田舎から引っ越してきた僕と個性的な人達   作:知栄 砂空

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どうも、知栄砂空です。

ガルパと初音ミクのコラボ関連で、おとといはAfterglowメンバーの描き下ろしジャケットイラスト、昨日はハロハピのジャケットイラストが公開されましたね。

今日はポピパのジャケットイラストが公開されるようで。

そこで、ハロハピのジャケットイラストに関して一言。

……猫耳花音ちゃん可愛すぎません?

今後、猫耳花音ちゃんが配布でゲットできるんですよね?

……神すぎません?

運営様神すぎません!?

……失礼、取り乱しちゃいましたw。

今日公開されるポピパのジャケットイラストも楽しみですね。

あ、あとつぐみも可愛かったな。

はい、というわけで3話スタートですw。


3話 一日がめちゃくちゃ長く感じた日

……あれからどれくらいの時間が経ったのだろう。

 

……っていうほど経ってはないと思うんだけど……もう5分くらいこんな感じだ。

 

こんな感じというのは……。

 

???「……」ギュッー!

 

楓「/////」

 

こんな感じだ。

 

……正直超(良い意味で)辛い。

 

もちろん僕は、女子にこんな抱き締められたことなんてないし、関わったこともほとんどない。

 

関わったことがあるとしても、たまに話しかけられて一言二言話したくらいだ。

 

……いやマジで。

 

ガチめにそれくらいしか女子と関わった記憶ないから。

 

幼稚園のときはほぼほぼ1人で遊んでたし、小学生、中学生のときはいっつも男子とつるんでいた。

 

高1の頃なんか、知ってる人が誰もいなかったから先生以外の人とはあまり話さなかった。

 

あ、でも、男子とは普通に話してたか。

 

……たまにだけど。

 

???「……ギュッ!」

 

楓「/////!!」

 

ま、まただ……。

 

たぶん、さっきの怖さをまぎらわすために、時々こうやってギュッ!てしてると思うんだけど……。

 

やっぱり、意識が///……。

 

???「……スッ」

 

あ。

 

……やっと、離してくれた。

 

ずっとあの状態だったら、僕の意識を通り越して心臓がもたなかったかも。

 

離してもらえて、嬉しいような、悲しいような……。

 

楓「……」

 

???「……」

 

野良猫「……にゃ~。……zzz。」

 

あ、猫帰ってきた。

 

楓「……」

 

???「……」

 

野良猫「zzz……」

 

……離してくれたのはいいけど……どうすりゃいいんだ、この沈黙……。

 

き、気まずい……。

 

さっきの猫が帰ってきたのはいいけど、それによってよりいっそうこの場が気まずくなった気がする……。

 

???「……」

 

……こ、声、かけたほうがいいのかな?

 

いや、流石にちょっと図図しいか。

 

あんなことがあった後、だもんな。

 

きっとまだ、心の整理もついてないだろうし。

 

……やっばり、まだそっとしといたほうが……。

 

……ん?

 

そしたら、この気まずい空間はいつまで続くんだ?

 

???「……」

 

だー僕は今どうするべきなんだよ~!!

 

声をかけるべき?

 

それともこのままそっとしとくべき?

 

あーもう分かんないよ~!!

 

???「……スッ」

 

楓「え?」

 

僕が悩んでると、この子は僕の制服の裾をそっとつまんだ。

 

???「……ありがとう。」

 

楓「え、あ……う、うん。どう、いたしまして。」

 

???「……」

 

楓「……も、もう、大丈夫なの?」

 

???「……うん。もうだいぶ、落ち着いたみたい。」

 

楓「そ、そう。良かった。」

 

ふぅ。

 

この子から切り出してくれたおかげで、なんとか気まずさはなくなったな。

 

???「……あと。」

 

楓「ん?」

 

???「……ご、ごめんなさい!」

 

楓「え?……な、何で?」

 

???「だ、だって私、急に、その……こ、恋人とか、言っちゃって///……。きゅ、急に、空見くんを抱き締めてたりして///……。」

 

楓「……あ、あー……。」

 

???「ほんとにごめんなさい!め、迷惑だったよね?」

 

楓「……ま、まぁ、びっくりはしたけ…「あの場を乗り切るためだったとはいえ、本当にごめんなさい!」そ、そんなに謝らなくても……。」

 

まぁ、やっばりそうだよね。

 

急にあの場であんなこと言うのはおかしいもん。

 

もちろん分かってたよ?

 

楓「……と、ところで僕、……名字、教えたっけ?」

 

???「え?……だ、だって空見くん、今日いろんな人に空見くん空見くんって言われてたでしょ?自己紹介もしてたし。」

 

楓「あ。……じゃあやっぱり君は、僕の隣の席の……」

 

花音「うん。……松原、花音だよ。」

 

楓「松原さん、か。……じゃ、じゃあ僕も、改めて自己紹介を。……空見楓。……よろしく。」

 

花音「うん、よろしくね。」

 

……なんか、こうやって人と面と向かって自己紹介したのって、初めてな気がする。

 

いや、絶対初めてだ。

 

楓「……それで、松原さんは、何でここに?」

 

花音「……そ、空見くんを、つけてきたの。」

 

楓「……へ?」

 

花音「ご、ごめんね!……私、実は、昨日出来たばかりのショッピングモールに行きたかったの。」

 

楓「!」

 

僕と同じだ。

 

花音「でも私、すごく方向音痴で……。せっかく友達に場所を教えてもらったのに、その場所とは逆の方向に行っちゃって……。」

 

楓「……」

 

花音「どうしようって思ってたら、偶然どこかの公園で空見くんを見かけて。」

 

楓「公園!?」

 

花音「! う、うん。」

 

まさか公園って、僕が花咲川の1年生にショッピングモールまでの道を教えてもらった、あの公園?

 

だとしたら、あの場に松原さんもにいたってこと?

 

楓「……あ、ごめん。続けて?」

 

花音「? う、うん。……そのときに、空見くんもショッピングモールに向かってるんだってことを知ったの。だから、空見くんについていけば、ショッピングモールに行けるかもって思って、公園からずっとつけてきてたんだけど……。」

 

楓「この路地裏に入った途端、ナンパに絡まれたと。」

 

花音「……うん。」

 

楓「……なんか、ごめん。」

 

花音「そんな!空見くんのせいじゃないよ!もとはと言えば、私が、ストーカーみたいなことしたから……。」

 

……大丈夫だよ松原さん。

 

さっき僕も、そのストーカーみたいなこと、してたから。

 

花音「……そ、空見くんは、この後どうするの?」

 

楓「え?……もちろん僕は、ショッピングモールに向かうよ。」

 

花音「……わ、私も、空見くんについていっていい?」

 

楓「う、うん、それは構わないけど……1つ問題が。」

 

花音「? 問題?」

 

楓「……たぶんこの道、間違いだと思う。」

 

花音「えぇ!?な、何で!?」

 

楓「だって、ショッピングモールに向かう道だよ?ショッピングモールって、いろんな人が利用する場所でしょ?そんな場所に行くのに、こんな暗くてせまい路地裏、通らないでしょ。」

 

花音「で、でも、美咲ちゃんがこの道だって教えてくれたんでしょ?きっと、美咲ちゃんがこの道を教えたのには、何かわけがあるんだよ。」

 

楓「み、美咲、ちゃん?」

 

花音「さっきの公園で、空見くんが道を教えてもらってた子だよ。」

 

楓「あ、あの子か。……へ?」

 

待てよ?

 

何で松原さんが、僕があの子に道を教えてもらったことを知ってるんだ?

 

……そっか。

 

やっぱり松原さん、あの場にいたのか。

 

楓「……松原さんは、その……美咲ちゃんって子と、仲がいいの?」

 

花音「う、うん。」

 

楓「……そっか。……分かった。」

 

花音「!」

 

楓「松原さんの言葉、信じてみるよ。考えてみれば、あの子が嘘言ってるようにも見えなかったしね。」

 

花音「……うん。ありがとう空見くん。」

 

楓「確かあの子は、この路地裏を出たところを左に曲がってどうたらって言ってたっけ。」

 

花音「左に曲がったら……確か、郵便局のところを右に曲がるんだよ。そこの道を真っ直ぐ行くと、右手にショッピングモールが見えてくるって、確か美咲ちゃん言ってたよ。」

 

楓「そうなんだ。……あのとき、松原さんも聞いてたんだ。」

 

花音「う、うん。後半のほうだけだけど。」

 

こんな心強い子がいれば、きっとショッピングモールに着けるな。

 

……今度、その美咲ちゃんって子に謝っとこ。

 

野良猫「……にゃ~。」

 

楓「お、起きた。」

 

花音「ほんとだ。おはよう。」

 

野良猫「にゃー。」

 

花音「ふふ♪またね~。」

 

楓「……じゃ、行こっか。」

 

花音「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数分後〜

 

花音「あ、空見くんあったよ、郵便局。」

 

楓「ほんとだ。ということは、ここを右に曲がればいいんだよね?」

 

花音「うん、たぶん。」

 

郵便局のところを右に曲がると、多くの店が並ぶ大通りに出た。

 

そこにはいろんな種類の店があり、飲食店、コンビニ、スーパーと、様々だ。

 

花音「駅の近くに、こんな大通りがあったんだね。」

 

僕はもちろんのこと、松原さんもここに来るのは初めてらしい。

 

楓「……確かにこういうとこなら、ショッピングモールもありそう…「あ!あった!」っていきなり!?」

 

花音「ほら、あれじゃない?空見くん。」

 

楓「ん?……あ。」

 

ズーン

 

……予想以上に、大きい。

 

……いや、こういう場所のショッピングモールだと、これくらいが普通なのかな?

 

楓「ねぇ、松原さ…「ふぇぇ、お、大きい……。」……」

 

普通じゃ、ない、のかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ショッピングモール】

 

花音「ふぇぇ……。ひ、人もいっぱい……。」

 

楓「た、確かに……。」

 

僕と松原さんは、いよいよショッピングモールの中に入った。

 

入ったのはいいんだけど……こんなに混んでるとは思わなかったよ……。

 

やっぱり、昨日出来たばかりだから、なのかな?

 

……これ、下手したら迷子になりかねないな。

 

楓「……あれ?松原さん?」

 

おかしいな。

 

さっきまで、隣にいたはずなのに。

 

花音「ふぇぇぇぇぇ!!」

 

楓「ん?」

 

……!?

 

ま、松原さんが人混みに流されてる!?

 

楓「ま、待ってて松原さん!すぐ行くから!」

 

この人の量……マジでヤバイな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花音「うぅ……。ごめんね、空見くん……。」

 

楓「う、ううん。」

 

花音「……」

 

楓「……」

 

楓・花「「……/////」」

 

今の状況を簡単に説明しよう。

 

松原さんと手を繋いでる。

 

……こ、これにはちゃんと理由があるんだからね!?

 

恋人とか、そういう類いのやつじゃないからね!?

 

花音「……そ、空見くん。ほんとにごめんね?」

 

楓「べ、別に大丈夫だよ。……こうしてれば、お互いが手を離さない限り、迷子になる心配はないし。」

 

花音「そ、そうだよね。……ありがとう。」

 

と、こういうことだ。

 

あ、ちなみに、手を繋ごうって言ってきたのは松原さんだ。

 

僕には異性の人に手を繋ごうなんて言う勇気、全然ないし。

 

花音「……空見くん。」

 

楓「ん?」

 

花音「自分から手を繋ぎたいって言っておいておかしいけど……やっぱり、恥ずかしいね///。」

 

楓「……うん///。」

 

いきなり恋人って言われたり、抱き締められたりしたときも恥ずかしかったけど、今回は特に恥ずかしい。

 

……だって……。

 

ショッピングモールなんだもん!

 

周りにめちゃくちゃ見られてるもん!!

 

通行人A「あの子達、カップルかしら?」

 

通行人B「こんなところで堂々と手を繋ぐなんて、ラブラブね~。」

 

通行人C「あの女の子、超可愛いな~。」

 

通行人D「それに比べて彼氏のほう、なんか冴えないよね~。」

 

通行人E「でもあのカップル、ラブラブって感じでいいよね~。」

 

通行人F「2人して顔赤くしちゃって。可愛いな~。」

 

楓・花「「/////」」

 

……まずは、この場から抜け出そう。

 

楓「……松原さん、どこか行きたいところとか、ない?」

 

花音「え?え、えっと……それなら、喫茶店に……」

 

楓「喫茶ね、分かった。それとごめん、走るよ?」

 

花音「へ?は、走…「ダッ!」!? そ、空見くん!?」

 

通行人A「まぁあの子、彼女の手あんなに引っ張っちゃって。」

 

通行人B「あのカップル、走ってどこ行くんだろうね。」

 

通行人C「女の子をエスコートする男の子、いいね~。」

 

花音「ちょ、ちょっと空見くん/////!?」

 

楓「ごめん/////。……ちょっとだけ、我慢しててくれる/////?」

 

花音「え?」

 

楓「お願い/////。……ほんとにマジで/////。」

 

花音「……う、うん///。分かった///。」

 

……恥ずかしすぎる/////。

 

男が女の子の手を引いて、人混みをかき分けて走りながらある場所に向かうとか、何かの恋愛ドラマかよ/////。

 

……後で松原さんにちゃんと謝ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【喫茶店】

 

楓「はぁ……はぁ……つ、着いた……。」

 

花音「……」

 

喫茶店。

 

さっき松原さんにどこか行きたいところはないか聞いたところ、行きたいと答えた場所だ。

 

もちろん僕は、喫茶店がどこにあるかなんて知らない。

 

だからここへは、途中でマップを見て喫茶店の場所がどこにあるかを確認してから来た。

 

幸い、このショッピングモールにある喫茶店ははここだけだったので、すぐ確認してすぐにここに来ることができた。

 

あ、ちなみに手はもうお互いに離した。

 

それにしても……疲れた~。

 

足が痛え~。

 

楓「……ごめんね、松原さん。」

 

花音「え?」

 

楓「いきなり、走り出したりして。疲れたよね?ほんとごめん。」

 

花音「! そ、そんな!私は大丈夫だよ!?む、むしろ私、嬉しかったよ?」

 

楓「嬉しかった?……あぁ、松原さんが行きたいって言ってた喫茶店に来れたか…「それもあるけど。」? けど?」

 

花音「空見くんがあのとき、私に行きたいところないかって声をかけてくれて、私が喫茶店に行きたいって答えた後すぐに走り出してくれたのって、私をあの場から連れ出すため、だよね?」

 

楓「……う、うん、まぁ。」

 

花音「私、周りの人達が私達を見ていろいろ言ってるとき、実はすごくパニックになってたの。あまりそのことを気づかれないようにしてたつもりだったんだけど、それでも恥ずかしさのあまり顔が熱くなって、さらには、目も回ってきちゃって。」

 

楓「……」

 

花音「もしあのとき、空見くんが声をかけてくれなかったら私、もう自分ではどうすればいいか分からなくなって、空見くんにいっぱい迷惑かけてたかもしれない。」

 

楓「……」

 

花音「だから……ありがとう。」ニコッ

 

楓「……う、うん///。」

 

……僕、女子にこんな感じでちゃんとお礼言ってもらったの、初めてな気がする。

 

いや、絶対初めてだ。

 

花音「ねえ。もしだったら、空見くんもいっしょに喫茶店に入らない?」

 

楓「え、いいの?」

 

花音「もちろん!私がおすすめの紅茶、教えてあげるよ。」

 

楓「そ、そう?……じゃあ、お言葉に甘えて。」

 

というわけで僕は、松原さんといっしょに喫茶店に入ることになった。

 

買い物は後ででもできるし、喫茶店なんてそうそう入らないもんね。

 

……あれ?

 

ていうか僕、喫茶店入ったことあるっけ?

 

……あ、ないかも。

 

じゃあ僕からすれば、初めての喫茶店ってことになるのか。

 

……高2でやっと喫茶店デビューか。

 

今更感半端ないな。

 

花音「どうしたの?空見くん。入ろう?」

 

楓「う、うん。」

 

そして僕は今更ながら、喫茶店デビューへの第一歩を踏み出したのだった。

 

カランコロン

 

店員「いらっしゃいませー!2名様ですね。こちらへどうぞ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カランコロン

 

店員「ありがとうございました。またのご来店、お待ちしております!」

 

花音「はぁ~。紅茶美味しかった~。」

 

楓「……ねぇ、ほんとに奢ってもらっちゃって良かったの?」

 

花音「うん。空見くんにちゃんとお礼、したかったし。」

 

楓「……そう。」

 

松原さん曰く、お礼=おごる、だったらしい。

 

……さっきのも入れて2回もお礼してもらっちゃったよ。

 

花音「あ、空見くん。どうだった?喫茶店。」

 

楓「え?あ、うん、良かったよ。」

 

僕が喫茶店に来るのが初めてだということは、さっき松原さんにも話した。

 

それを聞いた松原さんは、がぜん気合い(何の気合いかは分からん)が出たらしい。

 

喫茶店の中は静かで、僕と松原さんの他には4人ぐらいしか人がいなかった。

 

注文したものは、2人ともアールグレイという種類の紅茶だ。

 

僕には紅茶の種類はよく分からないが、松原さんは友達とある喫茶店でよくお茶をしているそうだ。

 

僕と松原さんが注文したアールグレイという紅茶は、ベルガモットと言われる柑橘類の果物の香りをつけたもので、松原さんも気に入っている紅茶らしい。

 

楓「あまり紅茶とか飲まないから、良い経験になったよ。」

 

花音「えへへ、良かった♪」

 

……まぁ紅茶のことは置いといて、良くない状況が1つあるんだけどね。

 

花音「……ところで、空見くん。」

 

楓「……」ゴソゴソ

 

花音「……何か、探し物?……!も、もしかして、喫茶店に何か忘れてきちゃった!?」

 

楓「……いや、喫茶店には忘れてきてないんだけど。」ゴソゴソ

 

探し物、というのは当たりかな。

 

……カバンにはない、か。

 

……マジでどこ行った?

 

花音「そ、空見くん……何が、ないの?」

 

楓「……携帯。」

 

花音「携帯……ええ!?い、いつから!?」

 

楓「分からない……。」

 

花音「と、とにかくまずは、携帯の忘れ物がないか、サービスカウンターに行って聞いてみよう?えーっとー、サービスカウンターは……。」

 

楓「松原さん、一旦落ち着いて。ていうか、1人で歩いたら迷子になるよ。」

 

……とりあえず、1から思い出してみよう。

 

学校に行く前、家では……あった。

 

次に、学校に着いてからは……まだあった。

 

じゃあ、昼休みになってからは……牧人と電話してたからあっ……た?

 

……あれ?

 

そういやあんとき、僕……。

 

……!

 

あ、ああ、あああ……。

 

花音「……空見くん、元気出して…「あああああ!!」わぁっ!」

 

楓「……思い出した。」

 

花音「び、びっくりしたぁ……。きゅ、急にどうしたの?」

 

楓「思い出したよ。携帯、どこでなくしたか。」

 

花音「! ほんと!?」

 

楓「うん。なくしたというよりは……忘れてたよ。」

 

花音「ふぇ?わ、忘れてた?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花音「……そ、そうだったんだ。紗夜ちゃんに……。」

 

楓「うん……。」

 

僕は松原さんに、氷川さんに携帯を取られたことを話した。

 

松原さんは氷川さんと友達のようで、氷川さんがそういうことをしてるということは知ってたらしい。

 

花音「この前私、紗夜ちゃんと話したんだ。流石に、ものを没収するのは可哀相なんじゃないかって。でも、それが風紀委員としての仕事ですから、って。」

 

楓「ひ、氷川さん……。」

 

花音「あ、あはは……。」

 

……はぁ。

 

携帯は返してくれるって言われたのに、それを忘れる僕って。

 

ほんっとバカだ。

 

花音「……あ、もしもし紗夜ちゃん?」

 

楓「!」

 

花音「ごめんね、急に電話して。突然だけど、紗夜ちゃんと話したいって人がいるから、替わるね。……はい、空見くん。」

 

楓「あ、ありがとう松原さん。」

 

松原さんが氷川さんと友達で良かった~。

 

楓「……も、もしもし。」

 

紗夜『! その声、もしかして空見さんですか!?』

 

楓「は、はい。」

 

紗夜『し、しかし、なぜあなたが松原さんと……。! まさかあなた…「氷川さんが何を想像したのかは分かりませんけど、たぶんそれは断じて違いますから。」し、失礼な!私は何も、想像などしていません!』

 

……氷川さんって、こんな人だったっけ?

 

紗夜『コホン。……それでは、本題に移りましょうか。』

 

氷川さんが変な想像してなかったらもっと早く本題に入れたと思う。

 

紗夜『……携帯のことですよね?』

 

楓「は、はい。」

 

紗夜『あなたの携帯なら、生徒会室で預かっていますよ。』

 

楓「ほ、本当ですか!良かった…『空見さん。』!」

 

紗夜『今回はちゃんと自分で気づいてくれたので返しますけど、次はありませんからね。ちゃんと、自分の言ったことに責任を持つようにしてください。分かりましたか?』

 

楓「……はい。」

 

紗夜『明日の朝、生徒会室まで取りにきてください。』

 

楓「わ、分かりました。」

 

紗夜『……では、私はこれで。プツン。ツー、ツー……』

 

楓「……ふぅ。松原さん、ありがとう。」

 

花音「ううん。良かったね、空見くん。」

 

楓「うん、なんとかね。」

 

明日の朝か。

 

じゃあ、学校着いたらすぐ行くかな。

 

花音「……」

 

楓「……」

 

花音「……えーっとー……空見くんは、どこか行きたいところとか、ないの?」

 

楓「え?あー……まぁ、あるっちゃあるけど。」

 

花音「ほんと!?どこ?」

 

楓「……食品売り場。」

 

花音「食品売り場?……あ、もしかして。」

 

楓「うん。僕がこのショッピングモールに来たのは、お母さんにおつかいを頼まれたからなんだ。昨日出来たばっかのショッピングモールがどんなとこなのかってのが気になったってのもあるけど。」

 

花音「そうだったんだ。……私は、この新しく出来たショッピングモールに喫茶店があるっていうのを聞いて。今度友達といっしょに行きたいなーって思って、下見したかったんだ。」

 

楓「なるほど。……なんか、ごめん。その友達より先に、僕なんかと…「あ、謝る必要なんてないよ!空見くんがいなかったら私、ショッピングモールにすら来れなかったもん。」まぁ、それはそうだけど……。」

 

花音「……私、手伝うよ。」

 

楓「え?」

 

花音「空見くんが頼まれたっていうおつかい。私も手伝う。」

 

楓「そんな、悪いよ。おつかいくらい、1人で…「今日は私、空見くんにいっぱい助けてもらっちゃったもん。だから今度は、私が空見くんを助ける番だよ。」……」

 

花音「……///!ご、ごめん空見くん!わ、私、なんでこんな恥ずかしいこと言っちゃった…「ありがとう。」?」

 

楓「じゃあお言葉に甘えて……手伝ってもらっちゃおうかな。」

 

花音「! ……うん!」

 

そして僕と松原さんは、食品売り場へと向かった。

 

松原さんにおつかいを手伝わせるのは悪いと思ったが、ああまで言ってくれたのでそれならと思い手伝ってもらうことにした。

 

……今度、松原さんにお礼しなきゃな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【食品売り場】

 

楓「えーっと、じゃがいもじゃがいも……。」

 

花音「……あ!あったよ空見くん。」

 

楓「あ、ありがとう。」

 

花音「よし、これでじゃがいももOKだね。えーっと後は……あ、もうこれで全部だね。」

 

楓「そっか。じゃあ、これでお会計してこよう。」

 

花音「うん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

店員「合計で、1360円です。」

 

楓「んーと……ジャラジャラジャラ」

 

店員「1360円、丁度お預かりします。……はい、レシートのお返しです。ありがとうございました。」

 

楓「ふぅ。……あ。」

 

花音「あ、空見くん。はい、袋詰めしておいたよ。」

 

楓「あ、ありがとう。」

 

花音「ちょっとは、空見くんの役に立てたかな。」

 

楓「……うん。」

 

ちょっとどころ、ではないと思う。

 

だって、豚肉とかにんじんとか、見つけたの全部松原さんだし。

 

花音「あ、そういえば空見くん、あれ。」

 

楓「? 何だろ、ガラポン?」

 

花音「なんか、この食品売り場での1000円ごとの買い物につき1回、回せるみたいだよ。」

 

楓「へぇー。あ、ということは僕、1回だけ回せるのか。」

 

花音「うん。……せっかくだから、回してみない?」

 

楓「うん、そうだね。」

 

 

 

 

 

楓「……すみませーん。これ、1回だけやりたいんですけど。」

 

スタッフ「では、レシートを見せてください。……はい、確かに。それでは、ゆっくり、1回だけ回してください。」

 

花音「空見くん。これが、当たる景品だって。」

 

楓「えーっと、何々……?」

 

……なるほど。

 

1等から5等まであるのか。

 

楓「……僕は、5等のティッシュでいいかな。」

 

花音「あはは……。でもこういうのって、あまり欲のない人に限って一番上の賞とかが当たったりするんだよね。」

 

楓「大丈夫だよ。そんな漫画みたいなこと、現実にあるわけが……」ガラガラガラ

 

 

 

 

 

コロン

 

楓「……」

 

花音「あ、銀色。」

 

スタッフ「……おめでとうございまーす!」カランコロン、カランコロン

 

あったーーー!!

 

花音「す、すごいね空見くん!ほんとに出しちゃうなんて!」

 

楓「え?あ、う、うん。……マジびっくりした……。」

 

スタッフ「銀色は2等です。2等の景品は……」

 

ドサッ!

 

楓・花「「え?」」

 

スタッフ「お米10kg分でーす!」

 

楓・花「「……!!じゅ、10kg~!?」」

 

……これ、持って帰れるかなぁ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花音「……空見くん、大丈夫?」

 

楓「だ、大丈夫、大丈夫……。」

 

お米10kgは僕が、カレーの材料は松原さんに持ってもらっている。

 

最初はどっちも僕が持つことも考えたが、それは流石に無理があったため、こういう形をとった。

 

にしても……やっぱ10kgは重いな……。

 

松原さんの喫茶店の下見、僕のお母さんに頼まれたおつかい、お互いの目的は果たせたので、現在はショッピングモールを出て駅前の広場に向かって歩いている。

 

楓「……わざわざ路地裏通らなくても、普通に大通りから行けるじゃん。」

 

花音「も、もしかして美咲ちゃんが教えてくれた道は、ショッピングモールへの近道だったとか?」

 

楓「……だとしたら何であの子はあんな道が近道だって知ってたんだろ。」

 

……謎だ。

 

あんな道、誰にも知られてなくてもおかしくないくらい暗いのに。

 

花音「ま、まぁでも、ああいう道もあるんだってことで、ね?」

 

……たぶんもう一生、あんな道通らないな。

 

花音「あ、駅前の広場に出たよ。」

 

楓「ふぅー。ドサッ」

 

花音「! そ、空見くん!?」

 

僕は近くの芝生にお米を置いて、そこに自分も横になった。

 

楓「疲れた~。……なんか今日は、すごいいろいろあったなー。」

 

花音「……」

 

いきなり女子高に転校して、いろんな人に話しかけられて。

 

氷川さんには、携帯取られて、放課後には学校を案内してもらって……。

 

花音「……」

 

途中の公園では2人の1年生に会って、そのうちの美咲ちゃんって子にショッピングモールへの道を教えてもらって。

 

路地裏ではナンパに絡まれてた松原さんを助けて……っていうか、逆に助けられたかも……。

 

花音「……スッ」

 

その後は、松原さんに抱き締められて、松原さんといっしょにショッピングモールに行って。

 

ショッピングモールでは、松原さんと手を繋いで、松原さんといっしょに喫茶店に入って、その後買い物に付き合ってもらって、ガラポンで2等当てて……。

 

花音「……」

 

楓「……」

 

花音「……ほんとに、いろいろあったね。」

 

楓「うん……。って松原さん!?いつの間に。」

 

花音「えへへ……。空見くん見てたら、私も寝転がりたくなっちゃって。」

 

楓「そ、そうなんだ……。」

 

花音「……」

 

楓「……おかしいよね。」

 

花音「え?」

 

楓「女子高に男が転校なんて、普通に考えたらおかしいよね。クラスの人達にも、めちゃくちゃいじられたし。」

 

花音「……」

 

楓「帰るときだって校門のとこで1年にからかわれたし、さらには3年にまで質問責めされて。……男が女子高に転校なんて、最初からおかしな話だった…「そんなことないよ!」……え?」

 

花音「あ……ご、ごめん……。」

 

楓「……松原さん?」

 

花音「……た、確かに、最初は私も、びっくりしたよ?空見くんの席が私の隣になったから、尚更……。」

 

楓「……」

 

花音「で、でも私、……空見くんがいても、不思議とおかしいとは、思わなかったかな。」

 

楓「え?」

 

花音「なんか、いつもと変わらない、普通の日常だなって思ったよ。女の子だけのクラスに、1人だけ男の子の空見くんがいても、全然浮いてるようには見えなかった。」

 

楓「……そう?」

 

花音「うん。……それにみんな、空見くんをいじってるというよりは、普通に話しかけてるように見えたよ。きっとみんな、空見くんと、仲良くなりたかったんじゃないかな?」

 

楓「……」

 

花音「……空見くんにすごく積極的に話しかけてた2人、橋山さんと浅井さんっていうんだけど、あの2人はすごく仲良しで、いつもいっしょにいるんだよ。中学のときからいっしょのクラスだったみたいで、他のみんなはクラスのムードメーカーだって言われてるみたい。」

 

楓「……何で、僕にそのことを?」

 

花音「……空見くんには、花咲川のいろんな人達と仲良くなってほしいんだ。」

 

楓「……」

 

花音「私も空見くんの仲良しづくり、手伝うよ。だから、いっしょに頑張ろう。」

 

楓「……でも僕、女子と話すの苦手だし。」

 

花音「わ、私だって、異性の人と話すのは苦手だよ?」

 

楓「注目されるのも、苦手だし。」

 

花音「わ、私も、多くの人の前に立つのは……ちょっと、苦手……。」

 

楓「国語だって、苦手だし。」

 

花音「わ、私も、国語は少し苦手……って、あれ?」

 

楓「……引っ掛かった。」

 

花音「……///!も、もう!空見くん!」

 

楓「ご、ごめんごめん。」

 

花音「もう~!」ムス~

 

楓「……スク」

 

花音「? 空見くん?」

 

楓「……じゃあ、頑張ってみようかな。仲良しづくり。」

 

花音「!」

 

楓「自信は今のとこ全然ないけど、……松原さんが、手伝ってくれるって言うなら。……少しは、頑張ってみようかなって。」

 

花音「う、うん!もちろん手伝うよ!いっしょに頑張ろう、空見くん!」

 

楓「……うん。」

 

僕は人に注目されるのが苦手だ。

 

女子と話すのも苦手。

 

だから友達なんて、男しかできなかった。

 

高1までは、ほとんど女子とは関わらなかったけど、これからは違う。

 

これからは、女子と関わらないというのは絶対に避けられない。

 

なぜなら、僕がこれから毎日通うのは、女子高だからだ。

 

まぁ、学校に行かない、とかなら別だけど。

 

とは言え、僕の頭には学校に行かないという選択肢はない。

 

今日のクラスの人達からのいじられ、じゃなくて、話しかけられたこと、1年生からのからかわれ、そして3年生からの質問責めにより、僕の花咲川の女子に対する警戒心は少しずつ強くなっていった。

 

……でも、松原さんに言われて決めた。

 

……仲良しづくりを、頑張ってみようと思う。

 

女子と話すのは苦手、注目されるのは苦手な僕だけど、……松原さんに手伝ってもらいながら、少しずつ頑張ってみようと、そう思った。

 

今までの僕からは、決して思い浮かばなかった考えだ。

 

花音「よいしょっと。……そろそろ行こっか、空見くん。」

 

楓「うん。……でも、ほんとにいいの?僕の家まで持ってってくれるなんて。」

 

花音「もちろんだよ。……その代わり、って言ったらおかしいけど……その後、私を家まで送っていってくれないかな?暗くなってきたし……迷子になりそうだから。」

 

楓「あぁ……うん、そうだよね。もちろんいいよ。」

 

花音「あ、ありがとう、空見くん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから僕は、松原さんの前を歩いて誘導し、30分くらいかけて自分の家に向かった。

 

家に着いて松原さんがチャイムを押してくれるまでは良かったが、出てきたお母さんに僕に彼女ができたと勘違いされ、その誤解を解くのに10分くらいかかってしまった。

 

その後は、僕が松原さんを家まで送っていくという予定だったが、松原さんを家まで送っていく以前に僕は松原さんの家を知らないと、いうことに気づく、松原さんは案の定道に迷い帰り道が分からなくなる、という最悪の状況におちいってしまった。

 

結局、松原さんが家の人に電話して迎えに来てもらう、という手段を取り、松原さんは無事家に帰ることができた。

 

ちなみに僕はある程度道を覚えてたので、普通に家に帰ることができた。

 

楓「……1日がこんな長く感じたの、初めてかも。」

 

『プルルルルル、プルルルルル……。』

 

楓「ん?……あ、そっか。」

 

『プルルルルル、プルル…ガチャ』

 

楓「もしもし。」

 

花音『あ、もしもし?空見くん?』

 

楓「うん、僕だよ。」

 

帰り際、再び松原さんが僕のところに来た。

 

帰ったら僕に電話したいので、家の電話番号を教えてくれとのことだった。

 

もちろん僕はOKし、松原さんに家の電話番号を教えた。

 

そして今、松原さんから電話がかかってきた。

 

花音『ごめんね。電話したいから、急に家の電話番号教えてくれ、だなんて……。』

 

楓「いやいや、全然いいよ。」

 

花音『え、えっと……今日は、いろいろありがとね。』

 

楓「ううん、礼を言うのは僕のほうだよ。松原さんのおかげで、仲良しづくりを頑張ってみようって気になれたんだし。ありがとう、松原さん。」

 

花音『えへへ、ありがとう。……明日から、もう始めるの?』

 

楓「……うん、そのつもりかな。」

 

花音『そっか。……いっしょに頑張ろうね。』

 

楓「うん。」

 

花音『……じゃ、私、もうすぐ夕飯だから。』

 

楓「あ、僕もだ。」

 

花音『ふふ。』

 

楓「? 松原さん?」

 

花音『空見くんの携帯が帰ってきたら、空見くんの携帯の番号も教えてもらいたいな。』

 

楓「……うん。もちろんいいよ。」

 

花音『ありがとう、空見くん。……じゃーね、また明日。』

 

楓「うん、また明日。」

 

花音『……おやすみ。』

 

楓「おやすみ。……ガチャ」

 

……女子と電話なんて、初めてしたな。

 

……いっしょに頑張ろう、か。

 

楓の母「楓ー!ご飯だよー!」

 

楓「はーい!」

 

……腹へったし、行くか。




本編で楓と花音ちゃんが良い感じになっていますが、今のところ恋愛要素はなし、という方向性で考えていますw。

まぁ、今のところは、ですけどねw。

さあ~次回。

ちょっとだけネタバレしますと、あの人がめちゃくちゃ激怒しますよ~w。
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