田舎から引っ越してきた僕と個性的な人達   作:知栄 砂空

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どうも、知栄砂空です。

めちゃくちゃ大きな台風が近づいてるということで、ちょっと怖いなーと思ってる今日この頃です……。

……以上!


24話 二人+αの七番勝負

【空見家 楓の部屋】

 

それは、昨日の夜の出来事だった。

 

夕飯を食べ終わって自分の部屋に戻った後、“それ”は突然来た。

 

『……プルルルル……プルルルル……』

 

楓「ん?電話?」

 

僕が部屋に入って布団の上に座ったとき、タイミングよく電話がかかってきた。

 

誰からだろうと思い、充電してあった携帯の画面を見てみると……。

 

楓「……え?」

 

そこに映ってたのは、知らない番号だった。

 

名前のところにも『無名』としかかいてなく、完全に知らない人からの電話だった。

 

楓「……」

 

僕は、その着信を拒否した。

 

拒否してから携帯を置き、漫画を読もうと本棚に手を伸ばし…『プルルルル……』「え、また?」……漫画を取ろうと思ったら、再度電話がかかってきた。

 

さっきとは違う番号かもしれないので、一応確認してみた。

 

が……。

 

楓「……またかよ。」

 

案の定、同じ番号からだった。

 

もちろんまた着信拒否して、改めて漫画を取ろうと…『プルルルル……』だからなんなんだよこの番号!!

 

もーうぜえなぁマジで!!

 

僕は心の中でキレた。

 

そして、決めた。

 

着信拒否されながらももう3回もかけてきたということは、どういうことか分かるか?

 

……そう。

 

こいつは、この番号のやつは、きっとまたかけてくるはずだ。

 

でば、僕はいったい何を決めたのか。

 

……なぁに、簡単なことだ。

 

次電話がかかってきたら、今度は着信拒否せずにちゃんと電話に出る。

 

ただ、普通に電話に出るわけではない。

 

そうした途端、いくつかの暴言をありったけ一気に吐きまくってやるのだ。

 

そうやって精神的に追い詰めながら、知らない人から、しかも何回もかかってきたことで生まれた怒りを、嫌というほどぶつけてやる。

 

年上?年下?そんなの関係ない。

 

知らない人からの電話ほど怖いものはない。

 

そのことを、身をもって味わえさせてやるのだ。

 

『……プルルルル……』

 

! 来た!

 

さぁ覚悟しろ、知らない人!

 

知らない人からの電話、そこで一気に浴びせられる暴言に、恐怖に、おののくがいい!!

 

 

 

 

 

『松原さん』

 

……あれ?

 

……松原さん、だ。

 

……なんか、一気に力が抜けた……。

 

……まぁいいや。

 

電話、出るか。

 

楓「……もしもし。」

 

花音『あ、空見くん。良かったぁ、出てくれて。』

 

楓「(良かった?)……何か、僕に頼みたい事でもあったの?」 

 

花音『え?何で?』

 

楓「いや、だって松原さん、出てくれて良かったって言ったから……。」

 

花音『あぁ、それね。……うん、まぁ、似たようなものかな。』

 

楓「似たような?……何の話?」

 

花音『えっと、……私の前にも、3回くらい、誰かから電話がかかってこなかった?』

 

楓「え?……うん、かかってきたけど……。……って、え?何で知ってるの!?」

 

花音『そ、それは……』

 

楓「……」

 

花音『……と、とにかく!空見くん!』

 

楓「は、はい!」

 

花音『次その子から電話かかってきたときは、ちゃんと出てね。』

 

花音「え、いや、でも…『分かった!?』は、はい分かりました!」

 

花音『……じゃあ、そういうわけだから……。……切るね、空見くん。』

 

楓「え?いや、ちょっと待…『おやすみ。』……お、おやすみ……。」

 

プツン

 

……切れた。

 

……。

 

……次またさっきのやつから電話がかかってきたら、そのときはちゃんと出る。

 

……はぁ。

 

僕の暴言計画が……。

 

『……プルルルル……』

 

うわっ!

 

こ、今度は、誰だ……、! き、来た!

 

『無名』

 

……これ、出ても大丈夫なやつなのかなぁ?

 

……、……、……大丈夫なほうに、賭けてみるか。

 

怖い、めちゃくちゃ怖いけど、……松原さんが、出ろって言うんだもん。

 

きっと、大丈夫、だよね?

 

……よ、よし。

 

……で、では、いざ行かん!

 

そして僕は、『無名』とついた人からの電話に、おそるおそる出た。

 

果たして、僕に着信拒否されながらもめげずに3回もかけてきた、たぶん松原さんの知り合いでなのであろう『無名』の人の正体とは!

 

楓「も、もしもし?」

 

 

 

 

 

???『……はぁ、やっと出てくれましたか。』

 

ん?

 

……なんか、聞き覚えがあるぞ?

 

そう、この声は確か、僕にショッピングモールへの道を教えてくれた……。

 

美咲『空見先輩、あたしです。奥沢美咲。分かりますか?』

 

そうそう、奥沢美咲……え?

 

奥沢……さん?

 

……。

 

楓「……えっと、もしかして、さっき僕に3回も電話かけてきたのって…『あたしですよ。流石のあたしもどんどんいらいらしてきて、3回目に着信拒否されたときなんか、もうほんと空見先輩をぶん殴ってやりたいくらいでした。』……」

 

……僕はどうやら、もう少しでとんでもない大失態をおかしてしまうところだったらしい。

 

今回はなんとか失態で済んだものの、もし暴言計画を実行していたら、今頃どうなっていたことか……。

 

楓「……ごめん、奥沢さん。」

 

美咲『もういいですよ。花音さんに聞いたら、どうやら悪気があってやったわけじゃない、って分かりましたし。』

 

楓「……」

 

美咲『それで空見先輩、あたしが電話したのは、先輩にお願いが…「何でも。」へ?』

 

楓「何でもお申し付けください。奥沢様。」

 

美咲『……明日あなたを公衆の面前でボッコボコにぶん殴ってもいい…「ごめんなさいごめんなさい!!ほんとすいませんでしたー!」……はぁ。それで、あたしがお願いしたいことというのはですね……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~翌日~

 

【遊園地】

 

ワイワイガヤガヤ

 

香澄「わーい!遊園地だー!」

 

こころ「みんな、とびっきりの笑顔ね!香澄!」

 

香澄「そうだね~。あ!こころん、まずはあれ乗ろ!」

 

こころ「いいわね!乗りましょう!」

 

美咲「2人とも、楽しみなのは分かるけど走らないの!」

 

香澄「はーい。……!見てこころん!美味しそうなホットドック売ってるよ!」

 

有咲「香澄!言ったそばから走るんじゃねー!」

 

楓「これは、確かに大変だ……。」

 

ここは遊園地。

 

とは言ってもただの遊園地ではなく、定期的にいろんな場所を回りながら経営している、移動遊園地というやつだ。

 

今日はその移動遊園地に、市ヶ谷さんと奥沢さん、戸山さん、弦巻さんと来ている。

 

まぁ、僕は“付き添い”という立ち位置だが。

 

美咲「空見先輩、今日は来てくれてありがとうございます。」

 

楓「え?あ、うん。」

 

美咲「あたし達でこころと戸山さんの2人を、しかもこんな広いところで面倒見るのは流石に大変なので。ね、市ヶ谷さん。」

 

有咲「あ、うん。空見先輩、今日は1日、よろしくお願いします。」

 

楓「そ、そんなかしこまらなくてもいいって。」

 

奥沢さんは最初、松原さんについてきてもらう予定だったらしい。

 

しかし松原さんは用事があったためそれができなかった。

 

そこで松原さんは僕についてきてもらうのはどうかという案を出し、奥沢さんに僕の電話番号を教え、そして昨日の夜の出来事に至ったらしい。

 

美咲「しかし空見先輩、知らない番号からの電話には絶対出ないって、どんだけ怖がりなんですか……。」

 

楓「だ、だって、それで電話に出た結果ヤバい人達にお金用事しろって脅されるなんてことがあったら…「あるわけないでしょそんなこと。ドラマの見すぎですよ。」……た、確かにその例えは大げさすぎたけどさ。で、でも、やっぱり知らない人って怖いじゃん!」

 

美咲「分かりましたから。ほら、こころ達追いかけますよ。」

 

楓「え?」

 

有咲「こら香澄!ちょっと待てって!」

 

こころ「香澄、あたし、あのポップコーンが食べたいわ!」

 

香澄「いいねぇ!じゃあポップコーンも買いに行こう!」

 

有咲「あーもう!2人とも、うろちょろすんなー!」

 

楓「……」

 

美咲「空見先輩、今悟っても遅いですよ。」

 

……あの2人の付き添い、軽い感じでOKしたけど。

 

めちゃくちゃ骨折れそう……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香澄「第1回!みんなでゴーカート勝負ー!」

 

こころ「イェーイ!」

 

楓・美・有「……」

 

香澄「ゴーカートは3人乗りだから、3人と2人に分かれて勝負だよ!」

 

こころ「それじゃああたしは、美咲と組むわ!」

 

美咲「いや、別にあたし、やるとは言ってないんだけど……」

 

香澄「よーし!有咲、頑張ろうね!」

 

有咲「なんで私がお前と組む前提なんだよ!」

 

……じゃあ僕は、隅っこのほうで待って…「空見先輩はどっちがいいですか?」……ん?

 

楓「え?い、いや、僕は隅っこのほうで待ってるから…「そんなこと言わずに、楓もいっしょに遊びましょう!」……いや、僕はいいって…ポン ?」

 

美咲「空見先輩、こうなってしまったこころには、逆らわない方がいいです。」

 

楓「……手慣れてるんだね。」

 

美咲「まぁ、結構長い付き合いですから。」

 

香澄「というわけで空見先輩、どっちに乗りますか?私と有咲のほうか、こころんと美咲ちゃんのほうか。」

 

有咲「だから、私は別にやらな…「まぁまぁ、市ヶ谷さん。ここは諦めよう。」お、奥沢さん……。……はぁ。」

 

え、何、僕が決めるの?

 

戸山さんのほうか、弦巻さんのほうかを?

 

……なんかゲームでありそうな展開……。

 

美咲「……もし決められないなら、公平に決めましょうか。」

 

香澄「公平に?」

 

こころ「どういうこと?美咲。」

 

美咲「公平に決めるっていったらあれしかないでしょ、じゃんけん。」

 

楓・香・こ・有「……あ~。」

 

香澄「よーし!じゃあ有咲、任せた!」

 

有咲「はぁ!?何で私なんだよ!」

 

こころ「美咲、絶対に勝ってちょうだい!」

 

美咲「向こうが市ヶ谷さんとなると、やっぱりこっちはあたしだよね……。」

 

有咲「な、なぁ奥沢さん。別に私は負けでいいから、じゃんけんなんてくだらないこと…「何言ってるの有咲!絶対勝たなきゃ!」だったらお前がじゃんけんすりゃいいだろ!」

 

楓「……はぁ。もう何でもいいから早く決めてよ……。」

 

美・有「あ、ご、ごめんなさい……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香澄「ゴーカート対決は~、私達の勝利~!イェーイ!」

 

有咲「あぁ~、疲れた~……。」

 

楓「だ、大丈夫?市ヶ谷さん。」

 

有咲「は、はい、なんとか……。」

 

結局じゃんけんは市ヶ谷さんと奥沢さんがした。

 

その結果僕は戸山さん達のほうに乗ることになり、ゴーカート対決はご覧の通り、こっちの勝ちということになった。

 

勝ったはいいけど戸山さん、車ぶつけすぎ……。

 

こころ「うーん、負けちゃったわね~。でも、楽しかったわ!」

 

美咲「こころはただ座って運転してるあたしに指示してるだけだったけどね。」

 

こころ「香澄!今度はどんな勝負をしようかしら!」

 

香澄「うーん、そうだなぁ~。」

 

いつの間にか勝負になってるし。

 

……ま、楽しそうならいっか。

 

有咲「あ~、それなら次私はパス。」

 

香澄「え~!どうして有咲~?もっと勝負しよ…「お前のへなちょこな運転のせいで疲れたんだよ!」へ、へなちょこ……。」

 

こころ「香澄!次はあれに行きましょう!」

 

香澄「ん?……げっ!お、お化け屋敷……?」

 

こころ「すっごく面白そうだわ!美咲、行くわよ!」

 

美咲「あ、ちょっとこころ!」

 

香澄「うぅ、ま、待ってよ~!」

 

楓・有「……」

 

ほんと、元気だなぁ弦巻さん。

 

有咲「……空見先輩は行かないんですか?」

 

楓「うん。……僕は、市ヶ谷さんのことを見てなきゃいけないから。」

 

有咲「え///!?」

 

楓「ほら、一応僕、先輩、だからさ。後輩の面倒を見るのって、先輩の仕事でしょ?まぁ、先輩って言われるほど偉い訳じゃないけどさ。」

 

有咲「……空見先輩。」

 

楓「このことは、後で奥沢さんに伝えとくから。とりあえず、どこか座れるところに移動しよう。」

 

有咲「……そう、ですね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楓「……」

 

有咲「……」

 

……どうしよう。

 

カッコつけて先輩ぶったはいいものの、……この後どうすりゃいいんだ?

 

奥沢さんに昨日電話で、『自分が先輩であるという自覚を持って、あたし達一年生の保護者代わりをしてください。』と、なぜか上から目線に言われたから、ちょっと先輩感を出してみたんだけど、……合わねぇ。

 

僕にあんな先輩ぶったしゃべり方、合わないにもほどがあるよ……。

 

うぅ、気まずすぎる……。

 

有咲「……空見先輩。」

 

楓「! な、何?」

 

有咲「……この前の、あの人って……」

 

楓「え?」

 

有咲「あの、水色の髪の、……空見先輩が、その、……ひ、膝枕、してもらってた人って…「違うよ!」え?」

 

楓「松原さんは、その、彼女とかそういうんじゃ、全然ないから!ただの友達、友達だから!」

 

有咲「は、はぁ……。」

 

楓「ほんとだよ!ほんとだからね!?むきになって言ってるように聞こえるかもしれないけど、マジでほんとに違うから!」

 

有咲「……」

 

楓「……あ、えっと、その、……なんか、ごめん。」

 

有咲「……はは。」

 

楓「へ?」

 

有咲「花園さんと山吹さんの言う通りだ。空見先輩って、面白い人ですね。」

 

楓「……」

 

最近、よく面白い人って言われるの、ほんと何で?

 

僕ってそんなに変な人?

 

……まぁ半分は自覚してるけどさ。

 

有咲「私、あんまり友達とこういうとこ来たことないんですよね。」

 

楓「え?」

 

有咲「ていうか、こういうところ自体にくることがそんなないんですけど。」

 

楓「……うん、僕もそうだよ。」

 

有咲「……だから、こういうとこってどうやって楽しめばいいのか、よく分からなくて。弦巻さんと奥沢さんに会ったのも、今日が初めてで、ちゃんと話せる相手も香澄しかいないし。」

 

楓「今日が初めて?って、え、どういうこと?」

 

有咲「香澄のやつ、昨日唐突に遊園地行こうって言いだしたんですよ。私は最初絶対行かねぇって言ったんですけど、香澄がどうしてもどうしてもって何回も泣きついてくるもんだから、仕方なくOKしたんです。で、2人だけで行くのかって聞いたら、あと2人来るって言うじゃないですか。山吹さんと牛込さんでも来るのかなと思って聞こうとしたら、誰が来るかは秘密って言われて。教えろって言ったんですけど、少し落ち着けって牛込さんに止められて。で、この通りですよ。」

 

楓「……それはまぁ、なんというか、……災難?だったね。」

 

有咲「香澄のやつ、ほんと何考えてんのか分からないんですよ。最初の頃なんて来るなって言ってんのにしょっちゅう私の家来るし、何かあるとすぐ抱きついてくるし、クライブのときだって、花園さんは敵だったはずなのになぜかいっしょにライブすることになってたし。」

 

楓「……」

 

有咲「いつもいつもあいつに振り回されてばっかで、ほんと、嫌になりますよ。」

 

楓「……市ヶ谷さんは、戸山さんのことが好きなんだね。」

 

有咲「は?」

 

楓「あ。」

 

有咲「……、……///!///!!そ、そんなわけねぇだろ///!!べ、別に、香澄のことなんか、好きでもなんでもねぇっつーの!!」

 

楓「……ご、ごめん。」

 

有咲「……!ご、ごめんなさい空見先輩!私、先輩に向かって失礼なことを…「い、いいって別にそんなこと。僕も悪かったと思ってるから。」い、いや、空見先輩より私のほうが…「有咲ー!たっだいまー!」ガバッ! うわっ!こ、こら香澄!いきなり抱きつくなー!!」

 

……市ヶ谷さんと戸山さんって、仲良いんだな~。

 

美咲「空見先輩、いないと思ったらこんなとこにいたんですね。」

 

楓「あ、ごめん奥沢さん。メールで送ろうと思ってたの忘れてて……」

 

美咲「いいですよ別に。」

 

楓「それにしても、早かったね。帰ってくるの。」

 

美咲「あー、まぁいろいろありまして。」

 

楓「?」

 

こころ「お化け屋敷対決は、あたしの勝ちね!」

 

香澄「むぅ~、次は負けないからね!こころん!」

 

こころ「ええ、私も勝ちを譲る気はないわ!」

 

あ、勝ったの弦巻さんなんだ。

 

てか、お化け屋敷でどうやって勝負したんだろ?

 

香澄「じゃあ次はねー、……!こころん!大食い勝負はどう?」

 

こころ「いいわね!負けないわよ、ね、美咲。」

 

美咲「え、あたしもやるの?」

 

香澄「有咲!頑張ろうね!」

 

有咲「大食い勝負なんてやるか!ってかいい加減離せ!」

 

……市ヶ谷さん、まんざらでもない顔してるけどな~。

 

ひょっとしてあれか?

 

市ヶ谷さんってもしかして、ツンデレってやつか?

 

有咲「……何ニヤニヤしてるんですか空見先輩!見てないでこいつひっぺがすの手伝ってくださいよ!」

 

楓「えぇ?僕~?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香澄「いやー、良い勝負だねぇこころん。」

 

こころ「ええ。とても楽しい勝負だわ!」

 

楓・美・有「はぁ……はぁ……はぁ……。」

 

香澄「ここまでゴーカート、お化け屋敷、大食い、コーヒーカップ、アトラクション(輪投げやピンボールなど)、ジェットコースターと勝負してきて、3対3か~。」

 

こころ「次で勝負が決まりそうね!最後の勝負にふさわしい場所はどこかしら?」

 

はぁ……はぁ……あ、あの2人、どこにそんな体力が……。

 

美咲「空見先輩、あの、……い、いろいろと、すいません。」

 

楓「い、いや、大丈夫だよ。それにしてもあの二人、すごいよね。あんなに遊んだのに、まだ勝負する体力が残ってるなんて。」

 

有・美「それが、こころ(香澄)の長所なんで。……え?」

 

長所、ねー。

 

香澄「じゃあ最後の勝負は、空見先輩に決めてもらう?」

 

へ?

 

こころ「いいわね!楓、あなたが勝負を考えてちょうだい!」

 

……え?

 

ぼ、僕が、勝負を考える?

 

しかも最後の?

 

……無茶ぶりすぎん?

 

美咲「あー、空見先輩、別に考えなくてもいいですよ。」

 

楓「え?」

 

有咲「空見先輩はただの付き添いだしな。」

 

香澄「え~!いいじゃん有咲のけち~!」

 

有咲「空見先輩が困るから言ってんだよ!」

 

……ただの、付き添い……。

 

美咲「? 空見先輩、どうしました?」

 

楓「……わ、分かった。」

 

美咲「え?……分かったって、何が…「勝負、……最後の勝負、僕が考えるよ。」! い、いいですよ空見先輩。わざとこころの口車に乗せられなくても…「てか、もう決めた。」え、え~?」

 

楓「最後の勝負にふさわしい場所、それは。」

 

香・こ「それは?」

 

有・美「……」

 

楓「……ここだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒヒーン!

 

ワン!ワンワン!

 

美咲「……こ、ここって……」

 

有咲「ふれあい広場、だよな?」

 

香澄「わぁ~!可愛い~!」

 

こころ「こんにちは、うさぎさん!あたしはこころよ!」

 

美咲「こころ、勝手に行かないの。」

 

楓「このふれあい広場で、一番なつかれた人の勝ち。何の動物になつかれても構わない。えさやりOK撫でるのOK、小動物は抱くのもOK。でも他の人の妨害をするのは禁止。」

 

美咲「そ、空見先輩、よくそんな勝負、あんな短時間で思い付きましたね……。」

 

楓「僕だってその気になればすぐひらめくんだよ。」

 

香澄「面白そう!よーし、頑張ろ!有咲!」

 

有咲「はいはい。」

 

こころ「美咲!あたし達も負けないわよ!」

 

美咲「分かったから、ルール違反しないの。勝負の前に動物を触るのはルール違反だよ。」

 

楓「……じゃ、じゃあ、準備はいい?」

 

香澄「待って。」

 

有咲「なんだよ香澄。」

 

香澄「空見先輩がチームに入ってません。」

 

楓「いや、今回僕はパスするよ。」

 

香澄「え~!いっしょにやりましょうよ、空見先ぱ…「それ以上先輩に迷惑かけたら私はこの勝負降りるからな。」え~!……うぅ、分かった。」……よし。」むぅ~。」

 

楓「あ、ありがとう、市ヶ谷さん。」

 

有咲「いえ。」

 

楓「……では改めて。両チームとも、準備はいい?」

 

香澄「うん!」

 

こころ「OKよ!」

 

楓「それじゃあ最終対決、どちらが多く動物になつかれるか対決、……スタート!」

 

香澄「よーし!負けないよこころん!」

 

こころ「私もよ!香澄!」

 

美咲「……空見先輩、意外とノリノリだね。」

 

有咲「ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

香澄「う~、君可愛いね~!あ、そうだ、君にえさあけるよ。はい。……!食べた!この子えさ食べたよ!」

 

有咲「ひ、羊って、触んの初めてだなー。……触っても、大丈夫なんかなぁ?」

 

こころ「見て、美咲!この子、頭まで上ってきたわ!」

 

美咲「それは、ルール上、問題ない、のかな……?」

 

……戸山さんチームも弦巻さんチームも、いい勝負だな。

 

これは、どっちが勝ってもおかしくないかも。

 

「クウ〜ン。」

 

楓「ん?……!」

 

な、なんだこの子!

 

柴犬、かな?

 

……か、可愛すぎる……。

 

このつぶらな瞳にもふもふの毛、猫も可愛いけど、犬もめちゃくちゃ可愛いな~。

 

「アオン!」

 

楓「お?お前は、……トイプーか。う~、お前も可愛いな~!っておわっ!」

 

何かと思ったら、ラブラドールか。

 

やっぱでかいな~。

 

それに可愛い……。

 

犬ってしょっちゅう鳴いてうるさいイメージだったけど、ふれあうとこんな可愛い生き物だったんだなぁ。

 

美咲「……うわぁ。」

 

こころ「どうしたの?美咲。」

 

美咲「見てよあれ。」

 

こころ「? ……まぁ!すごいわ楓!まるで犬使いね!」

 

有咲「おぉ、すげえな空見先輩。めちゃくちゃなつかれてんじゃん。」

 

香澄「あーん!何で誰も近寄ってきてくれないの~!」

 

楓「お?お前も撫でてほしいのか、よしよし。ってお前も?もう、甘えん坊だなぁ、お前らは。……うわっ!い、いきなりなめたらびっくりするって……ってうわっ!や、やめろって、おい、お前ら!」

 

有咲「……なんかあれ、ヤバくね?」

 

美咲「そ、空見先輩!?」

 

楓「ちょ、待って、ほ、ほんとに、無理だから。お、おい、待てって、そんなにいっぱいは無理だって~!」

 

だ、誰か、誰か助けて~~!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楓「はぁ……はぁ……はぁ。」

 

美咲「だ、大丈夫、ですか?空見先輩。」

 

楓「な、なんとか……。」

 

有咲「しっかし驚きましたよ。空見先輩って、犬にあんななつかれるような人だったんですね。」

 

楓「いやぁ、僕もびっくりだよ……。」

 

犬に好かれるのは嬉しいけど、いっぺんにあんな大勢来られるのはねぇ。

 

……まぁでも、悪くなかったかも……。

 

普通にみんなめちゃくちゃ可愛かったし。

 

香・こ「……はぁ。」

 

美咲「で?2人はどうしてそんな落ち込んでるわけ?」

 

香澄「だって、勝負つかなかったんだもん。」

 

こころ「せっかく楓が面白い勝負を思い付いてくれたのに、残念だわ。」

 

有咲「いや、あれは事故みたいなもんだったし、勝負どころじゃなかったからしょうがなかったっちゃしょうがなかった、っていうか……」

 

香・こ「……」ズーン

 

有咲「あー、こりゃマジで落ち込んでんなー。」

 

美咲「戸山さんはともかく、こころもだもんね。相当残念だったんだ。」

 

楓「……」

 

こういうとき、どういう言葉をかけてあげればいいんだろう。

 

先輩として、何か僕にできることはないものか……。

 

ピンポンパンポーン

 

楓「ん?」

 

『本遊園地は、まもなく閉園のお時間となります。まだ園内に残っている方は、……』

 

美咲「あ、もう終わりみたいですね。」

 

有咲「まぁ、それなりには楽しめたんじゃね?」

 

ヤベェな。

 

早く、何か思い付かないと。

 

何か、2人を元気付けられる方法を。

 

美咲「2人とも、いつまでも落ち込んでないで早く行くよ。」

 

有咲「ここから入口まで、結構あるんだからな。」

 

ん?

 

……、……、……!

 

閃いた!

 

なんか、今日の僕冴えてるなぁ。

 

楓「ふ、2人とも。」

 

香・こ「?」

 

楓「僕たった今、新しい勝負思い付いたんだけど、……やる?」

 

香澄「新しい、勝負?」

 

こころ「あたしも香澄も、笑顔になれる勝負なのかしら?」

 

楓「た、たぶん、なれると、思う。……ほんとに、たぶんだけど。」

 

美咲「ちなみに、それはどういう勝負なんですか?」

 

楓「……ここから入口まで競走して、先に入口に着いたほうの勝ち。まぁ、単純にかけっこだね。」

 

有咲「か、かけっこって……」

 

美咲「徒競走って言い方のほうがよくありません?」

 

……言葉がかけっこしか出てこなかったんだもん。

 

香澄「徒競走……。」

 

こころ「先に入口に着いたほうの勝ち……。」

 

楓「……どう、かな?今なら人も少ないから、あまり迷惑はかけないと思うし。それに2人とも、よく走ってたから、走るの好きなのかと思って。」

 

香・こ「……」

 

有咲「……おい香澄、なんか言え…「燃えるね。」え?」

 

こころ「ええ、とても楽しい勝負になりそうだわ!」

 

美咲「こ、こころ?」

 

香澄「こころん!これが本当に最後の勝負だよ!」

 

こころ「香澄!あたしも全力で勝ちに行くわよ!」

 

有咲「……この2人、めちゃくちゃ燃えてる……。」

 

美咲「空見先輩って、この2人をやる気にさせるのほんと上手いよね……。」

 

……もしかして僕って、こういうの考える才能あるのか?

 

香澄「空見先輩!勝負開始の合図、お願いします!」

 

楓「あ、う、うん。」

 

こころ「楓!あなたは本当にすごいわ!あたしといっしょに、世界を笑顔にしましょう!」

 

楓「せ、世界!?……い、いや、遠慮しとくよ……。」

 

美咲「……空見先輩って、何であんなに好かれるんだろう?」

 

有咲「! お、奥沢さん、そ、それ…「あぁ、大丈夫、そういう意味じゃないから。あくまで友達としてって意味だから。」あ、そ、そうだよな。あはは……」

 

美咲「……」

 

有咲「……でも、私には分かったぞ。空見先輩が、いろんな人から好かれる理由。」

 

美咲「え、市ヶ谷さん、それほんと?」

 

有咲「ああ。……ま、教えないけどな。」

 

美咲「……自分で考えて答えを出せってこと?」

 

有咲「そういうこと。」

 

楓「そ、それじゃあいくよ。……位置に、ついて。」

 

香・こ「……」

 

有咲「お、始まるぞ。」

 

美咲「……うん、そうだね。」

 

楓「よーい、……ドン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この2人の勝敗がどうなったかは、ご想像にお任せしよう。

 

け、決してめんどくさくなったとかじゃないぞ?

 

ここでどっちが勝ったかなんて言うと面白くないだろ?

 

そういうことだ。

 

あ、そういえば、遊園地を出て帰るとき、市ヶ谷さんに連絡先聞かれたな。

 

また女子の連絡先が増えた……。

 

この町に転校してきてからいろんな人と連絡先を交換する機会が増えたけど、それが全部女子って……。

 

……嬉しいんだけど、なんか、変な気持ち……。




ハロウィンイベントやり忘れた……。

りみりん報酬だったのに……。

……まぁいいや。

今回の報酬のりみりん、交換所にくるのはいつになることやら……。
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