「さ、さっちゃん?」」

 

「「「「?」」」」

 

「お、音羽ちゃん。あなた、この子と知り合いなの?」

 

「知り合いも何も、さっちゃんは私の友達ですよ。」

 

「え?」

 

「そ、そうだったんだ・・・。」

 

「はい。それに皆さん、一回さっちゃんと会ったことあるんですよ?」

 

「!」

 

「ど、どういう、こと?」

 

「昨日のオリエンテーションで、空見さんにしつこく絡んできた人、覚えてますか?」

 

「僕にしつこく、絡んできた人・・・?」

 

『あたし達ね、空見と話がしたいんだ。』

 

『というわけで空見、今からいろいろ話そうよ!』

 

「「・・・あの人か(ね)。」」

 

あのときは、ほんとに大変だったなー。

 

ま、白鷺さんのおかげでなんとかあの場から抜け出すことはできたんだけど。

 

「音羽ちゃん、それがどうかしたの?」

 

「それ、この子です。」

 

「「「「「「「「・・・え?」」」」」」」」

 

「菊池沙谷加。この子が、昨日空見さんにしつこく絡んできた、あの人です。」

 

「「「「「「「・・・」」」」」」」

 

「(菊池沙谷加?・・・!思い出したわ!確かこの子、去年私と同じクラスだった・・・)」

 

「・・・つ、つまり、昨日の人とその子は、同一人物、ということ?」

 

「はい!」

 

「・・・」

 

「・・・え?」

 

「「「「えぇ~~~~!!??」」」」  

 

・・・マジ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「花音、こんな感じでどうかしら。」バサッ。

 

「うん、良いと思うよ。」

 

「丸山さんの敷物、大きいですね。」

 

「えへへ、すごいでしょ~♪最大五人まで座れるんだよ。うわっ!」バサッ!

 

「風、強いですね。敷くの、手伝いますよ。」

 

「橋山さんの敷物、可愛いですね。」

 

「え?そ、そう?」

 

「橋山、意外と可愛いもの好きだもんね。ぬいぐるみとか、アクセサリーとか集めてるし。」

 

「ちょ、ちょっと浅井!」

 

「ふふ。橋山さん、可愛いですね~。」

 

「宮村も茶化すな!ていうか、無駄話してないでさっさと敷くの手伝う!」

 

「はいはい。」

 

橋山さんが可愛いもの好きだったなんて、意外だ。

 

・・・猫とかも、好きなのかな?

 

「こら空見!ぼーっとしてないで手動かす!」

 

「! ご、ごめん。」

 

今僕達は、敷物を敷いている(まぁもうすぐ敷き終わるんだけど)。

 

流石に全員分敷くのは大変だし、時間もかかるので、浅井さんの提案によるじゃんけんの結果、松原さん、丸山さん、橋山さんの敷物を使うことになった。

 

もちろん最初から敷いてくれていた菊池さんの敷物は、そのままいっしょに使わせてもらうつもりだ。

 

「できた~!」

 

「では、さっそくお花見を始めましょうか。」

 

「あたし達も敷けたよー!」

 

「白金さん、弁当見せあいっこしよ!」

 

「は、はい。」

 

「おぉー!氷川さんのお弁当、可愛いですね~。」

 

「か、勝手に見ないでください///!」

 

「・・・」ポカーン。

 

「沙谷加ちゃんも、いっしょにお弁当の見せあいっこ、しよう?」

 

「! ・・・で、でも、私は…「じゃじゃーん。」・・・か、可愛い。」

 

「えへへ、ありがとう。このお弁当、私の手作りなんだ。特に頑張ったのがこのクラゲで、クラゲがふわふわってしてるところをイメージしながら・・・」

 

・・・なんか、すごい熱く語ってる。

 

松原さんって、クラゲ好きなのかな?

 

「空見くんのお弁当も、見てみたいな。」

 

「え?あ、ぼ、僕?」

 

「うん。」

 

「ま、まぁいいけど・・・」

 

僕の弁当、ごくごく普通の弁当なんだよな。ガサゴソ。

 

冷凍食品のやつとか、惣菜とかを半分入れて、あとの半分はご飯を詰めるだけっていう。ガサゴソ。

 

まぁ、たまに違うのもあるけど。ガサゴソ。

 

・・・あれ?

 

「どうしたの?空見くん。」

 

あれ?あれ?あれあれあれあれ??ガサゴソ。

 

「そ、空見、くん?」

 

・・・ヤバい。

 

・・・これ、完全にまずったわ。

 

「・・・ない。」

 

「え?」

 

「・・・弁当、家に置いてきた。」

 

「「・・・えぇ~~~!!??」」




はい、お花見回次回に続きますw。

別にお花見回が一話完結とは言ってませんのでw。

みなさんは今年、お花見行きましたか?

僕は家族といっしょに行きました。

桜、満開で綺麗だったなー。

・・・お花見花音ちゃん欲しい…。

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