田舎から引っ越してきた僕と個性的な人達   作:知栄 砂空

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どうも、知栄砂空です。

ガルパに春擬きカバーキターーー!!!

最近俺ガイル見終わったばかりだから、めっちゃタイムリー!

恋愛裁判も聞いたことなかったから聞いてみたけど、めちゃくちゃ良い曲!(ボカロに関してはにわかです)

前から知ってはいたんですけど、ボカロ曲って題名が曲名になってる本があるんですよね。

恋愛裁判を試し読みしてみたらめっちゃ面白かったので、今度探してみようかな。(←ライトノベル系を買ったことすらない人)


15話 見た目はギャルでも中身は普通の女子高生

「ど、どうしたの花音!?」

 

「さっちゃん、何かあった?」

 

「あ、いや、私達は、何もないんだけど。」

 

「・・・そ、空見が。」

 

「空見くんが、どうかしたの?」

 

「空見くん、・・・お弁当、忘れてきちゃったみたいで。」

 

「! そうなの!?」

 

「空見、それほんと!?」

 

「・・・うん。」

 

「しかし空見さん、水筒は持ってきていましたよね?」

 

「水筒だけ持ってきて、・・・弁当は、かばんに入れ忘れたみたいで・・・。」

 

「・・・全く、ちゃんと確認しないからそういうことになるのよ。」

 

「・・・ご最もです。」

 

白鷺さんの言う通りだ。

 

家を出るときに、かばんの中身を確認する。

 

いつもしていることをし忘れた…、いや、しなかったから、弁当を忘れるなんて失態を。

 

・・・はぁ。

 

今日は昼ごはん抜きか。

 

ま、一食食べなくても別に大丈「・・・」グ~。 あ。

 

「はぁ、昨日のことを忘れたの?あなたが昼ごはんを食べなかったせいで、昨日はあんなことになったんでしょ?一食くらい食べなくてもいいや、なんて、バカな考えはもうやめなさい。」

 

そ、そうだった・・・。

 

「す、すいません・・・。」

 

「・・・あんなこと?昼ごはんを食べなかったせい?」

 

「あ、そっか、沙谷加ちゃんは知らないんだよね。」

 

「?」

 

「・・・これは、私達が楓を保健室に連れていこうと、体育館を出た後の話なのだけど・・・」

 

「え?ちょ、白鷺さん?それ、今話すんですか?」

 

「ええ。沙谷加ちゃんには、知っておいてもらったほうがいいでしょ?」

 

「そ、それはそうですけど、でも、これを話し出したら結構長くなるっていうか…「別に長い話を聞くのは嫌いじゃないから大丈夫。」そ、そう、なの?」

 

「・・・」クル。

 

「氷川さん?どうして、後ろを向…「察してください。」! は、はい。」

 

そして白鷺さんは、菊池さんに昨日の出来事を話し始めた。

 

その間、氷川さんはずっと後ろを向いていた。

 

詳しい事情を知らない橋山さん、浅井さん、宮村さんは、興味津々で聞いていた。

 

菊池さんに関しても、興味津々ではあったが、めちゃくちゃ真面目に白鷺さんの話を聞いていた。

 

その間僕はというと、・・・氷川さんと同じく、ずっと後ろを向いていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『空見って、何でこの学校に来たの?』

 

『好きなものとかこととかあるの?』

 

『ペットとか飼ってる?』

 

『前の学校ではどんな感じだった?』

 

『え、えーっと、そのー・・・。』

 

『・・・すごく、しどろもどろになってるわね。』

 

『た、助けてあげたほうが、いいんでしょうか?』

 

『そ、そうだよ!困ってたら助けてあげなきゃ!・・・すいませーん、ちょっと通し…うぐっ!』

 

『彩ちゃん!ど、どうしよう。これじゃあ空見くんが…『・・・』スッ。 ! ち、千聖ちゃん?』

 

『すみません、少し通してください。すみません。』

 

『・・・す、すごい。』

 

『白鷺さん、あの人混みを簡単に・・・。』

 

『ねぇ、あたしも空見にいろいろ質問したいよ~!』

 

『ちょっと!ちゃんと順番守ってよ!』

 

『次、私私ー!』

 

・・・ど、どうしよう。

 

・・・全員女子だから、逃げようにも逃げられないし。

 

・・・はぁ。

 

この時間が終わるまで、このまま耐えるしか…ん?

 

『すみません、通してください。すみません。』

 

『! 白鷺さん!』

 

『楓、行くわよ。』ガシッ。

 

『え、行くってどこへ…『黙ってついてきなさい。』・・・はい。』

 

『・・・』スルスルスル。

 

す、すげえ。

 

この人混みの中をこんなスルスルと抜けるなんて。

 

『・・・楓、これを。』スッ。

 

え?

 

・・・何だろ、この紙。

 

『読んで。』ボソッ。

 

『! は、はい。・・・え?これは・・・?』

 

『《窮地に陥ったときの対処法》

 ・お腹がすごく痛くなった演技をする      (そのときが来るまで継続)    』 

 

『・・・何ですか?これ。』ボソッ。

 

『いいから。とにかく今は、そこに書いてある通りのことをして。』ボソッ。

 

・・・無茶ぶりすぎるでしょ、それ。

 

『・・・連れてきたわよ。』

 

『千聖ちゃん!大丈夫だった?』

 

『ええ、何も問題なかったわ。そうでしょ?楓。』ニコッ。

 

『え?あ、はい。』

 

問題、なかったわけじゃないけど・・・。

 

・・・いいや、よく分かんないけど、やるだけやってみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんな短い時間で、そんなことがあったんだ。」

 

「うん。最初はその紙の意味が全然分からなくて、ほんと大変だったよ。」

 

「でも、白鷺さん。そんな紙、いつの間に、書いていたんですか?」

 

あ、それ、僕も気になってたんだよな。

 

「書いたのではないわ。もらったのよ。」

 

「「「「「え?」」」」」

 

「あるドラマの撮影のときに、小道具として渡されたのよ。でも、返すのを忘れてしまって・・・。学校が終わった後、事務所に返しに行こうと思ってポケットに入れといたのだけど、そういうものが、意外なところで役に立つものなのね。」

 

「「「「「・・・」」」」」

 

「? どうしたの?みんな。」

 

まぁ、ツッコミどころはいろいろあるけど、・・・白鷺さんてすごいね。

 

「それで楓。」

 

「え?あ、何ですか?」

 

「さっきも言った通り、事務所に返さないといけないから、その紙を返してほしいのだけど。」

 

「は、はい、分かりました。」

 

「・・・」

 

「えっとー・・・(確か、制服のポケットに・・・、! あった、これだ。)」スッ。

 

「!(楓のことだから、どうせないんじゃないかと思っていたけれど、・・・少しは成長したのね。)」

 

「はい、白鷺さん。」

 

『・・・』グチャ~。

 

「「「「!」」」」

 

「・・・」

 

「あ、あれって、もしかして・・・」

 

「もしかしなくても、そうですよね。」

 

「・・・楓、これは?」

 

「え?だから紙ですよ。白鷺さんに渡されたか…「全く私が渡した紙の形には見えないのだけど。」え?・・・あれ?」

 

『・・・』グチャ~。

 

「・・・な、何で?・・・あ。」

 

『みんながお風呂に入ってる間に、私が乾かしておこうと思ってるんだけど、どうかな?』

 

「あ、・・・あ、ああ、あああ・・・。」

 

「・・・」ゴゴゴ…。

 

「!(さ、殺気を感じる!?)」

 

「・・・千聖ちゃん、すごい怒ってる・・・。」

 

「こ、怖い、です・・・。」

 

「・・・えっと、あの、これは、その…「か・え・で?」ポン。 !(ひいっ!)」

 

「分かって、いるわよね♪」ニコッ。

 

「・・・はい。」ズーン。

 

「「「「・・・」」」」

 

「・・・よく分かんないけど、つまり空見の腹痛は、私のせいじゃなかった、ってこと?」

 

「ええ。あれは楓の、呆れるほど下手で、何の心もこもってないいわば最低最悪の演技だったのよ。」

 

「!グサッ! !グサッ! !グサッ!・・・」

 

「・・・そう。」

 

「・・・空見のやつ、ボロクソ言われてんじゃん。」

 

「まぁ、状況が状況だからね。」

 

『・・・体育館を出るとき、空見さんがお腹を痛がっていたというのに、どうしてあなたはため息なんかついてたんですか?』

 

『あれは、・・・単純に、あきれてたのよ。』

 

「(あれは、そういうことだったのね。)」

 

「・・・ねぇ、沙谷加ちゃん。」

 

「! な、何?」

 

「私、沙谷加ちゃんの話も聞きたいな。」

 

「私の話?」

 

「うん。こう言っちゃ失礼かもしれないけど、沙谷加ちゃん、昨日とはまるで雰囲気が違うでしょ?さっきからずっと思ってたんだ。何でだろうって。 」

 

「・・・そ、それは・・・」

 

「それに、沙谷加ちゃんが帰らないでいてくれた理由も知りたい。」

 

「帰らないでいてくれた理由って、・・・私は、ただ…「私。」?」

 

「沙谷加ちゃんのこと、いろいろ知りたい。好きなものとか、嫌いなものとか、趣味とか、えっと・・・、あ!好きなアイドルとか!」

 

「・・・アイドル?」

 

「ふふ。」

 

「彩ちゃん・・・。」

 

「そういうのをいっぱい共有して、それで、・・・沙谷加ちゃんと、友達になりたいんだ。」

 

「・・・私が、こんな見た目でも?」

 

「え?」

 

「分からない?ほら、髪とかこんな長くて、金髪で。・・・見た目、ギャルっぽいじゃん。」

 

「ぎゃ、ギャル?」

 

「そう。だから、・・・怖そうだなとか、思わ…「思わないよ。」え?」

 

「沙谷加ちゃんが怖そうだなんて、全然思ってない。むしろ、可愛いと思ってるよ。」

 

「! か、かわ…///!」

 

「さっき、花音ちゃんにお弁当を見せてもらってたでしょ?そのときの沙谷加ちゃん、顔がすごくキラキラしてたよ。」

 

「わ、私が?」

 

「うん、沙谷加ちゃんが。」

 

「・・・」

 

「私は、そんな沙谷加ちゃんと友達になりたい。それだけだよ。」

 

「・・・」

 

「ここにいるみんなも、そう思っているはずよ。」

 

「! ここにいる、みんなも・・・?」

 

「「「「「「・・・」」」」」」コク。

 

「・・・そっか、そうなんだ。・・・ふふ。」

 

「? 沙谷加ちゃん?」

 

「ごめん。私、面と向かって友達になりたいなんて言われたの、初めてだったから、嬉しくって。」

 

「・・・」

 

「「「「「「「「・・・」」」」」」」」

 

「さっちゃん・・・。」

 

「丸山さん、だっけ?」

 

「え?あ、うん。」

 

「改めて、私からお願い。・・・私と、友達になってください。」

 

「! ・・・うん!もちろん!」ギュッ!

 

「わっ!(は、初めて、人に手握られた・・・///。)」

 

「・・・これで、良かった、のかな?」

 

「ええ、たぶん。・・・」

 

「あ、そうだ。ちょっといい?丸山さん。」

 

「? うん。」

 

「・・・」

 

・・・はぁ。

 

完全に謝るタイミング逃した・・・。

 

いつどうやって謝ればいいん…「空見。」!

 

「あ、き、菊池さん。」

 

「・・・」

 

「・・・ど、どうし…「昨日はほんとにごめん。」え?」

 

「「「「「「「!」」」」」」」

 

「・・・」

 

「な、何で謝るの?そのことについてはもう、解決…「確かに、空見の腹痛は私のせいじゃなく、空見自身の演技だったってことは分かった。でも、・・・その原因を作ったのは、間違いなく私。」・・・」

 

「丸山さん、さっき聞いたよね。何で昨日と雰囲気が全然違うんだろうって。」

 

「! う、うん。」

 

「・・・空見に話しかけるためだよ。」

 

「「「「「「「!」」」」」」」

 

「・・・」

 

「ぼ、僕に?」

 

「私、昔からこんな見た目でさ。そのせいで、友達は全然いなかったの。まぁいたっちゃいたけど、それが友達って言えるか言えないかって言われたら、・・・たぶん、後者だった。」

 

「「「「「「「「「・・・」」」」」」」」」

 

「昨日、私の後ろをついてきてたあの集団いたじゃん?あの人達みんな、勝手に私についてきてただけなんだよね。この高校に入学してから、なぜか私の周りにだんだん人が集まってくるようになって。最初は、みんな私と友達になりたいのかな、って思ってた。・・・でも、違った。ただあの人達は、・・・あいつらは、私のこの見た目がかっこいいと思ったからついてきてただけ。いわば子分みたいなものだったんだよ。別に、友達になりたいからとか、そういうのでは全然なかった。私とあいつらの関係は、ただの親分子分の関係だったんだよ。」

 

「「「「「「「「「・・・」」」」」」」」」

 

「それでも私は、誰かと友達になりたいって、心の底で思ってたの。そんなときだった。A組に、男子が転校してくるって話を聞いたのは。」

 

「!」

 

「チャンスだと思った。男子とは、関わったことが全然なかったから、仲良くなるチャンスだって。だから私は、音羽やクラスのやつらに相談した。転校してくる男子に、怖がらせないで話しかけられる方法を。そしたら、ウィッグをつけてみれば、とか、話し方を変えてみれば、とか、いろいろ教えてくれた。」

 

「・・・それが、昨日のあの沙谷加ちゃんだったのね。」

 

「うん。昨日の私が、いつもと雰囲気を変えた私で、今の私が、いつもの素の私。」

 

「・・・」

 

「雰囲気を変えれば、空見と仲良くなれると思った。・・・今思えばそんなの、安易すぎる考えだったんだよね。男子と関わったことがなかったとは言え、初対面の人にあんなぐいぐい迫るなんて。・・・人の気持ちを考えることもできないなんて、仲良くなる以前の問題だよね。」

 

「「・・・」」

 

「「「「「「「・・・」」」」」」」

 

「・・・中には、昨日みたいに迫られても、冷静に対処したり、すぐに打ち解けて仲良くできる人もいる。でも、楓はそうじゃない。」

 

「・・・うん。・・・空見には、ほんとに悪いことをしちゃったな。」

 

「・・・べ、別にもういいよ。菊池さんの気持ちは、十分伝わ…「ううん、ダメ。空見が良くても、私が嫌なの。」・・・」

 

「だから、・・・もう一度謝らせて。・・・空見、ほんとにごめん。」

 

「・・・」

 

・・・なんか僕今日、謝られてばっかだな。

 

「・・・」グ~。

 

あ。

 

「「「「「「「「!」」」」」」」」

 

「!」

 

「・・・/////。」

 

ヤバ、恥ず///。

 

こんなときにお腹鳴るとか、めちゃくちゃ恥ず///。

 

「・・・そういえば空見、お弁当忘れたんだっけ。」

 

「・・・う、うん。」

 

「・・・」・・・ガサゴソ。

 

菊池さん、何を探して…「・・・」パカ。 あ、弁当か。

 

・・・弁当見ると、またお腹鳴りそうで怖い・・・。

 

「・・・「これ、私の手作りなんだ。」え?あ、そ、そう、なんだ。」

 

手作りか。

 

・・・僕の弁当は、手作りなのお母さんの作ってくれる玉子焼きぐらいしかないな。

 

あとは、お父さんが作ってくれたカレーとか鍋か。

 

「(・・・!は、橋山!出すなら今だよ!)」コソコソ。

 

「(そ、そうか!よし!)」コソコソ。

 

あと手作りと言えば・・・、! オムライスだ!

 

お母さんのオムライス、意外と美味しいんだよな~。

 

「「・・・そ、空見!もしだった…「はい、空見。」スッ。 え?」」

 

「「「「「「!」」」」」」

 

「え?」

 

「私の弁当、少し分けてあげるよ。」

 

「! い、いいよ別に。そんなの悪いし、別に大丈夫だ…「・・・」グ~。 ・・・///(何で今鳴るんだよ~///!)」

 

「・・・お腹、空いてるんでしょ?」

 

「・・・」

 

「・・・それとも。」

 

「え?」

 

「「!」」

 

「こうやって、食べさせてもらったほうがいい?」ズイッ。

 

「! べ、別にそういうわけじゃ///!(き、菊池さん顔近いって///!)」

 

「「「「「「・・・」」」」」」ジトー。

 

「「・・・」」プチッ。(何かが切れる音)

 

「・・・!」

 

「「・・・」」ゴゴゴゴ…。

 

「(き、気のせいでしょうか。何か橋山さんと浅井さんから、黒いオーラが出ているような・・・。)」

 

「だから、別に僕は…ん?」

 

「「・・・」」ゴゴゴゴ…。

 

・・・何か、橋山さんと浅井さんににらまれてる気がする。

 

・・・あれ?

 

僕何かした?

 

「!(ふ、二人が、沙谷加ちゃんのことをにらみつけてる!?え、何で!?・・・よ、よく分かんないけど、とにかく沙谷加ちゃんを助けなくちゃ!)」

 

「あはは、もう冗談だって~。空見の顔、めちゃくちゃ赤くなって…「沙谷加ちゃん!いっしょに桜見に行こ!」グイッ! え?あ、ちょっと丸山さん!?」

 

「「「「「「・・・」」」」」」ポカーン。

 

・・・丸山さん?

 

え、何?

 

どゆこと?

 

「(そっか、その手がありました!ありがとうございます丸山さん!)橋山さん、浅井さん、私達も桜見に行きましょ!」

 

「「・・・」」

 

「さ、桜でも見れば、少しは気分転換になると思いますよ?」

 

「・・・そーだね。」

 

「! 橋山さ…「気分転換気分転換。」へ?」

 

「桜見に行こー桜。」

 

「あ、浅井さ…「楽しみだなー桜。」! ちょ、ちょっと待ってくださいよ~!」

 

「「「「「・・・」」」」」

 

ぼ、棒読み・・・。

 

って、え?

 

橋山さん達まで!?

 

「・・・きゅ、急にどうしたんだろう、みんな。」

 

「さ、さぁ・・・。」

 

「全く、あの人達は。」

 

「・・・」

 

・・・はぁ。

 

もう何が何だか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・」グ~。

 

・・・はぁ、腹へった。

 

・・・お茶でも飲むか。

 

えーっと、・・・あった。

 

・・・あれ?

 

ない。

 

何で?

 

・・・あ。

 

・・・そういや、公民館の屋根で雨宿りしてるとき、みんなで飲んだんだ。

 

てかあのとき、僕だけ飲めてないし。

 

・・・はぁ、最悪。

 

・・・もう帰りた…「はい。」・・・え?

 

「・・・」

 

「し、白鷺、さん・・・。」

 

「私のお弁当、少し分けてあげるわよ。」

 

「・・・で、でも…「何?いらないの?それなら別にいい…「す、すいませんすいません!いりますいります!」・・・ふふ。」?」

 

「あなたがさっきから私と目を合わせないのは、私が怒っていると思っているからでしょ?」

 

「! そ、それは…「正直に言いなさい。」・・・はい、そうです。」

 

「「「・・・」」」

 

「・・・いいわよ。」

 

「へ?」

 

「さっきの紙の件、一旦許してあげる。」

 

「! ま、マジです…「言っておくけど、勘違いしないでね。」!」

 

「私は、“一旦許す”と言っただけ。その意味を、よーく噛み締めておいて。」

 

「・・・は、はい。」

 

こ、怖え・・・。

 

「・・・なんてね♪」

 

「へ?」

 

「・・・はい。これ、楓の分よ。」

 

「あ、・・・ありがとう、ございます。」

 

白鷺さんは、自分の弁当箱の蓋をお皿代わりにして、そこに白ご飯とサラダを入れてくれた。

 

僕、人から弁当分けてもらうの初めてだな。

 

「空見さん。よろしければ、私のもどうぞ。」パカ。

 

「!」

 

「あ、空見くん、私のもどうぞ。」

 

「わ、私のも、・・・どうぞ。」

 

・・・まさか、氷川さんと松原さん、白金さんからももらえるとは思わなかった・・・。

 

ちなみに氷川さんは(なぜかにんじんが入ってない)きんぴらごぼうを、松原さんは玉子焼き(二つ)を、白金さんはプチトマト(三つ)をくれた。

 

「・・・」

 

「? どうしたの?かえ…「本当にありがとうございます!」ドゲザ。 ! ちょ、ちょっと楓、大げさよ///。」

 

「このご恩は、いつかきっとお返ししますので!」

 

「べ、別に大丈夫だよ~。」

 

「空見さん、顔をあげてください!」

 

「ほんとのほんとに、ありがとうございます!」

 

「そ、空見さん・・・。」

 

土下座するほど嬉しいとは、まさにこのことだ…「今すぐそれをやめないと、食べ物没収するわよ。」!バッ!

 

「・・・す、すいません。つい、調子にのりすぎました・・・。」

 

「・・・ふふ。分かればいいのよ。」

 

「ほら、顔をあげて、空見くん。いっしょにお弁当食べよう?」

 

「・・・うん。ありがとう、松原さん。」

 

「丸山さん達、いつ戻ってくるんでしょうか?」

 

「心配ないわよ紗夜ちゃん。もう少しすれば帰ってくるわ、彩ちゃんなら。」

 

「(? どうして、丸山さんだけ・・・?)」

 

「それじゃあみんな、彩ちゃんには悪いけど、先にお花見、始めてましょうか。」

 

あ、待たないんだ・・・。

 

「・・・楓も、もう食べてていいのよ?」

 

「あ、はい。それじゃあ・・・」

 

うーん、どれから食べようかな・・・。

 

うん、やっぱりまずは、白ご飯からかな。

 

よし、じゃあいただきまー…、・・・ん?

 

・・・あ。

 

「? 空見さん、どうして固まっているんですか?」

 

「! もしかして、どこか体の具合が悪いとか!?」

 

「いや、別にそういうわけじゃなくて・・・」

 

「じゃあ何なの?」

 

「・・・箸、ですよね?」

 

「「「え?」」」

 

「うん。・・・いざ食べようと思っても、箸がないから食べれなくて。」

 

「・・・はぁ、それならそうと早く言えばいいのに。」

 

「具合が悪いわけじゃなかったんだね、良かった~。」

 

「紛らわしいことしないでください。」

 

・・・これ、僕が悪いの?

 

「はい、空見さん。」

 

「ん?・・・あ。」

 

「私、お弁当のときはいつも、予備に二つ箸を持ち歩いてるんです。なので、もしだったら一本、使ってください。」

 

「あ、ありがとう、白金さん。」

 

「燐子ちゃん、気が利くのね。」

 

「た、たまたま、です///。」

 

「良かったね、空見くん。」

 

「うん。」

 

よし、これで箸も無事ゲット。

 

これでようやく食べれるな。

 

というわけで、いただきま…「おーい!みんなー!」え?

 

「! 彩ちゃん!」

 

「お帰り彩ちゃん。桜、どうだ…「・・・」パタン。 あ、彩ちゃん!?大丈夫!?」

 

「つ、疲れた~・・・。」

 

・・・確かに白鷺さんの言う通り、丸山さん“は”戻ってきたな。

 

「どうしたのですか?丸山さん。」

 

「何が、あったんですか?」

 

「て、テラスのところから、ずっと、走って、きたから、・・・つ、疲れて、はぁ、はぁ・・・」

 

「わ、私、お水くんで…「だ、大丈夫だよ、花音ちゃん。」そ、そう?」

 

「・・・丸山さん、他の四人は、いったい・・・」

 

「あ、美菜ちゃん達なら、テラスにいるよ。」

 

「テラスに?」

 

「なんかね、美菜ちゃんと橋山さん、音羽ちゃんと沙谷加ちゃんの四人で、ガールズトークするんだって。」

 

「ガールズ、トーク?」

 

「うん。四人だけで話したいことがあるから、って言ってたよ。」  

 

「四人だけで、話したいこと・・・?」

 

「! も、もしかして美菜ちゃん達、喧嘩しちゃったんじゃ…「それはないよ。」え?」

 

「どうして、そう言い切れるんですか?」

 

「だってみんな、すごく楽しそうな顔してたもん。沙谷加ちゃんだけ、なぜか顔が赤くなってたけど。」

 

「「「「・・・」」」」

 

「だからたぶん、喧嘩なんかじゃないよ。心配しなくても、大丈夫だと思う。そうでしょ?千聖ちゃん。」

 

「・・・ええ、そうね。」

 

「・・・」グ~。

 

「「「「「!」」」」」

 

「あ。・・・///。」

 

「彩ちゃん・・・。」

 

「あ、あはは・・・。お腹すいちゃった。走ってきたからかな。」

 

「・・・お花見、しましょうか。」

 

「そうですね。」

 

「私も、お腹すいちゃったかも。」

 

「ずっと、しゃべってばかりでしたしね。」

 

「よ、よーし!じゃあさっそくみんなで、お弁当食べ…じゃなかった、お花見しよー!」  

 

「「「「「・・・」」」」」

 

「・・・あれ?」

 

「・・・彩ちゃん、無理して言い直さなくてもいいのよ?」

 

「丸山さんが言いたいことは、よく分かってますから。」

 

「早く食べたいんだよね、彩ちゃん。」

 

「みんなで“お弁当”、食べましょう。丸山さん。」

 

「もう~///!みんなしてからかわないでよ~///!」

 

完全に丸山さんを煽ってる・・・。

 

「ほら!空見くんも“お花見”、始めるよ!」

 

「! う、うん。」

 

ま、丸山さん、涙目になりながら怒ってる・・・。

 

相当恥ずかしかった、のかな・・・?

 

「うぅ・・・。」




次回でお花見回完結!・・・だと思います。

今月中には終わらせたいなー。

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