田舎から引っ越してきた僕と個性的な人達   作:知栄 砂空

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どうも、知栄砂空です。

半年遅れのジューンブライドです、はい。

……という話はおいといて。

ついにかおちさ幼少期イベがきましたね。

まぁそれはいいんだけど、……さよひな幼少期イベはいつくるんだ……。


27話 ジューンブライドと新たな可能性の兆し

-芸能事務所 会議室-

 

「ではもう一度確認ですが、来週のこの時間に撮影開始、ということでよろしいんですよね?」

 

「ええ。若宮さんも、それで問題ありませんよね。」

 

「はい!よろしくお願いします!」

 

「6月ということでジューンブライド、花嫁をテーマにした撮影ですか……。本事務所では、また新しい試みですね。」

 

「衣装、というより、ドレスですね。そちらのほうもこちらで管理していますので、事務所側は何の準備も必要ございません。まぁ強いて言うなら、若宮さんのコンディションのほうを…「大丈夫です!」ん?」

 

「チサトさんに、体調管理はいつもしっかりしておくこと、と言われているので、コンディションのほうは心配ありません!」

 

「はは、それは心強いですね。」

 

「……若宮さん、そろそろ練習の時間では?」

 

「! ほんとです!では、私はここで失礼…「あ、ちょっと待ってください。」?」

 

「一つ、私から提案があるのですが、いいですか?」

 

「提案、ですか?」

 

「はい。今回の撮影はジューンブライド、花嫁をテーマにということですが、……そこにもう一つ、何か新鮮味を出してみませんか?」

 

「新鮮味?」

 

「具体的には、どういう……?」

 

「それはまだ決まっておりませんが、まだ時間はあります。そこで、若宮さんにお願いが。」

 

「お願い、私にですか?」

 

「ジューンブライド、そこにもう一つ付け加えられる新鮮味。この一週間、それをじっくり考えてみてくれませんか?」

 

「一週間で……。」

 

「……すみません。一週間あるとは言え、彼女はモデル兼アイドルなんです。Pastel*Palettesの方もありますし、新鮮味というのはない方向で…「分かりました!」!」

 

「この一週間で、その新鮮味、ですか?考えてみます!」

 

「わ、若宮さん。そうは言っても時間が…「時間ならあります!」……ですが……」

 

「私、挑戦してみたいんです!ジューンブライドの撮影、そこに加わる新たな可能性。それを見つけ出すことができれば、今後のパスパレの活動ももっと大きなものになると思うんです!」

 

「……若宮さん。」

 

「パスパレの活動にも、モデルの仕事にも支障はきたしません!だから…「分かりました。」! マネージャーさん!」

 

「そこまで言うのなら、仕方ありません。私もいっしょに考えます。新たな可能性、必ず見つけましょう。」

 

「……はい!」

 

「ありがとうございます、若宮さん。……では、私はこれで失礼します。素晴らしい答えを待ってますよ、若宮さん。」

 

「はい!絶対に見つけてみせます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-翌日-

 

「ジューンブライド、ですか。」

 

「うん。来週、うちの事務所でジューンブライドにちなんだ撮影をするんだって。イヴちゃん、すごく張り切ってたよ。」

 

「そうだったんですか。……それで、さっきの質問ですが。」

 

「あ、そうそう。それでイヴちゃんね、そのジューンブライドに、もう一つ何か、新鮮味を出してみないかって、向こうの人に言われたんだって。マネージャーさんは最初乗り気じゃなかったみたいなんだけど、イヴちゃんの熱意に負けていっしょに考えてくれるって言ってくれたみたい。」

 

「つまり、その新鮮味というのを考えるのが、今の若宮さんの課題ということですか。」

 

「簡単に言えばそういうことかな。あ、あとイヴちゃん、新たな可能性、とも言ってたよ。」

 

「新たな可能性、ですか。……その課題の答えは、今回の撮影に限るものではないのかもしれませんね。」

 

「? どういうこと?紗夜ちゃん。」

 

「私に聞くより、直接本人に聞いた方が早いと思いますよ。」

 

「そっか。……じゃあ、後でイヴちゃんに聞いてみようかな。あー、ん。ん~♪美味しい~♪」

 

「(……丸山さん、美味しそうに食べるわね。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リンコさん!」

 

「は、……はい。」

 

現在僕と白金さんは、図書館で図書委員の仕事中。

 

今日はあまり人が来ないみたいなので、僕と白金さんは本を読んでいた。

 

そこに若宮さんが来て、……という状況だ。

 

「ジューンブライドに関係する本って、ありますか?」

 

「ジューンブライド、ですか?」

 

ジューンブライドっていやぁ、六月に結婚すると幸せが訪れるっていうあれか。

 

どうして若宮さんがそんな本を……。

 

……いや、まさか。

 

……うん、まさかな。

 

「し、調べてみるので、少し、待っててください。カタカタカタ」

 

おぉ、白金さん、キーボード打つの早っ。

 

「お久しぶりです!カエデさん!」

 

「あ、う、うん、久しぶり。」

 

「カエデさん。もしカエデさんが、ジューンブライドにもう一つ何かを付け加えるとしたら、何を加えますか?」

 

「へ?……ジューンブライドに、もう一つ何かを付け加える?」

 

「はい!えっと、新鮮味のようなものです!」

 

「新鮮味?……難しい質問だなー。」

 

ジューンブライド、六月に結婚、そこに何かを付け加える?

 

新鮮味っていうことは、ありきたりなものじゃダメってことだよな。

 

うーん、……うーん、……うーーん……。

 

……そもそも、ジューンブライドに何かを付け加える必要があるのか?

 

てか、どこからそんな話が出てきたの?

 

「……!ありました!」

 

あるんだ!

 

ジューンブライドに関する本なんて、図書館にあるんだ。

 

高校の図書館、恐るべし……。

 

「えーっと……、……!ありました、これです。」

 

「あー、僕取ろうか?」

 

「大丈夫、です。……自分で、取れま…グラッ ! きゃっ!」

 

「白金さん!」

 

『ドシンッ!』

 

「! だ、大丈夫ですか!?二人とも!」

 

「は、はい。……私は、なんとか。」

 

「……白金さん。あの、……悪いんだけど、どいてくれない?」

 

「! す、すみません!」

 

「ふぅー、びっくりした~。……いたたたた。」

 

落ちる白金さんの背中を支えようとしたら、落ちる勢いに負けてそのまま背中からバタンッ!だもんな。

 

背中は痛いわ足も痛いわ。

 

はぁ、まさか図書館で怪我することになるとは。

 

「そ、空見さん。あの、その、……だ、大丈…「大丈夫大丈夫。」ほっ、よ、良かったです。」

 

「……これが、ジューンブライドに関する本?」

 

「は、はい。たぶんそれで、……間違いないと、思います。」

 

「はい、若宮さん。」

 

「ありがとうございます。カエデさん、リンコさん。」

 

「今、貸し出しの準備をしますね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございます!では、私はこれで!」

 

「あ、……ど、どういたしまして。」

 

「若宮さん、なんかすごい急いでる様子だったな。」

 

「そうですね。……『キーンコーンカーンコーン』!」

 

「あ、鳴った。」

 

「昼休み、終わりましたね。」

 

「結局、昼休みに図書館来たのは若宮さんを入れて三人か。」

 

「そんなものですよ。」

 

「じゃ、僕達も教室戻ろっか。」

 

「はい。」

 

えーっと、確か次の授業は……。

 

……理科、

 

うわっ、だっる。

 

……寝てよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-三日後-

 

「~~♪……よしっ!」

 

「彩ちゃん、今日もいい感じだね~。」

 

「えへへ、そうかな?」

 

「でも、だからと言って気を抜いてはダメよ。」

 

「分かってるよ、千聖ちゃん。」

 

「……彩さん、絶好調ですね。よーし、ジブン達も頑張りましょう!イヴさ……」

 

「……楽器、……いや、これはジューンブライドと関係ない。……他には……」

 

「……えーっと、イヴ、さん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーさらに翌日ー

 

「……」

 

「……ちゃん。……ヴちゃん。……イヴちゃんったら!」

 

「! え?あ。な、何ですか?チサトさん。」

 

「さっきからずっと呼んでたのに、気づかないなんてイヴちゃんらしくないわね。」

 

「そ、そうだったんですか?すみません……。」

 

「別に、怒ってるわけじゃないのよ?……イヴちゃん、ここ最近様子が変よね。」

 

「! そ、そんなこと…「みんな言ってるわよ?」え?」

 

「花音も日菜ちゃんも、麻弥ちゃんも、イヴちゃんの様子が変だって。部活や練習のときはなんともないのに、それ以外のときのイヴちゃんは、どこか悩んでるような顔つきだって。」

 

「……」

 

「イヴちゃん、何か悩みがあるのだったら、私に聞かせてくれないかしら?」

 

「……でも、これは……」

 

「無理にとは言わないわ。……でもそのほうが、一人で背負いこんで思い悩んでるときより、ずっと気持ちが楽になると思うの。」

 

「……」

 

「私達、同じパスパレの仲間でしょ?」

 

「! ……そう、ですよね。……チサトさんは、私の大切なパスパレの仲間です。分かりました!今の私の悩み、全てチサトさんにお話します!」

 

「イヴちゃん……。……ふふ、ありがと。」

 

「……それで、今の私の、悩みというのは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-そして、撮影当日-

 

「みんなに集まってもらったのは、他でもないわ。」

 

「「「「……」」」」

 

「今日はイヴちゃんの、ジューンブライド、花嫁をテーマにした撮影当日。今ここで、それに付け加えられる新鮮味、新たな可能性の答えを、みんなで見つけてあげましょう。」

 

「チサトさん、なんかカッコいいです!あ、それとみなさん、私のために集まってくれて、ありがとうございます。」

 

ここは屋上。

 

白鷺さんが今言ったように、ジューンブライドに付け加えられる新鮮味、そして新たな可能性、というのを考えるために、僕達はここに呼び出されたらしい。

 

ちなみに集まったのは、氷川さん、白金さん、若宮さん、僕の四人だ。

 

幸い僕達の他には誰もいないので、人目を気にしたりする必要はない。

 

ないんだけど、……グ~

 

腹へった……。

 

「でも、意外です。……氷川さん、こういう話し合いにはあまり興味ない人だと思ってました。」

 

「少し、気になることがあったので。」

 

しかし、花嫁をテーマにした撮影か……。

 

まさか若宮さんが、モデルの人だったなんてな。

 

しかも芸能事務所の。

 

……この学校、すげえ人多くね?

 

芸能人とか、芸能人とか、芸能人とか。

 

三人も芸能人がいる学校なんて、そうそうないんじゃないの?

 

「撮影は四時から。それまでにみんなで協力して、ジューンブライドに付け加えられる新鮮味、新たな可能性を見つけ出すのよ。いいわね?楓。」

 

「なんで僕に振るんですか……。」

 

「あなたが一番、退屈そうな顔をしてたからよ。」

 

「そんな顔してませんよ!」

 

「……まぁいいわ。それじゃあイヴちゃん、まず最初に、現時点であなたが考えた新鮮味を、私も含めて、みんなに教えてもらえるかしら?」

 

「はい!……私はこの一週間、ずっと考えていました。図書館から本を借りたり、友人に聞いたり、自分でインターネットを使って調べたり、あらゆる方法を駆使して。」

 

「「「「……」」」」

 

「その結果見事、一つだけ、これしかない!というものを見つけ出すことに成功しました!」

 

「一つだけ……。」

 

「これしかない、というもの……。」

 

「それはいったい……」

 

「何なの?イヴちゃん。」

 

「ふっふっふ。……そう!私が見つけ出した、これしかない!ジューンブライドに付け加えられる新鮮味は!」

 

「「「「……ゴクリ」」」

 

「ズバリ!……ブシドーです!」

 

「「「「……え?」」」」

 

……ん? 

 

え、何? 

 

武士道?

 

「ジューンブライド+ブシドー!これこそ、私が見つけ出した新鮮味!新たな可能性なんです!」

 

「……あ、新たな可能性、というよりは……」

 

「若宮さんが、常に追い求めているもの、ですよね?」

 

「まぁ、イヴちゃんらしい答えではあるけど……。」

 

武士道、……って何だっけ?

 

武士道……、武士、道……、武士の道……、武士を目指す人の心構えみたいなやつ?

 

それが、……若宮さんらしいの?

 

……ダメだ、全く話についていけん……。

 

「……でも、少し違う気がするんですよね。」

 

「え?」

 

「私が求めている新鮮味、新たな可能性とは、なにか違うような……。」

 

「イヴちゃんが求めている……?」

 

「それって、どういうものなの?」

 

「パスパレの活動を、もっと大きなものにしてくれる何か、です!」

 

「!」

 

「パスパレの活動を……」

 

「もっと大きなものにしてくれる何か……。」

 

「……パス、パレ?」

 

「イヴちゃんもパスパレのメンバーなのよ。担当楽器はキーボード。」

 

「そ、そうだったんですか。」

 

若宮さんが、パスパ…、Pastel*Palettes……。

 

……すごいな、いろいろと。

 

「……イヴちゃん、そんなことを考えてくれていたのね。」

 

「! ……な、なにか、まずかった、です…「いいえ違うの。その逆よ。」逆?」

 

「それなら尚更、答えを見つけださないとね。」

 

「ち、チサトさん……。」

 

「話を聞いていたら、ますます興味が出てきました。若宮さんのいう、新たな可能性というものに。……必ず見つけましょう。」

 

「サヨさん!」

 

「Pastel*Palettesの活動を、もっと大きなものにするための答え探し、……私にも、手伝わせてください。」

 

「リンコさん!……ありがとうございます!とても頼もしいです!」

 

「私からもお礼を言わせてちょうだい。紗夜ちゃん、燐子ちゃん、ありがとう。」

 

「いいえ、白鷺さん。お礼を言うのはまだ早いですよ。」

 

「答えを見つけてから、……ですよね。」

 

「ふふ、そうね。……では最初に、みんなそれぞれ意見を出しあいましょう。まずは、……楓。」

 

「! ぼ、僕ですか!?」

 

「だってあなた、全然話に入ってこないんだもの。ほら、早く何か意見出して。」

 

「そ、そんなこと、急に言われても……。」

 

白鷺さん、無茶ぶりにも程があるだろ……。

 

話に入ってこないから先に意見出せって……、僕こういうの苦手なのに……。

 

「……空見さん。思い付かなかったら、私から先に…「ダメよ、燐子ちゃん。」! し、白鷺さん……。」

 

「ほら楓、早く意見を出して。時間は限られているのよ。」

 

くそ~、鬼畜だろ白鷺さん。

 

意見、……意見!?

 

うー……、……何か、何かないか……?

 

……。

 

『ジューンブライドに関係する本って、ありますか?』

 

! そうだ本だ!

 

「わ、若宮さん。」

 

「何ですか?」

 

「確か先週、ジューンブライドに関する本を借りたよね?」

 

「はい、借りました。それが何か?」

 

「そこに、どんなことが書いてあった?」

 

「どんなこと、ですか?」

 

「「空見さん?」」

 

「……」

 

「何でもいいんだ。あ、なんだったら読んでるときに心に残った一文とかでもいいよ。」

 

「心に残った一文……。……!思い出しました!」

 

「ほんと!?」

 

「はい!私が読んでるときに心に残った一文というと確か、……“六月に結婚した男女には、幸福が訪れると言われている。”です!」

 

「なるほど。……やっぱりジューンブライドといえばそれだよね。」

 

「楓。あなた、何が言いたいの?」

 

「こういうのってさ、難しく考えず、根本的なところから考えてみればいいんだよ。」

 

「根本的なところ?」

 

「うん。若宮さんが言うには、芸能事務所でのジューンブライド、花嫁をテーマにした撮影は初めてなんでしょ?」

 

「はい、そう言っていました。」

 

「ならたぶん、簡単なのでいいんだよ。新鮮味とは言ってるけどさ、事務所でジューンブライドにちなんだ撮影をするというのがそもそも新鮮味なんだし。」

 

「! なるほど!その考えは思い付きませんでした。」

 

「だから、何でもいいんだと思う。最初にそのことを聞いたときは、ありきたりなものじゃダメなんだろうなって思ってたけど、若宮さんの話を聞いてそんなことないって気づいた。こういうのを考える中で大切なのは、たぶん、ありきたりなものから考えるってことなんだと思う。」

 

「ありきたりなもの……。」

 

「難しく考えずに、根本的なところから一つずつアイデアを拾っていけば、きっといつか、その答えにたどり着くよ。」

 

「根本的なところから一つずつ……。……カエデさんなら、どんなアイデアを拾っていきますか?」

 

「え、僕?……まぁ僕だったら、単純に六月、結婚、男女、幸福って言葉を並べていって、その中であ、これいいかもって思ったものを一つ取りあげて、そこからどんなことができるかってのを頭の中に思い浮かべていくかな。」

 

「「「……」」」

 

「なるほど。……ちなみに、カエデさんが一つ言葉を取り上げるとしたら、何ですか?」

 

「……幸福、かな。これなら、いろいろと案も浮かんできそうだから。」

 

「幸福、ですか。……」

 

……「空見さん。」ん?

 

「何ですか?氷川さん。」

 

「あなたは、……ほんとに凄い人ですね。」

 

「え?な、何がですか?」

 

「何が、とは言わないけど、私も凄いと思うわ。あなたのそういうとこ。」

 

「私も、……空見さんの凄さ、尊敬、します。」

 

「え?……え?」  

 

「(私達の意見を出すまでもないくらい、分かりやすく、まとめられた空見さんの意見。……空見さんの隠れた才能の一部が、垣間見れた気がします。)」

 

……僕、何かしたかな?

 

白鷺さんに意見言えって言われたから、なんとか絞り出してそれを若宮さんに意見として提供しただけなんだけど……。

 

いや、提供って言い方は図々しいというか、お前何様だよって感じだからやめたほうがいいか。

 

「……分かりました!」

 

「「「!」」」

 

「ジューンブライドに付け加えられる新鮮味、それは、……男の人です!」

 

「……男の、人?」

 

「はい!この答えは、さっきカエデさんが言ってくれた、“男女”から導きました!」

 

「どういう、こと?」

 

「つまり、今回の撮影は私ともう一人、二人でやるということです!男女二人で!」

 

「……し、しかし若宮さん、若宮さんといっしょに撮影を行える人なんて…「リンコさん、ここにいるじゃないですか。」え?」

 

「……あの、まさか若宮さん、あなた……。」

 

「い、イヴちゃん、はやまってはダメよ……?」

 

「カエデさん!」

 

「! な、何…「……」ガシッ! へ?」

 

「今日一日だけ、私の殿方になってください!」

 

「「「(や、やっぱり……。)」」」

 

「……え?……と、殿、方?」

 

「はい!お願いします!」

 

「……あー、えっと、若宮さん。」

 

「何ですか?」

 

「その、殿方?って、何だっけ?」

 

「分かりやすく言うと、婿です。」

 

「む、婿……?」

 

「はい!つまり、……空見さんには今日一日だけ、私の花婿になってほしいんです!」

 

「「「……」」」

 

「花、婿……。」

 

「はい!」

 

……へ?

 

……え、……え!?

 

……ええええええ!!??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー芸能事務所 撮影スペースー

 

「今日の撮影、よろしくお願いします!」

 

「う、うん。こちらこそ、よろしく。」

 

「……」

 

「……と、ところで若宮さん。隣にいるその子は、いったい…「新たな可能性です!」……へ?」

 

「この人が、ジューンブライドに付け加えられる新鮮味、また、パスパレをもっと大きなものにするための新たな可能性なんです!」

 

「……は、はぁ……。」

 

……何で僕が、こんなところに……。

 

完全に場違いだろこれ……。

 

 

 

 

 

 

「空見くんが、ジューンブライドに付け加えられる新鮮味?」

 

「一応、もう少し考えてみない?って念は押してみたんだけど、これしかない!って言って聞かなくて……」

 

「イヴちゃんがなんか悩んでたのって、このことだったんだ~。」

 

「……あの人が、皆さんの言っていた、空見楓さん、ですか。」

 

「そういえば麻弥ちゃんは、直接楓を見るのは初めてだったわね。」

 

「はい。」

 

「空見くんって、すっごく面白いんだよ!この前もおねーちゃんが言ってたんだけど…「こーら、日菜ちゃん。うるさくしないの。撮影の邪魔になっちゃうでしょ。」あ、ごめんごめん。」

 

「……空見くん、大丈夫かな?」

 

 

 

 

 

 

「……お待たせしました!」

 

「……!?え、……ま、マジ?」

 

五分くらい待ってると、若宮さんが帰ってきた。

 

……白いウェディングドレスを身にまとって。

 

「うわぁ……!」

 

「どうですか?皆さん。」

 

「すごく綺麗だよ、イヴちゃん!本物の花嫁さんみたい!」

 

「とても似合ってるわよ。」

 

「そのドレス、すごいるんっ♪てくるよ!」

 

「こういうイヴさんって、なんか新鮮ですね。とても素敵だと思います!」

 

「ありがとうございます。……カエデさん、どうですか?」

 

「! ぼ、僕にも、振るんだ……。」

 

「当然です!」

 

……こ、これ、本物?

 

マジもんの、本物のウェディングドレスなの?

 

……ヤバイな。

 

テレビとかでなら見たことあるけど、こうして目の前で見ると、……迫力、というか、……ものすごく、神々しい……。

 

ウェディングドレスって、これくらい間近で見ると、こんな破壊力高いものだったのか……。

 

「カエデさん?」ズイッ

 

「! わあっ!」

 

「え?……カエデ、さん?」

 

「(ヤベ!)ち、違うんだよ若宮さん!あの、気づいたら顔が近くにあったから、それでびっくりしただけで……」

 

「……そんなに私、似合ってませんか?」

 

「だ、だから違うって…っ!……」

 

「……そ、空見くん?」

 

「すぅ、はぁ、すぅ、はぁ。……よし。」

 

「……」

 

「……に、似合ってるよ、若宮さん。……ものすごく、神々しくて。」

 

「ほ。本当ですか?」

 

「う、うん、ほんとに。」

 

「……えへへ、ありがとうございます!……「若宮さーん、そろそろ撮影始めますよー。」はーい!それでは皆さん、いってきます!」

 

「……楓にも、人を褒めるということができるのね。」

 

「できますよそれくらい…「私とデートしたときは褒めてくれなかったのに?」だからそれは…って、へ?デート?」

 

「ええ。したでしょ?デート。あの日、私結構真剣に服のコーデしたのに、楓全然褒めてくれないから、楓はそういう人なのだと…「ちょ、ちょっと待ってください!あれはその、デートというか、ただ町を案内してもらってただけじゃ…「それがデートなんでしょ?」え、……そ、そう、なんですか?」ええ。みんなもそう思うわよね?」

 

「うん、あれはデートだね。」

 

「私も、千聖ちゃんに話を聞いただけだけど、デートの部類には入ると思うよ。」

 

「ジブンも、二人と同意見です。」

 

……満場一致かい。

 

てか、最後の眼鏡をかけた人は誰?

 

「あ、自己紹介が遅れました。ジブン、Pastel*Paletteでドラムをしています、大和麻弥といいます。」

 

「あ、えっと、空見楓です。」

 

「空見さんのことは、皆さんから話を聞いていますよ。とても面白い方のようで。」

 

「お、面白い?……」チラッ。

 

「「「……」」」

 

ったく、この人達は……。

 

「それはそうと空見さん、後ろでスタッフさん達が呼んでますよ?」

 

「え?……ほんとだ。何だろう?」

 

「では空見さん、また後で。」

 

「え、あ、は、はい。また。タッタッタ」

 

僕に用……。

 

……嫌な予感はしないけど、心配だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、じゃあ若宮さん、ここで一つ新鮮味を出してみようか。」

 

「はい!」

 

「空見くん、遅いなぁ。」

 

「きっと、メイクや衣装で戸惑ってるんでしょう。」

 

「でも空見くんって、別にメイクいらないと思うんだけどなー。」

 

「あ、メイク係の人達が帰ってきましたよ。」

 

「お、お待たせしました!空見楓さんのメイク、終わりました!」

 

「あ、空見く…!」

 

「う、嘘……。」

 

「おぉー、これは……。」

 

「メイク係さん、恐るべし、ですね……。」

 

「……」

 

「カエデさん!すごくカッコいいです!」

 

「あ、ありがとう……。」

 

まさか、マジで僕も撮影することになるとは……。

 

うぅ、着なれねぇ……。

 

タキシードを用意してるなんて、あのカメラマン、こうなることを予想してたのか?

 

「……すごい。」

 

「え?」

 

「すごいよ空見くん!空見くんも、本物の花婿さんみたい!」

 

「そ、そう?ってか近い近い!」

 

「イヴちゃんのもいいけど、こっちのもるんっ♪てくるかも!」

 

「要は、どっちも似合ってるということですよね。」

 

「るんっ♪て、汎用性高いな……。……?あれ、白鷺さん?」

 

「? チサトさん?どうかしましたか?」

 

「……え?あ、ご、ごめんなさい。ついぼうっとしていたわ。」

 

「あれれ~?もしかして千聖ちゃん、タキシード姿の空見くんに見とれちゃってた~?」

 

「そ、そんなわけないでしょ!?変なこと言わないで!」

 

「あはは、千聖ちゃんが怒った~。」

 

「笑い事じゃないわよ!私は本当に……」

 

「……し、白鷺さん……。」

 

「……たぶん千聖ちゃんは、ちゃんと空見くんのこと、似合ってると思ってくれたよ。」

 

「そう、かな。……ていうか、僕そんな似合ってる?自分では、あまりそうは思わないような…「千聖ちゃんが似合うって言ってるんだもん。間違いないよ!」……本当にそう思ってるかは謎だけどね。」

 

「若宮さん、空見さん、撮影始めますよ!」

 

「はーい!ではカエデさん、行きましょう!」

 

「あ、うん。……それじゃあ、行ってくる。」

 

「うん、頑張ってね。」

 

「頑張る要素あるかなぁ?……僕、ほんとに来てよかったのかな?花婿役なら、芸能事務所の中にいる誰かしらの男の人を連れてくれば…「イヴちゃんが、空見くんがいいって言ったんだよ。」まぁ、そうだけどさ……。」

 

「大丈夫だよ。空見くんなら、きっと。」

 

「……それ、何に対しての大丈夫なの?」

 

「カエデさーん!早くー!」

 

「ごめん今行くー!……丸山さん、じゃ。タッタッタ」

 

「……大丈夫だよ。大丈夫だから、自信持って、頑張って。ね、空見くん。」

 

「いい?日菜ちゃん。ものにはね、言っていいことと悪いことがあるの。あなたはもっとそういうところを……」ガミガミ

 

「あーあ、いつの間にか、千聖ちゃんのお説教始まっちゃってる……。って、千聖ちゃーん!もう撮影始まるから静かにー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー数日後ー

 

「これが、若宮さんの花嫁衣装……。」

 

「イヴちゃん綺麗~。」

 

「まるで、……本物の、花嫁さんみたいです。」

 

「ふふ、やはりみんな、感想が似てしまうのね。」

 

「仕方ないよ。だってほんとに綺麗で、ほんとに花嫁さんみたいだもん。」

 

「……どの写真のイヴちゃんも、とても良い笑顔だね。」

 

「若宮さんの気持ちが、写真からでも伝わってくるような気がします。」 

 

あの撮影から何日か後に、そのとき撮影した写真が載った本の見本が届いたらしい。

 

丸山さんと氷川さんと白金さんと松原さんと白鷺さんは、ここ、二年B組の教室(の僕の席の周り)で、若宮さんの写真が載ったページを見ながらワイワイ話している。

 

ちなみに僕はというと、……自分の席に座って落ち込んでいる。   

 

「……はぁ。楓、いつまでそうしてる気?」

 

「何でこうなったのかは、今日私がスタッフさんに聞いてみるから、ね。」

 

「……男なのに。……僕はれっきとした、男なのに……。」

 

「しかし丸山さん、若宮さんの立場を考えたら、どうしてこうなったのか、だいたい想像つきませんか?」

 

「え?……紗夜ちゃん、分かるの?」

 

「想像ですが、おそらくそれで間違いないと思います。白鷺さん達も、もう分かってるみたいですし。」

 

「え、そうなの!?」

 

「ええ、もちろん。」

 

「私も、なんとなくは。」

 

「騒ぎにならないためには、……こうするしか、ないですよね?」

 

「騒ぎ……?……どういうこと?」

 

「スキャンダルよ。」

 

「スキャン、ダル?」

 

「イヴちゃんはもちろん、私や彩ちゃん、日菜ちゃんと麻弥ちゃんもアイドルでしょ?そんな人達と一般人である楓がいっしょにいるところを、ファンの人達が見たら……」

 

「! そっか!そういうことか!」

 

「理解してくれたみたいで良かったわ。」

 

「流石に私も、そこまで言われれば分かるよ~。」

 

……つまり、こういうことだ。

 

僕も最初は、丸山さんが持ってきた見本本をいっしょに見ていた。

 

僕と若宮さんがいっしょに写ってる写真は、若宮さんの写真が載っているページの左下にあった。

 

その写真事態はよかったのだ。

 

問題は、……その写真の横の説明だ。

 

説明には、こう書いてあった。

 

『空出南恵加(そらでみえか)(16)

○×□高校。モデルとして活動中。

若宮イヴさんと仲が良いらしく、若宮さん自身が花婿役に彼女を選出した。』

 

……もうお分かりだろうか。

 

この写真に若宮さんといっしょに写ってるのは僕だが、事務所の人達の意向により僕ではない誰かということにされた。

 

おそらく、白鷺さんの言う通りスキャンダルになることを防ぐための対策だとは思うが、……こうするんだったら、せめて連絡の一つぐらいはしてほしかった……。

 

ていうか誰だよ空出南恵加って。  

 

そらみかえでを並べ替えただけじゃねえか。 

 

まぁ、流石に完全に名前を変えるのはちょっと、みたいな話になってこうしたんだろうけど、……はぁ、なんかなー……。

 

あんなに緊張しながら撮ったのに、それが全部水の泡になった感じ……。

 

……はぁ~……。

 

「よく見たら、空見くんの顔もなんか女の子っぽいね。」

 

「あのときは気づかなかったけど、おそらく、写真に写ったときに女の子に見えるようなメイクをしていたんでしょうね。」

 

「プロの人って、やっぱり凄いんだね。」

 

「空見さん、……元気、出してください。」

 

「空見さんは男の子なのですから、もっとシャキッとしてください。」

 

「……」

 

「……紗夜ちゃん、もしかしてそれ、フォローのつもり?」

 

「え?あ、いや、……はい。まぁ、似たようなものですね。」

 

「それ、……フォローになってないと思うわよ?」

 

「え、……そ、そう、ですか……。」

 

そらみかえで、そらでみえか、そらみかえで、そらでみえか……。

 

……なんか僕が二人いるみたいでやだ……。

 

「……あれ?」

 

「どうしたの?彩ちゃん。」

 

「今回イヴちゃんが見つけた答え、ジューンブライドに付け加えられる新鮮味、新たな可能性。これって、空見くんのことなんだよね?」

 

「ええ、若宮さんはそう言ってましたけど。」

 

「でも、こうも言ってたよね?新たな可能性、その答えを見つけることができれば、パスパレの活動ももっと大きなものになるって。」

 

「あ、……そういえば。」

 

「つまり空見くんが、パスパレの活動をもっと大きなものにしてくれる何か、ってことだよね?」

 

「「「「……あ。」」」」

 

「……これって、どういう意味何だろう?」

 

「「「「……」」」」

 

……よし決めた。

 

もう、絶対にモデルの撮影は引き受けない。

 

うん、そうしよう。




終わった。

……やっと終わったー!

これで、






……これで次回から、文化祭回に入れる!
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