SIX HUNDRED~俺の600族が最強過ぎなんだが~ 作:ディア
なお時系列まとめ
イリア捕獲
→ハクリューに進化&ギラギラと遭遇
→主人公リーグ出禁&イリアと別れる&リックゲット
→アローラ地方にて島巡り&ダン捕獲&イリアと再会する
→ホウエン地方にて観光&マンダーゲット
→カロス地方にてゴルメゲット
→ギラギラ捕獲
→第1話~第7話
→ジャック捕獲
→第8話
今回はジャックを捕獲した後と第8話の境目くらいです。
シックがジャラランガことジャックをゲットしているその頃。ポケモンリーグ本部では無駄に天井が高く広い部屋に地方チャンピオン達四人がここに集結していた。
「本部長、単刀直入に申します」
カントー・ジョウト地方のチャンピオンワタルが話を切り出し、本部長に懇願する。
「何かね?」
「数年前にポケモンリーグから追放されたシック氏のポケモンリーグ出禁処分を取消を願いたい」
「それはならん」
「何故でしょうか!? 我々だけでなく世間が認める程の実力者です」
「奴には八百長疑惑があるが? ホウエンの推薦試合も八百長をしたのではないのか?」
「ふざけないで下さい!」
ホウエン地方のチャンピオン、ダイゴが怒鳴り声を上げた。
「僕達は全力で戦いましたし、ゲンジさんも全力で戦い敗北しました。それを否定することはホウエン地方を侮辱することになります!」
「ふん、どうだかな」
本部長が鼻で笑い、目を細める姿にダイゴは怒りを溜める。
「そもそもシックの出禁処分って、ポケモン窃盗による罪によるものでしょ? その罪は冤罪だって警察も言って謝罪しているから出禁処分も取り消すべきだと思います」
イッシュ地方チャンピオン、アイリスが口を挟み、本部長に意見する。
「それとこれとは話は別だ。奴にはポケモンを使った殺人、暴行、詐欺の疑惑がある」
「そんな疑惑が?」
この場にいるチャンピオン達が尋ねると本部長が答える。
「イッシュ地方のは知っているとは思うが、かつて騒動の原因になったサザンドラのトレーナーがシックが出所した時期に所持していたポケモン達に殺されている」
「そんな事件が……」
「そして例のサザンドラはシックのポケモンとなっていた。これが殺人の疑惑だ」
「暴行の疑惑は?」
「シック氏が所持していたカイリューの元トレーナーがそのカイリューに暴行された事件だ。全治6週間の大怪我だったそうだ」
「それはもはや関係ないのでは? むしろカイリューを手綱を握れなかったそのトレーナーの責任でしょう」
「それならまだいい。問題はそのカイリューがシックの下に戻っているということだ。つまりシックの指示で暴行した可能性があるということだ」
「こじつけ過ぎでは? そもそも彼が逮捕された際にそのような指示をする暇はないと思います」
カロス地方チャンピオン、カルネが意見すると本部長が目をそらし、話題を変えた。
「そして詐欺だ。アローラ地方でヌメルゴンの油を法外な金額で売り捌いていたという情報が入った」
この情報に全員がどよめく。それというのもこの場には地方チャンピオンしかおらず、各自の地方の情報を中心に共有しあっていたが、アローラ地方のシックの活動の情報に関してはアローラ地方のチャンピオンがいないためにほとんど入らず、身の潔白を証明する証拠がなかった為である。
「これだけ疑われている以上、彼の身が潔白になるまで処分の取消は出来ない」
「疑わしきは罰せずと申します。それに倣って出禁の取消もお願いします」
「君達勘違いしてないかね?」
「どういうことですか?」
「私はね、彼の人生を狂わせたことに責任を感じている。中途半端に身の潔白が証明されてもスキャンダルになりかねない。サカキ達のようにな。シックはまだ若くそんな状況になればポケモンリーグどころではない。そうならない為に今も尚、各地方に派遣した情報活動委員に彼の身の潔白になる情報を探してもらっている」
この場にいたチャンピオン達が納得しかけたその瞬間、ノックの音が響き渡る。
「入りたまえ」
「失礼します」
そして入ってきたのはこの場にいる全員が知る三人だった。
一人目はシンオウ地方の元チャンピオン、シロナ。
二人目はワタルの前任者でもあり、伝説として知られるレッド。
そして三人目がレッドに抜かれるまで地方チャンピオン最年少記録を達成したグリーンだった。
そんな三人を憧れるように見つめるアイリスだが三人はスルーして本部長に視線を合わせる。
「君達何のようかね?」
「本部長、年貢の納め時です。横領等多数の犯罪に手を染めたことにより貴方に調査が入ります」
「何を馬鹿なことを。証拠でもあるのか? え?」
「これだ」
グリーンが取り出したのは音声テープ。それを再生しようとすると本部長が顔を青ざめ、取り返そうとする。
「寄越せ!」
「再生スイッチお~ん」
そしてグリーンが無情に再生スイッチを押した。
再生されると二人の男の声が響く。一人は本部長の声だった。
[本当にいいのか? こんなに貰って? ]
[構いません。その代わりシックというトレーナーを追放処分にしてください]
[わかったわかった。てめえの息子が殺されたという疑惑でどうにか追放しておくよ]
[ありがとうございます、先輩]
「これはその、アレだ! 貰ったのは金じゃなくオボンタルトだ!」
本部長が慌てて弁解するが弁解になっておらずどのみち賄賂を貰い、特定の個人を冷遇させたことになる。
「本部長?」
ワタルがキレ、カイリューを取り出そうとするがレッドがそれを手で抑えた。
「……」
「了解」
レッドに促され、グリーンが再び音声テープを再生した。
[でだ。あんたに協力してもらいたいのは市長にヌメラの色違い製造の工場の建設許可を促してもらいたい]
[対価は? ]
[5億円、これでどうだ? ]
[ほう、5億か。悪くないな。だが条件がある。前払いで2億円払うのと表向きはポケモン研究所になるが構わんな? ]
[構わん。むしろその方がありがたい]
[よし取引成立だ]
「これはその、あの!」
「と言うわけだ。もちろんこの他にも音声はあるし、証言もあるぜ本部長殿?」
「くそっ! 捕まってたまるか!」
本部長が取った行動、それはポケモンを使って逃亡するという悪あがきそのものだった。
「逃がすか! 俺の弟子を嵌めた報い受けてもらう!」
ワタルが切り札であるカイリューを出すとこの場にいる全員が切り札のポケモンを出す。
「ホウエンを侮辱した罪償ってもらうよ」
「本部長、ケジメつけないとね。私だってケジメをつけたんだし」
「ワタルさんを止めるのはやめて私も参加させてもらうわ」
現役と引退した地方チャンピオン達が本部長を囲う。そして本部長が取った行動はポケモンを四匹出し──
「お前ら全員フラッシュだ!」
フラッシュを指示し、この場にいた全員の目を眩ませることだった。
「しまっ──」
一匹だけならまだしも四匹同時にやられては流石のチャンピオン達も対応出来ず、目が閃光にやられる。
「さらばだ! 二度と会うこともあるまい!」
そして本部長がポケモンをバラバラに逃がし、自らもそれに乗じて逃げる。地方チャンピオン達が目が慣れた頃には既に消えていた。そこにあるのは足跡と穴を掘った形跡のみだった。
「……逃がしたか。だが、これでポケモンリーグの膿は絞り取れた」
この場で追いかけても無意味と悟り、全員がポケモンを収納した。
「第三者委員会に本部長の悪行を訴えればシック君のポケモンリーグ出禁解除は確定だね。彼は元本部長に一番被害を受けていたから」
「本当によかった……これでシックの今までの人生が報われる」
「アイリスちゃん、一時期は凄く落ち込んでいたものね」
カルネがアイリスの頭を撫でるとはにかみ、笑顔を見せた。
「でもこれからは堂々と胸はって生きていけるわ」
そしてアイリスが見せた笑顔は憂い事が完膚なきまでに消去された爽やかな笑顔だった。
そして壁を打ち砕く轟音がその場に響いた。
「え? 何今の音!?」
動揺したのはアイリスだけではない。地方チャンピオン達が警戒しポケモンを再び出す。緊張感溢れる状況の中、その正体が露になる
「いや~参ったわい。訳のわからんことを抜かしていきなり襲いかかってくるから何事かと……って、お主ら何でこんなところに?」
そこにいたのはアイリスの前任者、つまり先代イッシュ地方チャンピオンのアデクとボロカスになった本部長だった。
「それはこっちのセリフだよ。僕達はとあるポケモントレーナーのリーグ出禁処分の取消を願いに来ていたんだ」
「何故過去形なんだ?」
「そこの本部長が逃げたんですよ」
「逃げた? 何かやましいことでもあるのか」
「簡潔にいうと賄賂をしていました」
「賄賂……まあそれ自体は珍しいことでもあるまい。かくいう儂も安い菓子の差し入れ程度の賄賂なら受け取ったことはあるしな」
「ええ。賄賂と横領によって懐に入った金額が判明している範囲内でも25億円」
「最低でも25億円もか。平均生涯賃金が3億円だと考えるとかなりの量だのう……それだけこやつが切羽詰まっていたのか」
最後は聞こえぬようにボソリと呟き、本部長を見る。
「しかしアデクさん、何故ここに?」
「ん? ああ、ちょっとポケモンリーグ本部に用事があってな。その手続きをしに来たんだが、この様子だと出来そうになさそうだ」
「手続きとは?」
「全国にある孤児院や保育園の設立及び改築。そしてその経費についての申請手続き」
「ポケモンリーグが何故孤児院を?」
「寄付じゃよ。もっとも本部長が捕まったからその話も延期になりそうじゃが」
「……もしかして、こいつは寄付金を集める為にシックを貶めていた?」
「答えろ!」
ワタルが本部長と呼ばれた男を無理やり叩き起こすと呻き声を上げながら答えた。
「そ……うだ」
「くそが!」
「がっ!?」
ワタルが本部長と呼ばれた男を蹴飛ばし、不機嫌なまま椅子に座り口を開いた。
「……それで、どうする?」
「どうとは?」
「孤児院かシック、どちらを延期させる?」
「もちろん、孤児院だよ。それ以外に考えられる?」
「私もダイゴさんと同じ!」
「というか、皆孤児院の方を延期させるわよ? シック君のリーグ出禁を延期させる理由がないし、それをすれば批判を浴びるわ」
カルネの意見に、事情を知らないアデク以外が頷き、アデクが口を挟む
「そのシックと言うのがお主達の出禁取消を願うトレーナーなんだな?」
「はい」
「もしかしてこの動画の対戦相手か?」
そしてアデクが電子端末を取り出し、シック対シロナの動画を見せると全員頷いた。
「お主らが全員動くのも頷けるわい。こんな実力の持ち主がポケモンリーグの孤児院支援が理由で潰されたなんて知ったら孤児院の子供達が一生後悔することになる。儂もシックの出禁解除を早急にすることに賛成だ」
「そうか……やはり俺の考えは間違いじゃなかったか。なら早急に第三者委員会に連絡する。失礼」
「ちょっと待った。その前にお主らはシックのことをどう思っておる?」
アデクがワタルを呼び止めるとワタルから順に口を開き答えていく。
「俺が誇る弟子だ」
ワタルは簡潔に答えたが、その意味は深い。しかしシックを大切にしていることは確かだった。
「……超えるべき壁」
それまで頂点に立っていた伝説のポケモントレーナー、レッドが新たに壁と認めた相手。
「革命家」
そうコメントしたのはダイゴ。ダンのだいばくはつの印象が悪かったものの実力は評価しておりダイゴはその一言に纏めた。
「リベンジしたい世界クラスのポケモントレーナー。何が何でも勝ってみせるわ」
シックとの戦いの後、自らチャンピオンの座を降りてまで修行に励んだシロナ。よく見ると頬がやつれていることからその修行の厳しさが伺える。
「これまでは被害者だったけど今はライバルよ」
シックはアイリスの通報により人生が狂い、壮絶な人生を送らざるを得なかった。リーグ出場はもちろんジムバトルすらも出来ないポケモントレーナーにしてしまった。その責任を取る為にポケモンバトルを全力で楽しませたいと思う心がアイリスを動かした。
「無冠の帝王、いやそれだとシック君自身の状況になるから太陽の王子と言うべきかしら。だって彼のは日の出のように活躍するんだもの」
無冠の帝王は言わなくてもわかるが実力があるにも関わらずタイトルに縁がない人物のことを指す。しかしカルネ自身はシックのことを太陽の王子と称し、期待している。
「俺は会ったないからなんとも言えないけど、楽しみだ。レッドにあそこまで言わせる相手と戦いたい」
そして最後にグリーン。グリーンもアデク同様シックと面識がない。しかしレッドから聞かされた話ではバンギラス一頭でレッドのポケモン三匹を撃破した。グリーンもバンギラスをパーティに入れている以上負けていられないという思いもあった。
「似たようなものばかりだな……地方チャンピオンというのは儂に似るのか、儂が地方チャンピオンだったからその考えになるのかどちらか。儂はこのシックに会って戦ってみたいんだが、どこにおるかわかるか?」
「彼なら今、アローラ地方に行っているわ」
「カルネ、何でそれを知っているの?」
「それは当然彼が言ったからよ。シロナ」
会心のどや顔! シロナは膝をついた!
「そうかアローラ地方か。では早速行ってくる」
「え?」
アデクが部屋を出ると即座に空港のチケットを買いに向かった。
「な、何にせよ俺も仕事をしなければな」
ワタルの声で我に戻りチャンピオン達はその場を去っていった。
そんな会談が終わり、話題となったシックはというと──カプ・レヒレと話していた。
「カプ・レヒレ、俺に島キングになれって言うのか?」
シックがジャラランガZを袋に入れながらカプ・レヒレに尋ねる。
『そう、貴方にはそれを勤めるだけの実力があります』
「冗談いうなよ。確かにここを第二の故郷と思っているが、所詮俺は余所者。ポニ島の島キングにはなり得ない」
『ウラウラ島の島キングは余所者ですが?』
「クチナシのおっさんは例外中の例外だ。それにあの人はウラウラ島に永住している状態だから島キングに任命されても不満はなかった。しかし観光客の俺が任命されたらポニ島だけじゃなく他の島キングになろうとする連中は黙ってない。島キングになった奴が皆に認められるんじゃない。皆に認められた奴が島キングになるべきなんだよ」
『では次来る時は観光客ではなく永住民でお願いします』
「絶対に今度も観光客で来てやる」
その後、シックとカプ・レヒレの不毛な言い争いがしばらくの間続いた。
後書きらしい後書き。
やべえ、過去編終わったら書くことがない……
それはそうと、感想は感想に、誤字報告は誤字に、その他聞きたいことがあればメッセージボックスにお願いいたします。また高評価やお気に入り登録、感想を送ったりすると作者のモチベーションが上がります。
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