田舎から引っ越してきた僕と個性的な人達   作:知栄 砂空

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過去一でタイトルが短い……。

まぁ、これもシンプルイズベストということで。




39話 悩み

今、僕は怒っている。

 

いや、怒っているわけではないが、……ちょっといらいらしている。

 

……だってさ!

 

白鷺さん、言ってることめちゃくちゃなんだもん!

 

劇を体育館でやるのに抵抗あるって話をしてたのに、突然将来の話になるんだもん!

 

意味不明じゃん!

 

流石にそこは僕もいらいらしたよ!

 

……はぁ。

 

体育館で劇か。

 

……絶っっっっ対無理だ。

 

プレッシャーが高すぎる……。

 

あ、そうだ。

 

プレッシャーを乗り越えるのが主役の役目、とも言われたんだ。

 

……主役って、そんなんだっけ……?

 

まぁとりあえず僕が言いたいのは、体育館で劇をやることに対して僕は反対だってこと。

 

……白鷺さんのことだから分かってくれなさそうだけど。

 

……ん?

 

ワイワイガヤガヤ

 

あ、商店街。

 

……そういや、あのとき以来行ってないな。

 

松原さんに、いろいろ案内してもらったんだっけ。

 

まぁその後あんなことがあったけど……。

 

……牛込さんに初めて会ったのも、あの日だったっけ。

 

……あのときは、こんなことになるとは思わなかったなぁ。

 

ま、当然か。

 

 

 

 

 

???「……!いた!空見先輩!」

 

 

 

 

 

え?クルッ

 

沙綾「はぁ、……はぁ……。」

 

楓「や、山吹さん!」

 

 

 

 

 

???「あ、空見くん!」

 

 

 

 

 

ん?クルッ

 

ゆり「丁度いいところで会ったね。」

 

楓「ゆ、ゆりさん!?え、ど、どういうこと!?」

 

ゆり「どういうこと、なんて言われても……」

 

沙綾「私はただ……」

 

沙・ゆ「空見先輩(くん)を探してただけで……。え?」

 

……え、……僕、2人に探されてたの?

 

何それ怖い……。

 

沙・ゆ「……と、とにかく、話があるから(ので)、ちょっとこっち来て(ください)!」グイッ!

 

楓「え!ええええ!?」

 

ま、マジでどういうことぉぉぉ!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー近くの公園ー

 

楓「……」

 

沙・ゆ「ご、ごめん(なさい)……。空見先輩(くん)……。」

 

楓「い、いえ……。」

 

突然公園に連れて来たことに対してか、2人に謝られた。

 

まぁ、うん、……正直怖かった。

 

楓「……そ、それで、さっき僕を探してたって言ってましたけど、あれはいったい……」

 

ゆり「そうだよ!私、1つ空見くんに聞いておきたいことがあるの!」ズイッ!

 

沙綾「私も、空見先輩に聞きたいことがあります!」ズイッ!

 

楓「……そ、それは分かったから、早く本題に入ってよ……。」

 

2人とも怖いんだってば……。

 

沙綾「では。」

 

ゆり「単刀直入に聞くね。」

 

楓「……は、はい。」ゴクリ

 

 

 

 

 

沙・ゆ「……牛込さん(りみ)に何したんですか(したの)!?」」

 

 

 

 

 

楓「……え?」

 

沙綾「牛込さんですよ!」

 

ゆり「あの子、最近全然元気ないんだよ!」

 

沙綾「牛込さんと話した結果、どうやら空見先輩が何かしたらしいということが分かって……」

 

ゆり「前まであの子、空見くんの話ばかりしてたんだよ!それが最近になって突然なくなったってことは……」

 

楓「え、えっと、その、……2人とも、ちょっと落ち着……」

 

沙・ゆ「牛込さん(りみ)と何があったのか、あらいざらい話してもらいますよ(もらうからね)!!」

 

楓「……わ、分かりました……。」

 

僕は2人の圧に負け、牛込さんと何があったのか、正直に話すことにした。

 

怒られるのか呆れられるのか、果たしてどっちなのだろうか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楓「……と、いうわけなんです。」

 

沙綾「……」

 

ゆり「……」

 

楓「……あ、あの、2人とも?」

 

ゆり「……どうしてりみが最近ああなのか、よーく分かったよ。」

 

楓「!」

 

沙綾「牛込さんがあんなこと言うのも、納得しました。」

 

楓「!!」

 

や、やっぱり、前者のほうだったか……。

 

まぁ、そりゃそうだよな。

 

山吹さんはクラスメイト、ゆりさんはお姉さんだもんな。

 

本当に謝んなきゃいけないのは牛込さんだけど、……2人にも、謝っておく必要があるな。

 

楓「……山吹さん、ゆりさん。本当に、ごめん…「どっちもどっちですね(だね)……。」……え?」

 

あ、あれ?

 

なんか、思ってたのと違う……。

 

ゆり「りみが突然膝枕させてほしいって言ったのは、空見くんを困らせることになるからりみが悪いけど……」

 

沙綾「それに対して怒るのは分かるけど、そこまで強く言う必要はありませんよね……。」

 

楓「うぐっ!」

 

沙綾「女の子にそんなひどいこと言ったら、誰だって傷つきますよ。」

 

ゆり「りみも、何で突然膝枕なんか……。私とかなら分かるけど、空見くんは男の子なのに……。」

 

楓「……」

 

沙綾「……やっぱり手っ取り早いのは、お互いが謝る、ということですよね。」

 

ゆり「そうだよね。それが一番だよ。」

 

楓「で、でも、僕…「前に謝ろうとしたら逃げられた、ですよね?」! な、何で知ってるの!?」

 

沙綾「あのとき見てましたから。(偶然通りかかっただけだけど。)」

 

楓「見てたの!?」

 

マジか。

 

全然気づかなかった……。

 

ゆり「なるほどねー。逃げられる、か。」

 

楓「は、はい。……たぶん牛込さん、僕と話したくないんですよね……。次会っても、またすぐ逃げられるだろうし……。もう、どうすればいいか……。」

 

ゆり「うーん……。……よし!じゃあ、私に任せて!」

 

楓「え?」

 

沙綾「何か、考えがあるんですか?」

 

ゆり「ううん、これから考えるの。空見くん。私が、りみと謝る機会を作ってあげるよ!」

 

楓「ゆりさん……。」

 

ゆり「大丈夫!先輩を信じて!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー翌日ー

 

楓「おぉ~……。」

 

燐子「ここ、たまに1人で来るんですけど、……雰囲気も良くて……お気に入りの……場所なんです。」

 

放課後、僕と白金さんは地域の図書館に来ていた。

 

目的は、昨日のくじ引きで“恋愛”のジャンルの本を紹介することになり、その本を何にするか決めるためだ。

 

学校の図書館でもいいんじゃないかと提案したのだが、白金さん曰く、ここのほうが本の種類が多いから、とのことだ。

 

燐子「えーっと、“恋愛”のジャンルの本がある場所は……」キョロキョロ

 

楓「……あ、このフロアにあるみたいだよ。」

 

燐子「! ほんとだ。空見さん、ありがとうございます。」

 

楓「いやいや。」

 

燐子「それでは、行きましょう。」

 

楓「うん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楓「お、おぉ~……。」

 

燐子「い、いっぱい、ありますね……。」

 

これ全部、恋愛系の本なのか……。

 

予想はしてたけど、まさかそれ以上とは……。

 

燐子「……」ブルブルブル

 

楓「? どうしたの?白金さん。大丈夫。」

 

燐子「は、はい。……ただ、その……」

 

楓「?」

 

燐子「こういうコーナーに来たの、……私、初めてなので……。緊張……しちゃって……。」

 

楓「あ。……な、なるほど……。」

 

確かに、分かるかも……。

 

普通はこんなコーナー見ないから、通りすがったりしても何も思わないけど、いざこうやって目の前に立ってみると……。

 

……これは、緊張するわ……。

 

特に、恋愛に無縁な僕はね……。

 

燐子「ど、どれから見ればいいのか……分からない……。」

 

さて、これは困ったぞ。

 

こんなに大量の本の中から、1冊だけ紹介する用の本を選ばなくてはならない。

 

……鬼畜じゃん。

 

燐子「えーっと、えーっと~……」

 

白金さん、頭混乱しすぎて目回しちゃってるよ……。

 

うぅ、僕もめまい起きそう……。

 

恋愛小説、恐るべし……。

 

 

 

 

 

???「……あら?あなた達……。」

 

 

 

 

 

楓・燐「!?」

 

そ、その声は……、まさか……!クルッ

 

楓・燐「ひ、氷川さん!」

 

紗夜「! な、何ですか?突然大きな声出して。そもそも、ここは図書館なので、大きな声は厳禁ですよ?」

 

楓・燐「! す、すみません……。」

 

紗夜「はぁ、まぁいいですけど。……それで、あなた達はどうしてここに?」

 

燐子「じ、実は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紗夜「……なるほど。図書委員の企画で、本の紹介を……」

 

燐子「私達、……こんなに、“恋愛”のジャンルの本があるの……知らなくて……。」

 

楓「どの本を選べばいいのか分からなくて、困ってたんです……。」

 

紗夜「そういうことでしたか。……分かりました。」

 

楓・燐「え?」

 

分かったって、何が……。

 

紗夜「あなた達、それぞれ好きなものは何ですか?」

 

楓「え?」

 

燐子「好きなもの……ですか?」

 

紗夜「ええ。何でも構いませんので、1つ挙げてみてください。」

 

突然、好きなものって……。

 

氷川さん、何を考えてるんだ?

 

燐子「……わ、私は、……え、NFOが、好き……です。」

 

楓「……え、エヌ、エフ……、何?」

 

燐子「NFO……です。」

 

NFO……。

 

聞いたことあるような、ないような……。

 

紗夜「続いて、空見さん。」

 

楓「え!?ちょ、待ってください!まだ何も考えが…「ゆっくり考えて大丈夫ですよ。」え?あ、……そう、ですか。」

 

じゃあ、お言葉に甘えてゆっくり考えよう。

 

とは言っても、ゆっくりすぎない程度に。

 

うーん、好きなもの……、好きなものか……。

 

いろいろあるけど、迷うなぁ。

 

紗・燐「……」

 

ゲームも好きだし、本を読むのも好きだしなぁ。

 

食べ物でいうとペペロンチーノ、チーズケーキ、ポテトサラダ……。

 

他にもいろいろあるけど。

 

紗・燐「……」

 

……うん。

 

やっぱり胸張ってこれが一番好きって言えるのは、あれしかないな。

 

楓「思いつきました。」

 

紗夜「では、教えていただけますか?空見さんの好きなものを。」

 

楓「はい。僕の好きなものは……

 

 

 

 

 

……猫です!」

 

紗・燐「……え?」

 

楓「いろいろ迷ったんですけど、やっぱり自分で胸張ってこれが一番好きって言えるのは、猫だなと思ったので。」

 

紗夜「……ね、猫、ですか……。」

 

楓「はい!」

 

燐子「こんな偶然って……あるんですね。」

 

楓「? 何のこと?」

 

燐子「! い、いえ、何でも……ありません。」

 

紗夜「こほんっ!と、とにかく、これで2人の好きなものは分かりました。後は私に任せてください。」

 

楓「は、はぁ……。」  

 

? 猫が一番好きって、なんか変だったかな?

 

でも、それは紛れもない事実なんだし、別に何もおかしくないよな。

 

しかし、後は任せてって……。

 

氷川さん、どうするつもりなんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楓「ありがとうございます。……タッタッタ」

 

燐子「……「お待たせー。」! い、いえ、大丈夫です。」

 

紗夜「私が薦めておいて言うのも難なんですが、ほんとにそんなに借りて大丈夫なんですか?」

 

楓「はい。」

 

燐子「氷川さんが、私達のために……探してくれた本なので、……読めるものは、全部……読んでおきたくて。」

 

紗夜「……ふふ、そうですか。返却期限を過ぎないように、気をつけてくださいね。」

 

燐子「は、はい。」

 

僕達が借りたのは、それぞれ“猫”と“ゲーム”が好きな主人公が出てくる本だ。

 

さっき氷川さんが僕達に好きなものを聞いたのは、“自分の好きなもの”がテーマになっている作品なら気軽に読めるのではないか、と考えたからだそうだ。

 

氷川さんはそれを提案してくれたうえに、それに当てはまる本を何冊か探し出してくれた。

 

僕と白金さんは、その中から気になる本を3~5冊ぐらい借りることにした。

 

そうして今に至るというわけだ。

 

紗夜「それでは、私はこれで……。」

 

燐子「え、……もう、行くんですか?」

 

紗夜「私にも、探している本があるので。」

 

楓「! じゃあ、僕も手伝いますよ。」

 

燐子「わ、私も、手伝います!」

 

紗夜「ありがとうございます。ですが、私は1人で大丈夫ですので。お気持ちだけ受け取っておきますね。」

 

楓「……そう、ですか。」

 

紗夜「本の紹介文、頑張ってください。応援してますよ。」

 

スタスタスタ……

 

燐子「行ってしまい……ましたね。」

 

楓「うん……。」

 

氷川さんも、何か本を探しているのか。

 

本当ならこれを見つけてくれたお礼に手伝いたかったけど、あんなこと言われちゃったらなー。

 

……ま、氷川さんには氷川さんの事情があるってことか。

 

楓「僕達も行こっか、白金さん。」

 

燐子「! は、はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白金さんとは、図書館の前で別れた。

 

この後バンドの練習があるらしい。

 

バンド……。

 

確か“Roselia”、だっけ。

 

……あれ?

 

そういや、氷川さんも“Roselia”じゃなかったっけ?

 

後から氷川さんも行くのかな?

 

……プルルルルル、プルルルルル……

 

ん?電話?

 

……え!?

 

なんと、携帯の画面に表示されていた名前は……。

 

 

 

 

 

『松原さん』

 

楓「ま、松原さん!?」

 

ど、どうして松原さんが……。

 

いやまぁ、電話がかかってくること自体は変じゃないんだけど……。

 

……僕、あのときから松原さんとしゃべってないからさ。(31話参照)

 

なんか、その、……ちょっと、気まずい、んだよね……。

 

プルルルルル、プルルルルル……

 

……かと言って、出ないわけにもいかないし……。

 

うーん……。

 

プルルルルル、プルルルルル、プルルルルル……

 

楓「……」

 

プルルルルル、プルルルルル、プルル…ピッ

 

楓「……も、もしもし。」

 

花音『あ、もしもし空見くん?良かったぁ、繋がって。』

 

楓「な、なんか、ごめん……。」

 

花音『ううん、大丈夫だよ。』

 

松原さんの声、久しぶりに聞いた……。

 

楓「あ、あの、先生から、風邪ひいたって聞いたけど……」

 

花音『あぁ、うん。でも、大丈夫だよ。今はもう、すっかり治ったから。もうすぐ、学校にも復帰していいだろうって、千聖ちゃんも言ってくれたし。』

 

楓「そう、なんだ。」

 

花音『……ねぇ、空見くん。』

 

楓「ん?」

 

花音『私の思い違いならいいんだけど、……空見くん、ちょっと変じゃない?』

 

楓「え!?」

 

花音『なんか、前の空見くんより、若干元気がないっていうか……』

 

楓「だ、大丈夫だよ。僕はいつも通り、元気だよ。」

 

花音『……そう?』

 

楓「そうそう!元気元気。」

 

花音『……嘘。』

 

楓「へ?」

 

花音『やっぱり変だよ、空見くん。』

 

楓「……べ、別に僕は、何も…『丁度よかったよ。』え?……丁度よかったって、何が……」

 

花音『ねぇ空見くん。』

 

楓「! は、はい。」

 

花音『今からさ、少し話さない?……実際に会ってさ。』

 

楓「え、……え?ど、どういう、こと?」

 

花音『言葉通りの意味だよ。商店街を出たところの近くにある公園分かるよね?私が、その、……空見くんに、……ひ、膝枕、したとこ///……』

 

楓「! わ、分かる!あの公園だよね!?うん、分かるよ!」

 

花音『……ふふ、少し落ち着いて。』

 

楓「……ご、ごめん……。」

 

確かに今の僕、ちょっと変かも……。

 

花音『今から5分後に、その公園で待ち合わせ。……いいかな?』

 

楓「う、うん。全然、大丈夫……。」

 

花音『えへへ、ありがと。……じゃあ、後でね。』

 

楓「うん、あ、後で……。」

 

……ピッ

 

……はぁ。

 

……なんだろう。

 

久しぶりに話したからか、すごい緊張した……。

 

しゃべってるとき体震えてたし、それ以前にまともにしゃべれてなかったし……。

 

……先が思いやられる……。

 

……行くか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~5分後~

 

ー公園ー

 

つ、着いた……。

 

……だ、誰も、いないな……。

 

……松原さん、ほんとに来るのかな?

 

……何で僕、こんなに緊張してるんだろう……。

 

ただ久しぶりに、松原さんと会って話すだけなのに……。

 

……。

 

 

 

 

 

???「久しぶりだね、空見くん。」

 

 

 

 

 

楓「!」

 

き、来た……!クル

 

花音「?」

 

ま、松原さん……。

 

楓「う、うん、久しぶり……。」

 

花音「……」

 

楓「……」

 

花音「……と、とりあえず、座ろっか。」

 

楓「そ、そうだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花音「……」

 

楓「……」

 

ベンチに座ったはいいが、……さっきからお互い何も話さず、黙ったままだ。

 

僕が自分から話しかければいいだけのことなのだが、それはちょっと、なんか……、……に、苦手、っていうか、なんというか……。

 

花音「……千聖ちゃんから聞いたよ?」

 

楓「!」

 

よ、よかった……。

 

向こうから話しかけてくれた……。

 

花音「仲直り、できたんだって?」

 

楓「……う、うん、まぁね。」

 

花音「……」

 

楓「……」

 

花音「……そ、そうだ。ねぇ、最近練習どう?上手くいってる?」

 

楓「え?あー、うん、まぁね。……僕に関しては、最近は白鷺さんのスパルタ指導を受けてるだけだけど。」

 

花音「あ……、そういえば千聖ちゃん言ってたっけ。」

 

楓「これが思った以上にキツくてね……。」

 

花音「そうなんだ。」

 

楓「うん、流石白鷺さんだよ……。」

 

花音「……」

 

楓「……」

 

花音「……やっぱり空見くん、変だよ。」

 

楓「え?」

 

花音「実際に会って、確信したよ。」

 

楓「ちょ、え?い、いきなり、何を…「空見くん。」!」

 

花音「私の目を見て。」

 

楓「……え?ま、松原さん?」

 

花音「いいから、言う通りにして。」

 

楓「! ……は、はい。」

 

花音「私の目をじっと見て。」

 

楓「……」

 

花音「そう、そのまままっすぐ……。」

 

楓「……///」

 

ま、松原さん……?

 

い、いきなり、どうしちゃったの……?

 

花音「……」ジー

 

か、顔が、近い///……。

 

花音「……もしかして空見くん、……あのときのこと、引きずってる?」

 

楓「!?」

 

花音「その反応は、図星だね。」

 

楓「あ、あのときのことって…「とぼけないで。」……」

 

花音「自分でも分かってるんでしょ?」

 

楓「……」

 

花音「……確かにこうして空見くんと会うのはあの日以来だから、ちょっと気まずいのは分かるよ。でも、……そのことをいつまでも引きずってたら、話せるものも話せないよ。私、空見くんと話したいこと、いっぱいあるんだよ?」

 

楓「……」

 

花音「! またそうやって目をそらす!空見くん、話してるときはちゃんと私の目を見てよ。前はこうやって話してるとき、ちゃんと目と目を見ながら話をしてくれてたじゃん。」

 

楓「……」

 

花音「……ねぇ、空見くん?」

 

楓「……」

 

どうしよう……。

 

まともに松原さんの顔、見れない……。

 

なぜかすごく緊張して、体も震えてるし……。

 

ほんと僕、どうしちゃったんだろう……。

 

花音「……」

 

 

 

 

 

ギュッ!

 

……え?

 

花音「……」

 

楓「……」

 

……へ?

 

え?ちょ、……え?

 

……え!?

 

……//////!!

えええええええ/////!!??

 

楓「ちょ、ちょちょ、ちょ、ちょっと///!?ま、ま、まつ、ま、松原さん///!?」

 

花音「……」

 

楓「ちょっと!?何か言ってよ松原さん!!ねぇ!今僕、何で松原さんに、その、……だ、だ、だき、……だ、抱きしめられて…「静かに。」……あ、はい。」

 

花音「そのまま静かに、呼吸を整えて。」

 

……こ、呼吸を……。

 

花音「何も考えずに、気持ちを落ち着かせて。」

 

何も考えずに、気持ちを落ち着かせる……。

 

って無理があるだろ!!

 

こんな状態で、気持ちなんか落ち着かせられるわけが…「空見くん。」え?

 

花音「いろいろ抱えてるものがあるんだよね。私には分かるよ。」

 

楓「! ……」

 

花音「千聖ちゃんと、みんなと仲直りできたからって、全てが解決したわけじゃない。そうだよね?」

 

楓「……う、うん。」

 

花音「しかも、そこにまた新たな問題が乗っかってきた。」

 

楓「……うん。」

 

花音「……悩みが、あるんだよね?」

 

楓「……うん……!」

 

 

 

 

 

花音『約束して、空見くん。これからは、悩みができたら1人で抱え込んだりしないで、すぐさっき私が挙げた友達に相談すること。』

 

 

 

 

 

花音『……約束、してくれる?』

 

 

 

 

 

……言うんだ。

 

今度はちゃんと、自分から……!

 

楓「……ま、松原さん!」

 

花音「……」

 

楓「……また、……そ、相談に、のってほしい、んだけど……」

 

花音「……」

 

楓「ご、ごめん!あの、僕、馬鹿だし、世間知らずだから、人に教えてもらったり助けてもらったりしないと、1人じゃ何にもできないことが多くて……」

 

花音「……」

 

楓「だから、その、……これからも、頼ってばかりになっちゃうと思う……。で、でも!分からないことやできないことがあっても、自分1人で解決することができるように頑張るから!人に頼ってばかりにならないように頑張るから!だから…「分かった。」……へ?」

 

花音「分かったよ。……今の話で、ちゃんと知ることができた。今まで抱えてた、空見くんの気持ち。」

 

楓「……」

 

花音「どんどん頼ってよ、空見くん。できないことや分からないことがあったら、私達で、ううん、みんなで乗り越えていこう。」

 

楓「……松原、さん……。」

 

花音「私も千聖ちゃんも、彩ちゃんや紗夜ちゃん、燐子ちゃんも、みーんな、空見くんの味方だよ。」

 

楓「……うん、……うん!」

 

花音「もう、泣かないでよ空見くん。」サスサス

 

楓「だ、だって~……」

 

花音「(……戻った。やっといつもの空見くんに、戻ってくれた。)」

 

楓「うぅ、くそ~、泣き止めよ……。早く僕、泣き止めよ~……。」

 

花音「……空見くん。」

 

楓「……な、何?」

 

花音「今度はちゃんと、自分から言えたね。」

 

楓「……うん。……ありがとう、松原さん。」

 

花音「……ううん。……こちらこそ、ありがとうだよ。ボソッ」

 

楓「え?……今、何か言った?」

 

花音「ううん、何も言ってないよ。」

 

楓「……そう?」

 

花音「うん♪……それじゃあ今度は、“今”抱えてる悩みを、教えてもらおうかな。」

 

楓「あ、……うん。実は……」

 

 

 

 

 

花音「(これからは私が、……ううん、“私達”が、空見くんの支えになるんだ……!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー翌日ー

 

美菜「よーし!みんなやるよー!」

 

橋山「張り切ってんねー浅井。」

 

音羽「まさか、体育館を貸しきって練習することになるとは。」

 

美菜「気合い入るよね!ね!白鷺さん!」

 

千聖「え、ええ、そうね。(顔が近い……。)」

 

美菜「最初で最後かと思われるこの体育館練習!みんなー!今日は本番のつもりで、いくよー!」

 

『オー!!』

 

千聖「……みんな、気合い入ってるわね。」

 

楓「そうだね。これは、僕も負けてられないなー。」

 

千聖「楓もやる気ね。今日のあなた、一段と頼もしく見えるわよ。」

 

楓「え、そう?」

 

千聖「ええ。何があったのかは知らないけど、やる気があるのはいいことよ。」

 

なんて、実は花音から事のいきさつを全部聞いているから、何があったのかは全て知っているのだけれど。

 

美菜「よーし、それじゃあさっそく始めるよー!みんな、定位置に立ってー。」

 

楓「よし、行く…「楓。」?」

 

千聖「……今までの練習のせいかを、私に見せてちょうだい。」

 

楓「……はい!」

 

千聖「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~昨日の夜~

 

千聖「え?楓を?」

 

花音『うん。千聖ちゃんにも、お願いできないかな?』

 

千聖「……あなたまさか、知り合い全員にその提案を伝えているの?」

 

花音『うん、そのつもり。まだ千聖ちゃんにしか伝えてないけど、この後も…「ちょっと待ちなさい、花音。」ふぇ?』

 

千聖「……私も手伝うわよ。」

 

花音『! い、いいよ、これは私の…「楓はあなただけの友達じゃない。」!』

 

千聖「花音、あなたのその提案には賛成よ。だからこそ、私も手伝いたいの。……いいかしら?」

 

花音『……うん、分かった。じゃあ、お願いしようかな♪』

 

千聖「ええ、喜んで。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花音の提案は、……”私達が、楓の支えになること“。

 

話は全て、昨日の花音との電話で把握した。

 

それを聞いて私は、二つ返事でその提案にのった。

 

……楓は、私達の大切な友達。

 

それを気づかせてくれた楓に、私ができること。

 

……そばで見守り、支えになってあげること。

 

楓「白鷺さん?どうしたの?」

 

千聖「……いえ、何でもないわ。」

 

音羽「……白鷺さん、笑ってます?」

 

千聖「気のせいよ。……さぁ、始めましょ、美菜ちゃん。」

 

美菜「OK!空見も、準備OK?」

 

楓「いいよ、大丈夫。」

 

美菜「よーし!それじゃあ、練習……、始め!」

 

 

 

 

 

まさか、今更気づくなんてね。

 

楓を好きなのは、花音だけじゃない。

 

 

 

 

 

……私も、いつの間にか楓を好きになっていた。

 

……なんて、花音に言ったら怒るかしら?




次回で40話か。

……長かったw。

てか浴衣花音ちゃんはいつ来るの!?

来たらすぐに、コツコツ溜め続けたスター10000個を一気にぶっ放す!
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