田舎から引っ越してきた僕と個性的な人達   作:知栄 砂空

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お待たせしました!

記念すべき、40話です!

……更新遅すぎて年内に1期編終わんのか心配になってきた……。

これぐらいの超激遅更新ペースが今後も続くと思いますが、どうか温かく見守ってくださると嬉しいです。

……なんか対策考えよっかな?


40話 こんな時間まで学校に残ったの初めて

楓「いってきまーす!」

 

楓の母「い、いってらっしゃーい……。」

 

翔真「珍しいね、楓が俺より先に出るなんて。」

 

楓の母「そ、そうね……。」

 

 

 

 

 

僕は今、学校に向かっている。

 

しかも走って。

 

……正直眠いし、走ると疲れるから歩きたいし、もっとのんびり学校行きたい……。

 

だが、今の僕には、“のんびり”という言葉は許されないんだ。

 

なぜなら……。

 

 

 

 

 

『楓へ

 

 今すぐ学校に来なさい。

 

 あなたの驚くことが待ってるわよ。』

 

 

 

 

 

というメールが、さっき白鷺さんから届いたからだ。

 

僕は無視して二度寝しようと思ったんだけど、……その後すぐかかってきた電話で一気に目が覚めたよね……。

 

ほんとあの人、エスパーかなんかなの?

 

あの人を怒らせるとマジで怖いから、まぁそのことを知ってる僕は急いで飛び起きて支度して歯磨いて家を出たよね。

 

……走りたくねぇ……。

 

けど怒らせると怖いから行かなきゃ……。

 

……まさか、白鷺さんに怯えながら登校する日が来るとはね。

 

夢にも思わなかったわ……。

 

ピロリン♪

 

ん?

 

またメール……。

 

げっ! 

 

 

 

 

 

『無駄なこと考える暇があるなら急いで来なさい!!』

 

 

 

 

 

もうーーーーー!!!!

 

ほんと何なんだよあの人はあああああ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-学校-

 

はぁ、はぁ、はぁ……。

 

もう、……い、一生分の体力を、はぁ、はぁ、……つ、使った気が、……す、する……。

 

ま、マジで、……し、死ぬ……。

 

……や、やっと着いた……。

 

教室までの道のり……、はぁ、はぁ、……な、長かったなー……。

 

……ガラガラガラ

 

美菜「! 空見!」

 

橋山「早かったねー来るの!」

 

楓「お、おはよう……。」  

 

はぁ、はぁ、……え、えっと、白鷺さんは、どこに…「お疲れ様、空見くん。」「あ、し、白鷺さん……。あ、ありがと……え?」……ん? 

 

空見……“くん”?

 

……丸山さん?

 

は、このクラスじゃないし……。

 

クラスの人?

 

……は、橋山さんと浅井さんと宮村さん以外親しくないし……。

 

……じゃあ、いったい……。

 

千聖「楓、顔上げてみて。」

 

楓「か、顔を?」

 

……言われた通り、手を差し出されたほうにゆっくり顔を向ける。

 

ゆっくり、ゆっくり……。

 

楓「……、……、……!!」

 

 

 

 

 

花音「空見くん、久しぶり。……でも、ないか。」

 

 

 

 

 

楓「ま、まま、……松原さん!?な、何で!?」

 

千聖「何でって、学校に来たからに決まってるでしょ?」

 

楓「え……、が、学校に……?」

 

花音「昨日、お母さんが明日には学校に行っていいだろうって言ってくれてね。張り切って、いつもより早く学校に来ちゃったんだ。」

 

楓「……」

 

千聖「私達が学校に来たときに、花音が提案したのよ。楓をびっくりさせたいって。」

 

楓「ま、松原さんが、僕を……」

 

花音「……迷惑、だったかな?」

 

楓「! ぜ、全然全然!あ、えっと、……その……」

 

花音「? 空見くん?」

 

千聖「……」

 

楓「……が、学校での松原さんとは、久しぶり、だね。」

 

花音「……うん!」

 

白鷺さんがメールで言ってた“驚くこと”とは、松原さんが学校に来たことだった。

 

他の人からしたら普通のことなんだろうけど、……確かに、驚いたわ。

 

松原さん、祝学校復帰、って感じか。

 

って、それは流石に大袈裟か。

 

花音「空見くん。」

 

楓「え?」

 

花音「練習、頑張ろうね!」

 

楓「……うん、そうだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~昼休み~

 

-中庭-

 

彩「花音ちゃ~ん!」ガバッ!

 

花音「わっ!あ、彩ちゃん!?」

 

彩「うぅ、花音ちゃ~ん!花音ちゃんがいない間、寂しかったよ~!」

 

千聖「ちょっと大袈裟じゃないの?彩ちゃん。」

 

彩「そんなことないよ!千聖ちゃんだって、花音がいなくて憂鬱だわ~って言って、落ち込んでたじゃん。」

 

千聖「なっ///!そ、そういう彩ちゃんだって、そんな寂しそうな素振り見せてなかったじゃない!」

 

彩「みんなの知らないところで寂しそうって思ってたもん!」

 

花音「2人とも、喧嘩はダメだよ~!」

 

アーダコーダアーダコーダ

 

紗夜「……はぁ、全くこの2人は……」

 

燐子「こ、こういうのも、……なんか、久しぶり……ですね。」

 

楓「そう、だね……。」

 

最近は実行委員の集まりで松原さんがいないことも多かったし、この6人で集まっての昼ごはんはより久しぶりだよな。

 

あむっ。

 

お、このオムレツ美味しい。

 

花音「あ、そういえば……」

 

千聖「? どうしたの?花音。」

 

花音「ごめんね、千聖ちゃん。私が休んでる間、副実行委員の仕事、千聖ちゃんに任せっきりで。」

 

千聖「ふふ、いいのよ、そんなことで謝らなくても。私がやりたくてやったのだし、楓も手伝ってくれたし。」

 

花音「えっ、空見くんも?」

 

楓「う、うん。」

 

千聖「楓がいることで、とても仕事がはかどったのよ。やってと言って頼んだものは全部やってくれたし、私が言わなくてもその都度必要なものを用意してくれたりね。」

 

花・彩「え……?」

 

紗・燐「……」

 

千聖「ほんと、楓はよく手伝ってくれたわ。ほんとにありがとうね、楓。」

 

楓「は、はぁ……。」

 

彩「(それは、ただの使い走りっていうんじゃ……。)」

 

紗夜「(相変わらず空見さん、いいように使われていますね……。)」

 

燐子「(これも、仲の良い証拠……なのかな……?)」

 

花音「……く、苦労してたんだね、空見くん……。」

 

楓「まぁね……。」

 

白鷺さんのいいように使われるのはもう慣れっこだけど(そもそもそうなるのがもうおかしい)……、そろそろ限度ってものを考えてほしい……。

 

ほんとあのときは動きすぎて死ぬかと思ったもん……。

 

千聖「? みんな、突然黙ってどうしたの?お昼、早く食べないと終わっちゃうわよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~放課後~

 

-2-A教室-

 

美菜「よーし!やるぞー!」

 

クラスのみんな「オー!!」

 

 

 

 

 

花音「美菜ちゃん、張り切ってるね。」

 

楓「まぁ、明日が本番だからね。」

 

花音「そうなんだよね。……私、気づかなくて、朝空見くんに、満面の笑みで練習頑張ろうって言っちゃった……。」

 

楓「だ、大丈夫だよ!そんなの僕、気にしてないし。それに、ほら、最後の練習とはいっても、頑張ろうっていうのには変わりないし……」

 

千聖「そうよ花音。」

 

楓「!」

 

花音「千聖ちゃん……。」

 

千聖「明日は本番。そして、本番前の練習は、今日が最後。この意味が分かる?花音。」

 

花音「……う、うん。」

 

千聖「……練習は本番のように、本番は練習のように。」

 

楓「?」

 

花音「! それは、紗夜ちゃんの……」

 

千聖「そう、紗夜ちゃんがいつも言っている言葉よ。」

 

 

 

 

 

-2-B教室-

 

紗夜「くしゅんっ!」

 

燐子「氷川さん、風邪……ですか?」

 

紗夜「い、いえ、そういうわけじゃ、ないと思うけれど……」

 

彩「体調管理には気を付けてね。明日は文化祭本番なんだから。」

 

紗・燐「……」

 

彩「? どうしたの?え、私、何か変なこと言った?」

 

燐子「い、いえ……」

 

紗夜「まさか、丸山さんからそのような心配をされるとは、思いませんでした……。」

 

彩「ちょっと!それどういう意味!?」

 

紗夜「でも、……そうですね。気を付けます。」

 

 

 

 

 

-再び2-A教室-

 

千聖「今の状況が、ぴったりこの言葉に当てはまるでしょ?」

 

花音「……あ。」

 

千聖「今日の練習は、本番のように緊張感を高めて演技をする。明日の本番では、練習のように少し気持ちを軽くして演技をする。……今まであなたは、疲れが溜まって体調を崩してしまうほど、1人で必死に頑張って練習してきたんでしょ?なら大丈夫よ。」

 

花音「千聖ちゃん……。」

 

楓「……僕も、さ。」

 

花音「?」

 

楓「ずっと白鷺さんに演技を指導してもらってたんだけど、ほんと、キツくてさ。全然上手くいかなくて、心が折れそうになることもあったけど、でも、……なんとか、ここまで頑張ってきたんだ。自分で言うのも何だけど……。」

 

花音「……」

 

千聖「……」

 

楓「たぶん、僕がこうして頑張ってこれたのは、……ずっと付きっきりで指導してくれた、白鷺さんと、……僕に元気をくれた、松原さんのおかげなんだよ。」

 

花音「……」

 

楓「あのとき悩みを聞いてもらって、アドバイスをくれて、応援してくれて。……あのことがあったから、ここまで頑張ってこれた。白鷺さんのキツい指導についていくことができたんだ。」

 

花音「……空見くん……。」

 

千聖「……確かにあなたの演技は、最初の頃と比べたら格段に良くなったわ。正直、私の想像以上だった。」

 

楓「白鷺さん……。」

 

千聖「今のあなた達なら、きっと大丈夫。明日の本番も、絶対成功するわ。私はそう信じてる。」

 

楓・花「白鷺さん(千聖ちゃん)……。」

 

千聖「……なんて、少し、気恥ずかしいわね///。」

 

花音「ううん、全然そんなことないよ。」

 

楓「白鷺さんの言葉を聞いて、ますますやる気がでてきたよ。」

 

千聖「……ふふ。成長したわね、楓。」ボソッ

 

楓「え?」

 

美菜「さー松原さん!白鷺さん!空見!練習始めるから、そろそろ位置についてー!」

 

花音「あ、はーい!」

 

千聖「それじゃあいくわよ、2人とも。」

 

楓「はい!」

 

花音「本番前最後の練習、気合い入れていこう!」

 

楓・花・千「オー!!」

 

……さっき白鷺さん、何か言った?

 

よく聞こえなかったんだけど……。

 

花音「空見くーん、早く位置についてー。」

 

楓「あ、うん!」

 

……まぁいっか。

 

……よし!

 

最後の練習、頑張るか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楓「……」

 

花音「……」

 

千聖「……」

 

美菜「カーット!」パンッ!

 

橋山「……い……」

 

音羽「い?」

 

橋山「いいじゃんいいじゃん!最高だったよ2人とも!」

 

花音「そ、そう、かな?」

 

千聖「橋山ちゃんの言う通りよ。あなた、あの後も私に黙ってこっそり練習していたでしょ。」

 

花音「えへへ……。」

 

千聖「もう、花音ったら。」

 

楓「つ、疲れた~。ドサッ」

 

さっき白鷺さんが言ってたことを参考にしてやってみたけど、なかなか、難しいもんだなぁ。

 

千聖「はい、楓。」

 

楓「あ、……ありがとう。……ゴクゴクゴク」

 

千聖「……あなたの演技も、とても良かったわよ。」

 

楓「そう?」

 

千聖「ええ。……まぁ、私にはとうてい及ばないけれど。」

 

楓「そりゃあ、本物の女優さんなんだから、及ばないのなんて当たり前だよ。」

 

千聖「……」

 

楓「……?白鷺さん。」

 

千聖「でも、あの頃と比べたら、見違えるほど成長したわよ、あなた。」

 

楓「……」

 

千聖「本番でも、その気持ちを大切にするのよ。」

 

楓「……うん、分かってるよ。」

 

あの頃……。

 

お花見前日の、オリエンテーションのとき。

 

……別に、演技を磨くつもりはなかったけど、劇をやるって決まっちゃったから、仕方なく練習してたけど……。

 

それが、白鷺さんに褒められるまでになるとは。

 

……頑張ったな、僕。

 

音羽「リハーサルも終わったところで、いよいよ準備も大詰めですね!」

 

美菜「そうだね!よーし、ここからは作業の時間!みんな!張り切っていこー!!」

 

クラスのみんな「オー!!」

 

 

 

 

 

楓「相変わらず、テンション高いな浅井さん……。」

 

花音「なんか今の、川柳?みたいだね。」

 

千聖「2ヶ所も字余りしてるのだけれどね。」

 

花音「あはは……。厳しいね、千聖ちゃんは。」

 

楓「別に、意識したわけじゃないし……。」

 

 

 

 

 

美菜「ほらほらそこの3人組!イチャイチャしてる暇があるなら手伝う!本番は明日なんだよ!」

 

楓・花・千「い、イチャイチャなんかしてない(わ)よ!」

 

橋山「そのわりには息ぴったりだけどな……。」

 

音羽「ですね……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~2時間後~

 

あれからずっと、僕達は劇で使う小道具やセットの準備をしていた。

 

とは言っても主に色塗りや接着作業だが、これがほんとに大変だ。

 

色塗りは慎重にやらないといけないし、接着は少しでもずれると直すのが困難だからだ。

 

なぜ接着を直すのが困難かって?

 

だって、……でけえんだもん。

 

いや、ちっちゃい小道具の接着ならいいんだよ?

 

でもセットってさ、めちゃくちゃでかいじゃん。

 

それに体育館のステージの上まで持ってかなきゃいけないから1人じゃ絶対無理だし。

 

だって重いから。

 

そんなのを接着しなきゃいけないから、とても繊細な作業が必要なわけよ。

 

……うん、準備ってマジ大変だわ。

 

千聖「花音、そっちの端、押さえててくれる?」

 

花音「うん……!」

 

千聖「楓はそっちの端ね。」

 

楓「うん。」

 

このように、接着作業は3人がかりでやっている。

 

色塗りはまだ残っている人達がやってくれている。

 

あ、ちなみに浅井さん達は先に帰った。

 

というより、白鷺さんが帰らせた。

 

白鷺さん曰く、浅井さんは実行委員なんだから、しっかり体を休めろとのこと。

 

よって今教室に残ってるのは、僕と白鷺さんと松原さん、それといっしょに手伝ってくれてる人数名(3、4人くらい)だ。

 

……と、思ったのだが。

 

生徒A「あの、白鷺さん。」

 

千聖「? 何?どうしたの?」

 

生徒A「私、もう帰らなくちゃいけない時間になっちゃって……」

 

生徒B「実は、私も……」

 

生徒C「あたしも……」

 

生徒D「私も、そろそろ帰らなきゃ……」

 

……マジか。

 

いっしょに手伝ってくれてた人達が、一気に4人いなくなるとなると……、あとは3人で、準備を終わらせなければならない。

 

……白鷺さんは、何て言うんだろう……。

 

千聖「……」

 

花音「千聖ちゃん……。」

 

千聖「……そう、分かったわ。」

 

生徒A「……ご、ごめ…「安心して。」え?」

 

千聖「私はあなた達のことを、そんなふうには思ってないわ。今までだって、あなた達4人で協力しながら準備を手伝ってくれていたでしょ?」

 

生徒B「! ……み、見てたの?」

 

生徒C「私達、結構隅の方にいるグループだから、てっきり気づかれてないのかと……」

 

生徒D「うん……。」

 

千聖「そんなわけないじゃない。あなた達も含めて、2-Aなんだから。ね?」

 

花音「そうだよ。みんな同じ、このクラスの仲間だよ。」

 

生徒A「松原さん、白鷺さん……。」

 

生徒B「あ、ありがとう……。」

 

生徒C「それじゃあ、……私達、行くね。」

 

生徒D「ほんと、ごめん。」

 

千聖「いいのよ。後のことは、私達に任せて。」

 

花音「じゃーね、みんな。気をつけて帰ってね。」

 

生徒A・B・C・D「……ペコリ」

 

スタスタスタスタ……

 

花音「……3人に、なっちゃったね。」

 

千聖「ええ。……ここから、もうちょっとペースを早めるわよ。いい?花音。」

 

花音「が、頑張る!」

 

楓「……」

 

千聖「……楓、いつまでそこでぼうっとしてるの?」

 

楓「……え?」

 

花音「千聖ちゃんが、ペースを早めるって。」

 

千聖「それとも、楓ももう帰りたくなった?」

 

楓「え?……い、いや、そういうわけじゃ……」

 

千聖「ならそんなとこにいないでこっちに来なさい。」

 

楓「……う、うん、分かった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~さらに1時間後~

 

千聖「楓、慎重に。慎重にいくのよ?」

 

楓「わ、分かってるよ……。」

 

花音「頑張って!2人とも!」

 

……ペタッ

 

千聖「よし!いったわね。」

 

楓「あとは、こことここをくっつければ……」

 

花音「……あの、ちょっといい?」

 

楓「?」

 

千聖「どうしたの?花音。」

 

花音「その作業、……私も、いっしょにいい?」

 

千聖「別に構わないけど……。でも、これだけよ?」

 

花音「うん、それでいいんだ。」

 

楓「どういうこと?」

 

花音「……それをくっつけたら、文化祭の準備は、一通り終わりでしょ?」

 

千聖「ええ、そうね。」

 

花音「だから、その、……終わりの接着作業は、私達3人でやりたいなって……」

 

楓「!」

 

花音「ダメ、かな?」

 

千聖「……なるほど。あなたらしい考えね。」

 

花音「! じゃあ……」

 

千聖「ええ、やりましょ。最後は3人で。楓もいいでしょ?」

 

楓「うん、もちろん。」

 

花音「えへへ♪ありがとう、千聖ちゃん♪空見くん♪」

 

千聖「それじゃあ花音は、この真ん中の部分を持ってくれる?」

 

花音「うん!」

 

文化祭準備の終わりを、この3人でか。

 

……なんか寂しい気もするけど、ま、これはこれでいっか。

 

花音「これで3人、みんな持ったね。」

 

楓・千「うん(ええ)。」

 

花音「それじゃあ、……いくよ!」

 

楓・花・千「せーの……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楓「うわっ、暗いな~。」

 

千聖「もう8時近いもの。当然よ。」

 

花音「一応お母さんに連絡はしたけど……、なんか、悪いなぁ。」

 

千聖「花音なんて可愛いものよ。私なんか、仕事がある日は11時を過ぎちゃう場合もあるのよ。」

 

花音「そ、そうだよね……。」

 

じゅ、11時……。

 

流石、女優……。

 

花音「あ、でも今日は千聖ちゃん、お仕事ないんだよね?」

 

千聖「ええ、ないわよ。だからさっき言ったんじゃない。いっしょに帰りましょうって。」

 

花音「……うん、そうだったね。えへへ♪」

 

さっき白鷺さんも言った通り、現在の時刻は7:48と8時近い。

 

外も暗く、白鷺さん曰く、

 

 

 

 

 

千聖『こんな暗い道を花音1人で歩かせるわけにはいかないわ。』

 

 

 

 

 

とのことだったので、こうして3人で帰ることになった。

 

ん?僕?

 

……気にするな、いつものことだ。

 

千聖「どうしたの?楓。早く行くわよ。」

 

楓「あ、うん。」

 

シュワ~シュワ~コオリノダイヤニユレナガラソット♪

 

楓「ん?」

 

花音「電話……。この着信音って……」

 

千聖「私ね。」

 

楓「え!?」

 

千聖「え、って何よ。」

 

楓「い、いや、別に、何も……」

 

千聖「……花音。悪いけど、ちょっと待っててもらえるかしら?」

 

花音「うん、いいよ。」

 

千聖「ありがとう。……タッタッタ」

 

……白鷺さんの着信音が歌って、なんか意外だなー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楓「……」

 

花音「……ねぇ、空見くん。」

 

楓「ん?何?松原さん。」

 

花音「……明日、なんだよね。……文化祭。」

 

楓「あぁ、……うん。」

 

花音「なんか、……あっという間だったな。」

 

楓「松原さんは何日か休んでたから、尚更、だよね?」

 

花音「うん……。」

 

楓「……」

 

松原さん、ほんとは、みんなといっしょに練習や準備したかったんだろうな。

 

確か白鷺さんの話だと、練習のしすぎで疲れが出て、風邪を引いたって……。

 

……僕があんな迷惑をかけなければ、松原さんは……。

 

……。

 

櫂「……あ、あの、松原さん。……ほ、本当に、ごめ…「でも、良かったな。」え?」

 

花音「この3人で、準備を終わらせることができて。」

 

楓「……」

 

花音「本当は、クラスのみんなでいっしょに終わらせることができればよかったんだけど……。そんなに上手くはいかないよね……。」

 

まぁ、用事があったり、門限があったりする人もいるからな。

 

……あれ?

 

高校生でも門限ってあるのかな?

 

……ある、よな?

 

……ないのか?

 

……知らん。

 

花音「えっと……、聞いてる?」

 

楓「! た、大丈夫!ちゃんと聞いてるよ!そうだよね、用事があったり門限があったりする人がいるから、全員でってのはなかなか難しいよね。」

 

花音「……う、うん。」

 

思ってたこと、そのまま言っちゃったけど……。

 

いいよな、別に。

 

花音「……だから、良かった。」

 

楓「……」

 

花音「そんな中、空見くん、千聖ちゃんの3人で、準備を終わらせることができたんだもん。もしかしたら千聖ちゃん、お仕事があったかもしれないのに、それもなかったし。」

 

楓「あ、そっか。」

 

花音「……明日の文化祭、みんなで楽しもうね。」

 

楓「……うん。」

 

 

 

 

 

千聖「……」

 

花音「あ!千聖ちゃん!タッタッタ」

 

千聖「……あら、花音。」

 

花音「? どうしたの?千聖ちゃん。なんか、元気がないような……」

 

千聖「そんなことないわよ。……ただ、残念なお知らせが1つあるの。」

 

楓「残念なお知らせ?」

 

千聖「……いっしょに、帰れなくなってしまったの。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花音「……」

 

楓「……」

 

現在僕と松原さんは、2人で帰りの道を歩いていた。

 

なぜ2人なのか。

 

それは、とても単純な理由だ。

 

花音「……仕方ないよね。スタッフさんからの呼び出しなんて、無視するわけにはいかないもん。」

 

楓「そう、だね……。」

 

仕事……、なのかどうかは知らないが、急遽事務所の人に呼ばれたため、いっしょに帰ることができなくなった。

 

というのが、今2人で帰ってる理由だ。

 

楓「……すごいよね、白鷺さん。学生と仕事を両立なんて。実際、すごく大変そうだし。」

 

花音「……」

 

楓「しかも、それに加えてアイドルもやってるんでしょ?二足のわらじならぬ、三足のわらじだよね。……改めて考えると、やっぱ白鷺さんってすごい人なんだなぁ。」

 

花音「……私は、空見くんもすごいと思うんだけどなぁ。」ボソッ

 

楓「? 何か言った?松原さん。」

 

花音「ううん、何も言ってないよ。そうだよね、千聖ちゃんはすごいよね。」

 

楓「……う、うん。」

 

花音「でも、そのことは千聖ちゃんには言わないであげて?」

 

楓「え、なん…「お願い。」……わ、分かった。」

 

別に言わないし、言うつもりもないけど……。

 

松原さんに真面目な顔して言われたらそりゃあ……、ねぇ?

 

花音「……なんか、暗くなっちゃったね。……た、楽しい話、しよっか!」

 

楓「そ、そうだね。」

 

花音「え、えっと、えーっとー……」

 

楓「……そんなに、考え込まなくても、いいんじゃない?」

 

花音「ふぇ?」

 

楓「楽しい話でしょ?なら、そんな深く考えないで、頭にパッと思い浮かんだことをそのまま話せばいいと思うんだけど。」

 

花音「頭に、パッと……。」

 

楓「……って、ごめん。なんか偉そうなこと言って。……や、やっぱいいや。松原さんの話したいことを話せば…「分かった。」へ?」

 

花音「思い浮かんだよ、頭にパッと。」

 

楓「え、……マジ?」

 

花音「空見くん。」

 

楓「! な、何?」

 

花音「……文化祭、楽しみ?」

 

楓「……え?」

 

ぶ、文化祭?

 

楽しみか?

 

……それが、楽しい話……?

 

花音「ごめんね。でも、これが、空見くんに言われて一番最初に頭にパッと浮かんだことだから。どうしても、聞いておきたくて。」

 

楓「……」

 

……以前の僕なら、確実に、100%、こう言っていた。

 

 

 

 

 

『全然。』

 

 

 

 

 

……と。

 

しかし、今は違う。

 

その考えは、180度、ってわけではないけど、……まぁ、60度ぐらい、変わったかな。

 

残りの120度は、……まぁ、いろいろだ。

 

楓「……チラッ」

 

花音「……?」

 

……松原はもちろん、白鷺さん、丸山さん、そして、クラスのみんなにも、いっぱい迷惑かけた。

 

これまで文化祭というものは、準備も含めて適当にやり過ごしてしたのに、今回はそれができなかった。

 

……いや、違う。

 

やらなかったんだ。

 

僕がいつもみたいに、適当にやり過ごそうとしなかったんだ。

 

さて、それなぜか。

 

……まぁ、もう分かりきってることなんだけどね。

 

花音「空見くん、どうしたの?さっきからずっと黙って……。! 私の質問、そんなに難しか…「違うよ。ちょっと、いろいろ考え事をしてただけ。」……そう?」

 

楓「……松原さん。」

 

花音「?」

 

まさか僕が、こんな言葉を言う日が来るなんてな。

 

1週間ぐらいまでは全く思いもしなかった。

 

……こんなことを思えたのは、松原さん達のおかげ、だよな。

 

……ちなみにこれは、嘘じゃなく、本心だ。

 

……たぶんな。

 

 

 

 

 

楓「……楽しもうね、文化祭。」  

 

花音「! ……うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……そして、夜は明け……。

 

 

 

 

 

……ついに、その日が……。

 

 

 

 

 

……やってきた。




あ、そういえば、とうとうお気に入り登録者が300人を超えました!

いつも応援してくださってる方々、本当にありがとうございます!

こんな日本語もド下手で誤字が多くて更新するのも超超超激遅の僕なんかの小説を読んでお気に入りにしてくださってる方が300人もいるなんて、本当に嬉しい限りです!!

これからも、本小説を、よろしくお願いいたします!

……次の目標は400人かな。
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