田舎から引っ越してきた僕と個性的な人達   作:知栄 砂空

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今日初めてパスパレカバーの『Q&Aリサイタル』聞いたんですよ。

いやー。

……めちゃめちゃ可愛かったです。


36話 戻りつつある雰囲気

~翌日~

 

-2ーA 教室-

 

楓「ふわぁ~。」ガラガラガラ

 

彩「あ、空見くん!おはよう!」

 

楓「丸山さん、おはよう。白鷺さんも、おはよう。」

 

千聖「ええ、おはよう、楓。」

 

……松原さんは、まだ来てないのか。

 

ていうか丸山さん、最近当たり前のようにこっちの教室いるよね?

 

まぁ別にいいんだけど。

 

でも、……座りたいから僕の席からはどいてほしいかな。

 

「……そ、空見……」

 

楓「! あ、浅井さん、それに、橋山さん、宮村さんも……。」

 

美菜・橋山・音羽「……」

 

楓「……」

 

……ポン

 

楓「!」

 

千聖「楓。」

 

彩「空見くん。」

 

白鷺さん、丸山さん……。

 

……よ、よし!

 

楓「……あ、あの!」

 

美菜・橋山・音羽「!」

 

楓「えっと、……その……」

 

美菜・橋山・音羽「……」

 

千聖「……」

 

彩「(……がんばれ、空見くん!)」

 

楓「……っ!こ、この前は、ごめん!」

 

美菜・橋山・音羽「!」

 

クラスのみんな「!」

 

楓「僕のせいで、劇の練習、できなくて……。みんなに、迷惑かけて……。」

 

美菜・橋山・音羽「……」

 

クラスのみんな「……」

 

楓「もう絶対、あんなことしないから。もう迷惑、かけないから。だから、……今日からちゃんと、劇の練習、始めていけたらいいなと、思っ、て……。」

 

千聖・彩「楓(空見くん)……。」

 

美菜・橋山・音羽「……」

 

クラスのみんな「……」

 

楓「僕が言うのも変だけど、その、……もう文化祭まで、あまり時間ないから、みんなに協力してほしくて……。あんなことがあったから、みんな僕のこと、やなやつ、自分勝手なやつとか思ってるんだろうけど、それでも…「そんなこと思ってないよ。」え?」

 

橋山「そーそ。」

 

音羽「浅井さんの言う通りです。」

 

楓「……えっと、どういう、こと?」

 

美菜「空見が教室来る前にね、実は私達、白鷺さんから聞いてたんだ。」

 

楓「聞いてたって……、まさか、そのときのこと!?」

 

美菜「うん。空見があんなになった理由も、白鷺さんが教室を飛び出していった理由も、全部。ここにいるみんな、ちゃんと覚えてもらったよ。」

 

クラスのみんな「……コク。」

 

楓「……ま、マジ?」

 

橋山「だから、そのときのことはもう気にしなくていいよ。」

 

音羽「ちなみに昨日のことも、ちゃーんと教えてもらいましたから♪」

 

楓「昨日のこと、って……、まさか白鷺さん!?」

 

千聖「……」

 

彩「あ、あはは……」

 

楓「……ねぇ。もしかして今日丸山さんと白鷺さんって、いっしょに学校来たの?」

 

彩「え?うん、そうだよ。」

 

楓「じゃあ白鷺さんがみんなにそのことを説明してるとき、丸山さんもその場にいたってことだよね?」

 

彩「……うん、そうだね。」

 

楓「……だったら僕、さっきあんな頭下げて謝んなくてもよかったじゃん!!」

 

千聖「あら、そんなことないわよ。」

 

美菜「そうだよ空見。さっきので空見の悪かったって気持ち、ちゃんと伝わったから。」

 

橋山「今日から練習、しっかり頑張っていこうよ。」

 

楓「浅井さん……、橋山さん……。」

 

音羽「ちなみに、あーんな話や、こーんな話も教えてもらいましたよ?」

 

楓「!? ちょ、何その言い方!白鷺さん!みんなに何話したの!?」

 

千聖「……さてと、私は一時間目の準備をしておこうかしら。」

 

楓「話をそらさないでよ!ねぇ!あーんな話やこーんな話って、いったい何を話したの!?白鷺さん!ねぇったら~!」

 

 

 

 

 

橋山「……ねぇ、浅井。」

 

美菜「ん?」

 

橋山「今さらだけどさ、空見のやつ、白鷺さんに敬語じゃなくなってるよね?」

 

美菜「あ。……そういやそうだね。」

 

音羽「それだけ、距離が縮まったってことですかね?」

 

美菜「……うん、そうかも。」

 

 

 

 

 

楓「白鷺さん!ねぇ白鷺さんったら!」

 

千聖「あなたもしつこいわね!もういいでしょそのことは!」

 

楓「よくない!いいから教えてよ!」

 

 

 

 

 

橋山「……あれ、縮まってる、のか?」

 

美菜「た、たぶん……。」

 

音羽「まぁ、喧嘩するほど仲が良いと言いますしね。」

 

 

 

 

 

千聖「彩ちゃん!このいつまでもへばりついているお邪魔虫をどうにかして!」

 

楓「お邪魔虫ってなんだよお邪魔虫って!」

 

千聖「今のあなたのことよ!」

 

彩「ど、どうすればいいんだろう、これ……。って、二人とも~!教室で走り回っちゃダメだよ~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美澤先生「それじゃあこれから、HRを始めるわよ。」

 

楓「……」

 

松原さん、結局来なかったな……。

 

松原さんが休みなんて珍しい……。

 

何かあったのかな?

 

……!

 

も、もしかして、この前のことが関係してるんじゃ!

 

だとしたら、……ヤバい。

 

すぐ謝らなきゃ!

 

美菜「先生。HRの前に、聞きたいことがあるんですけどー。」

 

美澤先生「何?浅井さん。」

 

美菜「松原さんって、今日休みなんですか?」

 

! 浅井さんナイス!

 

美澤先生「あぁ、そのことね。……松原さんなら、今日は風邪で休みよ。」

 

千聖「風邪!?」ガタッ!

 

楓「!」

 

美菜「!」

 

クラスのみんな「!」

 

美澤先生「!」

 

千聖「先生。花音が風邪で休みって、ほんとなんですか?」

 

美澤先生「え、……ええ。」

 

千聖「……花音。」

 

美澤先生「あー、し、白鷺さん?早くHRを始めたいから、座ってもらえるかしら?」

 

千聖「……!あ、す、すみません。」

 

白鷺さんが、あんなに取り乱すなんて。

 

まぁ白鷺さんと松原さん、仲良いもんなー。

 

……にしても、風邪かー。

 

風邪なら、この前のこととは関係なさそうだけど。

 

……でもま、心配なことには変わりないよな。

 

美澤先生「それではまず、今日の連絡から。最初に、授業変更についてだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~昼休み~

 

-中庭-

 

彩「え~!風邪でお休み~!?」

 

千聖「ええ、そうみたい。」

 

彩「そうだったんだ……。」

 

紗夜「朝から見ないとは思っていましたが……」

 

燐子「お休み……だったなんて……。」

 

千聖「はぁ……。憂鬱だわ……。」 

 

彩「ち、千聖ちゃん、元気出して?」

 

こんな落ち込んでる白鷺さん、初めて見た……。

 

よっぽど松原さんが休みってのがショックだったんだ。

 

……ん?

 

ちょっと待てよ?

 

松原さんが休みってことは……。

 

楓「ねぇ、白鷺さん。」

 

千聖「何?楓……。」

 

うわっ、テンション低っ。

 

楓「ま、松原さんが休みってことは、……劇の準備、どうなるんだろう?」

 

千聖「どうって、そりゃ花音がいないんだから、主役がいないも同然……ん?……って!準備ができないじゃない!劇のヒロインはあの子なのよ!?」

 

あ、気づいてなかったんだ。

 

千聖「ちょっと待って?……!そうよあの子、副実行委員もやってるじゃない!どうするのよ!」

 

楓「いや、僕に聞かれても……」

 

彩「千聖ちゃん、落ち着いて……。」

 

千聖「これが落ち着いていられると思う!?ヒロイン役で、しかも副実行委員!B組の実権は、あの子が握ってると言っても過言ではないのよ!?」

 

彩「え、えぇ~?」

 

千聖「花音がいなくてただでさえ憂鬱なのに、劇に支障が出ることにも気づいてしまったら。……もう、終わりよ。」

 

紗夜「いつもの白鷺さんらしくありませんね。」

 

燐子「こんな白鷺さん。……見たことないです。」

 

なんか、白鷺さんが白鷺さんじゃないみたい……。

 

松原さんがいないだけでこんなになるなんて。

 

いつものキリッとした白鷺さんはどこへ行ったんだか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-2ーA 教室-

 

美菜「それじゃあ今日から、本格的に劇の準備、やってこー!」

 

オー!

 

美菜「……とその前に。」

 

クラスのみんな「?」

 

美菜「みんなも知っての通り、松原さんは風邪で休み。つまり、今この場にはこの劇のヒロインがいないということ。というわけで!」

 

あ、これはあれだ。

 

美菜「松原さんが復帰するまでのヒロインの代役を、今ここで決めちゃいたいと思いまーす!」

 

イェーイ!

 

フーフー!

 

まぁ、そうなるよね。

 

千聖「……」

 

で、白鷺さんは当たり前のように松原さんの席に座ってると。

 

……さっきからずっと無言だけど。

 

美菜「それじゃあ単刀直入に聞くよー?……ヒロイン役、やりたい人ー!」

 

クラスのみんな「……」

 

楓「……」

 

千聖「……」

 

橋山・音羽「……」

 

シーン……。

 

美菜「……ま、こうなるよねー。」

 

ヒロイン役……。

 

もう一人の主役だもんなー。

 

誰もやりたがらないのは当然っちゃ当然か。

 

美菜「誰も立候補者がいないとなると、……推薦、になっちゃうけど……。みんな、それでもいい?」

 

クラスのみんな「……」

 

橋山「いい、けど……」

 

音羽「推薦となると、……適役なのは、一人しかいません、よね。」

 

ジー……。

 

ん?

 

みんなの視線が集まってるのって……。

 

! ま、まさか!

 

千聖「……私?」

 

美菜「やっぱりこうなっちゃったかー。……ごめん白鷺さん!松原さんが復帰するまで、ヒロイン役の代役、やってもらえないかな?」

 

千聖「私が……、花音の代わりを?」

 

美菜「うん!」

 

千聖「……」

 

美菜「お願い!松原さんがいない今、この劇のヒロイン役を演じることができるのは、白鷺さんしかいないの!」

 

音羽「浅井さんの言う通りです!」

 

橋山「この劇、絶対に成功させたいんだよ!みんなもそう思うよね!?」

 

クラスの人A「私も白鷺さんが良いと思う!」

 

クラスの人B「私も賛成!」

 

クラスの人C「空見くんと松原さんもいいけど、私的には空見くんと白鷺さんの組み合わせも結構良いと思うんだよねー。」

 

クラスの人D「あー!それ分かるー!」

 

千聖「……」

 

楓「……ダラダラダラ……」

 

ヤバい……。

 

これ、絶対怒るやつだ……。

 

前松原さんに説教したときみたいに、めちゃくちゃ怒鳴り散らすパターンだ……。

 

千聖「……」

 

美菜「……ねぇ、白鷺さん?」

 

橋山「あのー、何か一言だけでも、喋ってもらえると、嬉しいんだけど……」

 

音羽「もしかして、白鷺さん、……怒ってます?」

 

だ、ダメだよ浅井さん、橋山さん、宮村さん……。

 

それ以上何か言ったら、白鷺さんの怒りが爆発して、取り返しのつかないことに……。

 

……ならないかもしれないけど、白鷺さんのことだから、きっと何かある。

 

……はぁ。

 

また白鷺さんの長い説教が始まるのか。

 

ま、説教はされ慣れてるからいいけど……。(よくないしされ慣れてるのもおかしい。)

 

千聖「……いいわよ。」

 

ほらね。

 

予想通り、白鷺さんの第一声は「嫌よ。」じゃなくて、「いいわよ。」だった……って、え?

 

美菜「! し、白鷺さん!今……!」

 

千聖「分かったわ。花音の代役、引き受けてあげる。」

 

……え?

 

……え!?

 

楓「ええええええ!!??」

 

美菜・橋山・音羽「!?」

 

クラスのみんな「!?」

 

千聖「ちょっと何よ楓。隣にいるんだから、いきなり大きな声出さないでちょうだい。」

 

楓「え、あ、いや、……だ、だって、白鷺さん……い、今、分か、分かった、って……」

 

千聖「ええ、言ったわよ。それが何か?」

 

楓「……お、怒って、ないんですか?」

 

千聖「どうして私が怒らなければいけないのよ。」

 

楓「だ、だって、この前、松原さんに、あんなに……」

 

千聖「花音が何?」

 

楓「あ、えっと、その、……や、やっぱ、何でも、ありません……。」

 

千聖「……そう?ならいいけど。」

 

美菜・橋山・音羽・クラスのみんな「(敬語に戻った……。)」

 

……おかしい。

 

この前は松原さんが似たようなことを言って、それに対してあんなに怒ってたのに。

 

白鷺さんが、あの松原さんにだよ?

 

あの松原さんに説教するほどだったのに、……今日は普通に素直。

 

……白鷺さん、どうしちゃったんだ?

 

……松原さんが休んだショックで、頭がおかしくなっちゃった?

 

千聖「……楓。」

 

楓「え?」

 

千聖「それ以上バカなこと考えたら、ぶん殴るわよ?」

 

楓「!」

 

ひ、久々に、心読まれた……。

 

楓「す、すみません……。」

 

千聖「……いいわよ。」

 

ん?

 

……今、許してもらえたの?

 

素直に謝ったから?

 

うーん……。

 

美菜「と、というわけで!松原さんが学校に復帰するまでのヒロイン役代理は、白鷺さんに決定しましたー!みんなー!白鷺さんに拍手ー!」

 

ワーワー!

 

パチパチパチパチ!!

 

……き、決まっちゃった……。

 

千聖「……よろしくね、楓。」

 

楓「へ?あ、……はい。」

 

……白鷺さん、ちょっと優しくなった?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

千聖「あなたのことが、ずっと好きだったの。あの頃から、ずっと……。」

 

楓「……」

 

千聖「だから、……お願い。」ガシッ!

 

楓「!?」

 

クラスのみんな「!?」

 

千聖「……私と、付き合ってもらえませんか?」

 

クラスのみんな「……」

 

楓「……」

 

千聖「……?どうしたのよ楓、次、あなたのセリフでしょ?」

 

楓「……え?あ、ご、ごめん。えっと……」 

 

 

 

 

 

美菜「さ、流石白鷺さんだ……。」

 

橋山「この短時間で、もう役に入り込んでる……。」

 

音羽「恐るべしです、白鷺さん……。」

 

 

 

 

 

楓「……ほ、ほんとに、僕で、いい…「ダメ。」へ?」

 

千聖「全然ダメよ楓。棒読みだし、感情がこもってないわ。」

 

楓「……だ、だって…「だってもへったくりもない!」!ビクッ!」

 

千聖「いい?本番まで二週間もないのよ?それまでにあなたが完璧にしなきゃいけない課題はいくつもある。今のもそうだし、さっきの演技、オリエンテーションのときと全く変わってないじゃない!」

 

楓「そ、そんなこと言われても…「言い訳しないの!」……」

 

千聖「あなたが課題を完璧にこなすことができるようになるまで、私がみっちり指導してあげるから。休む時間はないと思いなさい?逃げたりしたら承知しないわよ?」

 

楓「そ、そんな~……」

 

 

 

 

 

美菜「うわ~、白鷺さんの指導、キツそう……。」

 

橋山「でもさ、逆に考えれば白鷺さん、空見に付きっきりで教えてあげるってことだよね?」

 

音羽「そう考えると、……優しい、んですかね?」

 

美菜「どうなんだろうねー……。」

 

 

 

 

 

千聖「違うわよ!ここはただ振り向くんじゃなくて、実際に何か起こったって、ものすごく焦ったような顔をしながら振り向くの!ちなみにそのときの感情は……」

 

楓「えぇ?えっと、えーっとー……」

 

前言撤回、白鷺さんは全然優しくなんかなってなかった。

 

めちゃくちゃスパルタだし、怖いし。

 

……やっぱり、白鷺さんは白鷺さんだったわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美澤先生「あら、もうこんな時間……!みんなー!今日の準備はここまでにしましょー!」

 

橋山「え!もうそんな時間!?」

 

美菜「もくもくと作業してると、あっという間だね~。」

 

音羽「机、戻しましょうか。」

 

千聖「……仕方ない、今日はここまでよ。」

 

楓「や、やっと終わった~……。」

 

千聖「何安心してるのよ。今日やったところは、劇の中のほんの一部なんだからね?」

 

楓「い、一部……。うぅ~……。」

 

きつい、きつすぎる……。

 

こんなのを毎日やってたら、体がもたないよ……。

 

ネェー!コノアツガミ、ドコニカタヅケテオケバイイー?

 

ロッカーノウエトカデイインジャナーイ?

 

ウッ、オ、オモイ……。

 

ア-モウムリシナイデ、ワタシモモツカラ~。

 

……それにしてもみんな、すごいやる気だなー。

 

あのときは結局僕のせいで何もしなかったとはいえ、みんな準備のことなんて気にも留めなかったのに。

 

千聖「あなたよ。」

 

楓「え?」

 

千聖「あなたが、みんなの考えを変えたのよ。」

 

楓「僕が……。……そう、なのかな?」

 

千聖「ええ。今日のあなたのあんな謝罪を見れば、誰だって…「わー!その話はもういいでしょー!」……ふふ♪」

 

もう~、白鷺さんめ~!

 

……ん?

 

楓「ねぇ白鷺さん、そのプリント……」

 

千聖「これ?花音のよ。お見舞いのついでに、渡してあげようと思って。」

 

楓「あ、そっか。……お見舞いかー。」

 

僕も、行ったほうがいいかな?

 

……いや、考えなくても答えは出てるな。

 

楓「白鷺さん!松原さんのお見舞い、僕も…「ダメよ。」即答!?」

 

千聖「当たり前でしょ!?ダメに決まってるでしょ!」

 

楓「な、何で!?松原さんにも言いたいことあるのに…「それは花音が無事学校に来れるようになったら言いなさい!」で、でも……」

 

千聖「とにかく!ダメなものはダメ!あなたはまず、自分の演技を磨くことだけに集中しなさい。」

 

楓「……あの、せめて、僕が松原さんのお見舞いに行っちゃダメな理由だけでも…「あなたそれ、ほんとに言われないと分からないの?」……う、うん。」

 

美菜・橋山「(空見のやつ、マジか……。)」

 

音羽「(マジですか……。)」

 

クラスのみんな「(マジかよ……。)」

 

千聖「……はぁ。ほんと、あなたといると頭が痛くなるわ……。」

 

楓「……なんか、ごめん……。」

 

千聖「いい?あなたが花音のお見舞いに行くということはつまり……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美菜・橋山「またねー、白鷺さーん。」

 

音羽「また明日ですー。」

 

千聖「ええ。また明日、頑張りましょうね。ニコッ」

 

楓「……」

 

美菜「ほら、空見もちゃんとあいさつしなよ。」

 

橋山「ほっときなって浅井。」

 

美菜「空見さんにはしっかりと、自分の失言を反省してもらいましょう。」

 

そうだよね。

 

僕が松原さんのお見舞いに行くということは、すなわち松原さんの家に行くってことだよね。

 

それを堂々とみんなの前で言う僕って……。

 

……バカだ。

 

僕は大バカだ……。

 

橋山「……さて、それじゃああたし達も帰ろっか。」

 

美菜「そうだね。」

 

音羽「浅井さん橋山さん!帰りにクレープ食べて帰りましょうよ!」

 

美菜「お、いいね宮村!ナイスアイディア!」

 

橋山「クレープかー。なんか久しぶりだなー。」

 

音羽「私、おすすめのお店があるんですよ!なんとですねー!……」

 

楓「……」

 

美澤先生「……」

 

楓「……」

 

美澤先生「……ねぇ、空見くん?いつまでそうしてるの?」

 

楓「……」

 

美澤先生「もうみんな、帰ったわよ……?」

 

楓「……え?」

 

キョロキョロ

 

……ほんとだ。

 

楓「……じゃあ、僕もそろそろ帰ります。」

 

美澤先生「え、ええ。気をつけて、帰ってね?」

 

楓「さようなら、先生。」

 

美澤先生「さ、さようなら……。(……さっきのこと、そんなに気に病むことなのかしら……。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楓「……はぁ。」

 

ほんと、僕ってバカだよなぁ。

 

松原さんと話すってことに気を取られてて、お見舞いに行く=松原さんの家に行くということに気がつかないなんて。

 

普通に考えたら、男が女子の家に行きたいって言ってるようなもんだもんな。

 

付き合ってもないのにそういうことをあんな大勢の前で言う僕って、相当ヤバいやつだな……。

 

……家帰ったら、ゲームでもして気分を紛らわそ。

 

……ん?

 

りみ「……」

 

! あ、あれは、牛込さん……!

 

……ひ、久しぶりに見たな……。

 

……そうだ。

 

全ての発端は、牛込さんの件から始まったんだ。

 

牛込さんに僕があんなことを言ったから、白鷺さんに、松原さんに、丸山さんに、そしてクラスのみんなにも迷惑がかかって……。

 

……僕が一番最初に謝るべきだったのは、牛込だったんだよな。

 

……よし。

 

ここで見つけたのも何かの縁。

 

牛込さんに謝って、仲直りして、ああなってしまった経緯を話しつつ、牛込さんとも仲良しに……。

 

……クル

 

あ。

 

りみ「……!」

 

み、見つかっちゃった……。

 

りみ「……ダッ!」

 

や、ヤベ!

 

楓「ま、待って!牛込さん!」

 

りみ「……」

 

楓「あの、僕、牛込さんに謝りたいんだ。……その、立ち話も難だし、どこか座れるところで…「あなたと話すことなんて何もありません。では。」! ちょ、ちょっと待っ……」

 

りみ「……」タッタッタッタ……

 

……い、行っちゃった。

 

……やっぱり、そう簡単にはいかないか。

 

……牛込さんとも仲直り、できるかなぁ?

 

……せめて、文化祭の前までは、できたらいいな……。

 

楓「……さて、帰るか。」




次回はちさかの回です。

もう一度言います。

ちさかの回です。
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