このタイトルの意味は、今回の話を最後まで読むと分かります。
ほんと、そのままの意味です。
ー2-A教室ー
楓「ふわぁ~。」ガラガラガラ
花音「あ、空見くん、おはよう。」
楓「おはよう、松原さん。ん?」
橋・音「! ササッ!」
楓「……あのー。僕の席で、何やってんの?」
橋山「な、何もやってないよ?ねぇ宮村。」
音羽「はい!空見さんにはまだ、関係のないことですので!」
楓「は、はぁ……。」
……もしかして、文化祭関係?
まぁ、実行委員の仕事なら、確かに僕には関係ないか。
千聖「あなた達。まさかとは思うけど、何か変なこと企んでたりしないでしょうね?」
橋山「し、してないよ。やだなー白鷺さん。」
音羽「さ、もうすぐHRが始まりますよ。早く席につきましょう。」
タタタ……
楓・花・千「……」
千聖「……怪しいわね。あなた達もそう思うでしょ?花音、楓。」
花音「う、うん。」
楓「まぁ、はい。」
あんな動揺のしかた、怪しさ以外のなにものでもないよな……。
千聖「……いいわ。とりあえず、様子を見ましょう。もしものことがあった場合は、私がきちんと言っておくわ。」
花音「そのときは、お手柔らかにしてあげてね……。」
千聖「そうね、……考えておくわ。じゃ、また後でね。」
花音「うん、また後で。」
楓「……ていうか、何で僕の席でやってたの?もぅ、ゴミとかちゃんと捨てといてよ。パッパッ」
花音「空見くん。」
楓「ん?」
花音「今日はお昼、いっしょに食べれないよね?」
楓「え?……あ、そっか。図書委員の集まりがあるんだ。ごめん松原さん。」
花音「そんな、いいよ謝らなくて。みんなも知ってるから。」
楓「明日なら、たぶんいっしょに食べれるよ。」
花音「“明日以降”じゃなくて?」
楓「あ、……うん、そうだね。」
『キーンコーンカーンコーン』
~昼休み~
【花咲川女子学園 図書館】
「……みんな集まりましたね。それではこれより、図書委員会を始めます。お願いします。」
『『『お願いします。』』』
「……今回集まってもらったのは他でもない、文化祭についてです。図書委員会は毎年、各自おすすめの本を選び、その選んだ本の紹介をこの紙に自由に書き、それらを展示するという企画を実施しています。ですが、今回は少し方針を変えていきたいと思っています。」
「方針?」
「どういうこと?」
昼休みが始まってから10分後に全員が集まり、先生が全員集まったのを確認するとすぐに委員会が始まった。
今みんなの前に立ってしゃべっているのは、3年生の企画・運営係の人だ。
名前は覚えていないが、氷川さんみたいな真面目な人だってことだけは覚えてる。
「あの、具体的には、どういうふうに……?」
「いくつかのジャンル別に別れて、それぞれその別れたジャンルの本を読んで紹介するんです。」
『『『!』』』
「それはまた……新しい試みですね。」
「いくつのジャンルにするか、それはまだ決めていませんが、それぞれ2人ずつくらいに別れてもらおうかと思ってます。」
「なるほどー。」
「それは面白そうなアイディアだね。」
「それじゃあ私は、恋愛ものにしようかな~。」
楓「それぞれのジャンル別かー。……じゃあ僕は、ミステリー系かな。白金さんは?」
燐子「私も……ミステリー系に……しようかと。」
楓「そうなんだ。じゃあ同じだね。」
燐子「はい。……同じジャンルなので……やりやすいと……思います。」
「……皆さん、誰が”自分の好きなジャンル“と言いました?」
楓・燐「へ(え)?」
「え、違うの?」
「自分の好きなジャンルを選んじゃダメなの?」
「それを今から説明します。そのために集まってもらったのですから。」
楓・燐「……」
『『『……』』』
「……くじ引きです。」
『『『……え?』』』
「何のジャンルの本を紹介してもらうかは、くじ引きで決めたいと思います。」
「……え?」
『『『えええええーーー!!??』』
~委員会終了後~
『次回の集まりは未定です。が、みなさん、自分が何のジャンルの本を紹介することになるのか、期待と不安を膨らませながら待っていてください。』
楓「……あんなこと言われたって、不安しか残らないよ……。」
委員会は5分もかからず終わった。
今僕は、白金さんといっしょに教室へ戻っている途中なのだが、……あの人の言葉が頭から離れん……。
燐子「びっくり……しました。とても真面目な人なので、……失礼かもしれませんけど、そういう斬新な企画を思い付くような人ではないと……思ってましたから……。」
楓「斬新、ねー。……白金さんはどう思う?あの企画。」
燐子「……私は、面白いと思います。」
楓「え!?」
燐子「あの人が言っていたのをまとめると、……図書委員全員がくじを引き、それぞれがその引いたジャンルに別れる。ジャンルがいくつあるかは分かりませんが、それぞれ2人ずつくらいと言っていたので、……5、6ジャンルくらいでしょうか。そして、それぞれに分かれた2人が、その担当のジャンルの本を読み、紹介を紙に書き、展示する。……紹介を紙に書いて展示するという部分は、従来のやり方と同じですね。」
楓「……怖くないの?」
燐子「怖い?」
楓「白金さんは、自分の担当するジャンルが何になるか、不安で怖くなったりしないの?」
燐子「……不安にはなりますけど、怖くはないです。確かに、ホラーだと怖く感じるかもしれませんが、それは全部本なので。くじで自分の紹介する本のジャンルを決める、私はこの企画は面白いと思いますし、楽しみです。どんな本になるか、どんな本に出会えるのか。今から考えただけでもワクワクします!……はっ!す、すみません、空見さん。私ばっかり、……しゃべって……しまって。」
楓「いや、いいよ。……白金さんってさ。」
燐子「?」
楓「本当に本が好きなんだね。」
燐子「……はい!」
白金さんの話聞いてたら、僕も考えが変わってきたかも。
どんな本になるか、どんな本に出会えるか、か。
……確かにそう考えたら、楽しみで、ワクワクするかも。
まぁ、不安な気持ちは変わらないけど……。
彩「……!あ、空見くん!燐子ちゃん!お帰り!」
楓「? 何で丸山さんが、A組から?」
燐子「さ、さぁ……?」
彩「2人とも早く、こっちこっち!」
楓「……丸山さん、どうしてA組に……って、氷川さん!?」
紗夜「お疲れ様です。空見さん、白金さん。」
……何が、どうなってんの?
……ん?キョロキョロ
楓「あれ、松原さんがいない……。」
千聖「花音なら、実行委員の集まりに行ったわよ。」
楓「実行委員の?」
千聖「ええ。美菜ちゃんといっしょにね。」
楓「あ、そうなんですか。……」
千聖『花音ね、ずっと楓といっしょにお昼を食べたがってたのよ。オリエンテーションの日くらいから、ずっと言ってたわ。楓といっしょにお昼ごはんを食べたい。今日こそは楓をお昼に誘うんだって。』
花音『今日はお昼、いっしょに食べれないよね?』
……文化祭準備期間だから、松原さんと昼ごはん食べる機会、減っちゃうかもな。
燐子「あの……それで、皆さんはどうして、ここに……?」
千聖「彩ちゃんが、みんなでお昼を食べたいそうよ。」
楓・燐「……」
彩「ちょっと2人ともー!何そのリアクション!」
楓「ご、ごめん。……なんとなく、そんな気がしたからさ。」
彩「? どういうこと?」
千聖「彩ちゃんは平常運転で安心って意味よ。」
彩「え?……そ、それは、どう受け止めればいいんだろう……。」
紗夜「普通に受け止めればいいんじゃないですか?それは、白鷺さんなりの誉め言葉なんでしょう?」
彩「え、そうなの?千聖ちゃん。」
千聖「……ご想像にお任せするわ。」
彩「えー!何それー!」
燐子「ふふ、今日も賑やかですね。」
楓「うん。……賑やかなのは、いいことなんだけど……。」
グ~
千・彩・紗・燐「!」
そろそろ腹へった……。
燐子「……空見さんも、平常運転ですね……。」
【花咲川女子学園 中庭】
彩「ん~!気持ちいい~♪」
紗夜「晴れていて良かったですね。」
燐子「気温も……丁度いいです。」
千聖「中庭でお昼……。花音がいないのが、ますます悔やまれるわ。」
楓「そう、ですね。」
丸山さんの提案で、僕達は中庭でお昼を食べることになった。
まだ昼休みなのでそれなりに人もいて、中には鬼ごっこで遊んでいる人達や、ギターを弾いている人もいる。
……ん?
ギター?
香澄「……あ!空見先輩!」
りみ「え、どこどこ?……あ、ほんとだ。」
たえ「おーい!空見先ぱーい!」
有咲「ちょ、香澄待てって!空見先輩はいいけど、他の人達が……」
沙綾「まぁまぁ落ち着いて、市ヶ谷さん。」
楓「……」
彩「? 空見くん、あの子達と知り合いなの?」
楓「いや、まぁ、知り合いというか、なんというか……」
燐子「空見さんの人脈……広い……ですね。」
紗夜「あの人も、ギターを……」
千聖「紗夜ちゃんは、そこなのね……。」
香澄「空見先ぱーい!こっちこっちー!早く来てくださーい!」
有咲「香澄!先輩に迷惑だって!」
楓「……どうすりゃいいんだろ。」
千聖「行ってあげればいいんじゃない?」
楓「でも、みんなはそれで……
香澄「先輩達も来てくださーい!」
有咲「だー香澄!!お前ほんとマジ黙れえ!」
……。」
紗夜「……行きましょうか。」
楓「……なんか、すみません。」
彩「あ、謝らなくていいよ。それに、人数は多いほうがいいし。ね、千聖ちゃん、燐子ちゃん。」
燐子「は、はぁ……。」
千聖「まぁ、それはそうだけど……。」
楓「……」
たえ「奇遇ですね、空見先輩。ほら、座って座って。」
りみ「先輩達も、もしだったらここに座ってください。」
千聖「ごめんなさい。……私達なんかが、お邪魔してもよかったの?」
香澄「全然大丈夫です!むしろ大歓迎です!ね、さーや!」
沙綾「うん。……先輩達、香澄の言う通りですよ。」
千聖「……じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうわね。……あなた達は、みんな1年生?」
沙綾「はい。……あれ?松原先輩は、いっしょじゃないんですか?」
千聖「花音は、実行委員の集まりのほうに顔を出してるの。」
沙綾「あ、……そう、なんですか。」
香澄「ねぇみんな、せっかく先輩達がいるんだし、自己紹介しない?」
たえ「賛成!」
りみ「じ、自己紹介?……2年生相手だと、ちょっと緊張するかも……」
たえ「私、花園たえ。ギターやってます。」
有咲「自己紹介の仕方が唐突すぎんだろ!」
彩「あはは……、面白い子達だね。」
香澄「私、戸山香澄です!ここにいるみんなで、バンド組んでます!ギターボーカルやってます!」
え、バンド?
しかもここにいるみんなで?
……は、初耳だ……。
彩「へぇー、あなたもボーカルやってるんだ。」
香澄「あなた“も”ってことは、先輩も!?」
彩「うん。私、丸山彩。よろしくね、えっと、香澄ちゃん、でいいのかな?」
香澄「はい!」
彩「じゃあ次は、……千聖ちゃん!」
千聖「私?……白鷺千聖よ。私は彩ちゃんと同じバンドで、ベースをやっているわ。」
りみ「! べ、ベース……」
千聖「あなた、Glitter Greenの牛込ゆりさんの妹さんよね?香澄ちゃん達といっしょにステージに上がって演奏してるとこ、見てたわよ?」
りみ「そうだったんですか!?……」
千聖「そ、そんなにかしこまらないで?……あなたの演奏、とても良かったわ。迷惑じゃなければ今度、またあなたの演奏を聞いてみたいのだけれど。」
りみ「め、迷惑だなんてそんな!……あ、ありがとうございます!えっと、私、牛込りみっていいます!」
千聖「ふふ、よろしくね、りみちゃん。」
りみ「は、はい!」
香澄「りみりん、肩ガッチガチだよ?」
りみ「だ、だって、緊張するんだもん……。」
有咲「白鷺千聖……ってもしかして、あの天才子役の!?」
千聖「天才ではないけれど、まぁ、もと子役の、ね。」
沙綾「白鷺先輩、芸能人だったんですか……。」
楓「……」
香澄「……すごい。」
彩「? 香澄ちゃん?」
香澄「すごいです!そんな人が同じ学校にいて、しかもバンドもやってるなんて!私、今度白鷺先輩のバンドのライブ、見てみたいです!」
千聖「……」
香澄「……あれ?」
有咲「香澄、お前のせいで白鷺先輩固まっちゃった…「ふふ。ありがとう、香澄ちゃん。」!」
千聖「あなたも、あのときステージにいたわよね?確か、カスタネットを演奏してた……」
有咲「! あ、あれは、香澄に無理矢理付き合わされて…「え~?でも楽しかったでしょ~?」べ、別に、楽しくなんか……」
楓「……」
たえ「市ヶ谷有咲、キーボードやってます。」
有咲「っておいこらおたえ!勝手に私の自己紹介するな!」
千聖「……香澄ちゃんの言っていたここにいるみんなって、この1年生5人のことでいいのかしら?」
沙綾「あ、いえ、私はバンドはやってなくて……」
りみ「香澄ちゃんと私と、おたえちゃんと有咲ちゃんの4人です。」
千聖「そうなの?」
あ、そうなんだ。
てっきり、山吹さんもバンドやってるのかと……。
沙綾『ここに写ってるの、友達のドラムなんです。友達が、私とドラムをいっしょに撮ったら絶対合うって言って、遊びで撮った写真なんです、これ。』
……今思えば、普通遊びであんな写真撮るかな~?
千聖「自己紹介を続けましょうか。それじゃあ次、燐子ちゃん。」
燐子「は、はい!えっと……し、白金……燐子です。……キーボード……やってます。」
有咲「キーボード……!」
燐子「あ、……お、同じ……ですね。」
有咲「そ、そうですね……。」
沙綾「良かったね、市ヶ谷さん。同じキーボード仲間がいて。」
有咲「……ま、まぁな。」
香澄「有咲、もしかして照れてる~?」
有咲「て、照れてねーよ別に///!」
香澄「そのわりには顔赤いよ~?」
有咲「あーもううるせーうるせーうるせー///!!」
彩「えーっとー、あと自己紹介してないのは……
紗・沙「私ですね(私だね)。……え?」
あ、……か、かぶっちゃったね。」
沙綾「……お、お先にどうぞ。」
紗夜「そうですか?では。……氷川紗夜です。花園さん、でしたっけ?その人と同じ、ギターをやっています。」
たえ「ギター……氷川先輩も。」
紗夜「花園さん。……もう一度、弾いてみてもらえないでしょうか?」
たえ「え?」
紗夜「さっきの音を、さっき弾いていた花園さんの音を、もう一度聞いてみたいんです。」
たえ「……分かりました。」
楓・千・彩・燐・香・り・有・沙「……」
たえ「……!」
『~♪』
楓「!」
『~♪~~♪♪』
紗夜「……」
彩「うわぁ~……」
香澄「おたえカッコいい!」
『~~♪♪~♪~~~♪♪♪』
紗夜「これが、花園さんの音……。」
『~~~♪♪♪~~♪♪
……~♪』
『『『……』』』
たえ「……ふぅ、こんな感じですかね。」
パチパチパチパチ……!!
彩「すごいカッコよかったよ!えっと……たえちゃん!」
千聖「素晴らしい演奏だったわ。」
たえ「ありがとうございます。」
紗夜「……」
たえ「どうでしたか?氷川さん。」
紗夜「……ええ、とても素晴らしく、気持ちのいい演奏でした。……花園さん。もしよろしければ今度、一緒にセッションしてみませんか?」
たえ「セッション……。」
千聖「すごいじゃないたえちゃん。紗夜ちゃんからセッションのお誘いをもらうなんて。」
香澄「おたえ!」
たえ「……はい。そのときは、よろしくお願いします。」
紗夜「ええ、こちらこそ。」
沙綾「……じゃあ、最後は私だね。」
香澄「よっ!待ってました!」
沙綾「香澄大袈裟。……山吹沙綾です。バンドはやってませんけど、みんなとは仲良くさせてもらってます。」
楓「沙綾んちのパン、すごく美味しいんですよ。」
千聖「パン?……もしかして、商店街にある山吹ベーカリーの……」
沙綾「あ、はい、そうです。」
紗夜「知ってるんですか?白鷺さん。」
千聖「花音が、たまに買ってきてくれるのよ。この店のパン、美味しいから食べてみてって。」
楓「松原さんが……」
千聖「バンドの仲間にもたまにお裾分けしてるのだけど、みんな美味しいって言って喜んでくれるのよ。ね、彩ちゃん。」
彩「うん!」
沙綾「そうなんですか。ありがとうございます!」
彩「パンの話してたら私、その店に行ってみたくなっちゃった。ねぇ千聖ちゃん、今度いっしょに行こうよ!」
千聖「ええ、いいわよ。時間があったらね。」
紗夜「……これでみんな、一通り自己紹介を終えました…「まだです!」え?」
たえ「そうです。まだ空見先輩が残ってますよ。」
楓「! え、ぼ、僕!?」
燐子「あ、確かに。」
楓「いや納得しないでよ白金さん!別に僕のことはみんな知ってるんだし、今更自己紹介なんてしたって…「でも、空見くん以外みんなやってるよ?」っ!で、でもそれは……」
千聖「いいじゃない楓、やってあげれば。」
楓「いや、でも…「私も、空見先輩に自己紹介、してもらいたいです。」え、う、牛込さん……。」
有咲「私も、りみに賛成。」
香澄「おぉ、珍しく有咲が真っ先に賛成を……。」
沙綾「じゃあ、私も。」ニコッ
楓「山吹さんまで……。」
千聖「どうする?楓。9対1よ。」
じゅ、9対1……。
あ、厚が強い……。
楓「……分かりました。しますよ、自己紹介。」
香澄「やったー!」
たえ「自己紹介のトリだー。」
楓「……そ、空見楓です。えっと、好きなことは、読書と、……ゲームをすること、です。」
香澄「はい!好きな食べ物は何ですか!?」
楓「え?す、好きな食べ物……。ラーメンとか、焼きそばとか。あとは、ポテトサラダとか、チーズケーキとか、かな。」
たえ「好きな本のジャンルは、何ですか?」
楓「ジャンル?……ミステリー系、とか……」
沙綾「どんなゲームが好きなんですか?」
楓「どんなゲーム?……そうだなー。パズルゲームとか……あ、音ゲーも少しやるかな。」
りみ「あ、あの!好きなパンの種類とかって、ありますか?」
楓「パンの種類か~。これはもう、迷わずジャムパン。朝ごはんは毎日それだよ。」
香澄「はい先輩!もう1個いいですか!?えっとー、どんな質問にしようかなー?」
有咲「いやそこは考えとけよ!」
楓「ま、まだやるの~?」
たえ「当然ですよ。空見先輩って、恋人いたことあるんですか?」
楓「こ、恋人!?」
香澄「あ、思い付いた!今まででキラキラドキドキしたことって何ですか?」
有咲「大雑把すぎるだろ!」
りみ「す、好きな動物は何ですか?」
有沙「あ、えっと……休みに外出するならどこに行きますか?」
たえ「今まで何人の人を好きになったことが……」
楓「え?あ、えっと、その、あー、うー、……こ、この質問攻めいつ終わるんだよーー!!」
『キーンコーンカーンコーン』
香澄「さようならー!先輩達ー!」
有咲「香澄、お前もうちょっといい言い方なかったのか?」
たえ「またいっしょにデートしましょうねー、空見先輩。」
りみ「お、おたえちゃん!?」
沙綾「花園さん、空見先輩をからかわないの。」
楓「はぁ、疲れた……。」
彩「面白い子達だったね、千聖ちゃん。」
千聖「まぁね。楓、あなたいつの間にあの子達と仲良くなったのよ。」
楓「い、いろいろありまして……。」
燐子「そ、そういえば……後半のあの人達の……空見さんへの質問攻め……すごかったですね。」
紗夜「そうですね。……あれは、オリエンテーションのときのことを思い出しました。」
彩「あー、あれか~。」
千聖「沙谷加ちゃんと、沙谷加ちゃんのクラスの子達からのあれね。」
楓「あのときの菊地さん達は、……ほんとに、怖かったです。」
千聖「あんな大人数で、楓1人を囲んでものね。」
楓「あれは、……マジでトラウマ級でしたよ……。」
紗夜「確か丸山さんは、今でも菊地さんと連絡を取り合っているんですよね?」
彩「うん!この前も、いっしょに喫茶店へケーキ食べに行ったばっかで……あ。」
千聖「へぇ、ケーキを?」
彩「! ち、違うの千聖ちゃん!あの、ケーキとはいっても、これくらい、ほんのこれくらいで…「彩ちゃん?」ひぃっ!」
千聖「あとでお説教ね♪」ニコッ
彩「……うぅ、は、はい……。」
……し、白鷺さん、怖え……。
燐子「……ふふ。」
紗夜「どうしたんですか?白金さん。」
燐子「さっきの自己紹介、楽しかったなと思って。」
紗夜「楽しかった?」
燐子「はい。……そのオリエンテーションのときも、自己紹介したの、覚えてますか?」
楓「!」
彩「覚えてる!覚えてるよ燐子ちゃん!」
千聖「彩ちゃんのせいで、一瞬場が静まりかえったあれね。」
彩「もぅ~!それは思い出させないでよ~!」
あぁ、そういやあのときも自己紹介したっけな。
菊地さんの一件のせいで忘れてた……。
紗夜「あのときは、松原さんもいて、6人で自己紹介をしたんですよね。」
千聖「ええ。あのときはまだ、私達も楓のことをまだあまり知らなくて。」
彩「体育館の隅で体育座りしてた空見くんを、私がみんなのところへ連れていってあげたんだよね。」
千聖「隅で体育座り?そうだったの?楓。」
楓「は、はい……。丸山さんに手を引いて連れてってもらったんですけど、周り全員女子だし、まだ学校に慣れてないのもあって、みんなの視線が痛く、恥ずかしかったのを覚えてます……。」
彩「あはは……、あのときはごめんね。私も急いでたから、つい手を……」
楓「いや、もう1ヶ月も前のことだし、いいよ。」
彩「! ……1ヶ月、か。」
紗夜「? どうかしたんですか?白鷺さん。」
千聖「……確かに。楓がこの学校に転校してきてから、もう1ヶ月なのよね。」
紗・燐「!」
ん?
何だ?
なんか一瞬、空気が変わったような……。
彩「……そう考えると、早いね。1ヶ月って。」
紗夜「公民館ライブやお花見も、つい最近やったような感覚ですが……」
燐子「早い……ですよね。……時が経つのって。」
……あのー。
ちょ、ちょっと待って?
ど、どうしたの?
何があったの!?
え、何でいきなりこんな空気になってんの!?
……うぅ、苦手なんだよなぁこういうの……。
なんか気まずくて、今すぐにでもこの場を離れたいくらい、この空気が苦手なんだよな……。
千聖「……でもみんな、こうも言えるのよ?」
彩・紗・燐「?」
え?
千聖「もう1ヶ月だけど、……“まだ”1ヶ月、ってね。」
紗・燐「!」
楓・彩「し、白鷺さん(ち、千聖ちゃん)……。え?」
千聖「ふふふ♪被っちゃったわね。」
紗夜「……まだ、1ヶ月、ですか。」
燐子「確かに……そうですね。」
千聖「そうよ。楓が来てから、まだ1ヶ月しか経ってないの。これから何が起こるのか、どんな未来が待っているのか。それは誰にも分からない。」
楓「な、なんか、話がすごい大袈裟になってきてません?」
千聖「それくらいの心構えで、この先を過ごしていきましょうってことよ。」
彩「そのためにまずは、2週間後に迫ってきた文化祭だね!」
千聖「ええ。やらなきゃいけないことは山ほどあるわ。特に私達のクラスは、今から準備しても間に合わないかもしれないくらい。」
楓「! え、白鷺さん、それ、マジですか……。」
千聖「大マジよ。だから、クラス全員で力を合わせて、死ぬ気で準備しなきゃ、楽しい文化祭を迎えることはできない。」
楓「……白鷺さんって、意外と文化祭楽しみなんですね。」
千聖「! そ、そういうのは今はいいの!とにかく、私が言いたいのは……」
彩「みんなで楽しい文化祭にしよう!ってことだね!」
千聖「……え、ええ。まぁ、彩ちゃんの言う通りよ。」
紗夜「楽しい文化祭、ですか。」
燐子「氷川さん。私……やりたいです。……楽しい……文化祭。」
紗夜「……ええ、そうね。……やってみますか、死ぬ気で。」
彩「私、この文化祭で、最高の思い出を作りたい!空見くんが転校してきてから初めての文化祭、空見くんとも、みんなとも!」
千聖「……と、みんなは言っているけど、あなたはどうなの?楓。」
楓「! ……ぼ、僕は……」
……文化祭なんて、楽しいと思ったことは一度もない。
いつも1人だったし、クラスの出し物もほとんど手伝ったことないし、何よりこういう行事が好きじゃないし。
……でも。
楓「……少しなら、僕も、……頑張って、みようかな。」
彩「空見くん!」
千聖「よく言ったわ、楓。そのためにもまずは、午後の話し合いよ。できれば今日で、劇のストーリー、登場人物、配役くらいは決めておきたいところだけど。……まぁそれは、宮村さん達次第ね。今日の朝から、ずっとそれについて話し合っていたから。」
楓「! やっぱり朝のやつって、劇についての話し合いだったんですか!?」
千聖「ええ、おそらくね。」
彩「……すごいなぁ千聖ちゃん、もうそんなとこまで考えてるんだ。」
紗夜「白鷺さん達に負けていられませんね。私も、やるからには全力で挑みます。」
彩「いや、紗夜ちゃん、これ別に勝負じゃないからね?全力で挑む必要ないからね?あ、でも、準備には全力で挑まないとか。」
燐子「忙しく……なりそうですね。」
白鷺さん、いつからそんな文化祭にやる気に……。
いや、もしかしたら白鷺さんって、こういう行事ごとには燃えるタイプだったりして……。
……まぁいいや。
……頑張るって言っちゃったからには、それなりに頑張らないとな。
彩「千聖ちゃんのクラスの劇、楽しみだなぁ。」
千聖「楽しみって、まだストーリーも決めてないのよ?」
紗夜「模擬店、何を出しましょうか……。」
燐子「文化祭ならではの模擬店を出せたら……面白そう……ですよね。」
……なんか、この人達となら。
……この文化祭を、本当にいい思い出にできそうな気がする。
なんとなく、だけど。
……そんな気がする。
3期のEDでちさかの(ちさかの……でいいんだよな?あれは……。)とさよひなが見れて嬉しかったです。