なんたる偶然……。
【???】
……これが、ミッシェルの言う、裏ルートか。
香澄「うわぁ〜!見て見て有咲、りみりん!すごく綺麗な景色だよ!」
りみ「ほんとだ〜!」
有咲「緑がいっぱい……。田舎ならではの景色だよな。」
楓「……まさか、黒服の人が運転してくれる車で移動するとは。」
ミッシェル「しかもこれ、弦巻家のものですからね。用意周到すぎますよ……。」
いつの間に持ってきてたんだ……。
でも、これならミッシェルも乗れるし、遅れも取り戻せるしで、一石二鳥なのかな。
楓「あ、ここを右に曲がってください。」
黒服「了解しました。」
ミッシェル「……道案内しなきゃいけないってのが、少し手間ですけどね。」
楓「まぁでも、これくらいなら……。」
あと今日僕、道案内する機会多いな……。
それも当然っちゃ当然なんだけど。
香澄「あ、そうだ。ねぇ空見先輩!」
楓「ん?」
香澄「空見先輩のおばあちゃんって、どんな人なんですか?」
楓「ぼ、僕のおばあちゃん?」
香澄「はい!最初空見先輩のおばあちゃんの家に行くって聞いて、ふと有咲のおばあちゃんを思い出したので!」
有咲「おい香澄!今うちのばあちゃんの話はいいだろ!?」
楓「な、何で戸山さんが、市ヶ谷さんのおばあちゃんの……?」
りみ「いつも香澄ちゃん、有咲ちゃん家に寄ってから学校に来るんです。そのときによく、有咲ちゃんのおばあちゃんの作ってくれた朝ごはんを、有咲ちゃんと二人で食べてるらしくて。」
楓「へぇ〜……。」
香澄「それでどんな人なんですか?空見先輩のおばあちゃんって。」
有咲「ていうか香澄!普通に考えてそれは少し失礼な質問じゃ…「いや、いいよ全然。」そ、そうですか……?」
楓「……僕のおばあちゃんは、とてもアクティブだよ。よく歩いて散歩に行ったり買い物に行ったりしてるし、家族で出かけたときも一人だけ歩くの速いし、翔真なんかおばあちゃんから蹴り方とか余計なこと教えてもらったせいで、僕と喧嘩するときはいつも圧勝、特にあの蹴り技は……マジでヤバい……。あと、いつも夕飯を作ってくれてたんだけど、それもとても美味しくて、あと物知りだし、頭もいいし、それから……」
ミッシェル「……市ヶ谷さんに負けず劣らずの、おばあちゃん子だね。」
有咲「わ、私は別に、そんなんじゃ…「え!有咲おばあちゃんのこと嫌いなの!?」なっ!き、嫌いじゃねーよ!むしろ好……、!!」
香澄「好……何ー?」ニヤニヤ
有咲「っ〜〜///!あーもううるせぇーー///!!」
りみ「ふふっ♪」
楓「昔僕が家族と出かけてはぐれちゃったときも、真っ先に探しに来てくれて……さらにその後…「わ、分かりました空見さん。一旦、一旦この話終わりにしましょう。」え、そう?」
りみ「(空見先輩も、ノリノリで話してたんだ……。)」
〜その頃、千聖達は〜
花音「……!千聖ちゃん、次じゃない?私達が降りるバス停。」
千聖「ええ、そうみたいね。……あら?」
彩「どうしたの?千聖ちゃん。」
千聖「……楓達も、今向かっているそうよ。」
彩「そうなの!?良かったぁ。」
牧人「良かったって、何がだ?」
彩「もちろん、無事に合流できそうだからだよ。万が一のことってあるじゃん?」
牧人「まぁ、そうだけど……。」
千聖「彩ちゃんは、楓のことが好きだものね。」
牧人「え!?」
彩「も、もちろん、友達としてだよ!?って、それは千聖ちゃんも同じでしょ!?」
千聖「ふふふっ♪」
彩「笑って誤魔化さないでよぉ!」
牧人「……」
日菜「ちょっとー?その話は聞き捨てならないな〜。空見くんはおねーちゃんのことが好きなんだよ〜。」
牧人「え!?」
こころ「あら、あたしも楓のことは好きよ!面白いもの!」
牧人「え、え……えぇ!?」
花音「み、みんな、曽山くんが困ってるからそこまでにしてあげてね……?」
翔真「(……あいつ、いつの間にこんなモテモテに……。)」
バスの運転手「……青春してるなぁ。」
【バス停】
日菜「じゃあ次千聖ちゃん!パスパレの"れ"!」
千聖「"れ"、ね。れ……れ……冷蔵庫。」
彩「冷蔵庫だから、"こ"、か。こー……、! こあら!」
花音「ら……ら……らっこ!」
こころ「また"こ"、ね!うーん……心!」
日菜「自分の名前?」
こころ「いいえ?心よ!この胸の中にある、心!」
牧人「おしゃれだなぁ。」
花音「次、曽山くんだよ。」
牧人「あ、そっか。"ろ"、か。ろ……ろ……」
翔真「……ギブアップか?」
牧人「んなわけねえだろ!"ろ"、だろ?うーん……。……!ろうそくだ!」
翔真「くつ。」
牧人「……早えな。」
翔真「いや、これぐらい普通だろ。」
千聖「なら次は"つ"、ね。つー……「先ぱーい!!」タッタッタッタ ! ……やっと来たわね。」
牧・翔「! 楓!」
花・彩「! 空見くーん!みんなー!」
香澄「やっと着いたー!」
日菜「あはは、お疲れ〜。」
ミッシェル「た、ただいま、戻りました……。」
こころ「おかえりなさい!ミッシェル!」
有咲「か、香澄……お前、速いっての……。」
千聖「だ、大丈夫?有咲ちゃん。」
りみ「め、めっちゃ疲れた〜……。」
彩「め、めっちゃ?」
楓「はぁ……はぁ……はぁ……つ、疲れた〜!」.
花音「お帰り、空見くん。」
楓「た、ただいま……。そ、そういや今日、めちゃくちゃ暑いの忘れてた……。」
花音「そ、そういえば……。」
楓「走って来たから、尚更……。」
花音「……あ、私うちわ持ってるんだった。もしだったら、仰いであげようか?」
楓「え?何で、うちわを……?あ、家から持ってき…「ううん。電車の中にうちわ置き場があって、黒服の人がご自由にどうぞって言ってたから、一応もらっておいたんだ。」あ……なるほど。」
黒服の人も弦巻車も、万能すぎるでしょ……。
花音「というわけで……はい。バサッ、バサッ」
楓「! す、涼しい〜……。」
花音「ふふっ、良かったぁ。」バサッ、バサッ
楓「ありがとう、松原さん。」
花音「ううん、全然いいよ。」バサッ、バサッ
牧人「……松原さんも、楓のことが好きなのか。しかし……あれは本当に友達としてなのか?」
翔真「俺に聞くなよ。知りたきゃ、自分で聞きに行きゃいいだろ。」
牧人「……いや、やめとく。」
翔真「何なんだよ……。」
彩「……」
千聖「私も、仰いであげようかしら?」
彩「へ?あ、ううん、私は大丈夫。……よいしょっと。そろそろ、出発する準備しないとだよね。おーい、空見くーん!」
千聖「……彩ちゃん今、胸を押さえてた……わよね?」
りみ「……私も、仰いであげに…「有咲〜!暑い〜!」!」
有咲「あーもう抱きつくなー!ますます暑くなるー!」
りみ「ふ、二人とも、大丈夫?私が仰いであげるね?……それっ。バサッ、バサッ」
香澄「! 涼しい〜!ありがとうりみりーん!」
有咲「助かるよ、りみ。」
りみ「全然、お安い御用だよ。……」バサッ、バサッ
ミッシェル「……りみ?」
楓「……よし。じゃあそろそろ、おばあちゃん家に向かおうか。」
花音「うん!」
こころ「あら?……ミッシェルがいないわ。」
美咲「どうしたの?こころ。」
こころ「あ、美咲。ミッシェルがまたいなくなってしまったの。どこ行ったか分かるかしら?」
美咲「あー……ミッシェルなら、ボランティア活動に行ったよ。」
有咲「ぶふっ!」
香澄「あ、有咲!?大丈夫!?」
有咲「だ、大丈夫大丈夫……。(ツッコむな……ツッコんだら負けだ……。)」
こころ「まぁそうなの!だったらあたしも…「あたし達は空見先輩のおばあちゃんの家に行くんでしょ。……ミッシェルなら、一人で大丈夫って言ってたよ。ある程度方がついたら、また合流するって。」そうなのね……。」
千聖「(ボランティア活動……。)」
彩「(もう……何でもありになってきてるような……。)」
牧人「……いやいや、普通そんなこと信じ…「分かったわ!じゃあミッシェルが帰ってきたときのために、あたしがとびっきりのプレゼントを用意しておくわ!」えぇ!?」
美咲「ぷ、プレゼント……?」
こころ「ええそうよ!ボランティア活動を頑張ったミッシェルに、贈り物をするの!美咲と花音も手伝ってくれるかしら?」
花音「ふぇ?あ、えっと、私は……チラッ」
美咲「……うん、分かった、手伝うから。とりあえず、空見先輩のおばあちゃんの家に向かおぅ。」
花音「(な、何もかもを諦めたような顔……!)……な、なら、私も手伝うよ。素敵な贈り物をあげようね、こころちゃん。」
こころ「決まりね!そうと決まったら楓、早く行きましょう!」
楓「う、うん……。」
牧人「……ま、マジか……。」
日菜「あはは、それがこころちゃんだもん。」
楓「……にしても、ここら辺でボランティア活動なんかしてたかなぁ?」
美咲「!」
花音「え、ないの……?」
楓「うーん、聞いたことないなー。」
美咲「……」ダラダラダラ
牧人「(お、流石の楓も今の強引な嘘には……)」
楓「……でも、僕と翔真が向こうに引っ越した後に、新しくできたのかも。だとしたらミッシェル、偉いよなぁ。」
牧人「(嘘だろおおおお!!??)」
花音「……そ、そうだね。」
美咲「ほっ……。」
りみ「空見先輩、意外と鈍感なんだなぁ。」ボソボソ
翔真「やっぱあいつ、バカだな。」
〜7分後〜
楓「……やっと、着いた〜!」
【楓のおばあちゃん家】
彩「ここが、空見くんのおばあちゃん家……。」
花音「……!花が植えてある!」
千聖「あら、ほんとね。」
楓「おばあちゃん、花を育てるのも趣味なんですよ。
花音「へぇ〜。どれも綺麗だな〜。」
……約四ヶ月ぶりか。
外観から分かる、良き古き家……庭に植えられた、数種類の花……開くとガラガラガラと鳴る引戸のドア……何もかも変わってない。
小さい頃から、自分の家以上に行き来してたおばあちゃん家。
ここでおばあちゃんに勉強を教えてもらってたし、牧人とも遊んでた。
夕飯もいつもここで食べ、小さい頃は寝泊まりもこの家で……大晦日も、この家で家族で過ごしたなぁ。
……そんな、365日、この家にいないことがなかったと言っても過言ではない僕が、ここを離れて四ヶ月ほど。
……正直、寂しくなかったと言えば嘘になる。
ここに帰りたいと思ったときもあったし、おばあちゃんに会いたいと思うことも……なくはなかった。
……元気にしてるかな、おばあちゃん。
牧人「楓、入らねえのか?」
楓「……いや、入るよ。」
翔真「んじゃ、先行くぞ。」
楓「あ、おい待て翔真!僕が先だ!」
有咲「……何張り合ってんだ?」
りみ「きっと嬉しいんだよ。おばあちゃんの家に来れて。」
香澄「その気持ち、私も分かるな〜。」
こころ「あたしもよ!」
美咲「……まぁ来たかった場所に来れてテンション上がっちゃう気持ちは、あたしも分かるかな。」
日菜「あたしは、おねーちゃんとならどこへ行ったって嬉しいよ!」
ガラガラガラ
楓・翔「ただいまー!」
スタスタスタ
楓の祖母「楓!翔真!お帰りー!元気にしてたかい?」
楓「うん、元気だよ。おばあちゃんのほうは?」
楓の祖母「私ももちろん、元気だよ。翔真、新しい学校はどうだい?」
翔真「まぁ……楽しんでるよ。」
楓の祖母「そうかいそうかい。……それで君達が、楓のお友達だね?」
牧人「ちょっとばあちゃん!俺のことは無視かよ!?」
楓の祖母「おぉ牧人、忘れてたわけじゃないんだよ。ただ、楓のお友達に先に目が行っちゃったもんで……」
牧人「(絶対忘れてた……。)」
花・彩・千「……」
香・り「……」
有咲「げ、元気なばあちゃんだな〜……。」
こころ「あら、とても良いことじゃない!」
日菜「最もだね〜。」
美咲「あはは……。」
楓の祖母「改めてみんな、遠いところからわざわざお疲れ様。」
彩「! い、いえ!あ、あの、本日はお日柄もよく、とてもご隆盛のことと…「彩ちゃん、少し黙ってようか……。」え?」
千聖「空見さんのお婆さま、本日はお招きいただいて、ありがとうございます。」ペコリ
楓の祖母「いえいえ。まさか楓の友達に、こんな礼儀の良い子がいるなんてねぇ。」
楓「ちょっと、僕も礼儀良いでしょ?」
楓の祖母「そうだけど、この子は楓以上だよ。」
楓「……そ、そう……。」
牧人「ははは、ドンマイ楓。」
千聖「……「でも、お嬢ちゃん。そんなにかしこまらなくてもいいんだよ。」……え?」
楓の祖母「君のことだよ、お嬢ちゃん。」
千聖「お、お嬢ちゃんって……私はそんな…「さぁさぁみんな、入った入った。ひとまず、涼しい部屋でゆっくりお休み。」……」
彩「ち、千聖ちゃんが、押し負けた……。」
花音「空見くんのおばあちゃん、すごい……。」
楓「……あ、み、みんな。遠慮せず、中に入って。」
こころ「じゃあ、お邪魔するわね!楓!おばあちゃん!」
美咲「ちょ、こころ!」
楓の祖母「いいんだよ。ほら、みんなも入りな。」
香澄「それじゃあ……お邪魔しまーす!」
りみ「ほら、有咲ちゃんも行こう?お、お邪魔します……。」
有咲「お、お邪魔しまーす……。」
日菜「千聖ちゃん、あたし達も入ろうよ!」
千聖「……え、ええ。」
楓「……なんか、ごめんね。」
千聖「! ち、違うのよ!別に、謝られるようなことじゃないの。……ただ、少しびっくりしただけだから。」
彩「でも意外だなぁ。千聖ちゃんって、ああいう呼ばれ方慣れてると思ったよ。」
千聖「彩ちゃん、それはどういう意味かしら?」
彩「! い、いや!特に、深い意味はないんだけど……」
千聖「ならどういう意味があるのかしら?」
彩「うっ……ご、ごめんなさーい!!」
牧人「……俺達も入ろうぜ、楓。」
楓「あ、うん。翔真……って、あれ?」
花音「翔真くんなら、もう中に入ったよ。」
楓「え……いつの間に……」
日菜「空見くん、花音ちゃん。先に中入っててよ。あたしは彩ちゃんと千聖ちゃんと行くからさ。」
花音「わ、分かった。二人をよろしくね、日菜ちゃん。……空見くん。」
楓「うん。……
……ただいまー。」
花音「お、お邪魔しまーす……。」
……ここを離れて4ヶ月しか経ってないから、当然っちゃ当然だけど、何も変わってないな〜。
いや、むしろ変わってたらそれはそれでヤバいか。
花音「良い家だねー。」
楓「そう?ありがとう。」
花音「なんか、ほんとに、おばあちゃんの家って感じで……。あ、も、もちろん!良い意味でだよ!」
楓「だ、大丈夫、分かってるって。」
松原さんが言いたいことは、手に取るように分かる。
なんせ、これまでの人生の半分くらいをこの家で過ごしていたのだから。
……と言っても、まだ高校生だけど。
花音「……?なんか、騒がしいね?」
楓「あそこは、居間だね。弦巻さん達が、何か話してるんじゃない?」
花音「たぶん、そうだろうけど……こころちゃん達以外の声も、聞こえるような……。」
楓「え?」
何それ怖……。
……って、ん?
この声……もしかして……。
ガラッ
???「おー楓、お帰りー。」
???「お帰りなさい。」
楓「た、ただいま……。」
???「翔真、もう一回やるか?腕相撲。」
翔真「もういいよ、腕が痛えもん……。」
???「悪いわねぇ、この子と遊んでもらっちゃって。」
牧人「い、いえ、大丈夫ですよ。」
???「牧人、ゲーム、ゲームしようぜ。」
???「それなら、お父さんも入れてくれよ。」
……親戚大集合じゃねえか。
千聖「びっくりしたわよ。おばあさんに連れられてこの部屋に入ったら、こんなに人がいるんですもの。」
彩「まさか空見くんのおばあちゃんが、こんなに大家族だったなんて……。」
楓「あ、いや、この人達は……」
???「帰ってきたんだ。」
花音「! い、いつの間に……?」
楓「……いきなり後ろから現れたら、びっくりするじゃん。」
???「ずっとここにいたよ。別に驚かしたつもりないけど。」
有咲「な、なんかこの人、怖えな……。」ボソッ
りみ「う、うん……。」
???「ジロッ」
り・有「ひぃっ!」
香澄「……私、戸山香澄!あなたは?」
???「……ふんっ。」
香澄「あ……行っちゃった……。」
有咲「お、お前、コミュ力すげえな……。」
楓の祖母「ごめんねぇ。悪い子じゃないんだよ、あの子。」
香澄「……はい。なんか、そんな気がします。」
りみ「香澄ちゃん……。」
こころ「……あたし、良いこと思いついたわ!」
美咲「あ、なんか嫌な予感がする……。」
楓「……」
???「この子達が、楓の友達か〜。」
???「しかも全員女の子だなんて、やるじゃんか楓〜。」
日菜「空見くん、大人気だねー。」
楓「いや、これは人気とかじゃなくてね……。」
楓の祖母「みーんな、楓の親戚なんだよ。」
花音「! み、みんな……ですか……?」
……流石にこれだけ集まると、多いし、狭いな……。
楓の祖母「……今日は、表でお昼にしようかね。」
このペースだと、伊那日編何話かかるんだろう……。