若干タイトル詐欺になってるかも?です。(下手したら若干いらない…)
唐突だが、僕は今駅前の広場にいる。
今日は日曜日。
空も晴れていて、広場近くは多くの人で賑わっている。
ではここで問題。デデン!
そんな日に、僕はなぜここにいるのでしょう。
・・・答えは簡単。
今日のこの時間この場所に来いと、昨日日菜さんからメールが来たからだ。
・・・ここだけの話、ほんとは来たくなかった…。
だって、今日は一日ゲーム三昧する予定だったんだもん!
でもさ、・・・あんな脅しかけられたらさ、・・・来るしかないよね。
『もし来なかったら、・・・お楽しみに♪』
!ブルッ! お、思い出しただけでも寒気がする…。
怖い、マジで脅し怖い・・・。
「おーい!空見くーん!」
! き、来た!
実際に会うのは芸能事務所に行ったときだから・・・、三日ぶりぐらいか。
ほんと、何であのとき、それまでほぼ関わりがなかった僕と番号交換したのか、謎だよな。
・・・ってそうだそうだ。
あいさつぐらいはちゃんとしないとな。
「お、おはよう、日菜さ…、・・・ん?」
・・・あれ?
・・・おかしいな。
今僕の目には、本来この場にいるはずのない人の姿が見えるんだけど。
僕、目は良い方なんだけどな。
「! ちょっと日菜!?どうして空見さんがいるのよ!?」
「そんなの、空見くんも呼んだからに決まってんじゃん!」
「聞いてないわよそんなの!」
「だって教えてないもん。サプライズだよおねーちゃん♪るんっ♪ってきたでしょ?」
「はぁ、頭が痛くなりそうだわ・・・。」
・・・僕も頭痛くなりそう・・・。
だって情報量が多すぎるんだもん・・・。
まず、何で本来ここにいるはずのない人、氷川さんがここにいるのか。
日菜さん曰く、サプライズらしい。
・・・サプライズ、ねー。
・・・何とも言えん。
続いて、日菜さんが言ったある言葉。
・・・“おねーちゃん”。
・・・どうやら日菜さんと氷川さんは、姉妹だったらしい。
なるほど。
どうりで最初日菜さんに会ったとき、誰かに似てると思ったわけだ。
・・・姉妹ってことは、日菜さんは一年生?
ま、そのことは別にあとででいいや。
そして最後。
・・・るん♪って何?
「すみません空見さん。うちの日菜がご迷惑をおかけしてしまったみたいで・・・」
「い、いや、別に迷惑ってわけでは…「それじゃあおねーちゃん、空見くん。ある場所へレッツゴー!」ちょ、待ちなさい日菜!その前にちゃんと空見さんに謝って…ってこら!日菜!待ちなさいってば!」
「・・・」
はぁ、先が思いやられそう・・・。
「空見さん、本当にごめんなさい。」
「いや、もういいですって氷川さん。」
どこかに向かって歩きだしたはいいんだけど、さっきからめちゃくちゃ氷川さんに謝られてる・・・。
僕はもういいって言ってるのに・・・、氷川さん、どんだけ真面目なんだよ。
いや、これは真面目と言うより、・・・律儀?
「おねーちゃーん!空見くーん!早く早くー!」
「日菜、そんなに急ぐ必要ないでしょう?」
「だって楽しみなんだもーん!」
「・・・はぁ。全くあの子は、空見さんに迷惑をかけていることを自覚してないのかしら。」
「だから別に迷惑じゃないですって。氷川さん、もうこの話やめましょう。」
「し、しかし…「いつまでもそんなこと引きずってたら、楽しめるもんも楽しめませんよ。」・・・」
「まぁ、これから行くところが楽しむところなのかどうなのかってのは、僕には何も分かりませんが。」
「え?」
「へ?」
ん?
僕今、何か変なこと言った?
「・・・空見さん。まさかとは思いますけど、・・・これから行く場所、日菜に聞かされてないなんてことは・・・」
あ、・・・ヤベ。
これやったな。
やっちまったな。
「・・・聞かされて、ないです。」
嘘ついてバレて怒られるのが嫌だから正直に言ったけど、・・・たぶんこれ、地雷踏んだな。
「・・・空見さん、少し失礼します。日菜!ちょっと来なさい!」
「ん?何ー?おねーちゃん。」
「あなた、空見さんに博物館に行くこと、言ってなかったの!?」
「うん、言ってないよ。」
「言ってないよ、じゃないわよ!あなた、どこまで空見さんに迷惑をかければ…「そんなことで怒らないでよおねーちゃん。これも空見くんへのサプライズだよ、サ・プ・ラ・イ・ズ♪」そんなサプライズ誰も嬉しくないわよ!」
「え~!空見くん、嬉しくないの!?女の子が男の子にサプライズだよ!?ふつーるんっ♪ってくるでしょ!」
「くるわけないでしょ!変なこと言ってないで、早く空見さんに謝りなさい!」
「るんっ♪は変なことじゃないもん!あたし、絶対謝らないからね!」
「へぇ~そう。だったら私、もう日菜のお出かけになんか付き合ってあげないから。」
「う~!だ、だったらあたしも、おねーちゃんのにんじん食べてあげたり、ポテト買っても分けてあげたりしないから!」
「! ・・・ひ、日菜。あなた、それは少し、卑怯よ・・・。」
・・・何だこれ。
・・・コント?
姉妹コントでもやってんのか?これ。
てか、行き先博物館なんだ。
・・・博物館なんて行くの、何年ぶりだろ。
「いいから!早く空見さんに謝りなさい!」
「嫌だ!あたし、絶っっっ対に謝らないからね!あ、あとるんっ♪が変なことだっていうの、訂正してよ!じゃないとこの前ゲットしたポテトの半額クーポン、おねーちゃんに分けてあげないから!」
「は、半額クーポン!?・・・だ、だったら私も、空見さんに謝らないのだったら、もういっしょにテレビ見てあげないわよ!」
まだやってる・・・。
いつ終わるんだよ、この姉妹コント・・・。
「着いたーー!!」
姉妹コントは、あれからかれこれ五分ぐらい続いた。
・・・長え。
ちなみに五分続いた姉妹コントは、僕が終わらせた。
どうやって終わらせたかと言うと、・・・こんな流れで終わらせた。
氷川さんと日菜さんが姉妹コントしてる。
↓
そこに僕が割って入る。
↓
「喧嘩をこれ以上続けるようだったら、僕は今すぐ家に帰りますよ。」と言う。
↓
それを聞いた二人は姉妹コントをやめ黙り混む。
↓
数秒後、ならもう喧嘩はやめると息ぴったりに口を揃えて僕に告げ姉妹コント終演。
という流れによって、無事姉妹コントという名の喧嘩を終わらせることができた。
正直、何であの一言だけで終わらせられたのか不思議でしょうがないが、解決したのでまぁ良しとした。
ほんと、何で終わわせられたんだろうな。
僕のあの言葉に不思議な力でも宿っていたのだろうか。
・・・というまぁ何の面白みもないバカな冗談は置いといて、なんやかんやあったがなんとか目的地である博物館に着いたらしい。
「着いたー!」
「・・・懐かしいわね、ここ。」
「え?」
「いえ、何でもありませ…「二人とも早く早くー!」・・・行きましょうか。」
「あ、はい。」
聞き間違いじゃなければ、今氷川さん、“懐かしい”って言ってたよな。
ということは、この二人は前にもここに来たことがあるのか。
「・・・ばぁっ!」
「うわっ!」
「あはは♪引っ掛かった引っ掛かったー!」
「・・・」
「日菜!いきなり脅かしたりしたら危ないでしょ!空見さんに謝りなさい!」
「大丈夫だよこれくらい。ね、空見くん。」
「そういう問題じゃないでしょ!」
「・・・」
・・・氷川さんの言う通りだよ日菜さん。
階段で脅かすのはマジやめて。
ほんと落ちて怪我でもしたら洒落になんないから。
「わぁ~!全然変わってないね!おねーちゃん!」
「ええ、そうね。」
日菜の言う通り、中は全然変わってないわね。
売店、プラネタリウム、地図置き場、天井にぶらさがっているロケットやロボット、生物などの模型、全てが当時のままだわ。
・・・最後にここに来たのは、小四のときくらいかしら。
ということは、七年ぶりね。
七年…。
・・・長いような、短いような・・・。
「おねーちゃん?さっきから黙ってるけど、どうしたの?」
「・・・別に、どうもしてないわ。ただ、ここが懐かしいと思っただけよ。」
「! そうでしょそうでしょ!えへへ、嬉しいな~。おねーちゃんもこの博物館のこと、覚えててくれてたんだ。」
「覚えてるに決まってるでしょ?失礼ね。」
「おねーちゃん・・・。えへへ、なんか、るんっ♪ってきたかも♪」
「またそれ?・・・あなたのそのるんっ♪が何なのか、私には理解しがたいわ。」
「え~!るんっ♪はるんっ♪だよ~!」
「・・・そんなことより日菜、空見さんは?」
「む~!話そらした~!・・・空見くんなら、ほら、あそこに。」
「あそこ?・・・あ、いた。」
「・・・」
「・・・」
「? おねーちゃん?」
「・・・「空見さん。」! あ、氷川さん。」
「・・・どうですか?ここ。」
「? どう、って?」
「天井や壁、中央に飾られているモニュメントなど、このエントランスのいろんなものを眺めていたでしょう?」
「! み、見てたんですか?」
「ず、ずっとではないですよ?日菜に言われて空見さんがここにいるのに気づいてからなので、ほんの数秒程度です。」
「な、なるほど。」
「・・・それで、質問の答えのほうは…」
「あ、す、すいません。えーっと、・・・懐かしい、です。」
「懐かしい?・・・!空見さん、ここに来たことがあるんですか…「違いますよ、そういうんじゃなくて…」? どういうことですか?」
「博物館自体に来るのが久しぶりって意味です。・・・引っ越してくる前に住んでたとこにも、博物館があって。たまに友達や家族といっしょに行ってたんです。」
「そうだったんですか。」
「最後に博物館に行ったのが確か小六のときだから…、・・・五年ぶりですかね、博物館に来るのは。」
「なるほど…。」
「だから、その、・・・楽しみです。」
「え?」
「久々の博物館、しかも昔行ったとことは違うところなので。そういうところに行くと、なんかワクワクするんですよね。」
「空見さん・・・。」
楽しみ、か。
・・・ふふ、確かに。
「おねーちゃん、空見くん!最初はあそこ行こ!」グイッ!
「! ちょ、ちょっと日菜!?急に引っ張ったらびっくりするでしょ!」
「空見くんも、早く着いてこないとおいてっちゃうよ~!」
「えぇ!?ちょ、ちょっと待ってよ~!」
「ひ、日菜!館内で走ったら他の人の迷惑に…「さぁ二人とも、宇宙館のほうへ、レッツゴー!」こら日菜!言うことを聞きなさい!」
もう、日菜ったら///。
走ったり大きな声出したり、他にも人がいるのに恥ずかしいわよ///。
「・・・」
それに比べて、空見さんはちゃんと歩いてるわね。
全く、日菜には空見さんを見習ってほしいわ。
「あれ?空見くん、何で歩いてるの?」
「え?いや何でって、ここが博物館だから。」
「? ・・・あ、そっか。楽しみすぎて忘れてたよ。」
忘れてた!?
・・・普通はそんな常識忘れないわよ・・・。
「おねーちゃん!見て見て、この模型!」
「・・・この模型、まだあったのね。」
「こっち側から、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星。で、最初に戻ってこの一番大っきいのが太陽!」
「・・・昔来たときも、その言葉をまるで呪文のように繰り返し言ってたわよね。」
「うん!・・・こっち側から、・・・」
ふふ、日菜、楽しそうね。
・・・そういえば、空見さんは、・・・あ。
「・・・」
いたわ。
あれは…、・・・宇宙クイズね。
「ねぇ、おねーちゃん聞いてる?・・・!あー!宇宙クイズだー!」
「あ、ちょっと!・・・はぁ。日菜ったらまた…」
「・・・「空見くーん!それいっしょにやろー!」! ひ、日菜さん!?いつの間に…」
「それでは問題!」デデン!
「い、いきなり!?」
・・・そういえば空見さんって、日菜のことは名前で呼んでいるのね。
いつも松原さんや白金さんを呼ぶときは名字なのに。
・・・まぁおそらく、私と日菜への呼び方を区別するためだとは思うけど。
「んーと、・・・②番?」
「ぶぶー。正解は③番でしたー!空見くん、もっと宇宙のこと、勉強したほうがいいよー?」
「そ、そう、だね。」
・・・昔私も、あんな感じで日菜にいきなりクイズを出されてたっけ。
「おねーちゃんもやろーよー!宇宙クイズー!」
「・・・ええ。」
「おー!次はロボット館かー!」
「ロボット館って名前だけあって、いろんなロボットがあるんだな・・・。」
「・・・昔に来たときよりも、ロボットの数が増えてるわね。」
「え、そうなんですか?」
「ええ。ざっと見る限り、・・・だいたい10台くらいは増えているかと。」
「じゅ、10台!?・・・すごい、ですね。」
「わぁー!見て見ておねーちゃん!このロボット、じゃんけんが出来るんだよ!」
「日菜、はしゃぎすぎないの。」
「ねぇ、おねーちゃんもじゃんけんしてみてよ。」
「え、私?・・・まぁ、いいけど…」
じゃんけんとは言っても、ほんとにするんじゃなくて、ロボット側が出そうと思ったやつを画面に映し出すだけみたいだけど。
まぁ、それでもすごいっちゃすごいよね。
『サイショハグー、ジャンケン…』
「・・・」パー。
『チョキ。』
「あ。」
「あちゃー。おねーちゃん、負けちゃったねー。」
「な、なかなかやるわね、このロボット。もう一回よ。」
・・・あれ?
氷川さんって、意外と負けず嫌い?
『にゃーん♪』
ん?
にゃーん?
『にゃーん、にゃーん♪』
え、何これ。
・・・よくテレビとかで見る、ペットロボットってやつ?
それの猫バージョンってこと?
『にゃーん♪スリスリ。』
・・・え、待って?
この猫ロボット、めっちゃ可愛いんだけど。
いや、うちのマリーのほうが可愛いんだけど、・・・ロボットにしては、めちゃくちゃ可愛いなおい。
・・・撫でたら喜ぶのかな?
「・・・スッ。ナデナデ。」
『にゃーん♪』スリスリ。
!!
ちょ、ちょっと待って?
何この猫ロボット、めちゃくちゃ可愛いんだけど!?ナデナデ。
『にゃー、にゃー♪』
・・・ペットロボット、なめてたわ。ナデナデ。
実際見るとこんな可愛いのか~。
・・・い、いや、うちのマリーのほうが可愛いけどね!?
「空見くーん、何して…、ってあーー!!ペットロボットだーー!!」
「空見さん。それは、猫ですか?」
「あ、はい。・・・さわってみます?」
「え、いいんですか?」
「もちろんです。…どうぞ。スッ。」
「あ、ありがとうございます。・・・ナデナデ。」
『にゃーん♪』
「! ・・・か、可愛い。」
「ですよね~。」
「おねーちゃん、あたしにもさわらせてー?」
「ええ、いいわよ。」
「わーい!・・・ナデナデ。」
『にゃー、にゃー♪』
「おー、鳴いたー。ペットロボットって、案外可愛いんだねー。」
「そうね。・・・ところで、犬は、いないのかしら?」
「うーん。さっき周り見てみたけど、犬のペットロボはいないっぽかったよ?」
「そ、そう。・・・」
? なんか氷川さん、落ち込んでね?
・・・気のせいか?
「あはははは!!おねーちゃん何それ!すごく面白い!!あは、あはははは!!お、お腹痛いよ、おねーちゃん。」
「そ、そんなに笑うことないでしょ///!?」
何で日菜さんがこんな爆笑してるのかを説明しよう。
あの後、僕達は不思議館ってところに来たんだよ。
メビウスの輪とか、錯視図とかってあるじゃん?
そういう目の錯覚で絵とか図形が不思議な感じに見えたりするやつとか、近くで見たり離れて見たりすると物が大きくなったり小さくなったりするやつとか。
語彙力なさすぎる説明で申し訳ないけど、まぁそういう類いのものが集まってるのが、この不思議館らしい。
で、今氷川さんと日菜さんは不思議な鏡の前にいて…あ、不思議な鏡ってのは、自分が近づいたり離れたりすることで鏡に映ってる自分の姿がいろんなふうに変わるってやつね。
その鏡の前に氷川さんが立って近づいたり離れたりして、それによって鏡に映ってる氷川さんのいろんなふうに変わってる姿を見て、日菜さんが爆笑してるというわけだ。
・・・ふぅ。
説明分かりにくかったらごめん。
「あははははは、あー面白かった!・・・いっぱい笑ったら、なんかお腹空いてきちゃった。」
・・・確かに、僕もちょっとお腹すいたかも。
えーっと今は、・・・あ、もう12:00過ぎてたのか。
「よーし!いっぱい楽しんだところで、お昼にしよー!おねーちゃん、空見くん!あたしについてきてー!」
「あ、日菜さん、ちょっと待ってよ。」
あの人、行動が早いなー。
さて、じゃあ僕も行くかな。
・・・ん?
氷川さん、何で立ち止まってんだ?
「・・・」
「・・・あのー、氷川さん?」
「! す、すみません。つい、ボーッとしてました。」
「氷川さんが、ボーッと…。・・・珍しい、ですね。」
「そ、そうですか?」
「はい。・・・どうかしたんですか?」
「い、いえ、大丈夫です。・・・ただ、日菜が。」
「日菜さんが?」
「日菜が、すごく楽しそうにしてるので、それを見て、少し、微笑ましくなって…」
「・・・氷川さん、日菜さんのことが大好きなんですね。」
「なっ!ち、違います///!好きとか、そういうのではなくて…「じゃあ嫌いなんですか?」! べ、別に、嫌いってわけでも///・・・」
「?」
「・・・と、とにかく!まずは昼ごはんです。ほら、空見さん、早く日菜についていってください!グイグイ。」
「ちょ、押さないでくださいよ。分かりました、分かりましたから。」
「・・・おねーちゃんと空見くん、ほんと仲良いなー。いつも家で空見くんのことを話してるだけあるや。」
「おぉ、いろいろある…。」
日菜さんに案内されて来たレストランは、この階(すなわち二階)にあった。
オーダーは食券制らしく、メニューは博物館のレストランとは思えないほどいろいろあった。
・・・正直、なめてた。
「うーん、・・・よし!あたしナポリタンにしよーっと!ピッ。」
日菜さん、決めるの早いな…。
こんなにいっぱいあるのに迷わないものなのか。
「空見くんは何にする?」
「え?あ、えーっとそうだなー。」
ちなみに、僕はまだ迷い中だ。
・・・決まらん。
何にしようかな~?
ラーメンも美味そうだし、ハンバーグも美味そう…。
いや、ここはあえて和食系でいくのもいいな・・・。
あーーもうマジで迷う!!
「そ、空見さん。」
「え?な、何ですか?」
「もしまだ迷っているのであれば、私から先に買ってもいいですか?」
「…あぁ、はい、いいですよ。」
「すみません。」
氷川さんは、何にするんだろう?
・・・!
カレーか。
カレーも美味そうだな~。
ん?
もう一つ、何か買うのか?
・・・え、ポテト?
しかも大盛り!?
・・・か、カレーに、ポテトって…。
合う、のかな?
「・・・はっ!ち、違うんです空見さん!このポテトは、みんなでシェアしようと思って買っただけで、決して、私が食べたかったからってわけでは・・・」
「・・・」
「・・・!ど、どうぞ、空見さん。」
「あ、ど、どうも。」
・・・なるほど。
氷川さんはポテトが好きなのか。
お花見のときも、怒ってるときに丸山さんからポテトの割引券もらったらなぜかすぐ落ち着いてたもんな。
・・・しかし、氷川さんがポテト好きだったとは、意外だったなぁ。
「ん~♪このナポリタン美味し~♪ねぇねぇ、おねーちゃんのカレーもちょうだい!」
「もう、一口だけよ?」
「わーい!」
・・・この二人、ほんと仲いいな。
うちとは大違いだ。
氷川さん、さっきはあんなこと言ってたけど、やっぱほんとは日菜さんのこと好きだろ。
あ、ちなみに僕は、結局ラーメンにした。
いやー、やっぱラーメンってさ、美味しいじゃん?
こういうとこのラーメンってどんなんだろうって、ラーメン好きからしたら気になるわけよ。
あ、ちなみにここのラーメンは普通に美味しかったぞ?
「おねーちゃんおねーちゃん!お昼食べ終わったらさ、プラネタリウム行こうよ!」
「プラネタリウム?いいけど、チケットは買ってあるの?」
「ううんまだ。でも、別にあとで買っても大丈夫かなーって。」
「あなた、そういうのは事前に買っておいたほうが…「ちょっと水組んでくるー!」! ちょっと日菜!話はちゃんと最後まで…、・・・はぁ。」
ほんと、日菜さんって氷川さんと対照的だよな。
「? てか日菜さん、ドリンク買わなかったの?」
「買ったみたいですけど、食べる前にすでに全部飲んじゃったみたいで…」
「あぁ、・・・なるほど。」
「空見さんは、ドリンク、何にしたんですか?」
「僕ですか?僕はミルクティーです。」
「ミルクティー・・・」
「ちなみに、氷川さんは?」
「え?あ、私は、カフェオレを。」
「カフェオレ、なるほど。」
「・・・」ジー。
・・・ん?
氷川さん、何をそんなに見つめて…、・・・僕のミルクティー?
・・・あ、そういうことか。
「・・・氷川さん。」
「はい、何でしょう。」
「もしだったらミルクティー、一口飲みます?」
「・・・へ?」
「ん?」
「・・・////!い、いいですよ別に///!」
「え、でもさっき、僕のミルクティーをじーっと見つめて…「そ、それは、その、飲みたい、とかではなく、単純にどんな味がするのか、気になっただけで…。」? それを飲みたいって言うんじゃ…「だから違いますって///!」!(な、何で怒ってるんだ~?)」
「空見くん。それ、間接キスだよ?」
「え?」
「ひ、日菜!?い、いつからそこに!?」
「さっきからずっといたよー。それより空見くん、そのミルクティー、さっきごくごく飲んでたでしょ?」
「う、うん。」
「そんな状態のミルクティーをおねーちゃんに一口あげる、なんて、間接キスしよーって言ってるようなもん…「ひ、日菜!!もういいから///!!」・・・」
「間接、キス?」
「・・・そ、空見さん。」
「はい?」
「お花見の日、公民館で雨宿りしていたのを覚えてますか?」
「え?は、はい、もちろん覚えてますけど。」
「あのとき空見さん、自分のお茶をみんなに分けてくれていましたよね。」
「はい。…それがどうかしたんですか?」
「あのとき空見さん、自分は最後でいいと言って、白鷺さんに渡したじゃないですか。」
「渡しましたね。」
「そのことで、ずっと、考えていたんです。」
「?」
「空見さんがあんな行動をとったのって、・・・い、今みたいに、その、・・・か、・・・か、・・・間、接…「空見くん、みんなと間接キスしようとしてたんだー。」!! ひ、日菜///!!」
「へ?みんなと、間接、キス?」
「・・・あ、あの、空見、さん。」
「・・・、・・・///、//////!!」
「あ、空見くん、顔赤くなってる~♪」
「ち、ちち、ち、違、違う、違うんですよ氷川さん/////!!ぼ、僕は、別に、そ、そそ、そんな、そんなことを、思っていたわけでは、全然、なくて/////…」
「・・・」
「あ、あのとき、僕が最後でいいって言ったのは、単純に、先にみんなに飲ませてあげようという、・・・じ、自分で言うのは、ちょっとおかしいんですけど、その、・・・僕の、良心で…。ひ、日菜さんの言ったようなことは、ほんとに全然、マジで決して思ってなくて…。えっと、だから、その、・・・ご、ごめんなさい!!」
「・・・」
「空見くん、みんなに見られてるよ?大丈夫だって。誰も間接キスぐらいで怒ったりしな…「・・・」ガシッ! ん?」
「日菜?」
「何?おねーちゃ…、!?」
「・・・」ゴゴゴゴゴ……。
「!! お、おねー、ちゃん・・・。」
「あとで覚えてなさいよ?」
「!! ・・・」
「・・・ふぅ。空見さん、顔をあげてください。」
「・・・ひ、氷川、さん。」
「・・・信じますよ。」
「え?」
「今空見さんが言ったこと、信じます。」
「! ほ、ほんとですか!?」
「ええ。・・・ただ。」
「ただ?」
「・・・今回のように誤解を招くようなことがないよう、今後は気をつけてくださいね?」
「は、はい!分かってます!」
「・・・それで、その…」
「?」
「・・・ミルクティー、私にも、分けてもらえませんか?」
「! ひ、氷川さん、あの、それは…「もちろん、コップに分けてもらう形で!」あ、そ、そう、ですよね。分かってます、分かってました。」
き、気をつけよう。
今後はマジで、いろいろ気をつけよう。
・・・てか!
ラーメン食べないとのびちゃうじゃん!
早く食べないと…、ってああああ!!
もうのびてるーーー!!!
「・・・」
昼ごはんを食べ終わった後、僕達は日菜さんの提案でプラネタリウムに…。
・・・じゃなくて、博物館を出たところだ。
ん?
何でプラネタリウムに行かなかったのかって?
それは、僕じゃなく日菜さんに聞いてくれよ。
ま、聞いても教えてくれないだろうけど。
「・・・日菜、ほんとにプラネタリウム、行かなくて良かったの?」
「うん。もう充分楽しんだし、今日はもういいかなって。」
「そ、そう。」
昼ごはんを食べ終わったぐらいのときから、もうずっと日菜さんはこんな感じだ。
まぁ一言で言うなら、・・・元気がない。
博物館に向かってるときとか、宇宙館やロボット館にいたときは元気だったのに、今はその真逆だ。
・・・まるで、昨日の丸山さんみたい。
「空見くん、今日は楽しかった?」
「え?」
「博物館。いっぱい楽しめた?空見くん。」
「・・・う、うん、まぁ。」
「そっか。それなら良かった♪」
「・・・」
「・・・ね、ねぇ、日菜さん。」
「ん?」
「プラネタリウム、ほんとに良かったの?あんなに行きたがってたのに。」
「だから大丈夫だって。あたし、今日はおねーちゃんと空見くんといっぱい遊べて楽しかったし。それに、・・・」
「それに?」
「・・・ううん、何でもない。ほら、早く帰…「日菜。」え?」
「ひ、氷川さん?」
「言いたいことがあるなら、はっきり言いなさい。そんなの、あなたらしくないわよ。」
「・・・な、何言ってんの?おねーちゃん。あたしは何も、言いたいことなんか…「私が気づいてないとでも思ってたの?私はあなたの姉なのよ?」・・・」
・・・はぁ、言うしかないか。
「・・・昼ごはんのときのこと、気にしてるんでしょ?」
「!」
「図星みたいね。」
「・・・べ、別に、そんなこと…「あのことなら、全然気にしてないから。」え?」
「あれは気がつかなかった僕が悪いし、日菜さんはほんとのことを教えてくれただけ。」
「で、でも…「あのとき日菜さんが言ってくれなきゃ、僕全然気づかなかったし。」・・・」
「だから、日菜さんは全然悪くないよ。氷川さんも、そういうことで分かってくれますよね?」
「・・・し、しかし空見さん、そうは言っても、あのときの日菜の発言のせいで周りに座ってた人達や私、空見さんに迷惑がかかったのは、紛れもない事実…「そうかもしれませんけど。・・・日菜さんも悪気があって言ったわけじゃないですし、そのことはもういいかなって。」・・・空見さん、少し軽すぎませんか?」
「軽くていいんですよ。氷川さんは迷惑がかかったって言いましたけど、僕からしたらそんな大したことじゃないですし、怒るほどのことでもないですから。まぁ最初あの言葉を聞いたとき、びっくりはしましたけど。」
「・・・」
「というわけだから日菜さん。昼ごはんのときのことは、別に気にしてないから。あ、もちろん氷川さんもね。」
「! ちょ、空見さん!?」
「ほんと?おねーちゃん。」
「! わ、私は、その、えっと…」
「・・・」
「・・・はぁ、分かったわよ。空見さんに免じて、今回だけは許してあげるわ。」
「ほ、ほんと!?じゃあ今度、またいっしょにお出かけしたり、ファミレス行ったりしてくれる!?」
「! え、ええ。」
「やったーー!!空見くん、ありがと!!」
「う、うん。」
「・・・空見さん。あなた、ちょっと日菜に甘すぎるのでは?」ボソッ。
「これでいいんですよ。日菜さんが元気になったから、それで。」
「え?」
「ん?僕、なんか変なこと言いました?」
「・・・い、いえ。」
「空見くん!ガシッ!これからいっしょにショッピングモール行こうよ!」
「へ?うわっ!ちょ、ちょっと日菜さん!?」
「(・・・まさか空見さん、日菜に元気を出させるためだけに、今のようなことを……?てっきり私は、日菜が二度とあんなことをしないように注意をしてるのかと……。いや、考えてみたら、注意しているような言葉を一つも言ってないわ。・・・空見さんって、ときどき何考えてるのか分かんなくなるわね。)」
「おねーちゃんも早く早くー!」
「(・・・次から空見さんに注意を任せるのはやめたほうがいいかもしれないわね。って、ほんとに今からショッピングモールに行く気なの?・・・はぁ、まぁいいけど。タッタッタ。)」
どうしてこうなった…。
ただ僕は、博物館で楽しんでるさよひなを書きたかっただけなのに…。(一部楽しんでる描写もありましたが)
何でだ、何でだああああ!!!
・・・よし。
今度さよひな書くときは、さよひなメイン楓サブって感じで書くことにしよう。(今回もそのつもりだったんですがね……)
うん、そうしよう。